【実施例1】
【0010】
図1は第1の実施例における画像処理装置および画像処理システムの構成を示すブロック図である。
図1において、画像処理システム300は、フォームデータに印刷データを重ね合わせて媒体に印刷するフォーム印刷機能を有するものであり、フォームデータおよび印刷データを生成する処理をして出力する画像処理装置100と、画像処理装置100から受信した印刷データにフォームデータを重ね合わせて媒体に印刷する画像形成装置200とにより構成され、画像処理装置100と画像形成装置200は、有線または無線の通信回線を介して通信可能に接続されている。
【0011】
画像処理装置100は、例えば携帯情報端末、パーソナルコンピュータや印刷データサーバ等の情報処理装置であり、プリンタドライバ110と、操作表示部120と、メモリ130と、通信部140と、フォームデータ生成部150とを備え、生成した印刷データおよびフォームデータを画像形成装置200へ送信する。
印刷データ生成部としてのプリンタドライバ(ソフトウェア)110は、アプリケーションソフトウェア上のテキスト、グラフィック、写真画像等をページ記述言語による印刷データとして生成するものである。
【0012】
このプリンタドライバ110は、通常、生成した印刷データ(第2の印刷データ)を、通信部140を介してそのまま画像形成装置200へ送信することができ、またフォーム印刷(フォームデータ)の元のデータとなるフォーム元データ(第1の印刷データ)を生成し、メモリ130に記憶させ、保存することも可能になっている。
本実施例では、プリンタドライバ110は、ページ記述言語で記述された第1のフォント情報を含む第1の印刷データとしてのフォーム元データと、第2のフォント情報を含む第2の印刷データとを生成する。
【0013】
操作表示部120は、ディスプレイ等の表示手段並びにタッチパネルやキーボードおよびマウス等の入力手段を備え、利用者に報知する各種情報を表示して出力し、また利用者の操作を受付けて各種情報の入力を行うものである。
記憶部としてのメモリ130は、プリンタドライバ110およびフォームデータ生成部150が入出力するデータであるフォーム元データ132およびフォームデータ133を含め、画像処理装置100の動作に必要なデータも記憶し、保持するものである。ここで、フォーム元データ132は、プリンタドライバ110が生成したフォーム印刷の元となるデータであり、フォームデータ133は、フォームデータ生成部150がフォーム元データ132に基づいて生成したデータである。
【0014】
出力部としての通信部140は、通信回線を介して画像形成装置200との間でデータの送受信を行うものであり、プリンタドライバ110が生成した印刷データやフォームデータ生成部150が生成したフォームデータ133等のデータを画像形成装置200へ送信(出力)し、また画像形成装置200から装置状態等のデータを受信(入力)するものである。
【0015】
識別符号置換部としてのフォームデータ生成部150は、メモリ130に保存されたフォーム元データ132を読み込み、不要なページ記述言語データを削除し、描画データのみを残したフォームデータ133に変換するものであり、データ入出力部151と、言語解析部152と、コマンド種別判断部153と、削除対象コマンドリスト154と、フォント識別子判断部155と、フォント識別子保存部156とを備えている。
【0016】
フォームデータ生成部150は、フォーム元データ132(第1の印刷データ)に含まれる第1のフォント情報と対応する識別符号としての識別子(文字列)を、フォームデータに関連するフォント識別情報としての所定の文字列を付加した識別子(文字列)に置換し、フォームデータとして出力する。
データ入出力部151は、メモリ130に記憶されたフォーム元データ132を読み込み、また生成したフォームデータ133をメモリ130に記憶し、保存するものである。
【0017】
解析部としての言語解析部152は、ページ記述言語で記述された第1の印刷データを解析するものであり、データ入出力部151でメモリ130から読み込んだフォーム元データ132をページ記述言語の構文規則に従って解析し、命令(以下、「コマンド」という。)を解釈するものである。
コマンド判断部としてのコマンド種別判断部153は、言語解析部152で構文解析したフォーム元データの個々のコマンド種別、各コマンドに対して削除または加工の要否を判断するものである。
【0018】
削除対象コマンドリスト154は、フォーム元データ132からフォームデータ133を生成する際に削除対象となるコマンド(例えば、描画コマンド以外のコマンド)のデータを記憶するものである。
フォント識別子判断部155は、フォント登録を指示するコマンドに付与されている識別子情報をフォント識別子保存部156に記憶し、また書体指定のコマンドに付与されている識別子情報が既にフォント識別子保存部156に記憶されているかを判断するものである。
【0019】
識別符号保存部としてのフォント識別子保存部156は、コマンド種別判断部153が判別したコマンドのうち、フォント登録を指示するフォント登録コマンドに付与されている識別子情報(識別符号)を記憶し、保存、保持するものである。
このように構成されたフォームデータ生成部150は、フォント識別子保存部156に保存された識別子情報(識別符号)に基づいて、コマンド種別判断部153が判別したフォント登録コマンドに付与されている識別子情報(識別符号)と、フォント登録コマンドに対する書体指定コマンドの識別子情報(識別符号)とを書き換える。
【0020】
また、画像処理装置100は、制御手段および演算手段としてCPU(Central Processing Unit)等の制御部を備え、その制御部がメモリ130に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて装置全体の動作を制御する。
画像形成装置200は、画像処理装置100から受信したフォームデータおよび印刷データに基づいてフォームデータと印刷データとを重ね合わせて媒体に印刷するプリンタ等であり、通信部210と、メモリ220と、画像データ出力部230と、印刷部240とを備えている。
【0021】
通信部210は、通信回線を介して画像処理装置100との間でデータの送受信を行うものであり、画像処理装置100から印刷データおよびフォームデータ等のデータの受信や画像処理装置100へ装置状態等のデータを送信するものである。
記憶部としてのメモリ220は、画像処理装置100から受信した印刷データおよびフォームデータ等のデータを含め、画像形成装置200の動作に必要なデータも記憶し、保持するものである。このメモリ220は、画像処理装置100から受信した印刷データ(第2の印刷データ)を記憶する印刷データ記憶部221および画像処理装置100から受信したフォームデータを記憶するフォームデータ記憶部222を備えている。
【0022】
画像データ出力部230は、メモリ220の印刷データ記憶部221に記憶された印刷データと、メモリ220のフォームデータ記憶部222に記憶されたフォームデータとを重ね合わせて合成した画像データを生成し、出力するものであり、フォームデータに含まれるフォント識別情報と関連付けられた第1のフォント情報と、印刷データ(第2の印刷データ)に含まれる第2のフォント情報とを解析して合成画像データを生成し、出力するものである。
印刷部240は、画像データ出力部230から出力された合成画像データを記録媒体に印刷するものである。
【0023】
このように構成された画像形成装置200は、制御手段および演算手段としてCPU等の制御部を備え、その制御部がメモリ220に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて装置全体の動作を制御する。
図2は第1の実施例における印刷データとフォームデータとを重ね合わせた印刷結果の説明図であり、
図1に示す画像処理装置100で生成した印刷データとフォームデータとを画像形成装置200で印刷した印刷結果の例である。なお、
図2(a)は1ページ目の印刷結果を示し、
図2(b)は2ページ目の印刷結果を示している。
【0024】
図2において、2種類の書体を使用してテキスト印刷する1ページ目の印刷データ21に、印刷データ21とは異なる書体で文字列「AAA Corp」を印刷するフォームデータ22を重ね合わせて印刷を行うと、印刷データ21とフォームデータ22が重ね合わされた印刷結果23になる。
また、同様に、2種類の書体を使用してテキスト印刷する2ページ目の印刷データ24に、印刷データ24とは異なる書体で文字列「AAA Corp」を印刷するフォームデータ22を重ね合わせて印刷を行うと、印刷データ24とフォームデータ22が重ね合わされた印刷結果25になる。
【0025】
次に、
図2におけるフォームデータ22の元となるページ記述言語データを
図3の第1の実施例におけるフォーム元データの説明図を用いて説明する。
図3において、フォーム元データ30は、
図1に示すプリンタドライバ110が生成するフォーム元データ132に相当するものであり、
図2に示すフォームデータ22の元となるページ記述言語データである。
【0026】
フォーム元データ30は、1ページの開始を示すコマンドである「ページの開始」31と、用紙のサイズを指定するコマンドである「用紙サイズ」32と、文字列“Font1”を識別子とするコマンドである「フォント登録データ」33と、印刷座標(例えば、X座標=4000、Y座標=5000)を指定するコマンドである「座標指定」34と、文字列“Font1”を識別子として書体や文字サイズを指定するコマンドである「書体指定」35と、印刷文字を文字コードで指定するコマンドである「テキスト印刷データ」36と、1ページの終了を示すコマンドである「ページ終了」37とにより構成されている情報である。
【0027】
ここで、「フォント登録データ」コマンドは、識別子(文字列)毎に、座標点情報やビットマップ等のフォント(文字)データを
図1に示す画像形成装置200に登録するためのコマンドである。
また、「書体指定」コマンドは、識別子(文字列)で識別される「フォント登録データ」コマンドで登録されたフォント(文字)データを指定するコマンドであり、そのフォント(文字)データを使用して後続する「テキスト印刷データ」を印刷させるためのものである。
【0028】
なお、本実施例では、識別子を文字列として説明するが、それに限られることなく、「フォント登録データ」コマンドで登録するフォント(文字)データを識別することができる情報であれば、数値等の識別子情報であっても良い。
次に、
図2におけるフォームデータ22のページ記述言語データを
図4の第1の実施例におけるフォームデータの説明図を用いて説明する。
図4において、フォームデータ40は、
図1に示すフォームデータ生成部150が生成するフォームデータ133に相当するものであり、
図2に示すフォームデータ22のページ記述言語データである。
【0029】
フォームデータ40は、「フォント登録データ」33aと、「座標指定」34aと、「書体指定」35aと、「テキスト印刷データ」36aとからなり、フォーム元データ30から「ページの開始」31、「用紙サイズ」32、および「ページ終了」37を削除して描画データのみを残し、また「フォント登録データ」33および「書体指定」35の識別子を変更したものとしている。
「フォント登録データ」33aは、
図3に示すフォーム元データ30の「フォント登録データ」33の識別子である文字列“Font1”に文字列“_FORM”を付加した文字列“Font1_FORM”を識別子としたコマンドである。
【0030】
「書体指定」35aは、
図3に示すフォーム元データ30の「書体指定」35の識別子である文字列“Font1”に文字列“_FORM”を付加した文字列“Font1_FORM”を識別子としたコマンドである。
「座標指定」34aは、
図3に示すフォーム元データ30の「座標指定」34と同じコマンドであり、「テキスト印刷データ」36aは
図3に示すフォーム元データ30の「テキスト印刷データ」36と同じコマンドである。
【0031】
次に、
図2における印刷データ21および印刷データ24のページ記述言語データを
図5の第1の実施例における印刷データの説明図を用いて説明する。
図5において、印刷データ50は、
図1に示す画像処理装置100のプリンタドライバ110が生成した印刷データであり、
図2に示す1ページ目の印刷データ21および2ページ目の印刷データ24のページ記述言語データである。
【0032】
印刷データ50は、まず、1ページの開始を示すコマンドである「ページの開始」51と、用紙のサイズを指定するコマンドである「用紙サイズ」52と、文字列“Font1”を識別子とするコマンドである「フォント登録データ」53と、文字列“Font2”を識別子とするコマンドである「フォント登録データ」54と、印刷座標(例えば、X座標=200、Y座標=500)を指定する「座標指定」55と、書体や文字サイズを識別子“Font1”で指定するコマンドである「書体指定」56と、印刷文字を文字コードで指定するコマンドである「テキスト印刷データ」57と、印刷座標(例えば、X座標=200、Y座標=700)を指定するコマンドである「座標指定」58と、書体や文字サイズを識別子“Font2”で指定するコマンドである「書体指定」59と、印刷文字を文字コードで指定するコマンドである「テキスト印刷データ」60と、フォームデータとの重ね合わせの実行を指示するコマンドである「フォームデータの実行」61と、1ページの終了を示すコマンドである「ページ終了」62とから構成されている。
【0033】
1ページの終了を示す「ページ終了」62に続いて、印刷データ50は、2ページの開始を示すコマンドである「ページの開始」63と、印刷座標(例えば、X座標=200、Y座標=500)を指定するコマンドである「座標指定」64と、書体や文字サイズを識別子“Font1”で指定するコマンドである「書体指定」65と、印刷文字を文字コードで指定するコマンドである「テキスト印刷データ」66と、印刷座標(例えば、X座標=200、Y座標=700)を指定するコマンドである「座標指定」67と、書体や文字サイズを識別子“Font2”で指定するコマンドである「書体指定」68と、印刷文字を文字コードで指定するコマンドである「テキスト印刷データ」69と、フォームデータとの重ね合わせの実行を指示するコマンドである「フォームデータの実行」70と、2ページの終了を示すコマンドである「ページ終了」71とから構成されている。
【0034】
このように、
図2に示す1ページ目の印刷データ21および2ページ目の印刷データ24のページ記述言語データである印刷データ50は、1ページの開始を示す「ページの開始」51から2ページの終了を示す「ページ終了」71までのページ記述言語データで構成されている。
本実施例では、
図1に示す画像処理装置100のプリンタドライバ110が生成する、
図3に示すフォーム元データ30(第1の印刷データ)に含まれる第1のフォント情報としての「フォント登録データ」33、および
図5に示す印刷データ50(第2の印刷データ)に含まれる第2のフォント情報としての「フォント登録データ」53は、異なる書体情報で同一の識別符号としての識別子文字列“Font1”が付与されている。
【0035】
上述した構成の作用について説明する。
画像処理装置が行うフォームデータ登録処理を
図6の第1の実施例におけるフォームデータ登録処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1を参照しながら説明する。
画像処理システム300の利用者は、画像処理装置100において、画像形成装置200に登録するフォームデータの生成を指示する入力操作を行い、画像処理装置100の操作表示部120はその入力操作を受付けてフォームデータ登録処理を開始する。なお、画像処理装置100のプリンタドライバ110は、操作表示部120で受付けた入力操作に従ってメモリ130にフォーム元データ132を生成するものとする。
【0036】
S1:画像処理装置100のフォームデータ生成部150は、フォント登録データで使用する識別子の消去を含め、各変数を初期化する初期化処理を行う。
S2:フォームデータ生成部150のデータ入出力部151は、メモリ130に記憶されているフォーム元データ132およびフォームデータ133の読み書きの準備処理(オープン処理)を行う。
【0037】
S3:言語解析部152は、データ入出力部151を介してフォーム元データ132を読み込む。
S4:言語解析部152は、読み込んだフォーム元データ132が終了したか否かを判定し、終了したと判定すると処理をS14へ移行し、終了していないと判定すると処理をS5へ移行する。
【0038】
S5:読み込んだフォーム元データ132の内容はページ記述言語であるため、言語解析部152は、ページ記述言語の構文仕様に基づいて解析する。
S6:言語解析部152は、読み込んだフォーム元データ132に基づき、1つの命令を構成するデータとして1つのコマンドが成立するか否かを判定し、成立しないと判定すると処理をS3へ移行して1つのコマンドとして成立するまでフォーム元データ132を読み込むものとし、成立すると判定するとそのコマンドを処理するため処理をS7へ移行する。
【0039】
S7:1つのコマンドとして成立すると判定した言語解析部152は、そのコマンドの情報をコマンド種別判断部153へ通知し、当該コマンドがフォームデータとして不要なコマンドであるか否かの判定を依頼する。
言語解析部152から依頼を受けたコマンド種別判断部153は、通知されたコマンドの情報と、削除対象コマンドリスト154に記憶されているコマンドの情報(例えば、削除コマンドA、削除コマンドB、削除コマンドC)とを比較し、一致する場合、当該コマンドは受け捨て対象のコマンドであると判定し、処理をS3へ移行する。
【0040】
次に、コマンド種別判断部153は、当該コマンドが受け捨て対象のコマンドでないと判定すると、当該コマンドが登録するフォントまたは登録したフォントを識別するための識別子(文字列)を含むコマンドであるか否か、すなわちフォント登録データまたは書体指定であるか否かを判定し、該コマンドが識別子(文字列)を含むコマンドであると判定すると処理をS8へ移行し、該コマンドが識別子(文字列)を含むコマンドでないと判定すると処理をS13へ移行する。
【0041】
S8:コマンド種別判断部153が受け捨て対象のコマンドなく、かつ識別子(文字列)を含むコマンドであると判定すると、言語解析部152は、当該コマンドが「フォント登録データ」コマンドまたは「書体指定」コマンドかを判定し、「フォント登録データ」コマンドと判定すると処理をS9へ移行し、「書体指定」コマンドと判定すると処理をS11へ移行する。
S9:「フォント登録データ」コマンドと判定した言語解析部152は、「フォント登録データ」コマンドに含まれている識別子(文字列)をフォント識別子判断部155へ通知し、フォント識別子判断部155は通知された識別子(文字列)をフォント識別子保存部156に保存する。
【0042】
S10:言語解析部152は、「フォント登録データ」コマンドに含まれている識別子(文字列)の終端に所定の文字列を追加(付与)し、処理をS13へ移行する。
本実施例では、
図3に示すように、フォーム元データ30のフォント登録データ33の識別子としてのID文字列が“Font1”の場合、識別子(文字列)“Font1”をそのままフォント識別子保存部156に保存し、
図4に示すように、フォームデータ40のフォント登録データ33aの識別子としてのID文字列は、所定の文字列“_FORM”を付与した“Font1_FORM”としている。
【0043】
S11:S8において、「書体指定」コマンドと判定した言語解析部152は、「書体指定」コマンドに含まれている識別子(文字列)をフォント識別子判断部155へ通知し、フォント識別子判断部155は通知された識別子(文字列)に基づいてフォント識別子保存部156を検索し、通知された識別子(文字列)と同一の文字列がフォント識別子保存部156に存在するか否かを判定する。
フォント識別子判断部155は、通知された識別子(文字列)と同一の文字列がフォント識別子保存部156に存在すると判定すると、処理をS12へ移行し、存在しないと判定すると処理をS13へ移行する。
【0044】
S12:フォント識別子判断部155が通知された識別子(文字列)と同一の文字列がフォント識別子保存部156に存在すると判定すると、その識別子(文字列)は「フォント登録データ」コマンドの処理時に所定の文字列が付与され、識別子(文字列)が書き換えられたものであるため、言語解析部152は、「書体指定」コマンドに含まれている識別子(文字列)の終端に所定の文字列、すなわち「フォント登録データ」コマンドの処理時に付与された所定の文字列と同一の文字列を追加(付与)し、処理をS13へ移行する。
【0045】
本実施例では、
図3に示すように、フォーム元データ30の書体指定35の識別子としてのID文字列が“Font1”の場合、
図4に示すように、フォームデータ40の書体指定35aの識別子としてのID文字列は、所定の文字列“_FORM”を付与した“Font1_FORM”としている。
【0046】
なお、S11において、フォント識別子判断部155が通知された識別子(文字列)と同一の文字列がフォント識別子保存部156に存在しないと判定すると、その識別子(文字列)は「フォント登録データ」コマンドの処理時に所定の文字列が付与されていないため、言語解析部152は、「書体指定」コマンドに含まれている識別子(文字列)をそのままとし、処理をS13へ移行する。
【0047】
S13:言語解析部152は、S10またはS12において、所定の文字列を追加した識別子(文字列)とした「フォント登録データ」コマンドまたは「書体指定」コマンドをフォームデータ133に出力し、メモリ130に記憶し、処理をS3へ移行する。
なお、S11において、フォント識別子判断部155が通知された識別子(文字列)と同一の文字列がフォント識別子保存部156に存在しないと判定した場合、言語解析部152は、「書体指定」コマンドに含まれている識別子(文字列)をそのままとし、「書体指定」コマンドをフォームデータ133に出力し、メモリ130に記憶し、処理をS3へ移行する。
【0048】
S14:上述したS3〜S13のコマンド解析処理、コマンド判定処理、識別子の加工要否判定処理、識別子の加工処理等の各処理を繰り返して行い、S4において、言語解析部152が読み込んだフォーム元データ132が終了したと判定すると、データ入出力部151は、メモリ130に記憶されているフォーム元データ132およびフォームデータ133の後処理(クローズ処理)を行う。
S15:画像処理装置100は、通信部140を介してメモリ130に記憶されているフォームデータ133を画像形成装置200へ送信して本処理を終了する。
【0049】
次に、画像形成装置が行う印刷処理を
図7の第1の実施例における印刷処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1を参照しながら説明する。
S21:画像形成装置200の通信部210は、画像処理装置100からフォームデータ生成部150で生成されたフォームデータ133を受信し、メモリ220のフォームデータ記憶部222に記憶する。本実施例では、画像形成装置200の通信部210は、
図4に示すフォームデータ40を受信するものとする。
【0050】
S22:画像形成装置200の通信部210は、画像処理装置100からプリンタドライバ110で生成された印刷データを受信し、メモリ220の印刷データ記憶部221に記憶する。本実施例では、画像形成装置200の通信部210は、
図5に示す印刷データ50を受信するものとする。
S23:画像データ出力部230は、メモリ220の印刷データ記憶部221に記憶された印刷データと、メモリ220のフォームデータ記憶部222に記憶されたフォームデータとを重ね合わせた画像データを生成し、出力する。
【0051】
本実施例において、画像データ出力部230は、メモリ220の印刷データ記憶部221に記憶された
図5に示す印刷データ50を解析、編集し、画像データを生成し、出力する。
画像データ出力部230は、印刷データ50の「ページの開始」51から「ページの終了」62を解析、編集し、1ページ目の画像データを生成する。このとき、画像データ出力部230は、文字列“Font1”を識別子とする「フォント登録データ」53を処理した後、「フォームデータの実行」61を処理することになり、その「フォームデータの実行」61において
図4に示すフォームデータ40を処理する。
【0052】
フォームデータ40の「フォント登録データ」33aは、
図3に示すフォーム元データ30の「フォント登録データ」33の識別子である文字列“Font1”に文字列“_FORM”を付加した文字列“Font1_FORM”を識別子としているため、印刷データ50の「フォント登録データ」53の識別子である文字列“Font1”とは異なり、同一の識別子で「フォント登録データ」の処理が行われることはなく、それぞれ独立した処理が行われる。
【0053】
続いて、画像データ出力部230は、印刷データ50の「ページの開始」63から「ページの終了」71を解析、編集し、2ページ目の画像データを生成する。このとき、画像データ出力部230は、文字列“Font1”を識別子とする「書体指定」65を処理した後、「フォームデータの実行」70を処理することになり、その「フォームデータの実行」70において
図4に示すフォームデータ40を処理する。
【0054】
フォームデータ40の「書体指定」35aは、
図3に示すフォーム元データ30の「書体指定」35の識別子である文字列“Font1”に文字列“_FORM”を付加した文字列“Font1_FORM”を識別子としているため、印刷データ50の「フォント登録データ」53の識別子である文字列“Font1”とは異なり、同一の識別子で「書体指定」の処理が行われることはなく、それぞれ独立した処理が行われる。
S24:印刷部240は、画像データ出力部230から出力された印刷データとフォームデータとを重ね合わせた画像データを記録媒体に印刷し、本処理を終了する。
【0055】
本実施例では、
図2に示すように、2種類の書体を使用してテキスト印刷する1ページ目の印刷データ21に、印刷データ21とは異なる書体で文字列「AAA Corp」を印刷するフォームデータ22を重ね合わせて印刷を行うと、印刷データ21とフォームデータ22が重ね合わされた印刷結果23になる。
また、同様に、2種類の書体を使用してテキスト印刷する2ページ目の印刷データ24に、印刷データ24とは異なる書体で文字列「AAA Corp」を印刷するフォームデータ22を重ね合わせて印刷を行うと、印刷データ24とフォームデータ22が重ね合わされた印刷結果25になる。
【0056】
ここで、比較例について説明する。
図10は比較例におけるフォームデータの説明図、
図11は比較例における印刷データとフォームデータとを重ね合わせた印刷結果の説明図であり、
図11におけるフォームデータ92のページ記述言語データを、
図10を用いて説明する。なお、
図11における1ページ目の印刷データ91および2ページ目の印刷データ94のページ記述言語データは
図5に示す印刷データ50である。
図10において、フォームデータ80は、画像処理装置のフォームデータ生成部が生成するフォームデータに相当するものであり、
図11に示すフォームデータ92のページ記述言語データである。
【0057】
フォームデータ80は、「フォント登録データ」33bと、「座標指定」34bと、「書体指定」35bと、「テキスト印刷データ」36bとからなり、
図3に示すフォーム元データ30から「ページの開始」31、「用紙サイズ」32、および「ページ終了」37を削除し、「フォント登録データ」33、「座標指定」34、「書体指定」35、および「テキスト印刷データ」36の描画データのみを残したものとしている。
「フォント登録データ」33bおよび「書体指定」35bの識別子としての文字列は、フォームデータ30の「フォント登録データ」33および「書体指定」35で使用されている識別子は文字列“Font1”のままである。
【0058】
したがって、画像形成装置200がフォームデータ80の「フォント登録データ」33bの処理を行うとき、既に
図5に示す印刷データ50の「フォント登録データ」53で使用されている識別子“Font1”のフォント登録データを消去し、新たにフォームデータ80の「フォント登録データ」33bに基づいて識別子“Font1”としてフォント登録データを保存する。
その結果、
図5に示す印刷データ50の識別子“Font1”を含む「書体指定」56、および「テキスト印刷データ」57で指示された2ページ目の印刷データ95では、「AAA Corp」の文字列95aはフォームデータ80の「フォント登録データ」33bに基づいて登録されたフォント登録データの書体を使用して印刷してしまう。
【0059】
本実施例では、
図4に示すフォームデータ40の「フォント登録データ」33aおよび「書体指定」35aは、
図3に示すフォーム元データ30の「フォント登録データ」33および「書体指定」35の識別子である文字列“Font1”に文字列“_FORM”を付加した文字列“Font1_FORM”を識別子としているため、画像形成装置200は、
図5に示す印刷データ50の「フォント登録データ」53の識別子である文字列“Font1”とは異なる文字列“Font1_FORM”を識別子とした「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの処理を行う。その結果、印刷データの2ページ目以降でも必ず指定した書体で印刷できるようになる。
【0060】
このように、画像処理装置100は、画像形成装置200に登録するフォームデータを作成する際に、そのフォームデータに含まれる「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)に所定の識別子(文字列)を付加するようにしたことにより、印刷データの「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)と、フォームデータの「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)とが異なる識別子(文字列)になるため、印刷データの2ページ目以降でも必ず指定した書体で正しく印刷できるようになる。
【0061】
以上説明したように、第1の実施例では、フォームデータに含まれる「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)に所定の識別子(文字列)を付加するようにしたことにより、フォント登録データを含む印刷データおよびフォームデータを重ね合わせて印刷するとき、指定した書体で印刷できるようになるという効果が得られる。
【実施例2】
【0062】
第1の実施例では、印刷データから1つのフォームデータを実行する例で説明したが、第2の実施例では、印刷データから複数のフォームデータを実行する例としてフォームデータから更に別のフォームデータを実行(フォームデータのネスト)する例を説明する。
なお、第2の実施例の構成は、上述した第1の実施例と同様なので同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
また、本実施例では、印刷データやフォームデータに含まれる「フォームデータの実行」コマンドは、実行すべきフォームデータを識別するためのフォームデータ名等の識別情報を含んでいるものとし、複数のフォームデータの中から実行すべきフォームデータを指定することができるようになっている。
第2の実施例の作用について説明する。
画像処理装置が行うフォームデータ登録処理を
図8の第2の実施例におけるフォームデータ登録処理の流れを示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って
図1を参照しながら説明する。
【0064】
画像処理システム300の利用者は、画像処理装置100において、画像形成装置200に登録するフォームデータの生成を指示する入力操作を行い、画像処理装置100の操作表示部120はその入力操作を受付けてフォームデータ登録処理を開始する。なお、画像処理装置100のプリンタドライバ110は、操作表示部120で受付けた入力操作に従ってメモリ130にフォーム元データ132を生成するものとする。
S101〜S106:
図6におけるS1〜S6と同様の処理なのでその説明を省略する。
【0065】
S107:1つのコマンドとして成立すると判定した言語解析部152は、そのコマンドの情報をコマンド種別判断部153へ通知し、当該コマンドがフォームデータとして不要なコマンドであるか否かの判定を依頼する。
言語解析部152から依頼を受けたコマンド種別判断部153は、通知されたコマンドの情報と、削除対象コマンドリスト154に記憶されているコマンドの情報(例えば、削除コマンドA、削除コマンドB、削除コマンドC)とを比較し、一致する場合、当該コマンドは受け捨て対象のコマンドであると判定し、処理をS103へ移行する。
【0066】
次に、コマンド種別判断部153は、当該コマンドが受け捨て対象のコマンドでないと判定すると、当該コマンドが登録するフォントまたは登録したフォントを識別するための識別子(文字列)を含むコマンドであるか否か、すなわちフォント登録データまたは書体指定であるか否かを判定し、該コマンドが識別子(文字列)を含むコマンドであると判定すると処理をS108へ移行し、該コマンドが識別子(文字列)を含むコマンドでないと判定すると処理をS114へ移行する。
【0067】
S108〜S113:
図6におけるS8〜S13と同様の処理なのでその説明を省略する。
S114:コマンド種別判断部153は、当該コマンドがフォーム実行コマンドであるか否かを判定し、フォーム実行コマンドであると判定すると処理をS115へ移行し、フォーム実行コマンドでないと判定すると処理をS113へ移行する。
【0068】
S115:フォーム実行コマンドであると判定したコマンド種別判断部153は、フォームデータ133内にフォーム実行コマンドが存在することを表す情報、すなわち本フォームデータは、さらに他のフォームデータを実行する旨の情報をメモリ130に記憶し、処理をS113へ移行する。
【0069】
S116:上述したS103〜S115のコマンド解析処理、コマンド判定処理、識別子の加工要否判定処理、識別子の加工処理、フォーム実行コマンドの有無判定等の各処理を繰り返して行い、S104において、言語解析部152が読み込んだフォーム元データ132が終了したと判定すると、言語解析部152は、メモリ130に「フォームデータ133内にフォーム実行コマンドが存在することを表す情報(S115において、記憶した情報)」が記憶されているか否かを判定し、記憶されていると判定すると処理をS117へ移行し、記憶されていないと判定すると処理をS118へ移行する。
【0070】
S117:メモリ130に「フォームデータ133内にフォーム実行コマンドが存在することを表す情報」が記憶されていると判定した言語解析部152は、当該フォームデータ133内に存在する「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドに含まれている識別子(文字列)の終端に所定の文字列を追加(付与)し、処理をS118へ移行する。
【0071】
本実施例では、
図9に示すように、フォーム元データ30のフォント登録データ33の識別子としてのID文字列が“Font1”の場合、S110またはS112において、フォームデータ60のフォント登録データ63aおよび書体指定65aの識別子としてのID文字列は、所定の文字列“_FORM”を付与した“Font1_FORM”となっているため、付与した所定の文字列“_FORM”に替えて別の所定の文字列“_NEST”を付与した“Font1_NEST”としている。
【0072】
なお、本実施例では、所定の文字列“_NEST”を付与するものとして説明したが、それに限られることなく、複数のフォームデータの実行ができるように、各フォームデータに付与されているフォームデータ名や各フォームデータ登録時に付与されたユニークな番号等の各フォームデータを識別するための識別子情報を含むように、フォント識別情報としてのID文字列に付与するようにしても良い。
【0073】
S118:データ入出力部151は、メモリ130に記憶されているフォーム元データ132およびフォームデータ133の後処理としてのファイルクローズ処理を行う。
S119:画像処理装置100は、通信部140を介してメモリ130に記憶されているフォームデータ133を画像形成装置200へ送信して本処理を終了する。
なお、画像形成装置が行う印刷処理は第1の実施例と同様であるのでその説明を省略する。
【0074】
本実施例では、フォームデータから別の1つのフォームデータを実行する例として説明したが、1つのフォームデータから別の複数のフォームデータを実行する場合や第1フォームデータから第2フォームデータを実行し、さらに第2フォームデータから第3フォームデータを実行する等の複数階層のフォームデータを実行する場合も同様である。なお、このとき、各フォームデータを識別するための識別子情報を識別子としての文字列に付与するものとする。
【0075】
このように、画像処理装置100は、画像形成装置200に登録するフォームデータを作成する際に、そのフォームデータに「フォームデータの実行」コマンドが含まれている場合、「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)に各フォームデータを識別するための識別子情報を付加するようにしたことにより、印刷データの「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)と、それぞれのフォームデータの「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)とが異なる識別子(文字列)になるため、印刷データから複数のフォームデータを実行する場合であっても、印刷データの2ページ目以降でも必ず指定した書体で正しく印刷できるようになる。
【0076】
以上説明したように、第2の実施例では、フォームデータに「フォームデータの実行」コマンドが含まれている場合、「フォント登録データ」コマンドおよび「書体指定」コマンドの識別子(文字列)に各フォームデータを識別するための識別子情報を付加するようにしたことにより、印刷データから複数のフォームデータを実行する場合であっても、フォント登録データを含む印刷データおよびフォームデータを重ね合わせて印刷するとき、指定した書体で印刷できるようになるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、フォーム印刷機能を有する複写機、ファクシミリ装置または複合機等であっても良い。