(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139317
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】冷却および潤滑のためのノズル、装置および方法
(51)【国際特許分類】
F16N 7/32 20060101AFI20170522BHJP
B05B 7/02 20060101ALI20170522BHJP
F16N 7/38 20060101ALI20170522BHJP
B23Q 11/10 20060101ALN20170522BHJP
【FI】
F16N7/32 Z
B05B7/02
F16N7/38 A
F16N7/38 Z
!B23Q11/10 F
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-155350(P2013-155350)
(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-88955(P2014-88955A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】2,784,109
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】CA
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513190092
【氏名又は名称】ネックス・フロー・エア・プロダクツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】レスリー・フランク・ラプチャク
【審査官】
上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−144377(JP,A)
【文献】
特開昭59−029893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 7/32
B05B 7/02
F16N 7/38
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却潤滑剤を分配するための装置であって、
冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物を分配するためのノズルと、
潤滑剤の供給源と流体連通する内部潤滑剤管であって、サイフォン作用を介して潤滑剤を前記ノズルへ運ぶ内部潤滑剤管と、
前記内部潤滑剤管を囲んで冷却圧縮ガスの供給源と流体連通する導管であって、冷却圧縮ガスを前記ノズルへ運ぶ導管とを備え、
前記ノズルが、
前記導管から冷却圧縮ガスを受け入れるためのノズル・ガス穴と、
前記内部潤滑剤管から潤滑剤を受け入れるためのノズル潤滑剤穴と、
冷却圧縮ガスと潤滑剤との前記混合物を製造するために前記ノズル潤滑剤穴が前記ノズル・ガス穴と接合する接合部と、
冷却圧縮ガスと潤滑剤との前記混合物が分配される開口部とを含み、
前記ノズル・ガス穴および前記ノズル潤滑剤穴が平行であり、前記ノズル・ガス穴の中心および前記ノズル潤滑剤穴の中心が互いからオフセットされ、前記ノズル潤滑剤穴と前記ノズル・ガス穴との間の部分的な重複によって前記接合部が形成され、
使用時に、前記冷却潤滑剤が前記冷却圧縮ガスによって前記接合部へ吸い上げられる、冷却潤滑剤を分配するための装置。
【請求項2】
前記導管の直径が前記ノズル・ガス穴の直径よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導管の直径が前記ノズル・ガス穴の直径よりも2から4.5倍大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ノズル・ガス穴の直径が前記内部潤滑剤管の内径の90%から110%の間である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記冷却圧縮ガスの供給源が渦管である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記冷却圧縮ガスが少なくとも空気、窒素、ヘリウム、およびアルゴンのうちの一つである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ノズルへの潤滑剤の流れを調整するための、前記潤滑剤の供給源と前記内部潤滑剤管とに流体連通する弁と、
前記潤滑剤の供給源と前記内部潤滑剤管とに流体連通する弁体潤滑剤穴を有する弁体であって、前記弁が前記弁体潤滑剤穴に配置される、弁体と、
を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記弁体が前記冷却圧縮ガスの供給源と前記導管とに流通連通する弁体ガス穴を更に備え、
前記弁体潤滑剤穴の直径が、前記弁体ガス穴の直径の90%から110%の間である、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
冷却潤滑剤を分配するためのノズルであって、
冷却圧縮ガスの供給源から冷却圧縮ガスを受け入れるためのノズル・ガス穴と、
冷却潤滑剤の供給源から冷却潤滑剤を受け入れるためのノズル潤滑剤穴と、
冷却圧縮ガスと冷却潤滑剤との混合物を製造するために前記ノズル潤滑剤穴が前記ノズル・ガス穴と接合する接合部と、
冷却圧縮ガスと冷却潤滑剤との前記混合物が分配される開口部とを備え、
前記ノズル・ガス穴および前記ノズル潤滑剤穴が平行であり、前記ノズル・ガス穴の中心および前記ノズル潤滑剤穴の中心が互いからオフセットされ、前記ノズル潤滑剤穴と前記ノズル・ガス穴との間の部分的な重複によって前記接合部が形成され、
使用時に、前記冷却潤滑剤が前記冷却圧縮ガスによって前記接合部へ吸い上げられる、冷却潤滑剤を分配するためのノズル。
【請求項10】
前記ノズル・ガス穴の直径が内部潤滑剤管の内径の90%から110%の間である、請求項9に記載のノズル。
【請求項11】
前記冷却潤滑剤の供給源が、前記冷却圧縮ガスの供給源と流体連通する導管によって囲まれた内部潤滑剤管である、請求項9に記載のノズル。
【請求項12】
前記導管の直径が前記ノズル・ガス穴の直径よりも大きい、請求項11に記載のノズル。
【請求項13】
前記導管の直径が前記ノズル・ガス穴の直径よりも2から4.5倍大きい、請求項12に記載のノズル。
【請求項14】
前記内部潤滑剤管の外径が最大でも前記導管の内径の半分である、請求項11に記載のノズル。
【請求項15】
前記冷却圧縮ガスの供給源が渦管である、請求項9に記載のノズル。
【請求項16】
ノズルを通って冷却潤滑剤を分配するための方法であって、
内部潤滑剤管を通じて潤滑剤を前記ノズルに供給するステップと、
前記内部潤滑剤管を囲む導管を通じて冷却圧縮ガスを前記ノズルに供給するステップと、
前記導管からの前記冷却圧縮ガスを前記ノズル内のノズル・ガス穴に送入するステップと、
前記内部潤滑剤管からの潤滑剤を前記ノズル内のノズル潤滑剤穴に送入するステップと、
前記ノズル潤滑剤穴と前記ノズル・ガス穴との間の接合部において、前記冷却圧縮ガスおよび潤滑剤を混ぜ合わせるステップであって、前記ノズル・ガス穴および前記ノズル潤滑剤穴が平行であり、前記ノズル・ガス穴の中心および前記ノズル潤滑剤穴の中心が互いからオフセットされ、前記ノズル潤滑剤穴と前記ノズル・ガス穴との間の部分的な重複によって前記接合部が形成され、前記冷却圧縮ガスによって前記潤滑剤が前記接合部へ吸い上げられるステップと、
冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物を前記ノズル内の開口部から分配するステップと
を備える、ノズルを通って冷却潤滑剤を分配するための方法。
【請求項17】
前記導管の直径が前記ノズル・ガス穴の直径よりも2から4.5倍大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ノズル・ガス穴の直径が前記内部潤滑剤管の内径の90%から110%の間である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面を冷却および潤滑する分野に関する。より詳細には、本発明は、例えば渦管によって冷却される圧縮ガスのような冷却圧縮ガスを使用して冷却潤滑剤を表面に塗布するための方法、装置、およびノズルを対象にする。
【背景技術】
【0002】
長年にわたって、潤滑剤を表面にスプレーするために圧縮空気が利用されてきた。潤滑剤または油を吹き付けるために圧縮空気を取り入れたシステムは、従来技術として知られている。例えば、Auto Research Corporationは、特許文献1および特許文献2において、空気/液体混合物を分配するための潤滑剤または冷却剤分配システムを開示した。The Ruthman Machinery Companyは、特許文献3において、分配される冷却剤の量を調節するための方法を発表した。
【0003】
潤滑剤スプレー・システムに導入されてきた改善点は、加熱された表面上にスプレーされる潤滑剤の量を制限するために潤滑剤を冷却する機構である。Eaton Yale & Towne Inc.の特許文献4は、流体を加速し潤滑剤を吸引するための渦室を開示している。特許文献5には、潤滑剤と混ざる気流を冷却するために渦管が組み込まれている。
【0004】
Linkによる特許文献6には、空気/潤滑剤混合物を製造するためのマルチプル・ミキサー・ヘッドが開示されている。Lubrication Systems Company of Texas,Inc.による特許文献7は、二者択一的に作動および停止させられるマルチプル油貯蔵タンクおよびマルチプル霧発生器を取り入れている。このシステムはまた、加圧空気と結合させられる前に油を加熱するヒーター・マニホールドも取り入れている。
【0005】
Dropsa S.p.A.による特許文献8には、潤滑剤貯蔵タンクと潤滑剤をモジュラー要素に供給するポンプとを取り入れた潤滑装置が開示されている。この装置はまた、潤滑剤が混ぜ合わされる圧縮空気を冷却するために、渦管も取り入れている。
【0006】
最後に、http://www.magugliani.it/lubrorefrigerazione.htmというURLにあるウェブサイトには、渦管と潤滑剤をシステムに導入する潤滑剤ポンプとを取り入れた潤滑剤システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第920,761号明細書
【特許文献2】米国特許第3,106,346号明細書
【特許文献3】米国特許第3,759,449号明細書
【特許文献4】米国特許第3,515,676号明細書
【特許文献5】米国特許第4,919,232号明細書
【特許文献6】米国特許第5,226,506号明細書
【特許文献7】米国特許第6,290,024号明細書
【特許文献8】米国特許出願第2011/0120803号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、潤滑剤を表面に塗布するためのシステムは、従来技術として知られている。一般にそのようなシステムは、圧縮空気に潤滑剤を混ぜ合わせ、それによって表面上に塗布するための潤滑剤を霧化する。しばしばそのような表面は熱いことがあるので、その表面を冷却するためにも潤滑剤が塗布される。もし潤滑剤が冷却されていれば、必要な潤滑剤は少量ですむため、圧縮空気を冷却するために渦管を取り入れることが知られている。
【0009】
従来技術のシステムの多くは、潤滑剤をシステムに導入するための潤滑剤ポンプを採用している。そのようなポンプは、これらの設備の複雑性、コスト、およびエネルギー消費を増加させる。代わりに、潤滑剤が絶え間なく供給されるよう潤滑剤貯蔵タンクが塗布装置の上に置かれてもよい。このような重力供給式のシステムは、条件が許す場合にのみ設置できる。また、潤滑剤の供給は流体の粘度および潤滑剤供給ラインの大きさによって制限される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、当該技術分野において、様々な設備において費用効率の良い方法で作動できる、簡易化された安価な潤滑システムを提供する必要性がある。本発明は、渦管により生成される冷却圧縮空気によって生じるサイフォン作用に頼ることで、この必要性を満たす。
【0011】
本発明の一態様において、冷却潤滑剤を分配するための装置が提供される。この装置は、冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物を分配するためのノズルを含む。内部潤滑剤管は、サイフォン作用によって、潤滑剤を潤滑剤の供給源からノズルまで運ぶ。導管は内部潤滑剤管を囲んでおり、冷却圧縮ガスを冷却圧縮ガスの供給源からノズルまで運ぶ。ノズルは、導管から圧縮ガスを受け入れるためのノズル・ガス穴と、内部潤滑剤管から潤滑剤を受け入れるためのノズル潤滑剤穴とを含む。これらの穴は接合部で交わり、ここで冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物が製造される。そしてこの混合物は、ノズルの開口部を通じて、好ましくは冷却潤滑剤の霧状ミストとして分配される。
【0012】
本発明の更なる態様は、冷却潤滑剤を分配するためのノズルを含む。ノズルは、冷却圧縮ガスを受け入れるためのノズル・ガス穴と、冷却潤滑剤を受け入れるためのノズル潤滑穴とを含む。これらの穴は接合部で交わり、ここで冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物が製造される。そしてこの混合物は、ノズルの開口部を通じて、好ましくは冷却潤滑剤の霧状ミストとして分配される。
【0013】
本発明の更なる態様においては、ノズルを通って冷却潤滑剤を分配するための方法が提供される。この方法の最初のステップは、内部潤滑剤管を通じて潤滑剤をノズルに供給することを含む。冷却圧縮ガスもまた、内部潤滑剤管を囲む導管を通じてノズルに供給される。導管からの冷却圧縮ガスはノズル内のノズル・ガス穴に送入され、潤滑剤はノズル内のノズル潤滑剤穴に送入される。冷却圧縮ガスによって潤滑剤が接合部に吸い上げられるように、これらの穴の間の接合部において、冷却圧縮ガスおよび潤滑剤が混ぜ合わされる。そして、冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物は、好ましくは冷却潤滑剤の細かな霧状ミストとして、ノズル内の開口部から分配される。
【0014】
本発明の典型的な実施形態が、下記の図面を参照して説明される。異なる図面における同一の参照番号は、同一の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】内部構成要素が破線で示された、本発明の一実施形態による潤滑装置の透視図である。
【
図2A】
図1で示す実施形態のハウジング部の平面2Aによる断面図である。
【
図2B】
図2Aの断面図に垂直な、
図1で示す実施形態のハウジング部の平面2Bによる断面図である。
【
図2C】
図1で示す実施形態のハウジング部の上面図である。
【
図2D】
図1で示す実施形態のハウジング部の下面図である。
【
図3A】部分切り欠きであって、破線がノズルの内部構成要素を表す、
図1で示す実施形態のノズル部および内部潤滑剤管の側面図である。
【
図3B】
図1で示す実施形態のノズル部の後面図である。
【
図3C】破線がノズルの内部構成要素を表す、
図1で示す実施形態のノズル部の平面図である。
【
図4】破線がノズルの内部構成要素を表す、
図3Aと同様の平面上の本発明の他の実施形態のノズル部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の好適な実施形態による潤滑装置100の例が
図1に示されている。下記に更に詳細に述べられるように、潤滑装置は導管140に接続された弁体120からなっており、導管140はその反対でノズル150に接続されている。内部潤滑剤管142(
図3A参照)がまた導管140の内部に配置され、弁体120からノズル150へと延びる。
図1に示す実施形態において、潤滑剤は潤滑剤供給ライン130から供給され、冷却圧縮ガスは渦管110によって供給される。潤滑剤は、潤滑剤供給ライン130から弁体120を経由して、内部潤滑剤管142に接続された潤滑剤出口137およびその先のノズル150へ移動する。冷却圧縮ガスは、渦管110から弁体120および導管140を経由してノズル150へ移動する。導管140が内部潤滑剤管142を囲んでいるため、潤滑剤が内部潤滑剤管142に沿って進むにつれて冷却圧縮ガスが潤滑剤を冷却する。潤滑剤および冷却圧縮ガスはノズル150で混ぜ合わされ、冷却潤滑剤スプレー液154として分配される。ノズル150におけるサイフォン作用が、供給ライン130から内部潤滑剤管142を経由して潤滑剤を引き上げる。
【0017】
冷却圧縮ガスの供給が渦管110によって
図1に示す潤滑装置100にもたらされる。他の実施形態においては、冷却圧縮ガスが、圧力下の予冷ガス・ライン、冷蔵加圧シリンダー、または他の適切な種類の冷蔵もしくは冷却システムによって潤滑装置100にもたらされる。
図1に見られるように、圧縮ガス・ライン104は接続金具106を介して渦管110に接続される。様々な種類の渦管110が市販されている。本実施形態において、渦管110は、固定式高温末端プラグが取り付けられたNex Flow Air Products Corporation(トロント、オンタリオ州、カナダ)によるFRIGID−X
TM Vortex Tube Mini Coolerである。他の様々なブランド、型、および容量の渦管も、冷却圧縮空気を潤滑装置100に供給するために使用でき、これには渦管110の高温端部の接触を防ぐための高温ガス出口112における保護スリーブなどの、追加部品を含むタイプも含まれる。圧縮ガス・ライン104からの圧縮ガスは渦管110に流れ込み、渦管110によって圧縮高温ガス流と圧縮低温ガス流とに分けられる。高温ガス流114が高温ガス出口112から放出される一方で、低温ガス流は低温ガス出口116から渦管110を出る。ある実施形態においては、渦管110の高温末端プラグを調整すること、または別の「発生器」を使用することで、ガス流の温度および容積を変更できる。
図1に示す実施形態において、圧縮空気の消費を制限し、内部潤滑剤管142の内部での潤滑剤の凍結を避けるために、渦管110の高温末端プラグおよび発生器は50psigと定められる。高い圧力はエネルギー消費を増加させ、内部潤滑剤管142内での潤滑剤の凍結防止をより困難にすることがある。無調整式の渦管110もまた、使用中に、供給される低温圧縮ガスの温度および体積の不測の変化に対して特別な保護をもたらす。
【0018】
図1で示す潤滑装置100で使用される圧縮ガスは、圧縮空気である。特定の用途に応じて、他のガスが使用されてもよい。例えば、ある実施形態においては、窒素、ヘリウム、アルゴン、またはこれらの組み合わせのような不活性ガスが、酸素または他の化学反応性の高いガスを実質的に含まない冷却潤滑剤混合物をもたらすために使用されてもよい。圧縮空気と他のガスとの混合物も使用できる。圧縮空気は最も費用効率が高いので、多くの用途において好ましいガスである。
【0019】
図1に示す潤滑装置100において使用される潤滑剤は、水性である。特定の用途に応じて、他の潤滑剤も使用されてもよい。例えば、ある実施形態においては、様々な天然および合成油が潤滑剤として使用可能である。他の実施形態では、潤滑剤を提供するために水溶性ポリマーが使用される。費用が特に重要である更に他の実施形態においては、潤滑剤は水である可能性がある。様々な他の適切な潤滑剤が従来技術として知られている。水溶性の潤滑剤は、ゲル化または潤滑装置100の目詰まりを防ぐ傾向があるので、多くの用途において好ましい。
【0020】
図1に示す潤滑装置100において、圧縮冷却ガスはガス入口122から弁体120へ流れ込む。
図2Aから2Dにおいて見られるように、ガス入口122は、圧縮冷却ガスをガス入口122から弁体120を通り弁体出口124の内部に収納されたガス出口125に運ぶ弁体ガス穴123と流体連通している。
図1で見られるように、ガス出口125から出るガスが、弁体出口124を経由して導管140に流れ込み、ノズル150に向かって運ばれるように、弁体出口124は適切な接続金具126を介して導管140に接続される。
【0021】
他の実施形態において、弁体120を介した導管140へのガスの流れを調整するために、ガス弁(図示せず)が弁体ガス穴123に設置される。更に他の実施形態において、圧縮冷却ガスは、弁体120を全く通ることなく、渦管110(または他の供給源)によって直接導管140に供給される。
【0022】
潤滑剤は、潤滑剤供給ライン130によって、
図1に示す潤滑装置100に供給される。本実施形態において、潤滑剤供給ライン130は、1/8″の内径および1/4″の外径を有する透明のPVC管でできている。他の実施形態では、潤滑剤は貯蔵タンクから直接供給される。潤滑剤供給ライン130は、適切な接続金具132を介して弁体120の潤滑剤入口134に接続される。
図2Aから2Dに見られるように、潤滑剤は弁体潤滑剤穴136を通って、潤滑剤入口134から弁体出口124の内部に収納された潤滑剤出口137へ移動する。内部潤滑剤管142は潤滑剤出口137に接続され、ノズル150との流体連通をもたらす。
【0023】
図1に示す潤滑装置100において、弁体120を通る潤滑剤の流れを調節するために、弁138が弁体潤滑剤穴136に配置される。本実施形態において、弁138は、調節ノブ139を回転させることによって弁体潤滑剤穴136内に差し込んだりまたは引き抜いたりできる真ちゅうのネジである。これによって、潤滑剤の流れが100%から0%および様々なその中間点に調節される。遮断弁または潤滑剤を短く断続的に放出する弁などの他の任意の流体調整装置を含む、その他の種類の弁も使用されてもよい。他の更なる実施形態において、弁138は、弁体120の外部にあってもよいし、または潤滑剤供給ライン130に位置していてもよい。
【0024】
ある実施形態において、弁体120は全く存在せず、潤滑剤は潤滑剤供給ライン130(または他の供給源)から内部潤滑剤管142に直接移動する。
図1および
図2Aから
図2Dで示す潤滑装置100において、弁体120は、1″×1″×2″の固体アルミニウム塊から圧延されたものである。例えば真ちゅう、ステンレス鋼、様々なプラスチック、鋳鉄、他の種類のアルミニウム、または液体もしくは気体の処理に適した他の任意の材料のような、当技術分野で周知の様々な他の材料が、
図2Aから2Dにおける弁体120と同様の構造および機能を有する弁体120を製造するために使われてもよい。この実施形態において、ガス入口122は1/4″−18NPT(アメリカテーパ管用ネジ)雌型コネクターであり、弁体出口124は3/8″−18NPT雌型コネクターであり、潤滑剤入口134は返し型接続金具132と結合し、弁体ガス穴123の直径は0.185″であり、弁体潤滑剤穴136の直径は0.185″である。他の様々な寸法が使用できるが、弁体ガス穴123および弁体潤滑剤穴136がほぼ同じ直径(すなわち、互いの10%以内)であることが好ましい。更に好ましい実施形態では、弁体ガス穴123および弁体潤滑剤穴136の直径が全く同じである。
【0025】
弁体出口124において、導管140が適切な接続金具126によって弁体120に接続される。
図1で示す実施形態において、潤滑剤を塗布中の工具または他の表面の近くにノズル150が配置されてとどまることができるように、好適には導管140は可撓性を有する。
図1で示す実施形態において、導管140は、0.5″の公称内径および0.840″から0.985″までの外径を有する可撓性導管を提供する、複数の連結からなるLOC−LINE
TMホース(Lockwood Products、レイク・オスウィーゴ、オレゴン州、米国)である。好適には、導管140の内径は、内部潤滑剤管142の外径の少なくとも2倍である。
【0026】
非接合管または形状が維持できないため配置されるにはクリップや他の固定手段を必要とする可撓性管を含む適切な導管140を製造するために、他の様々なタイプの管が使用できる。特にノズル150の位置が変えられる可能性の低い用途においては、導管140を製造するために剛性管も使用できる。導管140はまた、用途によってさまざまな長さに製造できる。
【0027】
図1に示す潤滑装置100において、導管140は、弁体出口124内のガス出口125から冷却圧縮ガスを受け入れ、ノズル150へと冷却圧縮ガスを運ぶ。他の実施形態では、導管140は、弁体120ではなく冷却圧縮ガスの供給源に直接接続される。
【0028】
内部潤滑剤管142は導管140の内部に位置し、弁体出口124内の潤滑剤出口137とノズル150との間の流体連通をもたらす。好適には、内部潤滑剤管142に対する損傷を避けるため、内部潤滑剤管142は少なくとも導管140と同じくらい可撓性がある。内部潤滑剤管142は、使用中に取り外されないように、好適には永久的または半永久的な方法で潤滑剤出口137に取り付けられる。
図1に示す潤滑装置100において、内部潤滑剤管142は、0.125″の内径および0.1875″の外径を有する透明のPVC管でできている。この実施形態において、内部潤滑剤管142の一方の端部が潤滑剤出口137の適所に接着剤を使用して保持され、他方の端部がノズル潤滑剤穴157内に挿入される。好適には、内部潤滑剤管142の外径は、導管140の内径の少なくとも半分である。ゴム、ラテックス、コイル状金属管、または他の種類のプラスチックのような他の適切な材料も使用されてよい。
【0029】
図1に示す潤滑装置100において、内部潤滑剤管142は、弁体出口124内の潤滑剤出口137から潤滑剤を受け入れ、ノズル150へと潤滑剤を運ぶ。導管140の内部の内部潤滑剤管142の周囲の冷却ガスの流れは、潤滑剤がノズル150に運ばれるにつれて潤滑剤を冷却させるように働く。潤滑剤のそうした冷却は、潤滑剤を凍結させるほどに強いものでなければ、潤滑剤の塗布場所における熱を放散するために有益である。
【0030】
ノズル150は接続金具144を介して導管140に接続している。
図3Aから3Cに見られるように、ノズル150は、導管140と内部潤滑剤管142とを受け止めるノズル入口158を備える。導管140内の冷却圧縮ガスはノズル・ガス穴156を通ってノズル150に流れ込み、開口部152から出る。内部潤滑剤管142内の潤滑剤は、接合部159においてノズル・ガス穴156と接合するノズル潤滑剤穴157からノズル150に流れ込む。冷却圧縮ガスと冷却潤滑剤は接合部159において混ざり、この混合物がノズル150の開口部152から分配される。
【0031】
図3Aから3Cに示す実施形態において、ノズル・ガス穴156は、直径が約0.120″の円筒穴であって、開口部152に通じている。この実施形態において、ノズル潤滑剤穴157は、直径が約0.185″および深さが約0.3″であって、ノズル・ガス穴156と実質的に平行な円筒穴である。この実施形態において、ノズル・ガス穴156およびノズル潤滑剤穴157の中心は、約0.130″だけ互いにオフセットされ、その結果として穴が平行に重なり合う。他の実施形態では、ノズル・ガス穴156およびノズル潤滑剤穴157の両方が、非円筒穴または様々な寸法の穴であってもよい。
【0032】
図3Aから3Cに示す実施形態において、ノズル潤滑剤穴157は、ノズル潤滑剤穴157に挿入される内部潤滑剤管142を受け止めるのに十分な直径を有する。ノズル・ガス穴156および内部潤滑剤管142の内径が大体同じ直径(すなわち、互いの10%以内)であることが好ましい。更に、ガスの速度を接合部159に近づくにつれて上げるために、ノズル・ガス穴156は導管140よりも少なくとも2倍小さいことが好ましく、これがサイフォン作用を高める。より好適には、ノズル・ガス穴156は導管140よりも3から4.5倍小さい。
【0033】
図3Aから3Cに示す実施形態において、ノズル・ガス穴156およびノズル潤滑剤穴157は実質的に平行であり、該穴の間の重複によって形成される接合部159において交わる。
図4に示す実施形態において、ノズル・ガス穴256およびノズル潤滑剤穴257が交わり、接合部259が鋭角βで形成される。好しくは、角度βは5°から35°の間であり、より好ましくは10°から20°の間であり、最も好ましくは12°である。更に他の実施形態においては、ノズル・ガス穴256とノズル潤滑剤穴257との間の接合部259は直角に形成される。
【0034】
接合部159を通過する冷却圧縮ガスの動きが、内部潤滑剤管142の潤滑剤を引き上げて接合部159の中へ入れるサイフォン効果を引き起こす。ノズル潤滑剤穴157と潤滑剤供給ライン130(または他の潤滑剤の供給源)との間の流体連通が、潤滑剤の接続部159への連続供給を確実にする。こうしてサイフォン作用は、複雑または高価なポンプに対する必要性を解消し、そしてこれが潤滑装置100の製造コストを減少させ、機械の故障に関する更なる事項を解消する。
【0035】
接合部159において製造された冷却圧縮ガスと潤滑剤との混合物は、ノズル150の開口部152から冷却潤滑剤スプレー液154として排出される。好適には、結果として生じる冷却潤滑剤スプレー液154は霧状ミストである。そのような霧状ミストは、より均一に潤滑部位に付着する。霧状ミストはまた、摩擦力の結果としてしばしば高温となる潤滑部位と冷却潤滑剤との間の熱交換のためのより大きな表面積をもたらす。
【0036】
上述したように、多数の接続金具106、118、126、132、144が、
図1に示す潤滑装置100、渦管110、圧縮ガス・ライン104、および潤滑剤供給ライン130に関連して使用されている。場合によっては、これらの接続金具は、ガスまたは潤滑剤に適したどのような種類であってもよい。返し型管コネクターだけでなく、雄−雄NPTおよびNOT接続金具を含むこのような多数の接続金具が、当技術分野において周知である。他の実施形態において、これらの接続金具によってなされる接続は直接行われる可能性があるので、その結果として一つ以上の接続金具が完全に排除される。したがって、様々な適切な接続金具が使用できること、およびそれらの有無は任意であることを当業者は理解するであろう。
【0037】
稼働中に、冷却圧縮ガスの供給源が潤滑装置100に提供される。ある実施形態において、冷却圧縮ガスの供給源は、渦管110に接続された圧縮ガス・ライン104である。冷却圧縮ガスは、冷却圧縮ガスをノズル150に運ぶ可撓性導管140に流れ込む。ある実施形態において、冷却圧縮ガスは、導管140に達する前に弁体120内の弁体ガス穴123を通過する。ノズル150では、導管140より好適には2から3.5倍小さいノズル・ガス穴156に冷却圧縮ガスが流れ込む。
【0038】
潤滑剤の供給源もまた潤滑装置100に提供される。ある実施形態において、潤滑剤の供給源は、潤滑剤貯蔵タンク(図示せず)に接続された潤滑剤供給ライン130である。潤滑剤は、ノズル150に潤滑剤を運ぶ導管の内部の内部潤滑剤管142に流れ込む。ある実施形態において、潤滑剤の流れは、内部潤滑剤管142に達する前に、弁体120内の弁体潤滑剤穴136にある弁138によって調整される。導管140を通過する冷却圧縮空気は、内部潤滑剤管142内の潤滑剤を該潤滑剤がノズル150に運ばれるにつれて冷却する。ノズル150では、接合部159においてノズル・ガス穴156と接合するノズル潤滑剤穴157に潤滑剤が流れ込む。
【0039】
接合部159では、内部潤滑剤管142の潤滑剤を引き上げてノズル・ガス穴156を通過中の冷却圧縮ガスの流れの中へ入れるサイフォン作用が引き起こされる。冷却圧縮空気と潤滑剤との混合物が、ノズル150の開口部152から冷却潤滑剤スプレー液154として分配される。潤滑装置100はこれによって費用効率がよく確実な方法で冷却潤滑剤を潤滑部位に分配し、その結果として高価なポンプに対する必要性を解消し、ユニットの信頼性を増加させる。
【0040】
本発明は、該発明の様々な態様の好ましい実施形態を通して説明がなされてきたことがわかるであろう。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲を含むこの特許明細書に定義されたように該発明の範囲内に全体として依然とどまりつつも、ここに詳細に記載された実施形態から容易に逸脱してもよいことが理解されるであろう。ここで説明された要素の構造的または機能的相当物およびここに記載されたいかなる方向性の参照文献、寸法、または構造からの逸脱も本発明の範囲内と考えられることも、さらに理解されるであろう。
【符号の説明】
【0041】
100 潤滑装置
104 圧縮ガス・ライン
106 接続金具
110 渦管
112 高温ガス出口
114 高温ガス流
116 低温ガス出口
118 接続金具
120 弁体
122 ガス入口
123 弁体ガス穴
124 弁体出口
125 ガス出口
126 接続金具
130 潤滑剤供給ライン
132 接続金具
134 潤滑剤入口
136 弁体潤滑剤穴
137 潤滑剤出口
138 弁
139 調節ノブ
140 導管
142 内部潤滑剤管
144 接続金具
150 ノズル
152 開口部
154 冷却潤滑剤スプレー液
156 ノズル・ガス穴
157 ノズル潤滑剤穴
158 ノズル入口
159 接合部
256 ノズル・ガス穴
257 ノズル潤滑剤穴
259 接合部