【実施例】
【0010】
以下、本発明を適用したアウタモール締結構造の実施例について説明する。
実施例のアウタモール締結構造は、例えば、キャビン左右にフロントドア及びリアドアを有する4枚ドアの乗用車のリアドアに設けられるものである。
図1は、実施例のアウタモール締結構造を有する車両用ドアの外観斜視図である。
図2は、
図1のII部矢視外観斜視図である。
図3は、
図1のIII−III部矢視断面図である。
図4は、
図3のIV−IV部矢視図である。
ドア100は、例えば、左側のリアドアである。
ドア100は、本体部110、サッシュ部120、ウインドウ部130、アウタモール140、スクリュ150等を有して構成されている。
【0011】
ドア100は、図示しないキャビン側部における後半部に設けられたリアドア開口に開閉可能に設けられている。
ドア100は、本体部110の前端部を図示しないヒンジによって車体のBピラーに揺動可能に連結される。
本体部110の後端部には、車体に設けられたストライカ部と係合する図示しないラッチ手段が設けられている。
【0012】
図3に示すように、本体部110は、例えば鋼板をプレス加工した複数のパネルを重ね合わせ、ヘミング加工やスポット溶接によって接合して構成されている。
本体部110の後部は、車幅方向外側から、アウタパネル111、インナパネル112、リンホースメント113、リンホースメント114等を順次配置して構成されている。
アウタパネル111は、車両外板の一部を構成する外装部材である。
インナパネル112は、アウタパネル111の車幅方向内側に配置され、ドアガラス昇降機構や内装トリム、ドアインナハンドル等が取り付けられる基部となる部材である。
リンホースメント113は、本体部110の後端部近傍において、インナパネル112の車幅方向内側に添付された補剛用のパネルである。
リンホースメント114は、リンホースメント113の車幅方向内側にさらに添付された補剛用のパネルである。
【0013】
アウタパネル112、及び、リンホースメント113には、アウタモール140のエンドキャップ141が挿入され収容される開口112a、113aがそれぞれ形成されている。
リンホースメント114には、エンドキャップ141の締結に用いられる開口114a、及び、後述するリブ144が挿入される溝部114bが形成されている。
これらについては後に詳しく説明する。
【0014】
サッシュ部120は、本体部110から上方に突出して設けられた枠状の部分であって、図示しないドアガラスを上昇させた際にその前端部、後端部、上端部を保持するものである。
ウインドウ部130は、サッシュ部120及び本体部110の上端部(窓肩部)によって囲まれた実質的に矩形の領域であって、図示しない昇降可能なドアガラスによって閉塞される。
【0015】
アウタモール140は、本体部110のアウタパネル111の上端部に沿って配置された部材である。
アウタモール140は、板金製の芯材を有し、ドアガラス表面に沿って流下する水等が本体部110の内部に侵入することを防止する図示しないウェザーストリップを有するとともに、ドアガラスの昇降を案内するガラスランとしても機能する。
また、アウタモール140は、塗装等の表面処理が施され、車両外観意匠の一部を構成する装飾部材としても機能する。
アウタモール140は、車両の前後方向にほぼ沿って延在するとともに、その後端部近傍の領域は、後方側が高くなるように傾斜して配置されている。
【0016】
アウタモール140の後端部には、エンドキャップ141が圧入されている。
エンドキャップ141は、例えば、樹脂系材料をインジェクション成形して形成されている。
エンドキャップ141の内部には、プレート状の金属板の中央部に開口を形成し、メネジ加工したナット142が、インサート成形によって配置されている。
ナット142は、ネジ部の中心軸が、車幅方向に略沿って配置されている。
エンドキャップ141には、ナット142へのスクリュ150の挿入を許容する開口143、及び、以下説明するリブ144が一体に形成されている。
【0017】
リブ144は、エンドキャップ141がリンホースメント114と当接する面部(車幅方向内側の面部)から、車幅方向内側に突出して形成されている。
図2乃至
図4に示すように、リブ144は、ナット142の中心軸に対して車両前方に配置され、かつ、車両前後方向に延在して配置されている。
【0018】
図4に示すように、リンホースメント114の開口114aは、ナット142の中心軸と実質的に同心の円形に形成されている。
溝部114bは、開口114aの外周縁部における車両前方側の一部から、車両前方側に張り出して形成されたスリット状の切欠き部である。
このような構成によって、開口114a及び溝部114bは、全体としては鍵穴状に形成されている。
溝部114bには、エンドキャップ141のリブ144が挿入される。
【0019】
スクリュ150は、ナット142に挿入されてエンドキャップ141をリンホースメント114に締結するオネジ部を有する例えば丸頭のビスである。
本実施例のアウタモール締結構造においては、アウタモール140のエンドキャップ141を、リブ144が溝部114bに挿入されるようにして位置決めしつつドア100の本体部110に組み付け、車幅方向内側からスクリュ150をナット142に挿入してアウタモール140の締結を行う。
【0020】
以上説明した実施例によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)ナット142の中心軸からリブ144までの距離A(
図4参照)を短縮することができ、これらの間隔のばらつきを抑制することができる。
このようにばらつきを抑制したため、リブ144と溝部114bとの隙間Bを小さくしても組み付けが困難となることがなく、アウタモール140の位置決め精度を向上して浮き防止効果を向上することができる。
また、溝部114b及びリブ144をナット142及びスクリュ150に隣接させてコンパクトに配置することが可能となり、エンドキャップ141をコンパクトに構成することができる。
(2)リブ144及び溝部114bをナット142及びスクリュ150の中心軸に対し車両前方(アウタモール140の長手方向)に配置したことによって、エンドキャップ141をアウタモール140の幅方向(上下方向)に肥大化させることなくリブ144を設けることが可能となり、エンドキャップ141をさらにコンパクトにすることができる。
【0021】
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
アウタモール締結構造を構成する各部材の形状、構造、材質、製法、数量等は、実施例の構成に限らず適宜変更することができる。
例えば、実施例ではリブはナット及びスクリュに対して車両前方側に配置されているが、車両後方側や、上方、下方、斜め方向等に配置されてもよい。また、複数箇所にこのような突出部を設けてもよい。
また、実施例は、例えば、4ドア車のリアドアにアウタモールを締結しているが、フロントドアや、2ドア車のドアアウタモールにも本発明は適用可能である。