(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態の基本構成)
図1は、第1実施形態における光源駆動装置1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、光源駆動装置1は、直流電源Vdcと、電解コンデンサC0と、光源20と、光源20に並列に接続された平滑用コンデンサC1と、互いに磁気結合された第1のコイルL1と第2のコイルL2とを備えるトランスT1と、第1のスイッチング素子Q1と、ダイオードD1と、電流検出抵抗Rsとを含んで構成される。第1のコイルL1と第2のコイルL2とは、互いに逆向きに巻かれている。光源駆動装置1は更に、帰還回路2と、ツェナーダイオードZD1と、スイッチ回路3とを含んで構成される。光源駆動装置1は、バックコンバータ方式であり、入力電圧よりも低い平均出力電圧を生成する。
【0011】
電解コンデンサC0は、直流電源Vdcの正極と負極との間に接続される。電解コンデンサC0は、直流電源Vdcのスイッチングノイズを低減して、その電圧を安定化するものである。
光源20と平滑用コンデンサC1とは並列接続されて、その一端が直流電源Vdcの正極に接続され、その他端がトランスT1の第1のコイルL1に接続される。光源20は、直流電源Vdcの正極に接続され、直流電源Vdcの正極側から第1のコイルL1の方向に所定の定電流を通電することにより発光するLEDである。平滑用コンデンサC1は、光源20の両端電圧を平滑化するものである。
【0012】
トランスT1は、第1のコイルL1が直流電源Vdcから供給される電流によって励磁される。第1のコイルL1は、その一端が光源20と平滑用コンデンサC1の並列接続の他端に接続され、その他端が第1のスイッチング素子Q1のドレインに接続される。
第1のスイッチング素子Q1は、例えばFET(Field Effect Transistor)であり、ソースが電流検出抵抗Rsを介してグランドに接続され、ゲート(制御端子)がトランスT1の第2のコイルL2の一端に接続される。第1のスイッチング素子Q1は、トランスT1の第1のコイルL1に電流を流すか否かを切り替える。電流検出抵抗Rsは、光源20および第1のコイルL1に流れる電流を、電圧値として検出する。
ダイオードD1は、トランスT1の第1のコイルL1と第1のスイッチング素子Q1のドレインとの接続ノードから、直流電源Vdcの正極への方向に順方向接続されている。ダイオードD1は、第1のスイッチング素子Q1がオフのときに、トランスT1の第1のコイルL1に蓄積されたエネルギを回生した回生電流を流すものである。
【0013】
帰還回路2は、抵抗素子R1とコンデンサC2とが直列接続されるバイアス設定回路と、トランスT1の第2のコイルL2とを含んで構成される。帰還回路2は、第1のスイッチング素子Q1がオンして直流電源Vdcから光源20・第1のコイルL1・第1のスイッチング素子Q1・電流検出抵抗Rsの経路で電流が流れている間、第2のコイルL2に誘起される正電圧を第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に帰還して、第1のスイッチング素子Q1のオン動作を持続させる。
抵抗素子R1とコンデンサC2との直列接続であるバイアス設定回路は、直流電源Vdcの正極と負極との間に接続される。第2のコイルL2の他端は、バイアス設定回路を構成する抵抗素子R1とコンデンサC2との接続ノードに接続され、更にツェナーダイオードZD1のカソードが接続されている。
ツェナーダイオードZD1は、第2のコイルL2の他端とグランドとの間に接続されている。ツェナーダイオードZD1は、直流電源Vdcがオフするとき、第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧がゲートソース電圧を超えないようにクランプするものである。通常の動作状態において、ツェナーダイオードZD1に電流は流れない。電源電圧が、ゲートソース電圧よりも低い場合、このツェナーダイオードZD1は不要である。
【0014】
第2のコイルL2の一端は、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)と、スイッチ回路3とに接続されている。これにより、第1のスイッチング素子Q1と第1のコイルL1とによって自励発振を生じさせる正帰還ループが形成される。
【0015】
スイッチ回路3は、基準電圧生成回路4と、コンパレータ5とを含んで構成されている。スイッチ回路3は、電流検出抵抗Rsで検出される電圧値が基準電圧生成回路4で決めた所定値を超えると第1のスイッチング素子Q1をオフさせる。
【0016】
基準電圧生成回路4は、電圧源Vccから供給される電圧をもとに基準電圧Vrefを生成するものである。なお、電圧源Vccは、光源駆動装置1内の電源回路として構成するか、または、外部の電圧源として構成し、その供給元の構成は特に限定しない。
コンパレータ5は、反転入力端子が電流検出抵抗Rsに接続され、非反転入力端子が基準電圧生成回路4に接続され、出力端子が第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に接続される。コンパレータ5は、基準電圧生成回路4から出力される基準電圧Vrefと、電流検出抵抗Rsにて検出される電流に基づく電圧値とを比較した比較信号を生成する。コンパレータ5は、この比較信号を第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に出力して、第1のスイッチング素子Q1のオン動作を制御する。そのため、光源駆動装置1は、周囲温度に影響されない安定した所定の定電流を光源20に流すことができる。
【0017】
コンパレータ5を使用することにより、電流検出抵抗Rsで検出した電圧が基準電圧Vrefを超えたとき、速やかに第1のスイッチング素子Q1のゲート電圧をLowレベルとする比較信号を出力する。そのため、光源駆動装置1は、良好なラインレギュレーション(入力電圧に対する出力電流のレギュレーション)が得られる。
すなわち、応答性のよいコンパレータ5と、基準電圧生成回路4により、スイッチ回路3は、第1のスイッチング素子Q1のオンを、対環境(温度、電圧変動など)に対して安定に実行することができる。これにより、光源駆動装置1は、耐環境に対して安定した所定の定電流を光源20に流すことができる。
【0018】
なお、コンパレータ5は、出力側に電流増幅用のPNP型トランジスタを付加したダーリントン接続としてもよい。これにより、第1のスイッチング素子Q1をオフするとき、第2のコイルL2に蓄積されたエネルギを放出して、第1のスイッチング素子Q1の制御端子をLowレベルに維持するためのシンク電流を更に大きくすることができる。言い換えれば、コンパレータ5は、トランスT1の第2のコイルL2に蓄積されるエネルギの放出能力を高めて、第1のスイッチング素子Q1のオフ動作を安定に制御可能である。
【0019】
以下、光源駆動装置1の動作を説明する。直流電源Vdcがオンすると、光源駆動装置1は、動作を開始する。
動作の初期状態において、バイアス設定回路により、起動電圧が抵抗素子R1と第2のコイルL2を介して第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に印加される。このとき光源20、トランスT1の第1のコイルL1、および電流検出抵抗Rsには電流は流れていないので、コンパレータ5の反転入力端子の電圧は、基準電圧Vref以下となる。これにより、第1のスイッチング素子Q1がオンし、光源20および第1のコイルL1には、オン電流が流れる。
【0020】
光源20およびトランスT1の第1のコイルL1に流れるオン電流は、第1のスイッチング素子Q1のドレイン・ソースを介して電流検出抵抗Rsに流れる。第1のコイルL1に流れる電流により、トランスT1の第2のコイルL2には正の電圧が生じる。この正の電圧は、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に帰還する。これにより、第1のスイッチング素子Q1はオンを持続する。電流検出抵抗Rsには、オン電流に応じた電圧が生じる。
【0021】
スイッチ回路3のコンパレータ5は、電流検出抵抗Rsで検出した電圧と基準電圧生成回路4の基準電圧Vrefとを比較する。電流検出抵抗Rsで検出した電圧が基準電圧Vrefを超えたときに、コンパレータ5は、第1のスイッチング素子Q1のゲートをLowレベルに設定する。これにより、第1のスイッチング素子Q1はオフする。第1のスイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1の第1のコイルL1の回生電流がダイオードD1を介して光源20に流れる。
【0022】
光源20にトランスT1の第1のコイルL1の回生電流が流れている間、トランスT1の第2のコイルL2には負の電圧が生じる。この負の電圧は、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に帰還し、第1のスイッチング素子Q1はオフを持続する。
【0023】
トランスT1の第1のコイルL1の回生電流がゼロになったとき、トランスT1の第2のコイルL2に生じる負の電圧はゼロに減少する。これにより、バイアス設定回路による起動電圧が第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に印加され、第1のスイッチング素子Q1が再びオンする。
以上の第1のスイッチング素子Q1のオンオフの繰り返しにより、光源駆動装置1は、光源20に所定の定電流を流し、かつ自己共振(発振)動作を行うことができる。光源駆動装置1は、共振型(臨界動作)の駆動回路であり、トランスT1の第1のコイルL1の回生電流がゼロとなったとき、第1のスイッチング素子Q1がオフからオンになる。
【0024】
第1実施形態の光源駆動装置1は、少ない部品による回路構成で、ゼロカレントスイッチの共振自励発振型の駆動装置が実現できる。ここでゼロカレントスイッチとは、トランスT1のゼロ電流で第1のスイッチング素子Q1をオンすることである。そのため、光源駆動装置1は、第1のスイッチング素子Q1のスイッチングロスを少なくして、高い効率を得ることができる。その結果、光源駆動装置1は、放熱用のヒートシンクが不要となり、コスト低減および回路の小型化が可能となる。
【0025】
(第1実施形態の第1応用例)
図2は、第1応用例における光源駆動装置1aの回路構成を示すブロック図である。
図2に示すように、第1応用例の光源駆動装置1aは、基本構成の光源駆動装置1に対して、微分回路6と、調光設定回路7とを含んで構成されるスロースタート回路が付加されている。このスロースタート回路は、光源駆動装置1aの直流電源Vdcをオンしたときに、光源20に流れる電流を徐々に増加させて、光源20の光量を徐々に増加させるものである。これにより、光源20の急激な光量変化を防ぎ、人間が目の眩みを起こさないように配慮できる。
【0026】
微分回路6は、コンデンサC3と抵抗素子R2との直列回路であり、直流電源Vdcの正極と負極との間に接続される。直流電源Vdcの正極には、コンデンサC3の一端が接続され、コンデンサC3の他端は抵抗素子R2を介して直流電源Vdcの負極に接続される。コンデンサC3の他端と抵抗素子R2の接続ノードは、後記する調光設定回路7に接続される。微分回路6は、直流電源Vdcが印加する入力電圧を微分した微分電圧Vaを出力するものである。
【0027】
調光設定回路7は、抵抗素子R3,R4を備えている。抵抗素子R4は、電流検出抵抗Rsとコンパレータ5の反転入力端子との間に接続される。抵抗素子R3は、微分回路6のコンデンサC3の他端と、コンパレータ5の反転入力端子との間に接続される。調光設定回路7は、微分回路6から出力される微分電圧Vaを、電流検出抵抗Rsにより検出した電圧に重畳するものである。
【0028】
図3(a)〜(e)は、第1実施形態の第1応用例における光源駆動装置1aのスロースタート動作を説明するタイムチャートである。各図の横軸は、共通する時間を示し、適宜
図2の符号を参照している。
図3(a)は、直流電源Vdcが印加する入力電圧Vi(電源電圧)のタイムチャートである。
図3(b)は、微分回路6から出力される微分電圧Vaのタイムチャートである。
図3(c)は、コンパレータ5の反転入力端子に印加される調光電圧Vbのタイムチャートである。
図3(d)は、光源20に流れる出力電流Ioのタイムチャートである。
図3(e)は、
図3(b)に示す調光電圧VbのタイムチャートのA部の部分拡大図である。
【0029】
時刻t0において、直流電源Vdcがオンして、
図3(a)に示す入力電圧Viが光源駆動装置1aの各部に印加される。このとき、バイアス設定回路である抵抗素子R1とコンデンサC2の直列接続により、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に起動電圧が印加され、第1のスイッチング素子Q1はオン動作可能な待機状態となる。
微分電圧Vaは、調光設定回路7の抵抗素子R3,R4を介してコンパレータ5の反転入力端子に調光電圧Vbとして印加される。
図3(b)に示す微分電圧Vaは、コンデンサC3と抵抗素子R2の接続ノードに生じる電圧であり、直流電源Vdcがオンした直後には直流電源Vdcの印加電圧と等しくなり、時間の経過と共に次第に下降する。微分電圧Vaは、微分回路6から出力され、調光設定回路7の抵抗素子R3を介してコンパレータ5の反転入力端子に調光電圧Vbとして印加される。
図3(c)に示す調光電圧Vbは、微分回路6から出力される微分電圧Vaと電流検出抵抗Rsにより検出した電圧とが重畳される。時刻t0から時刻t1までの間、調光電圧Vbは、基準電圧Vrefよりも高い。
時刻t1以降、調光電圧Vbが基準電圧Vrefよりも低くなると、コンパレータ5の出力電圧はHighレベルとなり、第1のスイッチング素子Q1がオンを開始する。微分電圧Vaの低下に伴い、電流検出抵抗Rsの検出電圧の寄与分が増大する。これによって、
図3(d)に示すように出力電流Ioが次第に増大する。
図3(e)は、
図3(c)のA部の拡大図である。調光電圧Vbが基準電圧Vrefよりも低くなると、第1のスイッチング素子Q1のオンオフにより、基準電圧Vrefをピークとする三角波が発生する。調光電圧Vbが次第に低下して、この三角波の振幅が次第に増大すると共に、
図3(d)に示す出力電流Ioの大きさは、次第に増大する。
以上の動作により、入力電圧Viの投入時にスロースタート起動が可能となる。
このように、第1応用例の光源駆動装置1aは、少ない部品構成でスロースタートを実現できるので、照明装置におけるフェードイン点灯機能が低コストで可能となる。
【0030】
(第1実施形態の第2応用例)
図4は、第2応用例における光源駆動装置1bの回路構成を示すブロック図である。
図4に示すように、第2応用例の光源駆動装置1bは、基本構成の光源駆動装置1に対して、調光設定回路7をさらに備える。
調光設定回路7は、抵抗素子R3,R4を備えている。抵抗素子R4は、電流検出抵抗Rsとコンパレータ5の反転入力端子との間に接続される。抵抗素子R3は、コンパレータ5の反転入力端子とDC調光信号Sdcの入力端子の間に接続される。調光設定回路7は、外部から入力されるDC調光信号Sdcを、電流検出抵抗Rsにより検出した電圧に重畳し、DC調光信号Sdcに応じた光源20のDC調光制御を行うものである。
第2応用例において、電流検出抵抗Rsはグランドに接地されている。そのため、安価な構成でDC調光が可能となる。
【0031】
(第1実施形態の第3応用例)
図5は、第3応用例における光源駆動装置1cの回路構成を示すブロック図である。
図5に示すように、第3応用例の光源駆動装置1cは、基本構成の光源駆動装置1に対して、第2のスイッチング素子Q2を更に備える。
第2のスイッチング素子Q2は、例えばNPN型トランジスタであり、エミッタがグランドに接続され、コレクタがコンパレータ5の出力端子と第1のスイッチング素子Q1のゲートの接続ノードに接続され、ベースに信号Spが入力されている。第2のスイッチング素子Q2は、外部から入力される信号Spに応じて、光源20のPWM(Pulse Width Modulation)調光またはオン/オフ動作を制御するものである。
例えば外部から入力される信号SpがPWM信号の場合、このPWM信号のデューティに応じて、光源20を調光制御することができる。また、信号Spがオン/オフ信号(Lowレベル/Highレベル信号)の場合、光源20のオン/オフを制御することができる。
光源駆動装置1cは、ロウサイドスイッチ型のため、安価な回路構成で、PWM調光またはオン/オフの制御が可能となる。
【0032】
(第2実施形態の基本構成)
図6は、第2実施形態における光源駆動装置1dの構成を示すブロック図である。
図6に示すように、第2実施形態の光源駆動装置1dは、第1実施形態の光源駆動装置1に対して、スイッチ回路3aの構成が異なる。
第2実施形態のスイッチ回路3aは、ダーリントン接続された2個のスイッチング素子Q3,Q4と、サーミスタTHとを備えている。スイッチング素子Q3は、例えばNPN型トランジスタである。スイッチング素子Q4は、例えばPNP型トランジスタである。
スイッチング素子Q3のベースは、電流検出抵抗Rsに接続され、更にサーミスタTHを介してグランドに接続される。すなわち、スイッチング素子Q3のベースは、電流検出抵抗RsとサーミスタTHの並列接続の一端に接続される。
【0033】
サーミスタTHは、温度の上昇に対して抵抗が減少するNTC(negative temperature coefficient)サーミスタである。サーミスタTHは、電流検出抵抗Rsと並列に接続されている。電流検出抵抗RsとサーミスタTHの並列接続は、環境温度が上昇した際に自身のインピーダンスを減少させる。
スイッチング素子Q3のベース−エミッタ間電圧は、約−2[mV/℃]の温度特性を持っている。電流検出抵抗RsとサーミスタTHの並列接続は、環境温度の上昇に伴うベース−エミッタ間電圧の減少に併せて、自身のインピーダンスを減少させる。すなわち、サーミスタTHは、スイッチング素子Q3の温度特性を補償し、スイッチ回路3aのオンの温度特性を均一にする。
これにより、スイッチ回路3aは、周囲温度に影響されずに光源20に流れる電流を、安定に制御できる。このように、光源駆動装置1dは、温度特性が良好なスイッチ回路3aを備えているため、対環境に対して光源20の光量を安定に制御することができる。
【0034】
スイッチング素子Q3のエミッタは接地されている。スイッチング素子Q3のコレクタは、スイッチング素子Q4のベースに接続されている。スイッチング素子Q4のコレクタは接地されており、スイッチング素子Q4のエミッタは、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に接続されている。これにより、スイッチング素子Q3,Q4は、大きな電流増幅率hfeとすることができる。
このように、電流増幅率hfeの大きなダーリントン回路のスイッチ回路3aを用いることにより、第1のスイッチング素子Q1をオフするとき、第2のコイルL2に蓄積されたエネルギを放出し、第1のスイッチング素子Q1の制御端子をLowレベルに維持するためのシンク電流を充分に大きくすることができる。言い換えれば、トランスT1の第2のコイルL2に蓄積されるエネルギの放出能力が高いため、第1のスイッチング素子Q1のオフ動作を安定に制御できる。
【0035】
以下、光源駆動装置1dの動作を説明する。直流電源Vdcがオンすると、光源駆動装置1dは、動作を開始する。
動作の初期状態において、バイアス設定回路により、起動電圧が抵抗素子R1と第2のコイルL2を介して第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に印加される。このとき光源20および電流検出抵抗Rsには電流は流れていないので、スイッチ回路3aのスイッチング素子Q3のベース(制御端子)に印加される電圧は、ベース−エミッタ間電圧(例えば、0.6V)未満である。よって、ダーリントン接続されたスイッチング素子Q3,Q4は、オフする。すなわち、スイッチ回路3aはオフする。これにより、第1のスイッチング素子Q1がオンし、光源20には、オン電流が流れる。
【0036】
光源20に流れるオン電流は、トランスT1の第1のコイルL1から第1のスイッチング素子Q1のドレイン・ソースを介して電流検出抵抗Rsに流れる。トランスT1の第1のコイルL1に流れる電流により、トランスT1の第2のコイルL2には正の電圧が生じる。この正の電圧は、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に帰還する。これにより、第1のスイッチング素子Q1はオンを持続する。電流検出抵抗Rsには、オン電流に応じた電圧が生じる。
【0037】
スイッチ回路3aのスイッチング素子Q3は、電流検出抵抗Rsで検出した電圧がベース−エミッタ間電圧を超えたときにオンし、スイッチング素子Q4もオンする。これにより、スイッチ回路3aはオンして、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)をLowレベルに設定する。これにより、第1のスイッチング素子Q1はオフする。
第1のスイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1の第1のコイルL1の回生電流がダイオードD1を介して光源20に流れる。
【0038】
光源20にトランスT1の第1のコイルL1の回生電流が流れている間、トランスT1の第2のコイルL2には負の電圧が生じる。この負の電圧は、第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に帰還し、第1のスイッチング素子Q1はオフを持続する。
【0039】
トランスT1の第1のコイルL1の回生電流がゼロになったとき、トランスT1の第2のコイルL2の負の帰還電圧がゼロに減少する。この結果、バイアス設定回路により、起動電圧が抵抗素子R1と第2のコイルL2を介して第1のスイッチング素子Q1のゲート(制御端子)に印加され、第1のスイッチング素子Q1がオンする。
以上の第1のスイッチング素子Q1のオンオフの繰り返しにより、光源駆動装置1dは、光源20に所定の定電流を流し、かつ自己共振(発振)動作を行うことができる。
【0040】
第2実施形態の光源駆動装置1dも、第1実施形態と同様に、共振型(臨界動作)の駆動回路であり、トランスT1の第1のコイルL1側の回生電流がゼロになったとき、第1のスイッチング素子Q1がオフからオンになる。
その他、第1実施形態と同様な効果を有している。
【0041】
(第2実施形態の各応用例)
図7は、第2実施形態の第1応用例における光源駆動装置1eの回路構成を示すブロック図である。
図7に示すように、第2実施形態の第1応用例の光源駆動装置1eは、第1実施形態の第1応用例の光源駆動装置1a(
図2参照)と同様に、微分回路6と調光設定回路7とを含むスロースタート回路を備え、第1実施形態の第1応用例と同様な効果を有する。
【0042】
図8は、第2実施形態の第2応用例における光源駆動装置1fの回路構成を示すブロック図である。
図8に示すように、第2実施形態の第2応用例の光源駆動装置1fは、第1実施形態の第2応用例の光源駆動装置1b(
図4参照)と同様に、調光設定回路7を備え、第1実施形態の第2応用例と同様な効果を有する。
【0043】
図9は、第2実施形態の第3応用例における光源駆動装置1gの回路構成を示すブロック図である。
図9に示すように、第2実施形態の第3応用例の光源駆動装置1gは、第1実施形態の第3応用例の光源駆動装置1c(
図5参照)と同様に、第2のスイッチング素子Q2を備え、第1実施形態の第3応用例と同様な効果を有する。
【0044】
(第3実施形態の基本構成)
図10は、第3実施形態における光源駆動装置1hの構成を示すブロック図である。
図10に示すように、第3実施形態の光源駆動装置1hは、バックブーストコンバータ方式であり、正の入力電圧から負の出力電圧を生成するものである。
光源20と平滑用コンデンサC1とは並列接続されて、その一端が直流電源Vdcの正極に接続され、その他端がダイオードD2のカソードに接続されている。ダイオードD2のアノードは、トランスT1の第1のコイルL1に接続される。光源20は、ダイオードD2が流す回生電流により発光するものである。光源20は、ダイオードD2のカソードから直流電源Vdcの正極の方向に所定の定電流を通電して発光する。
それ以外は、第1実施形態の光源駆動装置1(
図1参照)と同様に構成されており、第1実施形態の光源駆動装置1と同様の効果を有する。
【0045】
(第4実施形態の基本構成)
図11は、第4実施形態における光源駆動装置1iの構成を示すブロック図である。
図11に示すように、第4実施形態の光源駆動装置1iは、フライバックコンバータ方式(絶縁タイプ)であり、トランスの励磁インダクタに蓄積する磁気エネルギを積極的に利用するものである。
第4実施形態の光源駆動装置1iは、トランスT1の代わりにトランスT2を備え、更にダイオードD3,D4を備えている。
【0046】
トランスT2は、磁気結合された第1のコイルL1、第2のコイルL2、第3のコイルL3とを備えている。第1のコイルL1と第2のコイルL2とは、逆向きに巻かれている。第1のコイルL1と第3のコイルL3とは、同じ向きに巻かれている。トランスT2は、第1のコイルL1が直流電源Vdcから供給される電流によって励磁される。第1のコイルL1は、その一端が直流電源VdcとダイオードD3のカソードに接続され、その他端が第1のスイッチング素子Q1のドレインとダイオードD3のアノードに接続される。ダイオードD3は、第1実施形態のダイオードD1と同様に、第1のコイルL1が蓄えたエネルギを回生電流として流すものである。
【0047】
第2のコイルL2は、第1実施形態と同様に接続される。第3のコイルL3は、その一端がダイオードD4のアノードに接続され、その他端が光源20と平滑用コンデンサC1の並列接続の一端に接続される。ダイオードD4のカソードは、光源20と平滑用コンデンサC1の並列接続の他端に接続される。これにより、トランスT2は、直流電源Vdcと光源20との間を絶縁することができる。
それ以外は、第1実施形態の光源駆動装置1(
図1参照)と同様に構成されており、第1実施形態の光源駆動装置1と同様の効果を有する。
【0048】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能であり、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
(a) 光源20は、直流電源Vdcに接続され、流れる電流に応じて発光する素子であればよく、例えば有機EL(Organic Electro-Luminescence)素子または無機EL(Inorganic Electro-Luminescence)素子であってもよい。
(b) 第3実施形態の光源駆動装置1hは、第1実施形態の第1応用例ないし第3応用例の構成のいずれかを備えてもよい。同様に第4実施形態の光源駆動装置1iは、第1実施形態の第1応用例ないし第3応用例の構成のいずれかを備えてもよい。
(c) 第2実施形態の光源駆動装置1d(
図6参照)は、バックブーストコンバータ方式やフライバックコンバータ方式の構成を備えてもよい。
(c) 第2実施形態のスイッチ回路3aが備えるスイッチング素子の個数は、2個に限定されず、それ以上の個数であってもよい。
(d) 第1のスイッチング素子Q1は、FETに限定されず、バイポーラトランジスタなどであってもよい。