(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記表基板構造部は、前記一面側からのエッチングで薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記薄肉部の最も薄いところの厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上の厚さを有し、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことを特徴とするセンサ装置。
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記接触センシング面となる力伝達部を有しており、
前記表基板構造部の前記他面側において前記力伝達部の真裏に相当する領域には、前記集積回路のアナログ回路が1以上形成され、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことを特徴とするセンサ装置。
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有し、
前記変位電極は、前記表基板構造部の前記他面側において前記表基板構造部の前記他面と平行なトーションバーを揺動軸として揺動可能であり、
さらに、
前記表基板構造部の前記他面には前記接触センシング面とともに変位するロッドが垂下するように設けられ、前記変位電極の一辺はリンクを介して前記ロッドに接続されている
ことを特徴するセンサ装置。
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせ、
前記センシング手段はピエゾ抵抗部であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位するピエゾ抵抗部と、を有し、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、
前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記接触センシング面となる力伝達部と、
前記薄肉部を取り囲むようにしてあり、前記薄肉部よりも厚みを有する支持枠部と、を有しており、
前記ピエゾ抵抗部は、前記表基板構造部の他面において、前記薄肉部と前記力伝達部との境界および前記薄肉部と前記支持枠部との境界の少なくともいずれかに配置されている
ことを特徴とするセンサ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3のごとく半導体基板の側面を経由して半導体基板の裏面にLSI信号線を取り出すことは確かに有効な方法である。しかし、設計、製造上の制約も少なからずあるため、さらなる改良による問題解決が望まれている。また、特許文献4のように、集積回路が外側、圧力検出素子が内側、では、そもそも触覚センサが実現できない。集積回路形成面を直接対象物に接触させて応力を検知しようとすることには、耐久性や検出感度などの点がどうしても無理がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のセンサ装置は、
検出対象と直接に接触する接触センシング面を外部に露出する一面に有するとともに、前記接触センシング面の変化に感応してアナログセンサ信号を出力するセンシング手段を前記接触センシング面とは反対側である他面側に有する表基板構造部と、
前記表基板構造部の前記他面側に配置された裏基板構造部と、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを貼り合わせる接合層と、を備え、
前記表基板構造部の前記他面側には集積回路が組み込まれ、前記集積回路と前記センシング手段との間には絶縁層が介在しており、
裏基板構造部は、当該裏基板構造部の上面と下面との電気的導通をとる貫通電極を有し、
前記接合層は、前記表基板構造部の他面と前記裏基板構造部の前記上面との間に配設され、前記表基板構造部の前記他面と前記裏基板構造部の前記上面とを貼り合わせている
ことを特徴とする。
【0009】
本発明では、
前記集積回路と前記センシング手段との間の絶縁層の厚みはトータルで5μm以上である
ことが好ましい。
【0010】
本発明では、
前記集積回路は複数の入出力端子を有し、
前記表基板構造部の前記他面側には、
前記入出力端子のうちの一以上は前記センシング手段と配線によって電気的導通がとられ、
前記入出力端子のうちの他の一以上は前記裏基板構造部の前記貫通電極と電気的導通がとられ、
前記センシング手段からの前記アナログセンサ信号は前記集積回路で処理された後、前記裏基板構造部の前記貫通電極を介して前記裏基板構造部の下面から出力される
ことが好ましい。
【0011】
本発明では、
前記表基板構造部は、前記一面側からのエッチングで薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記薄肉部の最も薄いところの厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上の厚さを有する
ことが好ましい。
【0012】
本発明では、
前記表基板構造部は、他面側から順にSi、SiO
2、SiであるSOI基板であって、
他面側Si層の厚みは前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記SiO
2層で止まり、
前記薄肉部の厚みは、前記他面側Si層の厚みで決定される
ことが好ましい。
【0013】
本発明では、
前記表基板構造部は、集積回路を形成するためのロードープ層をハイドープP+層にエピタキシャル成長させたエピウェハであり、
前記ハイドープP+層の厚みは、前記集積回路を構成するトランジスタのウェル深さに対して2倍以上であり、
前記一面側からのエッチングが前記ハイドープP+層の境界で止まっている
ことが好ましい。
【0014】
本発明では、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記センシング面となる力伝達部を有しており、
前記表基板構造部の前記他面側において前記力伝達部の真裏に相当する領域には、前記集積回路のアナログ回路が1以上形成されている
ことが好ましい。
【0015】
本発明では、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面に形成され、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有する
ことが好ましい。
【0016】
本発明では、
前記変位電極は、回転対称性を有しつつ、3極、4極、6極または8極に分かれている
ことが好ましい。
【0017】
本発明では、
前記表基板構造部の前記他面には、前記変位電極に加えて、前記接触センシング面が押されても変位しない参照電極が形成されており、
前記集積回路は、前記変位電極と前記固定電極との間の静電容量値と、前記参照電極と前記固定電極との間の静電容量値と、の差を検知する
ことが好ましい。
【0018】
本発明では、
前記センシング手段は静電容量素子であって、
前記表基板構造部の前記他面側に配設、前記接触センシング面が押された際に共に変位する変位電極と、
前記裏基板構造部の前記上面に配設され、前記変位電極と対向した固定電極と、を有し、
前記変位電極は、前記表基板構造部の前記他面側において前記表基板構造部の前記他面と平行なトーションバーを揺動軸として揺動可能であり、
さらに、
前記表基板構造部の前記他面には前記接触センシング面とともに変位するロッドが垂下するように設けられ、前記変位電極の一辺はリンクを介して前記ロッドに接続されている
ことが好ましい。
【0019】
本発明では、
前記センシング手段は、ピエゾ抵抗部である
ことが好ましい。
【0020】
本発明ではでは、
前記表基板構造部は、前記一面側から薄化されることで形成された薄肉部を有するダイヤフラム構造を備え、
前記ダイヤフラム構造は、
前記薄肉部のほぼ中央領域に前記薄肉部よりも厚みを有しその上面が前記センシング面となる力伝達部と、
前記薄肉部を取り囲むようにしてあり、前記薄肉部よりも厚みを有する支持枠部と、を有しており、
前記ピエゾ抵抗部は、前記表基板構造部の他面において、前記薄肉部と前記力伝達部との境界および前記薄肉部と前記支持枠部との境界の少なくともいずれかに配置されている
ことが好ましい。
【0021】
本発明では、
前記裏基板構造部は、貫通電極付きのセラミック基板である
ことが好ましい。
【0022】
本発明では、
前記セラミック基板は、LTCC基板(低温焼成積層セラミック、Low Temperature Co-fired Ceramics)である
ことが好ましい。
【0023】
本発明では、
前記LTCC基板の熱膨張率がシリコンの熱膨張率とほぼ等しい
ことが好ましい。
【0024】
本発明では、
前記裏基板構造部は、貫通電極が形成されたSi基板である
ことが好ましい。
【0025】
本発明のセンサ装置の製造方法は、
前記センサ装置を製造する製造方法であって、
前記集積回路の入出力端子と電気的に導通しておりかつ突起状の接続バンプを前記表基板構造部の前記他面側に用意しておき、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合する際に、前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記上面に露出した前記貫通電極に突き当てる
ことを特徴とする。
【0026】
本発明では、
前記表基板構造部の他面側に前記接続バンプのもとになる金属電極を突起状に形成し、
さらに、前記金属電極も含めて前記表基板構造部の他面側を覆うように前記接合層のもとになる有機接着剤を塗布し、
前記表基板構造部の他面側を研磨することで、前記接合層から突起した前記接続バンプを得る
ことが好ましい。
【0027】
本発明では、
前記接続バンプの研磨面には凸凹の研磨痕が残るようにし、
前記接続バンプを前記裏基板構造部の前記貫通電極に突き当てた際には、前記接続バンプの前記研磨痕の凸凹が潰れる
ことが好ましい。
【0028】
本発明では、
前記裏基板構造部の上面側のうち前記貫通電極の周囲をエッチングすることで、前記貫通電極の所定高さが前記裏基板構造部の上面において露出させる
ことが好ましい。
【0029】
本発明では、
前記貫通電極は、前記エッチングされた際に多孔質状になる
ことが好ましい。
【0030】
本発明では、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部とを接合した後で、前記表基板構造部の前記一面側を部分的にエッチングすることで前記表基板構造部の前記一面側をダイヤフラム構造とする
ことが好ましい。
【0031】
本発明では、
前記表基板構造部と前記裏基板構造部との貼り合わせにあたって互いの位置関係を調整するための位置決めマークを前記表基板構造部と前記裏基板構造部とにそれぞれ設けておく
ことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、多数のセンサ装置200を配置した触覚センサシステム100をロボットのハンドに適用した様子を示す図である。
図2は、バス110に複数のセンサ装置200を配置した様子を示す図である。
【0034】
本実施形態のセンサ装置200は、
図1に示すようにロボット10のハンド11あるいはロボット10の体表面全体に配置され、全体として触覚センサシステム100を構成するためのものである。各バス110には複数の触覚センサ装置200が設けられている。本明細書の説明においては、「触覚」を省略して、単に、「センサ装置200」と称する。本実施形態では、バス110の配線ラインとしては4本のライン112、112、113、113が設けられている。ここでは、4本のうち2本は電源ライン112、112であり、2本は差動シリアル伝送用の信号ライン113、113である。なお、配線はセンサ装置の仕様に応じて適宜設計されていればよく、例えば、一本のシリアル信号線、+3.3Vの電源線、+1.8Vの電源線、GND線、としてもよい。そして、総てのバス110は、情報中継装置120および集線装置130を介して情報統合装置140に接続されている。
【0035】
例えばロボット10のハンド11が対象物(不図示)を掴むなどしてロボット10の表面が対象物に接触すると、各センサ装置200が接触圧を検知する。さらに各センサ装置200は、センサ信号のデジタル信号処理を実行する。そして、デジタル信号処理済みのセンサ信号が各センサ装置200から情報統合装置140に送信される。情報統合装置140では、センサ装置200からの情報を統合して、どの位置にどの程度の力がかかっているかを検出する。
【0036】
次に、センサ装置200の構成を説明する。
図3は、センサ装置200を表面側からみた斜視図である。
図4は、センサ装置200を裏面側からみた斜視図である。
図4中、見やすくするために、センサ装置200の輪郭線を白線で付加した。
図5は、センサ装置200の断面図である。
【0037】
断面図を描くにあたっては、ハッチングを適宜省略している。本実施形態のセンサ装置200は薄い膜の層などを数多含んでおり、すべての構成要素にハッチングを付けてしまうと、図面が極めて見にくくなると懸念される。また、本実施形態のセンサ装置200は多くの構成要素を含んでいるので、すべての相異なる構成要素に対して別種のハッチングを付けることは難しく、よく似たハッチングを付けると却って見にくくなってしまうと懸念される。このような事情を勘案して、ハッチングを適宜省略している。
【0038】
図5に示すように、センサ装置200は、表基板構造部300(トップ基板構造部)300と裏基板構造部400(ボトム基板構造部)400とが接合部210にて貼り合わされた構造を有する。表基板構造部300(トップ基板構造部)300と裏基板構造部400(ボトム基板構造部)400とを貼り合わせる直前の状態は、
図43を参照されたい。
【0039】
表基板構造部300は、構造本体部310と、配線層370と、接続バンプ390と、を有する。そして、構造本体部310には、ダイヤフラム320と、集積回路部340と、が作り込まれている。構造本体部310は、主としてSiで形成されている。
図3に図示されるように、表側面(一面側)を平面視したとき、構造本体部310の中心部には対象物と接触するための力伝達部321が凸状に設けられ、力伝達部321の周囲は凹状の薄肉部323となっている。薄肉部323が弾性変形可能であることにより、構造本体部310が作動膜(ダイヤフラム320)として機能するようになる。
すなわち、力伝達部321に力がかかると構造本体部310がたわむようになっている。
図6に、力伝達部321に力を受けて構造本体部310がたわんだ状態を例示した。薄肉部323の周囲である周縁部は、作動膜を支持する支持枠部325となっている。
【0040】
ここに、力伝達部321により接触センシング面が構成されている。
【0041】
ここで、構造本体部310の表面側(一面側)であるダイヤフラム320の具体的形状を概説しておく。力伝達部321のおもて面は平坦面である。そして、力伝達部321から薄肉部323に移行する部位は傾斜面(テーパ)323Aになっている。薄肉部323の最下部は平坦面であり、薄肉部323から支持枠部325に移行する部位は傾斜面(テーパ)323Bになっている。傾斜面323A、323Bを設けることにより、局所的な応力集中を防ぐことができる。
【0042】
本実施形態の特徴の一つは、構造本体部310の表面側(一面側)にはダイヤフラム320があり、さらに、構造本体部310の裏面側(他面側)に集積回路340が一体的に作り込まれている点にある。このようにセンサ装置200ごとに集積回路340を持ち、センサ装置200ごとに分散処理を実行できるようになっている。集積回路340の動作の一例は、ダイヤフラム320に掛かる応力に応じた検出信号を処理し、バス110を介してセンサ信号を情報統合装置140に送信することである。また、逆に、集積回路340は、情報統合装置140からの指令を受けて、センサID、センサ閾値といった設定情報をレジスタに登録する。
それぞれのセンサ装置200ごとに集積回路340は独自に動作するので、センサIDはもちろんのこと、センサ閾値といった設定値がセンサ装置200ごとに異なっていてもよい。
【0043】
ここで、集積回路340を構造本体部310の裏面側に作りこむにあたっては、構造本体部310自身が力を受けて変形する作動膜(ダイヤフラム320)を兼ねていることを考慮する必要がある。
すなわち、Siにはピエゾ抵抗効果が存在する。しかも、Siのピエゾ抵抗係数は極めて大きく、結晶方位に強く依存する。参考のため、
図7にP型Si{100}面におけるピエゾ抵抗係数を示す。したがって、力印加による変形応力が回路動作特性に影響してしまうことが懸念される。力印加による変形応力が回路動作に影響しないようにするためには、単純には、構造本体部310の裏面において力伝達部321および薄肉部323に対応する部位には集積回路340を作らず、支持枠部325に対応する部位にのみ集積回路340を形成することが考えられる。しかし、当然のことながら、これではデッドスペースが大きいため、その分センサ装置200が大きくなってしまうことになる。
【0044】
そこで、本発明者らは詳細な検討を行い、回路配置に工夫をこらした。
図6に図示されるように、力伝達部321に力が掛かったときに構造本体部310において最も応力を受けるのは、薄肉部323であり、さらに詳細には、薄肉部323から支持枠部325への移行部326Bと、薄肉部323から力伝達部321への移行部326Aと、である。薄肉部323から支持枠部325への移行部326Bでは圧縮応力を受ける。薄肉部323から力伝達部321への移行部326Aでは引っ張り応力を受ける。後の説明のため、構造本体部310の裏面において薄肉部323に対応する部位を「歪み部327」と称することとする。
【0045】
一方、構造本体部310の裏面において力伝達部321および支持枠部325に対応する部位は、変形応力の影響を受けにくい。支持枠部325に対応する部位が変形応力の影響を受けないのは当然である。力伝達部321は、そのおもて面に力を受けて力伝達部321全体が押下げられるのであるが、
図6をよく見て判るように、構造本体部310の裏面において力伝達部321に対応する部位は、面全体が一体的に変位するのであり、曲げ応力のような力は発生しない。したがって、構造本体部310の裏面において力伝達部321に対応する部位は歪まないのである。そこで、構造本体部310の裏面において力伝達部321および支持枠部325に対応する部位を、「非歪み部328」と称することとする。
【0046】
さて、Si基板の抵抗が変化した場合に回路動作に強い影響を受けるのは、典型的には、アナログ信号処理回路である。逆に、ロジック回路部や低抵抗かつ短い配線は応力に対して比較的鈍感である。
【0047】
そこで、回路配置の工夫としては、
図8に図示するように、非歪み部328にアナログ信号処理回路を形成し、歪み部327にはアナログ信号処理回路を形成しないようにする、ということになる。歪み部327には、ロジック回路部や低抵抗かつ短い配線を配置することにする。
【0048】
回路の具体例を説明する。
図9は、センサ装置200に組み込む回路の例である。このような回路の構成および動作の説明は、例えば、本出願人によるWO2011/045835に開示済みである。この回路構成のなかでアナログ的回路は、センサ信号検出部341、クロック発生部342および電源電圧制御部343である。(したがって、残りの回路である論理演算処理部344、シリアル化部345、データ送信部346、バス状態判定部347、設定レジスタ348および送信履歴レジスタ349はデジタル的回路である。)センサ信号検出部341のうち周波数変換部341Aは、センサ電極の静電容量変化を周波数変化に変換する。(センサ電極が静電容量式であることは後述する。)周波数変換部341Aは、例えば、
図10のようなシュミットトリガ型CF(容量−周波数)コンバータ回路で実現できる。帰還抵抗Rが特性に重要な部分となっており、ピエゾ抵抗効果によって抵抗値が変化すると変換係数が大きく変化してしまう。
【0049】
また、クロック発生部342においては、ピエゾ抵抗効果によって発振周波数を決める抵抗値が変化してしまうと、クロック周波数が大きく変化してしまうことになる。
【0050】
従来通りの設計指針に従えば、支持枠部325に対応する部位にアナログ回路を配置するところであるが、本実施形態では、非歪み部328である力伝達部321の裏側にセンサ信号検出部341、クロック発生部342および電源電圧制御部343の一つ以上を配置してもよい。このように本発明者らは、ダイヤフラム320を一体的に有する構造本体部310のなかで歪み部327と非歪み部328とを峻別した。さらに、本発明者らは、回路のなかで応力変形に対して敏感な回路と鈍感な回路とを峻別した。その上で、応力変形に対して敏感な回路であっても非歪み部328である力伝達部321の真裏であれば形成することに問題無いことを見いだした。これは、センサ装置200(センサチップ)の劇的な小型化に繋がり、したがって、低コストにも繋がる。
【0051】
次に、配線層370および接続バンプ390について説明する。構造本体部310の裏面(他面)において集積回路340が作り込まれ、さらにその上層には配線層370および接続バンプ390が形成されている。
図5において、集積回路340の上に入出力端子(I/O端子)351と表面絶縁層352とがあり、本実施形態では入出力端子(I/O端子)351と表面絶縁層352とは同一平面となっている。そして、表面絶縁層352の上に配線層370が形成されている。この配線層370は、パターニングにより、一部はセンサ電極371、378となり、一部は配線381となる。
【0052】
ここで、“上”、“下”の説明がやや錯綜するので整理しておく。
図5で見ると、直感的には集積回路340の下層が表面絶縁層352であるが、これを「集積回路340の上に表面絶縁層352がある」と表現することにする。これは、
図15から
図42における製造工程においては、集積回路340の上に表面絶縁層352があり、さらに表面絶縁層352の上に、配線層370(センサ電極371、378および配線381)を形成するからである。
図15から
図42の製造工程の説明と整合させるため、
図5ではやや直感に反するが、「集積回路340の上に表面絶縁層352がある」と表現する。
【0053】
表面絶縁層352の上に配線層370が形成され、配線層370には、配線381とセンサ電極371、378とがパターンされている。
図11、
図12は、構造本体部310の裏面に形成された配線381およびセンサ電極371、378のパターンを示す図である。
【0054】
表基板構造部300の側に形成されるセンサ電極としては、変位電極371と参照電極378とがある。中央の四角形電極がダイヤフラム320の変形に伴い変位する変位電極371である。変位電極371は、力伝達部321および薄肉部323の真裏に相当する位置にあり、力伝達部321および薄肉部323の真裏に相当する領域の面積を持つ。力伝達部321に応力が掛かって力伝達部321が押されると、変位電極371も押されて変位する。具体的には、変位電極371のうちで力伝達部321の真裏に相当する領域が押されて変位する。
【0055】
変位電極371の周囲を囲むように参照電極378が形成されている。したがって、本実施形態では、参照電極378は、四角い枠状である。参照電極378と変位電極371とは電気的に繋がっておらず、両者の間にはわずかに隙間がある。参照電極378は支持枠部325の裏側に相当する位置にある。したがって、力伝達部321に力が掛かって力伝達部321が押されても、参照電極378は変位しない。
【0056】
変位電極371も参照電極378も配線381によりそれぞれ入出力端子351に電気的に接続されている。
【0057】
参照電極378の周囲には、複数の接続バンプ390が形成されている。接続バンプ390は、表基板構造部300と裏基板構造部400との電気的接続をとるために、裏基板構造部400の電極430に突き当てられるように突起状に形成された電極である。
図5を参照すると判るように、入出力端子351と電気的接続をとるように配線381が形成され、この配線381の上に接続バンプ390が形成されている。これにより、裏基板構造部400と集積回路340の入出力端子351とが電気的に接続される。
【0058】
配線層370(センサ電極371、378、配線381)のパターニングおよび接続バンプ390を如何に形成するかについては、後述する。
【0059】
なお、
図11の平面図において、接続バンプ390(および入出力端子351)のさらに外側に電極パッド385が形成されている。
図11においては、右側に上下に並んでいる。この電極パッド385は、製造途中で電気的導通を検査するための電極パッドである。
【0060】
さらに、図示は省略するが、接続バンプ390、入出力端子351、および電極パッド385の外側に接合ランドを設けておくことが好ましい。接合用ランドは、配線層370のパターニングの際に同時に形成する。
接合用ランドは、接合位置を明確にするとともに接合領域を確保するため、あるいは、後述する接合部(有機接着剤)210との接着性をよくするための機械的接合用金属膜領域である。本実施形態においては接合には有機接着材を用いたが(詳しくは後述する)、これ以外に金属系の材料、合金、半田、金属そのもの、例えばCuSn、AlGe、 CuIn等、鉛半田、鉛フリー半田等、Cu/Cu、An/An、などを用いた接合を用いることができる。
この場合、接合用ランドは金属薄膜層、例えばCr/Pt/Auなどになる。ここでは、表基板構造部300の側の接合用ランドを説明したが、裏基板構造部400の側にも同様に接合用ランドを設けておくことが好ましい。
【0061】
裏基板構造部400を説明する。裏基板構造部400は、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)という絶縁性基板410に貫通電極420が設けられたものである。LTCC基板のなかでも、熱膨張係数がSiの熱膨張係数に近いものにすることが好ましい。Siと熱膨張係数を合わせておくことで温度変化に伴う応力が発生しにくくなるので、温度特性が改善されたセンサ装置200とすることができる。
図5を参照して判るように、貫通電極420は、絶縁性基板410の上面と下面とに露出している。
図5に示すように、裏基板構造部400の上面には固定電極450が形成されている。
図13は、裏基板構造部400の上面を示す図である。固定電極450は、変位電極371および参照電極378に対向配置された一枚の電極板(膜)であり、参照電極378の外周よりも一回り大きい。固定電極450の方が一回り大きいことにより、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせるときに仮に僅かに位置ずれが生じた場合でも、変位電極371および参照電極378は固定電極450と確実にカップリングする。
【0062】
力伝達部321に力が掛かることによって変位電極371が変位すると、変位電極371と固定電極450との間の静電容量が変化する。一方、参照電極378と固定電極450との間の静電容量は変化しない。ここで、変位電極371と固定電極450とからなる電極対を検出用電極対と称することにする。また、参照電極378と固定電極450とからなる電極対を参照用電極対と称することにする。
【0063】
検出用電極対(371、450)と参照用電極対(378、450)とで両者の初期容量はほぼ同じになるように設計されている。検出用電極対(371、450)の容量変化と参照用電極対(378、450)の容量変化とをともに集積回路340に取り込み、差動回路にて差を取る。したがって、固定電極450の電位は直接に絶縁性基板410の下面に取り出されるのでなく、一旦接続バンプ390を介して集積回路340に入力されるようになっている。これにより、ゼロ点(オフセット)の除去や温度特性の改善、経年変化特性の改善を図ることができる。
【0064】
図13において、固定電極450の周囲に、貫通電極420の上端が見えている。貫通電極420の周囲の絶縁性基板410(LTCC基板)がエッチングされており、貫通電極420の上端部が露出している。この露出した貫通電極420の上端部が前記接続バンプ390との突き当て部になる。露出した貫通電極420の上端部を突当て電極430と称することとする。
【0065】
表基板構造部300と裏基板構造部400との間は接合部210にて接着されている。接合部210は、表基板構造部300の裏面において集積回路形成領域のさらに外側の領域を囲むように設けられた有機接着剤である。接合部210によって、電極(371、378、450)や集積回路340が表基板構造部300と裏基板構造部400との間に封止される。表基板構造部300と裏基板構造部400とが対向するように両者を接合するのであるが、両者の間には所定のギャップがある。このギャップは、接合部(有機接着剤)210の厚みによって規定される。
【0066】
なお、金属系の接合を使う場合は、次のようにすると良い。すなわち、金属系の接合による厚さ方向の減少を加味した上で金属膜の厚みを決める。たとえばCu系を使う場合は変形の少ないCuの厚みを厚くしてギャップ長を決定できるようにする。
【0067】
また、LTCCはSiと陽極接合ができる材料であるので、接着材を用いずにSi基板(表基板構造部300)とLTCC基板(裏基板構造部400)とを直接接合することもできる。なお、陽極接合とは、ガラスとSi基板とで互いの研磨面を重ねて加熱しながら電圧をかけると、共有結合による強い接合ができることをいう。この場合、前述の接合用ランドは単に接合位置を示す部分となる。陽極接合時の接合力でAuバンプ(接続バンプ390)とポーラスAu(突当て電極430)とが圧着されて電気的導通がとれる。 ギャップは表基板構造部300のSiあるいは裏基板構造部400のLTCC(絶縁性基板)410を接合前に削って設定する。本実施形態の場合であれば、LTCC(絶縁性基板)410をエッチングで削ってギャップを設定する方が作り易い。
【0068】
ここまでの説明で、センサ装置200の構造は一通り理解されたであろう。また、検出用電極対(371、450)および参照用電極対(378、450)からのセンサ信号を集積回路340で処理した後、接続バンプ390から突当て電極430を経て、裏基板構造部400(LTCC)の貫通電極420を介してセンサ装置200の裏面(下面)に信号が取り出されることが理解されるであろう。
【0069】
次に、センサ装置200の製造方法を説明する。
図14のフローチャートに、センサ装置200の製造方法の概略を示す。まず、表基板構造部300の裏面側を形成しておく(ST110)(
図15−
図29)。つまり、Si基板に集積回路340を形成し、その上に配線層および接続バンプ390を形成しておく。また、裏基板構造部400を形成しておく(ST120)(
図30−
図42)。つまり、貫通電極付きの絶縁性基板(LTCC基板)410に固定電極450および突当て電極430を形成しておく。なお、ST110とST120との前後関係は問題ではなく、ST110およびST120のうちどちらを先にやってもよく、同時にやってもよい。
【0070】
そして、ST110で加工した表基板構造部300とST120で加工した裏基板構造部400とを貼り合わせる(ST130)(
図43−
図51)。次に、表基板構造部300の表側にダイヤフラム320を形成する(ST140)(
図52−
図65)。最後に、個々のセンサ装置200を切り離す(ST150)。
【0071】
以下、順を追ってセンサ装置200の製造方法を説明する。まず、表基板構造部300となるSi基板310を用意し、集積回路340、表面絶縁層352および入出力端子351を形成する(
図15)。(このSi基板は最終的には構造本体部310となるので同じ符号310を付けることとした。)(集積回路340の上に絶縁膜(表面絶縁層)に相当するものが無ければ、ここで改めて集積回路の上に絶縁膜を形成する必要がある。この点については本明細書の最後に言及したので参考にされたい。)
【0072】
表面絶縁層352の上にシード層370をスパッタリングで成膜する(
図16)。このシード層370が配線層370であり、配線381およびセンサ電極371、378となる。シード層370は、例えば、CrとAuとの積層膜である。(シード層は最終的には配線層370になるので同じ符号310を付けることとした。)
【0073】
シード層370の上にフォトレジスト(AZ4620)501を塗布し、さらにパターニングする(
図17)。
図17においてフォトレジスト(AZ4620)501に空いた孔は、接続バンプ390を形成する位置に当たる。
【0074】
図18において、電気メッキでAu390を堆積させ、
図19においてレジスト501を除去する。これで、シード層370の上に接続バンプ390ができた。
【0075】
続いて、シード層370に対し、センサ電極371、378および配線381をパターニングする。レジスト502を塗布し、パターニングする。この状態が
図20である。
【0076】
図21において、ウェットエッチングでシード層370の一部を除去する。そして、レジスト502を除去する。この状態が
図22である。これで、センサ電極371、378、配線381および接続バンプ390ができた。
【0077】
さらに、BCB(BenzoCycloButene、ベンゾシクロブテン樹脂、CYCLOTENE、DowChemical社)210を塗布する(
図23)。(BCBは最終的に接合部210になるので同じ符号210を付けた。)BCB210は、接続バンプ390を覆うように塗布する。
【0078】
そして、BCB210を研磨する(
図24)。例えば、BCB210を研磨材でバフ研磨することが典型的な例である。研磨によって、
図24に示すように、BCB210は薄くなる。研磨後のBCB210の厚みが、後に、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせるときに両者のギャップを規定することになる。したがって、表基板構造部300と裏基板構造部400とのギャップを考慮して、所定の厚みになるまでBCB210を研磨する。ここで、BCB(樹脂)で被覆された接続バンプ390(Au)をメカニカル研磨すると、
図24に示すように、接続バンプ390(Au)がBCB210から突出したようになる。これは、被研磨素材(AuとBCB)の硬さの違いで削られる量に差が生じるためである。
【0079】
また、このようにしてメカニカル研磨を受けると、接続バンプ390(Au)の表面に
図25のような研磨痕ができる。
図25は、接続バンプ390の上端面を拡大した模式図である。また、
図26は、接続バンプ390を横から見たときの模式図である。
図26のように、接続バンプ390の上面には細かな凹凸ができる。この凹凸は、後に、接続バンプ390を突当て電極430に突き当てたときにつぶれることで、接続バンプ390と突当て電極430との密着度を適度に調整する効果を発揮する。このように、BCB(樹脂)で覆った接続バンプ390(Au)をメカニカル研磨することで、BCB210の薄化と、接続バンプ390の上面加工と、を同時に行う。
【0080】
次に、BCB210をパターンニングする(
図27)。すなわち、BCB210の上にレジスト503を塗布し、パターニングする。そして、反応性イオンエッチングにより、BCB210の一部を除去する(
図28参照)。レジスト503を除去すると、表基板構造部300の裏面側が完成した(
図26)。この状態を平面視すると、
図11、
図12になる。
【0081】
次に、裏基板構造部400の加工を説明する。まず、
図30に示すように、貫通電極付きの絶縁性基板410(LTCC基板)を用意する。これまで説明したように集積回路340は表基板構造部300の方に形成するようにしたので、この絶縁性基板410は単純な貫通電極を持っていればよいのである。また、表基板構造部300と裏基板構造部400とは独立して製作されるものであるから、仮に、表基板構造部300のダイヤフラム構造320や集積回路340の回路構成が変わったとしても、この裏基板構造部400の方は共通化するようにしてもよい。貫通電極420はAu配線であり、より詳細には、ガラス系のペーストにAu粒子を分散させたAuガラスペーストをスクリーン印刷したものである。このLTCC基板410の表裏両面にシード層461、462をスパッタリングによって成膜する(
図31)。シード層461、462は、CrとAuとの積層膜である。
【0082】
次に、シード層461、462の上にフォトレジスト(OMR100)504を塗布し、貫通電極420の上面が露出するようにパターニングする(
図32)。そして、ウェットエッチングでシード層(CrとAu)461の一部を除去する(
図33)。
【0083】
さらに、
図34において、フッ酸でエッチングを行う。レジスト504で被覆されていない箇所、すなわち、貫通電極420と、その周囲のLTCC基板410がエッチングを受けることになる。
図35は、貫通電極420の上面付近における断面図である。貫通電極420は、フッ酸エッチングによる影響で多孔質的になる。貫通電極(Au配線)420はガラス粒子を含んでおり、エッチングによってガラス粒子が溶け出すことでポーラスAuが作製される。すなわち、貫通電極420の上面付近が多孔質電極(ポーラス電極)となる。そして、周囲のLTCC基板410がエッチングされていることにより、多孔質電極のある程度の高さがLTCC基板410から露出することになる。このようにLTCC基板410から露出した多孔質電極が突当て電極430となる。
【0084】
次に、レジスト504を除去し(
図36)、続いて、フォトレジスト505を裏面に塗布し、パターニングする(
図37)。そして、Auを電気メッキで堆積させて(
図38)、裏基板構造部400の裏面に接続パッド481を形成する。レジスト505を除去した状態が
図39である。
【0085】
次に、固定電極450と配線455とを形成するため、シード層461の上にレジスト(AZ4620)506を塗布し、パターニングする(
図40)。ウェットエッチングでシード層461を部分的に除去すると(
図41)、固定電極450および配線455が残る。レジスト506を除去して(
図42)、裏基板構造部400が完成となる。
【0086】
ここまでの工程により、表基板構造部300の裏面側と裏基板構造部400の両面とが完成している。そこで、次に、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせる。
図43は貼り合わせる直前の様子を示す図である。
図44は貼り合わせた直後の状態を示す図である。
【0087】
表基板構造部300と裏基板構造部400との貼り合わせにあたっては、表基板構造部300の裏面にパターニングして残してあったBCB210が接合剤として働く。BCB210は接着と同時に、表基板構造部300と裏基板構造部400とのギャップを規定する。
【0088】
ここで、表基板構造部300の接続バンプ390はBCB210の高さよりも突出するように形成していた。したがって、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせるにあたって両者を近づけていくと、表基板構造部300の接続バンプ390と裏基板構造部400の突当て電極430とが最初に接触することになる。
【0089】
表基板構造部300の接続バンプ390は、その上端面に凹凸(研磨痕)が形成されている(
図25、
図26)。また、裏基板構造部400の突当て電極430は、ポーラス状になっている(
図35)。したがって、接続バンプ390と突当て電極430とが接触すると、接合圧により、接続バンプ390の凹凸(研磨痕)および裏基板構造部400の突当て電極(ポーラス電極)430とがつぶれ始める(
図45)。接続バンプ390の凹凸(研磨痕)がつぶれていく過程を
図46−
図50に模式的に表わした。
図51は、接続バンプ390と突当て電極430とが接触した部位の断面写真である。このように、表基板構造部300と裏基板構造部400との貼り合わせの初期段階に接続バンプ390の凹凸(研磨痕)と裏基板構造部400の突当て電極430(ポーラス電極)とがつぶれるように変形することで、接合初期の加圧の安定化、接合プロセスの過渡過程の安定化を図ることができる。また、両者は変形しながら密着するようになるので、電気的接続を確実にする作用も期待できる。
【0090】
表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせた後、構造本体部310を表側から研削により薄化する(
図52)。例えば、研削前の構造本体部(Si基板)310の厚みが750μmとして、研削後の構造本体部(Si基板)310の厚みを200μmにする。なお、構造本体部310を薄化してしまった後で表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせても同じであるようにも思えるが、機械的加工で薄化するには支える部分が必要であるので、やはり、表基板構造部300と裏基板構造部400とを貼り合わせてから薄化した方がよい。
【0091】
次に、
図53に示すように、薄化した表基板構造部300の表面にスパッタ法でマスク用SiO
2507を堆積させ、さらにその上にフォトレジスト508を塗布し、ダイヤフラム320の形にパターンニングする(
図54)。エッチングでSiO
2507を部分的に除去し(
図55)、さらに、界面活性剤(TritonX)入りTMAH(TMAH:Tetramethylammonium hydroxide 水酸化テトラメチルアンモニウム)で構造本体部(Si基板)310をエッチングする。
【0092】
なお、TritonX(トリトンX-100)は、非イオン系界面活性剤の商品名である。ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの一種で、ポリエチレングリコール p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテルなどの化合物を含む。CAS番号[9002-93-1]。分子は、親水性のポリオキシエチレン鎖(平均鎖長9.5単位)と、疎水性のアルキルフェニル基からなる。
【0093】
このエッチングにより、
図56に示すように、部分的に構造本体部(Si基板)310が薄化し、そこに薄肉部323ができる。なお、傾斜面323A、323Bができたり、薄肉部323の底面が平坦になったりするのは、異方性エッチングによりSi結晶の結晶面が出るからである。
【0094】
これで、表基板構造部300の表側にダイヤフラム320が形成されるのであるが、構造本体部(Si基板)310をエッチングするにあたっては、エッチャント濃度やエッチング時間を調整し、薄肉部323が適切な厚みになるように配慮しなければならない。この理由を説明する。
【0095】
これまでに説明してきたように、表基板構造部300にはダイヤフラム320に加えて集積回路340が作り込まれている(
図57参照)。
図57においては、構造本体部310の裏面側にCMOSからなる集積回路340を形成した状態を模式的に示す図である。したがって、ダイヤフラム320を形成するために表基板構造部300の表側からエッチングするにあたっては、表基板構造部300の裏に作り込んである集積回路340との関係を考慮しなければならない。
【0096】
ダイヤフラム320の構造にあっては、薄肉部323の厚みhを薄くすると変形が著しく増加するようになるのは当然のことであろう。この変形量の増加は、例えば、薄肉部323の厚みhの3乗に反比例する。
従って、薄肉部323の厚みhが薄いほど高感度のダイヤフラム320となる。一方、薄肉部323の厚みhを薄くし過ぎると、ダイヤフラム320の変形に伴う内部応力が大きくなり、Siの破壊応力を超えてダイヤフラム320が壊れやすくなる。この応力は、たとえば、薄肉部323の厚みhの2乗に反比例する。このように考えると、薄肉部323の厚みには適切な範囲が存在することになる。
【0097】
ここで、例えば、集積回路340を構成するCMOS回路を考えてみると、nMOSトランジスタNM1とpMOSトランジスタPM1と並べて形成するため、それぞれはn型ウェルNWとp型ウェルPWとにそれぞれ形成される。
図58は、CMOS回路を拡大した模式図である。表基板構造部300の表面側からエッチングするにあたって一番深くまでエッチングしようと思えば、
図59に示すように、ウェルNW、PWに到達するまでエッチングできる。しかし、この状態のダイヤフラムを作製して実験したところ、Siの破壊応力よりもかなり低い応力でダイヤフラムが壊れてしまうことがわかった。ウェルNW、PWに到達するところまで深くエッチングしてしまうと、ウェルNW、PWが存在することにより、ダイヤフラム(薄肉部323)の膜厚に凸凹が生じる。すると、厚みが薄いところに応力が集中してしまい、Siの破壊応力よりかなり低い条件で破壊が生じると考えられる。
【0098】
そこで、ウェル深さより少し厚めにダイヤフラム320を作製した(
図60参照)。破壊の程度は若干緩和されたが、Siの破壊応力よりまだまだ低い応力でダイヤフラム320が壊れてしまうことがわかった。
本発明者らは詳細な観察を行ってみたところ、ウェルNW、PWに対応する箇所でダイヤフラム(薄肉部323)の厚みが変化していることがわかった。すなわち、ウェル深さまでエッチングしていないにも関わらず、ダイヤフラム(薄肉部323)の膜厚に凸凹が生じてしまっていた。これは、ウェルNW、PWが存在するために、ウェルNW、PWの境界でエッチング条件が変化し、ダイヤフラム(薄肉部323)の厚みに変化が生じてしまうのだと推測される。この時の断面形状の模式図が
図60である。
【0099】
この実験結果を詳細に解析した結果、
図61のグラフが得られた。
このグラフを説明する。力伝達部321に印加する力を一定にする。まず、集積回路340が組み込まれていないSi基板をエッチングして普通のダイヤフラムを形成した。この場合、当然ながら、ダイヤフラム(薄肉部323)の厚み(横軸)が減少するに伴いダイヤフラムのたわみ(左側の軸)が急激に増加するデータが得られる(この時の解析結果を最大たわみのデータとして示す)。一方、ダイヤフラム320に発生する応力(右側の軸)もダイヤフラム320(薄肉部323)の厚み(横軸)が減少するに伴い急激に増加するデータが得られる(この時の解析結果を最大応力のデータとして示す)。さて、次に、集積回路340を組み込んだSi基板を反対側からエッチングして薄肉部323の厚みが一定でないダイヤフラム320を得た(
図60)。これを解析した結果を先のデータに重ねると、
図61の局所応力のデータとなった。
【0100】
すなわち、集積回路340を作り込んだ構造本体部310にダイヤフラム320を一体的に作製する時、ウェルNW、PWの影響を考慮して作製する必要が有る。
集積回路340のウェル深さが1μm程度だとする。単純にSiの破壊応力だけを考えると、薄肉部323を2μm程度の厚みまで薄く出来ると考えられるであろう。しかし実際には、ウェルの影響を考えると、薄肉部323は2μmよりも厚くし、例えば4μm程度の厚みに作製することが好ましい。つまり、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して2倍を超えることが好ましい。
さらに、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して4.0倍前後にすることが好ましい。4.0倍前後とは、誤差も考慮しつつ、前後30%程度の幅を認める意味である。さらに、ダイヤフラム320の薄肉部323の厚みは、集積回路340のウェル深さに対して4.0倍以上10.0倍未満にすることが好ましい。この範囲の厚みの場合、エッチングプロセスに対してダイヤフラム320の薄肉部323の厚みを一定にしやすく、かつセンサの感度を制御し、再現しやすいため製品化が容易という利点がある。
【0101】
ウェル深さに対して4倍前後の厚みをもつダイヤフラム320としたので、薄肉部323の底面がフラットで厚み一定となるダイヤフラム320が作製できた。
このときのダイヤフラム320形状の模式図を
図62に示す。このようにダイヤフラム320(薄肉部323)の厚みを集積回路340との関係で調整することにより、検出感度と破壊耐力とを適切に両立させることができる。
【0102】
先の例では、ウェル深さの4倍の厚みを持つダイヤフラム320を作成するとした。これは、薄肉部323の底面が平坦になるようにするためであった。ここで、薄肉部323の底面を平坦にできるのであれば、薄肉部323の厚みは理論的にはウェル深さの2倍程度にまで薄く出来るはずである。
【0103】
図63において、高濃度ボロンドープ基板531を用いている。高濃度ボロン層を持つSiウェハにpウェルPWおよびnウェルNWを作製したうえでCMOS回路を含む集積回路340を作製する。このとき、高濃度ボロン層532の境界をウェル深さの2倍としている。高濃度ボロンが存在することにより、構造本体部310を表側からエッチングした時にエッチングが高濃度ボロンの境界で止まる。これにより、薄肉部323の厚みを安定的に調整でき、さらに、薄肉部323の底面を平坦にすることができる。したがって、薄肉部323の厚みをウェル深さの2倍程度にでき、検出感度と耐久性とを高いレベルで両立させることができる。
【0104】
図64においては、SOI(Silicon on Insulator)基板541を用いている。Si/SiO2/SiからなるSOIウェハにCMOS回路を含む集積回路340を作製する。
このとき、上層(他面側)Siの厚みはウェル深さの2倍とする。SOIウェハをエッチングするとSiO
2542でエッチングが止まる。次にSiO
2542をエッチングする。SiO
2のエッチングではSiがエッチングされないので、エッチングがSi/SiO
2界面で止まり、ダイヤフラムの薄肉部323の厚みは上層(他面側)Siの厚みで決定される。したがって、上記と同様に、薄肉部323の厚みをウェル深さの2倍程度にでき、検出感度と耐久性とを高いレベルで両立させることができる。
【0105】
ここまでの説明では、エッチングストップによって薄肉部323を平坦にできるなら薄肉部323の厚みをウェル深さの2倍程度にでき、エッチングをストップさせる仕掛けを使わないなら薄肉部323の厚みをウェル深さの4倍程度にしておくことが良い、と説明した。これらは、薄肉部323の厚みの下限値を示すもので、実際の製品における薄肉部323の厚みを設計するにあたっては、検出感度、耐久性、S/N比、製造し易さ、などを考慮する。薄肉部323の厚みの上限値というのは特段に制限されるものではないが、実際の製品を考えると、薄肉部323の厚みは、ウェル深さの2倍から40倍(2μm−40μm)の範囲で選択でき、検出感度を上げるために薄肉部323を薄くしようとする場合には、薄肉部323の厚みは、ウェル深さの2倍から20倍(2μm−20μm)、さらには、ウェル深さの2倍から10倍(2μm−10μm)程度にするのが良いであろう。
【0106】
最後に、レジスト508を除去し、個別に切り離す。これでセンサ装置200が完成した(
図65)。
【0107】
ここまでの説明では省略してきたが、表基板構造部300と裏基板構造部400とを別個に加工した後で貼り合わせることを考えると、両者が持つ要素同士の相互位置関係が設計通りに合うように製造しなければならないことは言うまでもない。そのためにはいくつかの位置決めマークを基準点とし、この基準点を基にして各要素の配置を調整する必要がある。
【0108】
表基板構造部300の裏面の作成にあたっては、集積回路340の入出力端子351と配線層370の配線381とを接続し、さらに、変位電極371、参照電極378、配線381および接続バンプ390を作成しなければならない。この際の位置合わせマークとしては、構造本体部310(Si基板)の裏面に位置合わせマーク(第1位置合わせマーク)を別途に作成してもよい。または、集積回路340の特定の入出力端子351を位置合わせマーク(これも第1位置合わせマークと称することにする)として利用してもよい。この第1位置合わせマークを利用して配線層をパターニングし、接続バンプ390を作成する。(第1位置合わせマークは不図示。)
【0109】
さて、これで表基板構造部300の裏面の作成はできるが、後工程として表基板構造部300と絶縁性基板410(LTCC基板)とを貼り合わせる必要がある。
したがって、両者の位置合わせのために表基板構造部300に位置合わせマークが残っている必要がある。しかし、先の第1位置合わせマークは既に隠れて見えない。そこで、第1位置合わせマークを基準にし、配線層370を形成する際に配線層に第2位置合わせマーク552を形成しておくとよい(
図66参照)。
【0110】
貫通電極付きの絶縁性基板410(LTCC基板)に固定電極450、突当て電極430および配線455を作成するにあたっては、例えば、特定の貫通電極420を位置合わせマークとしてもよい。すなわち、まず、貫通電極付きのLTCC基板410を作成するにあたって、焼成前に貫通電極420を使った位置合わせマーク(もしくはパターン)を作っておく。これを第3位置合わせマークとする。第3位置合わせマークは不図示。
そして、この貫通電極420を使った位置合わせマーク(パターン)(第3位置合わせマーク)を基準にして、絶縁性基板410(LTCC基板)に固定電極450や配線455を形成する。上記と同じく、後工程で絶縁性基板410(LTCC基板)と表基板構造部300とを貼り合わせるにあたって、絶縁性基板410(LTCC基板)に位置合わせマークが必要である。したがって、絶縁性基板410(LTCC基板)に固定電極450や配線455を形成する際に、位置合わせマークを絶縁性基板410(LTCC基板)のシード層461に作成しておく。
この位置合わせマークを第4位置合わせマーク553とする。
【0111】
表基板構造部300と絶縁性基板410(LTCC基板)とを貼り合わせるにあたっては、第2位置合わせマーク552と第4位置合わせマーク553とを基準にする。第2位置合わせマーク552と第4位置合わせマーク553とを合わせるに当たっては、表基板構造部300の表側から光を当てて透視するようにする。あるいは、表基板構造部300の下側(集積回路340の側)から位置合わせマーク552を見て、画像を記憶し、LTCC側(絶縁性基板410側)の位置合わせマーク553と合わせるようにしても良い。
【0112】
さて、表基板構造部300にダイヤフラム320を形成するにあたっては、集積回路340の配置と、センサ電極371、378の配置と、ダイヤフラム320要素(力伝達部321や薄肉部323)の形成位置と、を合わせる必要がある。この場合も、第2位置決めマーク552を基準にしてダイヤフラム320の位置を決めることができる。
【0113】
変形例として、第4位置合わせマーク554は絶縁性基板410(LTCC基板)の裏面(下面)にあってもよい。
すなわち、第3位置合わせマークを基準にして、絶縁性基板410(LTCC基板)の裏面(下面)に第4位置合わせマーク554を作成してもよい(
図67参照)。また、ダイヤフラム320を作成するにあたって、位置合わせマークを表基板構造部300の表面側に形成しておいてもよい。この場合、前記第4位置合わせマークを基準にして、第5位置合わせマーク555を表基板構造部300の表面側に形成しておく。
(表基板構造部300の表面側は、絶縁性基板410(LTCC基板)との貼り合わせの後で薄化される。したがって、薄化したあとで第5位置合わせマーク555を形成する必要があり、そのためには、絶縁性基板410(LTCC基板)の裏面(下面)にある前記第4位置合わせマーク554を基準にするのがよい。)
【0114】
図68において、(a)は一方の面に形成されたマーク、(b)は他方の面に形成されたマークである。
図69は2つのマークを合わせたときの合致イメージである。
【0115】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図70に示す。第2実施形態の基本的構成は上記第1実施形態と同様である。第2実施形態においては、裏基板構造部400をSi基板で形成している。
つまり、Si基板を絶縁性基板410として使用している。Si絶縁性基板410には貫通電極420を設ける。
貫通電極420はよく知られている通り、貫通孔の内壁に絶縁膜421を形成し、さらに、絶縁膜421の内側に導電性部材422を充填している。Si基板はLTCC基板(セラミック基板)よりも精密な微細加工ができる利点がある。LTCC基板では焼成した際に変形(縮み)が生じるので貫通電極420の配置を設計通りにするにあたっては調整を要する。
この点、Si基板であれば、微細な位置合わせが可能である。微細な配線、位置合わせが可能になるので、センサ装置200の更なる小型化を図ることが可能となる。
なお、集積回路が形成されているようなSi基板に配線取り出し用の貫通電極を設けるのはそれなりに難しい。しかし、ただのSiの板に単純に貫通電極を設けるだけであればそれほど難しくない。
本発明では、集積回路340をダイヤフラム320側の基板(表基板構造部300)に形成するようにしたので、裏基板構造部400には単純な貫通電極420を形成するだけでよくなった。これにより、裏基板構造部400をSi基板とし、貫通電極を低コストで形成することができるようになり、信号の裏面(下面)取り出しが容易になった。
【0116】
(第3実施形態)
第1実施形態において、集積回路340とセンサ電極(変位電極371、参照電極378)との間には5μm以上の絶縁膜を設けておくことが好ましい。変位電極371および参照電極378は集積回路340の信号線やデジタル回路、アナログ回路に近いのでこれらと静電容量的にカップリングし、信号のクロストークやノイズが混入しやすい。このカップリングを減らす方法として、静電容量が絶縁層(誘電層)の厚みに反比例するという法則により、絶縁層の厚みを5μm厚以上にすることが好ましい。単純な絶縁膜であれば通常は1μm厚程度にするのが一般的であるから、5倍の厚みの絶縁膜を設けることになるが、これにより、ノイズを1/5以下に減少させることができる。
【0117】
(第4実施形態)
第4実施形態を
図71に示す。第4実施形態においては、ダイヤフラム320のコーナー部329をラウンドさせた(丸めた)点に特徴がある。
力伝達部321に力が掛かると角部(コーナー部)329に応力が集中する。この点、コーナー部329の角をラウンドさせることで応力を分散させ、耐久性を格段に向上させることができる。
コーナー部329の角を丸めるにあたっては、異方性エッチングの後に、さらに、等方性エッチングを行うことで実現できる。
【0118】
(第5実施形態)
第5実施形態としては、変位電極371を一枚ではなく、複数に分割した例を説明する。
図72は、変位電極371を4つにした例である。
なお、対向する固定電極450は大きな一枚のままでよい(
図73)。ダイヤフラム320の裏面に変位電極371が4つある。
4つの変位電極371は、力伝達部321の真裏の点を中心とする回転対称に90度ずつ離れて配置されている。変位電極371の配設位置は、薄肉部323に相当する部位である。
【0119】
第1実施形態の構成では、Z軸方向(押下げ方向)である1軸に関してのみ力印加を検知できた。この
図72、73の例では、Z軸に直交するX軸およびY軸が追加された3軸の力検知が可能となる。
【0120】
例えば、力伝達部321が+X方向の成分を有する力で押されたとする。すると、+X方向側にある二枚の変位電極371a、371bは固定電極450に接近するように変位するであろう。
逆に、−X方向側にある二枚の変位電極371c、371dは固定電極450から離間するように変位するであろう。このように、X方向やY方向の力が力伝達に掛かると、4つの変位電極371a−371dはそれぞれ異なる方向に変位することから、3軸の力検知が可能となる。
【0121】
次に、
図74−
図76は、120°回転対称に3個の変位電極371a−371cを配置した例である。
図74は、表基板構造部300を表側から平面視した図である。
全体的に三角形であり、力伝達部321も薄肉部323も支持枠部325も三角形もしくは三角枠状である。
【0122】
このような構成においても、マトリックス演算によりX軸、Y軸およびZ軸の3軸力検知を行っても良い。4つの変位電極371を設けることに比べ、3回対称の電極配置により電極数を少なくできる。これにより、有効電極面積の増加、配線数の減少が可能となり、素子の簡素化による小型化、コスト低減が可能なる。
【0123】
図77−
図79は、6回対称の電極配置の例である。
図77は、表基板構造部300を表側から平面視した図であり、全体的に6角形である。
3回対称の電極配置に対して6回対称の電極配置では電極数は2倍になる。これにより、差動検知ができ、検出精度を向上させることができる。
【0124】
図80−
図82は、8回対称の電極配置の例である。この配置であれば、X軸およびY軸の差動検知のみならず、さらに、45°方向についても差動検知が可能となり、分解能をより高めることができる。
【0125】
図83−
図85は、円形ダイヤフラム320の例である。ダイヤフラム320を円形としておけば、変位電極371の配置は対称性を保つ範囲で自由なので用途に応じて変位電極371の数を増減できる設計自由度が増す。
【0126】
(第6実施形態)
図86−
図88とを参照して第6実施形態を説明する。第6実施形態においては、変位電極371が立体的に構成されている。この変位電極371の構造をシーソー型変位電極構造と称することにする。
【0127】
図86において、力伝達部321の真裏にはロッド601が垂下するように設けられている。
ロッド601の先端にシーソー型変位電極構造が取り付けられている。
【0128】
シーソー型変位電極構造を
図87を参照して説明する。
シーソー型変位電極構造の中心に押し板602がある。この押し板602がロッド601の先端に取り付けられる。押し板602から十字方向(X軸方向およびY軸方向)にリンク603が伸びている。各リンク603の先にはシーソー変位電極371a−371dが設けられている。各シーソー変位電極371a−371dは、リンク603と直交する方向にトーションバー604を有する。各トーションバー604は、固定部605に接続されて固定されている。固定部605は、構造本体部310に固定されている。固定部605は、変位しないようにするため、支持枠部325に対応する部位に接続固定する。(固定部の固定構造については図示を省略した。)この構成において、各シーソー変位電極371a−371dは、トーションバー604を回転軸(揺動軸)として微小角度回転(揺動)できる。
【0129】
裏基板構造部400に固定電極450を設けるのであるが、一つのシーソー変位電極371の回転軸(604)に対して右側と左側とに対になる2個の固定電極450a、450bを配置する(
図88参照)。シーソー変位電極371a−371bは4つであり、1つのシーソー電極に対して2個の固定電極450a、450bを設けるので、合計8個の固定電極450がある。
【0130】
このような構成において、力伝達部321に力が印加されるとダイヤフラム320(薄肉部323)がたわみ、ロッド601が変位する。このロッド601の変位がリンク603を介してシーソー変位電極371a−371dに伝わり、シーソー変位電極371a−371dがトーションバー604を回転軸として微小回転する。シーソー変位電極371a−371dが回転すると、例えばシーソー変位電極371の右側領域とそれに対向する固定電極450との距離が増加する。この場合、静電容量が減少する。同じく、シーソー変位電極371の左側領域とそれに対向する固定電極450との距離が減少する。この場合、静電容量が増加する。
このようにして、左右の静電容量を差動検出することができる。
【0131】
Z軸方向の力に対しては、4つのシーソー変位電極371a−371dが回転対称的に回動する。ここで、Z軸方向の力が掛かったときと、X軸方向またはY軸方向の力が掛かったときとでは、ロッド601を挟んだシーソー変位電極371a−371d同士の動き方が異なる。Z軸方向の力が掛かった場合、シーソー変位電極371a−371dのロッド601に近い側がすべて押下げられることになる。したがって、ロッド601を間にして反対にある二つのシーソー変位電極(例えば371aと371c)は互いに逆向きに回動することになる。これに対し、X軸方向成分の力が掛かったときには、ロッド601を間にして反対にある二つのシーソー変位電極371(例えば371aと371c)は同じ向きに回動する。したがって、シーソー変位電極371a−371dからの差動後の出力をさらに差動して、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の力に対応する静電容量変化を検知できる。
【0132】
第1実施形態と比べて見ると、第6実施形態ではZ軸方向についても完全差動検出が可能となる。ここで完全差動とは、力印加時に片方が増加、片方が減少する時、両者の差動により差動前の2倍の出力を得ることをいう。
これにより、検出感度の向上はもちろん、温度変化や経年変化による影響を排除でき、高い精度と安定性が得られる。
【0133】
(第7実施形態)
図89−
図91を参照して、第7実施形態として、接触力の検出にピエゾ抵抗効果を用いた例を説明する。本体構造部に作り込んだ集積回路340の上に表面絶縁層352を形成し、その上にピエゾ抵抗効果素子701を配設する。ピエゾ抵抗効果素子701としては、CrNi合金のような金属膜、Cr系酸化物のような酸化膜、Si、Geのような半導体膜、あるいは、カーボンや銀粒子を分散させたゴム系材料を利用できる。
【0134】
ピエゾ抵抗効果素子701を配置する場所としては、薄肉部323の真裏の領域であって、力伝達部321寄りの位置と支持枠部325寄りの位置とに配置するのが好ましい。これは、方形ダイヤフラム320の力印加時の歪みの分布(
図6)を考慮し、歪みが大きく発生する箇所にピエゾ抵抗効果素子を配設する意図である。そして、薄肉部323の内側寄り(力伝達部321寄り)に配置されたピエゾ抵抗効果素子701と薄肉部323の外側寄り(支持枠部325寄り)に配置されたピエゾ抵抗効果素子701とでは、力が掛かったときの符号が逆になる。したがって、差動出力を得ることができる。
【0135】
図90は、表基板構造部300の上面を平面視した図であり、ピエゾ抵抗効果素子701を透視して破線で示した。ピエゾ抵抗効果素子701は、四角枠状の薄肉部323の真裏において、内外のコーナー部に配設されている。このように対角線に沿って配置すれば、配置スペースが広い。
【0136】
さらに、p型Si(100)面のピエゾ抵抗係数は
図7のようになる。したがって、<110>方向にピエゾ抵抗効果素子を配置することにより、高い感度が得られることがわかる。
図90において方形ダイヤフラム320の辺の方向を<100>方向および<010>方向とすれば、ピエゾ抵抗効果素子の方向は<110>方向となり、極めて高い感度が得られる。
【0137】
この第7実施形態では、集積回路340と別個にピエゾ抵抗効果素子701を設ける例を説明した。集積回路340にSiピエゾ抵抗効果素子を組み込んでしまっても良いが、集積回路340のロジックプロセスや設計ルールと整合性が良くないので、特別なLSIとなり作りにくく、価格が極めて高くなる。したがって、上記のように、集積回路340と別個にピエゾ抵抗効果素子を設けた方がよい。
【0138】
図91は、検出方式にピエゾ抵抗効果を用いた場合の回路構成の例である。この例に示されるように、ピエゾ抵抗効果を検知方式として用いた場合は信号処理回路にアナログ部が多くなる。
その結果、回路中に示された各抵抗値が変わり回路特性が大幅に変化する懸念がある。また、アナログアンプを多用しているので、アナログアンプのゼロ点、増幅率もピエゾ抵抗効果の影響を受けやすい。
従来は、支持枠部325に対応する領域にアナログ回路を総て配置するようにしていたので、センサ装置200の大型化を招いていた。第1実施形態で説明したように、力伝達部321の真裏の領域にアナログ回路を形成してもよい。これにより、ピエゾ抵抗効果を用いた場合にセンサ装置200を格段に小型化でき、その結果、大幅なコスト削減にも繋がる。
【0139】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。上記実施形態では、集積回路340の表面に表面絶縁層352と入出力端子351とが形成されていた。
ここで、集積回路340の表面に絶縁層が無い場合には、集積回路340の上に絶縁層を改めて形成する必要がある。このとき、前記絶縁層にはビアを設け、下地の集積回路340の電極パッドと電気的に導通するようにしておく。そして、前記絶縁層の上に配線を形成するにあたっては、前記ビアと電気的導通を取るようにする。