(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユニット底板の下方に配設したソケット基板上に設けたコネクタを、前記ユニット底板に設けた貫通孔に通して、ユニット底板の上方に突出させ、その上方からLED基板に設けたコネクタを差し込むことにより、ソケット基板のコネクタとLED基板のコネクタとを結合した請求項1記載の船灯。
外筒部における底板に立設した支柱を、ユニット底板に設けた貫通孔を通し、かつ前記支柱の上端をユニット上板に固着することにより、外筒部とLEDユニット部とを結合した請求項1または2記載の船灯。
ベース部における底板上に、複数の起立壁を正多角形状に突設し、そこに外筒部における底板の下面に設けた正多角形部を嵌合することにより、外筒部をベース部に対して回り止めし、かつ前記外筒部における正多角形部の上方に設けた小径頸部に、前記ベース部の外周部から求心方向に挿入した抜け止めねじの先端部を嵌合することにより、外筒部をベース部から抜け止めした請求項1〜3のいずれかに記載の船灯。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載されている船灯においては、
図13に模式的に示すように、支柱用金属筒01の外周面に複数のLED02が円周方向に並べて取り付けられているので、円弧状とした遮光壁03の側縁03aの内側を通る光線には、側縁03aに直近のLED02aから発せられた光線04aだけでなく、側縁03aから離れた位置にあるLED02xから発せられた光線04xも含まれ、遮光壁03の外側におけるこの光線04aと光線04xとによって挟まれた領域に、光量が開口の縁から離れるにつれて漸次低下する減衰領域05が形成され、この減衰領域05が大となるほど、遮光範囲の境界が不鮮明となり、船灯としては好ましくないものとなる。
【0006】
特許文献3に記載されている船灯においては、光源は点光源として捉えることができるが、リフレクタの反射面が、2個の焦点を持つ楕円弧を、中心軸線を中心に回転させた曲面形状としてあるため、点光源から発せられて、反射面の別の部分で反射された光線が、シェードの内側の縁を通って外側に拡散するため、上記の減衰領域05と同様のものが形成され、遮光範囲の境界が不鮮明となっている。
【0007】
それに対して、船舶の安全な航行を維持するため、海上衝突予防法や海上交通安全法等においては、船舶の種類や大きさに応じて、備えるべき船灯の灯火の色彩、射光範囲、照度、光到達距離等が定められており、特に射光範囲に関しては、マスト灯は、船体中心線から左右にそれぞれ112.5°、右舷灯および左舷灯に関しては、船体中心線から右または左にそれぞれ112.5°と厳格に定められており、その境界部分の許容限度についても、厳しく定められている。
【0008】
そのため、従来のこの種の船灯においては、上記の射光範囲上の制約を満足させるため、本来の遮光壁の外側におけるある程度離れた場所に、第2の遮光壁を配設して、本来の遮光壁による遮光範囲の境界の不鮮明さを補うようにしているのが現状である。
しかし、このような対策は、大型の船舶においては可能であるが、小型の船舶においては、第2の遮光壁を配設するスペースがなく、実施が困難なことが多い。
さらに、従来の船灯は、LED基板の交換のためにその構成部品を細部にわたって分解しなければならず、分解、組み立ての時間及び工数がかかっていた。
【0009】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、LED基板を、多くの部品を外すことなく、適時に、かつ容易に、着脱および交換することができ、しかも構造および組み付け作業が簡単な船灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 不透明のベース部と、前記ベース部上に支持された無色透明の円筒形の外筒部と、前記外筒部の内部に配置されたLEDユニットと、前記LEDユニットの上方を閉塞するようにして、前記外筒部の上端に着脱可能として装着された蓋部とを備え、前記LEDユニットは、ユニット底板と、このユニット底板上に着脱可能として装着され、かつLEDが設けられたLED基板と、前記外筒部の一部の内面に沿うようにして、前記ユニット底板上に配設され、前記LEDからの光を部分的に遮光するフィルタと、前記フィルタ上に配設され、前記ユニット底板との間に前記フィルタを挟むようにして、前記フィルタを支持するとともに、前記LED基板を取り出すことができる大きさの窓孔が設けられたユニット上板とを備えるものとする。
【0011】
このような構成によると、蓋部を外すだけで、LED基板を、LEDユニットごと外筒部から外すことなく、ユニット上板に設けた窓孔を通して、適時に、かつ容易に、着脱および交換することができる。
【0012】
(2) 上記(1)項において、ユニット底板の下方に配設したソケット基板上に設けたコネクタを、前記ユニット底板に設けた貫通孔に通して、ユニット底板の上方に突出させ、その上方からLED基板に設けたコネクタを差し込むことにより、ソケット基板のコネクタとLED基板のコネクタとを結合する。
【0013】
このような構成によると、ソケット基板をユニット底板の下方に配設しても、ソケット基板とLED基板とを、簡単に電気的に接続することができるとともに、ユニット底板を挟んで、LED基板とソケット基板とを容易に結合させることができる。
【0014】
(3) 上記(1)または(2)項において、外筒部における底板に立設した支柱を、ユニット底板に設けた貫通孔を通し、かつ前記支柱の上端をユニット上板に固着することにより、外筒部とLEDユニット部とを結合する。
【0015】
このような構成によると、支柱の上端をユニット上板に固着するだけで、外筒部とLEDユニット部とを結合できるだけでなく、LEDユニット部におけるユニット底板とユニット上板とを同時に結合することができ、組み付け作業手順を簡略化することができるとともに、構造を簡素化することができる。
【0016】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、ベース部における底板上に、複数の起立壁を正多角形状に突設し、そこに外筒部における底板の下面に設けた正多角形部を嵌合することにより、外筒部をベース部に対して回り止めし、かつ前記外筒部における正多角形部の上方に設けた小径頸部に、前記ベース部の外周部から求心方向に挿入した抜け止めねじの先端部を嵌合することにより、外筒部をベース部から抜け止めする。
【0017】
このような構成によると、抜け止めねじを外して、LEDユニット部をベース部から持ち上げ、LEDユニット部の向きを変えて、再度ベース部内に挿入するだけで、ベース部に対するLEDユニット部の取付角度を、マスト灯、右舷灯、左舷灯等の用途に応じて、適時に簡単に、しかも正確に変更することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、LED基板を、多くの部品を外すことなく、適時に、かつ容易に、着脱および交換することができ、しかも構造および組み付け作業が簡単な船灯を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の船灯の実施形態を,図面に基づいて説明する。
図1〜
図10は、本発明の船灯の第1の実施形態を示す。
図1〜
図5に示すように、この船灯は、ベース部1と、外筒部2と、LEDユニット部3と、蓋部4とからなっている。
【0021】
ベース部1は、
図4に示すように、円形の底板6の中央に嵌合孔7が設けられ、かつ底板6の外周縁に短寸の円筒形の起立縁8が設けられた有色不透明の合成樹脂材料よりなるベース5を備えている。
ベース5における底板6の上面には、6個の起立壁9と、それらの相互間を結合する低寸の連結壁10とが、嵌合孔7を囲む正六角形をなすようにして立設されている。
ベース5の後部における起立縁8の内側には、抜け止めねじ11を後方から取り付けるためのボス部12が設けられている。
底板6の上面における6個の起立壁9より外側の部分には、船灯を船体に取り付けるための取付ねじ13挿通用の3個の取付孔14が設けられ、同じく、6個の起立壁9より内側の部分には、6個の起立壁9がなす六角形のコーナー部を示すマーク15が付設されている。
【0022】
外筒部2は、無色透明の合成樹脂材料よりなる外筒体16を備えている。
この外筒体16は、中央に段孔状の嵌合孔17が設けられた円形の底板18と、底板18の外周縁に立設された円筒形の筒部19と、
図7に示すように、底板18の下面に、小径頸部20を介して連設された六角部21と、六角部21の下面に連設された小径筒部22とを備えている。嵌合孔17は、
図7に示すように、テーパー孔状の小径孔17aの上端に、複数の拡径段孔17bが連設されたものよりなっている。
外筒体16における筒部19の上部外周面の一部には、船首方向を示す三角形の突起状の船首方向マーク19aが設けられている。
【0023】
底板18上には、上端中央にねじ孔23が設けられた3本の支柱24が、底板18と同心の円周上に適宜の間隔をもって立設されるとともに、さらにその外側には、1個または複数個の位置決めピン25が立設されている。
【0024】
外筒体16における小径筒部22の外周面には環状溝26が設けられ、そこには、Oリング27が嵌合されている。
【0025】
このOリング27が、ベース5における嵌合孔7の内面に圧接するようにして、外筒体16の小径筒部22を嵌合孔7に、また六角部21を、6個の起立壁9および連結壁10内にそれぞれ嵌合し、外筒体16をベース5に回り止めし、かつベース5の後方よりボス部12内に求心方向に向けて挿入した抜け止めねじ11の先端部を、外筒体16の小径頸部20に嵌合することにより、外筒体16をベース5より抜け止めすることによって、外筒体16はベース5に強固に装着されている。
【0026】
LEDユニット部3は、
図5に示すように、有色不透明の合成樹脂材料よりなる円形のユニット底板28と、同じく円形のユニット上板29と、それらの間に配設された3枚のLED基板30と、それらを囲む交換可能な3枚の円弧状のフィルタ31、32、33と、ユニット底板28の下面に配設された平面視ほぼ三角形のソケット基板34とを備えている。
【0027】
ユニット底板28の上面中央には、截頭円錐形のボス35が設けられており、その上端面には、ナット36が嵌合された六角孔37と、それを囲む3個の位置決め突起38とが設けられている。
【0028】
ユニット底板28の周縁部上面には、各フィルタ31、32、33の下端面に設けた突条31a、32a、33aが嵌合するようにした平面視円弧状の溝39、40、41が設けられ、その内方におけるユニット底板28の上面には、外筒部2における3本の支柱24が貫通する3個の円形の貫通孔42と、同じく3個の位置決めピン25が嵌合する位置決め孔43と、ソケット基板34のコーナー部の上面に設けた3個のコネクタ44が貫通する方形の3個の貫通孔45と、船首方向を示す三角形の船首方向マーク46とが設けられている。
【0029】
また、ユニット底板28の上面には、3個の各LED基板30の下半部の両側縁が上方より挿入しうるようにした保持溝47aが対向面に設けられた3対の基板保持柱47、47が、それによって保持される3個のLED基板30がボス35の中心を通る中心軸線Oを中心とする三角形の配置をなすようにして立設されている。
【0030】
各LED基板30は、上半部がわずかに拡幅するほぼ方形の板状をなし、両側部に複数の放熱孔48が上下方向に並べて設けられている。
各LED基板30の外側面のほぼ中央にはLED49が設けられ、同じく下端部中央には、LED49に給電するとともに、ソケット基板34の対応するコネクタ44に接続可能としたコネクタ50が設けられている。
【0031】
ユニット上板29の上面中央には、段付き孔51が設けられ、その外側における3本の支柱24の上端に設けられたねじ孔23に対応する部分には、固定ねじ52のための3個のねじ挿通孔53が設けられている。また、ユニット上板29の下面における段付き孔51の外周部には、3個の位置決め突起38が嵌合しうる3個の位置決め孔51aが設けられている。
ユニット上板29における、段付き孔51およびねじ挿通孔53が設けられた中央の三角形の部分を残して、その外側には、各LED基板30の上部が嵌合するようにした3個の円弧状の窓孔54が設けられている。
さらに、ユニット上板29の周縁部下面には、各フィルタ31、32、33の上端面に設けた突条31b、32b、33bが嵌合するようにした円弧状の溝55、56、57が設けられている(
図6および
図7参照)。
【0032】
ソケット基板34には、ユニット底板28の下面に下向き突設した2個の位置決めピン(図示略)が嵌合するようにした2個の位置決め孔58、58(
図5参照)が設けられている。
ソケット基板34の下面には、コネクタ44に接続された接続配線59が垂下しており、この接続配線59は、ソケット基板34の下面に配設したゴムブッシュ60内へ挿通されている。
ゴムブッシュ60の上端の拡径フランジ60aには、ソケット基板34の位置決め孔58、58と同様の位置決め孔61、61が設けられ、これらに、ソケット基板34の位置決め孔58、58を貫通して下方に突出した2個の位置決めピン(図示略)が嵌合されるようになっている。
【0033】
蓋部4は、
図4に示すように、上面中央に段孔状のボルト挿通孔62が設けられた円板状の蓋板63と、その下面に配設した円環状のパッキン64と、ボルト挿通孔62を挿通するボルト65と、Oリング66とからなっている。
【0034】
次に、この船灯の組み付け要領について説明する。
まず、ユニット底板28の下面に設けられた上記2個の位置決めピン(図示略)が、ソケット基板34における対応する位置決め孔58にそれぞれ嵌合するようにして、ソケット基板34上にユニット底板28を積み重ね、ソケット基板34上の3個のコネクタ44を、対応する貫通孔45に嵌合して、各コネクタ44の上部を、ユニット底板28の上面より上方に突出させるとともに、ソケット基板34の下面より垂下する接続配線59を、ゴムブッシュ60内に挿通させて、ゴムブッシュ60の位置決め孔61を、ソケット基板34の位置決め孔58より下方に突出する位置決めピンに嵌合して、ユニット底板28とソケット基板34とゴムブッシュ60とを重ね合わせておく。
【0035】
次いで、互いに重ね合わせたソケット基板34とユニット底板28とゴムブッシュ60とを、ゴムブッシュ60が外筒体16の嵌合孔17の小径孔17a内に嵌合され、ソケット基板34のコーナー部が嵌合孔17の最も大径の拡径段孔17bに受止され、3本の支柱24が対応する貫通孔42を貫通し、3個の位置決めピン25が対応する位置決め孔43に嵌合されるようにして、外筒体16内に押し入れる。
【0036】
次いで、LED49が装着された3枚のLED基板30を、対応する1対の基板保持柱47の保持溝47a内に上方より差し込み、コネクタ50を、ユニット底板28の上面より上方に突出しているコネクタ44に接続させる。
【0037】
次いで、またはLED基板30を基板保持柱47に装着するのに先だって、3枚のフィルタ31、32、33を、その下端の突条31a32a、33aが、ユニット底板28の上面における対応する溝39、40、41に嵌合するようにして、ユニット底板28上に装着した後、ボス35の上端の六角孔37にナット36を嵌合し、その上方からユニット上板29を、その下面の溝55、56、57にフィルタ31、32、33の上端の突条31b、32b、33bが嵌合し、3個の位置決め孔51aにボス35の上端における対応する位置決め突起38が嵌合し、各LED基板30の上端部が対応する窓孔54内に嵌合し、かつねじ挿通孔53が支柱24のねじ孔23に整合するようにして被せ、その上方から3個の固定ねじ52を、ねじ挿通孔53に通して、各支柱24のねじ孔23に螺合して、ユニット上板29を外筒体16に締め付けて、外筒部2とLEDユニット部3とを結合する。
【0038】
外筒部2とLEDユニット部3とを結合した状態で、外筒体16の小径筒部22の外周部における環状溝26にOリング27を嵌合し、その小径筒部22がベース5における嵌合孔7に嵌合し、かつ六角部21がベース5における6個の起立壁9および連結壁10内に嵌合されるようにして、外筒部2の下部をベース部1内に嵌合した後、ベース5のボス部12内に螺合した抜け止めねじ11の先端部を、外筒体16の小径頸部20に突入させて、外筒部2の下部をベース部1から抜け止めすることにより、外筒部2とLEDユニット部3とを、ベース部1に固定する。
【0039】
最後に、ユニット上板29の段付き孔51の段部にOリング66を、またユニット上板29の周縁部上面にパッキン64を載置した後、その上方より、蓋板63を被せ、ボルト65を、蓋板63のボルト挿通孔62と、Oリング66と、ユニット上板29の段付き孔51とに挿通させ、かつナット36に螺合させて締め付けることにより、船灯が完成する。
【0040】
この実施形態においては、フィルタ32、33は、中心軸線Oを中心として、船首方向から左右にそれぞれ112.5°の角度範囲を覆うように、またフィルタ31は、それ以外の角度範囲、すなわち、船尾方向に向かって360°−112.5°×2=135°の角度範囲を覆うように設定してあり、3個のLED49は、中心軸線Oから船首方向を向く直線上と、その直線に対して、中心軸線Oから左右にそれぞれ112.5°の角度をなす直線、すなわち、フィルタ31とフィルタ32、33との突き合わせ部分と中心軸線Oとを通る直線上とに中心が一致するように配設してある。
【0041】
この船灯を、マスト灯として使用するときは、
図8に示すように、フィルタ31として、黒色等の不透光性のものを使用して、これを遮光壁Sとし、フィルタ32、33は無色透明のものとするか、またはLEDユニット部3から完全に外し、3枚のLED基板30に装着するLED49は白色のものとする。
【0042】
こうすることによって、中心軸線Oを中心とする同一円周上に3個のLED49が配設され、かつその外側に、中心軸線Oを中心とする開口角度θ1=225°の開口67を残して、それ以外の角度範囲(360−θ1=135°)が遮光壁Sによって遮蔽され、中心軸線Oと遮光壁Sの両縁とを通る直線L上に、直近のLED49が、その中心が直線Lと一致するようにして配設され、かつ他のLED49から発せられる光線が、直線Lより開口67の外側に拡散しないように設定した船灯が形成される。
この場合、各LED49の投光角度θ2は、112.5°〜180°とするのが好ましい。
【0043】
各LED49は、その投光角度θ2の2等分線である投光中心線Cが直線Lと一致するようにして配設し、かつ各LED基板30は、装着したLED49の投光中心線Cと直交する方向を向くようにするのが好ましいが、この実施形態においては、製造の便宜上、3個のLED基板30を、中心軸線Oを中心とする正三角形の配置とし、かつ各LED49を、その投光中心線Cが各LED基板30と直交するようにしてLED基板30に取り付けているため、LED49の投光中心線Cと各直線Lとは完全には一致していない。
しかし、LED49の投光中心線Cと各直線Lとは、この実施形態のように、完全には一致していなくとも、近似的に一致していれば十分である。
【0044】
船首方向を向くLED49の投光角度θ2は、そのLED49から発せられる光線が、直線Lより開口67の外側に拡散しないようにするため、開口角度θ1より小としてある。
【0045】
図8に示す船灯によると、いずれのLED49から発せられる光線も、直線Lより開口67の外側に拡散することがないので、
図13に示すような減衰領域05が発生することがなく、また開口67の側縁である遮光壁Sの縁の内側には、直近のLED49の投光中心線Cに近い光線が通るので、遮光壁Sによる遮光範囲の境界を鮮明にすることができる。
したがって、従来のような第2の遮光壁等を設けることなく、狭い範囲内において、遮光壁による遮光範囲の境界を鮮明にすることができ、船灯全体を小型化することができる。
【0046】
船灯を、左舷灯として使用するときは、
図9に示すように、フィルタ31、33として、黒色等の不透光性のものを使用して、これを遮光壁Sとし、フィルタ32は無色透明もしくは赤色透明のものとするか、またはLEDユニット部3から完全に外し、右舷側を向くLED49は、LED基板30ごとLEDユニット部3から取外し、残りの2個のLED49は、赤色もしくは白色(フィルタ32を赤色透明のものとした場合のみ)のものとする。
【0047】
こうすることによって、中心軸線Oを中心とする同一円周上に2個のLED49が配設され、かつその外側に、中心軸線Oを中心とする開口角度θ1=112.5°の開口67を残して、それ以外の角度範囲(360−θ1=247.5°)が遮光壁Sによって遮蔽され、中心軸線Oと遮光壁Sの両縁とを通る直線L上に、投光角度がθ2のLED49が、その投光角度θ2の2等分線である投光中心線Cが直線Lと一致するか、または近似的に一致するようにして配設され、かつ他のLED49から発せられる光線が、直線Lより開口67の外側に拡散しないように設定した船灯が形成される。
この場合、各LED49の投光角度θ2は、112.5°〜180°とするのが好ましい。
【0048】
図9に示す船灯においても、
図8に示す船灯と同様に、2個のいずれのLED49から発せられる光線も、直線Lより開口67の外側に拡散することがないので、
図13に示すような減衰領域05が発生することがなく、また開口67の側縁である遮光壁Sの縁の内側には、直近のLED49の投光中心線Cに近い光線が通るので、遮光壁Sによる遮光範囲の境界を鮮明にすることができる。
したがって、従来のような第2の遮光壁等を設けることなく、狭い範囲内において、遮光壁による遮光範囲の境界を鮮明にすることができ、船灯全体を小型化することができる。
【0049】
船灯を、右舷灯として使用するときは、
図9に示すものを、船首方向を中心として、左右対称の構造とし、フィルタおよびLED49の色彩を緑色に変更する。
すなわち、フィルタ31、32として、黒色等の不透光性のものを使用して、これを遮光壁Sとし、フィルタ33は無色透明もしくは緑色透明のものとするか、またはLEDユニット部3から完全に外し、左舷側を向くLED49は、LED基板30ごとLEDユニット部3から取外し、残りの2個のLED49は、緑色もしくは白色(フィルタ32を緑色透明のものとした場合のみ)のものとする。
【0050】
こうすることによって、
図9に示す左舷灯の場合と同様の作用および効果を奏することができる。
【0051】
船灯を、船尾灯として使用するときは、
図10に示すように、フィルタ32、33として、黒色等の不透光性のものを使用して、これを遮光壁Sとし、フィルタ31は無色透明のものとするか、またはLEDユニット部3から完全に外し、船首方向を向くLED49は、LED基板30ごとLEDユニット部3から取外し、残りの2個のLED49は、白色のものとする。
【0052】
こうすることによって、
図8に示すマスト灯の場合と同様の作用および効果を奏することができる。
【0053】
図11は、本発明の船灯の第2の実施形態における左舷灯として使用するときの遮光壁とLEDとの関係を模式的に示す概略横断平面図である。
この例では、
図5におけるボス35に相当する円筒状の支柱68の外周面に、複数のLED69を取り付けてある。
【0054】
すなわち、中心軸線Oと遮光壁Sの両縁とを結ぶ直線L上に配設した2個のLED69、69間における中心軸線Oを中心とする同一円周上に、1個(または複数個)の中間LED69を配設し、かつ互いに隣接するLED69、69の間に、中間LED69の光線が直線Lより開口の外側に拡散するのを阻止するようにした遮蔽板70を、支柱68の外周面に設けてある。
その他の構成は、上述の第1の実施形態と同一とすることができる。
【0055】
このような構成によると、LED69の個数を増加して、照度を上げても、減衰領域が発生することがなく、遮光壁Sによる遮光範囲の境界を鮮明にすることができる。
【0056】
図12は、本発明の船灯の第3の実施形態における左舷灯として使用するときの遮光壁とLEDとの関係を模式的に示す概略横断平面図である。
この例では、
図11に示す第2の実施形態における遮蔽板70を支柱68の外周面に設ける代わりに、中心軸線Oと遮光壁Sの両縁とを結ぶ直線L上に配設した2個のLED69、69間における中心軸線Oを中心とする同一円周上に、投光角度θ3の境界線θ3aが直線Lより開口67の内側に位置するようにした1個(または複数個)の中間LED69を、支柱68の外周面に取り付けてある。
その他の構成は、上述の第2の実施形態と同一である。
【0057】
このような構成によると、LED69の個数を増加して、照度を上げても、減衰領域が発生することがなく、遮光壁Sによる遮光範囲の境界を鮮明にすることができる。しかも、上記第2の実施形態におけるような遮蔽板70を省略することができ、構造を簡素化することができる。
【0058】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、例えば、次のような幾多の変形した態様での実施が可能である。
(a) 船灯の組み付け手順を変更する。例えば、LEDユニット部3を先に仮組みしておいてから、それを外筒部2内に収容したり、ユニット上板29を支柱24に固定ねじ52をもって固定した後に、2枚または3枚のLED基板30を、窓孔54を通して、LEDユニット部3に装着する。
(b) 蓋板63を外した状態で、2枚または3枚のLED基板30を、窓孔54を通して、交換する。
(c) 複数のLED基板30に代えて、円筒形の基板をLEDユニット部3の中央に配設し、その外周面に、複数のLEDを、円周方向に適宜の間隔をもって設ける。
(d) 射光範囲の変動等に応じて、ベース部1における起立壁9の個数と配置、および外筒部2における六角部21の外形を、正六角形以外の、例えば正八角形等の正多角形とする。
(e) フィルタ31を、黒色不透明、フィルタ32を、赤色のみを透過する赤色透明、フィルタ33を、緑色のみを透過する緑色透明とし、各LED基板30の水平方向の中央部に、赤色LED49と緑色LEDとを上下に並べて設ける。
これによると、本発明を、両色灯にも適用できるとともに、フィルタを選択するだけで、表示しようとする色彩を変えることができ、しかも船首方向中心線を境界として、2色を正確に分離することができる。