(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  前駆体供給部及び前駆体排出部が提供される成膜空間及びガスベアリングを備える導入ヘッドであって、前記供給部及び前記排出部が、前記前駆体供給部から前記成膜空間を介して前記前駆体排出部へ前駆体ガス流動を提供するように配置され、使用時には前記成膜空間が前記導入ヘッド及び基板表面によって画定され、前記ガスベアリングが、前記導入ヘッドと前記基板表面との間に、ガスベアリングを形成するベアリングガスを導入するように構成されたベアリングガス導入部を備える、導入ヘッド;
  前記導入ヘッドと対向して配置され、搬送平面内に導入ヘッドガスベアリング圧力に対抗するガスベアリング圧力構成を提供するように構成された支持部であって、前記基板が、前記導入ヘッドと前記支持部との間で前記ガスベアリング圧力構成によって、支持されることなく均衡される、支持部;並びに
  駆動部(18)を備える搬送システムであって、前記駆動部が、前記基板の平面に沿った前記基板及び前記導入ヘッドの相対的な移動を提供するように構成される搬送要素を備え、前記駆動部の前記搬送要素が、方向を定められたガス流動を提供し、前記相対的な運動を提供する駆動ポケットを形成する少なくとも1つのガス吸入部及び少なくとも1つのガス放出部を備え、少なくとも1つの前記ガス吸入部が、処理される前記基板表面に対向し、少なくとも1つの前記ガス放出部が反応物質を提供するように構成されて、前記駆動部内に、前記成膜空間内に供給される前記前駆体と反応する反応物質を提供する、搬送システムを備える、薄板状の基板の表面上への原子層成膜のための装置。
  前記成膜空間が、前記基板表面に対して成膜空間高さD2を画定し;前記ガスベアリングが、前記基板に対して、前記成膜空間高さD2よりも小さな空隙間隔D1を画定する、請求項1に記載の装置。
  前記前駆体排出部が、前記前駆体供給部に隣接して提供され、前記基板の搬送方向と平行な前駆体ガス流動を画定し;及び/または、使用時には、前記前駆体排出部及び前記前駆体供給部が、共に基板表面に対向する、請求項1または2に記載の装置。
  前記導入ヘッドが、前記前駆体供給部;排出部及び/または前記ガス導入部のいずれかを、基板の存在に依存して切り替えるための圧力制御部を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
  前記支持部が、前駆体排出部に対向する排出部を備え、前記支持部の前記排出部が、前記成膜空間内の基板の存在に依存して切り替え可能であり、基板端部が前記前駆体排出部を通過すると、前駆体流動が、前記支持部に対向する前記基板表面から離れるように提供される、請求項4に記載の装置。
  前記導入ヘッドが、反応物質供給部が提供される追加的な成膜空間を備え、使用時には、前記追加的な成膜空間が、流動障壁によって画定され、前記装置が、好適には反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射のうち少なくとも1つを、前記追加的な成膜空間内に提供して、前記基板表面の少なくとも一部の上に前記前駆体ガスを付与した後に前記前駆体を反応させるように構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  前記導入ヘッド成膜空間が、前記基板表面の平面に、導入ヘッド成膜空間の幅を画定する前記搬送方向に対して横断する方向に延長する細長い形状を有し、前記駆動部内において、前記反応物質供給部が、駆動部成膜空間内に提供され;前記駆動部成膜空間が、前記導入ヘッド成膜空間の幅よりも広い幅方向の寸法を有する、請求項7に記載の装置。
  前記搬送システムが、ガス吸入部及び放出部が交互に配置されて提供される搬送要素を備え;ガスベアリング圧力及び前記搬送平面に沿ったガス流動を提供し、前記ガス流動を制御することによって前記基板の移動を提供するように構成されたガス流動制御システムを備える、請求項1に記載の装置。
  前記ガス放出部及び吸入部の対が、前記搬送平面に対向するポケット内に提供されて、前記ポケット内に前記搬送平面に沿って放出部から吸入部への流動を提供し、前記ガス放出部が、前記基板平面に沿って前記基板を移動させるための指向性ベアリング力を有する指向性エアベアリングを提供する流動制限部を有して提供される、請求項10に記載の装置。
  基板を心出しするための第1の心出しエアベアリング及び第2の心出しエアベアリングを有して提供され、前記搬入領域と前記搬出領域との間の中心線に沿って前記基板を移動させる、請求項7に記載の装置。
  導入ヘッドを含む装置を用いた基板表面上への原子層成膜の方法であって、前記導入ヘッドが、前駆体供給部及びベアリングガス導入部で提供されるガスベアリングを有して提供される成膜空間を備え、
  a)前記前駆体供給部から前記成膜空間内に前駆体ガスを供給して前記基板表面に接触させる段階;
  b)前記導入ヘッドと前記基板表面との間にガスベアリングを形成するベアリングガスを導入する段階;
  c)前記成膜空間と前記基板との間に、前記基板表面の平面での相対的な運動を確立する段階;及び
  d)搬送平面内の前記導入ヘッドガスベアリング圧力に対抗するガスベアリング圧力の構成を提供し、前記導入ヘッドと支持部との間の前記ガスベアリング圧力構成によって前記基板を支持することなしに均衡させる段階;
  e)駆動部において、前記基板側面(92)に向かうベアリングガス流動を提供し、使用時に、ベアリング圧力が前記基板の側面に対抗して提供され、搬送方向に沿って前記基板を心出しする段階;及び
  f)前記駆動部において、前記成膜空間内に供給される前駆体と反応する反応物質を提供する段階、を備える、方法。
  前記装置が反応空間を備え、前記前駆体を反応物質ガスと反応させる前記反応空間内に、前記基板表面の少なくとも一部に前記前駆体ガスを付与した後、反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射のうち少なくとも1つを提供して、前記基板表面の少なくとも一部に原子層を得る段階を備える、請求項13に記載の方法。
  ガスベアリング圧力及び前記搬送平面に沿ったガス流動を提供し、ガス流動システムの制御に対して前記基板の選択的な運動を提供して前記導入ヘッドに対する前記基板の往復移動を提供するように構成されたガス流動を提供する段階をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
  特に明記しない限り、同一の参照番号は図面を通して類似の構成要素を参照する。
 
【0018】
  図1は、本発明に従う実施形態の概略的な側面図を示す。例のように、導入ヘッド1は、ガスベアリング領域によって離隔された2つの成膜空間2、3を有することが示されている。原理的に原子層に関して、少なくとも2つの処理段階が必要とされる一方で、処理段階のうち1つのみが材料の成膜の関与が必要となりうる。そのような材料の成膜は、前駆体供給部4を有して提供される成膜空間2内で実施されうる。従って、この実施形態において、導入ヘッドは反応物質供給部40を有して提供されるさらなる成膜空間3を備え、さらなる成膜空間3は使用時にガスベアリング7によって画定されることが示されている。代替的にまたは追加的に、反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射の少なくとも1つが、基板表面上に少なくとも部分的に原子層を得るために、基板表面上に少なくとも部分的に前駆体ガスを付与した後に反応物質ガスと共に前駆体を反応させるための反応空間内に提供されうる。空間2及び3の好適なパージによって、供給部4及び40は処理中に切り替えられうる。
 
【0019】
  前駆体および反応物質供給部4、40は好適にはプラズマ成膜を可能にするために実質的な流動の制限がないように設計される。そのため、基板表面5に向かって、プラズマ流動はどのような流動の制限によっても妨げられない。
 
【0020】
  この実施形態において、前駆体ガスは、基板表面5に平行する流動によって成膜空間2内を循環する。ガス流動は、前駆体供給部4から成膜空間を介して前駆体排出部6まで提供される。使用時には、成膜空間2は導入ヘッド1及び基板表面5によって画定される。ガスベアリング7は、導入ヘッド1と基板表面5との間にベアリングガスを導入するための、成膜空間に隣接して配置されたベアリングガス導入部8を有して提供され、そのためベアリングガスは、導入された前駆体ガスを成膜空間2に閉じ込める一方でガスベアリングを形成する。前駆体排出部6は、追加的に、ベアリングガスを排出して成膜空間2、3内へベアリングガスが流入することを防ぐ機能を果たしうる。
 
【0021】
  本実施形態において、それぞれのガスベアリング7は、原理的には流動障壁としての大きさであるとして示されているが、これは必須ではない。例えば、成膜空間2、3を離隔する流動障壁は、効果的な流動障壁が提供されている限り、ガスベアリングとしての大きさであることを要しない。典型的には、流動障壁は、ガスベアリングが効果的であるような間隙の高さよりも大きな間隙の高さを有しうる。実際の例において、ガスベアリングは、5umから100umの範囲の間隙の高さで動作し、流動障壁は例えば、そのような値より大きくても、500umまで依然として効果的でありうる。また、流動障壁は基板9の存在に関わらず作動するように設計されまたは設計されないものでありうる一方で、ガスベアリング7は、基板9の存在時は単に流動障壁(またはさらにはガスベアリング)としてのみ効果的でありうる。重要なことに、成膜空間2、3の間の活性材料の流動は、汚染を防ぐためにどのようなときも流動障壁によって妨げられる。これらの流動障壁は、ガスベアリング7として設計されまたは設計されないものでありうる。
 
【0022】
  図1は搬送システムを具体的には示していない(より詳細には
図3を参照)が、基板9は、導入ヘッド2に対して相対的に移動され、成膜空間2及び3から材料の連続的な成膜を受ける。導入ヘッド1に対して基板9を往復移動させることにより、層の数を制御することができる。
 
【0023】
  重要なことに、基板9の中心線として示されうる搬送平面に沿って基板9に対する支持を提供する支持部10が提供される。支持部10は、導入ヘッドに対して反対側に配置され、搬送平面において導入ヘッドのガスベアリング7と均衡するガスベアリング圧力構成を提供するように構築される。効果を提供するために可能な配置が完全に対称でないが、好適には、導入ヘッド1によって提供されるのと同じ流動構成を支持部内に有することによって均衡が提供される。そのため、好適には、支持部10の各流体排出ノズルは、導入ヘッド1の対応するノズルに対して対称的に配置される。このようにして、導入ヘッド1と支持部10との間の前述のガスベアリング圧力構成によって、基板を支持されることなく、すなわち、機械的な支持がなく保持することができる。より一般的には、導入ヘッド1及び支持部10における流動配置の、搬送面に沿った位置の、0.5mmより小さく、特に0.2mmより小さい変動は、依然として同一の流動配置としてみなされうる。どのような機械的な支持もないことにより、このような支持の汚染の危険性を防ぐこととなり、このことは導入ヘッド1の基板9に対する最適な作動高さを確保することについて非常に効果的である。さらに、清浄化の目的のために必要なシステムの時間が短縮される。さらに、重要なことに、機械的支持がないことによって、システムの熱容量を減少させることができ、その結果、基板の製造温度までの加熱応答がより速くなり、製造処理量を顕著に増大させうる。
 
【0024】
  この点において、成膜空間は、基板表面に対する成膜空間高さD2を画定し、流動障壁として機能するガスベアリング7は、基板表面5に対向し、成膜空間高さD2より小さな空隙間隔D1を基板に対して画定する流動制限表面11を備える。成膜空間は、前駆体供給部4及び前駆体排出部6を有するように提供される。この供給部及び排出部は、前駆体供給部から成膜空間を介して前駆体排出部までの前駆体ガス流動を提供するように構成されうる。使用時には、成膜空間は、導入ヘッド1及び基板表面によって画定される。成膜空間は、深さD2−D1を有するキャビティ29によって形成されるものでありえ、そこでは供給部及び排出部が終端し及び/または始まる。従って、より一般的には、キャビティは成膜ヘッド1内に画定され、使用時には基板9に対向する。基板に対向するキャビティ29を有することによって、基板は実質的に基板に対する蓋を形成し、前駆体ガスの供給に関して閉鎖された環境が形成されると理解される。さらに、基板は、基板の様々な隣接部または隣接する基板またはその他の部分でさえそのような閉鎖部を形成しうるように提供されうる。装置は、実質的に前駆体ガスがキャビティから流出しないように、成膜ヘッド1の前駆体排出部6によってキャビティから前駆体ガスを排出するように構成されうる。ベアリング供給部はキャビティから離隔して位置しうることは明確でありうる。キャビティは、キャビティ内にガスベアリング層における処理条件とは異なる処理条件を適用可能でありうる。好適には、前駆体供給部4及び/または前駆体排出部6は、キャビティ内に位置する。
 
【0025】
  キャビティ29の深さD2−D1は、基板9と、ベアリングガス導入部8及び前駆体供給部を有して提供される導入ヘッドの出力面との間の距離が局所的に増加するように画定されうる。深さD2−D1は、10から500マイクロメートルの範囲、より好適には10から100マイクロメートルの範囲でありうる。
 
【0026】
  流動制限表面11は、ベアリングガス導入部8を含む突出部110によって形成されうる。ガスベアリング層は使用時には、例えば表面5と流動制限表面11との間に形成される。前駆体排出部30の間の距離C1は、典型的には1から10ミリメートルの範囲でありえ、これはまた成膜空間2、3の典型的な幅でもある。ガスベアリング層の典型的な厚さは、D1によって示され、3から15マイクロメートルの範囲でありうる。突出部110の典型的な幅C2は、1から30ミリメートルの範囲でありうる。基板9の平面外の成膜空間2の典型的な厚さD2は、3から100マイクロメートルの範囲でありうる。
 
【0027】
  このことによって、より効果的な処理の設定が可能となる。結果的に、例えば、供給部4から成膜空間2内へ導入される前駆体の体積流速は、ガスベアリング層内のベアリングガスの体積流速よりも高くなることができ、その一方前駆体ガスの導入に必要な圧力は、ガスベアリング層内へのベアリングガスの導入に必要な圧力よりも小さくなることができる。そのため、基板表面外の面で測定されたガスベアリング層7の厚さD
1は、一般的に成膜空間2の厚さD
2よりも小さくなりうることは了解されるであろう。
 
【0028】
  流路幅1mあたり例えば前駆体供給部から前駆体排出部までの距離に等しい及び典型的な距離L=5mmでの5×10
−4から2×10
−3m
3/sの典型的な流速及びでは、流路厚さD
c、例えば成膜空間2の厚さD
2は、好適には25から40μmよりも大きいものであるべきである。しかしながら、剛性及びガス分離に関して重要な要求に合致するために、及び必要とされるベアリングガスの量を最小化するために、ガスベアリング機能は、好適には前駆体導入ヘッドから基板までがずっと小さな距離、典型的には5μm程度であることを必要とする。しかしながら、5μmである成膜空間2の厚さD
2は、上述の処理条件では、20バールの許容できない高い圧力低下につながりうる。従って、好適には、ガスベアリング層(すなわち、厚さD
1)及び成膜空間(すなわち、厚さD
2)に関して異なる厚さを有する装置の設計が必要とされる。“平坦な”基板、例えばウェハまたはアスペクト比A(溝の深さを溝の幅で割ったもの)が10以下である多数の低アスペクト比(すなわち、浅い)溝8を含むウェハに関しては、処理速度は前駆体流速(kg/s)に依存し、前駆体ガス流速が高いほど、飽和時間が短くなる。
 
【0029】
  多数のAが50以上である高いアスペクト比の(すなわち、深く細い)溝を含むウェハに関しては、処理速度は前駆体流速“及び”前駆体分圧に依存しうる。両方の場合において、処理速度は成膜空間2の全圧にはほぼ独立でありうる。処理速度は成膜空間2の全圧には(ほとんど)独立でありうるが、成膜空間2の全圧が大気圧に近いことはいくつかの理由で有益でありうる。
 
【0030】
  1.大気圧以下の圧力では、成膜空間2におけるガスの速度v
gは増加することが望ましく、その結果成膜空間2に沿った望ましくない高い圧力低下をもたらす。
 
【0031】
  2.より低い圧力では、ガスの速度v
gの増加が成膜空間2内のガス滞留時間の低下につながり、これは収率に対して悪影響を有する。
 
【0032】
  3.より低い圧力では、ガスベアリング層を通した成膜空間2からの前駆体の漏洩の抑制が、より効果的でなくなりうる。
 
【0033】
  4.より低い圧力では、高価な真空ポンプが必要となりうる。
 
【0034】
  成膜空間2内のガスの速度v
gの下限は、基板の横断速度v
sによって決定されうる。一般には、成膜空間2内の非対称な流動のふるまいを防ぐことができるように、以下の条件が好適には満足されるべきである。
 
【0036】
  この条件は、反応空間3の厚さD、D
2の好適な上限を提供する。上述の必要性の少なくとも1つ、好適には全てに合致することによって、ALD成膜システムは、平板なウェハ上及び多数の高アスペクト比の溝を含むウェハへの高速連続ALDが得られる。
 
【0037】
  従って、使用時には、成膜空間2のガス全圧は、追加的な成膜空間3のガス全圧と異なるものでありうる。成膜空間2のガス全圧及び/または追加的な成膜空間3のガス全圧は、0.2から3バールの範囲でありえ、例えば0.5バールまたは2バール、または10ミリバール程度の低さでもありえ、特に0.01バールから3バールの範囲でありうる。そのような圧力値は、前駆体の特性、例えば前駆体の揮発性に基づいて選択されうる。加えて、装置はベアリングガス圧力と成膜空間内のガス全圧との均衡に関して、成膜空間外への前駆体ガスの流出を最小化するように構成されうる。
 
【0038】
  図2は、基板の端部90が導入ヘッド1内の多数のノズルを通過する状況に関して、切り替え可能な構成を概略的に示している。好適な実施形態に従えば、導入ヘッド1は、前駆体供給部4、排出部6及び/またはガス導入部8を基板9の存在に依存して切り替えるための圧力制御部13を備える。明確化のために、いくつかの切り替えラインのみが図示されている。ベアリングガス圧力を等しくするために、対向するベアリングガス導入部8のベアリングガスラインは、等しくされたベアリングガス圧力を提供するように結合されうる。
図2においてXマークで概略的に示されるように、外側ノズル70のベアリングガス圧力はオフの状態に切り替えられうる。基板が成膜空間3に存在するときには、便宜上前駆体供給部4もオフに切り替えられうる。好適には、前駆体供給部4をオフにする直前に、前駆体排出部6に対向する排出部60をオフとし、この排出部60は成膜空間内の基板9の存在に依存して切り替え可能であり、基板の端部90が前駆体排出部を通過すると、前駆体の流動は支持部に面した基板表面から離れるように提供される。
 
【0039】
  圧力制御部13は、成膜空間2内の圧力を制御するための成膜空間圧力を制御しうる。加えて、制御部13は、ガスベアリング層7内のガスベアリング層圧力を制御する。
 
【0040】
  従って、ガス流動7がガスベアリング圧力を提供するように配置されるように提供され、ガス流動が基板9の存在に依存して切り替えられうる方法が示され、これによって、基板端部90が排出部60を通過すると、排出部は選択的にオフとなって基板9から離れる流動を提供する。
 
【0041】
  図3は、他の一実施形態の概略平面図を示している。ここでは、導入ヘッド1が平面図で概略的に示されている。導入ヘッド1は、交互に配置され、それぞれがガスベアリング/流動障壁7で画定された、それぞれ前駆体および反応物質のための成膜空間2、3のスリットを備える。基板は、導入ヘッドが稼働している稼働領域16内に搬入領域15から搬入されることが示されている。稼働領域16は、搬入領域15に隣接し、搬送平面に対して、基板がこれらの領域15、16間を容易に搬送可能なように配置されている。追加的な搬出領域17が提供されうる。処理段階に依存して、搬入及び搬出は入れ替えることが可能である。そのため、基板9は、2つの領域15、17の間を、稼働領域16を通して中心線に沿って往復移動することが可能である。
 
【0042】
  示された実施形態において、搬送システムは、搬送平面に面し、放出部182から吸入部181へ向かう搬送平面に沿った流動183を提供する対となったガス吸入部181及び放出部182が提供される。明確化の理由のために、図にはただ1つの対のみが参照符号を付されている。ガス流動制御システムは、ガスベアリング圧力及び搬送平面に沿ったガス流動183を提供し、ガス流動の制御によって稼働領域16を通る中心線に沿った搬送平面に沿う基板9の運動を提供するように構成される。
 
【0043】
  図4は、基板表面に直交する方向で示された、導入ヘッド1について起伏のある形状の概略的な例を示す。典型的には、屈曲した形状は、基板の1次曲げモードを防ぐ。従って、薄板状の基板の1次曲げモードを防ぐために、起伏のある形状として、基板表面に垂直な方向にみられる、ガスベアリング7が形成されることを示すことができる。加えて、典型的には成膜空間2、3の形状は、ガスベアリングスリット7の形状に追随して、小型導入ヘッドの構築を可能とする。これらの変形例によって、基板表面の圧力分布の最適化が可能となる。そのような最適化は、脆弱なまたは軟らかい基板にとって重要となる可能性がある。
 
【0044】
  図5は、第4の実施形態の概略側面図を示す。参照符号は、前述の図面になされたものである。特に、搬入領域15が、稼働領域16及び搬出領域17とともに示される。稼働領域は、導入ヘッド1及び支持部10によって形成される。搬入領域及び搬出領域には、搬送要素または駆動部18が、搬送平面に沿って方向Rによって示された基板9の搬送を提供するように提供される。一実施形態に従えば、搬入領域15は、搬送平面に面した傾斜した壁部19を備える。駆動部18は、基板が搬送される搬送平面を形成する基板の平面に沿った基板及び導入ヘッドの相対運動を提供するように構成された搬送要素(
図7Aを参照)を備える。搬送領域15は、基板9と適合する搬送平面に対して対称的に配置された傾斜した壁部を備える。傾斜した壁部19は、駆動部18に向かう第1の搬送方向Pにおいて基板9上の約100から200ミクロンの稼働部高さDxを、最小ギャップ距離Dyを形成する30から100ミクロンの範囲、好適には約50ミクロンの減少した可動部高さまで減少するように形成され、構築される。
 
【0045】
  図6は、第4の実施形態の変形例における薄板状の基板の表面上への原子層成膜のための装置の概略図を示し、さらに第5の実施形態としても参照される。
図6は、
図5に示された第4の実施形態の上面図と対応する。薄板状の基板9は、柔軟なものまたは剛体でありえ、例えば箔またはウェハでありうる。装置は導入ヘッド1及び基板9の相対的な運動を提供するための搬送システムを備えうるものであり、導入ヘッド1は基板9の平面に沿って基板9が搬送される搬送平面を形成する。搬送システムは、搬入領域15及び搬入領域15に隣接し、搬送平面に対して位置合わせされた稼働領域16を備えうる。導入ヘッド1は、稼働領域16内に提供される。薄板状の基板(
図6には図示されていないが、
図5に参照符号9で示されている)は、搬入領域15内に挿入可能である。搬出領域17は、稼働領域16に隣接して提供される。そのため、稼働領域16は搬入領域15と搬出領域17との間に位置しうる。搬入領域内に第1の搬送要素または駆動部18Aが提供され、搬出領域内に第2の搬送要素または駆動部18Bが提供されうる。第1の駆動部18A及び第2の駆動部18Bは、
図7aからfにさらに詳細に示されるように、制御されたガス流動を介して、稼働領域16を通して搬入領域15と搬出領域17との間で基板を往復移動させるように構成されうる。そのため、第1の駆動部18A、稼働領域16及び第2の駆動部18Bは一緒になって、基板9が駆動部内の制御するガス流動によって原子層成膜の間往復移動しうる処理領域31を形成しうる。
 
【0046】
  受容要素32は、基板9の第1の搬送要素18A内への導入を容易にする。
 
【0047】
  図7Aは、第1の駆動部18A、第2の駆動部18B及び導入ヘッド1を有する稼働領域16の上面図を示す。
図7Bは、搬送領域15内に搬送される基板9を示す。
図7Cは、稼働領域16を通過して搬送される基板9を示す。
図7Dは、搬出領域17内で基板9の方向を変える瞬間の基板9を示す。
図7Eは、搬入領域15内で方向を変える次の瞬間の基板9を示す。
図7Fは、第2の搬送要素18Bから離れるように移動する基板9を示す。そのため、
図7Bから7Fは、基板9をどのように搬入領域15と搬出領域17との間で稼働領域16を通して往復移動させることができるかを示している。
図7AからFにおいて、基板9の運動の方向は、矢印31によって示される。
 
【0048】
  搬送システムは、駆動ポケット34内に備えられ、交互に配置された対となったガス吸入部181及びガス放出部182を有するように提供されうる。稼働領域16の対向する側には、搬送要素18A及び18Bが、稼働領域に配向されたガス流動をそれぞれ提供する。このようにして、典型的には基板が各要素に対向するときに搬送要素18A、18Bにおけるガス流動を適切に作動させることによって往復移動を提供することができる。この目的を達成するために、位置を例えば光学的、機械的または圧力変動検出によって検出する基板位置検出器が存在できる。ポケットは、50から500ミクロンの範囲、典型的には100ミクロンの深さの凹部を有しうる。搬送システムは、ガスベアリング圧力及び方向Rで示された搬送平面に沿ったガス流動を提供するように構成されたガス流動制御システムをさらに備えうる。ガス流動を制御することによって、典型的には駆動部18A、18Bに対する基板の位置または存在を検出または測定する位置センサを提供することによって、基板9の運動が提供される。そのようにして、基板9上のガス流動によって提供される牽引力が、基板9の運動を実現するために採用されうる。
 
【0049】
  図7AからFにおいて、ガス吸入部181及びガス放出部182は、搬入領域15と搬出領域17との間で稼働領域16を通して基板を往復移動させるように構成されている。それに加えて、第1及び第2の駆動領域18A、18Bのそれぞれは、ガス吸入部181及びガス放出部182の複数の駆動ポケット34を有して提供されうる。搬送される基板の上下に配置された一対の駆動ポケットが、ガスベアリングとして機能する。典型的には、追加的な非駆動ガスベアリングが搬送のための配向された流動を有さずに提供されうる。そのようなガスベアリングが十分な剛性を提供するのであれば、ポケット34は基板の平面に対して非対称にまたは特に基板の一方の側のみに提供されうる。駆動部18A及び18Bの、稼働領域16から離れた領域では、駆動ポケット34は、稼働領域に向かって配向され、稼働領域を通る往復移動を提供する。稼働領域に隣接する駆動部18A及び18Bの領域において、異なる大きさの交互に配向されたポケットが提供されて基板速度を維持する。特に、駆動部18Aを出て駆動部18Bに入る基板に関して、稼働領域に向かって配向された、駆動部18Aの中央部のより大きなポケット及び稼働領域16に向かって配向された駆動部18Bにおける中央部のより大きなポケットに隣接して提供される、駆動領域15から離れるように配向された駆動部18Bにおける2つの中央から外れたより小さなポケットによって維持されることとなる。使用時には、ガス流動は少なくとも部分的にガス放出部182からガス吸入部181へ指向されうる。ガス流動は、ガス放出部182からガス吸入部181へ発生する。このように、ガス流動の方向は指向するエアベアリング、すなわち基板を搬送平面内で移動させる搬送平面における指向されたベアリング力を有するエアベアリングを提供する矢印36によって示されるように定義されうる。より一般的には、ガス放出部182は、個々に制限部185を有して提供されうる。そのような制限部185は、ガス放出部182からガス吸入部181へのガス供給の制御を改善することを可能としうる。例えば、ガス放出部182からガス吸入部181へのガス流動によって提供されるガスベアリングは、増大した剛性を有しうる。例えば、ガス流動は、基板9の運動からの結果である摂動に対してより敏感さを減じうる。制限部185は、制限部185を含む放出部182から吸入部181へ向かうガス流動の方向を定義する。代替的には、放出部182は、制限部なく提供されることができ、このことによってポケット内のガス流動36を反対にすることが可能となる。この変形例に関して、追加的な、非指向的なエアベアリングが提供されうる。
 
【0050】
  第1及び第2の駆動部18A、18Bのそれぞれにおいて、ガス吸入部181及びガス放出部182を有する複数の駆動ポケット34の少なくとも第1の駆動ポケット34Aのガス流動の方向36は、稼働領域16の方向へ向けられうる。さらに、第1及び第2の駆動部18A、18Bのそれぞれにおいて、ガス吸入部181及びガス放出部182を有する複数の駆動ポケット34の少なくとも第2の駆動ポケット34Bのガス流動の方向は、稼働領域16から離れる方向に向けられる。そのため、この変形例について、第1の駆動部18A及び第2の駆動部18Bにおいて、駆動ポケット34Aのガス流動は稼働領域16の方へ向けられ、駆動ポケット34Bのガス流動は稼働領域から離れる方向へ向けられる。ポケット34A、34Bの対向するガス流動の方向を有することによって、基板の稼働領域へ向かう移動と共に、基板の稼働領域から離れる移動が可能となる。そのような搬入領域15内における対向する方向の移動は、基板9の往復移動を可能にするという利点となりうる。
 
【0051】
  第2の駆動ポケット34Bの1つが、第1及び第2の駆動部18A、18B内に、稼働領域16と少なくとも第1の駆動ポケット34Aの1つとの間に配置されうる。そのため、この変形例について、第1の駆動部18A及び第2の駆動部18Bにおいて、第2のポケット34Bは第1のポケット34Aの1つと稼働領域16との間に配置されうる。そのような構成によって、稼働領域16を通る基板の移動が、第2のポケット34Bによって進められ、一方、基板が稼働領域16をほぼ通過したことが((図示されない)位置検出器によって)検出されると、移動の方向31は第1のポケット34Aによって反転させられることが可能である。
 
【0052】
  代替的に、ガス放出部182からガス吸入部181へのガス流動は、時間的にほぼ連続的なものでありうる。そのため、ガス流動、例えばガス放出部182からガス吸入部181へのガス流動の方向は、基板の移動の間、例えば往復移動の間、時間的にほぼ連続でありうる。
 
【0053】
  ポケット34の少なくとも第1のポケット34Aのガス流動の速度及び/または空間的広がりは、ポケットの少なくとも第2ポケット34Bのガス流動の速度及び/または空間的広がりよりも大きく、特に1.5倍大きいものでありうる。ポケット34のガス吸入部181及びガス放出部182の対の空間的広がりは、
図7Aに、大きさH
1及びH
2で示されている。H
2はポケット34の吸入部181と放出部182との間の距離にほぼ等しいものでありうる。H
1は、ポケット34の吸入部181及び/または放出部182の長さとほぼ等しいものでありうる。大きさH
1及びH
2は、互いに横切る向きの方向に沿って決定されうる。
 
【0054】
  図7AからFを参照して上述されたように、第1の搬送要素18A及び第2の搬送要素18Bは、稼働領域16を通して、搬入領域15と搬出領域17との間で基板9を往復移動させるように構成されうる。
 
【0055】
  そのため、
図3及び
図7AからFに、搬送システムが好適には交互に配置されたガス吸入部及び放出部を有して提供され、ガスベアリング圧力及び搬送平面に沿ったガス流動を提供し、ガス流動を制御することによって基板の移動を提供するように構成されたガス流動制御システムを備える、本発明の一態様の例が提供される。好適には、使用時にはガス放出部からそのガス放出部専用でありうる、例えばガス放出部と対を形成しうるガス吸入部へのガス流動は、搬送平面とほぼ平行である経路に沿って指向される。好適には、搬入及び搬出領域において、搬送要素は、搬送平面に沿った基板の搬送を提供するように提供される。好適には、搬送要素はガス吸入部及び放出部を備える。
 
【0056】
  さらに、
図3及び
図7AからFは、搬送システムが搬入領域、搬入領域に隣接し搬送平面に対して位置合わせされた稼働領域を備え、導入ヘッドが稼働領域内に提供され、薄板状の基板が搬入領域に挿入可能であり、搬出領域が稼働領域に隣接して提供され、ガス吸入部及び放出部が稼働領域を通して搬入領域と搬出領域との間で基板を往復移動させるように構成される本発明の実施形態の例を示している。往復移動は、一方向への移動を行うように構成された装置と比較して、複数の層を適用する空間的により限られた装置という利点を提示しうる。好適には、ガス放出部とガス吸入部との間のガス流動の方向、速度及び/または空間的広がりは、基板の往復移動を可能とするように構成される。
 
【0057】
  図7AからFはさらに、例として、ガス吸入部及び放出部が、搬入領域内に第1の搬送要素を提供し搬出領域内に第2の搬送要素を提供することによって、稼働領域を通って搬入領域と搬出領域との間で基板を往復移動させるように構成される発明に関する実施形態を示している。好適には、第1及び第2の搬送要素のそれぞれは、ガス吸入部及びガス放出部を有する複数のポケットを有して提供される。好適には、ガス制御システムは、第1及び第2の搬送要素のそれぞれにおいて、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第1のポケットのガス流動の方向が稼働領域の方向へ向けられ、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第2のポケットのガス流動の方向が稼働領域から離れる方向へ向けられることを実現するように構成される。
 
【0058】
  より一般的に適用されうる更なる実施形態において、第1及び第2の搬送要素のそれぞれには、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第2のポケットが稼働領域とガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第1のポケットとの間に配置される。そのような構成は、既に稼働領域を通過した基板の部分に、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第2のポケットによって力を印加することにより、稼働領域を通って基板を持続的に移動させるという利点を有しうる。そのような構成は、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第1のポケットによって、稼働領域に向かう基板の移動を反対にする及び/または開始するという利点を有しうる。
 
【0059】
  より一般的に適用されうる更なる実施形態において、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第1のポケットのガス流動の速度及び/または空間的広がりは、ガス吸入部及びガス放出部を有するポケットの少なくとも第2のポケットのガス流動の速度及び/または空間的広がりよりも大きく、特に1.5倍大きい。これが有利な比率でありうることは、実験で示された。
 
【0060】
  図7Gは、交互に前駆体/反応物質供給部を配置した駆動部を示す。この構成において、反応物質処理段階は、反応物質供給部として駆動部18を用いることにより増大されることが可能である。心出しエアベアリング560は、駆動部18の側部に相対移動の方向に沿って提供される心出しベアリングガス供給部561を備えて提供される。このようにすることにより、心出しの剛性が向上し、基板の案内が改善される。駆動部18において反応供給部が提供される。このようにすることにより、駆動部が、成膜空間内に供給される前駆体と反応するための反応物質を提供する。駆動部を導入ヘッドから区別するため、心出しエアベアリングが駆動部において相対移動の方向に沿って反応物質供給部の側部に延設することを示すことができる。代替的にまたは追加的に、駆動部は、前駆体供給部が提供されず搬送要素が実質的に提供される機能部である導入ヘッドから区別されることが可能である。発明者は、駆動部において用いられるガス流動を反応物質として用いることが可能であることを発見した。特に、反応物質として、装置は反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射の少なくとも1つを提供するように構成されうることが理解される。
 
【0061】
  図7Hは代替的な駆動部配置を示している。
図7Gは、原則的に反応物質4、本明細書においては例えば前駆体を含む金属のための酸化剤が案内または搬送の機能を果たすように配置される駆動部に提供されたどのような供給部構成においても供給可能であることが示されている一方で、更なる成膜空間30が、稼働領域16の導入ヘッドの成膜空間2内での基板表面の少なくとも一部へ前駆体ガスを付与した後に前駆体を反応させるように構成されうる。
 
【0062】
  図7Hの構成において、導入ヘッド成膜空間2は、搬送方向に対して横切る方向に延設する基板表面の平面内に、細長い形状を有し、駆動部において、反応物質供給部が駆動部成膜空間30に提供され、この駆動部成膜空間30は、導入ヘッド成膜空間の幅w2よりも広い幅W30を有する。この増大された幅は往復移動における基板の転回部における好適な供給を提供しうる。
 
【0063】
  第5の実施形態における装置の変形例が、
図8AからCに示されている。本明細書において、さらに受容要素として参照される、基板が導入される搬入領域の部分15は、搬送平面に対して垂直な方向Qに沿って動くことができる頂部壁部19を有するものでありえ、頂部壁部は稼働高さを設定し及び/または基板の導入ヘッド1への導入を容易にする。さらに、導入ヘッド1は搬送平面に向かう方向及び搬送平面から離れる方向Pにそって可動でありえ、適切な稼働高さを設定する。この移動は、エアベアリングのクッション効果によって提供され、すなわち、導入ヘッドは浮いた状態に保持されうる。
 
【0064】
  図8AからCは、
図6に示された矢印38に沿った方向から見た、搬入領域15内に提供される受容要素32を示す。搬入領域15、この変形例では受容要素32は、壁部、特に頂部壁部19Aを有し、これは搬送平面に対して垂直な方向に可動である。底部壁部40Bは、使用時には静止した状態でありうる。代替的に、頂部壁部19Aが静止し、底部壁部19Bが可動でありえ、または両方の壁部19A、19Bが可動でありうる。可動頂部壁部19Aによって、導入ヘッド1内への基板9の導入が容易になりうる。そのため、
図8AからCの変形例において、搬送平面に対して垂直な方向に沿って可動である壁部19Aは、受容要素32によって形成されて、第1の搬送要素18A内への基板9の導入を容易にする。
 
【0065】
  壁部、ここでは頂部壁部19Aは、開位置から中間位置を経て閉位置へと移動可能である。
図8Aは、開位置になる壁部を有する受容要素32を示している。
図8Bは、中間位置にある壁部を有する受容要素32を示している。
図8Cは、閉位置にある壁部を有する受容要素32を示している。
図8Cにおいて、基板9は使用時には頂部壁部19Aと底部壁部19Bとの間で浮いた状態でありうる。
 
【0066】
  そのため、受容要素によって、搬入領域が稼働領域の方向の搬入平面上における稼働高さ、ここでは受容間隔Wを低減するように構築されるという選択肢が提供されることが明確なものとなりうる。稼働領域に向かう方向である搬送平面は、例えば
図5における方向Rで示される。
 
【0067】
  壁部は、搬送平面に垂直な方向における受容間隔Wを画定する。
図8AからCから、壁部が閉位置に移動すると受容間隔Wが減少することが明確になりうる。開位置において受容間隔Wは基板9を装置に挿入するように構成されうる。そのため受容間隔は3mmよりも大きく、好適には7mmよりも大きく、例えば20mm以下でありうる。基板9と底部壁部19Bとの接触を避けるために、可動ピン42が、その上に基板を配置するように装置内に提供されうる。
 
【0068】
  中間位置において、受容間隔Wは、基板を稼働温度まで加熱するように構成されうる。それによって受容間隔は例えば0.2mmである低い方の値と例えば5mmである高い方の値との間の範囲でありうる。中間位置における壁部での受容間隔Wの低い方の値は、ウェハ9と受容要素32の壁部との間の機械的な接触が避けられるように働きうる。そのような機械的接触は、そうでなければ加熱時に導入される機械的応力の結果として基板の反りによって引き起こされる。中間位置における壁部での受容間隔Wの高い方の値は、加熱の速度を促進しうる。例えば、基板9の加熱は、間隙を通して基板9の方へ熱を供給することによって実行可能である。好適には、ピン42はセラミック材料を備える。その結果、ピン42を通した熱伝導は実質的に低減されうる。このことにより、基板9を加熱する速度が増加し、ウェハ9における均一な温度分布を促進しうる。
 
【0069】
  閉位置において、受容間隔Wは搬入領域15の残りの部分におけるギャップと等しくなりうる。上部壁部19Aが閉位置の方へ移動すると、ピンが底部壁部19Bの表面44よりも下に移動して、可動壁部がピン42と結合しうる。
 
【0070】
  そのため、より一般的には、開位置における受容間隔Wは中間位置における受容間隔Wと実質的に等しいものでありうる。
 
【0071】
  そのため、例が
図8AからCに示されている発明のさらなる態様によれば、搬送システムは搬入領域及び搬入領域に隣接し搬送平面に対して位置合わせされた稼働領域を備え、導入ヘッドが稼働領域内に提供され、薄板状の基板が搬入領域内に挿入可能であり、搬入領域が壁部を有し、特に頂部壁部を有し、頂部壁部は搬送平面に対して垂直な方向に沿って可動であり、導入ヘッド内への基板の導入を容易にする。可動である壁部は、頂部壁部と底部壁部との間の間隔を増大することを可能にしうる。そのため、基板の挿入が容易になりうる。特に、壁部と基板との間の機械的な接触が実質的に防止されうる。
 
【0072】
  前述した更なる態様に従えば、搬入領域において受容要素及び好適には第1の搬送要素が提供され、搬送表面に対して垂直な方向に沿って可動である壁部が受容要素によって形成され、第1の搬送要素内への基板の導入を容易なものとしている。搬入領域内に区別された受容要素を有することにより、搬入領域の他の部分、例えば第1の搬送要素内における状態及び/または構築を改善することが可能になりうる。
 
【0073】
  前述のさらなる態様に従う実施形態において、壁部は開位置から中間位置を経て閉位置まで移動可能であり、壁部が閉位置に向かって移動すると壁部によって画定される搬送平面に対して垂直な方向の受容間隔は減少し、開位置において受容間隔は装置内へ基板を挿入するように構成され、中間位置において受容間隔は稼働温度まで基板を加熱するように構成され、及び/または閉位置において受容間隔は基板と装置との間のガスベアリングを形成するように構成される。そのため、改善した受容が実行されうる。受容及び加熱、より具体的には基板を加熱するための加熱速度に関する処理条件は、受容間隔を調整することによって改善されうる。
 
【0074】
  図9A及び9Bは、第5の実施形態の装置の変形例の上面図及び断面図をそれぞれ示す。
図9A及びBは、基板9を図示している。
図9Bに示される断面は
図9AにおけるA−A’線によって示されている。
図9Aはさらに搬送平面に沿った装置の一部46を示している。装置の一部は例えば搬入領域15、搬出領域17及び/または稼働領域16の一部でありうる。
 
【0075】
  この変形例において、装置は基板9を心出しするための第1の心出しエアベアリング48A及び第2の心出しエアベアリング48Bを有して提供され、搬入領域15と搬出領域17との間の中心線に沿って基板を移動させうる。両矢印50は、導入ヘッド1に対する中心線に沿い基板の平面内の基板の相対移動の一般的な方向に対して横断する心出し移動を図示している。そのため、第1及び/または第2の心出しエアベアリング48A、48Bによって、力を方向50、すなわち搬送平面に沿った基板9の側面、ここではそれぞれ第1の側面49A及び/または第2の側面49Bに印加することができる。より具体的には、基板9の平面に沿った第1のエアベアリング48A及び/または第2のエアベアリング48Bの広がりX
3は、使用時には、0.1mmから1.5mmの範囲、特に0.3mmから0.8mmの範囲でありうる。
 
【0076】
  装置はさらに、基板9と導入ヘッド1との、ここでは両矢印60で示される相対運動の方向に沿った基板9の対向する側面49A、49Bに使用時には隣接する搬送平面に沿って提供される心出しベアリングガス供給部56を有して提供されうる。供給部56は、個々に制限部Riを有して提供されうる。そのような制限部は、第1及び/または第2の心出しエアベアリング48A、48Bへの空気の供給の制御の改善を可能にしうる。制限部Riは第1及び/または第2の心出しエアベアリング48A、48Bの剛性を増大しうる。
 
【0077】
  装置は第1及び第2の心出しエアベアリングにおける圧力を制御する心出しベアリング制御部54を有して提供されうる。そこで、制御部54は心出しベアリングガス供給部56の外部へ流れるガスの量を制御するために心出しベアリングガス供給部56に接続されうる。心出しエアベアリングのベアリングガスの流動は、矢印52によって示される。
図9A及び9Bは、さらに圧力解放切欠き部62.i(i=1,4)の例を示している。本明細書では、圧力解放切欠き部62.1、62.2は個々に第1のエアベアリング48Aに沿い隣接して延設する。本明細書では、圧力解放切欠き部62.3、62.4は個々に第2のエアベアリング48Bに沿い隣接して延設する。
図9Aにおいて、圧力解放切欠き部62.1、62.2は第1のエアベアリング48Aと、導入ヘッド1と支持部10との間におけるベアリング圧力構成部64との間に配置される。
図9Aにおいて、圧力解放切欠き部62.3、62.4は第2のエアベアリング48Bと、導入ヘッド1と支持部10との間のベアリング圧力構成部64との間に個々に配置される。そのため圧力解放切欠き部は、ベアリング圧力構成部と第1または第2の心出しエアベアリング48A、48Bとの間に個々に配置されて、一方では第1及び/または第2の心出しエアベアリング48A、48B内の圧力の制御と、他方ではベアリング圧力構成部内の圧力の制御とを実質的に切り離しうる。
 
【0078】
  より一般的には、搬送平面と平行な方向における圧力解放切欠き部の個々の幅X
1は、0.1mmから3mmの範囲、特に0.3mmから2mmの範囲でありうる。圧力解放切欠き部62.iの少なくとも1つから第1または第2のエアベアリング48A、48Bまでの距離X
2は、0.1mmから1.5mmの範囲、特に0.3mmから0.8mmの範囲でありうる。
 
【0079】
  そのため、例として
図9A及び9Bに示されるように、本発明の態様は装置が搬入領域15及び搬出領域17の側部に配置された第1の心出しエアベアリング及び第2の心出しエアベアリングを有して提供され、基板を心出しして基板を搬入領域15と搬出領域17との間の中心線に沿って移動させることを備えうる。発明者によって実施された実験では、このように、有利な基板の心出しが達成可能であることが示された。第1及び/または第2の心出しエアベアリングによって、力を搬送平面に沿った方向に基板の側面上に印加することができる。好適には、装置は第1及び第2の心出しエアベアリング内の圧力を制御する心出しベアリング制御部を有して提供される。好適には、装置は、基板と導入ヘッドとの相対的な移動の方向に沿って、使用時には基板の対向する側面に隣接する搬送平面に沿って提供される心出しベアリングガス供給部を有して提供される。
 
【0080】
  また、例として
図9A及び9Bに示されるように、本発明の前述の態様は、第1または第2の心出しエアベアリングに沿い隣接して延設する圧力解放切欠き部、好適には4つの圧力解放切欠きを有して提供される装置を備えうるものであり、好適には個々に一方で第1または第2の心出しエアベアリングと、他方で導入ヘッドと支持部との間のベアリング圧力構成部との間に配置され、切欠き部は使用時には任意に圧力解放切欠き部内の圧力を実質的に均等にするように相互接続される。圧力解放切欠き部は、ベアリング圧力構成部と第1または第2の心出しエアベアリングとの間に個々に配置されて、一方で第1または第2の心出しエアベアリングの圧力及び他方でベアリング圧力構成部の圧力の制御を実質的に切り離しうる。発明者によって行われた実験では、そのような切欠き部が、心出しの実質的に独立した制御を可能にする十分な分離を提供しうることが示された。
 
【0081】
  図9Cは、改善された案内を有する心出しエアベアリング560の代替的な実施形態を示している。
図9bの切欠き部62.1から4の代替的なまたは追加的な、ガスベアリング制限部Riを有するガス供給部561が、基板の平坦な面の対向する側部上の搬送平面に沿って及び使用時には基板9の対向する側壁91の近傍に提供されうる。すなわち、例えば150mmの典型的な幅Wのウェハに関して、供給部561は搬送方向xを横切る方向(紙面を横切る方向)の基板9の対向する側部91上の駆動部の側壁18.1から1から6mmの範囲Rだけ離れて提供されうる。
 
【0082】
  供給部561は、基板9の側部91に沿った距離に渡って延設する凹部空間562内で終端する。凹部空間562は、駆動部18の対向する壁部18.2と基板の平坦な面92との間の稼働ギャップ高さg2よりも高い凹部内のギャップ高さg1を画定する。この凹部空間圧力構成部560は、基板9の平面に対して垂直なz方向にガスベアリングを提供する。搬送方向xを横断するy方向における凹部空間562のギャップ高さg3(典型的には0.3から1mm)は、追加的に心出しガスベアリングを提供し、基板9は搬送方向に沿って心出しされる。特に、使用時には、ウェハ表面92上の凹部空間562のウェハ表面に対して垂直な第1のギャップ高さg1は、基板9の側部91に対して垂直な第2のギャップ高さg3よりも小さい。
 
【0083】
  一実施形態において、基板が移動する一方で、使用時の成膜空間は、基板表面の平面内で移動しない。他の一実施形態において、基板が移動しない一方で、使用時の成膜空間は、基板表面の平面内で移動する。さらに他の一実施形態において、使用時の成膜空間及び基板が共に基板表面の平面内で移動する。
 
【0084】
  基板表面の面外の移動は、導入された前駆体ガスを閉じ込める助けとなる。ガスベアリング層によって、導入ヘッドが基板表面及び/または基板ホルダーに例えば50マイクロメートルの範囲内または15マイクロメートルの範囲内まで、例えば3から10マイクロメートルの範囲、例えば5マイクロメートルまで近接できるようになる。そのように導入ヘッドが基板表面及び/または基板ホルダーまで接近することで、前駆体ガスの成膜空間外への流出が近接により困難になるため、前駆体ガスの成膜空間への閉じ込めが可能となる。使用時に成膜空間の境界となる基板表面は、導入ヘッドの基板表面までの近接を可能としうる。好適には、基板表面は、使用時には、導入ヘッドと機械的に接触しない。そのような接触は容易に基板を損傷する可能性がある。
 
【0085】
  任意に、前駆体供給部がガス導入部を形成する。しかしながら、一実施形態においては、ガス導入部は、ガスベアリング層を生成するためのベアリングガス導入部によって形成され、ベアリングガス導入部は前駆体供給部から分離される。そのようなベアリングガスのための分離した導入部を有することにより、他のガス圧力、例えば成膜空間内の前駆体ガス圧力から分離されたガスベアリング層の圧力制御が可能となる。例えば、使用時に前駆体ガス圧力はガスベアリング層の圧力よりも低くすることができる。任意に、前駆体ガス圧力は大気圧よりも低く、例えば0.01から100ミリバールの範囲であり、任意に、0.1から1ミリバールの範囲である。発明者によって行われた数値シミュレーションによれば、後者の範囲では高速な成膜処理が得られうることが示された。例えば化学反応速度が比較的速い場合、成膜時間は典型的には平坦な基板に対しては10マイクロ秒であり、溝を形成された基板に対しては20ミリ秒でありうる。成膜空間のガス全圧は典型的には10ミリバールでありうる。前駆体ガス圧力は、前駆体の特性、例えば前駆体の揮発性に基づいて選択されうる。大気圧よりも低く、特に0.01から100ミリバールの範囲である前駆体ガス圧力では、幅広い範囲の前駆体、特に幅広い範囲の揮発性を有する前駆体の使用が可能となる。
 
【0086】
  使用時のガスベアリング層は典型的には基板表面に対して導入ヘッドが近接することの結果として、ガスベアリング層内の圧力の強い増加がみられる。例えば、導入ヘッドが基板に対して2倍の距離まで近接し、例えば基板表面から50マイクロメートルの位置から、基板表面から25マイクロメートルの位置まで近接すれば、他の条件が等しければ、使用時にはガスベアリング層内の圧力は少なくとも2倍、例えば典型的には8倍まで増加する。好適には、使用時におけるガスベアリング層の剛性は1メートル当たり10
3から10
10ニュートンであるが、この範囲の外とすることもできる。そのような増加したガス圧力は例えば1.2から20バールの範囲、特に3から8バールの範囲でありうる。より強い流動障壁は一般にはより高い増加した圧力につながる。前駆体ガス圧力が増大すると、基板表面の前駆体ガスの付与速度が増大する。前駆体ガスの付与はしばしば原子層成膜の重要な律速処理段階を形成するので、この実施形態によれば原子層成膜の速度の増大が可能となる。例えば装置が複数の原子層を含む構造を形成するのに用いられる場合、これは実際にしばしば行われる可能性があるが、処理速度は重要である。速度の増大は、費用効率の高い方法で原子層成膜により適用可能な構造の層の最大厚さを増大させ、例えば10ナノメートルから10ナノメートルを超える値まで、例えば20から50ナノメートルまたは典型的には1000ナノメートルまたはそれ以上までも増大させ、このことによって処理サイクルの回数に応じて数分またさらには数秒で現実的に可能となる。限定的でない示唆として、製造速度は数nm/秒程度で提供されうる。そのため装置は箔状のシステムのバリア層を提供するような原子層成膜の新しい応用を可能とする。一例によれば、基板上に支持された有機LEDのためのガスバリア層であることができる。そのため有機LEDは、酸素及び水に対して非常に敏感であることが知られているが、開示された方法及びシステムに従ってALDで製造されたバリア層を提供することにより製造されうる。
 
【0087】
  一実施形態において、装置は方向Pに沿った基板表面に向けられるプレストレス力を導入ヘッドに印加するように構成される。ガス導入部は、ガスベアリング層の圧力を制御することによって、プレストレス力に反作用するように構成されうる。使用時には、プレストレス力はガスベアリング層の剛性を増大させる。そのような増大した剛性は、基板表面の面外の不要な移動を減少させる。結果として、導入ヘッドは基板表面により近づけて基板表面に触れることなく作動させることが可能となる。
 
【0088】
  代替的にまたは追加的に、プレストレス力は、磁気的に及び/または導入ヘッドにプレストレス力を発生させるための重量を追加することにより重力的に形成されうる。代替的にまたは追加的に、プレストレス力は、バネまたはその他の弾性要素によって形成されうる。
 
【0089】
  一実施形態において、前駆体供給部は、成膜空間の長手方向を横切る方向に前駆体ガスを流動させるように構成されている。一実施形態において、前駆体供給部は、少なくとも1つの前駆体供給スリットによって形成され、成膜空間の長手方向は、少なくとも1つの前駆体供給スリットに沿った方向である。好適には、導入ヘッドは少なくとも1つの前駆体供給スリットの長手方向を横切る方向に前駆体ガスを流動させるように構成されている。このことにより、前駆体ガスの基板表面への付着の結果として濃度勾配を形成させないようにできるので、前駆体ガスの濃度を供給スリットに沿って実質的に一定とすることができる。前駆体ガスの濃度は、好適には原子層成膜に必要な最小濃度よりもわずかに高く選択される。このことは、前駆体ガスの効率的な使用を追加することになる。好適には、基板表面の面内における成膜空間と基板との間の相対移動は、少なくとも1つの前駆体供給スリットの長手方向を横切る。従って、前駆体排出部は、前駆体供給部に隣接して配置され、基板の搬送方向に合わせられた前駆体ガス流動を画定する。
 
【0090】
  一実施形態において、ガスベアリング層は、閉じ込め構造、特に流動障壁を形成する。この実施形態において、外側の流動経路は少なくとも部分的にガスベアリング層を貫通しうる。ガスベアリング層はむしろ閉じ込め構造及び/または流動障壁の効果的な型を形成するので、外側の流動経路を介した前駆体ガスの損失は防止されうる。
 
【0091】
  一実施形態において、流動障壁は外側の流動経路に、閉じ込めガスカーテン及び/または閉じ込めガス圧力によって形成される。これらは、流動障壁を形成する信頼性のある、多用途の選択肢を形成する。閉じ込めガスカーテン及び/または圧力を形成するガスは、ガスベアリング層の少なくとも一部をも形成しうる。代替的にまたは追加的に、流動障壁は導入ヘッドに取り付けられた流体構造によって形成される。好適には、そのような流体構造は温度を80℃、200℃、400℃及び600℃の一つ以下に維持可能である流体からなる。そのような流体は当業者に周知されている。
 
【0092】
  一実施形態において、流動障壁が導入ヘッドと基板表面との間及び/または導入ヘッドと基板表面の面内の基板表面から延設する表面との間の流動ギャップによって形成され、外側の流動経路に沿った流動ギャップの厚さ及び長さは、導入される前駆体ガスの体積流速と比較して、外側の流動経路に沿った前駆体ガスの体積流速を実質的に遅らせるように適合される。好適には、そのような流動ギャップは同時に外側の流動経路を少なくとも部分的に形成する。好適には、流動ギャップの厚さは、ガスベアリング層によって決定される。この実施形態において少量の前駆体ガスは、外側の流動経路に沿って成膜空間の外部に流出しうるが、むしろ流動障壁を形成するための複雑でないさらに効果的な選択肢を可能とする。
 
【0093】
  一実施形態において、成膜空間は、基板表面の面内で細長い形状を有する。基板表面を横切る成膜空間の大きさは、基板表面の面内の成膜空間の1つ以上の大きさよりも顕著に小さく、例えば少なくとも5倍または少なくとも50倍小さいものでありうる。細長い形状は平面状または曲面状とすることができる。そのような細長い形状は、成膜空間内に導入するのに必要な前駆体ガスの体積を減少させ、そのため導入ガスの効率を増大させる。またこのことにより成膜空間を満たし空にするための時間を短くすることができ、そのため原子層成膜処理全体の速度を向上させる。
 
【0094】
  一実施形態において、装置の成膜空間は、基板表面と導入ヘッドとの間であって、好適には50マイクロメートルよりも小さく、より好適には15マイクロメートルよりも小さく、例えば約3マイクロメートルの最小厚さを有する成膜ギャップによって形成される。流動ギャップは類似の大きさを有しうる。50マイクロメートルよりも小さな最小厚さを有する成膜空間により、むしろ狭いギャップが前駆体ガスのむしろ効果的な使用につながることができ、その一方同時に基板表面の面内の成膜空間と基板との間の相対移動を確立する位置決めシステムの基板表面の面外の偏差に対する厳しい条件の介在を避けることができる。このようにして、位置決めシステムはよりコストを低減することができる。15マイクロメートルよりも小さな成膜ギャップの最小厚さは、前駆体ガスの使用をさらに効率的なものとしうる。
 
【0095】
  ガスベアリング層は、流動ギャップ及び/または成膜ギャップを比較的小さくすることができ、例えば50マイクロメートルよりも小さく又は15マイクロメートルよりも小さく、例えば約10マイクロメートル、または3マイクロメートル近くでさえある最小厚さを有する。
 
【0096】
  一実施形態において、導入ヘッドはさらに前駆体排出部を備え、前駆体供給部から成膜空間を介して前駆体排出部まで前駆体ガスを導入するように構成される。前駆体排出部の存在は、成膜空間を通して連続的な流動を可能にする。連続的な流動では、前駆体ガスの流動を調整するための高速バルブが省略されうる。好適には、前駆体排出部から前駆体供給部までの距離は、装置の使用の間固定される。好適には、使用時には前駆体排出部及び前駆体供給部は共に基板表面に面する。前駆体排出部及び/または前駆体供給部はそれぞれ前駆体排出部開口部及び/または前駆体供給部開口部によって形成されうる。
 
【0097】
  一実施形態において、前駆体排出部は少なくとも1つの前駆体排出スリットによって形成される。少なくとも1つの前駆体排出部スリット及び/または少なくとも1つの前駆体供給部スリットは、複数の開口を備え、または少なくとも1つのスロットを備えうる。スリットを用いることにより、相対的に大きな基板表面上への効果的な原子層成膜が可能になり、または複数の基板上へ同時に原子層成膜が可能になり、そのため装置の生産性が向上する。好適には、少なくとも1つの前駆体排出部スリットから少なくとも1つの前駆体供給部スリットまでの距離は、前駆体供給部スリット及び/または前駆体排出部スリットの長さよりも十分に小さく、例えば5倍よりも小さい。このことは、前駆体ガスの濃度を成膜空間に沿って実質的に一定とする助けとなる。
 
【0098】
  一実施形態において、装置は基板表面の平面内で基板を移動させるように構成されたリールトゥリールシステムを含むことにより、基板表面の平面内で、成膜空間と基板との間で相対的に運動するように構成される。この実施形態は、装置の一般的な利点に対して有効であり、内部に真空を作る導入ヘッド周囲の密閉されたハウジング及び任意に内部の真空を破ることなく密封されたハウジング内に基板を入れるためのロードロックも省略されうる。リールトゥリールシステムは好適には位置決めシステムを形成する。
 
【0099】
  一態様によれば、本発明は線形システムを提供し、基板キャリアはエアベアリングによって便利なように提供される。このことにより、拡大縮小でき連続的に動作できる容易かつ予測可能な基板の運動が提供される。
 
【0100】
  前駆体ガスは例えば塩化ハフニウム(HfCl
4)を含むことができるが、別の種類の前駆体物質、例えばテトラキス−(エチルメチルアミノ)ハフニウムまたはトリメチルアルミニウム(Al(CH
3)
3)も含むことができる。前駆体ガスは、窒素ガスやアルゴンガスのようなキャリアガスと共に導入することができる。キャリアガス内の前駆体ガスの濃度は典型的には0.01から1体積%の範囲でありうる。使用時には、成膜空間2の前駆体ガス圧力は典型的には0.1から1ミリバールの範囲でありうるが、大気圧に近い圧力とすることもでき、大気圧より顕著に高くすることさえ可能である。導入ヘッドは、成膜空間2内の昇温、例えば130から330℃の範囲を確立するためのヒーターを有して提供されうる。
 
【0101】
  使用時には、外側の流動経路に沿った前駆体ガスの体積流速の典型的な値は、500から3000sccm(standard  cubic  centimeters  per  minute)の範囲でありうる。
 
【0102】
  一般的には、装置は、基板表面4の少なくとも一部上に前駆体ガスを付与した後に、反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射のうち少なくとも1つを反応空間に提供して前駆体物質を反応させるように構成されうる。このように、例えばプラズマ原子レーザー成膜が可能になり、これは低温、典型的には130℃よりも低い温度で処理するのに好適でありえ、例えば柔軟な箔などの上のOLEDのような柔軟な電子工学応用分野のためのプラスチック上のALD処理を容易にし、またはより高い(典型的には130℃よりも高い)温度に対して敏感なその他どのような物質も処理しうる。プラズマ原子層成膜は、例えばチップや太陽電池のような半導体製品を製造するための高品質なlow−k酸化アルミニウム(Al
2O
3)層の成膜に例えば好適である。反応ガスは例えば酸素(O
2),オゾン(O
3)及び/または水(H
2O)のような酸化剤ガスを含む。
 
【0103】
  原子層成膜処理の例において、様々な段階が識別可能である。第1の段階において、基板表面は前駆体ガス、例えば四塩化ハフニウムにさらされる。基板表面4が前駆体ガス分子で完全に占められると、前駆体ガスの成膜は通常停止する。第2の段階において、成膜空間2はパージガスを用いて及び/または真空を用いて成膜空間2を排気することによってパージされる。このようにして、余剰の前駆体分子を取り除くことができる。パージガスは好適には前駆体ガスに対して反応性がない。第3の段階において、前駆体分子は反応物質ガス、例えば酸化剤、例えば水蒸気(H
2O)にさらされる。反応物質が、付与された前駆体分子と反応することにより、原子層、例えば酸化ハフニウム(HfO
2)が形成される。この材料は、新世代のトランジスタにおけるゲート酸化膜として用いることができる。第4の段階において、反応空間が余剰の反応物質分子を除去するようにパージされる。
 
【0104】
  明示されていないかもしれないが、一実施形態に従うどのような装置も、他の実施形態の装置の特徴を有しうる。
 
【0105】
  本発明の任意選択の態様は、薄板状の基板の表面上への原子層成膜のための装置を備えるものでありえ、この装置は:導入ヘッド及び搬送システムを備え;導入ヘッドは成膜空間及びガスベアリングを備え;成膜空間は、前駆体供給部及び前駆体排出部を有して提供され;供給部及び排出部は前駆体供給部から成膜空間を介して前駆体排出部まで前駆体ガス流動を提供するように構成され;成膜空間は使用時には導入ヘッド及び基板表面によって画定され;ガスベアリングは、導入ヘッドと基板表面との間にベアリングガスを導入するように構成されたベアリングガス導入部を備え、そのためベアリングガスがガスベアリングを形成し;搬送システムは、基板が搬送される搬送平面を形成するように基板の面に沿った基板及び導入ヘッドの相対的な移動を提供し;支持部は、導入ヘッドに対向して配置され、支持部は、搬送平面内で導入ヘッドガスベアリングを均衡させるガスベアリング圧力構成を提供するように構築され、そのため基板が導入ヘッドと支持部との間のガスベアリング圧力構成によって支持されることなく保持される。装置は、成膜空間が好適には深さD2−D1を有するキャビティによって形成され、供給部及び排出部が終端し及び/または始まる。装置は、ガスベアリングが形成され、基板表面に垂直な方向に傾斜した形状であり、薄板状の基板の1次曲げモードを防ぐ。装置は、搬送システムが搬入領域及び搬入領域と隣接し搬送平面に対して位置合わせされた稼働領域を備え、導入ヘッドは稼働領域内に提供され、薄板状の基板は搬入領域から挿入することができ、搬入領域は、搬送平面上の、任意選択的に稼働領域に向かう方向の稼働高さを減少させるように構築される。装置は、搬入領域が搬送平面に面する勾配状の壁部を備える。装置は、搬入領域が壁部を有し、特に頂部壁部を有し、稼働高さを設定するために可動である。装置はさらに搬出領域を備える。装置は、導入ヘッドが搬送平面に向かう方向に及び搬送平面から離れる方向に可動である。導入ヘッドを含む装置を用いる基板表面上の原子層成膜の方法は、導入ヘッドが前駆体供給部及び、ベアリングガス導入部を有して提供されるガスベアリングを有して提供される成膜空間を備え、本方法は、次の各段階を備える。a)成膜空間内に前駆体供給部から前駆体ガスを供給して基板表面に接触させる段階;b)導入ヘッドと基板表面との間にベアリングガスを導入し、そのためベアリングガスがガスベアリングを形成する段階;c)基板表面の面内で成膜空間と基板との間に相対的な移動を確立する段階;d)搬送平面で導入ヘッドガスベアリングを均衡させるガスベアリング圧力構成を提供して基板を導入ヘッドと支持部との間のガスベアリング圧力構成によって支持なしに保持する段階。本方法は、装置が反応空間を備え、基板表面の少なくとも一部の上に前駆体ガスを付与した後に反応空間内に反応物質ガス、プラズマ、レーザー誘起放射及び紫外線放射の少なくとも1つを提供して前駆体物質を反応物質ガスと反応させて、基板表面の少なくとも一部の上に原子層を得る段階を備える。本方法はさらに:ガスベアリング圧力及び搬送平面に沿ったガス流動を提供し、ガス流動システムの制御に関して基板を選択的に移動させることを提供するように構成されたガス流動を提供する段階;基板の存在に応じてガス流動を切り替え、それによって基板端部が排出部を通過するときに排出部がオフにされて基板から離れる流動を提供する段階を備える。
 
【0106】
  本発明は本明細書に記載されたいかなる実施形態にも限定されず、当業者の範囲内で、添付された特許請求の範囲に含まれると考えられうる変形が可能である。例えば、本発明はまた複数の装置及び複数の装置を使用する原子層成膜の方法に関する。
 
【0107】
  図10は、複数の装置72.i.j(i=1,...N)及び(j=1,...N)の概略図を示している。この例において、Nは5に等しくjは3に等しい。しかしながら、他の例においてNは5よりも小さくまたは5以降であることができ、及び/またはMは3よりも小さくまたは大きいことができる。複数の装置は、直列に連結されうる。例えば、装置72.1.1、72.1.2及び72.1.3は直列に連結される。直列に連結される装置は、1つの及び同一の基板9の上に1つ以上のALD層を成膜するために用いられうる。
図10から、複数の装置はまた並列に連結されうることも明らかでありうる。例えば、装置72.1.1、72.2.1、72.3.1、72.4.1及び72.5.1は
図10において並列に連結される。全ての運動の反転は等しく本質的に開示され、本発明の範囲内にあると考えられる。
 
【0108】
  多数の実施形態が、成膜空間が基板表面に対して成膜空間高さD2を画定し;ガスベアリングが、本発明を実施する目的のために基板に対して成膜空間高さD2よりも小さな空隙間隔D1を画定することを示しているが、当業者であれば、ガスベアリングの間隔と成膜空間の正確な相対的寸法は重要ではないことを理解するであろう。本発明はどのような好適な導入ヘッドについてもそれに隣接する搬送システムと共に実行可能である。導入ヘッド、特に変化する成膜空間の小さな間隙のために心出し剛性が提供できないまたは困難であるヘッドは、これが可能である駆動部に隣接して保持することができ、駆動部においては、反応段階の一つが実行される。このことにより、往復移動の場合において少なくとも1回または2回で、処理サイクルごとの成膜の回数が増加しうる。特定の実施形態において、心出しエアベアリングは、駆動部の反応物質供給部の側部に、相対移動の方向に沿って延設する。「好適には」、「特に」、「典型的には」などのような表現の使用には、発明を限定するための意図はない。限定されていない記載である「1つの」は、複数を除外しない。例えば、本発明に従う実施形態における装置は、複数の導入ヘッドを有して提供されうる。さらに、「相対運動」及び「相対移動」の用語は、区別しないで用いられることが明らかでありうる。開示された実施形態の態様は、好適には他の実施形態と連結されうるものであり、開示されていると考えられる。特にまたは明示的に記載されず主張されない特徴が、本発明に従う構造に、本発明の範囲から逸脱することなく追加的に含まれうる。