特許第6139464号(P6139464)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139464
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】荷物運搬台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   B62B5/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-105182(P2014-105182)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-217908(P2015-217908A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】305062549
【氏名又は名称】ヤマト運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100140615
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154313
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 忠志
(72)【発明者】
【氏名】調所 正俊
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−047543(JP,A)
【文献】 特開2009−113755(JP,A)
【文献】 特開平09−142350(JP,A)
【文献】 特開2013−035453(JP,A)
【文献】 特開2004−098998(JP,A)
【文献】 特開昭61−110683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座上に蓋付きの収納箱が取り付けられてなる荷物運搬台車において、
蓄電池と電圧制御ユニットとLEDランプからなる発光装置を備え、
前記収納箱の周側面に、前記LEDランプを発光源とした線状又は面状に形成された発光表示部が設けられた構成を有することを特徴とする荷物運搬台車。
【請求項2】
帯状に形成された透光性の導光部材の端部にLEDランプを設置し、LEDランプによる光源光が導光部材の内部に入射するように発光表示部が設けられた構成を有することを特徴とする請求項1に記載の荷物運搬台車。
【請求項3】
太陽光を受光して電気に変換し、これを蓄電池に充電するソーラーパネルを収納箱の蓋の天面に設けた構成を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の荷物運搬台車。
【請求項4】
台車はリヤカーである請求項1から3の何れかに記載の荷物運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配荷物などを荷物積載トラックから配達先まで運搬する際に使用される、手押し式又は自転車などで牽引される形式の荷物運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、宅配荷物の配送形態は、地球環境への対応や駐車対策、集配効率化の観点から、特に都市部や住宅地では、トラックによる集配から、台上に荷物を収納する収納箱を取り付けた荷物運搬台車を手押ししたり収納箱を取り付けたリヤカーを電動アシスト自転車で牽引したりして集配地域を巡回する配送形態にシフトしてきている。それに適した荷物運搬装置も利用されつつある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−12563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラックによる集配の補助的役割であった台車やリヤカーが集配の主要ツールとして利用されてきており、これらを使用する際の安全性についても特段の配慮が必要となってきている。
【0005】
とりわけ、各宅配業者は宅配便の利用者のニーズに応じて午後9時頃迄の配達を受け付けて配送業務を行なっており、夜間の集配で台車やリヤカーを使用したときの安全性を確保し、歩行者や車両に衝突するなどの事故を引き起こすことがないように対策を講じておく必要がある。
現状の事故防止策として、台車やリヤカーの周辺部にバンパーを設けたり反射テープを貼り付けたりすることが行なわれているが、夜間の住宅地の集配にあっては、移動する台車やリヤカーの存在を、歩行者或いは車両を運転するドライバーに確実に認識させなければ、事故の発生を未然に防止することができない。
【0006】
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑み、台車やリヤカーなどの荷物運搬台車に発光表示手段を設け、これを夜間の集配に使用する際に、歩行者や車両のドライバーに台車の存在を確実に認識させて安全性の向上を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、 台座上に蓋付きの収納箱が取り付けられてなる荷物運搬台車において、
蓄電池と電圧制御ユニットとLEDランプからなる発光装置を備え、
前記収納箱の周側面に、前記LEDランプを発光源とした線状又は面状に形成された発光表示部が設けられた構成を有することを特徴とする。
【0008】
前記構成の荷物運搬台車において、線状又は面状に設けられた発光表示部は、これを収納箱の側面に一体に設けてあることが好ましい。
また、線状の発光表示部としては、例えば帯状に形成された透光性の導光部材の端部にLEDランプを設置し、LEDランプによる光源光が導光部材の内部に入射するように設けて形成することができる。
さらに、 太陽光を受光して電気に変換し、これを蓄電池に充電するソーラーパネルを収納箱の蓋の天面に一体に設けることができる。
【0009】
前記構成の荷物運搬台車によれば、収納箱の周辺部に発光表示部を設けてあり、この発光表示部を夜間の集配において発光させることにより、台車の周辺を歩行する歩行者や車両のドライバーに台車の存在を確実に認識させることができる。
また、発光表示部を線状又は面状に設けて収納箱の側面に取り付けてあれば、夜間においても収納箱を含む台車全体の大きさや移動位置の視認性が高まり、歩行者などに正確に判別させることができる。
さらに、日中は太陽光をソーラーパネルで電気に変換して蓄電池に充電し、暗くなった夜間に蓄電池から供給される電気でLEDランプを点灯させるように構成することで、発光装置を低コストで構成し稼動させることができ、メンテナンスも劣化した蓄電池を交換するなどして簡易に行なうことができる。
なお、本発明の荷物運搬台車は、底部に車輪が取り付けられた台座上に蓋付きの収納箱が取り付けられ、収納箱に配送荷物を収納して運搬に利用可能な台車をいい、手押して移動させる台車の他、自転車などで牽引されるリヤカーが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態荷物運搬台車の外観斜視図である。
図2図1の台車に装備される発光装置の概略回路図である。
図3図1の発光表示部の構成を示した図である。
図4】自転車で牽引される本発明の他の実施形態の荷物運搬台車の外観側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態の荷物運搬台車を示しており、この荷物運搬台車1は、手押しして移動させる台車2に発光装置3を装備させた構成のものである。
【0012】
詳しくは、台車2は、底部に車輪22が取り付けられているとともに、一側の上部に手押し用のフレーム23が突設された台座21上に、荷物が収納される蓋付きの収納箱24を一体に取り付けて構成されており、収納箱24の周側面には後述する発光装置3の発光表示部36を、収納箱24の蓋24aの天面にはソーラーパネル31をそれぞれ一体に取り付けてある。図1中、符番4は収納箱24の側面に貼り付けられた反射板である。
【0013】
発光装置3は、図2に示される、ソーラーパネル31、充電式の蓄電池32、電圧制御ユニット33、LEDランプ34及びスイッチ35の各素子と、図3に示される、LEDランプ34を発光源とした線状の発光表示部36により構成してある。
【0014】
図2に示されるように、発光装置3は、日中に前記蓋24aの天面に取り付けられたソーラーパネル31で太陽光を受光して電気に変換し、これを蓄電池32に充電する。すなわち、電圧制御ユニット33により、ソーラーパネル31から一定の電圧の電流が供給されると、蓄電池32側の回路が導通し、LEDランプ34が消灯状態になるとともに、蓄電池32へ充電がされるようになっている。
そして、日が陰ってソーラーパネル21からの電流の電圧が一定の電圧を下回ると、蓄電池32とLEDランプ34間の回路が導通し、夜間にLEDランプを点灯させるようになっている。
以上の動作は、スイッチ35がオン状態のときになされ、台車1を使用しないときは、スイッチ35をオフ状態として蓄電池33の放電を停止させるようになっている。
【0015】
また、発光表示部36は、図3に示されるように、帯状に形成された透明チューブなどの透光性を有する管状の導光部材37の端部37aにLEDランプ34を配置し、LEDランプ34が点灯したときに、その光源光が導光部材37の内部に入射し、導光部材37を通して外部に光を出射することで、導光部材37の全体が帯状に発光するように設けてある。
【0016】
図4は本発明の他の形態の荷物運搬台車1を示しており、これは、リヤカーとして形成された台車2に収納箱24を搭載するとともに、台車2の前端部を電動アシスト機能付きの自転車5のサドル下側に連結して、自転車5で牽引し得るように構成され、前記台車2に載せた収納箱24の側面には帯状の発光表示部36が、蓋24aの天面にはソーラーパネル31がそれぞれ取り付けられ、前記図2に示された発光装置3により、夜間に発光表示部36が発光するように設けたものである。
【0017】
このように構成された本発明の荷物運搬台車1は、夜間の集配において収納箱24の周側面に取り付けられた発光表示部36が発光することで、歩行者や車両のドライバーに台車の存在を確実に認識させ、歩行者が衝突するなどの事故の発生を未然に防いで、安全性の向上を図ることが可能である。
【0018】
なお、図示した荷物運搬台車1や発光装置2の構成や一例であり、これらは他の適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0019】
1 荷物運搬台車、2 台車、21 台座、24 収納箱、24a 蓋、3 発光装置、31 ソーラーパネル、32 充電池、33 電圧制御ユニット、34 LEDランプ、36 発光表示部、37 導光部材、4 反射板、5 自転車
図1
図2
図3
図4