(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源駆動部は、前記発光素子に流れる電流値が略0の状態において、前記発光素子に対する前記電力の供給を開始するとともに、前記発光素子に流れる電流の波形が三角波状になるように、前記発光素子に流れる電流値が前記所定の電流値に達したことに基づいて、前記発光素子に対する前記電力の供給を停止するように構成されている、請求項1に記載の光音響画像化装置。
前記光源駆動部から前記電力が供給されることにより前記発光素子に対して印加される電圧の電圧降下の大きさを検出することにより、前記発光素子に流れる電流値を取得する電流検出部をさらに備える、請求項1または2に記載の光音響画像化装置。
前記光源駆動部は、前記所定の電流値に対応する電圧値と、前記所定の電流値に対応するパルス幅とを含むテーブルに基づいた駆動パルスを前記発光素子に供給するように構成されている、請求項1または2に記載の光音響画像化装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態による光音響画像化装置100の構成について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による光音響画像化装置100には、
図1に示すように、プローブ部20が設けられている。プローブ部20は、被検体10内からの音響波A1および超音波B2を検出して、受信信号として後述する本体部30に伝達するように構成されている。
【0021】
また、光音響画像化装置100には、本体部30が設けられている。本体部30は、プローブ部20により検出された受信信号を処理して画像化するように構成されている。
【0022】
また、光音響画像化装置100には、画像表示部40が設けられている。画像表示部40は、本体部30により処理された画像を取得して、表示することが可能に構成されている。
【0023】
そして、プローブ部20には、発光素子群21が設けられている。発光素子群21は、赤外域の波長(たとえば、約850nmの波長)を有するパルス光を発光することが可能な複数の発光ダイオード素子21a(
図2参照)を含む。
【0024】
また、プローブ部20には、集光レンズ22が設けられている。集光レンズ22は、発光素子群21からのパルス光を集光しながら、パルス光を被検体10に照射するように構成されている。
【0025】
そして、プローブ部20から被検体10に照射されたパルス光は、被検体10内の検出対象物(たとえば、ヘモグロビン等)により吸収される。そして、検出対象物が、パルス光の照射強度(吸収量)に応じて、膨張および収縮する(膨張した大きさから元の大きさに戻る)ことにより、検出対象物(被検体10)から音響波A1が生じる。なお、本明細書では、説明の都合上、被検体10内の検出対象物が光を吸収することにより発生する超音波を「音響波A1」として、超音波振動素子25により発生されるとともに、被検体10に反射される超音波を後述する「超音波B2」として区別して記載している。
【0026】
また、プローブ部20には、光源駆動部23が設けられている。光源駆動部23は、外部電源部101から電力を取得するように構成されている。そして、光源駆動部23は、後述する制御部31からの電圧値制御信号およびパルス制御信号に基づいて、発光素子群21に電力を供給するように構成されている。
【0027】
また、プローブ部20には、電流検出部24が設けられている。電流検出部24は、発光素子群21の複数の発光ダイオード素子21aに流れる電流Iの電流値Ipを検出することが可能に構成されている。
【0028】
また、プローブ部20には、超音波振動子25が設けられている。超音波振動子25は、圧電素子(たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT))などにより構成されている。そして、超音波振動子25は、上記した音響波A1を取得した場合には、振動して電圧(受信信号)を生じるように構成されている。そして、超音波振動子25は、取得した受信信号を後述する受信回路32に伝達するように構成されている。なお、超音波振動子25は、本発明の「音響波検出部」の一例である。
【0029】
また、超音波振動子25は、制御部31からの振動子駆動信号に応じた周波数で振動することにより超音波B1を発生することが可能に構成されている。そして、超音波振動子25により発生した超音波B1は、被検体10内の音響インピーダンスが高い物質により反射される。そして、超音波B2(超音波B1が反射されたもの)は、超音波振動子25により取得され、超音波振動子25は、超音波B2により振動するように構成されている。
【0030】
そして、超音波振動子25は、超音波B2により振動した場合も、音響波A1により振動した場合と同様に、受信信号を受信回路32に伝達するように構成されている。なお、光音響画像化装置100は、発光素子群21によりパルス光を被検体10に照射して音響波A1を発生させるとともに、音響波A1を超音波振動子25により取得する期間と、超音波振動子25により超音波B1を被検体10に照射して、超音波B2を超音波振動子25により取得する期間とを、重複させないように構成することにより、音響波A1と超音波B2とを区別することが可能に構成されている。
【0031】
また、
図1に示すように、本体部30には、制御部31が設けられている。そして、制御部31は、CPU(Central Processing Unit)などを含み、各部に制御信号を伝達することによって、光音響画像化装置100の全体の制御を行うように構成されている。
【0032】
また、本体部30には、受信回路32が設けられている。受信回路32は、カップリングコンデンサ等を含み、超音波振動子25から受信信号(交流成分)を取得するように構成されている。そして、受信回路32は、取得した受信信号をA/Dコンバータ33に伝達するように構成されている。
【0033】
また、本体部30には、A/Dコンバータ33が設けられている。A/Dコンバータ33は、受信回路32から取得した受信信号(アナログ信号)を、制御部31から取得したサンプリングトリガ信号に対応させて、デジタル信号に変換するように構成されている。そして、A/Dコンバータ33は、受信メモリ34と接続されており、A/Dコンバータ33は、デジタル信号に変換された受信信号を、受信メモリ34に伝達するように構成されている。
【0034】
また、本体部30には、受信メモリ34が設けられている。受信メモリ34は、デジタル信号に変換された受信信号を一時的に格納するように構成されている。そして、受信メモリ34は、データ処理部35と接続されており、格納された音響波信号をデータ処理部35に伝達するように構成されている。
【0035】
また、本体部30には、データ処理部35が設けられている。データ処理部35は、音響波画像再構成部51と接続されており、音響波A1のデータは、音響波画像再構成部51に伝達するように構成されている。また、データ処理部35は、超音波画像再構成部54と接続されており、超音波B2のデータは、超音波画像再構成部54に伝達するように構成されている。
【0036】
また、本体部30には、音響波画像再構成部51が設けられている。音響波画像再構成部51は、取得した音響波A1のデータを、画像として再構成する処理を行うように構成されている。そして、音響波画像再構成部51は、検波・対数コンバータ52と接続されており、画像として再構成された音響波A1のデータを検波・対数コンバータ52に伝達するように構成されている。
【0037】
また、本体部30には、検波・対数コンバータ52が設けられている。検波・対数コンバータ52は、画像として再構成されたデータの波形処理を行うように構成されている。そして、検波・対数コンバータ52は、音響波画像構築部53と接続されており、波形処理されたデータを伝達するように構成されている。
【0038】
また、本体部30には、音響波画像構築部53が設けられている。音響波画像構築部53は、波形処理されたデータに基づいて、被検体10内の断層画像を構築する処理を行うように構成されている。そして、音響波画像構築部53は、画像合成部57と接続されており、音響波A1に基づいた断層画像を伝達するように構成されている。
【0039】
また、本体部30には、超音波画像再構成部54と検波・対数コンバータ55と超音波画像構築部56と画像合成部57とが設けられている。超音波画像再構成部54は、データ処理部35から取得した超音波B2のデータを、画像として再構成する処理を行うように構成されている。そして、超音波画像再構成部54は、検波・対数コンバータ55と、超音波画像構築部56とを介して、超音波B2に基づいた断層画像を、画像合成部57に伝達するように構成されている。
【0040】
また、本体部30には、画像合成部57が設けられている。画像合成部57は、音響波A1に基づいた断層画像と超音波B2に基づいた断層画像とを合成する処理を行い、合成された画像を画像表示部40に出力するように構成されている。
【0041】
そして、画像表示部40は、液晶パネル等により構成されており、本体部30から取得した画像を表示するように構成されている。
【0042】
また、
図2に示すように、光源駆動部23には、DC/DCコンバータ23aが設けられている。DC/DCコンバータ23aは、外部電源部101から取得した電力を、制御部31から取得した電圧値制御信号に基づいた電圧値に変換して、変換された電圧を発光素子群21の発光ダイオード21aに印加するように構成されている。
【0043】
そして、発光素子群21には、互いに直列に接続された複数の発光ダイオード素子21aが設けられている。また、発光ダイオード素子21aのアノード側(点C1)には、DC/DCコンバータ23aから電圧が印加されている。また、発光ダイオード素子21aのカソード側(点C2)は、スイッチ部SW1と接続されている。
【0044】
そして、光源駆動部23には、スイッチ部SW1が設けられている。スイッチ部SW1は、制御部31からのパルス制御信号に基づいて、発光素子群21と電流検出部24との導通および切断を切り替えることが可能に構成されている。
【0045】
これにより、スイッチ部SW1がオン(導通)されている場合には、点C1と点C2との間に、電位差が生じるので、複数の発光ダイオード素子21aに電流Iが流れ、複数の発光ダイオード素子21aから光が発生する。すなわち、この場合は、光源駆動部23(DC/DCコンバータ23a)から発光素子群21に電力が供給されている状態である。また、スイッチ部SW1がオフ(切断)されている場合には、複数の発光ダイオード素子21aには、電流が流れない。すなわち、この場合は、光源駆動部23(DC/DCコンバータ23a)から発光素子群21への電力の供給が停止されている状態である。
【0046】
そして、制御部31は、スイッチ部SW1がオンオフを繰り返すような、パルス制御信号(
図5参照)を伝達するように構成されている。これにより、発光素子群21の点C1と点C2との電位差は矩形波状の駆動パルス(駆動電圧)を有するように構成されている。なお、パルス制御信号は、オンの時間が150nsで、かつ、繰り返し周波数が1kHzなどに設定されており、発光ダイオード素子21aの発熱が少なく、発光ダイオード素子21aが効率よく発光することが可能な値に設定されている。
【0047】
そして、
図3に示すように、電流検出部24は、ピークホールド回路を含み、発光素子群21に流れる電流Iの電流値Ipを検出することが可能に構成されている。以下、具体的に説明する。
【0048】
電流検出部24には、検出抵抗R1と、充電コンデンサC1と、充電スイッチ部SW2と、放電スイッチ部SW3とが設けられている。そして、検出抵抗R1の一方端は、上記したスイッチ部SW1および充電スイッチ部SW2と接続されているとともに、他方端は、接地されている。これにより、検出抵抗R1は、電流値Ipに応じた電圧V1を充電スイッチ部SW2に印加させることが可能に構成されている。なお、電流値Ip(発光素子に流れる電流値)は、検出抵抗R1および電圧値V1により、以下の式(1)の関係を有する。
Ip=V1/R1・・・(1)
【0049】
そして、
図3(a)に示すように、充電スイッチ部SW2は、制御部31からスイッチ駆動信号(充電信号)に応じて、オンオフを切り替えることが可能に構成されている。そして、充電スイッチ部SW2がオンすることにより、検出抵抗R1に印加される電圧V1を充電コンデンサC1に印加して、充電コンデンサC1を充電させるように構成されている。
【0050】
そして、
図3(b)に示すように、充電スイッチ部SW2がオフされると、充電コンデンサC1は、電圧V1を維持する。すなわち、制御部31により充電スイッチ部SW2をオフした後、制御部31は、電圧V1を取得して、取得した電圧V1に基づいて、電流値Ipを取得することが可能に構成されている。
【0051】
そして、
図3(c)に示すように、放電スイッチ部SW3は、制御部31からスイッチ駆動信号(放電信号)を取得して、放電スイッチ部SW3がオンされると、充電された充電コンデンサC1から電荷が放出されるように構成されている。これにより、充電コンデンサC1は、充電されていない状態に戻るように構成されている。
【0052】
次に、
図4を参照して、従来の光音響画像化装置における光源駆動部の駆動方法について説明する。
【0053】
従来の光音響画像化装置の光源駆動部の駆動方法では、発光素子に流れる電流値が略一定となる期間(期間τ2および期間τ5)を有する。なお、発光素子に流れる電流値と、発光素子から照射される光(パルス光)の大きさとは対応するので、従来の光音響画像化装置では、発光素子から照射される光の大きさが略一定となる期間(期間τ2および期間τ5)を有することを意味する。
【0054】
具体的には、パルス制御信号が時点t1〜時点t3において、Hレベルにされた場合、発光素子に流れる電流の電流値は、時点t1〜時点t2においては上昇する一方、時点t2〜時点t3においては略一定となる。そして、発光素子に流れる電流の電流値は、時点t3〜時点t4において次第に小さくなる。時点t5〜時点t8においては、発光素子に流れる電流値は、時点t1〜時点t4と同様の波形を有する。
【0055】
そして、被検体10の内部の検出対象物が吸収する光の大きさが変化する期間(期間τ1、期間τ3、期間τ4および期間τ6)には、検出対象物から音響波A1が発生する。一方、被検体10の内部の検出対象物が吸収する光の大きさが変化しない期間(期間τ2および期間τ5)には、検出対象物から音響波A1が発生しない。
【0056】
次に、
図5を参照して、第1実施形態による光音響画像化装置100における光源駆動部23の駆動方法について説明する。
【0057】
ここで、第1実施形態では、光源駆動部23により、発光素子群21に流れる電流値Ipが略0の状態において、発光素子群21に対する電力の供給が開始されるとともに、発光素子群21に流れる電流Iの波形が三角波状になるように、発光素子群21に流れる電流値Ipが目標電流値Ioに達したことに基づいて、発光素子群21に対する電力の供給が停止される。以下、具体的に説明する。
【0058】
パルス制御信号が時点t11(発光素子群21に流れる電流値Ipが略0の状態)においてHレベルにされ、発光素子群21に流れる電流値Ipが次第に大きくなる。そして、時点t12において、発光素子群21に流れる電流値Ipは、目標電流値Ioに達する。そして、発光素子群21に流れる電流値Ipは、目標電流値Ioに達したことに基づいて、パルス制御信号がLレベルにされる。なお、目標電流値Ioは、本発明の「所定の電流値」の一例である。
【0059】
また、パルス制御信号がLレベルにされたことにより、時点t12〜時点t13において、発光素子群21に流れる電流値Ipは、次第に小さくなる。また、時点t14〜時点t16においては、発光素子群21に流れる電流Iは、時点t11〜時点t13と同様の波形を有する。
【0060】
したがって、発光素子群21に流れる電流Iの波形は三角波状になるとともに、発光素子群21に流れる電流値Ipが略一定となる期間はない。これにより、被検体10の内部の検出対象物が吸収する光の大きさが変化する期間(期間τ11、期間τ12、期間τ13および期間τ14)には、検出対象物から音響波A1が発生する。すなわち、発光素子群21に電流Iが流れる期間の略全期間、検出対象物から音響波A1が発生する。
【0061】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
第1実施形態では、上記のように、光源駆動部23を、発光素子群21に流れる電流値Ipが目標電流値Ioに達したことに基づいて、発光素子群21に対する電力の供給を停止するように構成する。これにより、発光素子群21に流れる電流値Ipが略変化しないような電流値(目標電流値Io)になる以前に、発光素子群21に対する電力の供給を停止することができるので、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間を短くするか、または、なくすことができる。そして、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間を短くするか、または、なくすことにより、音響波A1の発生に寄与しない光が発生することを抑制することができる。その結果、音響波A1の発生に寄与しない光が発生することを抑制して、光を発生させるための消費電力が増加するのを抑制することができる。また、消費電力の増加が抑制されることにより、光音響画像化装置100が電力を消費することによる発熱も抑制することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、上記のように、光源駆動部23を、発光素子群21に流れる電流値Ipが略0の状態において、発光素子群21に対する電力の供給を開始するとともに、発光素子群21に流れる電流Iの波形が三角波状になるように、発光素子群21に流れる電流値Ipが目標電流値Ioに達したことに基づいて、発光素子群21に対する電力の供給を停止するように構成する。これにより、発光素子群21に流れる電流Iの波形を三角波状にすることにより、発光素子群21に流れる電流Iの波形を矩形波状にする場合と比べて、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間をより短くすることができる。その結果、音響波A1の発生に寄与しない光が発生することを抑制して、光を発生させるための消費電力が増加するのをより抑制することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、発光素子群21に、発光ダイオード素子21aを含むように構成する。これにより、発光ダイオード素子21aは、レーザ光を発する発光素子に比べて指向性が低く、位置ずれが生じた場合でも、比較的光の照射範囲は変化しにくい。このため、レーザ光を発する発光素子(レーザダイオードなど)を用いる場合と異なり、光学部材の精密なアライメント(位置合わせ)が不要であるとともに、光学系の振動による特性変動を抑制するための光学定盤や強固な筐体が不要となる。その結果、光学部材の精密なアライメントが不要で、かつ、光学定盤や強固な筐体が不要な分、光音響画像化装置100の大型化および光音響画像化装置100の構成の複雑化を抑制することができる。
【0065】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図8を参照して、第2実施形態による光音響画像化装置200の構成について説明する。第2実施形態では、発光素子群に流れる電流値のピーク値を検出することが可能に構成された電流検出部が設けられていた第1実施形態による光音響画像化装置100と異なり、光源駆動部から印加された電圧の発光素子群による電圧降下の大きさを検出することが可能に構成された電圧検出部が設けられている。
【0066】
図6に示すように、第2実施形態による光音響画像化装置200には、プローブ部220が設けられている。
【0067】
また、光音響画像化装置200には、本体部230が設けられている。そして、本体部230は、制御部231を含む。
【0068】
ここで、第2実施形態では、
図7に示すように、プローブ部220には、光源駆動部23から電力が供給されることにより発光素子群21に対して印加される電圧V2の電圧降下の大きさ(電圧V2−V3)を検出することにより、発光素子群21に流れる電流値を取得する電圧検出部224が設けられている。なお、電圧検出部224は、本発明の「電流検出部」の一例である。
【0069】
具体的には、電圧検出部224は、発光素子群21の点C1の電圧値V2と点C2の電圧値V3との電位差を検出することが可能に構成されている。そして、電圧検出部224は、検出した電位差(電圧降下の大きさ)の情報を制御部231に伝達するように構成されている。
【0070】
また、
図8に示すように、制御部231は、取得した電圧降下の大きさに基づいて、発光素子群21に流れる電流値Ipを算出することが可能に構成されている。たとえば、発光素子群21に含まれる複数の発光ダイオード21aのうちの1つあたりの電圧降下の値は、順電圧V
Fの値と一致する。これにより、制御部231は、
図8に示す発光ダイオード21aの特性に基づいて、取得した電圧降下の大きさから発光素子群21に流れる電流値Ipを算出するように構成されている。たとえば、順電圧V
Fが3Vの場合には、発光素子群21に流れる電流値Ipは、3Aであり、順電圧V
Fが7Vの場合には、発光素子群21に流れる電流値Ipは、70Aである。
【0071】
なお、発光ダイオード21aの順電圧V
Fは、比較的順電圧V
Fが大きい電圧範囲(たとえば、順電圧V
Fが3V以上、7V以下)では、対数として表した発光素子群21に流れる電流値Ipと、一次関数となる性質を有する。これにより、制御部231は、一次関数となる性質を考慮して算出することにより、発光素子群21に流れる電流値Ipの算出の際における、制御部231の処理の負担が増加するのを抑制することができる。
【0072】
そして、制御部231は、算出した発光素子群21に流れる電流値Ipに基づいて、光源駆動部23の駆動を制御することにより、第1実施形態による光音響画像化装置100と同様に、発光素子群21に流れる電流値Ipが目標電流値Ioに達したことに基づいて、発光素子群21に対する電力の供給を停止して、発光素子群21に流れる電流値Ipを略0にするように構成されている。これにより、第2実施形態による光音響画像化装置200においても、第1実施形態による光音響画像化装置100と同様に、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間を短くすることが可能になる。
【0073】
また、第2実施形態による光音響画像化装置200のその他の構成は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0074】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
第2実施形態では、上記のように、光音響画像化装置200に、光源駆動部23から電力が供給されることにより発光素子群21に対して印加される電圧V2の電圧降下の大きさを検出することにより、発光素子群21に流れる電流値Ipを取得する電圧検出部224を設ける。ここで、一般的に、発光素子群21に流れる電流値Ipを検出する場合には、たとえば、第1実施形態による光音響画像化装置100のように、電流検出部24(ピークホールド回路)(
図2参照)を設ける必要がある。一方、発光素子群21に流れる電流値Ipは、発光素子群21に対して印加される電圧V2の電圧降下の大きさ(順電圧V
F)と相関関係がある。そこで、上記のように発光素子群21に対して印加される電圧V2の電圧降下の大きさを検出することによって、発光素子群21に流れる電流値Ipを取得するように構成することにより、電流検出部24(ピークホールド回路)などを設けることなく、発光素子群21に流れる電流値Ipを取得することができる。そして、電圧検出部224の構成は、電流検出部24に比べて構成が複雑ではないので、光音響画像化装置200の構成が複雑化するのを抑制することができる。また、第2実施形態による光音響画像化装置200のその他の効果は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0076】
(第3実施形態)
次に、
図9〜
図11を参照して、第3実施形態による光音響画像化装置300の構成について説明する。第3実施形態では、発光素子群に流れる電流値を取得して、取得した発光素子群に流れる電流値に基づいて、光源駆動部の駆動を制御するように構成されていた第1実施形態による光音響画像化装置100と異なり、目標電流値に対応する電圧値と、目標電流値に対応するパルス幅とを含むテーブルに基づいて、光源駆動部の駆動を制御するように構成されている。
【0077】
図9に示すように、第3実施形態による光音響画像化装置300には、プローブ部320が設けられている。
【0078】
また、光音響画像化装置300には、本体部330が設けられている。そして、本体部330は、制御部331を含む。
【0079】
ここで、第3実施形態では、
図10および
図11に示すように、光源駆動部323は、目標電流値Ioに対応する電圧値V4と、目標電流値Ioに対応するパルス幅twとを含むテーブル331aに基づいた駆動パルスを発光素子群21に供給するように構成されている。
【0080】
具体的には、
図10に示すように、制御部331には、テーブル331aが設けられている。テーブル331aは、
図11に示すように、複数の異なる目標電流値Ioに対応したパルス幅twと電圧値V4との情報が含まれている。たとえば、制御部331が、目標電流値Ioが12Aとなるように駆動する場合には、パルス幅twが130nsで、かつ電圧値V4が162Vとなるように光源駆動部323を駆動させることにより、発光素子群21に流れる電流Iの波形は、電流値Ipが12A(ピーク値)となる三角波状となるように構成されている。これにより、第3実施形態による光音響画像化装置300においても、第1実施形態による光音響画像化装置100と同様に、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間を短くすることが可能になる。
【0081】
また、制御部331は、外部コンピュータ331bと接続することが可能に構成されており、外部コンピュータ331bからテーブル331aを取得することが可能に構成されている。これにより、制御部331は、発光素子群21を交換する際に、交換後の発光素子群21に対応するテーブル331aを取得することが可能になる。たとえば、交換前の発光素子群21と交換後の発光素子群21とに含まれる発光ダイオード素子21aの発光波長が異なる場合や、同一の波長であっても生産ロットが異なる場合などには、テーブル331aを更新することにより、より確実に、発光素子群21に流れる電流値Ipの大きさが変化しない期間を短くすることが可能になる。また、第3実施形態による光音響画像化装置300のその他の構成は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0082】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
第3実施形態では、上記のように、光源駆動部323を、目標電流値Ioに対応する電圧値V4と、目標電流値Ioに対応するパルス幅twとを含むテーブル331aに基づいた駆動パルスを発光素子群21に供給するように構成する。これにより、テーブル331aに基づいた駆動パルスを発光素子群21に供給することにより、発光素子群21に流れる電流値Ipを取得することなく、発光素子群21に流れる電流値Ipが目標電流値Ioに達する時点で、発光素子群21に対する電力の供給を停止することができる。その結果、発光素子群21に流れる電流値Ipを取得するための電流検出部を設ける必要がない分、光音響画像化装置300の構成が複雑化するのをより抑制することができる。また、第3実施形態による光音響画像化装置300のその他の効果は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0084】
(第4実施形態)
次に、
図12および
図13を参照して、第4実施形態による光音響画像化装置400の構成について説明する。第4実施形態では、1つの発光素子群が設けられていた第1〜第3実施形態による光音響画像化装置と異なり、複数の発光素子群が設けられている。
【0085】
図12に示すように、第4実施形態による光音響画像化装置400には、プローブ部420が設けられている。
【0086】
また、光音響画像化装置400には、本体部430が設けられている。そして、本体部430は、制御部431を含む。
【0087】
ここで、第4実施形態では、
図12および
図13に示すように、プローブ部420には、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cと、光源駆動部423と、電流検出部424とが設けられている。そして、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとは、光源駆動部423にそれぞれ並列に接続されている。
【0088】
また、
図13に示すように、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとは、それぞれ同一の種類の発光ダイオード素子21aを同数含むように構成されている。なお、同一の種類の発光ダイオード素子21aであっても、電圧が印加されて電流が立上る速度(応答速度)には、バラツキが生じる場合がある。
【0089】
そして、光源駆動部423には、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとにそれぞれ接続されているDC/DCコンバータ423aが設けられている。また、光源駆動部423には、第1発光素子群421aと電流検出部424とを導通および切断を切り替えることが可能に構成されたスイッチ部SW11が設けられている。また、光源駆動部423には、第2発光素子群421bに対応するスイッチ部SW12と、第3発光素子群421cに対応するスイッチ部SW13とが設けられている。
【0090】
そして、電流検出部424は、第1発光素子群421aに流れる電流I1と、第2発光素子群421bに流れる電流I2と、第3発光素子群421cに流れる電流I3とのそれぞれの電流値を取得可能に構成されている。また、第4実施形態による光音響画像化装置400のその他の構成は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0091】
次に、
図14を参照して、第4実施形態による光音響画像化装置400における光源駆動部423の駆動方法について説明する。なお、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとの応答速度は、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとの順に小さいと仮定して説明する。すなわち、第3発光素子群421cの応答速度が最も小さいと仮定して説明する。
【0092】
ここで、第4実施形態では、光源駆動部423により、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとのそれぞれに流れる電流値が目標電流値Ioに達する時点(時点t22、t23およびt24)のうちの最も遅い時点(時点t24)において、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとに対する電力の供給が停止され、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとに流れる電流値が略0にされる。以下、具体的に説明する。
【0093】
パルス制御信号が時点t21(発光素子群21に流れる電流値が略0の状態)においてHレベルにされた場合、第1発光素子群421aと、第2発光素子群421bと、第3発光素子群421cとに流れる電流値はそれぞれ次第に大きくなる。
【0094】
そして、時点t22において、第1発光素子群421aに流れる電流値は、目標電流値Ioに達する。この場合、パルス制御信号はHレベルの状態が維持される。そして、時点t23において、第2発光素子群421bに流れる電流値は、目標電流値Ioに達する。この場合も、パルス制御信号はHレベルの状態が維持される。
【0095】
そして、時点t24において、第3発光素子群421cに流れる電流値が目標電流値Ioに達する。そして、第3発光素子群421cに流れる電流値が目標電流値Ioに達したことに基づいて、パルス制御信号がLレベルにされる。また、時点t25〜時点t26においては、時点t21〜時点t24と同様にパルス制御信号がHレベルにされる。
【0096】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0097】
第4実施形態では、上記のように、プローブ部420に、複数の発光素子群(第1発光素子群421aと第2発光素子群421bと第3発光素子群421cと)を設ける。そして、複数の発光素子群を、光源駆動部423にそれぞれ並列に接続して、プローブ部420に、複数の発光素子群のそれぞれに流れる電流値を取得する電流検出部424を設ける。また、光源駆動部423を、複数の発光素子群のそれぞれに流れる電流値が目標電流値Ioに達する時点(時点t22〜24)のうちの最も遅く発光素子群(第3発光素子群421c)に流れる電流値が目標電流値Ioに達した時点(時点t24)において、複数の発光素子群に対する電力の供給を停止して、複数の発光素子群に流れる電流値を略0にするように構成する。これにより、複数の発光素子群に電圧が印加されて電流が立上る速度(応答速度)にバラツキがある場合でも、最も遅く立上る発光素子群(第3発光素子群421c)の立上りに基づいて電力の供給の停止を行うことにより、全ての発光素子群に流れる電流値を、目標電流値Ioに達するようにすることができる。そして、複数の発光素子群から照射される光の光量を確保することができるので、音響波A1の強度を確保することができる。その結果、音響波A1の強度を確保することができるので、音響波A1を画像化する際に、より正確に画像化することができる。また、第4実施形態による光音響画像化装置400のその他の効果は、第1実施形態における光音響画像化装置100と同様である。
【0098】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0099】
たとえば、上記第1実施形態および第4実施形態では、本発明の電流検出部として、充電スイッチ部をオンすることにより、検出抵抗に印加される電圧を充電コンデンサに印加して、充電コンデンサを充電させることにより、発光素子群に流れる電流に応じた電圧値のピーク値を維持するよう構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、スイッチ部以外の部品を用いて、充電コンデンサを充電させることにより、発光素子群に流れる電流に応じた電圧値のピーク値を維持するよう構成してもよい。たとえば、
図15に示す変形例のように、ダイオード素子D1を用いて、充電コンデンサC1を充電させることにより、発光素子群に流れる電流に応じた電圧値のピーク値を維持するよう構成してもよい。
【0100】
ここで、第1変形例による電流検出部524には、
図15に示すように、検出抵抗R1と、充電コンデンサC1と、ダイオード素子D1とが設けられている。ダイオード素子D1のアノードは、検出抵抗R1に接続されるとともに、ダイオード素子D1のカソードは、充電コンデンサC1に接続されている。これにより、発光素子群21に流れる電流I(電流値Ip)が流れた場合に、ダイオード素子D1を介して、検出抵抗R1側から充電コンデンサC1に電流が流れる一方、充電コンデンサC1から検出抵抗R1側に電流は流れない。その結果、第1変形例による電流検出部524は、第1実施形態による電流検出部24と同様に、発光素子群21に流れる電流値Ipに応じた電圧値を維持することが可能に構成されている。そして、制御部31は、上記発光素子群21に流れる電流値Ipに応じた電圧値を取得することが可能に構成されている。
【0101】
また、上記第1、第2および第4実施形態では、本発明の電流検出部または電圧検出部により発光素子群に流れる電流値を取得するとともに、制御部が、取得した電流値が目標電流値に達したか否かを判断するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、制御部以外の判断手段により発光素子群に流れる電流値が目標電流値に達したか否かを判断するように構成してもよい。たとえば、
図16に示す変形例のように、比較器601を用いて、発光素子群21に流れる電流Iの電流値Ipが目標電流値Ioに達したか否かを判断するように構成してもよい。
【0102】
ここで、第2変形例によるプローブ部620には、
図16に示すように、比較器601が設けられている。比較器601は、コンパレータなどにより構成されており、電流検出部24により取得された発光素子群21に流れる電流値Ipの電流値に対応する電圧値を取得するように構成されている。また、比較器601のコンパレータは、目標電流値Ioに対応する電圧値を参照電圧として入力されている。これにより、比較器601は、発光素子群21に流れる電流Iの電流値Ipが目標電流値Ioに達したか否かを判断することが可能に構成されている。そして、比較器601は、発光素子群21に流れる電流Iの電流値Ipが目標電流値Ioに達した場合に、光源駆動部23のスイッチ部SW1をオフして、光源駆動部23から発光素子群21への電力の供給を停止するように構成されている。
【0103】
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明の発光ダイオード素子として、波長約850nmの光を発生させる1種類の発光ダイオード素子を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2種類以上の発光ダイオード素子を用いてもよい。たとえば、
図17に示す変形例のように、波長約850nmの光を発生させる発光ダイオード素子721aおよび波長約760nmの光を発生させる発光ダイオード素子722aを有するように構成して、2種類の発光ダイオード素子を用いてもよい。
【0104】
ここで、第3変形例による光音響画像化装置700には、
図17に示すように、第1波長発光素子群721と、第2波長発光素子群722と、光源駆動部723と、制御部731とが設けられている。そして、第1波長発光素子群721には、波長約850nmの光を発生させる発光ダイオード素子721aが複数設けられている。また、第2波長発光素子群722には、波長約760nmの光を発生させる発光ダイオード素子722aが複数設けられている。また、光源駆動部723には、DC/DCコンバータ723aおよび723bと、スイッチ部SW21およびSW22とが設けられている。そして、制御部731には、第1波長用テーブル731aおよび第2波長用テーブル731bが格納されている。なお、第1波長用テーブル731aおよび第2波長用テーブル731bは、第3実施形態によるテーブル331aと同様に構成されている。
【0105】
そして、制御部731は、第1波長用テーブル731aに対応した第1電圧値制御信号および第1パルス制御信号と、第2波長用テーブル731bに対応した第2電圧値制御信号および第2パルス制御信号とを光源駆動部723に伝達するように構成されている。
【0106】
また、上記第3実施形態では、本発明のテーブルおよび発光ダイオード素子の特性を説明する際に、数値の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記第3実施形態におけるテーブルを説明する際に示した数値以外の数値を用いてテーブルを構成してもよいし、上記発光ダイオード素子以外の特性を持つ発光ダイオード素子を用いてもよい。
【0107】
また、上記第1〜第4実施形態では、本発明の発光素子として発光ダイオード素子を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、発光素子として発光ダイオード素子以外の発光素子を用いてもよい。たとえば、
図18に示す変形例のように、発光素子として半導体レーザ素子821aまたは有機発光ダイオード素子822aを用いてもよい。
【0108】
ここで、第4変形例による発光素子群821には、
図18に示すように、半導体レーザ素子821aが設けられており、被検体10に光を照射可能に構成されている。この場合、半導体レーザ素子821aは、発光ダイオード素子と比べて、比較的指向性が高いレーザ光を被検体10に照射することができるので、半導体レーザ素子821aからの光の大部分を確実に被検体10に照射することができる。
【0109】
また、第5変形例による発光素子群822には、
図18に示すように、有機発光ダイオード素子822aが設けられており、有機発光ダイオード素子822aから被検体10に光を照射可能に構成されている。この場合、有機発光ダイオード素子822aは、薄型化が容易であり、発光素子群822を容易に小型化することができる。