特許第6139493号(P6139493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139493ナンバープレート検出装置及びナンバープレート検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139493
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ナンバープレート検出装置及びナンバープレート検出方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/017 20060101AFI20170522BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20170522BHJP
   G06T 7/40 20170101ALI20170522BHJP
【FI】
   G08G1/017
   G08G1/04 D
   G06T7/40 100B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-232623(P2014-232623)
(22)【出願日】2014年11月17日
(65)【公開番号】特開2016-95763(P2016-95763A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2015年6月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504126112
【氏名又は名称】住友電工システムソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】浅田 昌利
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−105352(JP,A)
【文献】 特開2004−288113(JP,A)
【文献】 特開2007−025967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/017
G06T 7/40
G08G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの撮像装置によって所定領域を所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出装置であって、
前記一つの撮像装置によって得られ、所定数の撮像周期に亘って前記所定領域が撮像された前記所定数の撮像画像それぞれから、前記撮像画像の前記所定領域の一部が撮像された画像であって前記撮像周期毎に領域が異なる部分画像を前記所定数切り出す画像切出部と、
該画像切出部で切り出した各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出する検出部と
を備えるナンバープレート検出装置。
【請求項2】
前記複数の撮像画像それぞれの撮像時の露光量を前記撮像周期毎に調整する調整部を備え、
前記画像切出部は、
前記調整部で露光量が調整された部分画像を切り出すようにしてある請求項1に記載のナンバープレート検出装置。
【請求項3】
前記画像切出部は、
隣り合う撮像周期にて切り出した部分画像それぞれの一部領域で重なるように部分画像を切り出すようにしてある請求項1又は請求項2に記載のナンバープレート検出装置。
【請求項4】
前記画像切出部は、
前記一部領域がナンバープレートを撮像した撮像領域を含む大きさとなるように部分画像を切り出すようにしてある請求項3に記載のナンバープレート検出装置。
【請求項5】
前記検出部を前記所定数備え、
前記画像切出部で切り出した前記所定数の部分画像を前記検出部それぞれに分配する分配部を備える請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のナンバープレート検出装置。
【請求項6】
一つの撮像装置によって所定領域を所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出方法であって、
前記一つの撮像装置によって得られ、所定数の撮像周期に亘って前記所定領域が撮像された前記所定数の撮像画像それぞれから、前記撮像画像の前記所定領域の一部が撮像された画像であって前記撮像周期毎に領域が異なる該所定数の部分画像を画像切出部が切り出すステップと、
切り出された各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出部が検出するステップと
を含むナンバープレート検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出装置及びナンバープレート検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通監視などの分野において、特定の車両を抽出する技術の1つとして車両のナンバープレートを読み取る技術が開発されている。このようなナンバープレートを読み取る技術は、高速道路における料金収受システム、交通流の計測システム、駐車場等の入出車両管理システムなどに利用することができる。
【0003】
また、このようなナンバープレートの読み取り技術として、例えば、通常の画像範囲を超えた対象範囲を処理するために複数のビデオカメラを用いて処理対象領域を分割し画像処理する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−105352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、複数台のビデオカメラを使用するので、1台のビデオカメラを使用する場合に比べて、ビデオカメラの設置作業が増え、また費用も増加する。また、交通監視を行う場合、車線が複数ある道路では、すべての車線を走行する車両のナンバープレートを検出したいという要望もある。
【0006】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、費用対効果を向上させることができるナンバープレート検出装置及びナンバープレート検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、一つの撮像装置によって所定領域を所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出装置であって、前記一つの撮像装置によって得られ、所定数の撮像周期に亘って前記所定領域が撮像された前記所定数の撮像画像それぞれから、前記撮像画像の前記所定領域の一部が撮像された画像であって前記撮像周期毎に領域が異なる部分画像を前記所定数切り出す画像切出部と、該画像切出部で切り出した各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出する検出部とを備える。
【0008】
本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出方法は、一つの撮像装置によって所定領域を所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出方法であって、前記一つの撮像装置によって得られ、所定数の撮像周期に亘って前記所定領域が撮像された前記所定数の撮像画像それぞれから、前記撮像画像の前記所定領域の一部が撮像された画像であって前記撮像周期毎に領域が異なる該所定数の部分画像を画像切出部が切り出すステップと、切り出された各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出部が検出するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、費用を抑制しつつ多くの車両のナンバープレートを検出することができ、費用対効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のナンバープレート検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】撮像画像の一例を示す模式図である。
図3】第1実施形態のナンバープレート検出装置が切り出す部分画像の一例を示す模式図である。
図4】第1実施形態のナンバープレート検出装置による部分画像の切り出しタイミングの一例を示すタイムチャートである。
図5】第2実施形態のナンバープレート検出装置の構成の一例を示すブロック図である。
図6】第2実施形態のナンバープレート検出装置が切り出す部分画像の一例を示す模式図である。
図7】第2実施形態のナンバープレート検出装置による部分画像の切り出しタイミングの一例を示すタイムチャートである。
図8】本実施の形態のナンバープレート検出装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
(1)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出装置であって、所定数の撮像周期に亘って得られた撮像画像それぞれから、該撮像画像の一部であって前記撮像周期毎に領域が異なる該所定数の部分画像を切り出す画像切出部と、該画像切出部で切り出した各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出する検出部とを備える。
【0012】
(6)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出方法は、所定の撮像周期で繰り返し撮像して得られた複数の撮像画像に基づいて車両のナンバープレートを検出するナンバープレート検出方法であって、所定数の撮像周期に亘って得られた撮像画像それぞれから、該撮像画像の一部であって前記撮像周期毎に領域が異なる該所定数の部分画像を画像切出部が切り出すステップと、切り出された各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出部が検出するステップとを含む。
【0013】
画像切出部は、所定数の撮像周期に亘って得られた撮像画像それぞれから、撮像画像の一部であって撮像周期毎に領域が異なる所定数の部分画像を切り出す。例えば、道路が片側二車線の場合、撮像画像は二車線の道路を撮像した画像である。また、所定数は車線の数とすることができ、片側二車線の場合、所定数は2となる。便宜上車線を、車線1、車線2とする。撮像周期を順番にT1、T2、T3、T4…と表すと、画像切出部は、撮像周期T1において車線1を含む部分画像を切り出し、次の撮像周期T2において、車線2を含む部分画像を切り出す。所定数が2であるので、次の撮像周期T3では、車線1に戻って車線1を含む部分画像を切り出し、次の撮像周期T4において、車線2を含む部分画像を切り出す。以降、同様の処理を繰り返す。
【0014】
検出部は、画像切出部で切り出した各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出する。すなわち、撮像周期T1において切り出した部分画像に基づいて車線1を走行する車両のナンバープレートを検出し、撮像周期T2において切り出した部分画像に基づいて車線2を走行する車両のナンバープレートを検出する。所定数が2であるので、次の撮像周期T3では切り出した部分画像に基づいて車線1を走行する車両のナンバープレートを検出し、撮像周期T4では切り出した部分画像に基づいて車線2を走行する車両のナンバープレートを検出する。以降、同様の処理を繰り返す。
【0015】
上述の構成により、1台の撮像装置(ビデオカメラ等)で撮像した撮像画像で道路の一方向のすべての車線を走行する車両のナンバープレートを検出することができるので、複数台の撮像装置を設置する必要がない。また、撮像画像のうち、車線毎に対応する部分画像を切り出すので、撮像画像全体に対して画像処理を施す場合に比べて、撮像画像よりも小さい部分画像に対して画像処理を施せばよいので、処理負荷を軽減することができ、装置が高価になることを抑制することができる。これにより、費用を抑制しつつ多くの車両のナンバープレートを検出することができ、費用対効果を向上させることができる。
【0016】
(2)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、前記複数の撮像画像それぞれの撮像時の露光量を前記撮像周期毎に調整する調整部を備え、前記画像切出部は、前記調整部で露光量が調整された部分画像を切り出すようにしてある。
【0017】
調整部は、複数の撮像画像それぞれの撮像時の露光量を撮像周期毎に調整する。例えば、片側二車線の道路の車線1は建物や他の構造物の陰となっており、画像が暗い(輝度が低い)とし、他方の車線2は物陰となっておらず比較的画像が明るい(輝度が高い)とする。この場合、撮像周期T1において車線1を含む部分画像を切り出す際に、撮像周期T1では露光量E1で撮像する。また、撮像周期T2において車線2を含む部分画像を切り出す際に、撮像周期T2では露光量E2(<E1)で撮像する。以降、同様の処理を繰り返す。
【0018】
画像切出部は、調整部で露光量が調整された部分画像を切り出す。すなわち、輝度が低い車線1を含む部分画像は、撮像時点で露光量を多くしてあるので、画像全体の輝度を高くして、画像を鮮明にしてナンバープレートの文字部と背景部との輝度差を大きくすることができ、精度良くナンバープレートを検出することができる。また、輝度が高い車線2を含む部分画像は、撮像時点で露光量を少なくしてあるので、コントラストを調整してナンバープレートの文字部と背景部との輝度差を大きくすることができ、精度良くナンバープレートを検出することができる。これにより、屋外の天候変化、日照条件の変化により、各車線の明るさが変動する場合でも、車線毎に輝度を調整した部分画像を切り出すので、ナンバープレートの検出精度を高めることができる。
【0019】
(3)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、前記画像切出部は、隣り合う撮像周期にて切り出した部分画像それぞれの一部領域で重なるように部分画像を切り出すようにしてある。
【0020】
画像切出部は、隣り合う撮像周期にて切り出した部分画像それぞれの一部領域で重なるように部分画像を切り出す。例えば、撮像周期T1で車線1を含む部分画像を切り出し、撮像周期T2で車線2を含む部分画像を切り出す場合、それぞれの部分画像は、車線1と車線2との車線境界線を含む一部領域で重なるようにする。これにより、車両が、例えば、車線1から車線2へ車線変更した場合に、車両のナンバープレートに対応する領域が車線境界線を移動するときでも、どちらかの部分画像に含まれるようにすることができ、車両のナンバープレートを確実に検出することができる。
【0021】
(4)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、前記画像切出部は、前記一部領域がナンバープレートを撮像した撮像領域を含む大きさとなるように部分画像を切り出すようにしてある。
【0022】
画像切出部は、一部領域がナンバープレートを撮像した撮像領域を含む大きさとなるように部分画像を切り出す。これにより、車両が、例えば、車線1から車線2へ車線変更した場合に、車両のナンバープレートを撮像した撮像領域がどちらかの部分画像の一部領域に含まれるようにすることができ、車両のナンバープレートを確実に検出することができる。
【0023】
(5)本発明の実施の形態に係るナンバープレート検出装置は、前記検出部を前記所定数備え、前記画像切出部で切り出した前記所定数の部分画像を前記検出部それぞれに分配する分配部を備える。
【0024】
検出部を所定数備え、分配部は、画像切出部で切り出した所定数の部分画像を検出部それぞれに分配する。例えば、所定数を2とすると、検出部を2つ備える。例えば、撮像周期T1で車線1を含む部分画像を切り出し、撮像周期T2で車線2を含む部分画像を切り出す場合、分配部は、車線1を含む部分画像を一の検出部へ分配し、車線2含む部分画像を他の検出部へ分配する。これにより、1つの検出部へ送出するデータ量に制限がある場合(例えば、伝送量の上限)でも、データを所定数の検出部に分散させることができるので、撮像周期に合わせて車両のナンバープレートの検出処理を行うことができる。
【0025】
[本願発明の実施形態の詳細]
(第1実施形態)
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は第1実施形態のナンバープレート検出装置100の構成の一例を示すブロック図である。ナンバープレート検出装置100には撮像装置200を接続してある。なお、ナンバープレート検出装置100に撮像装置200を組み込むこともできる。
【0026】
撮像装置200は、道路を走行する車両を撮像すべく、所定の位置に設置される。
【0027】
図2は撮像画像の一例を示す模式図である。図2に示すように、道路が片側二車線である場合、撮像装置200が撮像する撮像画像は、車線1及び車線2を走行する車両のナンバープレートを検出することができるように、二車線の道路を撮像した画像である。
【0028】
撮像装置200は、所定の撮像周期(例えば、1秒間に30フレーム)で繰り返し撮像する。撮像装置200は、撮像して得られた撮像画像をフレーム単位でナンバープレート検出装置100へ出力する。また、撮像装置200は、ナンバープレート検出装置100からの露光量指示に応じて、撮像周期毎に露光量を調整して撮像する。具体的には、撮像装置200は、撮像周期毎にシャッタースピードを調整することができる。
【0029】
図1に示すように、ナンバープレート検出装置100は、装置全体を制御する制御部10、露光量指示部20、通信部30、画像処理部40、プレート検出部50、メモリ60、画像処理部70、プレート検出部80、メモリ90などを備える。また、画像処理部40は、さらに、画像切出部41、分配部42などを備える。画像処理部40と画像処理部70との相違は、画像処理部40が画像切出部41、分配部42などを備える点である。また、プレート検出部50、80は同一構成とすることができる。
【0030】
画像処理部40は、撮像装置200が出力した撮像画像をフレーム単位で取得する。
【0031】
画像切出部41は、所定数の撮像周期に亘って得られた撮像画像それぞれから、撮像画像の一部であって撮像周期毎に領域が異なる所定数の部分画像を切り出す。
【0032】
図3は第1実施形態のナンバープレート検出装置100が切り出す部分画像の一例を示す模式図である。図3に示す撮像画像は図2と同一である。所定数は車線の数とすることができ、図3に示すように、道路が片側二車線の場合、所定数は2とすることができる。なお、便宜上車線を、車線1、車線2とする。車線1と車線2との境界には、車線境界線が設けられている。図3に示すように、所定数が2であるので、画像切出部41は、車線1を含む画像として部分画像A1を切り出し、車線2を含む画像として部分画像A2を切り出す。部分画像A1、A2は、いずれも撮像画像の一部であり、両者は車線境界線を含む一部領域(図3中、符号dで示す範囲)で重複するようにしてある。
【0033】
図4は第1実施形態のナンバープレート検出装置100による部分画像の切り出しタイミングの一例を示すタイムチャートである。図4に示すように、撮像画像の撮像周期を順番にT1、T2、T3、T4、T5…と表す。なお、フレームレートが毎秒30フレームである場合、各周期の時間は、約33msである。
【0034】
画像切出部41は、撮像周期T1において車線1を含む部分画像A1を切り出し、次の撮像周期T2において、車線2を含む部分画像A2を切り出す。所定数が2であるので、次の撮像周期T3では、車線1に戻って車線1を含む部分画像A1を切り出し、次の撮像周期T4において、車線2を含む部分画像A2を切り出す。以降、同様の処理を繰り返す。なお、図4では、便宜上、切出画像が撮像画像のどの領域に対応するかを合せて描いている。例えば、部分画像A1は撮像画像のほぼ左半分となっており、部分画像A2は撮像画像のほぼ右半分となっている。
【0035】
分配部42は、画像切出部41で切り出した所定数の部分画像をプレート検出部50、及び画像処理部70を介してプレート検出部80へ分配する。前述のように、所定数を2とすると、ナンバープレート検出装置100は、2つ(所定数)の画像処理部40、70、及びプレート検出部50、80を備える。すなわち、分配部42は、車線1を含む部分画像A1を一のプレート検出部50へ分配し、車線2含む部分画像A2を他のプレート検出部80へ分配する機能を有する。
【0036】
より具体的には、画像処理部40は、画像切出部41が、撮像周期T1で切り出した車線1を含む部分画像A1に対して、自身で所定の画像処理を行う。そして、分配部42は、画像切出部41が、撮像周期T2で切り出した車線2を含む部分画像A2を画像処理部70へ出力する。画像処理部70は、撮像周期T2で切り出した車線2を含む部分画像A2に対して所定の画像処理を行う。
【0037】
画像処理部40は、例えば、部分画像のノイズ除去、色成分、輝度成分の抽出、明るさ(輝度)調整、色反転、ガンマ補正、グレースケール化、所要角回転処理などの画像処理を行う。また、画像処理部40は、平準化、特徴抽出フィルタ処理などを行った後に二値化処理、フレーム毎の差分処理など車両検出に必要な前処理を行う。また、画像処理部40は、車両の検出処理を行う。画像処理部40は、車両が検出された場合、検出結果をプレート検出部50へ出力する。なお、画像処理部70も画像処理部40と同様の画像処理を行う。
【0038】
プレート検出部50は、検出部としての機能を有し、車両のナンバープレートの位置を検出するとともに、検出したナンバープレート位置に基づいて、陸事コード、分類番号、平仮名、一連番号などの文字認識処理を行う。プレート検出部50は、文字認識処理の結果得られたナンバープレート情報を通信部30へ出力する。なお、プレート検出部80もプレート検出部50と同様の処理を行う。
【0039】
メモリ60は、画像処理部40及びプレート検出部50での処理結果など所定のデータを記憶する。また、メモリ90は、画像処理部70及びプレート検出部80での処理結果など所定のデータを記憶する。
【0040】
通信部30は、プレート検出部50、80で検出したナンバープレート情報を外部の装置へ送信する。なお、通信部30は、外部の装置から所要のデータを受信することもできる。
【0041】
プレート検出部50、80は、画像切出部41で切り出した各部分画像に基づいて車両のナンバープレートを検出する。すなわち、プレート検出部50は、撮像周期T1において切り出した部分画像A1に基づいて車線1を走行する車両のナンバープレートを検出する。プレート検出部80は、撮像周期T2において切り出した部分画像A2に基づいて車線2を走行する車両のナンバープレートを検出する。所定数が2であるので、プレート検出部50は、次の撮像周期T3では切り出した部分画像A1に基づいて車線1を走行する車両のナンバープレートを検出し、プレート検出部80は、撮像周期T4では切り出した部分画像A2に基づいて車線2を走行する車両のナンバープレートを検出する。以降、同様の処理を繰り返す。なお、図1の例では、所定数の数だけプレート検出部を設ける構成であるが、プレート検出部は所定数に関わらず1つでもよい。
【0042】
上述の構成により、1台の撮像装置200(ビデオカメラ等)で撮像した撮像画像で道路の一方向のすべての車線を走行する車両のナンバープレートを検出することができるので、複数台の撮像装置を設置する必要がない。また、撮像画像のうち、車線毎に対応する部分画像を切り出すので、撮像画像全体に対して画像処理を施す場合に比べて、撮像画像よりも小さい部分画像に対して画像処理を施せばよく、処理負荷を軽減することができ、装置が高価になることを抑制することができる。これにより、費用を抑制しつつ多くの車両のナンバープレートを検出することができ、費用対効果を向上させることができる。
【0043】
また、前述のように、例えば、所定数を2とすると、プレート検出部を2つ備える。例えば、撮像周期T1で車線1を含む部分画像A1を切り出し、撮像周期T2で車線2を含む部分画像A2を切り出す場合、プレート検出部50が、車線1を含む部分画像A1に対してナンバープレートの検出処理を行い、プレート検出部80が、車線2含む部分画像A2に対してナンバープレートの検出処理を行う。これにより、1つのプレート検出部へ送出するデータ量に制限がある場合(例えば、画像処理部とプレート検出部との間のデータの伝送量の上限)でも、データを所定数のプレート検出部に分散させることができるので、撮像周期に合わせて車両のナンバープレートの検出処理を行うことができる。
【0044】
露光量指示部20は、調整部としての機能を有し、制御部10の制御の下、複数の撮像画像それぞれの撮像時の露光量を撮像周期毎に調整する。例えば、図3において、片側二車線の道路の車線1は建物や他の構造物の陰となっており、画像が暗い(輝度が低い)とし、他方の車線2は物陰となっておらず比較的画像が明るい(輝度が高い)とする。この場合、図4に示すように、撮像周期T1において車線1を含む部分画像A1を切り出す際に、撮像周期T1では露光量E1で撮像する。また、撮像周期T2において車線2を含む部分画像A2を切り出す際に、撮像周期T2では露光量E2(<E1)で撮像する。以降、同様の処理を繰り返す。
【0045】
なお、この場合、制御部10は、例えば、通信部30を介して外部の装置から取得した月日、時間帯毎の道路の各車線の日照条件、天候状況などに応じて道路の各車線の明るさを推定し、推定結果に基づいて露光量を調整するための指令を露光量指示部20へ出力すればよい。また、制御部10は、撮像装置200の露光量を基準値に設定した状態で、取得した撮像画像の輝度値に基づいて、道路の各車線の明るさを推定してもよい。
【0046】
そして、画像切出部41は、露光量が調整された部分画像A1、A2を切り出す。すなわち、輝度が低い車線1を含む部分画像A1は、撮像時点で露光量を多くしてあるので、画像全体の輝度を高くして、画像を鮮明にしてナンバープレートの文字部と背景部との輝度差を大きくすることができ、精度良くナンバープレートを検出することができる。また、輝度が高い車線2を含む部分画像A2は、撮像時点で露光量を少なくしてあるので、コントラストを調整してナンバープレートの文字部と背景部との輝度差を大きくすることができ、精度良くナンバープレートを検出することができる。これにより、屋外の天候変化、日照条件の変化により、各車線の明るさが変動する場合でも、車線毎に輝度を調整した部分画像を切り出すので、ナンバープレートの検出精度を高めることができる。
【0047】
画像切出部41は、隣り合う撮像周期にて切り出した部分画像それぞれの一部領域で重なるように部分画像を切り出す。例えば、撮像周期T1で車線1を含む部分画像A1を切り出し、撮像周期T2で車線2を含む部分画像A2を切り出す場合、それぞれの部分画像A1、A2は、図3の符号dで示すように、車線1と車線2との車線境界線を含む一部領域で重なるようにする。これにより、車両が、例えば、車線1から車線2へ車線変更した場合に、車両のナンバープレートに対応する領域が車線境界線を移動するときでも、どちらかの部分画像に含まれるようにすることができ、車両のナンバープレートを確実に検出することができる。
【0048】
また、画像切出部41は、一部領域がナンバープレートを撮像した撮像領域を含む大きさとなるように部分画像を切り出す。図3の例では、一部領域の横方向の長さdが、ナンバープレートの大きさ(横方向の長さ)よりも長くなるように部分画像を切り出す。これにより、車両が、例えば、車線1から車線2へ車線変更した場合に、車両のナンバープレートを撮像した撮像領域がどちらかの部分画像の一部領域に含まれるようにすることができ、車両のナンバープレートを確実に検出することができる。
【0049】
(第2実施形態)
上述の第1実施形態では、所定数を2とした。すなわち、撮像装置200で撮像する道路は、片側二車線の道路であった。道路の車線数は2に限定されるものではなく、3以上であってもよい。第2実施形態では、片側三車線の道路の場合、すなわち所定数が3の場合について説明する。
【0050】
図5は第2実施形態のナンバープレート検出装置110の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す第1実施形態のナンバープレート検出装置100との相違点は、画像処理部71、プレート検出部81、メモリ91をさらに備え、いわゆる3系統の構成とした点である。画像処理部71、プレート検出部81、メモリ91は、それぞれ画像処理部70、プレート検出部80、メモリ90と同一の構成、機能を有する。
【0051】
画像切出部41は、切り出した部分画像を撮像周期毎に、画像処理部70、画像処理部71へ切り替えて出力する。以下、詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一箇所は同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図6は第2実施形態のナンバープレート検出装置110が切り出す部分画像の一例を示す模式図である。所定数は車線の数とすることができ、図6に示すように、道路が片側三車線の場合、所定数は3とすることができる。なお、便宜上車線を、車線1、車線2、車線3とする。車線1と車線2との境界、及び車線2と車線3との境界には、車線境界線が設けられている。図6に示すように、所定数が3であるので、画像切出部41は、車線1を含む画像として部分画像B1を切り出し、車線2を含む画像として部分画像B2を切り出し、車線3を含む画像として部分画像B3を切り出す。部分画像B1、B2、B3は、いずれも撮像画像の一部であり、隣り合う部分画像は車線境界線を含む一部領域(図6中、符号dで示す範囲)で重複するようにしてある。
【0053】
図7は第2実施形態のナンバープレート検出装置110による部分画像の切り出しタイミングの一例を示すタイムチャートである。図7に示すように、撮像画像の撮像周期を順番にT1、T2、T3、T4、T5…と表す。なお、フレームレートが毎秒30フレームである場合、各周期の時間は、約33msである。
【0054】
画像切出部41は、撮像周期T1において車線1を含む部分画像B1を切り出し、次の撮像周期T2において、車線2を含む部分画像B2を切り出し、次の撮像周期T3において、車線3を含む部分画像B3を切り出す。所定数が3であるので、次の撮像周期T4では、車線1に戻って車線1を含む部分画像B1を切り出し、次の撮像周期T5において、車線2を含む部分画像B2を切り出す。以降、同様の処理を繰り返す。なお、図7では、便宜上、切出画像が撮像画像のどの領域に対応するかを合せて描いている。例えば、部分画像B1は撮像画像の左側ほぼ3分の1となっており、部分画像B2は撮像画像のほぼ中央で3分の1となっており、部分画像B3は撮像画像の右側ほぼ3分の1となっている。
【0055】
画像処理部40は、画像切出部41が、撮像周期T1で切り出した車線1を含む部分画像B1に対して、自身で所定の画像処理を行う。そして、分配部42は、画像切出部41が、撮像周期T2で切り出した車線2を含む部分画像B2を画像処理部70へ出力し、撮像周期T3で切り出した車線3を含む部分画像B3を画像処理部71へ出力する。
【0056】
画像処理部70は、撮像周期T2で切り出した車線2を含む部分画像B2に対して所定の画像処理を行う。また、画像処理部71は、撮像周期T3で切り出した車線3を含む部分画像B3に対して所定の画像処理を行う。
【0057】
そして、プレート検出部50は、撮像周期T1で切り出した車線1を含む部分画像B1に対してナンバープレートの検出処理を行い、プレート検出部80は、撮像周期T2で切り出した車線2を含む部分画像B2に対してナンバープレートの検出処理を行い、プレート検出部81は、撮像周期T3で切り出した車線3を含む部分画像B3に対してナンバープレートの検出処理を行う。
【0058】
また、図6において、片側三車線の道路の車線1は建物や他の構造物の陰となっており、画像が暗い(輝度が低い)とし、車線2はやや暗い程度であり、車線3は物陰となっておらず比較的画像が明るい(輝度が高い)とする。この場合、図7に示すように、撮像周期T1において車線1を含む部分画像B1を切り出す際に、撮像周期T1では露光量E11で撮像する。また、撮像周期T2において車線2を含む部分画像B2を切り出す際に、撮像周期T2では露光量E12(<E11)で撮像する。また、撮像周期T3において車線3を含む部分画像B3を切り出す際に、撮像周期T3では露光量E13(<E12)で撮像する。以降、同様の処理を繰り返す。
【0059】
上述の構成により、1台の撮像装置200(ビデオカメラ等)で撮像した撮像画像で道路の一方向のすべての車線を走行する車両のナンバープレートを検出することができるので、複数台の撮像装置を設置する必要がない。また、撮像画像のうち、車線毎に対応する部分画像を切り出すので、撮像画像全体に対して画像処理を施す場合に比べて、撮像画像よりも小さい部分画像に対して画像処理を施せばよく、処理負荷を軽減することができ、装置が高価になることを抑制することができる。これにより、費用を抑制しつつ多くの車両のナンバープレートを検出することができ、費用対効果を向上させることができる。
【0060】
また、屋外の天候変化、日照条件の変化により、各車線の明るさが変動する場合でも、車線毎に輝度を調整した部分画像を切り出すので、ナンバープレートの検出精度を高めることができる。
【0061】
次に、第1実施形態及び第2実施形態(以下、本実施の形態ともいう)のナンバープレート検出装置の動作について説明する。図8は本実施の形態のナンバープレート検出装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、便宜上処理の主体を制御部10として説明する。制御部10は、計数用の符号Nを1とし(S11)、N番目の露光量を設定(指定)する(S12)。なお、Nは1から所定数までの整数である。
【0062】
制御部10は、任意の撮像周期において撮像画像を取得し(S13)、N番目の部分画像を切り出す(S14)。制御部10は、切り出した部分画像に基づいて、車両を検出し(S15)、検出した車両の位置に基づいてナンバープレートを検出し(S16)、検出したナンバープレートの位置から文字認識を行って(S17)、ナンバープレート情報を検出する。
【0063】
制御部10は、Nが所定数より大きいか否かを判定し(S18)、Nが所定数より大きくない場合(S18でNO)、Nに1を加算し(S19)、ステップS12以降の処理を繰り返す。Nが所定数より大きい場合(S18でYES)、制御部10は、処理を終了するか否かを判定し(S20)、処理を終了しない場合(S20でNO)、ステップS11以降の処理を繰り返す。処理を終了する場合(S20でYES)、制御部10は処理を終了する。
【0064】
上述のとおり、本実施の形態によれば、1台の撮像装置で道路の全ての車線を撮像して車両のナンバープレートを検出するとともに、ナンバープレートを検出する際の画像処理の処理負荷を軽減することができ、費用対効果を向上させることができる。また、車線毎の部分画像の輝度を個別に調整することができるので、天候状況や日照条件の変動が存在する場合でも、ナンバープレートの検出精度を向上させることができる。
【0065】
上述の実施の形態において、撮像装置のフレームレートは毎秒30フレームであったが、フレームレートはこれに限定されるものではなく、例えば、毎秒60フレームのフレームレートであってもよい。
【0066】
開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
10 制御部
20 露光量指示部
30 通信部
40、70、71 画像処理部
41 画像切出部
42 分配部
50、80、81 プレート検出部
60、90、91 メモリ
100 ナンバープレート検出装置
200 撮像装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8