特許第6139516号(P6139516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139516
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】光結合器および共焦点観察システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/293 20060101AFI20170522BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G02B6/293
   G02B21/06
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-518364(P2014-518364)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(86)【国際出願番号】JP2013062854
(87)【国際公開番号】WO2013179860
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年4月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-122179(P2012-122179)
(32)【優先日】2012年5月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】山邉 俊明
【審査官】 佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−61982(JP,A)
【文献】 特開昭61−38907(JP,A)
【文献】 特表2006−510932(JP,A)
【文献】 特開2010−262149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/12−6/293
G02B 21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポートおよび第2ポートと、前記第1ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置し、前記第2ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する第4ポートとを備える第1WDM型光カプラと、
第5ポートおよび第6ポートと、前記第5ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置し、前記第6ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置する第7ポートと、前記第5ポートを入力端とする場合にクロスポートとして位置し、前記第6ポートを入力端とする場合にストレートポートとして位置する第8ポートとを備える第2WDM型光カプラとを備え、
前記第1WDM型光カプラの第4ポートと前記第2WDM型光カプラの第5ポートが光学的に接続され、前記第1WDM型光カプラの第2ポートと前記第2WDM型光カプラの第8ポートが光学的に接続される
ことを特徴とする光結合器。
【請求項2】
前記第1WDM型光カプラと前記第2WDM型光カプラは、互いに、
第1ポートに入射した第1のピーク波長をもつ光は、第4、第5の各ポートを介して第7ポートから射出され、
第7ポートに入射した第1のピーク波長よりも長い第2のピーク波長を含む光は、直接第6ポートから、または第5、第4、第2、第8の各ポートを介して第6ポートから射出されるような透過率特性を有することを特徴とする請求項1に記載の光結合器。
【請求項3】
前記第1WDM型光カプラのストレートポート間、クロスポート間の透過率の周期が前記第2WDM型光カプラのストレートポート間、クロスポート間の透過率の周期の2倍であることを特徴とする請求項2に記載の光結合器。
【請求項4】
前記第2WDM型光カプラのクロスポート間の透過率のピーク波長が、前記第2ピーク波長に実質的に一致することを特徴とする請求項3に記載の光結合器。
【請求項5】
前記第1WDM型光カプラのクロスポート間の透過率が、前記第1のピーク波長に対して80%以上であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光結合器。
【請求項6】
前記第2WDM型光カプラのストレートポート間の透過率は、前記第1WDM型光カプラのクロスポート間の透過率とともに前記第1のピーク波長においてピークを迎えた後、該第1WDM型光カプラのストレートポート間の透過率とともに次のピークを迎えることを特徴とする請求項3から請求項5の何れかに記載の光結合器。
【請求項7】
前記第1WDM型光カプラと前記第2WDM型光カプラの透過率特性が同一であることを特徴とする請求項2に記載の光結合器。
【請求項8】
前記第1および第2WDM型光カプラのクロスポート間の透過率のピーク波長が、前記第2ピーク波長に略一致することを特徴とする請求項7に記載の光結合器。
【請求項9】
前記第1および第2WDM型光カプラのストレートポート間の透過率の50%以上、100%未満の帯域が、前記第1ピーク波長を含むことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光結合器。
【請求項10】
前記第1WDM型光カプラは、前記第1ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する第3ポートを備え、該第3ポートが終端処理されることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の光結合器。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか一項に記載の光結合器を備える共焦点観察システムであって、
前記共焦点観察システムは、第1ピーク波長を有する光を照射する光源と、光検出器とを備え、
前記第1WDM型光カプラの第1ポートは前記光源に光学的に接続され、
前記第2WDM型光カプラの第6ポートは前記光検出器に光学的に接続され、
前記光源は前記第2WDM型光カプラの第7ポートを通して観察対象物に前記光を照射し、
前記光検出器は前記観察対象物からの前記第1ピーク波長よりも長い第2ピーク波長を有する戻り光を前記第2WDM型光カプラの前記第7ポートを通して取得することを特徴とする共焦点観察システム。
【請求項12】
共焦点観察を行うために、前記第2WDM型光カプラの前記第7ポートを通した前記第1ピーク波長を有する光を前記観察対象上で走査させる走査手段を備えることを特徴とする請求項11の何れか一項に記載の共焦点観察システム。
【請求項13】
前記光源から照射される光が励起光として用いられ、前記観察対象物から取得される光が前記励起光による蛍光であることを特徴とする請求項11または請求項12の何れか一項に記載の共焦点観察システム。
【請求項14】
請求項11〜13の何れか一項に記載の共焦点観察システムを備えることを特徴とする走査型共焦点内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光カプラを用いた光結合器に関し、更にこの光結合器を用いた共焦点観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光を分波・合波する受動光デバイスとして光カプラ(光ファイバカプラ)が知られている。光カプラは光ファイバ通信に用いられる他、近年では共焦点内視鏡システムなどにおいても利用される。例えば励起光を用いた共焦点内視鏡システムとして、入力側(出力側)として第1ポート、第2ポート、出力側(入力側)として第3ポート、第4ポートを備えた2×2のWDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重方式)型光カプラを用いる構成が知られている(特許文献1)。この共焦点内視鏡システムでは、レーザ光源から照射された励起光を第1ポートに入射するとともに第3ポートから射出し、射出された励起光による被写体の蛍光が第3ポートへ入射して、第2ポートを通して受光ユニットへ導かれるよう構成されている。また、この光カプラでは、理想的には、第1ポートから入射される波長488nmの励起光が第3ポート、第4ポートに90:10の割合で分波され、第3ポートから入射される蛍光のピーク波長515nmの光が第1ポート、第2ポートに0:100の割合で分波されるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−262149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2×2のWDM型光カプラにおいて、1つの入力側ポートから入った光が出力側ポートから出力される際の透過率は、波長に対して正弦的に変化し、ストレートポート、クロスポートにおいて相補的である(180度位相がずれている)。したがって、励起光を効率よくスキャニング・ファイバ側へ導き、かつ蛍光が主に受光ユニット側へ分波されるようにするには、一方のポートへの透過率のピークをなるべく励起光(略単一波長)の波長に合わせ、他方のポートへの透過率のピークを略蛍光のピーク波長に合わせる必要がある。しかし、蛍光のスペクトルの広がりは、一般に励起光の波長と蛍光のピーク波長の差よりも広いので、スペクトルの裾野部分の帯域に含まれる蛍光の多くは、レーザ光源が接続された第1ポート側へも分波されてしまう。
【0005】
つまり、上記特許文献1に記載の共焦点を用いた走査型内視鏡(SFE:Scanning (Single Fiber) Endoscope)において、蛍光スペクトルのピーク波長近傍の成分のみではなく、裾野部分の帯域成分を効率よく検出できることが望まれている。また、上述のような従来の構成では、取得蛍光波長ピークを限定するため、蛍光ピーク波長が少しずれると蛍光の取得効率の著しい低下を招いたり、蛍光試薬の種類毎に光カプラの変更が必要となったりする。
【0006】
本発明は、WDM型光カプラを用いて、光信号をより広い帯域幅に亘って効率的に取得することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光結合器は、第1ポートおよび第2ポートと、第1ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置し、第2ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する第4ポートとを備える第1WDM型光カプラと、第5ポートおよび第6ポートと、第5ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置し、第6ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置する第7ポートと、第5ポートを入力端とする場合にクロスポートとして位置し、第6ポートを入力端とする場合にストレートポートとして位置する第8ポートとを備える第2WDM型光カプラとを備え、第1WDM型光カプラの第4ポートと第2WDM型光カプラの第5ポートが光学的に接続され、第1WDM型光カプラの第2ポートと第2WDM型光カプラの第8ポートが光学的に接続されたことを特徴としている。
【0008】
第1WDM型光カプラと第2WDM型光カプラは、互いに、第1ポートに入射した第1のピーク波長をもつ光が、第4、第5の各ポートを介して第7ポートから射出され、第7ポートに入射した第1のピーク波長よりも長い第2のピーク波長を含む光が、直接第6ポートから、または第5、第4、第2、第8の各ポートを介して第6ポートから射出されるような透過率特性を有することが好ましい。
【0009】
例えば第1WDM型光カプラのストレートポート間、クロスポート間の透過率の周期が第2WDM型光カプラのストレートポート間、クロスポート間の透過率の周期の2倍である。このとき、第2WDM型光カプラのクロスポート間の透過率のピーク波長が、第2ピーク波長に実質的に一致することが好ましく、また第1WDM型光カプラのクロスポート間の透過率は、例えば第1のピーク波長に対して80%以上であることが好ましい。更に第2WDM型光カプラのストレートポート間の透過率は、第1WDM型光カプラのクロスポート間の透過率とともに第1のピーク波長においてピークを迎えた後、該第1WDM型光カプラのストレートポート間の透過率とともに次のピークを迎えることが好ましい。
【0010】
また例えば、第1WDM型光カプラと第2WDM型光カプラの透過率特性は同一である。このとき第1および第2WDM型光カプラのクロスポート間の透過率のピーク波長が、第2ピーク波長に略一致することが好ましく、第1および第2WDM型光カプラのストレートポート間の透過率の50%以上、100%未満の帯域が、第1ピーク波長を含むことが好ましい。
【0011】
また、第1WDM型光カプラは、例えば第1ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する第3ポートを備え、該第3ポートは例えば終端処理される。
【0012】
本発明の共焦点観察システムは、上記光結合器を備える共焦点観察システムであって、共焦点観察システムは、第1ピーク波長を有する光を照射する光源と、光検出器とを備え、第1WDM型光カプラの第1ポートが光源に光学的に接続され、第2WDM型光カプラの第6ポートが光検出器に光学的に接続され、光源が第2WDM型光カプラの第7ポートを通して観察対象物に前記光を照射し、光検出器が観察対象物からの第1ピーク波長よりも長い第2ピーク波長を有する戻り光を第2WDM型光カプラの第7ポートを通して取得することを特徴としている。
【0013】
共焦点観察システムは、焦点観察を行うために、第2WDM型光カプラの第7ポートを通した第1ピーク波長を有する光を観察対象上で走査させる走査手段を備ることが好ましく、例えば光源から照射される光は励起光として用いられ、観察対象物から取得される光はこの励起光による蛍光である。
【0014】
本発明の走査型共焦点内視鏡は、上記の共焦点観察システムを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、WDM型光カプラを用いて、光信号をより広い帯域幅に亘って効率的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の共焦点観察システムを適用した走査型共焦点内視鏡の構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態の共焦点観察システムで用いられる光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態の光結合器を構成する第1、第2WDM型光カプラの透過率特性および励起光、蛍光の分光分布を示すグラフである。
図4】第1実施形態の光結合器における第1ポート、第7ポート間の透過率および第7ポート、第6ポート間の透過率と、励起光および蛍光の分光分布の関係を示すグラフである。
図5】第2実施形態の光結合器を構成する第1WDM型光カプラの透過率特性および励起光、蛍光の分光分布を示すグラフである。
図6】第2実施形態の光結合器を構成する第2WDM型光カプラの透過率特性および励起光、蛍光の分光分布を示すグラフである。
図7】第2実施形態における第1、第2WDM型光カプラの透過率の関係を示すグラフである。
図8】第2実施形態の光結合器における第1ポート、第7ポート間の透過率および第7ポート、第6ポート間の透過率と、励起光および蛍光の分光分布の関係を示すグラフである。
図9】555nmのレーザ光に対して観察対象物の蛍光のスペクトル分布を例示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の光結合器を用いた共焦点観察システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
本実施形態において共焦点観察システム10は、例えば走査型共焦点内視鏡であり、光源11からの光(例えば励起光)を光結合器12、光コネクタ13、SFEスキャナ14を通して内視鏡の先端から被写体Sに照射する。被写体Sからの反射光(例えば蛍光)はSFEスキャナ14、光コネクタ13、光結合器12を通して励起光カットフィルタを前段に配置した光増倍管(PMT)などの受光部(光検出器)15において検出される。受光部15からの信号は信号処理部16に送られ、信号処理部16において生成された被写体Sの画像がモニタ17に表示される。
【0019】
図2は、本実施形態の光伝送システム20の構成を示すブロック図である。本実施形態の光結合器12は、第1WDM型光カプラ18、第2WDM型光カプラ19を結合して構成され、第1、第2WDM型光カプラ18、19には、例えば2入力、2出力(2×2)のWDM型光カプラが用いられる。なお、図2においては、光コネクタ13は省略されている。
【0020】
第1WDM型光カプラ18は、第1〜第4ポートを備える。第3ポートは、第1ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置し、第2ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置する。また第4ポートは、第1ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置し、第2ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する。
【0021】
また第2WDM型光カプラ19は、第5〜第8ポートを備える。第7ポートは、第5ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置し、第6ポートを入力端とした場合にクロスポートとして位置する。また第8ポートは、第5ポートを入力端とした場合にクロスポートとして構成され、第6ポートを入力端とした場合にストレートポートとして位置する。
【0022】
第1WDM型光カプラ18の第4ポートP4は、第2WDM型光カプラ19の第5ポートP5に光学的に接続され、第1WDM型光カプラ18の第2ポートP2は、第2WDM型光カプラ19の第8ポートP8に光学的に接続される。また本実施形態においては第1WDM型光カプラ18の第3ポートP3は終端処理される。第1、第2WDM型光カプラ18、19は、以上のように構成することにより第1ポートP1、第6ポートP6、第7ポートP7を入出力ポートとする1つの光結合器12として機能する。なお、上記各ポート間の光学的な接続は例えば融着によって行われる。
【0023】
また本実施形態において、光結合器12の第1ポートP1には光源11が接続され、第6ポートP6、第7ポートP7には、それぞれ受光部15、SFEスキャナ14が接続される。本実施形態の走査型共焦点内視鏡10は、例えば生体の蛍光観察を行うものであり、光源11としては観察対象や試薬の蛍光を引き起こす励起光を照射するレーザ光源またはLED光源が用いられる。
【0024】
光源11からの励起光は、第1ポートP1から光結合器12に入力され、第7ポートP7からSFEスキャナ14へと供給される。SFEスキャナ14へ供給された励起光は、スキャニング・ファイバ(図示せず)を通して内視鏡挿入部の先端から例えば試薬が投与された観察対象に向けて照射される。励起光により観察対象物表面から発せられる蛍光はSFEスキャナ14のスキャニング・ファイバを通して第7ポートP7から光結合器12へ入力され、第6ポートP6から受光部15へと導光される。なお、励起光は例えば480nm近傍のレーザ光であり、観察対象物から取得される光は例えば励起光による515nmにピークをもつ500〜600nm帯の蛍光である。
【0025】
また、励起光は例えば555nm近傍のレーザ光であり、観察対象物から取得される光は例えば励起光による585nmにピークをもつ540〜650nm(700nm)帯の蛍光である。図9にこのときのスペクトル分布を示す(ローダミンBの蛍光に対応)。なお図9において横軸は波長(nm)、縦軸は光の強度の任意単位(au)である。
【0026】
SFEスキャナ14のスキャニング・ファイバは、例えば単一の光ファイバから構成され、その先端近傍には圧電素子などを用いた走査機構(図示せず)が設けられる。スキャニング・ファイバは自身の先端を走査機構によって上下左右に撓められながら励起光を照射するとともに、戻り光である蛍光のうち、該先端に焦点を結ぶものを取得することで観察対象物を2次元的に走査する。取得された蛍光は、受光部15で検出されて後段の信号処理部16で合成処理される。これにより、観察対象物の2次元画像が取得される。なお、受光部15の前段には励起光カットフィルタが配設されている。励起光カットフィルタは、受光部15においてノイズの原因となる励起光成分を効果的に除去している。
【0027】
次に図3図4を参照して、第1実施形態の光結合器12の透過率特性、および光結合器12内における作用効果について説明する。なお第1実施形態では、第1、第2WDM型光カプラ18、19として、互いに透過率特性または分岐比特性が同じものが用いられる。
【0028】
図3には、第1実施形態で用いられる同一の透過率特性を有する第1WDM型光カプラ18、第2WDM型光カプラ19単独での透過率特性、および本実施形態における励起光、蛍光の分光分布が示される。なお図3のグラフにおいて、横軸は光の波長(nm)を示し、左縦軸は光の透過率(%)、右縦軸は光の強度の任意単位(au)を示す。
【0029】
図3において、曲線S1は第1WDM型光カプラ18、第2WDM型光カプラ19のストレートポート間の透過率(%)を示し、曲線C1はクロスポート間の透過率(%)を示す。直線L1は、光結合器12に入力される光源11からの励起光のスペクトルであり、そのピーク値が100(au)として示される。また、曲線L2は光結合器12に入力される蛍光のスペクトルであり、そのピーク値が100(au)として示される。
【0030】
透過率S1、C1は、その和が100%となる相補的な正弦波形を呈し、一方は他方に対して180°位相がずれている。本実施形態の第1、第2WDM型光カプラ18、19の透過率特性は、以下のように設定される。すなわち、蛍光のスペクトル分布L2に対しては、クロスポート間の透過率C1のピーク波長が、スペクトル分布L2のピーク波長に略一致するように設定され、励起光のスペクトルL1に対しては、ストレートポート間の透過率S1の50%以上、100%未満の帯域が、スペクトルL1(励起光のピーク波長)を含むように設定される。なお、ストレートポート間の透過率S1は、励起光のピーク波長L1に対して50%となることがより好ましい。
【0031】
図4は、第1WDM型光カプラ18、第2WDM型光カプラ19を結合した光結合器12の第1ポートP1から第7ポートP7(P1−P7)への光の透過率特性および第7ポートP7から第6ポートP6(P7−P6)への光の透過率特性を示すもので、横軸は光の波長(nm)を示し、左縦軸は光の透過率(%)を示す。また、図3と同様に図4には励起光、蛍光の分光分布L1、L2が示され、右縦軸に光強度の任意単位(au)が示される。
【0032】
本実施形態では、第2ポートP2が第8ポートP8へ光学的に接続されてループを形成しているため、第5ポートP5から第2WDM型光カプラ19に入力された光のうち第8ポートP8に分波された光は第2ポートP2を通して第1WDM型光カプラ18に再び入力される。また第7ポートP7から第2WDM型光カプラ19に入力された光のうち第5ポートP5に分波された光の一部は第1WDM型光カプラ18の第2ポートP2、第2WDM型光カプラ19の第8ポートP8を通して第2WDM型光カプラ19へ再び入力される。これにより、光結合器12のポートP1−P7間の透過率は曲線T1となり、ポートP7−P6間の透過率は曲線T2となる。
【0033】
すなわち、本実施形態の光結合器12を用いた場合、第1ポートP1から第7ポートP7を経てSFEスキャナ14に導かれる励起光に対する透過率は40%程度で安定する。第7ポートP7から入力された蛍光に着目すると、ピーク近傍の帯域の蛍光成分(蛍光1)は第7ポートP7から直接第6ポートP6へと出力される。また、第5ポートP5へ分波された蛍光成分(蛍光2)の多くは第2ポートP2、第8ポートP8間のループを介して第2WDM型光カプラ19に再入力され、第6ポートP6へと出力される。これにより、図3に示すように、受光部15では、蛍光成分のうち、ピーク波長帯域を略漏れなく取得できるだけでなく、WDM型光カプラを単独で用いるときよりも広い帯域を取得することができる。
【0034】
以上のように本発明の第1実施形態によれば、従来取得不能であった蛍光2も効率よく検出することが可能になり、WDM型光カプラを用いて、光信号をより広い帯域幅に亘って効率的に取得することが可能になる。また、本実施形態によれば、蛍光ピークの波長が多少ずれても蛍光の取得効率の低下を防止できるため、幅広い蛍光試薬への対応が可能となる。
【0035】
次に、図5図8を参照して、本発明の第2実施形態の光伝送システムについて説明する。第2実施形態の光伝送システムは、光結合器12の第1WDM型光カプラと第2WDM型光カプラに互いに異なる透過率特性を有するWDM型光カプラを用いる点以外、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と同様の構成については、同一参照符号を用いその説明を省略する。
【0036】
図5図6は、それぞれ第2実施形態における第1WDM型光カプラ18、第2WDM型光カプラ19の透過率特性、および励起光、蛍光の分光分布L1、L2を示すグラフである。図5の曲線S2は第1WDM型光カプラ18のストレートポート(P1−P3、P4−P2)間の透過率(%)、曲線C2は第1WDM型光カプラ18のクロスポート(P1−P4)間の透過率(%)を示し、図6の曲線S3は第2WDM型光カプラ19のストレートポート(P5−P7、P8−P6)間の透過率(%)、曲線C3は第2WDM型光カプラ19のクロスポート(P5−P8、P7−P6)間の透過率(%)を示す。また、図7図5図6の各曲線を同一グラフに示したものである。なお各グラフにおける各軸が示す物理量は図3、4と同様である。
【0037】
図5に示されるように、第2実施形態の第1WDM型光カプラ18では、第1ポートP1から入力された励起光を可能な限り第4ポートP4へ導光するようにクロスポート(P1−P4)間の透過率として透過率C2が選択される。また、第2実施形態の第1WDM型光カプラ18では透過率、第4ポートP4から入力される蛍光2をなるべく損失なく第2ポートP2へ導光するようにストレートポート(P4−P2)間の透過率S2が選択される。例えば励起光のポートP1−P3間の分岐率は0〜20%(つまり、ポートP1−P4間の分岐率は100〜80%)とされる。なお、このとき励起光の反射成分は第4ポートP4から入力されても第2ポートP2へは殆ど導光されない。
【0038】
一方、図6に示されるように、第2実施形態の第2WDM型光カプラ19では、第5ポートP5から入力された励起光を可能な限り第7ポートP7へ導光するようにストレートポート(P5−P7)間の透過率として透過率S3が選択される。また、第2実施形態の第2WDM型光カプラ19では、SFEスキャナ14から第7ポートP7へ入力される蛍光のピーク近傍帯域成分である蛍光1を損失なく第6ポートP6へ導光するようにクロスポート(P7−P6)間の透過率C3が選択される。例えば励起光のポートP5−P7間の分岐率は100〜80%(つまり、ポートP5−P8間の分岐率は0〜20%)とされる。また、第7ポートP7から入力される蛍光のピークが、第2WDM型光カプラ19のクロスポート(P7−P6)間の透過率C3のピークと略一致するように選択される。なお、このとき励起光の反射成分は第7ポートP7から入力されても第6ポートP6へは殆ど導光されない。
【0039】
また図5図6に示されるように、第2実施形態において、例えば第1WDM型光カプラ18のストレートポート間、クロスポート間の透過率S2、C2の周期は、第2WDM型光カプラ19のストレートポート間、クロスポート間の透過率S3、C3の周期の略2倍以上の値(例えば2以上の整数)に設定される。本実施形態では、2倍を想定している。
【0040】
図8は、第2実施形態の光結合器12の第1ポートP1から第7ポートP7(P1−P7)への光の透過率特性および第7ポートP7から第6ポートP6(P7−P6)への光の透過率特性を示すもので、横軸は光の波長(nm)を示し、左縦軸は光の透過率(%)を示す。また、図5〜7と同様に図8には励起光、蛍光の分光分布L1、L2も示され、右縦軸に光強度の任意単位(au)が示される。
【0041】
各光カプラ18、19の透過率の関係を上記のように設定すると、各ポート間の透過率は、図7に示す関係をもつ。具体的には、第1WDM型光カプラ18のクロスポート間の透過率C2と第2WDM型光カプラ19のストレートポート間の透過率S3は、互いに励起光のピーク波長である480nm近傍にてピークとなる。さらに、透過率S3が480nm近傍の次に迎えるピークは、第1WDM型光カプラ18のストレートポートS2のピークと略同一の波長域(本実施形態では540nm近傍)となる。
【0042】
従って、図8に示されるように、第2実施形態では、光結合器12のポートP1−P7間の透過率は曲線T3となり、ポートP7−P6間の透過率は曲線T4となる。すなわち第2実施形態において、ポートP1−P7間の透過率T3は、励起光のピーク波長近傍においてのみ透過率が高い狭帯域の透過率分布を呈する。また、上述した通り、透過率S3のピークと透過率S2のピークが所定波長域で略一致させることにより、ポートP7−P6間の透過率T4は、蛍光の帯域全体を略含む広い帯域に亘って高い透過率を示す透過率分布を呈する。
【0043】
以上のように、本発明の第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、照射光に対して狭い帯域の透過率分布、かつ戻り光に対して広い帯域の透過率分布を有する光結合器を構成することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、照射光(励起光)として輝線スペクトルを有するレーザ光を例に説明したが、本実施形態はLEDなどを用いた狭帯域の連続スペクトル分布を有する光を照射光(励起光)として用いる場合にも適用できる。また、本実施形態では戻り光として蛍光を例に説明を行ったが、戻り光としては蛍光に限定されるものではない。すなわちピーク波長λ1の光を照射光とし、ピーク波長λ2(≠λ1)の反射光を戻り光として検出する場合にも適用できる。照射光、戻り光のピーク波長λ1、λ2に合わせて、本実施形態のように2つのWDM型光カプラのストレートポート、クロスポート間の透過率を選択すれば、戻り光を広帯域に亘り効率的に取得することが可能となる。
【0045】
なお、本発明の光伝送システムは、内視鏡の他、顕微鏡など他の用途にも用いられる。また、走査型共焦点内視鏡では、ファイバを移動して観察対象を走査したが、顕微鏡などに利用する場合には、試料側を移動して走査する構成とすることもできる。
【0046】
本実施形態では、入出力が2×2のWDM型光カプラが用いられたが、第1WDM型光カプラとして2入力、1出力のカプラを用いることも可能であり、また入出力ポートの数は本実施形態に限定されない。
【0047】
[符号の説明]
10 共焦点観察システム
11 光源
12 光結合器
14 SFEスキャナ
15 受光部(光検出器)
18 第1WDM型光カプラ
19 第2WDM型光カプラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9