(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139519
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】核酸増幅
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20060101AFI20170522BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
C12Q1/68 A
C12N15/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-519635(P2014-519635)
(86)(22)【出願日】2012年7月16日
(65)【公表番号】特表2014-520544(P2014-520544A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】GB2012051694
(87)【国際公開番号】WO2013008042
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年7月13日
(31)【優先権主張番号】1112140.7
(32)【優先日】2011年7月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514012188
【氏名又は名称】ディーエヌエー エレクトロニクス エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ラムラ,マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,エンジェル
(72)【発明者】
【氏名】パテル,アルペシュ
【審査官】
西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第02/016639(WO,A1)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02766728(CA,A1)
【文献】
特開2008−048725(JP,A)
【文献】
特表2009−543862(JP,A)
【文献】
特表2010−519914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00−3/00
C12N 15/00−15/90
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を等温で増幅する際に使用される混合物を形成するために組み合わせ可能な試薬のキットであって、
試薬のキットは、マグネシウム塩、NaOH、KOH又はLiOHから選択されるアルカリ塩基、および第4級アンモニウム塩、塩化アンモニウム、または塩酸グアニジンの少なくとも1つを含み、
ここで該混合物は、10mM未満の緩衝能を有する、ことを特徴とするキット。
【請求項2】
混合物の緩衝能は、当該混合物に当てられたセンサーによって検出されるpH変化の閾値によって割られた増幅中に放出されたプロトンの濃度の予測値未満に設定される、ことを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項3】
混合物の緩衝能は、当該混合物に当てられたセンサーによって検出されるpH変化の閾値によって割られた増幅中に放出されたプロトンの濃度の予測値の2分の1未満に設定される、ことを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項4】
検知されるpH変化の閾値は前記センサーの検出限界である、ことを特徴とする請求項2または3に記載のキット。
【請求項5】
増幅の動作条件での混合物の緩衝能は、5mM未満である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のキット。
【請求項6】
混合物は、緩衝剤をさらに含み、緩衝剤は、トリス、Hepes、BicineおよびMOPSから成る群から選択される、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
混合物中の緩衝剤の濃度は、5mM未満である、ことを特徴とする請求項6に記載のキット。
【請求項8】
混合物は、硫酸化合物をさらに含み、混合物中の硫酸化合物の濃度は、15mM未満である、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のキット。
【請求項9】
混合物中の第4級アンモニウム塩、塩化アンモニウム、または塩酸グアニジンの濃度は、2mMから15mMの間にある、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のキット。
【請求項10】
アルカリ塩基の濃度を、混合物のpHが、6から9の間になるように設定する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のキット。
【請求項11】
核酸の増幅で使用される1つ以上のプライマーをさらに含み、プライマーは、増幅が標的核酸の存在を示すように、対立遺伝子に特異的である、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のキット。
【請求項12】
核酸の増幅をモニタリングする方法であって、
該方法は、
pHセンサーまたはpH指示薬に対して、請求項1乃至11のいずれかの試薬のキットを用いて、核酸と混合物を提供する工程、
等温の増幅を用いて核酸を増幅する工程、および、
pHセンサーまたはpH指示薬を用いて、増幅によるpHの変化を検知する工程を含む、方法。
【請求項13】
あらかじめ決められた量の変化以上に混合物のpHを変化させるために必要な反応時間を決定する工程と、
前記反応時間に基づいて核酸の出発濃度を定量化する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
混合物は、核酸の標的の一塩基多型(SNP)に相補的な少なくとも1つの塩基を有する1つ以上の対立遺伝子に特異的なプライマーを含み、前記方法は、pHセンサーまたはpH指示薬によって検知されるように、増幅が進行するかどうかに依存して、核酸の前記少なくとも1つの塩基を特定する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
増幅は、混合物の緩衝能の10%以上混合物のプロトン濃度を変化させる、ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の核酸を増幅する方法およびキットに関する。本発明は、等温の増幅技術に特に関係する。増幅された核酸はセンサーによって検知されてもよい。
【背景技術】
【0002】
遺伝子分析を行うとき、サンプル中に存在するコピーの数は通常少なすぎて検知できないため、サンプル中のコピー数を増幅するニーズが一般にある。
【0003】
これは、例えば、サーモサイクリング(thermocycling)による増幅または等温の増幅を用いて行うことができる。等温の技術はSDA、LAMP、SMAP、ICAN、SMARTを含む。その反応は鎖置換反応を用いて一定の温度で進行する。増幅は、サンプル、プライマー、鎖置換活性を備えたDNAポリメラーゼ、および、基質の混合物を一定温度でインキュベートすることにより、単一ステップで完了することができる。
【0004】
ループ媒介等温増幅(Loop−mediated isothermal amplification)(LAMP)と呼ばれるある技術では、標的に特異的な増幅は、標的遺伝子上の6〜8の異なる領域をそれぞれ認識するために特別に設計された4〜6の異なるプライマーを用いることで、達成される。LAMPは、参照によって本明細書に組み込まれる、Eiken Chemicalの特許文献1「Process for synthesizing nucleic acid」でさらに記載されている。
【0005】
そのような方法は、一般的に、15−60分で、10
9−10
10倍、核酸のコピーを増幅する。プライマーに加えて、鎖置換技術は、酵素の機能性を維持するために、トリスおよび硫酸の化合物(MgSO
4、NH
4SO
4など)を使用する。
【0006】
トリスは、有機化合物(化学式(HOCH2)3CNH2で、公式にはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとして知られている)である。LAMPのような鎖置換技術は、最適なpHで反応を維持する緩衝液としてトリスを使用する。トリスおよび硫酸の推奨濃度は、20mM以上であり、それぞれ12−20mMである。
【0007】
ひとたび核酸が増幅されると、核酸アッセイは、分光光度法、濁度、LFD(側方流動ディップスティック)(lateral flow dipsticks)またはルシフェラーゼなどの第2の検出技術を必要とする。しかしながら、そのような既知の技術には欠点がある。蛍光試薬は標識がUV蛍光を可能にすること必要としているため高価である。SYBRグリーンなどの蛍光試薬はDNAと結合して、本質的に発がん性にしてしまい、エームス試験は、DNAを変異原性かつ細胞毒性であると示す。同様に、SYBRグリーンは、特異的ではなく、どんな二本鎖DNAにも結合して、バックグラウンドシグナルを増やしてしまう。濁度測定は、定量化をもたらすためには高価な器具の使用を必要とする。最後に、LFDで使用される試薬は、非特異的な検出をしやすい第2の共役を必要とする。
【0008】
既存の等温技術はpH検出を使用する系には適していない。したがって、当該技術分野では、等温で核酸を増幅し、安全で廉価なデバイスで効率的に核酸を検知するためのキットおよび方法に対するニーズがある。驚いたことに、発明者たちは、使用される試薬が増幅収量を増加させることもあることに気付いた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP2045337
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、核酸を等温で増幅する際に使用される混合物を形成するために組み合わせ可能な試薬のキットが提供され、試薬のキットは、マグネシウム塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ塩基を含む。混合物の緩衝能は
当該混合物に当てられたセンサーによって検出されるpH変化の閾値
によって割
られた増幅中に放出されたプロトンの濃度の予測値未満に設定されてもよい。
【0011】
混合物の緩衝能は、
当該混合物に当てられたセンサーによって検出されるpH変化の閾値
によって割
られた増幅中に放出されたプロトンの濃度の予測値の2分の1未満に設定されてもよい。
【0012】
検知される
pH変化の閾値は前記センサーの検出限界であってもよい。増幅の動作条件での混合物の緩衝能は、10mM未満、好ましくは5mM未満、より好ましくは1mM未満であってもよい。
【0013】
混合物中の緩衝剤の濃度は、5mM未満、より好ましくは3mM未満、2mM未満、または1mM未満であってもよい。
【0014】
硫酸化合物の濃度は、もしそれが存在する場合、15mM未満、好ましくは10mM未満、8mM未満、5mM未満、または、1mM未満であってもよい。
【0015】
第4級アンモニウム塩、好ましくは塩化アンモニウムの濃度は、2mMから15mMの間にある。
【0016】
アルカリ塩基の濃度は、混合物のpHを、6から9、好ましくは7から8.8、より好ましくは8.3から8.6の間で設定する。
【0017】
アルカリ塩基はNaOH、KOH、またはLiOHのうちの1つである。
【0018】
核酸の増幅で使用される1つ以上のプライマーも存在し、そのようなプライマーは、増幅が標的核酸の存在を示すように、対立遺伝子に特異的である。
【0019】
等温の増幅は、鎖置換増幅、好ましくは、ループ媒介等温増幅(LAMP)であってもよい。
【0020】
混合物の緩衝能は、増幅がない状態で放出される予想される量のプロトンをほぼ遮蔽してもよい。
【0021】
そこで、キットは、鎖置換酵素、ヌクレオチド、およびプライマーを有していてもよく、好ましくは、これらの少なくとも1つは残りの試薬とは別々に保管される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、等温の増幅のための試薬のキット、pHセンサー、またはpH指示薬を使用し、等温の増幅を利用して核酸を増幅し、および、pHセンサーまたはpH指示薬を用いて、増幅によるpHの変化を検知するための方法が提供される。
【0023】
pH指示薬は比色用色素または蛍光色素であってもよく、pHセンサーはイオン感受性電界効果トランジスタ(ISFET)であってもよい。
【0024】
該方法は、あらかじめ決められた量の変化以上に混合物のpHを変化させるために必要な反応時間を決定し、その反応時間に基づいて核酸の出発濃度を定量化してもよい。
【0025】
混合物は、参照電極、好ましくは銀−塩化銀電極と流体連通してもよい。
【0026】
混合物は、核酸の標的の一塩基多型(SNP)に相補的な少なくとも1つの塩基を有する1つ以上の対立遺伝子に特異的なプライマーを含んでもよく、該方法は、pHセンサーまたはpH指示薬によって検知されるように、増幅が進行するかどうかに依存して、核酸の前記少なくとも1つの塩基を特定する工程をさらに含む。
【0027】
増幅は、混合物の緩衝能の10%以上、混合物のプロトン濃度を変化させてもよい。
【0028】
本発明の第3の態様によれば、試薬の新しいキットを使用して核酸を等温で増幅する工程を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の特定の実施形態は、添付の図面を参照して、ほんの一例としてここに記載される。
【0030】
【
図1】一連の化学反応は、LAMPなどの鎖置換増幅技術である。
【
図2】サンプルに当てたISFETの外形図である。
【
図4】(選択肢A)DNAを特定する、または、(選択肢B)DNAの量を計算するために、DNAサンプルの増幅をモニターする方法のフローチャートである。
【
図5】通常のLAMP手法での試薬の緩衝能のグラフである。
【
図6】NH4Clの異なる濃度の緩衝能を示すグラフである。
【
図7】サンプル中のDNAの定量化のための標準曲線グラフである。
【0031】
従来のLAMP増幅方法は、20mMのトリス塩酸(pH8.8)、10mMのKCl、10mM(NH)4SO4、2.5mMのMgSO4、0.1%のトリトンX−100、0.8Mのベタイン、DNA/RNA、dNTP、およびBstポリメラーゼなどの標準的なアッセイ条件下で置換活性を有するDNAポリメラーゼを使用する。
【0032】
発明者たちは、これらの従来の試薬が、主として増幅中にプロトンの生成を遮蔽する能力を有しているため、pHセンサーでは検知できないことに気付いた。
【0033】
確かに、これらの成分はすべて異なるpKaを有しており、そのことは、これらが混合物の緩衝能に異なる影響を及ぼすことを意味している。
【0034】
上に言及した試薬のなかで、トリス塩酸は、ポリメラーゼが作用するのに最適な範囲内で溶液を安定したpH値に維持しやすくするために、対イオン(H+およびOH−)を吸収する能力を有している。
【0035】
発明者たちは、ポリメラーゼ(Bstなど)が作用可能となるようにpHを設定しつつ、トリス塩酸をNaOHに交換することで緩衝能が減少することに気付いた。さらに、NaOHは、二本鎖DNAの二本鎖をさほど厳重には結合せず、置換ポリメラーゼが二本鎖を容易に分解することを可能にし、それによって反応を促進して鎖置換酵素の効率を上げる。
【0036】
さらに、ISFETなどの電子センサーは、白金、Ag/AgCl、カロメルなどの参照電極を使用する。このような材料のいくつかは、とりわけAg/AgCl電極は、これらの標準的な試薬で反応する。例えば、Ag/AgCl電極で、トリスは、Ag/AgCl性能の質を低下させるトリス−Ag複合体を電極上に形成し、硫酸を含有する試薬は、Ag/AgCl電極を汚染しかねない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本方法を使用する好ましいシステムは、pHセンサーまたはpH指示薬、マイクロ流体構造、核酸サンプル、試薬、および、サンプルの電圧電位を設定するのに必要な場合は参照電極を含む。試薬とサンプルを組み合わせて、増幅を可能にするための1つの流体にする。プロトンは増幅の間に放出され、pHの変化はpHセンサーまたはpH指示薬で測定される。
【0038】
好ましくは、pHセンサーまたはpH指示薬は、ISFET(イオン感受性電界効果トランジスタ)である。これは
図3に示され、pHセンサー(3)は、CMOSマイクロチップ(7)上の1つ以上のイオン感受性電界効果トランジスタ(ISFET)であってもよく、その上に、基質(2)の空間によって定義されるマイクロ流体チャンバー(8)を有する。試薬と核酸サンプルは、ISFETに暴露された1つ以上のチャンバーに加えられる前後に、組み合わされてもよい。ISFETはそれぞれ、シグナルプロセッサによってモニターされる電気シグナルを出力する。ISFETのパッシベーション層は、プロトン(水素イオン)に高感度になるように機能化させることできる。核酸が増幅されると、プロトンが放出され、ISFETの電気出力の変化としてシグナルプロセッサによって検知される。
【0039】
代替的な実施形態では、pH指示薬は、増幅中に放出されたプロトンを検知するために使用されてもよい。例えば、pH指示薬は、比色用色素または蛍光色素であってもよく、これは、接触する流体のpHが変化する際に色素から放出される波長などの光学的性質を変化させる。pH指示薬の例としては、フルオレセイン、ピラニン、および、pHrodo(商標)色素(Life Technologyから入手可能)を含んでいる。
【0040】
マイクロ流体構造は、近接のサンプルを受け取るウェル、チャンバー、またはチャネルであってもよく、センサーまたは指示薬は、センサーまたは指示薬にサンプルを送達するための手段を含んでもよい。マイクロ流体構造は、センサーまたは指示薬から離れたプロトンの拡散を減少させるのにも役立つ。以下の実施形態では、ISFETは、pH検出スキームを例証するために使用されるが、他のpHセンサーを使用することもできる。チャンバーは、SU−8などの材料の中の空洞によって定義されてもよく、これはマイクロチップの上に配され、離れて選択的にエッチング処理されることで、前記空洞が残される。
【0041】
図2は、フローティングゲートと流体の電解質に晒された窒化ケイ素で作られる検知層を含むISFETを示している。ISFETは、引用によって本明細書に組み込まれる特許US2004134798(A1)にさらに記載されている。
【0042】
好ましくは、ISFETはそれぞれ、ISFETと参照シグナルの間の差から標準化された出力シグナルを生成する。参考シグナルは、陰性対照反応に晒された別のISFET、または、チップに置かれたがpHの変動には晒されていないFETに由来してもよい。したがって、チップ上の任意の共通するドリフトまたはノイズは、これらのシグナル間の差をとることで除去される。
【0043】
好ましい増幅反応は等温の増幅反応であり、好ましくは、鎖置換反応である。本明細書で使用されているように、鎖置換反応は、鎖置換反応が可能な鎖置換活性と反応条件を備えたポリメラーゼによって提供される。鎖置換反応の例としては、鎖置換増幅(SDA)、多置換増幅(MDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、または、ループ媒介等温増幅(LAMP)が挙げられる。
【0044】
一例として、LAMP方法の化学反応の工程が
図1に例証される。工程1では、高温での二本鎖DNA鋳型は動的平衡にある。プライマーF2は相補的な位置で一本鎖にアニーリング可能である。工程2では、鎖置換活性を備えたポリメラーゼは、ヌクレオチドをF2の3’末端から鋳型に沿って伸長させることができる。ヌクレオチドの取り込みは、副産物の1つとして水素イオン(プロトン)を有する反応である。工程3では、F3プライマーは、鋳型上のF3c領域にアニーリングされ、鎖の置換を始める。上鎖は工程4で合成され、さらにプロトンを放出する。下鎖は一本鎖になり(工程5)、これは、F1cが工程6で5’末端でF1にアニーリングされると、ステムループを形成する。同時に、BIPプライマーは鎖の他方の末端にアニーリングされ、ヌクレオチドはB2から伸長し、さらに多くのプロトンが放出される。プライマーB3は鎖を置換し、工程7で示される二本鎖を形成するために伸長を促進する。工程8の構造は両端が同形のステムループ(double ended stem−loop)を有し、該ステムループから鋳型を増幅するための連続的な置換および伸長がなされる。前述と同様に、プロトンの放出には伸長が関係している。
【0045】
本明細書に記載される等温の増幅反応で使用される鎖置換ポリメラーゼは、次のグループ:phi29−DNAポリメラーゼ、クレノーDNAポリメラーゼ、Vent DNAポリメラーゼ、Deep Vent DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ、9oNm(TM)DNAポリメラーゼ、および、突然変異体、ならびに、その変異体から選択されてもよい。
【0046】
当業者は、最適な試薬濃度がポリメラーゼの選択次第であること、および、以下の好ましい試薬に対する修飾が、ポリメラーゼの知識またはポリメラーゼを用いる実験からの通常の実施であるということを認識するであろう。適切な条件についての手引きは、酵素メーカーから入手可能である。
【0047】
(好ましい試薬濃度)
本方法はいかなる緩衝剤も必要せず、最小限の緩衝剤だけが存在することが望ましい。緩衝剤は、少量の強酸または塩基が加えられるとき、あるいは、本件の場合、少量のプロトンがヌクレオチドの取り込み中に放出されるときにpHがわずかに変化するように、選択された作用点付近の溶液の酸度(pH)を維持するために用いられる弱酸とその共役塩基である。緩衝剤は、pHの変化に対して緩衝を与えるという主たる目的を有する混合物に加えられた化合物である。本明細書で使用されているように、その主目的が干渉以外であるか、あるいは、その緩衝効果が、混合物中の別の化合物よりもはるかに少ない化合物は、緩衝剤ではない。核酸増幅反応のための緩衝剤は、一般に、6と8.5の間のpKa値を有しており、6と9の間の緩衝範囲を有している。例えば、アンモニウム(NH4+)は一定の緩衝能力を有しているが、その主な目的は、pH8の混合物で作用する9.24のpKaで混合物を緩衝することではなく、それはトリスと比較してさほど強い緩衝液ではない。
【0048】
緩衝剤、酵素、系の最初のpHの選択は相互に依存している。例えば、緩衝剤が以下の一般的な緩衝剤:TAPS、Bicine、トリス、Tricine、TAPSO、HEPES、TES、MOPS、PIPES、カコジル酸、SSC、およびMESのうちの1つであってもよいが、1つの実施形態では、トリスは8.5のpHでBST酵素と共に使用される。好ましくは、緩衝剤の濃度は、10mM未満、より好ましくは8mM未満、5mM未満、または1mM未満であってもよい。好ましくは、緩衝剤はトリスまたはHEPESである。
【0049】
参照電極に対する毒の影響を弱めるために、組み合わせた流体中の硫酸化合物の濃度は、15mM未満、好ましくは10mM未満、8mM未満、5mM未満、または、1mM未満である。
【0050】
塩化アンモニウムを硫酸アンモニウムの代わりに使用することができ、高収量の増幅も可能である。一般に、他の第4級塩を塩化アンモニウムの代わりに用いることができる。第4級アンモニウム塩は、構造NR4+の正に帯電した多原子イオンであり、Rがアルキル基またはアリール基である。塩酸グアニジンと塩化アンモニウムは、第4級アンモニウム塩の例である。
【0051】
好ましくは、組み合わせた流体中の第4級アンモニウム塩の濃度の範囲は、2mM、5mM、または8mMよりも大きい。しかしながら、アンモニウム(NH4+)は緩衝能力を有しており、したがって、最適な増幅収量を維持しつつ、組み合わせた流体中の塩化アンモニウムなどのアンモニウム化合物の最終濃度を最小限にする必要がある。緩衝能を減らすために、組み合わせた流体中のアンモニウム化合物の濃度は、15mM未満、好ましくは10mM未満である。
【0052】
マグネシウムは鋳型へのヌクレオチドの取り込みを促進するのに役立つ。組み合わせた流体中のマグネシウム化合物、例えば、硫酸マグネシウムの濃度は、好ましくは0.5Mより大きく、1mMより大きく、2mMより大きく、または、4mMよりも大きい。組み合わせた流体中のマグネシウムイオンの濃度は、dNTP、鋳型、およびプライマーの濃度に依存する。一般に、組み合わせた流体中の硫酸マグネシウムに対するdNTPの好ましい比率は、1:2未満、1:3未満、1:4未満、または、1:5未満である。
【0053】
高い塩素濃度はAg/AgCl電極を助けるため、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどの一価の塩が加えられ、塩化物イオン濃度は好ましくは、10mMよりも大きく、20mMよりも大きく、30mMよりも大きく、40mMよりも大きく、または50mMよりも大きい。1つの実施形態では、流体中の塩化物イオン濃度は40mMと60mMの間にある。
【0054】
流体の出発pHを設定するために、NaOH、LiOH、またはKOHなどのアルカリ塩基が流体に加えられる。アルカリ塩基の濃度は、6と9の間、好ましくは7と8.8の間、もっとも好ましくは8と8.6の間に設定されるように設計され、これらのpH領域は、特定の酵素を作動させるのに望ましい。Bstポリメラーゼについては、好ましい出発pHは、7よりも大きく、さらに好ましくは8.2よりも大きく8.8未満で、さらに好ましくは8.6未満である。
【0055】
他の試薬の濃度は通常の量で維持されてもよい。Notomi T et. al. Nucleic Acids Res. 2000 Jun 15; 28(12): E63を参照。例えば、1つの実施形態では、Bstポリメラーゼの量は、組み合わせた流体の1マイクロリットル当たり少なくとも0.3ユニットであり、ベタインの濃度は0−1.5M、好ましくは0.8M−1Mであり、プライマーの総濃度は2mから6.2uMの間である。
【0056】
上記の試薬濃度は、高収量の増幅を与えると同時に、核酸の増幅中に放出されたプロトンを検知するためにpHセンサーを使用することができるように低緩衝能を与えることが分かった。
【0057】
そのプロセスは一定の温度で行うことができ、サーモサイクリングに関連するセンサーシグナルのドリフトを減少させ、センサーシグナルをより安定したものにする。さらに、そのプロセスは、半導体プラットホームと適合性が高い。例えば、最適な酵素の温度は、オンチップの加熱素子と温度センサーで達成および監視可能である。サーモサイクリングに関連する熱膨張と熱疲労に対する懸念はほとんどない。試薬はマイクロチップ上の電極に影響を与えないように選ばれる。
【0058】
典型的には、等温の方法は、指定された温度を必要とし、これは使用される試薬によって決定される。例えば、LAMPでは、酵素は60から65°Cの間でもっとも良く機能する。有利なことに、本明細書に記載の好ましい実施形態の試薬/緩衝液は、広範な作動温度を可能にする。
【0059】
等温の増幅は、サーモサイクリングとは異なり、それぞれがDNAを二倍にする別々の工程を含んでいないため、所定の時間にどれだけの増幅が起こったかを推測することは難しい。その結果、そのような等温の増幅方法は一般に、バックグラウンド(すなわち、非特異的な)増幅または蛍光バックグラウンドレベルが非常に高い副作用を備えた過度な増幅を促す。本方法は、十分な収量が得られたときに、増幅プロセスを止めることができるように、増幅プロセスのリアルタイム検出を可能にする。本方法がマイクロチップ上で行われる場合、流体はpHセンサーによってモニターされ、チップ表面の素子によって加熱され、温度は、増幅が一時中断する点まで上昇/低下させることができる。このことは、十分な増幅が行われたことを確認するために不必要に待つことなく、バックグラウンドDNAを越える十分な所望のDNAがあることを保証する。
【0060】
試薬は、組み合わせる際に上記の濃度で提供される。試薬のなかには、それ自体の安定性の必要とされる要件を有する混合の前に、別々に保管されてもよいものもある。例えば、酵素は、酵素の安定性を確保するために、他の試薬とは別の中程度の緩衝溶液中に長時間保管されてもよい。残りの試薬と混合すると、緩衝剤は十分に希釈されて、pHの変化をあまり遮蔽しないようになる。加えて、対象となる特異的な遺伝子のプライマーは、別の溶液で、または、凍結乾燥した形態で、提供されてもよい。条件および事前の混合濃度は、当業者に知られているか、あるいは、用いられる試薬を考慮して当業者により導き出される。
【0061】
(応用)
図4のフローチャートに例証されるように、DNAサンプルが調製されて、1つ以上のチャンバーまたはウェルに分けられてもよい。チャンバーまたはウェルはそれぞれ、マイクロチップ上のISFETに晒される。DNAはループ媒介等温増幅用試薬と結合する。以下は個々に好ましい試薬および濃度であり、組み合わせは試薬の最も好ましいキットである:
・1マイクロリットル当たり少なくとも0.3ユニットのBstポリメラーゼ
・1Mのベタインの濃度
・5uMのプライマーの総濃度
・5mMの硫酸マグネシウムの濃度
・1mMのトリスの濃度
・ゼロの硫酸アンモニウムの濃度
・組み合わせた流体のpHを8.5pHに設定する、1.2mMのNaOHの濃度
・5mMの塩化アンモニウムの濃度、および
・50mMの塩化カリウムの濃度。
【0062】
ISFETシグナルは、参照FETに関して差動的に得られ、シグナルプロセッサによってモニターされる。チャンバーと流体は、マイクロチップに一体化されたヒーターによって60°Cに加熱される。あらかじめ定義された反応時間の後に、十分な鋳型の増幅が生じて、可能であれば、ISFETシグナルの変化として検知されたに違いない。シグナルは、増幅とシグナルの変化がいつ閾値量を超えたかを決定するために、連続的にモニターすることも可能である。
【0063】
(診断法)
本方法は、
図4の選択肢Aによる好ましい実施形態において、例証されるように、核酸鎖中の1つ以上の塩基を特定するために使用されてもよい。特定は単一塩基または特徴的な配列であってもよい。独自の配列が特定される場合、病状に関連するある塩基を特定することは可能であり、塩基についてのこの知識は、診断のための方法を提供することができる。対象となる塩基の例としては、特徴的な配列、一塩基多型(SNP)、欠失、挿入、短いタンデム反復(STP)、および、受け継がれるまたは体細胞的に由来する突然変異体が挙げられる。病原体の検出も可能であり、それによって、該方法は生物の存在、または、生物の菌株の存在を検知することもある。
【0064】
FIP(フォワードインナープライマー(forward inner primer))およびBIP(バックインナープライマー(back inner primer))オリゴなどの増幅で使用されるプライマーは、配列、SNP、またはSTP領域を包含するまたは除外するように設計可能である。このように、増幅または増幅の欠如は、特定される塩基/配列の存在または不在を示す。
【0065】
図1で示される系において、DNAの同時増幅を行うために、2以上のチャンバーまたはウェルが用いられてもよい。各々のウェルは、異なるプライマーセットを加え、各プライマーセットは、サンプルDNAの異なる塩基を検出するのに適している。したがって、DNAは、相補的なプライマーセットがある状態下でのみ増幅して、プロトンを生成し、一方で、それ以外では増幅しない。1つのチャンバーだけが増幅を経験する場合、DNAはホモ接合型、すなわち、両方の遺伝子に同一の対立遺伝子(突然変異型または野性型)を有していると考えられる。2つのチャンバーが増幅を経験する場合、DNAは、ヘテロ接合型、すなわち、遺伝子に異なる対立遺伝子(突然変異型と野性型)を有していると考えられる。当業者は、対応するウェル中のプライマーセットの知識と組み合わせて変動を検知するために、ISFETシグナルをモニタリングすることによって、サンプルDNAの塩基を決定することができる。シグナル処理の条件を少なくするために、ISFETからのシグナルをリアルタイムで比較することで、各々のウェルの増幅副産物間の違いを表わすシグナルを出力することができる。
【0066】
(定量化)
該方法は、
図4の選択肢Bで例証されるように、サンプル中のDNAの量を定量化するために使用されてもよい。任意の時間のプロトン濃度は、流体中のDNAの量と、以前の生成されたプロトンの蓄積量に比例し、それは検知領域から離れて拡散してはいない。任意の時間に反応開始からシグナルが変化したことを知り、これを標準と比較することで、当業者は、増幅の開始時のサンプル中のDNAの量を決定することができる。したがって、当業者は、サンプル中の出発DNAの量を決定するために、現在の量と時間から過去に遡って作業する。
【0067】
標準は、モデル、実験データ、またはアッセイと平行に増幅反応を受ける1つ以上の別個の内部制御反応に由来してもよい。標準は、記憶媒体のルックアップ表として、または、コンピュータ・プログラムの定量化の方程式として表わされてもよい。
図7は、DNAの量対そのDNAの量を検出する時間の典型的なグラフを示す。グラフは内挿または外挿することができ、あるいは、反応時間が測定された後、DNA量を推定すべくデータを介して最適な方程式を抽出するために使用することができる。
【0068】
反応時間は、増幅が開始してから(すなわち、増幅のためのすべての試薬と条件が揃っているとき)、pHの変化が閾値よりも大きくなるまでの期間である。pHの変化は、pHセンサーのシグナルまたはpH指示薬をモニタリングすることによって検知されてもよい。
【0069】
(RNA)
本方法は、DNAポリメラーゼとともにトリ骨髄芽球症ウイルス(AMV RTase)などの逆転写酵素(RTase)を用いてRNA鋳型を検知するために使用されてもよい。cDNAは鋳型RNAから合成され、現在の技術で増幅され、その後、pHセンサーまたはpH指示薬を用いて検知可能である。
【0070】
(緩衝能の最適化)
ほとんどの化合物が混合物に一定の緩衝能を供している一方で、完全な貢献は理想的に最小化される。しかしながら、酵素を安定させるために最小の緩衝液が必要とされることもある。緩衝剤(仮に存在する場合)、総試薬緩衝能、および濃度の選択は、増幅反応によって生じる予想されるプロトンを考慮してなされなければならない。生成されたプロトンの量は、出発鋳型の量、増幅条件、および増幅時間(過剰なヌクレオチド、酵素、およびプライマーを想定して)に依存する。出発鋳型はドナーに依存し、得られた生体サンプルのタイプと増幅時間は、検査のオペレーターまたは製造業者によって選ばれてもよい。しかしながら、増幅時間、生体サンプルのタイプ、およびドナーのタイプについての知識から、当業者は、生成されるプロトンの予想量(または量の範囲)を計算することができる。
【0071】
混合物の緩衝能は、閾値量よりも大きなpHの変化が、緩衝された混合物の存在下でさえ増幅によって予想された(あるいは最も少なく予想された)プロトンの生成に起因するように、選ぶことができる。pHの変化閾値は、センサーと関連する回路の検出限界であってもよい。あるいは、pHの変化閾値は、0.1pH、より好ましくは0.2pH、最も好ましくは0.5pHであってもよい。
【0072】
緩衝能は以下の方程式(I)によって定義される:
β=dn/d(p[H
+])
ここで、nは追加されたOH−またはH+の量であり、d(p[H
+])は、水素イオン濃度の余対数における結果として生じる無限小の変化である。
【0073】
0.5pHの下限検出限界を有し、35ulの増幅反応物に晒されたISFETを使用する典型的な実施形態では、30分後、実験の収量は50ugの増幅産物である。増幅産物の収量から放出されたプロトンの合計は、およそ2.17mM(塩基対の分子量が650g/moleと仮定して)になる。
β=2.17mΜ/>0.5
β<4.34mΜ
したがって、混合物の緩衝能は、所望の0.5よりも大きなpHの変化を達成するためには、4.34mM未満に設定されなければならない。
【0074】
以下の表1は、6.15と8.43の間で25CでpKaを含む一般的な緩衝剤の特性を提供する。これらの緩衝剤の濃度は、短い増幅反応時間で大きなpH変化を達成するために、反応で最小化されなければならない。しかしながら、緩衝剤は、バックグラウンドノイズを減少させ、酵素を安定させ、および/または、初期の反応を安定させるために、随意に提供されてもよい。表2は、緩衝剤の濃度を変えることによって、Bst酵素に適した増幅反応の緩衝能の効果を計算している。見て分かるように、多くの緩衝液の選択肢が上記の要件を満たしており、4.34mM未満(4340uM)の緩衝能を有している。この条件を満たす表2に列挙された各々の緩衝剤と濃度は、個々に好ましく、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0077】
幾つかの実施形態では、緩衝能は、十分なpHシグナルが検知されることを保証するために、約数によって計算された最大から減らされる。緩衝能は、増幅反応から予想されるプロトン放出によるpHの変化を検知可能な最大の緩衝能の、2分の1未満、好ましくは5分の1未満、または、10分の1未満であってもよい。したがって、上記の実施例において、緩衝能は、4.34mMの1/10、すなわち、0.434mMに設定されてもよい。
【0078】
1つの実施形態では、流体中の試薬の緩衝能は、さもなければ標的核酸の増幅の失敗をもたらすことすらあるpHの変化を遮蔽するように準備される。この変化はイオンのバックグラウンドノイズと考えることができ、このノイズは、ヌクレオチド、プライマー、または鋳型の非特異的な増幅または自発的な分解および加水分解によることもある。非特異的な増幅は、鋳型核酸の標的領域に由来しない核酸増幅産物を指す。一般に、これは、プライマーダイマーの形成、および/または、鋳型DNAの標的ではない領域へアニーリングされるプライマーに起因する。
【0079】
1つの実施形態では、混合物の総緩衝能は、バックグラウンドノイズを無視することができるように設定される。例えば、該方法の間に生成されることもあるバックグラウンドノイズの量は、実験から推測または理解でき、pHの変化として表すことができる。試薬の緩衝能は、検出下限を与えるために上に示唆された最小量を越えて、バックグラウンドによって放出または消費されたプロトンを吸収することでバックグラウンドを遮蔽する量まで、増やすことができる。したがって、標的鋳型核酸のための特異的なヌクレオチドの挿入に対応しなければならない十分なプロトンの放出がなければ、かつ、その放出があるまでは、いかなるシグナルもpHセンサーまたは指示薬によって検知されない。
【0080】
1つの実施形態では、DNAサンプルおよび試薬は、多数のマイクロ流体チャンバーに加えられる。典型的な実施形態では、緩衝液がない状態でのバックグラウンドによるpHの低下が0.1pHで見込まれる。この推定された効果を遮蔽するために、少量の緩衝液が各チャンバーに与えられる。センサーシグナルは、化学反応が起こる前後およびその最中にモニタリングされる。有意なプロトンを放出する核酸増幅反応があるチャンバーでのみ、センサーシグナルに検知可能な変化がある。したがって、1つの実施形態では、緩衝能は0.5mMよりも大きい。
【0081】
対立遺伝子に特異的なプライマーのような様々な試薬は、サンプル上の遺伝バイオマーカーの存在または不在を検知するために使用されてもよい。反応はDNAの増幅であってもよく、試薬は、サーモサイクリングまたは等温の増幅に適したプライマーおよびヌクレオチドを含んでもよい。標的DNAの増幅が1つ以上のチャンバーで進むにつれ、プロトンは、緩衝液によって遮蔽された推定されたバックグラウンド効果以上に放出される。pHの変化はセンサーシグナルの変化として検知される。