【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、薬物送達デバイスの遠位投薬端を保護して受けるためのキャップ本体を有する、薬物送達デバイスのためのキャップ・アセンブリを提供する。キャップ・アセンブリは、キャップ本体に動作可能に係合され、デバイスの投薬端の遠位端部に解放可能に係合するようにさらに構成されたインターロック部材をさらに備える。このようにして、インターロック部材は、キャップ本体のための安全ロックを提供し、キャップ本体と薬物送達デバイスとの自動または自動化分解を効果的に防止する。
【0011】
特に、キャップ本体は、薬物送達デバイスの遠位端または投薬端に取り付けられる従来のキャップに似ていてもよい。キャップ本体は、薬物送達デバイスの1つまたは複数のハウジング部材と直接連結および/または固定され得る。インターロック部材は、次に第2の締結手段として機能し、キャップ本体が薬物送達デバイスとの締結位置または取付位置にあるときでも、たとえばカートリッジ・ホルダの遠位端部と係合し、かつ係合解除することができる。キャップ本体をその取付位置または締結位置に固定するために、インターロック部材が追加の安全ロック機構を提供することが特に意図される。
【0012】
インターロック部材がデバイスの遠位端部に係合された状態で、キャップ本体と薬物送達デバイスとの分解が効果的に妨げられる。キャップ本体とデバイスとの分解は、インターロック部材と薬物送達デバイスの遠位端部とのそれぞれの係合解除を常に必要とする。
【0013】
好ましい実施形態では、キャップ本体が、近位端に少なくとも第1の相互連結部材を有するカップ状レセプタクルを備えて、薬物送達デバイスのハウジング部材との第1の相互連結をもたらす。したがって、キャップ本体内またはキャップ本体に設けられた第1の相互連結部材によって、キャップ・アセンブリを、薬物送達デバイスのハウジングに少なくとも事前に固定するか、または事前に組み付けることができる。このようにして、インターロック部材の構成に関わらず、キャップ・アセンブリ、少なくともそのキャップ本体を、薬物送達デバイスのハウジングに連結することができる。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、インターロック部材が、デバイスの投薬端部の遠位端部に解放可能に係合するための第2の相互連結部材を備え、第2の相互連結部材はカートリッジ・ホルダを備えることができる。このようにして、キャップ・アセンブリを薬物送達デバイスに二重の方法で連結し、固定することができる。第1の相互連結部材により、キャップ本体を薬物送達デバイスに取り付け、固定することができ、これにより、やや弱い引離し力または引抜き力を提供する。インターロック部材により、キャップ・アセンブリを、薬物送達デバイスの遠位端部に堅く締結して、安全ロック機構を提供することができる。
【0015】
したがって、キャップ・アセンブリと薬物送達デバイスとの分解は、インターロック部材とデバイスの投薬端の遠位端部とを係合解除させることを最初に必要とする。その後、薬物送達デバイスからのキャップ・アセンブリおよび/またはそのキャップ本体の従来の滑らかな引抜きが可能になる。
【0016】
キャップ本体と薬物送達デバイスのハウジングとの間に確立された第1の相互連結は、やや弱い引離し力または引抜き力しか提供しないが、インターロック部材とデバイスの投薬端の遠位端部とにより確立される第2の相互連結は、キャップ・アセンブリと薬物送達デバイスとの意図しない分解を妨げるために、引離し力を著しく増加させる。したがって、第2の相互連結により提供される引離し力は、第1の相互連結により提供される引離し力よりも実質的に大きい。
【0017】
別の実施形態によれば、第1および/または第2の相互連結部材が、薬物送達デバイスまたはデバイスの投薬端、たとえば、デバイスのカートリッジ・ホルダの遠位端部に設けられた外側ねじ山に係合する内側ねじ山を備える。このようにして、第1および/または第2の相互連結を、たとえば、キャップ本体と薬物送達デバイスのハウジングとのねじ係合および/またはインターロック部材とデバイスの投薬端の遠位端との間のねじ係合によって確立することができる。
【0018】
加えてまたはあるいは、第1および/または第2の相互連結部材が、対応する形状の、半径方向外側に突出する留め部材とのポジティブ・インターロックを確立するための、少なくとも1つの半径方向内側に延びる掛止部材を備えることも考えられる。留め部材は、薬物送達デバイスの遠位ソケット部分に配置され、かつ/または薬物送達デバイスの投薬端の近位部分に配置される。
【0019】
薬物送達デバイスの遠位ソケット部分に配置された留め部材は、キャップ・アセンブリのインターロック部材に係合するように特に構成される。同様に、薬物送達デバイスの投薬端の近位部分に設けられた掛止部材は、キャップ本体のカップ状レセプタクルの近位端に設けられた第1の相互連結部材に係合するように特に構成される。互いに対応する掛止部材および留め部材の代わりに、互いに嵌合し相互係合するスナップ嵌め部材またはクリップ部材によって、ポジティブ・インターロックを提供することもできる。
【0020】
薬物送達デバイスのキャップ本体、インターロック部材、およびハウジングの、互いに対応する第1および第2の相互連結部材によって確立される第1および第2の相互連結は、ねじ係合またはポジティブ・ロッキングを両方含むことができる。第1の相互連結がポジティブ・インターロックを特色とし、第2の相互連結がねじ係合に基づくことも考えられ、またはその逆も考えられる。
【0021】
さらに好ましい実施形態によれば、インターロック部材は、キャップ本体の遠位端から軸方向内側に延びる内部スリーブを備える。本実施形態では、第2の相互連結部材が、好ましくは、前記内部スリーブの近位部分に配置される。内部スリーブおよびその第2の相互連結部材は、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダ部材の遠位端のねじ付ソケットにねじ留めされるように特に構成され得る。
【0022】
本発明による薬物送達デバイス用キャップ・アセンブリのさらなる実施形態によれば、キャップ・アセンブリは、
薬物送達デバイスの遠位投薬端を保護して受けるように構成され、近位端に少なくとも第1の相互連結部材を有するカップ状レセプタクルを備えて、薬物送達デバイスのハウジング部材との第1の相互連結を提供するキャップ本体と、
キャップ本体に動作可能に係合され、デバイスの投薬端の遠位端部に解放可能に係合するようにさらに構成された第2の相互連結部材を備えて、キャップ本体のための安全ロックを提供するインターロック部材とを備え、
インターロック部材が、キャップ本体の遠位端から軸方向内側に延びる内部スリーブを備え、第2の相互連結部材が内部スリーブの近位部分に配置される。
【0023】
さらなる実施形態によれば、インターロック部材および/またはその内部スリーブは、キャップ本体の遠位端から突出していてもよい。したがって、インターロック部材および/またはその内部スリーブは、キャップ本体の遠位端を形成する。したがって、キャップ・アセンブリは、2つの別個の部材、すなわち、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダを保護する機能を果たすキャップ本体と、キャップの遠位端を提供するが、内部スリーブとともにキャップ本体内で近位方向に延びるインターロック部材とを備えることができる。インターロック部材は、ユーザにより把持されるようにキャップ本体から遠位方向に突出することができ、内部スリーブとともにキャップ本体内で近位方向に延びることができる。
【0024】
第1および/または第2の相互連結のタイプに応じて、インターロック部材は、さらなる実施形態によれば、キャップ本体内で回転可能に支持される。これは、キャップ本体が薬物送達デバイスのハウジングにクリップ留めされ、インターロック部材の第2の相互連結部材が、デバイスの投薬端の、対応してねじ付けされた遠位ソケットにねじ係合するように設計されるときに特に有利である。このようにして、キャップ本体が、薬物送達デバイスのインターロック部材と投薬端との係合動作および/または係合解除動作中に、薬物送達デバイスのハウジングに対して静止したままとなり得る。
【0025】
さらに好ましい態様では、インターロック部材が、キャップ本体内で軸方向に摺動可能にも支持される。このようにして、インターロック部材は、デバイスの投薬端に係合または係合解除されるときに、軸方向変位を受けることができる。
【0026】
加えて、さらに好ましい実施形態によれば、キャップ本体およびインターロック部材は、互いに対応して半径方向に延びる停止要素をさらに備えて、キャップ本体とインターロック部材との相対軸方向変位を制限する。このようにして、インターロック部材は、カートリッジ・ホルダの遠位ソケットにねじ留めされると、互いに係合する停止要素を介して、近位向きの保持力をキャップ本体に及ぼすことができる。したがって、キャップ本体を、薬物送達デバイスのハウジングに対して軸方向に堅く固定することができる。
【0027】
別の実施形態によれば、キャップ本体およびインターロック部材が一体形成される。キャップ本体およびインターロック部材は、費用効率の高い方法で、たとえば大量生産工程で製造される単一の射出成形プラスチック部材を含むことができる。
【0028】
さらに別の独立した態様では、本発明はまた、薬剤の所定の用量を注射するための薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、投薬すべき薬剤で満たされたカートリッジを受けるためのカートリッジ・ホルダを備える。デバイスは、カートリッジ・ホルダに連結可能な、駆動機構を収容するように構成された近位ハウジング部材をさらに有する。一般的に少なくともピストン・ロッドを備える駆動機構が、カートリッジの近位に位置するピストンに動作可能に係合するようになっている。このようにして、たとえばピストン・ロッドを介してピストンに遠位向きの圧力または推力を及ぼすことにより、カートリッジに含まれた所定の量の薬剤を、カートリッジの遠位投薬出口を介して排出することができる。
【0029】
薬物送達デバイスは、前述したように、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダを保護して受けるためのキャップ本体を有し、キャップ本体に動作可能に係合または固定され、カートリッジ・ホルダの遠位端に解放可能に係合するようにさらに構成されたインターロック部材をさらに有するキャップ・アセンブリをさらに備える。
【0030】
好ましい実施形態では、キャップ・アセンブリのキャップ本体が、ハウジング部材および/またはカートリッジ・ホルダの近位部分に解放可能に係合するように構成される。加えてまたはあるいは、インターロック部材は、一般的にニードル・アセンブリのハブをねじ受けするように構成され意図されたカートリッジ・ホルダの遠位ソケット部分にねじ係合するように構成される。このようにして、カートリッジ・ホルダのねじ付遠位ソケットにより、二重の機能性が提供される。一方で、ソケットは、取付けベースまたは解放可能なニードル・アセンブリを提供する。他方で、ソケットは、キャップ・アセンブリのインターロック部材用の取付けベースを提供して、キャップのための安全ロックを提供する。
【0031】
別の実施形態によれば、カートリッジ・ホルダは、インターロック部材の半径方向内側に延びる掛止部分に係合するための、半径方向外側に延びる、周方向に断続するリムをさらに備える。半径方向外側に延びるリムは、留め部材を提供し、一般的にカートリッジ・ホルダの遠位端の遠位ソケット部分に配置される。周方向に断続するリムを留め部材として有することにより、掛止部材と留め部材との互いの係合が、キャップ本体および/またはインターロック部材をカートリッジ・ホルダに対して近位方向へ、たとえば摺動の形で変位させることによって達成され得る。
【0032】
この目的で、互いに対応する掛止部材および留め部材は、スナップ留めまたはクリップ留め機能を容易にするために、傾斜した、または斜めの当接面を備えることができる。第2の相互連結の係合解除は、インターロック部材の半径方向内側に延びる掛止部材が周方向に断続するリムの対応する形状の凹部と同一平面になるように、インターロック部材またはキャップ・アセンブリ全体がカートリッジ・ホルダに対して回転変位することによって達成され得る。このようにして、相対軸方向変位、および薬物送達デバイスのハウジングからのキャップ本体の引抜きをもたらすことができる。
【0033】
さらに別の態様では、キャップ・アセンブリを薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダに解放可能に相互連結する方法が提供される。第1の工程では、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダ部分が、取付位置または締結位置に到達するまで、キャップ・アセンブリのキャップ本体のカップ状レセプタクルに挿入される。その後、第2の工程で、キャップ本体に動作可能に係合または連結されたインターロック部材が起動されて、カートリッジ・ホルダの遠位端部との解放可能な係合をもたらす。このようにして、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダに対するキャップ本体のための安全ロックを提供することができる。
【0034】
同様に、キャップ・アセンブリと薬物送達デバイスとの連結解除をもたらすこともできる。ここで、初期工程では、たとえば、インターロック部材のねじをカートリッジ・ホルダのねじ付ソケット部分から緩めることにより、かつ/または互いに対応する掛止部材および留め部材を係合解除することにより、インターロック部材を停止状態にしなければならない。安全ロックを停止状態にした後、キャップ本体およびキャップ・アセンブリ全体を、薬物送達デバイスのカートリッジ・ホルダ部分から引き抜くことができる。相互連結および連結解除手順について、キャップ本体は、薬物送達デバイスのハウジングに、たとえば、前述した第1の相互連結部材により別個に係合することができる。
【0035】
本明細書に記載された種々の実施形態はペン型注射器に関するものであるが、本発明は、この特定の種類の薬物送達デバイスに限定されるものでは決してない。本発明によるキャップ・アセンブリは、投薬端が環境の影響に対して保護されなければならない、複数の多様な異なる薬物送達デバイスに適応させることができる。
【0036】
加えて、キャップ・アセンブリに関連して説明した本発明の特徴および実施形態は、前述した薬物送達デバイス、ならびにキャップ・アセンブリおよびカートリッジ・ホルダを解放可能に相互連結する方法に等しく当てはまることに注目されたい。部材または部分がある動作を行うように構成され配置されると述べることは、対応する方法工程と理解されるべきであり、逆もまた同様である。
【0037】
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0038】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0039】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0040】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0041】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0042】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0043】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0044】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0045】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0046】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0047】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0048】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0049】
哺乳類では、λおよびкで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖кまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0050】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0051】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0052】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類金属、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0053】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0054】
本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明に種々の修正および変更を行うことができることが、当業者にさらに明らかになろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用される参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことに注目されたい。
【0055】
以下で、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。