(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転子を前記固定子に回転可能に装着するために、前記固定子と前記回転子との間に配置された少なくとも第1および第2のベアリングをさらに備え、前記第1のベアリングは、前記回転子および前記固定子の上流端部に配置され、前記第2のベアリングは、前記回転子および前記固定子の下流端部に配置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
前記第1のベアリングは、機械的な旋回軸であり、前記第2のベアリングは、磁気ベアリングであり、かつ第1および第2の磁石を備え、前記第1の磁石は、前記回転子に取り付けられ、前記第2の磁石は、前記固定子に取り付けられ、前記第1および第2の磁石は、極性が合わせられている、請求項4に記載の装置。
前記第1のベアリングは、流体力学的な旋回軸であり、前記第2のベアリングは、磁気ベアリングであり、かつ第1および第2の磁石を備え、前記第1の磁石は、前記回転子に取り付けられ、前記第2の磁石は、前記固定子に取り付けられ、前記第1および第2の磁石は、極性が合わせられている、請求項4に記載の装置。
前記第1および第2のベアリングは、各々、第1および第2の磁石を備える磁気ベアリングであり、前記第1の磁石は、前記回転子に取り付けられ、前記第2の磁石は、前記固定子に取り付けられ、前記第1および第2の磁石は、極性が合わせられている、請求項4に記載の装置。
前記固定子は、第1の端部に機械的ベアリング、ならびに第2の端部に磁気ベアリングおよび前記複数の支柱を有する、細長い本体を有し、前記回転子は、密閉空間を画定する細長い中空の本体を有し、前記回転子の前記第1の端部の前記機械的ベアリング、および前記回転子の前記第2の端部の前記磁気ベアリングを介して、前記回転子が前記固定子に接続された状態で、前記固定子の前記細長い本体が配置される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
前記コントローラと動作可能に連結された心臓センサをさらに備え、前記コントローラは、前記心臓センサを使用して自然の拍動を測定し、前記自然の拍動に応じて前記回転子の前記回転速度を制御するようにプログラムされる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の装置。
前記ステント、前記回転子、および固定子は、弁上である選択された位置で前記大動脈および前記肺動脈のうちの1つに適合するようにサイズ決定される、請求項15に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左心室、右心室、または両方の心室のいずれかを補助するのに好適な補助循環装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、ヒト心臓用の補助循環装置は、心臓動脈内に配置されるようにサイズ決定され、かつ臓動脈内の選択された位置で経皮的に配置されるように構成されるステントであって、流路を画定する開放構成を有するように構成されるステントと、ステント内に適合するようにサイズ決定され、かつ選択された位置および流路内で経皮的に配置されるように構成される回転子とを備えてもよく、回転子は、中心部の周りに配置され、かつ流路に対して角度を成す表面を含み、回転子はさらに、長手方向軸を確定し、第1の複数の磁石を有する。装置は、選択された位置で心臓動脈の周りに配置されるようにサイズ決定されるカラーを含み、カラーは、電気巻線を有する固定子を備える。電源が提供され、固定子と動作可能に連結され、固定子および回転子は、電源から固定子への電力の印加に応じて相互作用し、回転子を長手方向軸の周りで回転させるように構成される。タイミング制御モジュールが提供され、固定子と動作可能に連結され、かつ回転子の回転速度を制御するように構成される。したがって、回転子の表面は、回転子の回転に応じて、流路に沿って血液を移動させるように構成される。
【0008】
1つ以上の好ましい態様において、カラーは磁石セットを含み、回転子は第2の複数の磁石を含む:カラーの磁石セットと回転子の第2の複数の磁石とは、共働して流路に対する回転子の長手方向位置を制御する。選択される位置は、装置が左心補助循環装置として機能することができる大動脈であってもよいか、または装置が右補助循環装置として機能することができる肺動脈であってもよい。さらに、装置は大動脈および肺動脈の両方に配置されてもよく、その場合、装置は両心補助循環装置として機能することができる。好ましくは、選択される位置(単数または複数)は、弁上であってもよい。さらに、カラーは、適切な血管(単数または複数)の周りにおける低侵襲性の配置に適合され得る。
【0009】
回転子の表面は、複数の羽根によって形成されてもよく、回転子の表面は、螺旋状であってもよく、回転子の表面は、複数の表面を備えてもよく、回転子の表面は、回転子の回転に応じて流路に沿った血液の移動を可能にするための任意の好適な形態または形状を備えてもよい。
【0010】
好ましくは、タイミング制御モジュールは、自然の拍動を感知するように構成されるセンサと動作可能に連結され、タイミングモジュールは、その自然の拍動に応じて回転子の回転速度を制御するように構成される。タイミング制御モジュールはさらに、回転子の回転速度を基準速度とより速い速度との間で制御するように構成されてもよく、基準速度は、装置を閉鎖弁として機能させるように構成され、より速い速度は、流路に沿って所望の流速で血液を移動させるように構成される。
【0011】
さらに好ましくは、回転子およびステントの一方または両方が、抗凝固剤で被覆される。電力電源は、皮下にあってもよく、また経皮充電のために構成されてもよい。
【0012】
別の実施形態によれば、ヒト心臓用の補助循環装置は、心臓動脈内の選択された位置で心臓動脈内に配置されるようにサイズ決定され、かつ流路を画定するように構成されるステントと、ステント内および選択された位置および流路内に適合するようにサイズ決定される磁化された回転子であって、流路に対して角度を成す表面を含み、また長手方向軸を含む回転子と、カラーとを備えてもよい。カラーは、選択された位置で心臓動脈の周りに配置されるようにサイズ決定され、カラーは、電気巻線を有する固定子を備える。装置は、固定子と動作可能に連結された電源を含み、固定子および回転子は、電源から固定子への電力の印加に応じて相互作用し、回転子を長手方向軸の周りで回転させるように構成される。タイミング制御モジュールが提供され、タイミング制御モジュールは、固定子と動作可能に連結され、かつ回転子の回転速度を基準となる第1の速度とより速い第2の速度との間で制御するように構成される。回転子の表面は、回転子の回転に応じて、流路に沿って血液を移動させるように構成される。
【0013】
さらなる態様によれば、ヒト心臓用の補助循環装置は、ステント、固定子、回転子、電源、およびコントローラを含む。ステントは、流路を画定する内表面と、血管内に配置されるように構成される外表面とを有する円筒状ステント壁を有する。固定子は、ステント内に配置可能であり、固定子は、固定子に接続され、かつステント内に固定子を位置付けるようにステント壁の内表面に対して配置可能な複数の支柱を有する。回転子は、ステント壁の内表面に対向し、かつ流路に対して角度を成す少なくとも1つの羽根によって一部画定される外表面を含み、回転子は、ステントの内表面と固定子との間で固定子に回転可能に装着される。回転子および固定子のうちの一方は界磁石を含み、回転子および固定子のうちの他方は巻線を含む。電源は、巻線と動作可能に連結され、コントローラは、電源を選択的に制御して回転子の速度を変化させるように電源と動作可能に連結される。
【0014】
いずれの態様も、所望により、本明細書に開示される好ましい態様を考慮して組み合わせるかまたは変更することができることを認識されたい。
【0015】
本明細書に概説される1つ以上の好ましい形態に従って組み立てられると、装置は、低侵襲性のオフポンプ法を用いて配置されてもよい。大動脈上の磁石は、上行大動脈の周りまたは他の所望の位置に配置されてもよく、一方、磁気的に懸架された(または浮上された)回転子または羽根車の羽根は、弁上の位置、大動脈弁または肺動脈弁の上に配置され、したがって重症左室不全または重症右室不全のいずれかにおける使用を可能にする。既知の装置は、これらの位置のうちの1つ以上における配置には不適であると考えられる。
【0016】
低侵襲性手技を用いて弁上の位置に装置を配置することにより、左心室または右心室の解剖学的整合性は影響を受けなくてもよく、心室構造の整合性の破壊に関連する合併症のリスクがより低くなる。これは、急性心筋梗塞の後に心原性ショックを経験している患者、または心室(複数可)の負担を取り除くためのオフポンプ支持を必要とする両室不全を経験している患者において特に有益であり得る。
【0017】
回転子または羽根車の羽根は、ステント内に浮上していてもよい。どちらも、既存の方法を用いた標準的技術を使用して、鼠径部を通して別々におよび連続的に設置することができる。ステント内の回転子または羽根車は、それぞれ、左心室または右心室を支持するために、上行大動脈または肺動脈内に装着されてもよい。回転子または羽根車の浮上は、羽根または血液駆動面の周辺血管の壁に対する「タッチダウン」を回避する。
【0018】
開示される装置の配置および機能は、心臓の自然の心周期を増強できるように、拍動性の生理的な流れを維持することが好ましい。好ましくは、装置は、電気信号の使用を通して位相性の血流を実現し、正常な心筋収縮力を増強するためにタイミング制御モジュールを介してポンプ作用のタイミングを計る。電力は、皮下移植されたペースメーカー型電力ユニットによって提供されてもよい。ある好ましい形態において、装置は、経皮充電システムを使用する。さらに、タイミング制御モジュールに指示を付与するために近距離無線通信(NFC)技術が使用されてもよい。
【0019】
装置は、大動脈弁または肺動脈弁として機能することができる。開示される装置は、それぞれ、左心室または右心室の重度の心不全が関連する場合に、自然の大動脈弁または肺動脈弁に付随する問題が存在する状況において機械弁の代わりであると考えることができる。例えば、心不全を伴う重度の大動脈弁狭窄において、手術時に自然の罹患弁を除去することができ、装置が、事実上、弁として機能する。大動脈弁逆流または感染性心内膜炎についても同じことが言える。循環の右側では、装置を肺動脈弁の代わりに使用することができる。
【0020】
装置は、装置の移植部位における、および特定の技術の使用を伴う装置機構内での血栓または血餅を防止するのに役立ち得る。これは、全身抗凝固療法の使用、または血液と接触する回転子およびステントの表面上における血栓の形成を防止する特殊なコーティング(例えば、フィブリノゲン様ペプチド2)の使用によって達成することができる。これらの特徴および使用は、後により詳細に列挙され、論じられる。
【0021】
開示される装置の別の態様は、所要電力および出力、タイミング、ならびに/または他の設定を制御するための、近距離無線通信を使用した電力および設定の制御であろう。そのようなアプローチは、制御ユニットとの通信の手段として、無線携帯電話技術または他の好適な技術を用いることができる。したがって、制御システムは、いずれの種類のケーブルまたは有線接続も必要とせず、プログラミングは、携帯電話または他のモジュール等のハンドヘルド機器によって達成することができる。装置およびその制御システムは、完全に移植可能である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に図面を参照すると、
図1は、本発明の開示される実施例の教示に従って組み立てられた、参照番号10によって参照される補助循環装置を示す。装置10は、後に詳述するように、2つの異なる心臓動脈のいずれかの中であり得る、心臓内の選択された位置で使用するのに好適である。装置10は、ステント12(
図1では部分的に不明瞭だが、少なくとも
図2および3においてより詳細に示される)を含む。好ましくは、ステント12は、軸13を画定し(
図2を参照)、例えば、大動脈または肺動脈であり得る選択された心臓動脈内に配置される/適合するようにサイズ決定される。例として、大動脈および肺動脈の直径は、約2.0〜3.0cmであってもよく、例えば、各々の直径は、個体ごとに異なり、またさらに個体にとっても個体の一生を通じて異なる。ステント12は、心臓動脈内の選択された位置に経皮的に配置されるように構成されることが好ましく、ステント12を通って、従って装置10を通って延在する流路14を画定するために、
図1に示すような開口構成を有するように構成される。装置10はまた、
図1では同じく部分的に不明瞭だが、少なくとも
図2および3においてより詳細に示される回転子16を含む。
【0024】
なおも
図1を参照すると、回転子16も、選択された心臓動脈内に適合するようにサイズ決定され、またステント12内に適合し、かつ流路14内に配置されるようにもサイズ決定される。さらに好ましくは、回転子16は、心臓動脈内の選択された位置に経皮的に配置されるように構成される。次に
図2を参照すると、回転子16は、長手方向軸18を概ね画定し、後に詳述するように、回転子16がその軸18の周りを回転できるようにステント12内に適合する。回転子16は、中心部22を取り囲む表面20をさらに含み、表面20は、軸18および中心部22の両方に対して角度を成すことが好ましい。回転子16はまた、複数の磁石24も含む(磁石は、
図1および2では不明瞭だが、
図3においてより詳細に示される)。
【0025】
装置10はまた、選択された心臓動脈の周りに配置されるようにサイズ決定されるカラー26を含む。
図1および2に見られるように、カラー26は、1つ以上の好適な電気巻線30を有する固定子28を含む。
図1を参照すると、装置10はさらに、電源32およびタイミング制御モジュール34を含み、そのどちらも、好適なリンク36を介して固定子28(具体的には巻線30)と動作可能に連結されている。電源32から固定子28(巻線30)への電力の印加に応じて、固定子28と、回転子16上の磁石24のうちのいくつかとが相互作用し、したがって、ステント12内にて回転子をその軸18の周りで回転させる。その結果、回転子16の表面20によって、回転子16は流路14に沿って血液を移動させる。
【0026】
次に
図2を参照すると、ステント12の流路14内に配置された回転子16が示されている。回転子16は、第1の端部38および第2の端部40を含み、ステント12は、第1の端部42および第2の端部44を含む。固定子28も、第1の端部46および第2の端部48を含む。後に
図3を参照してより詳細に説明されるように、回転子16は、ステント12内で懸架されているか、浮上しているか、または別様に磁気的に適所に保持もしくは懸架されている。ステント12は、上で触れたように、肺動脈または大動脈のいずれかの壁であり得る動脈壁50のすぐ内側に配置されて示されている。カラー26(したがって固定子28および巻線30)は、動脈壁50のすぐ外側に配置されている。
図2の例において、表面20は、螺旋表面52であり、概して回転子16の第1の端部38と第2の端部40との間で、螺旋状の階段部が中心部22から外向きに延在する。
図2に示す螺旋表面52の代替として、回転子16の表面20は、1つ以上の羽根によって担持されてもよい。好ましくは、羽根は折り畳み可能であり、したがって経皮送達に好適である。
【0027】
次に
図3を参照すると、回転子16の磁石24がより詳細に示されている。磁石24は、上に概説したように、電力の印加に応じて回転子16をその軸18の周りで回転させるように第1の複数の磁石54を固定子28(具体的には巻線30)と相互作用させるために、回転子16の周りに配置された第1の複数の磁石54を含む。磁石24はまた、回転子16の第1の端部38に隣接して配置された1つ以上の磁石58と、回転子16の第2の端部40に隣接して配置された1つ以上の磁石60とを含む、第2の複数の磁石を含む。
図3の例において、ステント12はまた、ステント12の第1の端部42に隣接して配置された1つ以上の磁石62と、ステント12の第2の端部44に隣接して配置された1つ以上の磁石64とを含む。磁石58、60は、概して回転子16の軸18の周りに延在するように環状であってもよい。同様に、磁石62、64も、概してステント12の軸13の周りに延在するように環状である。磁石58、60、62、および64は、回転子の軸18に沿ったおよび流路14に沿った望ましくない運動を防止するために、回転子16の長手方向位置をステント12内に維持するように相互作用する。磁石58、60は、回転子16の外表面の上に配置されてもよいか、回転子16の外表面の下に配置されてもよいか、または任意の他の好適な様式で配置されてもよい。同様に、磁石62および64は、内表面上、外表面上、ステント12の内表面と外表面との間、または任意の他の好適な様式で配置されてもよい。好ましくは、回転子12は、回転子12の最も外側の先端部が、間隙63によってステント12の内表面から分離されるような様式で、上で説明したように浮上または懸架されている。
【0028】
再び
図1を参照すると、装置10は、自然の拍動を感知するように構成されるセンサ66を含むことが好ましい。センサ66は、好適なリンク68によってタイミング制御モジュール34と動作可能に連結されている。その結果として、ポンプ作用のタイミングが、自然の拍動と連動して作用するように構成され得る。ある好ましい形態において、タイミング制御モジュール34は、回転子の回転速度を基準速度とより速い速度との間で制御するように構成される。基準速度は、ゼロまたは非ゼロであってもよい。基準速度を非ゼロとして維持することには節電の利点があり得る。回転子16が基準速度かまたはその近くである場合、回転子16は閉鎖弁として効率的に機能し得る。その一方で、より速い速度では、回転子16は、流路に沿って所望の流速で血液を移動させるように構成される。なおも好ましくは、回転子16およびステント12の一方または両方が、抗凝固剤で被覆されてもよい。さらに、電源32、タイミング制御モジュール34、およびセンサ66は全て、皮下にあることが好ましい。さらに好ましくは、電源は、経皮充電のために構成されてもよい。
【0029】
別の代替案として、タイミング制御モジュール34は、回転子の回転速度を制御して第1の流量特性および第2の流量特性を生じさせるようにプログラムされるかまたは別様に構成されてもよい。例えば、回転子の制御は、第1の流量特性が、流路14の方向の反対である少なくとも部分的な逆方向の流れを生じさせるものであってもよい。少なくとも1つの例示的な形態によれば、そのような流量特性は、冠灌流を改善するように作用し得る。回転子の制御はさらに、第2の流量特性が、流路14に沿ったまたは別様にその方向である順方向の流れを生じさせるものであってもよい。好ましくは、センサ66を使用することにより、回転子の回転に自然の拍動によるゲートをかけることができ、それによって、正の順方向の流れおよび少なくともいくらかの逆方向の流れを伴う大動脈内バルーンパンプ(IABP)の挙動と同様の様式で、装置10を挙動させることができる。
【0030】
図4は、代替の回転子116を示す。回転子116は、ほとんどの態様において上記回転子16と同様であり得、上述のように懸架および回転させることができる。したがって、同様の構成要素についてさらに詳細に記載する必要はない。回転子116は、中央が幅広く、各端部138および140に向けて先細りの中心部122を含む。回転子116の表面120は螺旋表面152を含み、螺旋表面152または階段部は、この場合も同様に中心部122から外向きに放射状に延在する。
図4の例において、螺旋表面は、回転子116の中央部に隣接する第1の距離だけ中心部122から外向きに延在し、端部138、140に隣接する第2のより短い距離だけ延在する。上述の例と同様に、階段部または羽根の外側の端と周囲のステントの内表面との間に間隙63が形成される。さらに、好ましくは、血流を駆動する表面(螺旋状の階段部、羽根、または他の好適に成形された表面もしくは構造)は、折り畳み可能であり、したがって経皮送達に好適である。当業者は、本開示を読むと、回転子16および回転子116の特徴が相互排他的である必要はないことを理解するであろう。代わりに、所望により、2つの回転子の態様を組み合わせることおよび/または置き換えることができる。
【0031】
図5〜7は、本発明の開示される実施例の教示に従って組み立てられた補助循環装置の別の実施形態を示す。装置200は、
図1〜4に関連して述べた装置10と同様に、2つの異なる心臓動脈のいずれか、または脈管構造内のどこかであり得る、心臓内の選択された位置(例えば、弁上)での使用に好適であり、そこに配置されるように/適合するようにサイズ決定される。装置200は、以前に記載したように、ステント202を通って(したがって装置200を通って)延在する流路208を画定する内表面206と、心臓動脈等の血管212内に配置されるように構成される外表面210とを有する円筒状ステント壁204を有するステント202を含む。ステント202(および具体的には壁204)は、従来知られているように、金属(例えばチタン)または他の好適な金属メッシュチューブによって画定されてもよい。
【0032】
図5を参照すると、装置200は固定子220も含む。装置10に関連して述べた固定子28とは異なり、装置200の固定子220は、ステント202内に配置可能である(また、
図5〜7に示すように、その中に配置される)。
図7に示すように、固定子220は、複数の支柱222を有し、その各々が、固定子220に接続された第1の端部224と、ステント202内に固定子220を位置付けるようにステント202の内表面206(具体的にはステント壁204)に対して配置可能な第2の端部226とを有する。さらに、
図7に示すように、固定子220は、上流端部228および下流端部230を有し、複数の支柱222が、固定子220の下流端部230から垂下する。また、
図6において最もよく分かるように、固定子220は、固定子220の周りに等距離に配置された4つの支柱222を含んでもよい。しかしながら、支柱222の数、ならびに固定子220に沿ったおよびその周りにおけるそれらの配置は、単に例示を目的とするものであって、限定するものではない。さらなる実施形態によれば、第2の端部226は、ステント202の内表面206に確実に接続されるように構成されてもよい。
【0033】
図5に戻ると、装置はさらに回転子240を含む。回転子16と同様に、回転子240は、回転子240が流路208内でその軸242の周りを回転できるように、ステント202内(したがって選択された位置)に配置される/適合するようにサイズ決定される。また回転子16と同様に、回転子240は、ステント壁204の内表面206に対向し、かつ流路208に対して角度を成す少なくとも1つの羽根(または階段部)246によって一部画定される外表面244を有する。この点において、羽根246は、回転子240の軸242に対して角度を成すと言うこともできる。回転子240は、上流端部248および下流端部250を有し(
図7を参照)、羽根または階段部246は、上流端部248と下流端部250との間で回転子240の外表面244上に形成されてもよいが、上流端部248と下流端部250との間の回転子240の外表面244全体を覆ってもまたは覆わなくてもよい。
【0034】
羽根または階段部246は、回転子240の外表面244に対して折り畳み可能であってもよい。具体的には、羽根246は、ステント202の位置への送達を促進するように折り畳み可能であってもよい。例えば、後に説明するように、装置200は、イントロデューサージャケットを含んでもよく、羽根(複数可)246は、回転子240の周りにジャケットが配置された状態で回転子240(具体的には外表面244)に対して折り畳み可能であってもよい。羽根246は、
図5および7に示すように、回転子240の周りにジャケットが配置されていない状態で回転子240の外表面244から延在してもよい。
【0035】
図1〜4の実施形態とは異なり、回転子240は、固定子220内に受容されない。代わりに、回転子240は、
図7に示すように、ステント壁204(またはステント202)の内表面206と固定子220との間で、固定子220に回転可能に装着される。例えば、装置200は、回転子240を固定子220に回転可能に装着するために、固定子220と回転子240との間に配置される第1および第2のベアリング260、262を含んでもよい。第1のベアリング260は、固定子220および回転子240の上流端部228、248に配置されてもよく、第2のベアリング262は、固定子220および回転子240の下流端部230、250に配置されてもよい。
【0036】
第1の実施形態によれば、第1のベアリング260は、機械的な旋回軸であってもよい。代替として、第1のベアリング260は、流体力学的な旋回軸であってもよい。さらに、第1のベアリング260は、
図1〜4の実施形態に関連して上述したような、またはベアリング262に関連して後述されるような磁気ベアリングであってもよい。本発明の開示される例の教示に従ったさらに他の代替形態も可能である。
【0037】
同様に、第2のベアリング262も種々の形態をとることができる。
図7に示すように、第2のベアリング262は磁気ベアリングであってもよい。これに関連して、ベアリング262は、回転子240に取り付けられた第1の磁石264と、固定子220に取り付けられた第2の磁石266とを含んでもよく、磁石264と266との間の反発力が回転子240の下流端部250を固定子220の下流端部230からおよびその周りに懸架するように、第1の磁石264と第2の磁石266の極性を合わせている。これに関連して、
図5〜7に示される実施形態は、
図1〜4に示される実施形態と類似しており、特に、
図3に関連して説明される通りである。例えば、磁石58、60、62、64に関連して説明されるように、磁石264、266は、概して回転子240の軸242(同様に固定子220の軸)の周りに延在するように環状であってもよい。さらに、磁石264、266は、回転子240または固定子220の表面の上、内、もしくは下に、または任意の他の好適な様式で配置されてもよい。例えば、ベアリング260として流体力学的ベアリングまたは磁気ベアリングが使用される場合、固定子220に対する回転子240の軸方向運動を制限するために、さらなる磁石が含まれてもよい。
【0038】
図7に示すように、ベアリング260、262に加えて、回転子240に密閉空間272を画定する細長い中空の本体270を提供することにより、回転子240が固定子220に回転可能に装着されてもよい。固定子220も、回転子240の密閉空間272内に少なくとも部分的に(図示されるように、ほぼ全体的に)配置されるかまたは受容される細長い本体274を有する。これは単に1つの例であって、限定的であることを意図するものではないことを認識されたい。
【0039】
回転子240を回転させるために使用される機構については、回転子240および固定子220のうちの一方が界磁石を含み、回転子240および固定子220のうちの他方がコイルまたは巻線を含む。
図5に示すように、電源280(
図1に示される電源32に類似する)は、巻線と動作可能に連結されてもよく、コントローラ282(同じく
図1に示されるタイミング制御モジュール34に類似する)は、電源280と動作可能に連結されてもよい。コントローラ282(プロセッサならびに関連するメモリおよび/または回路を含んでもよく、電源280を制御するようにプログラムされても/組み立てられてもよい)は、電源280を選択的に制御して回転子240の速度を変化させる。
【0040】
具体的には、
図7を参照すると、回転子240は、
図1〜4に示される実施形態の磁石54に類似する、永久磁石の形態であってもよい界磁石284を含む。さらに、固定子220は、
図1〜4に示される実施形態の巻線30に類似する、巻線またはコイル(例えば、銅コイル)の形態であってもよい巻線286を含む。電源280から巻線286への電力の印加に応じて、巻線286が磁石284と相互反応し、ステント202内にて回転子240をその軸242の周りで回転させる。その結果として、回転子240上の羽根246によって、回転子240は流路208に沿って血液を移動させる。
【0041】
装置10についての議論は、関連付けられた電源280およびコントローラ282の動作に関連するため、装置200にも等しく適用可能である。例えば、コントローラ282は、電源280を操作して、拍動流を提供するようにプログラムされてもよい。さらなる例として、コントローラ282は、回転子240の回転速度を基準速度とより速い速度との間で制御するようにプログラムされてもよい。さらなる例として、装置200は、コントローラ282と動作可能に連結された心臓センサ288を含んでもよく、コントローラ282は、自然の拍動を測定するためにセンサ288を使用し、その自然の拍動に応じて回転子の回転速度を制御するようにプログラムされる。
【0042】
装置10の電源32、モジュール34、およびセンサ66に関する他の教示もまた、装置200の電源280、コントローラ282、およびセンサ288に適用可能である。例えば、電源280およびコントローラ282は、皮下に配置されるように構成されてもよい。実際、電源280は経皮充電のために構成されてもよく、コントローラ282は経皮的プログラミングのために構成されてもよい。
【0043】
図1〜4の実施形態に適用可能な他の教示もまた、
図5〜7の実施形態に適用可能であり得る。例えば、ステント202、固定子220、および回転子240のうちの1つ以上が、抗凝固剤で被覆されてもよい。所望により、装置10、200の態様を組み合わせることおよび/または置き換えることができる。
【0044】
このように、
図1〜4の装置10および
図5〜7の装置200の構造および動作について記載してきたが、次に、配置および配置の方法について記載する。議論の大部分は装置10に関連するが、この議論は
図5〜7の実施形態にも等しく適用されることを認識されたい。
【0045】
次に
図8を参照すると、左室不全を補助するために、弁上の位置で大動脈の周りに配置された装置10が示されている。一方、
図9を参照すると、右室不全を補助するために、同じく弁上の位置で肺動脈の周りに配置された装置10が示されている。装置10は、さらに他の選択される位置に好適であることが明らかとなり得る。当業者は、本開示を読むと、
図8および9の教示は組み合わされてもよく、したがって、
図8に示すように装置10を大動脈内に配置し、
図9に示すように別の装置を肺動脈内に配置することにより、両心補助循環装置を作製できることを理解するであろう。
図8および9の各々に示される装置10は、
図2および3のいずれかの回転子16を組み込むことができるか、または
図4の回転子116を組み込むことができる。代替として、装置200が使用されてもよい。
【0046】
次に
図10を参照すると、装置10が、体内に移植され、1つ以上の好適なリンクを介して電源32およびタイミング制御モジュール34に連結されており、電源32およびタイミング制御モジュール34が単一の移植可能ユニットに組み込まれた状態で示されている。
【0047】
次に
図11〜15を参照すると、例示的な経皮配置の方法が示されている。
図11は、大腿動脈を介した、所望の位置(この場合は大動脈)への経皮的アクセスを示す。最初に、折り畳み構成のステント12が、
図12に示すような好適なガイドワイヤおよび好適な既知の技術を用いて、大動脈弁の上の所望の位置に配置される。
図13に示すように、ステント12は、膨張性バルーンおよび既知の技術を用いて、
図12の折り畳み構成から拡張構成に拡張される。
図13の拡張可能な構成において、ステント12は、今度は好適な流路14を画定する。次に、
図14に示すように、同じく好適なガイドワイヤおよび既知の技術を用いて、回転子16をステント12内の所望の位置まで前進させる。回転子16は、例えば、シースを除去することにより、または他の好適な拡張技術を用いることにより、送達中に折り畳み構成から拡張構成に拡張することができる。カラー26、ならびに電源32、タイミング制御モジュール34、およびセンサ66は、全ての好適なリンクとともに、
図15に示すような胸腔鏡検査等の従来技術または他の好適な技術を用いて移植されてもよい。
【0048】
同様に、装置200の配置は、
図16および17に示される。具体的には、
図16に示すように、ステント202は、選択され、既知の技術を用いて、選択された位置に折り畳み構成で配置されてもよく、次いで、同じく既知の技術(例えば、膨脹性バルーンの使用による)を用いて、折り畳み構成から拡張構成に拡張されてもよい。
図16にも示されるように、固定子220および回転子240の組み合わせは、イントロデューサージャケット内に配置されてもよく、ジャケットは、回転子240に対して羽根246を折り畳む。支柱222も、固定子220に対して折り曲げられてもよいか、または別様に折り畳まれてもよい。次いで、イントロデューサージャケットがステント202内に導入され、一旦、支柱222が所定の位置にくると、ジャケットが除去されてもよい。例えば、ジャケットの除去は、回転子240の外表面244から羽根を伸長させることができ、
図17に示すように装置200を使用できる状態にする。電源280、コントローラ282、およびセンサ288は、全ての好適なリンクとともに、装置10に関連して
図15に示されるような胸腔鏡検査等の従来技術を用いて、または他の好適な技術を用いて移植されてもよく、装置200と動作可能に連結されてもよい(例えば、固定子220の巻線への電源280)。
【0049】
本発明の例示的な態様に従って組み立てられると、装置が左心室補助のために使用される場合、装置は、大動脈弁の上および冠動脈の起始部の上(例えば、ST接合部の高さより約1cm上)に配置されてもよい。そのような適用において、冠灌流は影響を受けない。
【0050】
装置は、前方小開胸術、オフポンプ術により、または胸骨上部部分切開もしくは従来の胸骨正中切開により、右側第2肋間腔を通して配置されてもよい。好ましくは、カラー、ステント、および回転子のうちの1つ以上が折り畳み可能であり、したがって、選択された位置(複数可)での低侵襲性の配置に好適である。1つの例示的な心臓手術の手法は、羽根車およびステントを経皮的に配置することを伴うハイブリッド手術室である。胸骨正中切開または胸骨上部部分切開の後、大動脈にクロスクランプをかけ、患者を心肺バイパスにつないでから、大動脈を切開する必要があるかもしれない。自然の大動脈弁を除去するかどうかの決断は、その整合性および条件に基づくであろう。装置は、冠動脈の起始部の上に装着される。ユニットへの電源は、大動脈上にあってもよく、電源パックの位置まで皮下的に通される。装置は、軽量かつ高強度の、チタンまたは他の好適な材料のメッシュステント様構造に装着されてもよい。装置の機構は、大動脈に適合するように適切にサイズ決定されるそのメッシュ内に装着される。肺位置の場合、これは肺動脈内の弁上の位置に配置される必要があるであろう。
【0051】
別の例示的な形態において、装置(装置10または装置200であろうと)は、
図18に示すような経心尖アプローチを使用して配置されてもよい。経心尖アプローチの実現可能性は、経心尖的に送達される大動脈弁に関するその使用に関連して十分に記載されている。そのような実施形態によれば、装置は小開胸術(第5または第6肋間腔を通した左前外側の切開)によって左室心尖部を通して挿入されるため、大動脈を切開する必要はない。具体的には、小開胸術を用いて送達カテーテルまたはガイドワイヤ300が左心室に直接導入され、最初に、カテーテルまたはガイドワイヤ300は、経食道心エコー法および蛍光透視法による誘導の下、適切な位置(例えば、冠動脈の起始部の上)まで大動脈弁を横切る。心室内アクセスを維持するために、シース302も左室心尖部に送達される。次いで、装置10、200を、カテーテルまたはガイドワイヤ300上でシース302を通して所定の位置まで送達することができる:最初にステント、次いで装置の残りの部分(例えば、イントロデューサージャケット内で折り畳まれた、回転子または回転子/固定子の組み合わせ)。このアプローチは、大動脈の石灰化による全身性塞栓症のリスクを最小限に抑え、また候補における動脈循環を塞栓症による動脈障害のリスクに曝露するのを回避する。
【0052】
図1〜4の例示的な装置は、上で概説したように回転子が磁気的に懸架または浮上されるように、磁気マウント上に回転子または羽根車を含む。
図1〜7の例示的な装置に関連して上述したように、羽根車は、折り畳み可能なポンプ表面または構造、例えば、経皮的および経心尖的配置を可能にする折り畳み可能な羽根または他の好適な表面等を含むことが好ましい。羽根車は、事実上、「吸引」型のシステムとして機能することができる。心臓が収縮するたびに、ペースメーカー様タイミング制御モジュールまたはユニット内のプログラミングが、装置のポンプ作用を作動させる。回転子は、要求に基づいてその低い基準速度からより速い速度まで加速し、したがってその下に逆方向の渦を作り出し、血液が大動脈を通っておよび装置を通って流出する際に、心臓の自然の収縮力を増強する。拡張期の場合、装置は減速するかまたはさらには停止する。回転子を動かし続けることは、電力節約の観点から有益であるかもしれない。また、停止した、または非常にゆっくり運動する回転子は、大動脈または肺動脈を通って血液が逆流して心室に戻るのを防止するために、弁のような能力で機能することが好ましい。次のサイクルでは、この手順が繰り返される。同じ電源の設置および配置方法が、右心室の増強のための肺位置においても用いられる。
【0053】
好ましくは、ポンプ機能のタイミングは、心室収縮と連動した相流を提供するように最適化される。末期心不全に罹患する多くの患者には、心房と心室との間で収縮を同期させるために、デュアルチャンバーまたは両心室ペースメーカーが使用されることが多い。この装置の配置は、そのような機能を変更しない。センサ68(または288)は、心房および心室の電位図(自然の拍動)を得るために心臓に配置される電極を含み、このデータがタイミング制御モジュール34(またはコントローラ282)に送られる。電源32(または280)は、ペースメーカー様電源であることが好ましい。装置10(または200)のポンプ機能は、収縮期の開始を示唆する心室の電気刺激と連動するようにタイミングを合わせられる。また圧力センサが提供されてもよく、圧力の変化を検出し、したがってさらなる情報を提供するように利用可能であることが好ましい。このようにして、装置10は、変化する要求および変化する心拍条件に適応することができる。これによって、さらに同期した方式で血流の増強がもたらされる。タイミング制御モジュール34には、心房および心室信号のタイミング、ならびにいつ圧力が上昇するかを示唆する圧力センサデータの入力を考慮に入れるためのアルゴリズムが組み込まれており、したがって相流の増強のタイミングを改善する。事実上、ポンプは、生理的必要性に基づいてその流れを増加させる。その機構は、羽根車の基準速度が増加し、したがってより速い速度で血液に装置を横切らせ、自然の心臓の機能を増強するというものである。
【0054】
さらに、血栓形成を防止するいくつかの可能性が存在する。ある反復において、低用量アスピリンを抗血小板剤として使用して、ワルファリンまたは低分子量ヘパリンの形態の従来の抗凝固剤を用いた全身抗凝固療法を使用することができる。別の反復において、血栓の形成を防止する材料で装置を被覆することができる。したがって、非血栓性表面は、全身抗凝固療法の必要性を最小限に抑える。別の潜在的な反復において、誘電体で被覆することによる、および電荷を分布するための特殊な回路を使用した、装置に対する直流荷電の使用を用いることができる(PCT公開番号WO2008/024714 A1号に見出されるもの等)。別の反復において、血栓形成を防止し、全身抗凝固療法の必要性を回避する、フィブリノゲン様ペプチドで装置を被覆することができる。
【0055】
電源32およびタイミング制御モジュール34(または電源280およびコントローラ282)を含むユニットは、
図9に示すように位置付けられることが好ましい。ある好ましい形態において、電源は、装置への電力送達および装置の制御のための皮下ワイヤとともに、鎖骨下または横隔下領域に配置される。セルラー機器(iPhone、アンドロイド機器、ブラックベリー(RIM)または「スマートフォン」)の手段を介した、電源および制御ユニットを有する近距離無線通信(NFC)のための設備がシステム内に構築され、したがって無線プログラミングの手段を提供する。患者が持ち運ぶNFC制御ユニットも、電力設定、心拍出量に関する情報を提供する常時監視システムを提供し、対処を必要とするあらゆる潜在的な問題を表示する:デフォルトの安全性アルゴリズムを利用して、患者の家庭環境から、その患者に責任のある待機中の心臓病学および循環器チームにリアルタイムデータのアラートが送信される。電源は、経皮的に充電されることが好ましい。したがって、システム全体が完全に移植可能であり、外部リード線またはワイヤは存在しない。さらに好ましくは、関連する医療提供者がクラウドからデータを継続的に監視できる、無線携帯電話技術または他の好適な無線通信プロトコルが使用されてもよい。
【0056】
記載されるような装置は、同期方式で機能し、心臓収縮を増強する。したがって、正常な電気的作動を妨げる心停止が起こった場合または心室性不整脈が起こった場合、装置の機能に関する問題が生じ得る。装置の1回の反復は、心室性不整脈の存在を感知し、心臓に適切なショックを送達して不整脈を停止させるために使用することができる、電源パックに取り付けられた除細動器リードの使用を含む。これは、継続的な心拍出量を提供するために必要である。これは、装置内でプログラムされるアルゴリズム内に組み込むことができる。心房性不整脈は、心拍数が維持されている限り、それほどの問題ではないはずである。
【0057】
装置が弁上にあるという特性のため、また装置が自然の心機能に干渉しないため、この装置は異なる心不全の状態に使用することができる。純粋な左室不全では、弁は大動脈の上の位置に配置される。純粋な右室不全では、弁は肺動脈弁の上の位置に配置される。両心室不全では、大動脈および肺動脈内に、2つの装置がそれぞれの機能する装置用の電源パックとともに据え付けられてもよい。電源パックは、鎖骨下または横隔膜下の位置に配置されてもよい。右心不全を伴う肺高血圧症では、肺動脈弁の上で装置を使用して、機能不全の右心室の機能を増強することができる。その位置のおかげで、心不全の原因はさほど重要ではなくなる。したがって、拡張障害および拘束型心筋症の状態においても装置を使用することができる。単純に装置の機能を増強し、心臓の一過性収縮の間の毎分回転数を増加させることにより、拡張期充満のタイミングはさほど重要ではなくなる。
【0058】
その位置のために、装置は、補助装置であることに加えて、心臓弁としても十分に機能する。よって、自然の弁を除去することができ、羽根車を完全に停止するかまたは減速する能力が、拡張期の間の血液の逆流を防止し、血液の順方向の流れを最小限に抑える。
【0059】
いずれの主要な血管にも位置することができるその能力のために、この装置は、重度の末梢血管疾患のための末梢循環補助装置としても使用することができる。その反復において、下行大動脈内または大腿血管もしくは腸骨血管内に装置を配置することができ、したがって下肢への血流を増大させる。同様に、大動脈内の他の位置に装置を配置して、関連する血管床内の血流を増大させることもできる。例えば、重度の末梢血管疾患に罹患する個体において、腎臓下の位置における装置の配置は、自然の血流を増大させ、下肢の灌流を増加させる。重症下肢虚血において、近位血流の改善は、下肢虚血を治療する能力を可能にし得る。
【0060】
開示される装置および/または方法はさらに、左心低形成の再構築を必要とする患者における先天性心疾患の手術中の配置に特に有用または好適であることが分かる。当業者は、本開示を読むと、開示される装置および/または方法が他の手技においても有用であることを理解するであろう。
【0061】
開示される装置および/または方法はまた、特定の省エネルギー技術またはエネルギー供給技術に特に適合し得ることが分かる。例えば、装置は、心臓からおよび/または血液の流れから運動エネルギーを抽出および/または使用し、装置の所要電力の少なくとも一部を供給するためにそのエネルギーを使用するように適合させることができる。さらに、装置は、血糖から電子を抽出することができ、したがって装置に電力を供給する、バイオニック燃料電池電力を用いた使用に特に好適であり得る。そのようなバイオニック燃料電池技術のより詳細な説明は、NishizawaらのMicrofabricated Miniature Biofuel Cells with Nanoengineered Enzyme Electrodes、およびNishizawaらのMiniaturized Microfluidic Biofuel Cellsに見出すことができる。
【0062】
本発明を実施するための、本発明者らに既知の最良の様式(複数または単数)を含む、本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載される。本明細書において、数多くの例が示され、また説明されているが、当業者は、種々の実施形態の詳細は相互に排他的である必要はないことを容易に理解するであろう。代わりに、当業者は、本明細書の教示を読むと、ある実施形態の1つ以上の特徴を、残りの実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができるはずである。さらに、示される実施形態は単に例示であって、本発明の範囲を限定すると見なされるべきではないことも理解されたい。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別途指示のない限り、または別様に文脈上明らかに矛盾のない限り、任意の好適な順序で行われてもよい。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「〜等」)の使用は、本発明の例示的な実施形態(単数または複数)の態様をよりよく例示することを意図しているに過ぎず、本発明の範囲に対する制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる言語も、本発明の実施に必須である請求されていない要素を示唆するものとして解釈されるべきである。