(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139555
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】受動的反応度制御装置、反応度制御装置、原子核分裂反応炉の装置、受動的反応度制御装置の製造方法ならびに反応度制御装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
G21C 7/02 20060101AFI20170522BHJP
G21C 7/06 20060101ALI20170522BHJP
G21C 7/24 20060101ALI20170522BHJP
G21C 7/26 20060101ALI20170522BHJP
G21C 7/28 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
G21C7/02
G21C7/06
G21C7/24
G21C7/26 Z
G21C7/28
【請求項の数】27
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2014-546033(P2014-546033)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-500993(P2015-500993A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】US2012068006
(87)【国際公開番号】WO2013130154
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】61/567,609
(32)【優先日】2011年12月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/693,688
(32)【優先日】2012年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チータム,ジェッシ アール.サード
(72)【発明者】
【氏名】コービン,ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】ギャレット,マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】ギレランド,ジョン ロジャーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズラー,パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ジョンズ,クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ブライアン シー.
(72)【発明者】
【氏名】コ,ユ−チー
(72)【発明者】
【氏名】マクホイルター,ジョン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ペトロスキ,ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】スティーア,ケネス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トルオング,バオ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー,ジェイムズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,ジョシュア シー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーヴァー,ケヴァン ディー.
【審査官】
青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−077593(JP,A)
【文献】
特開平07−151890(JP,A)
【文献】
特開平06−222178(JP,A)
【文献】
特開平08−201562(JP,A)
【文献】
特開平08−297186(JP,A)
【文献】
特開平11−295460(JP,A)
【文献】
特開昭58−196487(JP,A)
【文献】
特開昭64−006892(JP,A)
【文献】
特開平07−140284(JP,A)
【文献】
特開平09−072980(JP,A)
【文献】
特開平08−094784(JP,A)
【文献】
特開平06−051081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 7/00−7/36
G21C 9/02
G21C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度、または、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束を、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータとし、
第1の貯蔵器と、
上記第1の貯蔵器と間隙を介する第2の貯蔵器と、
上記第1の貯蔵器と上記第2の貯蔵器との間に介設された第1の導管と、
上記第1の貯蔵器に配分され、原子核分裂反応炉の上記温度操作パラメータに対して体積が変化する駆動物質と、
上記第1の貯蔵器に配分された中性子吸収パラメータ変更物質と、
を有し、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記駆動物質とは異なっており、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部と物理的に接触しており、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記駆動物質によって、上記第1の貯蔵器と上記第2の貯蔵器との間で動かすことができるようになっており、
上記第1の貯蔵器には、
第1の部分と、
上記第1の部分と間隙を介する第2の部分と、
上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設された第2の導管と、
が含まれ、
上記第2の貯蔵器は、上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設され、
上記駆動物質は、上記第1の部分、上記第2の部分および上記第2の導管に配分されている、
ことを特徴とする受動的反応度制御装置。
【請求項2】
上記第2の貯蔵器が、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記駆動物質には気体が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N2、CO2およびNH3から選択された、少なくとも1つの気体が含まれる、
ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
上記駆動物質には液体が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記中性子吸収パラメータ変更物質には上記駆動物質とは混和しない液体が含まれる、
ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
上記駆動物質には固体が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
上記中性子吸収パラメータ変更物質には中性子吸収材が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
上記中性子吸収材には原子核分裂燃料物質が含まれる、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】
上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、中性子スペクトルが含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
上記中性子吸収パラメータ変更物質には、減速材が含まれる、
ことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された、少なくとも1つの減速材が含まれる、
ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
上記駆動物質は、第1の密度を有し、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、
上記駆動物質は、上記中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項17】
上記第2の密度が上記第1の密度より大きい、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
上記第1の密度が上記第2の密度より大きい、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
原子核分裂反応炉(90)の炉心(94)に挿入される反応度制御装置(80)であって、
制御棒または安全棒としての少なくとも1つの中性子吸収材(82)と、
上記少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置された少なくとも1つの、請求項1から18のいずれか一項に記載の受動的反応度制御装置(50)と、
を有する、
ことを特徴とする反応度制御装置。
【請求項20】
上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、筐体をさらに含み、
上記少なくとも1つの中性子吸収材および上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記筐体内に配置されている、
ことを特徴とする請求項19に記載の反応度制御装置。
【請求項21】
上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記少なくとも1つの中性子吸収材に動作可能に連結された駆動機構をさらに含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の反応度制御装置。
【請求項22】
反応炉の容器と、
上記反応炉の容器の中に配置され、少なくとも1つの原子核分裂燃料アセンブリを含む反応炉の炉心と、
少なくとも1つの、請求項19から21のいずれか一項に記載の反応度制御装置と、
上記反応炉の炉心に動作可能に連結された反応炉冷却システムと、
を有する、
ことを特徴とする原子核分裂反応炉の装置。
【請求項23】
請求項1から18のいずれか一項に記載の受動的反応度制御装置を製造する製造方法であって、
第1の貯蔵器を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器から間隙を介する第2の貯蔵器を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器と上記第2の貯蔵器との間に第1の導管を介設する工程と、
上記駆動物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程と、
中性子吸収パラメータ変更物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程と、
を含み、
第1の貯蔵器を製造する工程には、
上記第1の貯蔵器の第1の部分を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器の上記第1の部分から間隙を介する、上記第1の貯蔵器の第2の部分を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器の上記第1の部分と上記第1の貯蔵器の上記第2の部分との間に第2の導管を介設する工程と、を含み、
上記第2の貯蔵器は、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分と上記第1の貯蔵器の上記第2の部分との間に介設されている、
ことを特徴とする受動的反応度制御装置の製造方法。
【請求項24】
駆動物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程には、
上記駆動物質を、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分、上記第1の貯蔵器の上記第2の部分、および、上記第2の導管に配分する工程が含まれる、
ことを特徴とする請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
請求項19から21のいずれか一項に記載の反応度制御装置を製造する製造方法であって、
上記中性子吸収材を設ける工程と、
請求項23または24に記載の受動的反応度制御装置を製造する製造方法にて製造された少なくとも1つの、請求項1から18のいずれか一項に記載の受動的反応度制御装置を上記少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置する工程と、
を含む、
ことを特徴とする反応度制御装置の製造方法。
【請求項26】
筐体内に、
上記少なくとも1つの中性子吸収材と、
上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置と、
を配置する工程をさらに含んでいる、
ことを特徴とする請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
上記少なくとも1つの中性子吸収材に駆動機構を動作可能に連結する工程をさらに含んでいる、
ことを特徴とする請求項26に記載の反応度制御装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔本発明の分野〕
本開示は、原子核分裂反応炉における反応度の制御に関連する。
【0002】
〔背景技術〕
本願の出願日に出願データシート(ADS)がファイルされている場合には、ADSは、参照により本願明細書に組み込まれている。また、ADSにおいて合衆国法典第35巻第119条、第120条、第121条、又は、第365条(c)に基づく優先権が主張された任意の出願、及び、そのような出願に関連する出願(任意且つ全ての親出願、親出願の親出願、親出願の親出願の親出願、その他の出願)も、参照により本願明細書に組み込まれている。また、それらの出願における任意の優先権主張、及び、それらの出願において参照により組み込まれている資料も、本願の主題と矛盾しない範囲内において、参照により本願明細書に組み込まれている。
【0003】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、以下に列挙されている出願(優先権主張出願)が有る場合には、優先権主張出願に関する出願であるか、当該優先権主張出願の最先の有効出願日の利益を主張する出願であるか、又は、その両方に当てはまる出願である。当該優先権主張出願は、例えば、当該優先権主張出願に関連する出願(任意且つ全ての親出願、親出願の親出願、親出願の親出願の親出願、その他の出願)について、仮出願以外の最先の有効優先日を主張する出願、又は、合衆国法典第35巻第119条(e)に基づく利益を主張する出願である。また、本願は、以下に列挙されている関連出願(もしある場合)に関連する出願である。
【0004】
〔優先権主張出願〕
USPTOの制定法定外要件のため、本願は、Jesse R. Cheatham, III、Robert A. Corbin、Christopher C. Johns、Brian C. Johnson、Jon D. McWhirter、 Robert C. Petroski、K. Michael Steer、James M. Vollmer、Joshua C. Walterを発明者とする、2011年12月6日に出願された米国仮出願No61/567609(タイトル:核分裂反応炉における反応度を制御するシステム及び方法)の優先権の利益を主張する。米国仮出願No61/567609は、本願の出願日の過去12か月以内に出願されたものであり、その出願日の利益を享受する資格が現在同時係属中の出願に与えられる。
【0006】
米国特許商標局(USPTO)は、特許出願が親出願のシリアル番号を参照する事と特許出願が親出願の継続出願、一部継続出願、又は、分割出願に該当するかを示す事との両方がUSPTOのコンピュータプログラムによって要求される旨を公示した(Stephen G. Kunin、先の出願の利益、2003年3月18日付けUSPTO公報)。USPTOは、更に、文献データの自動ローディングを可能とするが、親出願の継続出願、一部継続出願、又は、分割出願としての各出願の識別番号を必要とする、出願データシートのフォームを提供した。本申請組織(以下、「出願人」)は、規則に記載されているように、優先権主張の基礎となる出願を上述のように具体的に参照した。出願人は、上記規則がその固有の基準言語において明確であり、上記規則が、米国特許出願に対する優先権主張のために、シリアル番号および如何なる特徴表示(例えば、「継続」や「一時継続」といったもの)のいずれも必要としないことを理解している。上記に関わらず、出願人は、USPTOのコンピュータプログラムに一定のデータエントリの要求項目が存在することを理解していることから、上述のように、及び、本願においてファイルされたADSにおいて、本願とその親出願との関係を提示した。ただし、出願人は、そのような提示が「本願がその親出願の記載事項に対する何らかの新規事項を含むか否か」に関するコメント及び/又は自認の類として解釈されるべきでない、ことを明確に述べておく。
【0007】
上述の出願のリストがADSによって与えられたリストと矛盾している場合、出願人は、ADSの優先権出願のセクションに示されている各出願と本願の優先権出願のセクションに示されている各出願とに対する優先権を主張する意図を持っている。
【0008】
上記優先権主張出願、及び、上記関連出願、並びに、上記優先権主張出願及び上記関連出願に関連する出願(任意且つ全ての親出願、親出願の親出願、親出願の親出願の親出願等)の全ての主題(任意の優先権主張を含む)は、本願明細書と矛盾しない範囲内において参照により本願明細書に組み込まれている。
【0009】
〔本発明の概要〕
原子核分裂反応炉における反応度を制御するための例示的な装置、アセンブリおよび方法が開示される。実施形態となる原子核分裂反応炉が開示される。実施形態となる、反応度制御装置の製造方法が開示される。
【0010】
先の概要は、例示的なものに過ぎず、決して限定することを意図するものではない。上記に記載された例示的な態様、実施形態および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態および特徴が、図面および後述する詳細な説明を参照することにより、明らかになる。
【0011】
〔図面の各図の簡単な説明〕
図1Aは、実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【0012】
図1Bは、実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【0013】
図1Cは、実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【0014】
図2Aは、別の実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【0015】
図2Bは、
図2Aの受動的反応度制御装置の透視図である。
【0016】
図2Cは、実例に係る反応度制御装置の分解斜視図である。
【0017】
図3は、実例に係る原子核分裂反応炉の略図である。
【0018】
図4Aは、原子核分裂反応炉における反応度を制御する方法の実例のフローチャートである。
【0019】
図4Bは、
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0020】
図4Cは、
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0021】
図4Dは、
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0022】
図5Aは、受動的反応度制御装置を製造する方法の実例のフローチャートである。
【0023】
図5Bは、
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0024】
図5Cは、
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0025】
図5Dは、
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0026】
図6Aは、反応度制御装置を製造する方法の実例のフローチャートである。
【0027】
図6Bは、
図6Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0028】
図6Cは、
図6Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【0029】
〔発明の詳細な説明〕
以下の発明を実施するための形態においては、本願明細書の一部を構成している添付の図面を参照する。図面においては、基本的に、文脈上そうでないことが明らかでない限り、同様の符号が同様の部材を表している。
【0030】
発明を実施するための形態、図面および特許請求の範囲に記載されている典型的な実施形態は制限を意味しない。本願において示されている主題の精神又は範囲から逸脱しない限り、他の実施形態が用いられてもよいし、その他の変更が加えられてもよい。
【0031】
本願明細書に記載されている構成要素(例えば、動作)、装置、対象物、及び、それらに付随する説明が、概念を明確にするために例として使用されるものであり、様々な構成の変更が考えられることについて、当業者であれば認識できるであろう。結果として、本願明細書では、記載されている具体例、及び、付随する説明は、より一般的なクラスを代表することを意図として使用されている。一般に、任意の具体例は、そのクラスを代表することを意図して使用されており、特定の構成要素(例えば、動作)、装置、及び、対象物を含まないことは、制限的なものであると捉えられるべきではない。
【0032】
本願では、見栄えを明瞭にするために、形式的なアウトライン見出しを用いている。しかしながら、アウトライン見出しは見栄えのためのものであり、様々な種類の主題が本願全体を通じて説明されてもよいことを理解すべきである(例えば、装置/構造が処理/動作の見出しの箇所で説明されてもよいし、処理/動作が装置/構造の見出しの箇所で説明されてもよいし、単一のトピックに関する説明が、2つ以上のトピックの見出しの箇所で説明されてもよい)。形式的なアウトライン見出しは、何らかの制限を課すことを意図して使用されたものではない。
【0033】
〔概要〕
概要としては、原子核分裂反応炉における反応度を制御するための装置、アセンブリ、および、方法の実例が開示され、原子核分裂反応炉の実例が開示され、反応度制御装置の製造方法の実例が開示されている。
【0034】
本開示の実施形態は、例えば、これらに限定されないが、液体金属によって冷却される反応炉、気体によって冷却される反応炉、水冷式の反応炉、高速炉、および/または、熱反応炉のように、温度操作パラメータが変化するものであれば、どのような原子核分裂反応炉にも適用される。温度操作パラメータは、これらに限定されないが、少なくとも1つの温度、および/または、少なくとも1つの線束である。
【0035】
原子核分裂反応炉における温度操作パラメータの変化に応じて、様々な実施形態において、原子核分裂反応炉の反応度は、原子核分裂反応炉の炉心のある部位に対して、または、その部位から中性子吸収パラメータ変更物質を動かすことによって制御されてもよい。
【0036】
例えば、実例示であってこれに限定されないが、様々な実施形態において、中性子吸収パラメータ変更物質には、(i)中性子吸収材、(ii)中性子減速材、および/または、(iii)核燃料が含まれていてもよい。
【0037】
望ましいいくつかのケースでは、本開示の実施形態は、原子核分裂反応炉における反応度を制御するための主要な手段としての役割を果たしてもよい。他のケースでは、必要であれば、本開示の実施形態によって達成される反応度制御は、制御棒、原子炉の冷却剤に分布するポイズン、および/または、温度フィードバックの特性またはシステムが反応度に与える影響のうち、1以上によって補完されてもよい。
【0038】
さらに概要としては、
図1Aを参照すると、ある実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置10には、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質12と、駆動物質12とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質14とが含まれている。中性子吸収パラメータ変更物質14の一部は、駆動物質12の一部に物理的に接触しており、中性子吸収パラメータ変更物質14は、駆動物質12によって、原子核分裂反応炉の炉心(図示せず)の選択された部分へと動かすことも当該部分から動かすこともできる。
【0039】
一般論として、実施形態は、以下の原理に従って動作する。原子核分裂反応炉(図示せず)は、少なくとも1つの温度操作パラメータを有し、当該少なくとも1つの温度操作パラメータの元で動作する。駆動物質12の体積は、温度操作パラメータ(または、複数の温度操作パラメータ)に応じて変化する。駆動物質12は、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、または、その部分から、中性子吸収パラメータ変更物質14を動かす。原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと中性子吸収パラメータ変更物質12が動かされたのに反応して、又は、当該部分から中性子吸収パラメータ変更物質12が動かされるのに反応して、中性子吸収パラメータは、当該部分において、その中性子吸収パラメータ変更物質12に応じて変更されてもよい。
【0040】
限定的ではなく例示的な方法で示される非制限的な複数の実施形態の詳細について以降で説明する。
【0041】
〔受動的反応度制御装置の非制限的な実施形態〕
受動的反応度制御装置の様々な実施形態が開示される。上述したように、望ましいいくつかのケースでは、本開示の実施形態は、原子核分裂反応炉における反応度を制御するための主要な手段としての役割を果してもよい。他のケースでは、必要であれば、本開示の実施形態によって達成される反応度制御は、制御棒、原子炉冷却剤に分布するポイズン、および/または、温度フィードバックの特性またはシステムムが反応度に与える影響のうち、1以上の物によって補完されてもよい。
【0042】
望ましいか否かは別として、いくつかの本開示の実施形態のうち、1以上の実施形態は、外部入力(例えば、制御システムまたは操作者が関与するシステムからの入力のような、電気的または機械的な入力)なしに動作することにより、電気機械的な機能を成立させてもよい。しかしながら、いくつかの他の実施形態において、任意の適合するシステム、装置、デバイス、または、方法による相互作用によって、例えば制限(装置内部の流体のような物質の体積もしくは圧力の補充もしくは制御による制限、又は、筐体の体積、炉心内部における位置、もしくは、1以上の装置の内部における相互に関連する1以上の筐体の位置といった装置の構成の変更による制限)なしに、達成できることは理解されるであろう。
【0043】
以下に、限定のない詳細が、限定的でなく例示的な方法で説明される。
【0044】
もう一度
図1Aを参照すると、限定のない実施例として与えられるように、限定のない実施形態において、受動的反応度制御装置10は、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質を備える。受動的反応度制御装置10は、駆動物質12とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質14をさらに備える。中性子吸収パラメータ変更物質14の一部は、駆動物質12の一部と物理的に接触し、中性子吸収パラメータ変更物質14は、駆動物質12によって、原子核分裂反応炉の炉心(図示せず)の選択された部分へと動かすことも、当該部分から動かすこともできる。
【0045】
ある実施形態において、駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14の一部は、貯蔵器16に配分される。中性子吸収パラメータ変更物質14の他の一部は、貯蔵器18に配分される。貯蔵器16および貯蔵器18は、中性子吸収パラメータ変更物質14の一部がさらに入る導管20によって接続される。貯蔵器18は、原子核分裂反応炉の炉心(図示せず)の選択された部分(例えば、原子核分裂反応炉の炉心の活性領域の直近)に適切に設置される。
【0046】
ある実施形態において、特別な用途に必要とされる、複数の駆動物質12、複数の中性子吸収パラメータ変更物質14、複数の貯蔵器16、および/または、複数の貯蔵器18が上記装置に含まれていてもよいことは理解されるであろう。所望の反応度効果が達成されるように、原子核分裂反応炉の炉心の活性区域または活性領域に対する、駆動物質12、中性子吸収パラメータ変更物質14、貯蔵器16、および/または、貯蔵器18の位置は、様々であってもよいことは理解されるであろう。
【0047】
デバイスの内部における中性子吸収パラメータ変更物質14は、駆動物質12の膨張によって動かされてもよい。ある実施形態において、駆動物質12が入る貯蔵器16、または、中性子吸収パラメータ変更物質14が入る貯蔵器18の容積は、例えば、熱膨張する物質、または、異なる熱膨張係数を有する複数の物質の選択および/または構成によって変更されてもよい。
【0048】
非限定例として限定のない実施例として示されるように、貯蔵器16の体積は、温度変化によって当初の体積から変わることがある。これにより、駆動物質12は貯蔵器16に出入りさせられることになる。類似のシステムが貯蔵器18に対して構成されてもよい。物質は、例えば、貯蔵器16および貯蔵器18が所定の温度変化に対して異なる割合で膨張するように、貯蔵器16および貯蔵器18に対して選択される。膨張変化率を異ならせることにより、貯蔵器16または貯蔵器18の一方または両方における、駆動物質12または中性子吸収パラメータ変更物質14の量を変更してもよい。
【0049】
駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14を含む物質は、特別な用途に対して望ましいように選択されてもよいし、例えば、原子核分裂反応炉の型、および/または、所定の原子核分裂反応炉の内部における位置といった(これらに限定されない)要因にある程度依存してもよい。
【0050】
例えば、実例示であってこれに限定されないが、軽水炉(LWR)で利用される装置は、軽水炉で一般的に利用される合金(例えば、ジルコニウムをベースにした合金)から構成されてもよい。
【0051】
限定的ではなく例示的に示すさらなる実施例として、例えば、空冷式の反応炉のような高温反応炉で利用される装置は、例えば、金属酸化物、炭化物、もしくは、窒化物のようなセラミックの物質、または、耐熱性を有する金属材料(例えば、レニウム、タンタル、もしくは、それらの合金)から構成されてもよい。
【0052】
ある実施形態において、駆動物質12には気体が含まれていてもよい。その気体は、例えば、N
2またはCO
2(または、それらの組み合わせ)のような(これらには限定されない)不活性(または、比較的不活性な)ガスであってもよい。その気体は、望ましくは、例えば、He、Xe、Kr、Ne、もしくは、Rn(または、それらの組み合わせ)のような(これらには限定されない)希ガスであってもよい。中性子吸収パラメータ変更物質14が液体である実施形態においては、駆動物質が、その液体の蒸気であってもよい。例えば、実例示であってこれに限定されないが、中性子吸収パラメータ変更物質14がNH
3の液体である実施形態においては、駆動物質がNH
3の蒸気であってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、駆動物質12には液体が含まれていてもよい。さらに
図1Bを参照すると、受動的反応度制御装置10Aにおいて、駆動物質12には液体が含まれる。そのような実施形態においては、中性子吸収パラメータ変更物質14には、駆動物質12とは混和しない液体が含まれる。そのような実施形態においては、駆動物質12の密度と、中性子吸収パラメータ変更物質14の密度とは異なっている。いくつかの例において、駆動物質12の密度は、中性子吸収パラメータ変更物質14の密度よりも高くてもよいし、いくつかの他の例において、駆動物質12の密度は、中性子吸収パラメータ変更物質14の密度よりも低くてもよい
駆動物質12と中性子吸収パラメータ変更物質14の一部とは、貯蔵器16Aに配分され、そして、貯蔵器16Aと貯蔵器18は、中性子吸収パラメータ変更物質14の一部を同様に含んでいる導管20Aによって接続される。装置10Aの他の細部のすべては、装置10(
図1A)の細部と類似しており、繰り返し説明する必要はない。
【0054】
特別な用途に対して望ましいように、駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14として任意の不混和性の液体が選択されてもよいことは理解されるであろう。LWRに配置される装置10Aにおける中性子吸収パラメータ変更物質14に使われる液体は、好適には、低融点の液体金属、または、水溶液(例えば、ホウ酸塩水)、もしくは、有機溶液であってもよい。
【0055】
駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14として使用する上での不混和性の液体の適合性を判断するのにも寄与するであろう付加的な要素には、温度および/もしくは圧力の制約条件、駆動物質12として選択された液体の中性子不活性特性、駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14として選択された液体間の化学反応性、ならびに、中性子吸収パラメータ変更物質14が中性子吸収パラメータを変更する能力が含まれる。このような事情において、例えば、水溶液、油、有機溶液、および、液体金属のような不混和性の液体は、特別な用途に対して望ましくなるように選択されてもよい。
【0056】
ある実施形態において、
図1Aおよび1Cを参照すると、駆動物質12には固体が含まれていてもよい。いくつかの実施形態において(
図1Aに示すように)、固体の駆動物質12および一部の中性子吸収パラメータ変更物質14は貯蔵器16に配分される。これらの実施形態のいくつかにおいては、固体の駆動物質12の熱膨張または熱収縮が直接的に中性子吸収パラメータ変更物質14を動かしてもよい。これらの実施形態のいくつかにおいては、固体の駆動物質12の熱膨張または熱収縮が貯蔵器16の形を変えてもよく、それによって中性子吸収パラメータ変更物質14を動かしてもよい。他の詳細のすべては上術され、繰り返し説明される必要はない。
【0057】
いくつかの他の実施形態において(
図1Cに示すように)、受動的反応度制御装置10Bでは、固体の駆動物質12が貯蔵器に供給される必要はない。ただし、必要があれば、貯蔵器に供給されてもよい。中性子吸収パラメータ変更物質14の一部は、固体の駆動物質12の一部と、例えば、導管20Bにおいて物理的に接触している。
【0058】
これらの実施形態のいくつかにおいて、固体の駆動物質12の熱膨張または熱収縮が中性子吸収パラメータ変更物質14を直接的に動かす。装置10Bの他の細部のすべては、装置10(
図1A)の細部と類似しており、繰り返し説明される必要はない。
【0059】
駆動物質12が固体である実施形態において、その固体は、特別な用途において望ましいように、選択されてもよい。例えば、適合性の判断基準には、熱膨張特性、中性子不活性、腐食特性、化学不活性、放射線障害に対する感受性などが含まれていてもよい。非限定例として示されるように、適合する固体には、フェライト・ステンレス鋼(例えば、HT9およびD9)および/またはジルコニウム合金が含まれていてもよい。
【0060】
図1A、1Bおよび1Cを参照すると、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータは、例えば、1つ以上の温度(例えば、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および/または、燃料の温度)であってもよい。装置からの熱エネルギーは、駆動物質12に伝導し、それによって、駆動物質12の熱膨張または熱収縮が発生する。さらに、物質の温度という間接的な指標、および、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束、および、ニュートリノ線束が含まれる。これらの線束パラメータは、反応炉の炉心(図示せず)における物質の温度に比例し、または、これらの線束パラメータの変化は、変化しつつある温度パラメータを表示することができる。
【0061】
中性子吸収パラメータ変更物質14によって変更可能な中性子吸収パラメータに反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれていることは理解されるであろう。既知のように、吸収断面積は、主として反応炉の炉心の、与えられたスペクトルの同位体毎に定まる。平均値を用いることにより、炉心に対して出入りする中性子吸収パラメータ変更物質14の物理量が変化する。反応炉の平均マクロ吸収断面積は、燃料アセンブリの平均中性子断面積、制御物質の平均断面積、局所平均断面積、冷却剤平均断面積などに適合する。反応炉の平均マクロ断面積は、原子数密度が含まれる断面積の指標である。換言すれば、反応炉の平均マクロ断面積は、局所的な、または、全体的なマクロ断面積であるとみなしてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、中性子吸収パラメータ変更物質14には、中性子吸収材が含まれる。どのような吸収材が、特別な用途において望ましいように選択されてもよい。非限定例として示されるように、中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Smの1個以上、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物が適切に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、中性子吸収材が分散媒において適切に懸濁していてもよい。適切な分散媒には、水溶液、液体金属、および、有機溶液が含まれていてもよい(駆動物質12が不混和性の液体であれば、適切な分散媒が上述した1以上の制約を受けてもよい)。
【0063】
中性子吸収パラメータ変更物質14に中性子吸収材が含まれるいくつかの実施形態において、
図1Aを参照すると、その中性子吸収材には原子核分裂燃料物質が含まれていてもよい。受動的反応度制御装置10の構成は、上述された構成と同様である。ただし、これらの実施形態において、貯蔵器16は、原子核分裂反応炉の炉心(図示せず)の選択された部分、例えば、原子核分裂反応炉の炉心の活性領域の直近に適切に配置される。
【0064】
したがって、反応炉の炉心の活性領域における出力が増加するという出力過渡変動の間に、駆動物質12によるそれに対する反応によって、反応炉の炉心の活性領域から(中性子吸収パラメータ変更物質14である)原子核分裂燃料物質が動かされる。これらの実施形態において、その原子核分裂燃料物質には、例えば、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、および/または、Pu−Mgの共晶混合物といった(これらに限定されない)1以上の適切な原子核分裂燃料物質が含まれていてもよい。
【0065】
図1A、1Bおよび1Cを参照すると、いくつかの実施形態において、中性子吸収パラメータ変更物質14によって変更可能な中性子吸収パラメータには中性子のスペクトルが含まれる。そのような実施形態において、中性子吸収パラメータ変更物質14には、減速材が含まれる。減速材の挿入または除去により、中性子のスペクトルが部分的に柔らかくなり、または、固くなり、燃料親物質、核分裂生成物および構造体の吸収率が増加し、または、減少し、これにより、挿入された減速材の付近で中性子の個数が減少し、または、増加することは理解されるであろう。適切な減速材には、1以上のLi−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液が含まれる。
【0066】
さらに
図1A、1Bおよび1Cを参照すると、いくつかの実施形態において、速度効果を原子核分裂反応炉の設計に合わせることにより、例えば、装置によって確立された反応度の変化が、与えられた反応炉に対してより早く、または、より遅く発生するようにしてもよい。これは、いくつかの実施形態において、駆動物質12への熱伝導を高める(または、駆動物質12への熱伝導に影響を及ぼす)ために、既知の熱抵抗を有する物質を、装置の上または中の様々な位置に設置することにより、達成されていてもよい。熱慣性が低いいくつかの反応炉において、反応炉の炉心における急速な温度変化を弱めるために、装置に対して熱伝導をより速く作用させることが望ましい。熱慣性が高い反応炉(例えば、大きなプール型の原子核分裂反応炉)に対しては、上記とは逆にすることが望ましい。
【0067】
様々な実施形態において、伝導、対流、または、放射による熱移動によって、装置に対して熱エネルギーを受け渡すことが必要とされてもよい。伝導の場合には、必要な伝熱能力を有する固体物質が、反応炉の炉心の熱発生領域と駆動物質12との間の熱移動速度に影響するように配置されてもよい。熱流体は、さらに、熱発生領域から駆動物質12への熱移動を促進するように利用されてもよい。そのような熱流体は、例えば、ナトリウムのような液体金属であってもよく、圧力差および物理的な流路によって装置に導かれてもよい。
【0068】
放射熱移動は、熱エネルギーを、駆動物質12、中性子吸収パラメータ変更物質14、および/または、装置の関連機構へと移動してもよい。原子核分裂反応炉の活性領域から放射されるガンマ線または中性子線は、反応炉の炉心の活性領域と装置との間における伝導または対流を伴わず(または伴って)、エネルギーを装置内部に配分してもよい。物質(例えば、そのような放射を弱める金属性のウール、または、発泡体)が装置内部に配置されてもよい。そして、これらの物質は、放射エネルギーを吸収し、熱膨張効果を直接的に(例えば、駆動物質12または中性子吸収パラメータ変更物質14の放射熱を通じて)または間接的に(例えば、装置の機構または貯蔵器16および/または18の放射熱を通じて)発生させてもよい。これにより、駆動物質12、および/または、中性子吸収パラメータ変更物質14へと熱が対流、または、伝導する。
【0069】
いくつかの実施形態において、物質は、望ましい放射線の減衰が得られるような装置内部に設置されてもよい。例えば、タングステンウールが、ガンマ線の放射を減衰させるために、駆動物質12の内部に設置されてもよい。それによって、装置内部におけるガンマ発熱が促進され、出力増加に至る迅速な反応が起こりやすくなる。既知のように、タングステンは、密度が高く、比熱が小さく、密度が低いタングステンウールは、大きい比表面積を有する。従って、少量のタングステンは、熱したウールから駆動物質12への迅速な熱移動をもたらす。さらに、タングステンウールの発熱は、ガンマ線の発熱によって促進されることから、概して熱応答の遅延は非常に小さい。シリコンカーバイドのような、ガラスまたはセラミックのウール、ホウ酸塩ガラス、および/または、一塊のセラミック材といった(これらには限定されない)特別な用途において望ましい他の物質が利用されてもよい。
【0070】
ホウ素のような中性子吸収材は、類似の効果を生成するためにさらに使用されてもよい。いくつかのケースでは、放射線を実質的に通す物質(例えば、ジルコニウムまたは鉄)を利用することが望ましい。それによって、装置の反応度は、放射環境の関数ではなく、対流および伝導による熱移動の関数になる。これを受けて、ある実施形態において、高Z物質が駆動物質12に分布していてもよい。そのようなケースにおいて、高Z物質には、例えば、タングステン(W)ウール、Ta、Au、Ag、Re、および/または、Osのような1以上の物質が含まれていてもよい。
【0071】
受動的反応度制御装置のさらなる実施形態について、非限定例として述べる。ある1つの実施形態において、
図2Aを参照すると、概要として、受動的反応度制御装置50が開示されている。装置50は、ナトリウムボイド価値(sodium void worth)を受ける原子核分裂反応炉(例えば、ナトリウムによって冷却される液体金属を速く生成する反応炉や、ナトリウムによって冷却される進行波炉)において導入されてもよい。
【0072】
既知のように、すべての操作温度または(例えば、事故条件において直面するような)異常な温度において、反応度の温度係数が負の値を有することが望ましい。どのように反応度係数が温度とともに変化するかを理解することも望ましい。最も強い非線形効果は、ナトリウムの膨張およびドップラーである。径方向の膨張は非線形であることも予想される。これらの効果の結果、温度が高いほど、反応度の温度係数はより大きい値になる。炉心から離れているナトリウムの効果は、単位質量に対して線形になることが想定される。
【0073】
冷却剤の温度係数は、温度が高いほどより大きい値になる。何故ならば、各温度では、その前の温度よりも、ナトリウムの破片がより多く除去されるからである。全体的な効果は、操作温度から沸点に至るまでに約10%強化される。
【0074】
実例示であってこれに限定されないが、受動的反応度制御装置10には、貯蔵器56とその貯蔵器56から間隙を介する貯蔵器58とが含まれる。導管60が貯蔵器56と貯蔵器58との間に介設される。駆動物質12は貯蔵器56に配分され、駆動物質12は原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する。中性子吸収パラメータ変更物質14は貯蔵器56に配分される。中性子吸収パラメータ変更物質14は駆動物質12とは異なる。中性子吸収パラメータ変更物質14の一部は、駆動物質12の一部と物理的に接触する。中性子吸収パラメータ変更物質14は、貯蔵器56と貯蔵器58との間を駆動物質12によって動かすことができる。
【0075】
装置50は、以下のa)、b)、及び/又は、c)の方法によって、反応度、および/または、増加する負の温度係数を受動的に制御してもよい。
a)中性子吸収パラメータ変更物質14を、炉心の価値の高い領域へと、または、その領域から動かす。
b)炉心のある領域へと、または、その領域から中性子減速材を動かす。
c)原子核分裂燃料物質を炉心から取り除く。
【0076】
実施形態に係る受動的反応度制御装置50の例示的な細部について、例示的に述べる。
【0077】
いくつかの実施形態において、貯蔵器58は、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分、例えば、反応炉の炉心の活性領域に配置される。貯蔵器58は、受動的反応度制御装置50の実施形態において、反応炉の炉心の活性領域に配置される。受動的反応度制御装置50においては、以下のa)、及び/又は、b)の方法によって、反応度が受動的に制御され、および/または、温度係数の負の値が増加される。
a)中性子吸収パラメータ変更物質14を、炉心の価値の高い領域へと、または、その領域から動かす。
b)炉心のある領域へと、または、その領域から、中性子減速材を動かす。受動的反応度制御装置50の他の実施形態において、原子核分裂燃料物質を炉心から取り除くことによって、反応度が受動的に制御され、および/または、温度係数の負の値が増加される。この実施形態では、貯蔵器56は、反応炉の炉心の活性領域に配置される。
【0078】
いくつかの実施形態において、必要であれば、1以上の部材62が貯蔵器58に配置されてもよい。そのような実施形態において、部材62は、貯蔵器58における自由表面効果を緩和するように配置される、“あまり動かない羽根”として作用する。
【0079】
いくつかの実施形態において、貯蔵器56には、ある部分64、その部分64から間隙を介する部分66、および、部分64と部分66との間に介設される導管68が含まれる。貯蔵器58は、部分64と部分66との間に介設される。駆動物質12は、部分64、部分66、および、導管68に配分される。
【0080】
駆動物質12および中性子吸収パラメータ変更物質14に関する他のすべての詳細は、装置(
図1A〜1C)の他の実施形態に関して先に説明した詳細と同様である。これらの詳細は、この参照によって組み込まれ、理解のために繰り返し説明される必要はない。
【0081】
さらに
図2Bを参照すると、いくつかの実施形態において、受動的反応度制御装置50は、筐体70に配置されてもよい。受動的反応度制御装置50および筐体70の構造材料は、特別な用途において望ましいように選択されてもよいし、例えば、原子核分裂反応炉の型、および/または、特定の原子核分裂反応炉内部における位置といった(これらには限定されない)要素に部分的に依存してもよい。例えば、実例示であってこれに限定されないが、軽水炉(LWR)に用いられる受動的反応度制御装置50および筐体70は、軽水炉に一般的に用いられる合金、例えば、ジルコニウムをベースとする合金によって構成されてもよい。さらに、例えば、実例示であってこれに限定されないが、高温反応炉(例えば、ガス冷却式の反応炉)に用いられる受動的反応度制御装置50および筐体70は、セラミック材料(例えば、金属酸化物、炭化物、もしくは、窒化物)、または、耐熱性を有する金属材料(例えば、レニウム、タンタル、もしくは、それらの合金)によって構成されてもよい。受動的反応度制御装置10、10A、および/または、10B(
図1A、1Bおよび1C)のいずれも、特別な用途おいて望ましいように筐体70に配置されてもよいことは理解されるであろう。
【0082】
さらに
図2Cを参照すると、いくつかの実施形態において、実例示的な反応度制御装置80には、1以上の中性子吸収部材82、および、1以上の受動的反応度制御装置50が含まれてもよい。該1以上の中性子吸収部材82は、例えば、これに限定されないが、制御棒、または、安全棒であり、該1以上の受動的反応度制御装置50は、中性子吸収材82に対する空間的関係が固定されるように配置される。例えば、中性子吸収材82および受動的反応度制御装置50は、例えば、これに限定しないが、管のような筐体84に配置されてもよい。駆動機構(
図2Cに図示せず)は、動作可能なように、中性子吸収材82に連結されてもよい。受動的反応度制御装置10、10A、および/または、10C(
図1A、1Bおよび1C)のいずれも、特別な用途において望ましいように、反応度制御装置80に含まれてもよいことは、理解されるであろう。
【0083】
受動的反応度制御装置10、10A、10B(
図1A、1Bおよび1C)および50(
図2A)に関する詳細は、先に説明されて、参照によって組み込まれており、理解のために繰り返し説明されることは必要ない。
【0084】
さらに
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、実例示的な原子核分裂反応炉90には、反応器92が含まれる。反応炉の炉心94は、反応器92内に配置される。反応炉の炉心94には、1以上の原子核分裂燃料アセンブリ96が含まれる。原子核分裂反応炉90には、反応炉の炉心94に動作可能に連結される反応炉冷却システム98も含まれる。放熱板100は、反応炉の炉心94および反応炉冷却システム98に動作可能に連結される。放熱板100は、反応炉の炉心94を出る原子炉冷却剤から、所望のエネルギー変換デバイスに熱を移動し、例えば、電気の生成、および/または、推進原動力といった働きをするように原子炉冷却剤からの熱を変換し、冷却された原子炉の冷却剤を冷却システム98に戻す。既知のように、放熱板100には、液体金属冷却式の反応炉における1以上の中間熱交換器、1以上の蒸気発生器および関連する液化装置、電気の生成および/もしくは推進原動力のための1以上の蒸気駆動式のタービン、ガス冷却式の反応炉における1以上のガス駆動式のタービン、ならびに/または、その他同種類のものなど(これらに限定されない)が含まれる。
【0085】
どのような型の原子核分裂反応炉が原子核分裂反応炉90に含まれてもよいことは理解されるであろう。原子核分裂反応炉の型に関する制限は意図されていないし、推測されるべきでもない。限定的でなく例示的な非限定例として、原子核分裂反応炉90には、温度スペクトル反応炉、高速スペクトル反応炉、増殖炉、進行波(増殖および燃焼)炉、ガス冷却式の反応炉、液体金属冷却式の反応度、水冷式の反応炉(例えば、加圧水式の反応炉、および/または、沸騰水式の反応炉)、プール型の反応炉、または、ループ型の反応炉が含まれてもよい。
【0086】
原子核分裂反応炉90には、1以上の反応度制御装置80が含まれる。上述したように、反応度制御装置80には、制御棒または安全棒のような(これらには限定されない)1以上の中性子吸収材82、および、1以上の受動的反応度制御装置が含まれており、該1以上の受動的反応度制御装置は、中性子吸収材82に対する空間的関係が固定されるように配置されている。さらに上述したように、受動的反応度制御装置10、10A、および/または、10C(
図1A、1Bおよび1C)のいずれも、特別な用途において望ましいように反応度制御装置80に含まれてもよいことは理解されるであろう。1以上の駆動機構102は、必要に応じて、中性子吸収材82に操作可能に連結されてもよい。駆動機構102は、その駆動機構102によって中性子吸収材82の挿入および/または除去を制御するために、反応度制御システム104に操作可能に連結されてもよい。
【0087】
〔例示的な方法〕
例示的な実施形態に係る受動的反応度制御装置、反応度制御装置、および、原子核分裂反応度について述べたので、これから、実例次的な方法について非限定例として述べる。この方法の実施形態は、装置10、10A、10Bおよび50、ならびに、原子核分裂反応炉90の実施形態と関連して用いられてもよい。装置10、10A、10Bおよび50、ならびに、原子核分裂反応炉90の詳細は先に説明され、この参照により組み込まれており、例示的な方法の実施形態を理解するために繰り返し説明される必要はない。
【0088】
以下は、実施方法を表現した一連のフローチャートである。理解を容易にするために、この一連のフローチャートは、最初の1つ以上のフローチャートが実施方法をある一例に係る実施方法として提示し、次の1つ以上のフローチャートが別の実施方法、および/または、最初のフローチャートの拡張部分(1以上の先に提示されたフローチャートに基づくサブコンポーネントまたは追加コンポーネントの動作)を提示するように構成されている。当業者は、一般的に、ここで利用される提示スタイル(例えば、一例に係る実施方法を示すフローチャートを提示し、その後に、次のフローチャートで付加的事項および/またはさらなる詳細を提示するスタイル)が、様々な処理の実施方法を迅速かつ簡単に理解するのを可能にすることについて、理解するであろう。さらに、当業者は、ここで利用される提示スタイルがモジュール指向プログラムおよび/またはオブジェクト指向プログラムの設計思想によく適合していることを理解するであろう。
【0089】
図4Aを参照すると、原子核分裂反応炉における反応度を制御する例示的な方法400が提示されている。方法400は、ブロック402から開始する。ブロック404において、原子核分裂反応炉が操作され、その原子核分裂反応炉は少なくとも1つの温度操作パラメータを有する。ブロック406において、駆動物質の体積は、少なくとも1つの温度操作パラメータに応じて変更される。ブロック408において、中性子吸収パラメータ変更物質は、駆動物質によって、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、または、その部分から動かされる。その中性子吸収パラメータ変更物質は駆動物質とは異なっており、中性子吸収パラメータ変更物質の一部は駆動物質の一部と物理的に接触している。方法400は、ブロック410で終了する。
【0090】
さらに
図4Bを参照すると、いくつかの実施形態では、ブロック412において、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分における中性子吸収パラメータは、駆動物質によって当該部分へと、又は、当該部分から中性子吸収パラメータ変更物質が動かされたことに反応して、変更されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、原子炉冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれてもよい。いくつかの実施形態において、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束、および、ニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、駆動物質には、その中に分布する高Z物質が含まれていてもよい。そのような実施形態において、さらに
図4Cを参照すると、ブロック406における温度操作パラメータに応じて駆動物質の体積を変更する工程には、ブロック414における少なくとも1つの線束に応じて駆動物質内に分布する高Z物質を熱する工程が含まれていてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、中性子吸収パラメータ変更物質には減速材が含まれてもよい。そのような実施形態において、さらに
図4Dを参照すると、ブロック416において、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分における中性子スペクトルは、駆動物質によって当該部分へと、又は、当該部分から減速材が動かされたことに反応して、変更されてもよい。
【0094】
図5Aを参照すると、受動的反応度制御装置を製造する例示的な方法500が提示されている。方法500は、ブロック502から開始する。ブロック504において、第1の貯蔵器が製造される。ブロック506において、第1の貯蔵器から間隙を介する第2の貯蔵器が製造される。ブロック508において、第1の導管が第1の貯蔵器と、第2の貯蔵器との間に介設される。ブロック510において、駆動物質が第1の貯蔵器に配分される。この駆動物質は、反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する。ブロック512において、中性子吸収パラメータ変更物質が第1の貯蔵器に配分される。この中性子吸収パラメータ変更物質は、駆動物質とは異なっており、第1の貯蔵器に配分される。中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、駆動物質の一部に物理的に接触している。中性子吸収パラメータ変更物質は、第1の貯蔵器と第2の貯蔵器との間を駆動物質によって動かすことができる。方法500は、ブロック514で終了する。
【0095】
さらに
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態において、ブロック516において、複数の部材が第2の貯蔵器に配置されていてもよい。この複数の部材は、第2の貯蔵器における自由表面効果を緩和するように配置される。
【0096】
いくつかの実施形態において、さらに
図5Cを参照すると、ブロック504における第1の貯蔵器を製造する工程には、ブロック518における第1の貯蔵器の第1の部分を製造する工程、ブロック520における第1の貯蔵器の第1の部分から間隙を介する、第1の貯蔵器の第2の部分を製造する工程、ブロック522における、第2の貯蔵器を、第1の貯蔵器の第1の部分と、第1の貯蔵器の第2の部分との間に介設し、第1の貯蔵器の第1の部分と、第1の貯蔵器の第2の部分との間に第2の導管を介設する工程が含まれていてもよい。
【0097】
いくつかの実施形態において、さらに
図5Dを参照すると、ブロック510における駆動物質を第1の貯蔵器に配分する工程には、ブロック524における、駆動物質を、第1の貯蔵器の第1の部分、第1の貯蔵器の第2の部分、および、第2の導管に配分する工程が含まれていてもよい。
【0098】
図6Aを参照すると、反応度制御装置を製造する例示的な方法600が提示されている。方法600はブロック602から開始する。ブロック604において、少なくとも1つの中性子吸収材が設けられる。ブロック606において、少なくとも1つの受動的反応度制御装置が少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置される。この受動的反応度制御装置には、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質、および、駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質が含まれている。また、中性子吸収パラメータ変更物質の一部は駆動物質の一部と物理的に接触しており、中性子吸収パラメータ変更物質は、駆動物質により、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、または、その部分から動かすことができる。方法600は、ブロック608で終了する。
【0099】
さらに
図6Bを参照すると、いくつかの実施形態において、ブロック610で、少なくとも1つの中性子吸収材および少なくとも1つの受動的反応度制御装置が筐体に配置されてもよい。
【0100】
さらに
図6Cを参照すると、いくつかの実施形態において、ブロック612で、駆動機構を少なくとも1つの中性子吸収材と動作可能に連結してもよい。
【0101】
本願明細書で言及され、且つ/又は、任意の出願データシートに列記されている上述の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び、特許ではない公開物の全ては、本願明細書と矛盾しない範囲内において参照により本願明細書に組み込まれている。
【0102】
本願明細書における、実質的に任意の複数形及び/又は単数形の用語の使用に関し、当業者であれば、文脈及び/又は本願に適合している限り、複数形を単数形に置き換え、及び/又は、単数形を複数形に置き換えることができる。本願明細書を明瞭にするため、本願明細書においては、様々な単複の置換について明記しない。
【0103】
本願明細書に記載されている主題は、他の構成要素の内部に含まれるか、又は、他の構成要素と接続された様々な構成要素を図示していることがある。そのように描写された構造は単に例示的なものであり、実際、同じ機能を実現可能な他の多くの構造を導入してもよいことを理解すべきである。概念的な意味では、同じ機能を実現するために複数の構成要素が効果的に連携するように配置され、これにより、所望の機能が実現される。このことから、本願明細書において特定の機能を実現するために結合される任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために、構造または中間部品とは無関係に、互いに連携すると見做すことができる。同様に、そのように連携している任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために、互いと「動作可能に接続されている」又は「動作可能に結合されている」と見做すこともでき、そのように連携可能な任意の2つの構成要素は、所望の機能を実現するために、互いと「動作可能に結合可能である」と見做すこともできる。動作可能に結合可能な構成要素の具体例には、物理的に対にすることが可能な構成要素、及び/又は、物理的に相互作用している構成要素、及び/又は、無線で相互作用可能な構成要素、及び/又は、無線で相互作用している構成要素、及び/又は、論理的に相互作用している構成要素、及び/又は、無線で相互作用可能な構成要素が含まれるが、上記具体例は、これらには限定されない。
【0104】
いくつかの例では、本明細書において1又は複数のコンポーネントが「するように構成される」「によって構成される」「するように構成可能な「するように動作可能な/動作する」「適応する/適応可能な」「可能な」「するのに適合可能な/適合する」等と表現されてもよい。当業者であれば「一般的に、そのような用語(例えば「するように構成される」)は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、活性化した状態の構成要素、及び/又は、活性化していない状態の構成要素、及び/又は、スタンバイ状態の構成要素を包含すること」を理解できるであろう。
【0105】
本明細書に記載されている本主題の特定の態様を示し、且つ、説明してきたが、当業者であれば「本明細書の教示に基づき、本明細書に記載されている主題、及び、より広い態様から逸脱しない範囲内で変形及び変更が可能である」ことは明らかである。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内において、本明細書に記載されている主題の真の精神及び範囲の中に含まれる全ての変形及び変更を含んでいる。「本明細書(特に添付の特許請求の範囲(例えば、特許請求の範囲の本文))において使用されている用語は、一般的にオープンタームであることが意図されている(例えば、「を含んでいる」という用語は「を含んでいるが、それに限定されない」と解釈されるべきであり、「を有している」という用語は「を少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「を含む」という用語は「を含むが、それに限定されない」と解釈されるべきである)」ことは当業者によって理解されるであろう。さらに、当業者であれば「導入されたクレーム記載中の特定の数値に意図がある場合には、そのような意図がそのクレーム中において明確に記載されており、そのような記載がない場合には、そのような意図は存在しないこと」を理解するであろう。理解を促すために、例えば、後続の添付の特許請求の範囲では、クレーム記載を導入するために「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」といった導入句を使用することがある。しかしながら、そのような句を使用したからといって『「a」又は「an」といった不定冠詞によりクレーム記載を導入した場合、同一のクレーム内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句と「a」又は「an」といった不定冠詞との両方が含まれているときでも、当該導入されたクレーム記載を含む特定のクレームが、当該クレーム記載を1つのみ含む例に限定されるということが示唆される』と解釈されるべきでない(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常は、「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。クレーム記載を導入するために定冠詞を使用する場合にも同様のことが当てはまる。更に、導入されたクレーム記載において、特定の数が明確に記載されている場合であっても、当業者は『そのような記載は、通常は、少なくとも記載された数を含んでいることを意味する、と解釈されるべきである(例えば、他に修飾子がない単なる「2つの記載事項」は、一般的に、「少なくとも2つの記載事項」又は「2つ以上の記載事項」を意味する)』ことを認識するであろう。さらに、「A、BおよびCなどのうち少なくとも1つ」に類する伝統的表現法が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその伝統的表現法を理解するであろうという点が意図されている(例えば、「A、BおよびCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又は、AとBとCの全て等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。また、「A、BまたはCなどのうち少なくとも1つ」に類する伝統的表現法が使用される場合、一般に、そのような構造は、当業者がその伝統的表現法を理解するであろうという点が意図されている(例えば、「A、BまたはCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又は、AとBとCの全て等を有するシステムを含むが、これに限定されない)。更に、「2つ以上の代替用語を表す離接語および/または離接句は、一般的に(文脈上そうでないことが明らかでない限り)、明細書中であろうと、特許請求の範囲の中であろうと、図面中であろうと、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又は、それらの用語の両方を含む可能性を意図すること」が当業者によって理解されるべきであろう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」「B」又は「A及びB」の可能性を含むことが一般的に理解されるであろう。
【0106】
添付の特許請求の範囲に関し、当業者であれば「クレーム中に記載されている複数の動作は、一般的に任意の順序で行われてもよい」ことを理解できるであろう。また、「各種動作の流れがシーケンス中で提示されている場合であっても、当該各種動作は、図示されている順序とは異なる順序で実行してもよいし、或いは、並列的に実行してもよいこと」を理解すべきである。
【0107】
そうした代替順序の一例は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、重複して(overlapping)、交互的に(interleaved)、割り込んで(interrupted)、再度順序づけされて(reordered)、逐次的に(incremental)、先立って(preparatory)、追加的に(supplemental)、同時に(simultaneous)、逆の順序で(reverse)、または、他の様々な順序で、行うことを含む。また、「〜に応答して」(responsive to)、「〜に関連して」(related to)などの用語、または、過去形の形容詞は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、そうした変形を排除することを意図しないことが通常である。
【0108】
多様な態様および実施形態が本明細書において開示されたが、その他の態様およびその他の実施形態は、当業者に明らかである。本明細書に開示された上記多様な態様および実施形態は、説明を目的とするものであって限定を意図するものではなく、その真の範囲及び精神は、特許請求の範囲によって示されている。
【0109】
本明細書に開示されている主題の様々な態様は、以下のように、番号の付いた箇条書きの形で明確に記載されている。
1.原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質と、
上記駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質と、
を有し、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部に物理的に接触しており、
上記駆動物質によって、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、および、その部分から、上記中性子吸収パラメータ変更物質を動かすことができるようになっている受動的反応度制御装置。
2.上記駆動物質には気体が含まれる項目1の装置。
3.上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N
2、CO
2およびNH
3から選択された、少なくとも1つの気体が含まれる項目2の装置。
4.上記駆動物質には、液体が含まれる項目1の装置。
5.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、上記駆動物質と混和しない液体が含まれる項目4の装置。
6.上記駆動物質には固体が含まれる項目1の装置。
7.上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる項目6の装置。
8.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択される少なくとも1つの温度が含まれる項目1の装置。
9.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された少なくとも1つの線束が含まれる項目1の装置。
10.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる項目1の装置。
11.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、中性子吸収材が含まれる項目1の装置。
12.上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる項目11の装置。
13.上記中性子吸収材には、原子核分裂燃料物質が含まれる項目11の装置。
14.上記原子核分裂燃料物質には、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、およびPu−Mgの共晶混合物から選択された少なくとも1つの原子核分裂燃料物質が含まれる項目13の装置。
15.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、中性子スペクトルが含まれる項目1の装置。
16.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、減速材が含まれる項目15の装置。
17.上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された、少なくとも1つの減速材が含まれる項目16の装置。
18.上記駆動物質内に分布する高Z物質をさらに備える項目1の装置。
19.上記高Z物質には、Wウール、Ta、Au、Ag、Re、およびOsから選択された、少なくとも1つの物質が含まれる項目18の装置。
20.上記駆動物質は、第1の密度を有し、上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、上記駆動物質は、中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない項目1の装置。
21.上記第2の密度は、上記第1の密度より大きい項目20の装置。
22.上記第1の密度は、上記第2の密度より大きい項目20の装置。
23.第1の貯蔵器と、
上記第1の貯蔵器と間隙を介する第2の貯蔵器と、
上記第1の貯蔵器と上記第2の貯蔵器との間に介設された第1の導管と、
上記第1の貯蔵器に配分され、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質と、
上記第1の貯蔵器に配分された中性子吸収パラメータ変更物質と、
を有し、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は上記駆動物質とは異なる物質であり、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部と物理的に接触しており、
上記駆動物質によって、上記中性子吸収パラメータ変更物質を、上記第1の貯蔵器と上記第2の貯蔵器との間で動かすことができる受動的反応度制御装置。
24.上記第2の貯蔵器は、原子核分裂反応炉の炉心の、選択された部分に配置されている項目23の装置。
25.上記第2の貯蔵器に配置される複数の部材をさらに有し、上記複数の部材は、上記第2の貯蔵器における自由表面効果を緩和するように配置されている項目23の装置。
26.上記第1の貯蔵器には、第1の部分と、上記第1の部分と間隙を介する第2の部分と、上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設される第2の導管と、が含まれ、
上記第2の貯蔵器は上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設され、上記駆動物質は、上記第1の部分、上記第2の部分および上記第2の導管に配分されている項目23の装置。
27.上記駆動物質には気体が含まれる項目23の装置。
28.上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N
2、CO
2およびNH
3から選択された、少なくとも1つの気体が含まれる項目27の装置。
29.上記駆動物質には液体が含まれる項目23の装置。
30.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、上記駆動物質と混和しない液体が含まれる項目29の装置。
31.上記駆動物質には固体が含まれる項目23の装置。
32.上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる項目31の装置。
33.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれる項目23の装置。
34.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれる項目23の装置。
35.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる項目23の装置。
36.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、中性子吸収材が含まれる項目23の装置。
37.上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる項目36の装置。
38.上記中性子吸収材には原子核分裂燃料物質が含まれる項目36の装置。
39.上記原子核分裂燃料物質には、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、およびPu−Mgの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの原子核分裂燃料物質が含まれる項目38の装置。
40.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、中性子スペクトルが含まれる項目23の装置。
41.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、減速材が含まれる項目40の装置。
42.上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された少なくとも1つの減速材が含まれる項目41の装置。
43.上記駆動物質内に分布する高Z物質をさらに備える項目23の装置。
44.上記高Z物質には、Wウール、Ta、Au、Ag、Re、およびOsから選択された、少なくとも1つの物質が含まれる項目43の装置。
45.上記駆動物質は、第1の密度を有し、上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、上記駆動物質は、中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない項目23の装置。
46.上記第2の密度が上記第1の密度より大きい項目45の装置。
47.上記第1の密度が上記第2の密度より大きい項目45の装置。
48.少なくとも1つの中性子吸収材と、該少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置された、少なくとも1つの受動的反応度制御装置と、を有し、
上記受動的反応度制御装置は、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質と、上記駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質と、を含み、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部に物理的に接触しており、
上記駆動物質によって、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、および、当該部分から、上記中性子吸収パラメータ変更物質を動かすことができる反応度制御装置。
49.筐体をさらに備え、上記少なくとも1つの中性子吸収材および上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記筐体内に配置される項目48の装置。
50.上記少なくとも1つの中性子吸収材に動作可能に連結された駆動機構をさらに備える項目49の装置。
51.上記駆動物質には気体が含まれる項目48の装置。
52.上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N
2、CO
2およびNH
3から選択された、少なくとも1つの気体が含まれる項目51の装置。
53.上記駆動物質には液体が含まれる項目48の装置。
54.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、上記駆動物質と混和しない液体が含まれる項目53の装置。
55.上記駆動物質には固体が含まれる項目48の装置。
56.上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる項目55の装置。
57.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれる項目48の装置。
58.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれる項目48の装置。
59.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる項目48の装置。
60.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、中性子吸収材が含まれる項目48の装置。
61.上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる項目60の装置。
62.上記中性子吸収材には、原子核分裂燃料物質が含まれる項目60の装置。
63.上記原子核分裂燃料物質には、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、および、Pu−Mgの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの原子核分裂燃料物質が含まれる項目62の装置。
64.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには中性子スペクトルが含まれる項目48の装置。
65.上記中性子吸収パラメータ変更物質には減速材が含まれる項目64の装置。
66.上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された、少なくとも1つの減速材が含まれる項目65の装置。
67.上記駆動物質内に分布する高Z物質をさらに備える項目48の装置。
68.上記高Z物質には、Wウール、Ta、Au、Ag、Re、およびOsから選択された、少なくとも1つの物質が含まれる項目67の装置。
69.上記駆動物質は、第1の密度を有し、上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、上記駆動物質は、中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない項目48の装置。
70.上記第2の密度が上記第1の密度より大きい項目69の装置。
71.上記第1の密度が上記第2の密度より大きい項目69の装置。
72.少なくとも1つの中性子吸収材と、少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置された、少なくとも1つの受動的反応度制御装置と、を有し、
上記受動的反応度制御装置は、第1の貯蔵器と、上記第1の貯蔵器と間隙を介する第2の貯蔵器と、上記第1の貯蔵器と、上記第2の貯蔵器との間に介設された第1の導管と、上記第1の貯蔵器に配分され、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質と、上記駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質と、を含み、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の貯蔵器に配分され、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部と物理的に接触しており、
上記駆動物質によって、上記第1の貯蔵器と、上記第2の貯蔵器との間で、上記中性子吸収パラメータ変更物質を動かすことができる反応度制御装置。
73.筐体をさらに備え、上記少なくとも1つの中性子吸収材および上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記筐体内に配置される項目72の装置。
74.上記少なくとも1つの中性子吸収材に動作可能に連結された駆動機構をさらに備える項目73の装置。
75.上記第2の貯蔵器は、原子核分裂反応炉の炉心の、選択された部分に配置されている項目72の装置。
76.上記第2の貯蔵器に配置される複数の部材をさらに有し、上記複数の部材は、上記第2の貯蔵器における自由表面効果を緩和するように配置されている項目72の装置。
77.上記第1の貯蔵器には、第1の部分と、上記第1の部分と間隙を介する第2の部分と、上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設された第2の導管と、が含まれ、
上記第2の貯蔵器は、上記第1の部分と上記第2の部分との間に介設され、上記駆動物質は、上記第1の部分、上記第2の部分および上記第2の導管に配分されている項目72の装置。
78.上記駆動物質には気体が含まれる項目72の装置。
79.上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N
2、CO
2およびNH
3から選択された、少なくとも1つの気体が含まれる項目78の装置。
80.上記駆動物質には液体が含まれる項目72の装置。
81.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、上記駆動物質とは混和しない液体が含まれる項目80の装置。
82.上記駆動物質には固体が含まれる項目72の装置。
83.上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる項目82の装置。
84.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれる項目72の装置。
85.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれる項目72の装置。
86.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる項目72の装置。
87.上記中性子吸収パラメータ変更物質には中性子吸収材が含まれる項目72の装置。
88.上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる項目87の装置。
89.上記中性子吸収材には原子核分裂燃料物質が含まれる項目87の装置。
90.上記原子核分裂燃料物質には、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、およびPu−Mgの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの原子核分裂燃料物質が含まれる項目23の装置。
91.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、中性子スペクトルが含まれる項目72の装置。
92.上記中性子吸収パラメータ変更物質には減速材が含まれる項目91の装置。
93.上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された、少なくとも1つの減速材が含まれる項目92の装置。
94.上記駆動物質内に分布する高Z物質をさらに備える項目72の装置。
95.上記高Z物質には、Wウール、Ta、Au、Ag、Re、およびOsから選択された、少なくとも1つの物質が含まれる項目94の装置。
96.上記駆動物質は、第1の密度を有し、上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、上記駆動物質は、中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない項目72の装置。
97.上記第2の密度が上記第1の密度より大きい項目96の装置。
98.上記第1の密度が上記第2の密度より大きい項目96の装置。
99.原子核分裂反応炉の装置であって、
反応炉の容器と、上記反応炉の容器の中に配置され、少なくとも1つの原子核分裂燃料アセンブリを含む反応炉の炉心と、少なくとも1つの中性子吸収材と少なくとも1つの受動的反応度制御装置とを含む少なくとも1つの反応度制御装置と、上記反応炉の炉心に動作可能に連結されている反応炉冷却システムと、を有し、
上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置され、
上記受動的反応度制御装置は、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質と、上記駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質と、を含み、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は、上記駆動物質の一部に物理的に接触しており、
上記駆動物質によって、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、および、該部分から、上記中性子吸収パラメータ変更物質を動かすことができるようになっている装置。
100.上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は筐体をさらに含み、上記少なくとも1つの中性子吸収材および上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記筐体内に配置されている項目99の装置。
101.上記少なくとも1つの受動的反応度制御装置は、上記少なくとも1つの中性子吸収材に動作可能に連結されている駆動機構をさらに含む項目100の装置。
102.上記駆動物質には気体が含まれる項目99の装置。
103.上記気体には、He、Xe、Kr、Ar、Ne、Rn、N
2、CO
2およびNH
3から選択される少なくとも1つの気体が含まれる項目102の装置。
104.上記駆動物質には液体が含まれる項目99の装置。
105.上記中性子吸収パラメータ変更物質には上記駆動物質とは混和しない液体が含まれる項目104の装置。
106.上記駆動物質には固体が含まれる項目99の装置。
107.上記固体には、フェライトステンレス鋼およびジルコニウム合金から選択された少なくとも1つの固体が含まれる項目106の装置。
108.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれる項目99の装置。
109.上記原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束およびニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれる項目99の装置。
110.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには、反応炉の平均マクロ吸収断面積が含まれる項目99の装置。
111.上記中性子吸収パラメータ変更物質には中性子吸収材が含まれる項目99の装置。
112.上記中性子吸収材には、In、Li−6、Eu、Ag、Dy、B、Hf、Gd、Pm、Cd、Sm、それらの2元混合物、および、それらの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの中性子吸収材が含まれる項目111の装置。
113.上記中性子吸収材には原子核分裂燃料物質が含まれる項目111の装置。
114.上記原子核分裂燃料物質には、Pbに溶解しているU、U−Fe、U−Mn、Pu−Mn、U−Cr、Pu−Cr、Pu−Feの共晶混合物、およびPu−Mgの共晶混合物から選択された、少なくとも1つの原子核分裂燃料物質が含まれる項目113の装置。
115.上記中性子吸収パラメータ変更物質によって変更可能な中性子吸収パラメータには中性子スペクトルが含まれる項目99の装置。
116.上記中性子吸収パラメータ変更物質には、減速材が含まれる項目115の装置。
117.上記減速材には、Li−7、C、SiC、水素系物質、水、アンモニア、アセトン、金属水素化物、金属重水素化物、炭素の水懸濁液、および、炭化ケイ素の水懸濁液から選択された、少なくとも1つの減速材が含まれる項目116の装置。
118.上記駆動物質内に分布する高Z物質をさらに備える項目99の装置。
119.上記高Z物質には、Wウール、Ta、Au、Ag、Re、およびOsから選択された、少なくとも1つの物質が含まれる項目118の装置。
120.上記駆動物質は、第1の密度を有し、上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記第1の密度とは異なる第2の密度を有し、上記駆動物質は、中性子吸収パラメータ変更物質とは混和しない項目99の装置。
121.上記第2の密度が上記第1の密度より大きい項目120の装置。
122.上記第1の密度が上記第2の密度より大きい項目120の装置。
123.原子核分裂反応炉における反応度を制御する方法であって、
少なくとも1つの温度操作パラメータを有する原子核分裂反応炉を操作する工程と、
上記少なくとも1つの温度操作パラメータに応じて駆動物質の体積を変更する工程と、
上記駆動物質によって、中性子吸収パラメータ変更物質を、上記原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、または、該部分から動かす工程と、を含み、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は上記駆動物質とは異なっており、上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は上記駆動物質の一部と物理的に接触している方法。
124.上記駆動物質によって、上記中性子吸収パラメータ変更物質が、上記原子核分裂反応炉の上記炉心の上記選択された部分へと、または、該部分から動かされたことに反応して、上記原子核分裂反応炉の上記炉心の上記選択された部分における中性子吸収パラメータを変更する工程をさらに含んでいる項目123の方法。
125.原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、原子炉冷却剤の温度、反応炉の冷却気の温度、および、燃料の温度から選択された、少なくとも1つの温度が含まれる項目123の方法。
126.原子核分裂反応炉の温度操作パラメータには、中性子線束、ベータ線束、ガンマ線束、および、ニュートリノ線束から選択された、少なくとも1つの線束が含まれる項目123の方法。
127.上記駆動物質には、その中に分布する高Z物質が含まれ、
上記温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質の体積を変更する工程には、上記少なくとも1つの線束に応じて上記駆動物質内に分布する高Z物質を熱する工程が含まれる項目123の方法。
128.上記中性子吸収パラメータ変更物質には減速材が含まれる項目123の方法。
129.上記駆動物質によって、上記減速材が、上記原子核分裂反応炉の上記炉心の上記選択された部分へと、または、該部分から動かされたことに反応して、上記炉心の上記選択された部分の中性子スペクトルを変更する工程がさらに含んでいる項目128の方法。
130.受動的反応度制御装置を製造する方法であって、
第1の貯蔵器を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器から間隙を介する第2の貯蔵器を製造する工程と、
上記第1の貯蔵器および上記第2の貯蔵器の間に第1の導管を介設する工程と、
原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程と、
中性子吸収パラメータ変更物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程とを含み、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は上記駆動物質とは異なる物質であり、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は上記第1の貯蔵器に配分され、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は駆動物質12の一部に物理的に接触しており、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記駆動物質によって、上記第1の貯蔵器とび上記第2の貯蔵器との間で動かすことができるようになっている方法。
131.複数の部材を上記第2の貯蔵器に配置する工程をさらに含み、
当該工程にて上記複数の部材は上記第2の貯蔵器における自由表面効果を緩和するように配置される項目130の方法。
132.第1の貯蔵器を製造する工程には、上記第1の貯蔵器の第1の部分を製造する工程と、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分から間隙を介する、上記第1の貯蔵器の第2の部分を製造する工程と、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分と上記第1の貯蔵器の上記第2の部分との間に第2の導管を介設する工程と、を含み、
上記第2の貯蔵器は、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分と、上記第1の貯蔵器の上記第2の部分との間に介設される項目130の方法。
133.駆動物質を上記第1の貯蔵器に配分する工程には、上記駆動物質を、上記第1の貯蔵器の上記第1の部分、上記第1の貯蔵器の上記第2の部分、および、上記第2の導管に配分する工程が含まれる項目132の方法。
134.反応度制御装置を製造する方法であって、
少なくとも1つの中性子吸収材を設ける工程と、
少なくとも1つの受動的反応度制御装置を上記少なくとも1つの中性子吸収材との空間的関係が固定されるように配置する工程と、を含み、
上記受動的反応度制御装置には、原子核分裂反応炉の温度操作パラメータに対する反応性を有する駆動物質、および、上記駆動物質とは異なる中性子吸収パラメータ変更物質が含まれており、
上記中性子吸収パラメータ変更物質の一部は上記駆動物質の一部と物理的に接触しており、
上記中性子吸収パラメータ変更物質は、上記駆動物質によって、原子核分裂反応炉の炉心の選択された部分へと、または、当該部分から動かすことができるようになっている方法。
135.筐体内に、少なくとも1つの中性子吸収材と、少なくとも1つの受動的反応度制御装置と、を配置する工程をさらに含んでいる項目134の方法。
136.少なくとも1つの中性子吸収材に駆動機構を動作可能に連結する工程をさらに含んでいる項目135の方法。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1A】実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【
図1B】実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【
図1C】実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【
図2A】別の実例である実施形態に係る受動的反応度制御装置の略図である。
【
図2C】実例に係る反応度制御装置の分解斜視図である。
【
図4A】原子核分裂反応炉における反応度を制御する方法の実例のフローチャートである。
【
図4B】
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図4C】
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図4D】
図4Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図5A】受動的反応度制御装置を製造する方法の実例のフローチャートである。
【
図5B】
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図5C】
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図5D】
図5Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図6A】反応度制御装置を製造する方法の実例のフローチャートである。
【
図6B】
図6Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。
【
図6C】
図6Aのフローチャートの方法の実例となる詳細である。