【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様から見られるような本発明に従い、移動する湿り石こうボード内に凹みを形成するための加圧装置が提供される。この加圧装置は、ボードに接触するようにアレンジ(構成)された加圧面を具備する加圧ヘッドと、支持部材とを備えており、前記加圧ヘッドは、ボード内に凹みを形成すべく、前記加圧面と前記支持部材との間でボードの一部を圧縮するようにアレンジ(構成)されている。
当該加圧装置は更に、移動するボードの方向にほぼ対応する第1の方向、及び、ボードの平面にほぼ直交する第2の方向に、前記加圧ヘッド及び前記支持部材を移動させるための駆動手段を備えており、
前記加圧面は、第1の表面部分と第2の表面部分とを備えており、前記第1及び第2の表面部分は、レリーフ部(relief portion)によって分割され、且つ、前記レリーフ部によってボードに及ぼされる圧縮力よりも大きな圧縮力で前記支持ヘッド(支持部材)に向けてボードを押圧するようにアレンジ(構成)されている。
【0008】
好ましくは、前記加圧面は、前記レリーフ部がボード上にいかなる圧縮力も及ぼさないようにアレンジ(構成)されている。一般に、レリーフ部は、溝または谷(trough)を備えている。典型的には、その溝または谷は、加圧面を横切って延びている。
【0009】
有利には、加圧装置は、ボードに対し最小の相対速度で動かしながらボードを圧縮することで、石こうコアに対するライニング材料の横方向シフト(横ズレ)を最小限度に抑える。加えて、ボードに沿ったのとは対照的に、ボードの平面にほぼ直交した(方向への)加圧ヘッドの移動は、凹みの周囲におけるうね(ridge)や盛り上がった部分の発達(生成)を最小化するのに役立つ。
【0010】
レリーフ部は更に、より高密度な二つの領域の間に配置されるところのボードのより低密度な領域を提供する。相対的に低密度の領域は、
その両側で第1及び第2の表面部分によって形成されるテーパーにとってのサポート(支持部)としての役割を果たし、再成形されたボードが元の形に戻るのを最小限度に抑える。特に、レリーフ部は、再成形操作後におけるボードのたるみ(sagging)を回避するのに役立ち得る。つまり、加圧装置がボードに接触した領域と反対側で、ボードの表面に凹みが遅れて形成されるのを防止するのに役立つ。従って、本発明の加圧装置は、水和サイクル(水和周期)の初期にボードが圧縮されるのを可能にし、必要な圧縮力の低減を容易にする。
【0011】
加えて、次のことが判明している。即ち、相対的に低密度の部分は、相対的に高密度の領域に比べてボードのカッティング(切断)をずっと容易なものにし、カット刃の寿命を延ばし、更に、切断操作時にカット刃の刃こぼれ(snagging)を最小化する。
【0012】
好ましくは、駆動手段は、加圧ヘッド及び支持部材を前記第1の方向に、移動するボードの速度とほぼ一致する速度に加速するようにアレンジ(構成)されている。好ましくは、駆動手段は、前記第1の方向における加圧ヘッド及び支持部材の速度を前記移動するボードの速度にほぼ一致させて、加圧ヘッドを支持部材に向けて移動させて前記ボード内に凹みを形成するようにアレンジ(構成)されている。
【0013】
好ましくは、前記加圧面は、凹みがボードを横切って延びるように、ボードの幅に沿って延びるようにアレンジ(構成)されている。
【0014】
好ましくは、レリーフ部は、長尺な形状を有する。典型的には、レリーフ部は、加圧面の外周の一領域から加圧面の外周の他方の領域まで延びている。好ましくは、加圧面は、当該加圧面が石こうボードに対し押圧されたときに、レリーフ部の配向(向き)がボードの横方向と対応するようにアレンジ(構成)されている。
【0015】
好ましくは、第1及び第2の表面部分は、それぞれがレリーフ部に近づくにつれ、加圧ヘッドの外向き方向に延びている。それ故、効果的に、第1及び第2の表面部分は、加圧面に概して凸形の形状を提供する。
【0016】
好ましくは、第1及び第2の表面部分の各々は、一つの平面を備える。
【0017】
好ましくは、加圧面は、加圧ヘッドに着脱可能に連結された又は加圧ヘッドと一体形成されたダイ(型部)上に配置されている。レリーフ部は、好ましくは、ボードの幅を横切って延びるようにアレンジ(構成)されており、好ましくは、ダイ(型部)内に配置された開口、又は、ダイに形成された凹部を備える。
【0018】
第2の態様から見られるような本発明に従い、移動する湿り石こうボード内に凹みを形成するための方法が提供される。当該方法は、加圧装置を使用するものであり、当該方法は、次の各工程を備える。即ち、
石こうボードを提供する工程と、
ボードの搬送方向における加圧装置の速度を前記ボードの速度にほぼ一致させながら、それと同時的に、加圧装置をボードに向けて移動させて、加圧装置をボードの一部に接触させるように、加圧装置をボードの搬送方向に移動させる工程と、
加圧ヘッド(加圧装置)にボードを圧縮させ、ほぼ同時に第1の凹み及び第2の凹みを形成する工程であって、第1及び第2の凹みは、ボードの相対的非圧縮部
の両側に配置されている、工程と、を備える。
【0019】
この方法は、典型的には更に、加圧装置をボードの速度に加速させる予備工程を備えている。典型的には、この方法は更に、加圧ヘッドにボードを圧縮させる工程の後に、加圧装置を減速する工程を備える。
【0020】
典型的には、加圧装置は、最初の静止位置から最後の静止位置まで移動する。一般に、加圧装置は、最後の静止位置に到達した後に最初の静止位置に復帰するようにアレンジ(構成)されている。
【0021】
好ましくは、この方法は更に、ボードの搬送方向における加圧装置の速度と、移動するボードの速度とを比較し、両速度間の差に応じて加圧装置の速度を調節することを備えている。
【0022】
典型的には、前記ボードの搬送方向における加圧装置の速度は、ホーキンスリンク機構(Hoekens linkage)によって、あるいは内トロコイド運動(hypotrochoid motion)によってボードの速度に一致させられる。
(訳注:「ホーキンスリンク機構」とは、回転運動をほぼ一定速度の略直線運動に変換する四節リンク機構をいう。Wikipedia, “Hoekens linkage”の項より)
【0023】
加圧装置をボードに接触させて圧縮する工程は、典型的には、少なくとも10%の石こう水和が起きたときに、好ましくは、少なくとも40%の石こう水和が起きたときに、より好ましくは、少なくとも60%の石こう水和が起きたときに、実行される。
【0024】
典型的には、石こうボードは、シリコーンオイルを含む。好ましくは、そのシリコーンオイルは、100g/m
3以上、より好ましくは200g/m
3以上の量で存在する。好ましくは、そのシリコーンオイルは、6000g/m
3以下、より好ましくは800g/m
3以下、最も好ましくは400g/m
3以下の量で存在する。
【0025】
参考までに言うと、ボードの重量は全体として、典型的には960kg/m
3以下であり、概して480〜720kg/m
3の範囲にある。
【0026】
シリコーンオイルの存在は、本発明の方法を通じて生み出された第1及び第2の凹みの深さを増大させるのに役立つことが観察された。加えて、シリコーンオイルの存在は、石こうコアと、石こうボードの表面に設けられたライナーとの間におけるブリスター(blister、水膨れ、気泡の類)の形成を防止するのに役立つ。これらの効果は、シリコーンオイルの存在から生じた、石こうの変形性(能)の増大によるものと考えられる。
【0027】
(従来、)シリコーンオイルは、石こうボードにおける撥水剤としての用途が知られているものである。しかしながら驚いたことに、撥水効果をもたらすために必要とされる水準(レベル)よりもずっと少ない水準(レベル)のシリコーンオイルを使うことで、凹みの深さを増大させること、及び/又は、ブリスターの発生率を減らすことを達成できることが判明した。
【0028】
つまり、撥水性のボードを提供するためには、シリコーンは概して1440g/m
3以上、より一般的には2400〜4800g/m
3の範囲で存在しなければならない。これとは対照的に、ずっと少量のシリコーンオイルが、凹みの深さの増大及び/又はブリスター発生の低減のために要求される。例えば、これらの効果は、ちょうど320g/m
3の量の、あるいはそれよりもずっと少ない量のシリコーンオイルを用いて達成され得る。
【0029】
第2の態様に従う本方法の更に好ましい特徴は、第1の態様に従う加圧装置の特徴の一つ以上を備えてもよいものである。
【0030】
本発明は、添付の図面を参照しつつ実施態様によって以下に説明される。