特許第6139563号(P6139563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139563
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】分離装置及び分離方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20060101AFI20170522BHJP
   C02F 1/20 20060101ALI20170522BHJP
   A62C 2/04 20060101ALI20170522BHJP
   A62C 3/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   C02F1/52 F
   C02F1/20 Z
   A62C2/04 C
   A62C2/04 A
   A62C3/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-550156(P2014-550156)
(86)(22)【出願日】2013年11月22日
(86)【国際出願番号】JP2013081468
(87)【国際公開番号】WO2014084128
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】特願2012-259432(P2012-259432)
(32)【優先日】2012年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】川村 和幸
(72)【発明者】
【氏名】関野 宏之
(72)【発明者】
【氏名】国司 洋介
(72)【発明者】
【氏名】磯上 尚志
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−061459(JP,A)
【文献】 特表2012−503724(JP,A)
【文献】 特開2005−118612(JP,A)
【文献】 特開昭63−274408(JP,A)
【文献】 特開2012−40536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−78
B01D 21/01
A62C 1/00−5/033
E21B 1/00−49/10
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油田に設けられており、前記油田において産出される原油に付随して発生する油田随伴ガスと油田随伴水とを分離するセパレータと、
前記油田随伴水を被処理水として、前記セパレータから取得する取得部と、
前記被処理水から油分を分離する分離部と、
少なくとも前記分離部を密閉する密閉容器と、
前記分離部の内部の酸素を除去する酸素除去部と、
前記被処理水から分離された前記油分を排出する被除去物排出部と、
前記被処理水から前記油分が分離されて残る処理水を排出する処理水排出部と
を備え
前記酸素除去部は、
前記油田随伴ガスが前記セパレータから、不活性気体により内部の酸素が置換された前記密閉容器内の前記分離部に供給されるように、前記セパレータに接続されているとともに、前記密閉容器の内部に連通し、無酸素性の前記油田随伴ガスを前記密閉容器に供給する給気管と、
前記密閉容器の内部に連通して、前記密閉容器の内部の酸素を排気する排気管と、
を有する分離装置。
【請求項2】
前記分離部は、
前記被処理水に含まれる前記油分を凝集させる凝集剤を貯蔵する貯蔵部と、
前記凝集剤と前記被処理水とを撹拌することにより、前記油分が凝集した凝集物を生成する凝集部と、
前記凝集物を回収して前記被除去物排出部に送る回収部と
を有する請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記処理水の少なくとも一部を無酸素状態で前記貯蔵部に還流する還流部をさらに備え、
前記貯蔵部は、前記還流部によって還流された前記処理水に前記凝集剤を溶解させる請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記取得部は、原油とともに生産される油田随伴水を前記被処理水として取得し、
前記被除去物排出部は、前記原油を搬送するパイプラインに対して前記油分を排出する請求項1から3のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
油田に設けられており、前記油田において産出される原油に付随して発生する油田随伴ガスと油田随伴水とを分離するセパレータから、前記油田随伴水を被処理水として取得する工程と、
前記被処理水から油分を分離する工程と、
前記油分を分離する工程を実行する分離部を密閉する密閉容器から酸素を除去する酸素除去工程と、
前記被処理水から分離された前記油分を排出する工程と、
前記被処理水から前記油分が分離されて残る処理水を排出する工程と
を備え
前記酸素除去工程は、
前記密閉容器に不活性気体を供給することにより、前記密閉容器の内部の酸素を除去する第1酸素除去工程と、
前記第1酸素除去工程の後に、前記セパレータにおいて分離された前記油田随伴ガスを前記密閉容器に供給する第2酸素除去工程と、
を有する分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水に含まれる不要な物質を分離する分離装置及び分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、被処理水に含まれる不要物質(例えば、エマルジョン化して残留した油分や浮遊物質)を分離して除去するために、アルミニウム等の多価イオンの無機凝集剤と粉末状の磁性体とを被処理水に添加して撹拌する方法が知られている。この方法によれば、被処理水中の被除去物が磁性体と凝集して磁性を有する凝集物(以下、フロック)が生成されるので、磁石を内蔵したドラムを用いてフロックを回収することにより、被処理水から被除去物を分離することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−040536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、油田で生産された原油に随伴して発生する油田随伴水を含む被処理水から油分等の被除去物を除去する場合には、油田随伴水に含まれる揮発成分に起因する爆発を防ぐために、揮発成分の濃度管理を厳重に行ったり防爆設備を設けたりする必要があった。その結果、被除去物を被処理水から分離する分離装置においては、爆発を防ぐために高いコストを要していた。
【0005】
また、分離装置が海上油田で用いられる場合には、油田随伴水から分離された被除去物を、輸送船を用いて陸上の処理施設に輸送しなければならないという問題もあった。陸地から遠く離れた海上油田で生成された被除去物を海上輸送するには、多大なコストを要していた。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点を鑑みてなされたものであり、爆発の危険性が低く、かつ、被除去物を低コストで処理することができる分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様においては、被除去物を含む被処理水を取得する取得部と、被処理水から被除去物を分離する分離部と、分離部の内部の酸素を除去する酸素除去部と、被処理水から分離された被除去物を排出する被除去物排出部と、被処理水から被除去物が分離されて残る処理水を排出する処理水排出部とを備える分離装置を提供する。当該分離装置によれば、分離部の内部の酸素が除去された状態で被除去物を分離できるので、被処理水に油分が含まれている場合であっても爆発を防ぐことができる。
【0008】
上記の分離部は、被処理水に含まれる被除去物を凝集させる凝集剤を貯蔵する貯蔵部と、凝集剤と被処理水とを撹拌することにより、被除去物が凝集した凝集物を生成する凝集部と、凝集物を回収して被除去物排出部に送る回収部とを有する。分離部は、酸素が除去された環境下で凝集物を生成することができるので、被除去物排出部に送られる凝集物が大気中の酸素に触れることを防止できる。
【0009】
上記の分離装置は、処理水の少なくとも一部を無酸素状態で貯蔵部に還流する還流部をさらに備え、貯蔵部は、還流部によって還流された処理水に凝集剤を溶解させてもよい。無酸素状態で還流された処理水を用いて凝集剤を溶解させることにより、分離部に酸素が流入することを防ぐとともに、処理水を有効に活用することができる。
【0010】
上記の取得部は、原油とともに生産される油田随伴水を被処理水として取得し、被除去物排出部は、上記の原油を搬送するパイプラインに対して被除去物を排出してもよい。被除去物は、大気中の酸素に触れていないためパイプラインを腐食することなく、パイプラインを用いて効率よく被除去物を陸上の生産施設に搬送することができる。
【0011】
上記の酸素除去部は、例えば、不活性気体を分離部の内部に供給することにより酸素を除去する。不活性気体が分離部に供給されることで、分離部の内部を、化学反応が発生しづらい安定した状態にすることができる。
【0012】
本発明の第2の態様においては、被除去物を含む被処理水を取得する工程と、被処理水から被除去物を分離する工程と、被除去物を分離する工程を実行する分離部から酸素を除去する工程と、被処理水から分離された被除去物を排出する工程と、被処理水から被除去物が分離されて残る処理水を排出する工程とを備える分離方法を提供する。当該分離方法によれば、分離部の内部の酸素が除去した状態で被除去物を分離できるので、被処理水に油分が含まれている場合であっても爆発を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、コストの高い防爆設備を用いることなく、油分を含む被処理水から油分や浮遊物質等の被除去物を除去できるという効果を奏する。また、被処理水から分離された被除去物を分離する過程で、大気中の酸素に触れることなく処理を行うため、被除去物が腐食性を発現することなく、被除去物をパイプラインに排出することにより低コストで処理することができるという効果を奏する。さらに、被処理水から被除去物が分離された残りの処理水も酸素を含まないので、被除去物の分離に用いる凝集剤の溶解に処理水を再利用できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態に係る分離装置の構成例を示す。
図2】第2の実施形態に係る分離装置の構成例を示す。
図3】第3の実施形態に係る貯蔵部及び凝集部周辺の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
[分離装置100の構成例]
図1は、第1の実施形態に係る分離装置100の構成例を示す。分離装置100は、取得部10、分離部20、酸素除去部30、被除去物排出部40及び処理水排出部50を備え、被処理水に含まれる油分及び浮遊物質等の被除去物を分離する。分離装置100は、制御盤110をさらに備える。各種のセンサ及び電磁式バルブの配線は、密閉容器500の密閉性を保持した状態で外部に引き出されて制御盤110に接続される。制御盤110は、外部に接続されたコンピュータ等の制御装置により制御される。
【0016】
取得部10は、被除去物が含まれている油田随伴水のような被処理水を取得する。例えば、取得部10は、セパレータ(図示せず)により、油井から産出される流体から随伴ガスおよび原油を除去した残りの油田随伴水を取得する。取得部10は、例えば、取得した被処理水を蓄える被処理水タンク11と送水ポンプ12とを有する。取得部10は、被処理水タンク11に蓄えられた被処理水を送水ポンプ12によって分離部20に送水する。
【0017】
分離部20は、密閉された筐体内に貯蔵部60、凝集部70、回収部80及び還流部90を有し、被除去物を含む被処理水から被除去物を分離する。まず、取得部10から送られた被処理水は、凝集部70において、貯蔵部60から投入された凝集剤及び磁性体と撹拌される。凝集部70は、被処理水、凝集剤及び磁性体を撹拌することにより、磁性を有するフロックを生成する。凝集部70において生成されたフロックの少なくとも一部は、回収部80において回収され、被除去物排出部40に送られる。以上の手順により、分離部20は、被処理水から被除去物を分離することができる。分離部20の詳細な構成については後述する。
【0018】
酸素除去部30は、分離部20を密閉する密閉容器500の内部に連通する排気管310及び給気管320と接続されている。酸素除去部30は、排気ポンプ31、排気バルブ32、給気ポンプ33b、給気ポンプ33c、給気バルブ34a、給気バルブ34b、給気バルブ34c、レギュレータ35及びガス濃度センサ36を有する。
【0019】
酸素除去部30は、給気管320を介して気体を供給しながら、排気管310を介して密閉容器500の内部の気体を排気する。酸素除去部30は、外部から貯蔵部60に取り込まれる凝集剤及び磁性体に付着して分離部20に流入した酸素を除去する。この時、酸素除去部30は、必要に応じて設けられた排気ポンプ31によって吸引することで、密閉容器500の内部の酸素ガス濃度を効率よく下げることができる。酸素除去部30は、密閉容器500の内部の酸素濃度が50ppb以下になるまで酸素を除去することが好ましく、酸素濃度が10ppb以下になるまで酸素を除去することがさらに好ましい。
【0020】
密閉容器500の内部から酸素を除去するために、酸素除去部30は、例えば、高圧ボンベ37に充填された窒素、二酸化炭素若しくはアルゴン等の不活性気体、又は油田随伴ガスなどの無酸素ガスを、レギュレータ35及び給気バルブ34aを介して密閉容器500に供給する。さらに、メンテナンス時など、酸素除去部30は、給気ポンプ33bにおいて加圧した空気を、給気バルブ34bを介して密閉容器500に供給することで、容器内の不活性気体を空気に置換してもよい。酸素除去部30は、セパレータで分離した随伴ガスを給気ポンプ33cにより加圧した後に、給気バルブ34cを介して密閉容器500に供給してもよい。
【0021】
酸素除去部30は、不活性気体を分離部20に充填することにより、分離部20の内部の気圧を分離部20の外部の気圧よりも高い陽圧状態にすることが好ましい。例えば、分離部20の内部の気圧は、2パスカル以上50パスカル以下であることが好ましく、5パスカル以上10パスカル以下であることがさらに好ましい。分離部20の内部を陽圧状態にすることで、外部からの酸素の流入を防ぐことができる。
【0022】
酸素を効率よく除去するために、排気管310及び給気管320は、密閉容器500において互いにできるだけ離れた位置に設けられていることが好ましい。例えば、排気管310及び給気管320は、密閉容器500の最も離れた2つの角の付近にそれぞれ設けられることが好ましい。分離装置100は、密閉容器500の内部の気体を撹拌するためのファンを有する撹拌部(図示せず)を有してもよい。分離装置100が撹拌部を有することにより、排気管310及び給気管320を近接させることができるとともに、比重が異なる複数の気体を無酸素ガスとして供給することができる。
【0023】
以下、分離部20から酸素を除去するための手順を説明する。
まず、分離装置100の運転に先立ち、制御盤110を介して、分離装置100における各種センサ及び電磁式バルブのうち防爆仕様でないものに供給される電源を遮断する。次に、密閉容器500を密閉状態にした後に、排気バルブ32を開いて給気バルブ34a、給気バルブ34b及び給気バルブ34cを閉じて、撹拌部のファンにより密閉容器500内の気体を撹拌する。続いて、給気バルブ34aを開いて高圧ボンベ37から窒素を密閉容器500の内部に送ることで、密閉容器500の内部の酸素を含む空気を窒素に置換する。密閉容器500の内部の空気を窒素に置換した後に、各種のセンサ及び電磁式バルブに通電を開始することで、各種のセンサ及び電磁式バルブが防爆仕様でない場合であっても、爆発を防止することができる。
【0024】
次いで、排気バルブ32の後段に設けられたガス濃度センサ36において測定された酸素濃度が1%未満になった時点で給気バルブ34aを閉じて給気バルブ34cを開いて随伴ガスを密閉容器500の内部に導入することで、密閉容器500の内部の窒素を随伴ガスに置換する。ガス濃度センサ36を用いて、随伴ガスへの置換が完了したことを検出することができるが、簡易的に所定量(例えば密閉容器500の容積の約10倍)の随伴ガスを供給した時点で置換が完了したと判断してもよい。
【0025】
続いて、排気バルブ32を閉じて密閉容器500の内部の圧力を外気圧よりも高い状態に保持することで、分離部20を無酸素状態に保持することができる。上記の方法によれば、随伴ガス雰囲気下で分離部20を動作させることができるので、より地下に近い環境下でフロックの回収が可能になり、より確実に腐食性の発現を防止することができる。
【0026】
なお、配線の接続端子などの導電部の腐食を防ぐために、制御盤110を密閉した状態で、レギュレータ112を介して、高圧ボンベ111に蓄えられた腐食性成分及び可燃性成分を含まない空気又は窒素若しくは二酸化炭素などの不活性気体を供給し、制御盤110の内部の気圧を外気圧よりも高い状態に保持することが好ましい。
【0027】
被除去物排出部40は、排出ポンプ41及び排出バルブ42を有し、分離部20において分離された被除去物を外部に排出する。例えば、被除去物排出部40は、被処理水に含まれる油田随伴水とともに生産された原油を搬送するパイプライン300に対して被除去物を排出する。被除去物は、酸素が除去された状態の分離部20において被処理水から分離されるので酸素ガスと接触していない。したがって、被除去物がパイプライン300に混入してもパイプライン300は腐食しない。
【0028】
処理水排出部50は、排出ポンプ51及び排出バルブ52を有し、分離部20において被除去物が分離された後の処理水を外部に排出する。例えば、分離装置100が海上にある場合には、処理水排出部50は海に処理水を排出する。処理水排出部50は、処理水を運搬する船舶等の移動体に排出してもよい。処理水排出部50は、排出した処理水の逆流を防ぐトラップをさらに有することが好ましい。
【0029】
以上のとおり、酸素除去部30が分離部20の内部から酸素を除去することにより、分離部20においては、内部の酸素が除去された状態で被処理水から被除去物と処理水が分離されるので、分離された被除去物及び処理水には酸素が含まれない。したがって、分離部20で分離処理する被処理水に揮発性の油分が含まれていたとしても爆発の危険性がないので、防爆設備のコストを下げることができる他、防爆仕様となっていない多様なセンサ類を設備の制御に使用できる。また、被除去物に酸素が結合していないので、被除去物排出部40が被除去物をパイプライン300に排出したとしても、パイプライン300が腐食しない。
【0030】
[分離部20の構成例]
以下、分離部20の詳細な構成、及び、被除去物を分離する詳細な手順について説明する。
貯蔵部60は、被処理水に含まれている被除去物を凝集させる凝集剤および磁性体を貯蔵するタンクを有する。図1に示す例においては、貯蔵部60は、無機凝集剤タンク61、高分子凝集剤タンク62、磁性体撹拌槽63、高分子凝集剤撹拌槽64、ポンプ65、ポンプ66、ポンプ68及び新規磁性体タンク67を有する。
【0031】
無機凝集剤タンク61は、例えばPAC(ポリ塩化アルミニウム)、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、硫酸アルミニウム等の無機凝集剤を貯蔵する。高分子凝集剤タンク62は、例えばポリアクリルアミドのようなアニオン系の凝集剤を貯蔵する。高分子凝集剤タンク62に貯蔵された粉末の高分子凝集剤は、高分子凝集剤撹拌槽64で酸素を含まない水に溶解された後に、例えばポンプ66を用いて凝集部70中の第2凝集部72に投入されて、被処理水と撹拌される。無機凝集剤が液状の状態で供給される場合は、そのままの状態で計量手段(図示せず)により計量されてからポンプ68を用いて凝集部70中の第1凝集部71に投入され、被処理水と撹拌される。なお、無機凝集剤が粉末状の場合、高分子凝集剤と同様に酸素を含まない水に溶解された後、取得部10から導入された被処理水に混合される。
【0032】
磁性体は、マグネタイト粒子に代表されるように、通常、新規のものは粉末状態で、ホッパー(図示せず)を通して系内に投入され、新規磁性体タンク67に蓄えられる。被除去物の除去に用いられた後に回収部80において回収された磁性体は、その回収部80の仕様によりさまざまな性状を呈すが、液状の場合、還流バルブ93を通して回収される。これらの磁性体は、磁性体撹拌槽63で、酸素を含まない水に分散され、第1凝集部71で、被処理水及び無機凝集剤とともに混合撹拌される。酸素を含まない水は、密閉容器500の外部から導入してもよいが、処理水を密閉容器内でリサイクルすることも可能である。
【0033】
凝集部70は、第1凝集部71及び第2凝集部72を有し、貯蔵部60から投入された凝集剤と取得部10から導入された被処理水とを撹拌することにより、被処理水に含まれている被除去物が凝集したフロックを生成する。具体的には、第1凝集部71には、取得部10から被処理水が導入されるとともに、無機凝集剤タンク61及び磁性体撹拌槽63のそれぞれから無機凝集剤及び磁性体が投入された後に撹拌される。第1凝集部71において被処理水、無機凝集剤及び磁性体が撹拌されることにより、表面が負に帯電した被除去物の表面電荷が無機凝集剤によって中和され、磁性体を含む凝集剤と被除去物とが凝集し、磁性を有するフロックが生成される。
【0034】
第1凝集部71で形成されたフロックを含む一次処理水は、第2凝集部72に送られる。第2凝集部72には、高分子凝集剤撹拌槽64から高分子凝集剤が投入される。投入された高分子凝集剤は、第1凝集部71から導入された一次処理水と撹拌される。第2凝集部72には、回収磁性体を投入してもよい。
【0035】
高分子凝集剤撹拌槽64からの高分子凝集剤の投入量は、第1凝集部71に投入された無機凝集剤及び回収磁性体の量に応じて決定される。例えば、コンピュータにより、第1凝集部71に投入された無機凝集剤及び回収磁性体の量をモニタリングし、モニタリングにより得られた値に応じて、高分子凝集剤を投入するポンプ66を制御する。
【0036】
第2凝集部72においては、第1凝集部71における撹拌速度よりも遅い速度で撹拌することにより、第1凝集部71からの一次処理水に含まれていた磁性フロックが成長し、より大きな磁性フロックを含む二次処理水が生成される。第2凝集部72が複数の槽を有し、複数回に渡って凝集処理を施すことにより、さらに大きな磁性フロックを生成してもよい。
【0037】
回収部80は、磁気分離部81、スクレーパ82、フロック移送ポンプ83及び磁性体回収部84を有する。回収部80は、磁性を有する回収体により磁性フロックを回収して被除去物排出部40に送る。
【0038】
磁気分離部81は、磁気分離槽81a及び磁気ドラム81bを有する。磁気分離槽81aには、第2凝集部72で生成された磁性フロックを含む二次処理水が注入される。磁気ドラム81bは、磁石を内蔵しており、少なくとも一部が磁気分離槽81a内の二次処理水に浸されている。二次処理水が磁気ドラム81bに接触すると、磁石の磁気力によって、二次処理水内のフロックに含まれている磁性体が磁気ドラム81bに吸着される。
【0039】
スクレーパ82は、磁気ドラム81bの回転に伴って磁気分離槽81aの外に出された磁性フロックを掻き取る。スクレーパ82は、例えばゴムにより形成された板であり、少なくとも一部が磁気ドラム81bの表面に接する。
【0040】
フロック移送ポンプ83は、スクレーパ82によって掻き取られた磁性フロックを加速させて磁性体回収部84に送出する。磁性体回収部84は、フロック移送ポンプ83を介して磁性フロックが送り込まれる磁性体回収槽84aと、磁性体回収槽84aの内部で回転し、永久磁石を内蔵する磁気ドラム84bとを有する。フロック移送ポンプ83を介して磁性体回収槽84aに送られたフロックは、フロック移送ポンプ83により加速された状態で磁気ドラム84bの周辺を通過することにより生じるせん断力によって分解される。
【0041】
分解されたフロックのうち、凝集部70における凝集に必要な磁力を有するフロックは磁気ドラム84bにより回収され、還流部90を介して磁性体撹拌槽63に送られる。例えば、磁性体回収部84は、所定の強度以上の磁力を帯びたフロックを選別して還流部90に送る。分解されたフロックのうち、磁気ドラム84bにより回収されなかったフロックは、汚泥として被除去物排出部40に送られる。磁気ドラム84bは、十分な強度の磁性を有するフロックを磁性体撹拌槽63に送るために、磁気ドラム81bよりも強い磁力を有する磁石を有することが好ましい。
【0042】
回収部80は、磁性フロックが除去された二次処理水の一部を、還流部90を介して貯蔵部60に送り、残りの二次処理水を処理水排出部50に送る。回収部80は、例えば、貯蔵部60における凝集剤の溶解に必要な水量に応じた量の二次処理水を還流部90に送る。回収部80は、二次処理水の水質が、貯蔵部60における凝集剤の溶解又は凝集部70における凝集に必要な水質条件を満たす場合に、二次処理水を還流部90に送ってもよい。
【0043】
還流部90は、磁性フロックが除去された二次処理水の少なくとも一部を、還流バルブ91及び還流バルブ92を介して無酸素状態で貯蔵部60に還流し、磁性体撹拌槽63及び高分子凝集剤撹拌槽64に送る。還流部90は、例えば、新規磁性体タンク67に貯蔵されている無機凝集剤の量、及び高分子凝集剤タンク62に貯蔵されている高分子凝集剤の量のいずれかに基づいて、貯蔵部60に還流する二次処理水の量を制御する。
【0044】
また、還流部90は、磁性体回収部84が回収した磁性体を含むフロックを、還流バルブ93を介して磁性体撹拌槽63に送る。還流部90は、例えば、新規磁性体タンク67に貯蔵されている新規磁性体の量に基づいて、貯蔵部60に還流するフロックの量を制御する。
【0045】
分離部20の内部の酸素濃度が所定の値よりも小さくなっているので、二次処理水が還流部90を介して無機凝集剤タンク61及び高分子凝集剤タンク62に注入されるまでの間に、二次処理水が酸素に触れることがない。したがって、貯蔵部60において二次処理水を用いた場合であっても、凝集部70に酸素が入らない。同様に、還流部90が磁性体撹拌槽63に送った回収磁性体も酸素を含まないので、回収磁性体が凝集部70に投入された場合であっても、凝集部70には酸素が入らない。
【0046】
[コンピュータによる制御]
なお、分離装置100は、取得部10、分離部20、酸素除去部30、被除去物排出部40及び処理水排出部50を制御するコンピュータやシーケンサ等の制御手段を有してもよい。例えば、コンピュータが記憶媒体に記憶されたプログラムを実行することにより、被除去物を含む被処理水を取得する工程、被処理水から被除去物を分離する工程、分離部20から酸素を除去する工程、分離部20において分離された被除去物を排出する工程、及び、被処理水から被除去物が分離されて残る処理水を排出する工程を実行することができる。
【0047】
以上のとおり、第1の実施形態に係る分離装置100においては、被処理水から被除去物を分離する分離部20から酸素が除去されているので、分離部20における爆発を防ぐことができる。また、分離部20において被処理水から分離された処理水には酸素が含まれないので、凝集剤を溶かす水として処理水を再利用することができる。また、被除去物にも酸素が含まれないので、パイプライン300を用いて排出することができる。
【0048】
<第2の実施形態>
図2は、第2の実施形態に係る分離装置100の構成例を示す。第1の実施形態に係る分離装置100においては、分離部20が密閉され、酸素除去部30は分離部20のみから酸素を除去した。これに対して、図2に示す分離装置100においては、取得部10、分離部20及び被除去物排出部40を含む筐体が密閉され、酸素除去部30は、取得部10、分離部20及び被除去物排出部40を含む密閉空間から酸素を除去する。
【0049】
第1の実施形態と同様に、取得部10は、被除去物が含まれている油田随伴水を被処理水として取得する。取得部10は、セパレータ(図示せず)により、油井から産出される流体から随伴ガスおよび原油を除去した残りの随伴水を、被処理水として蓄える被処理水タンク11と送水ポンプ12とを有する。取得部10は、被処理水タンク11に蓄えられた被処理水を送水ポンプ12によって分離部20に送水する。
【0050】
酸素除去部30が取得部10を含む密閉空間から酸素を除去することにより、被除去物を分離する前の被処理水が酸素に触れないので、分離部20への酸素の流入を防止できる。また、酸素除去部30が被除去物排出部40を含む密閉空間から酸素を除去することにより、分離部20において被除去物が分離されてからパイプライン300に送られるまでの間に酸素に触れないので、酸素と結合した被除去物がパイプライン300に入ることを防止できる。
【0051】
<第3の実施形態>
図3は、第3の実施形態に係る貯蔵部60及び凝集部70の周辺の構成例を示す。図3における高分子凝集剤タンク62及び新規磁性体タンク67には、レギュレータ121並びにバルブ122及びバルブ123を介して、高圧ボンベ120から不活性気体が供給される。高分子凝集剤タンク62及び新規磁性体タンク67に外部から新規の凝集剤を投入するたびに不活性気体を供給し、凝集剤の投入時に流入した酸素を含む空気を除去することにより、分離部20に酸素が流入することを防ぐことができる。
【0052】
<第4の実施形態>
上記の実施形態に係る分離装置100においては、新規磁性体、無機凝集剤及び回収磁性体が第1凝集部71に投入され、高分子凝集剤及び回収磁性体が第2凝集部72に投入されていた。これに対して、これらの凝集剤及び磁性体は、第1凝集部71及び第2凝集部72のいずれに投入されてもよい。例えば、コンピュータがポンプを制御することにより、回収磁性体の量を監視し、回収磁性体の量に応じた量の新規磁性体を第1凝集部71及び第2凝集部72のいずれかに投入してもよい。
【0053】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、上記の実施形態においては、磁性粒子を含む凝集剤を用いて磁性フロックを生成することにより被除去物を除去したが、他の方法によって被除去物を除去する構成においても同等の作用効果を奏し、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0054】
10・・・取得部、11・・・被処理水タンク、12・・・送水ポンプ、20・・・分離部、30・・・酸素除去部、31・・・排気ポンプ、32・・・排気バルブ、33・・・給気ポンプ、34・・・給気バルブ、35・・・レギュレータ、36・・・ガス濃度センサ、37・・・高圧ボンベ、40・・・被除去物排出部、41・・・排出ポンプ、42・・・排出バルブ、50・・・処理水排出部、51・・・排出ポンプ、52・・・排出バルブ、60・・・貯蔵部、61・・・無機凝集剤タンク、62・・・高分子凝集剤タンク、63・・・磁性体撹拌槽、64・・・高分子凝集剤撹拌槽、65・・・計量部、66・・・計量部、67・・・新規磁性体タンク、70・・・凝集部、71・・・第1凝集部、72・・・第2凝集部、80・・・回収部、81・・・磁気分離部、81a・・・磁気分離槽、81b・・・磁気ドラム、82・・・スクレーパ、83・・・フロック移送ポンプ、84・・・磁性体回収部、84a・・・磁性体回収槽、84b・・・磁気ドラム、90・・・還流部、91・・・還流バルブ、92・・・還流バルブ、93・・・還流バルブ、100・・・分離装置、110・・・制御盤、111・・・高圧ボンベ、112・・・レギュレータ、120・・・高圧ボンベ、121・・・レギュレータ、122・・・バルブ、123・・・バルブ、200・・・パイプライン
図1
図2
図3