特許第6139570号(P6139570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴァレオジャパンの特許一覧

特許6139570コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ
<>
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000002
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000003
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000004
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000005
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000006
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000007
  • 特許6139570-コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139570
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】コンプレッサ、特にはスワッシュプレートコンプレッサのためのシリンダブロック、及び、スワッシュプレートコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
   F04B 27/12 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   F04B27/12 J
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-557260(P2014-557260)
(86)(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公表番号】特表2015-519498(P2015-519498A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】JP2013003349
(87)【国際公開番号】WO2013179642
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】12004110.8
(32)【優先日】2012年5月28日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】特許業務法人大貫小竹国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルネ,ヤクブ
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,ペトル
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−027913(JP,A)
【文献】 特開平07−019163(JP,A)
【文献】 特開2009−068466(JP,A)
【文献】 実開昭55−017963(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサ用のシリンダブロック(1)であって、スワッシュプレートを備えた駆動ユニットの駆動シャフトを収容し、且つ、前記シリンダブロック(1)の中心軸を定めるための中央開口部(3)と、前記中央開口部の周囲に配置され、且つ、各々がピストン(14)を収容するように適合された複数のシリンダボア(2)と、前記シリンダブロック(1)の駆動側の端面に設けられ、前記スワッシュプレートの、コーティングの半径方向内側に配置された部分に接触する少なくとも1つの止め部(10)と、を有する鋳造金属で作られたシリンダブロック(1)において、
前記止め部(10)は、前記シリンダボア(2)と一体に、且つ、前記シリンダブロック(1)の駆動側に突出した隆起部として形成され、前記中央開口部(3)と2の隣接する前記シリンダボア(2)とによって画定された三角形領域内に配置されていることを特徴とするシリンダブロック。
【請求項2】
前記三角形領域は、半径方向内向きにおいては前記中央開口部(3)により境界が定められ、且つ、周方向においては、前記中心軸から2つの隣接する前記シリンダボア(2)の中心線を通って延在する2つの線により境界が定められていることを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロック。
【請求項3】
前記止め部(10)は、前記中心軸(30)と同心状の湾曲した隆起部の形状であることを特徴とする請求項1に記載のシリンダブロック。
【請求項4】
前記止め部(10)は、前記中央開口部(3)の付近に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリンダブロック。
【請求項5】
前記止め部(10)は、前記2つの隣接するシリンダボア(2)まで周方向に延在していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリンダブロック。
【請求項6】
前記止め部(10)の両端は、前記ピストンを前記シリンダボアに案内するための面取りが施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシリンダブロック。
【請求項7】
前記面取りされた面取部(12)は、前記中心軸に平行な面に対して約15度の角度を成して配置されていることを特徴とする請求項6に記載のシリンダブロック。
【請求項8】
前記止め部(10)は、隣接するシリンダボア(2)の各対の間に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシリンダブロック。
【請求項9】
隣り合う止め部(10)の間の距離は、前記止め部の長さの約半分であることを特徴とする請求項8に記載のシリンダブロック。
【請求項10】
前記止め部(10)の外端(11)は、前記シリンダブロックの外縁(5)によって画定された高さよりも低い高さにて終端となっていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシリンダブロック。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のシリンダブロック(1)と、スワッシュプレート(16)を備え、前記シリンダブロック(1)の前記中央開口部(3)内に延在する駆動ユニットと、を有するスワッシュプレートコンプレッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサのためのシリンダブロックであって、駆動ユニットの駆動シャフトを収容し、且つ、前記シリンダブロックの中心軸を定めるための中央開口部と、前記中央開口部の周囲に配置され、且つ、各々がピストンを収容するように適合された複数のシリンダボアと、前記シリンダブロックの駆動側に少なくとも1つの止め部とを有するシリンダブロックに関する。本発明は、さらに、このようなシリンダブロックと、スワッシュプレートを備えると共に前記シリンダブロックの中央開口部内に延在する駆動ユニットとを備えるスワッシュプレートコンプレッサに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなコンプレッサは、車両用の空調システムで使用される冷媒を圧縮するために用いることができる。スワッシュプレート(斜板)は、車両用モータに連結されることができる駆動シャフトに対して傾斜角が変更可能に配置される。スワッシュプレートは、それぞれのピストンに、該ピストンの端部とスワッシュプレートとの間に配置された1対のシューを介して連結される。各シューがスワッシュプレートのリング部上をスライドし、これにより、ピストンの各々が、スワッシュプレートが駆動されるときに往復運動する。このようなコンプレッサの例を、特許文献1に見ることができる。
【0003】
シューがスライドするスワッシュプレートのリング部には、特別なコーティングが施されている。このようなスワッシュプレートは駆動シャフト上に取り付けられ、複数のピストンは、スワッシュプレートのコーティング部分に、対をなすシューを介してそれぞれ掛けられている。スワッシュプレート、シュー、ピストン、及びシャフトは、駆動ユニットの主要部分を構成している。
【0004】
そして、駆動ユニットはシリンダブロック内に挿入されると、ピストンは、シリンダブロックのそれぞれのシリンダボア内に挿入され、その一方で、駆動シャフトはシリンダブロックの中央開口部内に挿入される。駆動ユニットをシリンダブロック内に組み付ける作業において、スワッシュプレートのリング部に塗布されたコーティングの損傷を防止するために特別な注意を払う必要がある。
【0005】
スワッシュプレートの、ピストンを駆動するために用いられるこれらの部分には、特定のコーティングが施されている。コンプレッサの組み付け中、コーティングの損傷を防止するために特別な注意を払う必要がある。特別な対策を講じなければ、シャフトがシリンダブロック内に、シャフトに連結されたスワッシュプレートがシリンダブロックに接触するほど非常に深く押しこまれる危険性がある。このことが、スワッシュプレートのコーティングを損傷させる場合があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0853199A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような損傷を防止するために、凸状の小さい止め部をシリンダブロックの駆動側、すなわちスワッシュプレートに面した側に用いることが知られている。これらの止め部は、中央開口部とシリンダボアの各々との間に配置される。すなわち、各止め部は、それぞれのシリンダボアの中心軸を通る半径上に配置される。スワッシュプレートを備えた駆動ユニットがシリンダブロックに取り付けられているとき、止め部は、スワッシュプレートの、コーティングの半径方向内側に配置された部分に接触することができ、それにより、コーティング部分がシリンダブロックに接触することや、コーティング部分の損傷を防止できる。
【0008】
公知の止め部が有する問題は、止め部が突出部として、シリンダブロック上の、壁厚が非常に小さい箇所に配置されることである。この結果、シリンダブロックを鋳造するときに問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、公知のシリンダブロックを、シリンダブロックの可鋳性を高めるように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、当該シリンダブロックは、止め部が、半径方向内向きにおいては前記中央開口部により境界が定められ、且つ、周方向においては、前記中心軸から隣接するシリンダボアの中心線を通って延在する2つの線により境界が定められた領域内に配置されることを特徴とする。本発明は、前記止め部の位置を、先行技術と比較して、隣接するシリンダボア間の角度距離の約半分の長さだけ周方向に移動できるという見解に基づいている。これにより、各止め部が、前記シリンダブロックの所定領域、すなわち、より大きい壁厚を前記止め部を収容するために利用でき、同時に、前記止め部の有効性を維持する領域に配置される。シリンダブロックの、より大きい壁厚を有する領域を、止め部のための「ベース」として選択することが、前記シリンダブロックの可鋳性を高める。
【0011】
好ましい実施形態によれば、前記止め部は、前記中心軸と同心状の湾曲した隆起部の形状である。この設計は、前記スワッシュプレートの前記コーティングと接触する危険性のない、比較的幅広の止め部を形成することを可能にする。
【0012】
好ましくは、前記止め部は前記中央開口部に近接して配置される。これは、前記止め部が前記スワッシュプレートの前記コーティングと接触する危険性をさらに低減する。
【0013】
組み付けプロセス中に、前記シリンダブロックとの接触により前記スワッシュプレートに何らかの損傷が生じる場合、この損傷が、前記シューの内面に配置されたスライド面上にではなく、その内側部分に生じることが好ましい。
【0014】
好ましい実施形態によれば、前記止め部は、それぞれのシリンダボアまで周方向に延在する。このようにして、利用可能な空間が最適に用いられる。
【0015】
好ましくは、前記止め部の両端は面取りされている。これは、取り付け中に前記ピストンをそれぞれのシリンダボア内にガイドするために前記止め部を用いることを可能にする。
【0016】
好ましくは、面取り部は、前記中心軸に平行な面に対して15°の角度を成して配置される。この角度が、ピストンをシリンダボア内に挿入するのを容易にするための良好な解決策であることが分かっている。好ましい実施形態によれば、隣り合うシリンダボアの各対の間に止め部が設けられる。こうして、シリンダブロックで用いられる止め部の個数が最大にされる。
【0017】
隣り合う止め部間の距離は、前記止め部の長さの約半分であることが可能である。この設計は、前記中央開口部と前記シリンダボアとの間の壁厚が狭い領域には止め部を全く設けず、それと同時に、前記スワッシュプレートのための十分な支持面を提供することを可能にする。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記止め部は、前記シリンダブロックの外縁により規定された高さよりも低い高さにて終端となる。この設計は、前記ピストンを前記シリンダボアのそれぞれに挿入するのに有用な、前記シリンダブロックの3つの異なる高さをもたらす。第1の最上高さは、前記ピストンを半径方向外側にてガイドするために用いられることができる前記シリンダブロックの前記外縁により規定される。前記ピストンが前記シリンダボアに向かってさらに前進されると、前記止め部の前記上面により規定される第2の高さに達する。この高さから、前記止め部における前記面取り部が前記ピストンに作用することができる。第3の、より低い高さは、駆動側において、前記シリンダブロックの端面により規定され、この高さから、各ピストンがそれぞれのシリンダボア内に入る。
【0019】
本発明は、さらに、上述したようなシリンダブロックと、スワッシュプレートを備え、シリンダブロックの中央開口部内に延在する駆動ユニットと、を有するスワッシュプレートコンプレッサを提供する。このようなスワッシュプレートコンプレッサの利点に関しては、上記のコメントを参照されたい。
【0020】
ここで、本発明を、付属の図面に示された好ましい実施形態に関して説明する。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術によるシリンダブロックの斜視図である。
図2】本発明によるシリンダブロックの中央部の斜視図である。
図3】本発明によるシリンダブロックの斜視図である。
図4】本発明によるシリンダブロックの上面図である。
図5】本発明によるシリンダブロックの止め部を通る断面図である。
図6】本発明による、取り付け中のスワッシュプレートコンプレッサを通る断面図である。
図7】ピストンをシリンダブロックに取り付けるプロセスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、先行技術におけるスワッシュプレートのためのシリンダブロック1が示されている。シリンダブロック1は、鋳造金属、例えばアルミニウム合金からつくられたほぼ円筒状の部品であり、この実施形態において、5つのシリンダボア2を含む。シリンダボア2は、駆動シャフトを収容するために設けられた中央開口部3の周囲に同心状に配置されている。中央開口部3は、シリンダブロック1の中心軸を定めている。
【0023】
図1に見られるように、シリンダブロック1の端面はスワッシュプレートに面しており、従って、この端面を駆動側(“drive side”)と指定する。シリンダボア2が終端となる高さを端面4と称する。この高さは、中央開口部3が終端となる高さと同一の高さである。シリンダブロック1の周囲部5は、端面4よりも突出している。すなわち、端面4は、シリンダブロック1により画成される最上高さと比較すると凹んでいる。
【0024】
端面4上に、複数の止め部(stop)6が設けられており、止め部6は、シリンダブロック1と一体的に形成された小さく突出している隆起部として形成されている。各止め部6は、中央開口部3とそれぞれのシリンダボア2との間の壁厚(wall thickness)が最小である場所に配置されている。すなわち、各止め部は、シリンダブロック1の中心軸とそれぞれのシリンダボア2の中心軸との間の位置に配置されている。
【0025】
ここで、本発明によるシリンダブロックを、図2図5を参照しつつ説明する。図1にから知られる要素に関しては同一の参照番号を用い、また、上記の説明を参照する。
【0026】
本発明によるシリンダブロック1は、止め部10を用いる。止め部10は、シリンダブロック1の、中央開口部3付近の壁厚が先行技術の設計よりも大きい位置に配置されている。
【0027】
図2図4に見られるように、本発明による各止め部10は、2つの隣り合うシリンダボア2と中央開口部3とにより境界が定められたほぼ三角形の部分に設けられている。
【0028】
このような三角形領域が、シリンダブロックの鋳造を可能にする。このような三角形領域が、シリンダブロックの成形プロセスを可能にする。この領域は、また、成形プロセスのために十分な幅を有する止め部を形成することを可能にする。
【0029】
すなわち、各止め部10は、半径方向内向きには中央開口部3により境界が定められ、且つ、周方向においては、中央開口部3から2つの隣接するシリンダボア2の周囲縁に延在するラインによって境界が定められた領域内に配置されている。
【0030】
従って、止め部の厚さは、中央開口部とシリンダボアとの間に位置する分離壁の厚さよりも大きい。
【0031】
中央開口部3とそれぞれのシリンダボア2との間の壁厚が最小である端面4の部分は、止め部10が設けられない状態となる。壁厚が小さい領域における隣り合う止め部10間の距離は、各止め部10の周方向における長さの約半分である。
【0032】
各止め部10は、シリンダブロック1と一体的な隆起部として形成され、中心軸と同心状に、中央開口部3に非常に隣接した状態で湾曲して延在する。
【0033】
各止め部10は、2つの正反対に位置する端部12を有する。これらの端部12を外側端と称することもでき、これらの側端は面取り部として形成される。図5に見られるように、各面取り部は、中心軸に平行な面に対して15度の角度だけ傾斜している。従って、2つの面取り部12は、コンプレッサの1つのピストン14をそれぞれのシリンダボア内に案内するために有用である。この点が図7に示される。
【0034】
図6において、止め部10の機能が示されている。取り付けプロセス中、各止め部10の外端11がスワッシュプレート16の半径方向内側部分に接触することができ、これにより、ピストン14を駆動するために用いられる半径方向外側部分18がシリンダブロック1の端面4から所定距離に保たれ、これにより、どのような損傷をも防止する。
【符号の説明】
【0035】
1 シリンダブロック
2 シリンダボア
3 中央開口部
4 端面
5 周囲部
6 止め部
10 止め部
11 外端
12 面取り部
18 半径方向外側部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7