(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形可能であることはもちろんである。
【0010】
図面では、本発明を明確且つ簡略に説明するために、説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体において同一又は極めて類似の部分に対しては同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をより明確にするために、厚さ、面積などを拡大又は縮小して示しており、本発明の厚さ、面積などは図面に示したものに限定されない。
【0011】
そして、明細書全体において、ある部分が他の部分を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上に」あるとするときは、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0012】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を説明する。本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法によって製造される太陽電池の一例を先に説明した後、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法によって製造される太陽電池の一例を示す断面図であり、
図2は、
図1に示した太陽電池の部分背面平面図である。
【0014】
図1及び
図2を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、ベース領域110を含む半導体基板10と、半導体基板10上に位置するトンネル層20と、トンネル層20上に位置し、導電型領域32,34を含む半導体層30と、導電型領域32,34に接続される電極42,44とを含む。ここで、半導体層30は、第1導電型を有する第1導電型領域32及び第2導電型を有する第2導電型領域34を含む導電型領域32,34と、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置し、真性を有するバリア領域36とを含むことができる。そして、電極42,44は、第1導電型領域32に接続される第1電極42と、第2導電型領域34に接続される第2電極44とを含むことができる。そして、太陽電池100は、パッシベーション膜24、反射防止膜26、絶縁層40などをさらに含むことができる。これについてより詳細に説明する。
【0015】
半導体基板10は、第2導電型ドーパントを相対的に低いドーピング濃度で含むベース領域110を含むことができる。ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む結晶質半導体で構成することができる。一例として、ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む単結晶または多結晶半導体(一例として、単結晶または多結晶シリコン)で構成してもよい。特に、ベース領域110は、第2導電型ドーパントを含む単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハ、より具体的には、半導体シリコンウエハ)で構成することができる。このように、ベース領域110が単結晶シリコンで構成されると、太陽電池100が単結晶シリコン太陽電池を構成することになる。このように、単結晶半導体を有する太陽電池100は、結晶性が高くて欠陥の少ないベース領域110または半導体基板10をベースとするので、電気的特性に優れている。
【0016】
第2導電型ドーパントは、p型またはn型であってもよい。一例として、ベース領域110がn型を有すると、ベース領域110と光電変換によってキャリアを形成する接合(一例として、トンネル層20を挟んだpn接合)を形成するp型の第1導電型領域32を広く形成して、光電変換面積を増加させることができる。また、この場合には、広い面積を有する第1導電型領域32が、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することで、光電変換効率の向上にさらに寄与することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0017】
そして、半導体基板10は、前面側に位置する前面電界領域130を含むことができる。前面電界領域130は、ベース領域110と同じ導電型を有しながら、ベース領域110よりも高いドーピング濃度を有することができる。
【0018】
本実施例では、前面電界領域130が、半導体基板10に第2導電型ドーパントを相対的に高いドーピング濃度でドープして形成されたドーピング領域として構成された場合を例示した。これによって、前面電界領域130が、第2導電型を有する結晶質(単結晶または多結晶)半導体を含んで半導体基板10の一部を構成するようになる。一例として、前面電界領域130は、第2導電型を有する単結晶半導体基板(一例として、単結晶シリコンウエハ基板)の一部分を構成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体基板10と異なる別個の半導体層(例えば、非晶質半導体層、微細結晶半導体層、または多結晶半導体層)に第2導電型ドーパントをドープして前面電界領域130を形成してもよい。または、前面電界領域130が、半導体基板10に隣接して形成された層(例えば、パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26)の固定電荷によってドープされたものと類似の役割を果たす電界領域として構成されてもよい。例えば、ベース領域110がn型である場合には、パッシベーション膜24が固定負電荷を有する酸化物(例えば、アルミニウム酸化物)で構成されて、ベース領域110の表面に反転領域(inversion layer)を形成し、これを電界領域として用いることができる。この場合には、半導体基板10が、別途のドーピング領域を備えずにベース領域110のみで構成されて、半導体基板10の欠陥を最小化することができる。その他の様々な方法により様々な構造の前面電界領域130を形成することができる。
【0019】
本実施例において、半導体基板10の前面は、テクスチャリング(texturing)されて、ピラミッドなどの形状の凹凸を有することができる。このようなテクスチャリングにより半導体基板10の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板10の前面を介して入射する光の反射率を低下させることができる。したがって、ベース領域110と第1導電型領域32によって形成されたpn接合まで到達する光の量を増加させることができるので、光損失を最小化することができる。
【0020】
そして、半導体基板10の後面は、鏡面研磨などによって前面よりも低い表面粗さを有する、相対的に滑らかで且つ平坦な面からなることができる。本実施例のように、半導体基板10の後面側に第1及び第2導電型領域32,34が共に形成される場合には、半導体基板10の後面の特性に応じて太陽電池100の特性が大きく変わり得るからである。これによって、半導体基板10の後面にはテクスチャリングによる凹凸を形成しないことで、パッシベーション特性を向上させることができ、これによって、太陽電池100の特性を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、場合によって、半導体基板10の後面にテクスチャリングによる凹凸を形成してもよい。その他の様々な変形も可能である。
【0021】
半導体基板10の後面上で半導体基板10と導電型領域32,34との間にトンネル層20が形成される。トンネル層20によって半導体基板10の後面の界面特性を向上させることができ、光電変換によって生成されたキャリアがトンネル効果によって円滑に伝達されるようにする。このようなトンネル層20は、キャリアがトンネリングされ得る様々な物質を含むことができ、一例として、酸化物などを含むことができる。例えば、トンネル層20は、シリコン酸化物などを含む熱酸化物(thermal oxide material)層であってもよい。このとき、トンネル層20は、半導体基板10の後面に全体的に形成することができる。これによって、半導体基板10の後面を全体的にパッシベーションすることができ、別途のパターニングなしに容易に形成することができる。
【0022】
本実施例において、トンネル層20の厚さT1は半導体層30及び絶縁層40の厚さよりも小さくすることができる。本実施例において、トンネル層20が室温より高い温度及び常圧より低い圧力で形成されることで、トンネル層20が薄い厚さを有すると共に、均一に形成され得る。一例として、トンネル層20の厚さT1が2nm以下(一例として、1.0nm〜1.5nm)であってもよい。このように、トンネル層20の厚さT1が2nm以下で薄い厚さを有すると、キャリアのトンネリング確率を増加させて太陽電池100のフィルファクタ(fill factor、FF)を向上させることができる。特に、トンネル層20の厚さが1.5nm以下(特に、1.4nm以下、より具体的には1.3nm以下)の場合には、太陽電池100のフィルファクタを大きく向上させることができる。しかし、トンネル層20の厚さが1.0nm未満の場合には、トンネル層20を均一に形成しにくいことがある。そして、半導体層30のドーパントがトンネル層20を通過して半導体基板10まで拡散して再結合を誘導するか、または半導体基板10の結晶性に影響を受けてトンネル層20の水素パッシベーション特性が低下することがあり、これにより、開放電圧(implied Voc)が低下することがある。
【0023】
トンネル層20の製造方法及び厚さT1については、後で製造方法でより詳細に説明する。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20の厚さT1がこれとは異なる値を有することもできる。
【0024】
トンネル層20上には、導電型領域32,34及びバリア領域36を含む半導体層30が位置することができる。半導体層30の導電型領域32,34は、第1又は第2導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含み、バリア領域36は、第1及び第2導電型ドーパントを含まない半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。
【0025】
より具体的に、導電型領域32,34は、第1導電型ドーパントを有して第1導電型を示す第1導電型領域32と、第2導電型ドーパントを有して第2導電型を示す第2導電型領域34とを含むことができる。真性を有するバリア領域36は、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置することができる。
【0026】
半導体層30の一部を構成する第1導電型領域32は、トンネル層20を挟んでベース領域110とpn接合(又は、pnトンネル接合)を形成して、光電変換によってキャリアを生成するエミッタ領域を構成する。このとき、第1導電型領域32は、ベース領域110と反対の第1導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。第1導電型ドーパントは、半導体層30を形成する工程において半導体層30に共に含まれるか、または、半導体層30を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層30に含まれてもよい。
【0027】
このとき、第1導電型ドーパントは、ベース領域110と反対の導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第1導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。第1導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。
【0028】
半導体層30の一部を構成する第2導電型領域34は、後面電界(back surface field)を形成して、半導体基板10の表面(より正確には、半導体基板10の後面)で再結合によってキャリアの損失が発生することを防止する後面電界領域を構成する。第2導電型領域34は、ベース領域110と同一の第2導電型ドーパントを含む半導体(一例として、シリコン)を含むことができる。このとき、第2導電型ドーパントは、半導体層30を形成する工程において半導体層30に共に含まれるか、または、半導体層30を形成した後に熱拡散法、イオン注入法などの様々なドーピング方法により半導体層に含まれてもよい。
【0029】
このとき、第2導電型ドーパントは、ベース領域110と同じ導電型を示すことができるドーパントであれば足りる。すなわち、第2導電型ドーパントがn型である場合には、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。第2導電型ドーパントがp型である場合には、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を使用することができる。
【0030】
ここで、ベース領域110と同一の導電型を有する第2導電型領域34の面積よりも、ベース領域110と異なる導電型を有する第1導電型領域32の面積を広く形成することができる。これによって、ベース領域110と第1導電型領域32との間でトンネル層20を通じて形成されるpn接合をさらに広く形成することができる。このとき、ベース領域110及び第2導電型領域34がn型の導電型を有し、第1導電型領域32がp型の導電型を有する場合に、広く形成された第1導電型領域32によって、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。このような第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の平面構造は、
図2を参照してより詳細に後述する。
【0031】
本実施例では、バリア領域36が第1導電型領域32と第2導電型領域34との間を全体的に離隔する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。バリア領域36が、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界の一部のみを離隔させるように形成されてもよい。これによれば、第1導電型領域32と第2導電型領域34との境界の他の一部は互いに接触することもできる。また、バリア領域36を必ず備えなければならないわけではなく、第1導電型領域32と第2導電型領域34とが全体的に接触して形成されることも可能である。その他の様々な変形が可能である。
【0032】
本実施例において、第1導電型領域32、第2導電型領域34、そして、バリア領域36は、半導体基板10の同一の一面(一例として、後面)上で同一平面上に形成され、実質的に同じ厚さを有する連続的な1つの半導体層30によって形成されてもよい。一例として、半導体物質を含む半導体層30を形成した後、半導体層30の一部の領域に第1導電型ドーパントをドープして第1導電型領域32を形成し、他の領域の一部に第2導電型ドーパントをドープして第2導電型領域34を形成すると、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が形成されていない領域がバリア領域36を構成することができる。これによれば、第1導電型領域32、第2導電型領域34及びバリア領域36の製造方法を単純化することができる。
【0033】
しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のうちの一方のみが、半導体基板10の後面に位置した半導体層30に位置し、他方は半導体基板10の内部に位置してもよい。これについては、
図4A乃至
図4Hを参照して説明する。または、第1導電型領域32及び第2導電型領域34のうちの一方のみが、半導体基板10の後面に位置した半導体層30に位置し、他方は半導体基板10の前面に位置した他の半導体層に位置することができる。この場合には、半導体基板10の前面に他のトンネル層、半導体層及び絶縁層が形成され得る。したがって、本明細書において、導電型領域32,34、電極42,44及び絶縁層40についての説明は、第1導電型領域32、第1電極42、絶縁層40に対する説明であってもよく、第2導電型領域34、第2電極44、絶縁層40に対する説明であってもよい。その他の様々な変形が可能であることはもちろんである。
【0034】
半導体層30上に絶縁層40を形成することができる。絶縁層40は、第1導電型領域32と第1電極42との接続のための第1開口部402と、第2導電型領域34と第2電極44との接続のための第2開口部404とを備える。これによって、絶縁層40は、第1導電型領域32及び第2導電型領域34が接続されてはならない電極(即ち、第1導電型領域32の場合には第2電極44、第2導電型領域34の場合には第1電極42)と接続されることを防止する役割を果たす。また、絶縁層40は、半導体層30をパッシベーションする効果を有することができる。
【0035】
半導体層30上で電極42,44が位置していない部分に絶縁層40が位置することができる。絶縁層40は、トンネル層20よりも厚い厚さを有することができる。これによって、絶縁特性及びパッシベーション特性を向上させることができる。
【0036】
絶縁層40は、様々な絶縁物質(例えば、酸化物、窒化物など)からなることができる。一例として、絶縁層40は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、Al
2O
3、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、絶縁層40が様々な物質を含むことができることはもちろんである。
【0037】
半導体基板10の後面に位置する電極42,44は、第1導電型領域32に電気的及び物理的に接続される第1電極42と、第2導電型領域34に電気的及び物理的に接続される第2電極44とを含む。
【0038】
このとき、第1電極42は、絶縁層40の第1開口部402を貫通して第1導電型領域32に接続され、第2電極44は、絶縁層40の第2開口部404を貫通して第2導電型領域34に接続される。このような第1及び第2電極42,44としては様々な金属物質を含むことができる。そして、第1及び第2電極42,44は、互いに電気的に接続されずに第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続されて、生成されたキャリアを収集して外部に伝達できる様々な平面形状を有することができる。すなわち、本発明が第1及び第2電極42,44の平面形状に限定されるものではない。
【0039】
以下では、
図1及び
図2を参照して、第1導電型領域32及び第2導電型領域34、バリア領域36、そして、第1及び第2電極42,44の平面形状を詳細に説明する。
【0040】
図1及び
図2を参照すると、本実施例では、第1導電型領域32及び第2導電型領域34はそれぞれ、ストライプ状をなすように長く形成されると共に、長手方向と交差する方向において互いに交互に位置している。第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に、これらを離隔させるバリア領域36が位置することができる。図示していないが、互いに離隔した複数の第1導電型領域32が一側縁部で互いに接続され、互いに離隔した複数の第2導電型領域34が他側縁部で互いに接続されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0041】
このとき、第1導電型領域32の面積を第2導電型領域34の面積よりも大きくすることができる。一例として、第1導電型領域32及び第2導電型領域34の面積は、これらの幅を異ならせることによって調節することができる。すなわち、第1導電型領域32の幅W1を第2導電型領域34の幅W2よりも大きくすることができる。これによって、エミッタ領域を構成する第1導電型領域32の面積を十分に形成して、光電変換が広い領域で起こるようにすることができる。このとき、第1導電型領域32がp型を有する場合、第1導電型領域32の面積を十分に確保することで、移動速度が相対的に遅い正孔を効果的に収集することができる。
【0042】
そして、第1電極42が、第1導電型領域32に対応してストライプ状に形成され、第2電極44が、第2導電型領域34に対応してストライプ状に形成されてもよい。第1及び第2開口部(
図1の参照符号402,404、以下同様)のそれぞれが、第1及び第2電極42,44に対応して第1及び第2電極42,44の全長に形成されてもよい。これによると、第1及び第2電極42,44と第1導電型領域32及び第2導電型領域34との接触面積を最大化して、キャリア収集効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。第1及び第2開口部402,404が、第1及び第2電極42,44の一部のみを第1導電型領域32及び第2導電型領域34にそれぞれ接続するように形成されてもよいことはもちろんである。例えば、第1及び第2開口部402,404が複数個のコンタクトホールとして構成されてもよい。そして、図示していないが、第1電極42が一側縁部で互いに接続されて形成され、第2電極44が他側縁部で互いに接続されて形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
再び
図1を参照すると、半導体基板10の前面上(より正確には、半導体基板10の前面に形成された前面電界領域130上)にパッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26が位置することができる。実施例によって、半導体基板10上にパッシベーション膜24のみが形成されてもよく、半導体基板10上に反射防止膜26のみが形成されてもよく、または半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に位置してもよい。図では、半導体基板10上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26が順に形成され、半導体基板10がパッシベーション膜24と接触して形成される場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体基板10が反射防止膜26に接触して形成されることも可能であり、その他の様々な変形が可能である。
【0044】
パッシベーション膜24及び反射防止膜26は、実質的に半導体基板10の前面に全体的に形成することができる。ここで、全体的に形成するということは、物理的に完璧に全てに形成されたことのみならず、不可避に一部の除外された部分がある場合を含む。
【0045】
パッシベーション膜24は、半導体基板10の前面に接触して形成されて、半導体基板10の前面またはバルク内に存在する欠陥を不動化させる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去して、太陽電池100の開放電圧を増加させることができる。反射防止膜26は、半導体基板10の前面に入射する光の反射率を減少させる。これによって、ベース領域110と第1導電型領域32との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池100の短絡電流(Isc)を増加させることができる。このように、パッシベーション膜24及び反射防止膜26によって太陽電池100の開放電圧と短絡電流を増加させることで、太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0046】
パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、様々な物質で形成することができる。一例として、パッシベーション膜24及び/又は反射防止膜26は、シリコン窒化膜、水素含有シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、アルミニウム酸化膜、MgF
2、ZnS、TiO
2及びCeO
2からなる群から選択されたいずれか1つの単一膜、または2つ以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。一例として、パッシベーション膜24はシリコン酸化物を含み、反射防止膜26はシリコン窒化物を含むことができる。
【0047】
本実施例に係る太陽電池100に光が入射すると、ベース領域110と第1導電型領域32との間に形成されたpn接合での光電変換によって電子と正孔が生成され、生成された正孔及び電子は、トンネル層20をトンネリングして、それぞれ第1導電型領域32及び第2導電型領域34に移動した後、第1及び第2電極42,44に移動する。これによって、電気エネルギーを生成するようになる。
【0048】
本実施例のように、半導体基板10の後面に電極42,44が形成され、半導体基板10の前面には電極が形成されない後面電極構造の太陽電池100においては、半導体基板10の前面でシェーディング損失(shading loss)を最小化することができる。これによって太陽電池100の効率を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0049】
上述した構造の太陽電池100の製造方法を、
図3A乃至
図3Gを参照して詳細に説明する。
図3A乃至
図3Gは、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【0050】
まず、
図3Aに示すように、第2導電型ドーパントを有するベース領域110で構成される半導体基板10を準備する。本実施例において、半導体基板10は、n型のドーパントを有するシリコン基板(一例として、シリコンウエハ)からなることができる。n型のドーパントとしては、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を使用することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、ベース領域110がp型のドーパントを有してもよい。
【0051】
このとき、半導体基板10の前面及び後面のうちの少なくとも一面が凹凸を有するようにテクスチャリングしてもよい。半導体基板10の表面のテクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングを用いることができる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板10を浸漬することによって行うことができ、工程時間が短いという利点がある。乾式テクスチャリングは、ダイヤモンドグリルまたはレーザーなどを用いて半導体基板10の表面を削ることであって、凹凸を均一に形成することができる一方、工程時間が長く、半導体基板10に損傷が発生し得る。その他に、反応性イオンエッチング(RIE)などにより半導体基板10をテクスチャリングすることもできる。このように、本発明では、様々な方法で半導体基板10をテクスチャリングすることができる。
【0052】
一例として、半導体基板10の前面が凹凸を有するようにテクスチャリングされ、半導体基板10の後面が、鏡面研磨などによって処理されて、半導体基板10の前面よりも小さい表面粗さを有する平坦な面として構成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な構造の半導体基板10を使用することができる。
【0053】
次いで、
図3Bに示すように、半導体基板10の後面上にトンネル層20を形成する。トンネル層20は、半導体基板10の後面に全体的に形成することができる。
【0054】
本実施例において、トンネル層20は、室温より高い温度及び常圧より小さい圧力で原料気体を含む気体雰囲気で形成することができる。本実施例では、原料気体が酸素気体を含むことで、トンネル層20が酸化物層で構成されてもよい。より具体的には、高い温度でトンネル層20が、酸素と半導体基板10の半導体物質(例えば、シリコン)とが反応して形成される熱酸化物(thermal oxide material)(例えば、熱シリコン酸化物)層で構成されてもよい。
【0055】
このように、本実施例では、原料気体が、トンネル層20を構成する全ての原料物質を含まずに、トンネル層20を構成する酸化物のうち酸素気体のみを含み、他の原料物質を含まない。例えば、トンネル層20がシリコン酸化物を含むとき、原料気体として酸素気体のみを備えるだけで、他の原料物質であるシリコンを含む気体を含まない。これによって、酸素気体の酸素が半導体基板10の内部に拡散して半導体物質と反応する熱酸化工程によって、トンネル層20が形成される。これとは異なり、蒸着工程などでは、酸素を含む酸素気体と共に、シリコンを含むシラン(SiH
4)気体を原料気体として共に供給する。すると、熱分解によって酸素気体から分離された酸素と、シランの気体から分離されたシリコンとが化学的に反応してシリコン酸化物を形成する。
【0056】
トンネル層20を形成するとき、気体雰囲気は、原料気体である酸素気体以外にも様々な気体を含むことができる。例えば、気体雰囲気が窒素気体及び塩素気体をさらに含むことができる。塩素気体は、熱酸化工程中に不純物粒子を吸着して、形成されるトンネル層20の純度を向上させる役割を果たす。窒素気体は、トンネル層20の成長速度の調節に関与し、漏れ電流及びドーパントの浸透(dopant penetration)と関連するトンネル層20の均一度の調節に関与する。
【0057】
このとき、塩素気体はトンネル層20の成長速度を増加させ得るので、塩素気体は酸素気体よりも少ない量を含むことができる。一例として、酸素気体:塩素気体の体積比が1:0.05〜1:0.1であってもよい。前記比率が1:0.05未満であると、塩素気体によって純度を向上させる効果が十分でないことがある。前記比率が1:0.1を超えると、塩素気体が必要な量よりも多く含むので、むしろトンネル層20の純度が低下することがあり、成長速度が増加してトンネル層20の厚さを増加させることがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。窒素気体の量は、トンネル層20が形成されるチャンバー(chamber)の大きさを考慮して調節可能である。酸素気体、塩素気体及び窒素気体の総量は、必要な圧力を有することができるように調節可能である。
【0058】
上述したように、高い温度で熱酸化工程によってトンネル層20を形成する場合、トンネル層20の厚さが容易に厚くなることがあるため、本実施例では、常圧よりも低い圧力でトンネル層20を形成する。すると、トンネル層20の厚さが速く増加することを防止して(トンネル層20の成長速度を制御して)、トンネル層20が全体的に均一且つ薄い厚さを有することができる。
【0059】
より具体的に、トンネル層20の形成時の温度が600℃以上であり、圧力が2Torr以下であってもよい。ここで、圧力とは、原料気体と共に、それ以外の他の気体などを全て含んだ圧力であって、トンネル層20の製造装置の内部の圧力を意味することができる。
【0060】
トンネル層20の形成時の温度を600℃以上として、トンネル層20の膜密度を向上させ、界面トラップ濃度(interface trap density、Dit)を下げて、トンネル層20のパッシベーション特性を向上させることができる。そして、トンネル層20の後に形成される半導体層30と類似の温度でトンネル層20を形成することができる。これによって、トンネル層20と半導体層30を連続的な工程で形成することができ、これについてはより詳細に後述する。
【0061】
このとき、圧力を2Torr以下に維持すれば、高い温度による熱酸化工程によりトンネル層20を形成しても、低い圧力によってトンネル層20の成長速度を低く維持することができる。これによって、トンネル層20の厚さを大きく減少させることができる。
【0062】
より具体的には、トンネル層20の形成時の温度が600℃〜800℃であり、圧力が0.01Torr〜2Torrであってもよい。トンネル層20の形成時の温度が800℃を超えると、圧力を下げても、トンネル層20の厚さを制御しにくく、トンネル層20の厚さの変動が大きくなることがある。トンネル層20の厚さをより効果的に制御できるように、トンネル層20の形成時の温度が600℃〜700℃であってもよい。トンネル層20の形成時の圧力が0.1Torr未満を維持することはコストなどが多くかかり、トンネル層20の製造装置に負担を与えることがある。コストなどをさらに考慮すると、トンネル層20の形成時の圧力が0.5Torr〜2Torrであってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20の形成時の温度、圧力などが変化してもよい。
【0063】
トンネル層20を形成する工程は5分〜30分間行うことができる。トンネル層20を形成する工程が5分未満で行われると、トンネル層20を所望の厚さに形成しにくく、またはトンネル層20の厚さの均一度が低いことがある。トンネル層20を形成する工程が30分を超えて行われると、トンネル層20が所望の厚さよりも大きい厚さを有することがあり、工程時間が長くなることがある。トンネル層20が所望の厚さで、より均一に形成されるために、工程時間が10分〜20分であってもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、工程時間は様々に変形可能である。
【0064】
一例として、本実施例では、トンネル層20の厚さが2nm以下であってもよい。このようにトンネル層20の厚さを薄くすると、トンネリング確率を増加させて太陽電池100のフィルファクタを向上させることができる。より具体的には、トンネル層20の厚さが1.5nm以下(例えば、1.0nm〜1.5nm)であってもよい。トンネル層20の厚さが1.5nm以下であると、太陽電池100のフィルファクタをより向上させることができる。このとき、トンネル層20の厚さT1が1.4nm以下(より具体的には、1.3nm以下)であると、フィルファクタを大きく向上させることができる。トンネル層20の厚さT1が1.0nmであると、トンネル層20を均一に形成しにくく、トンネル層20の効果を十分に発揮しにくいことがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20の厚さが、異なる値を有してもよい。
【0065】
一方、既存の半導体分野などでは、太陽電池のトンネル層のようにトンネリングが行われ得る薄い厚さの酸化物層を必要としなかった。すなわち、半導体分野などでは、酸化物層は、トンネリングが行われない範囲内で厚さを調節しただけで、トンネリングが行われる厚さで酸化物層を形成すべき必要がなかった。また、温度と共に圧力を調節してトンネル層の厚さを制御できることを認識していなかった。そのため、従来の太陽電池には、既に半導体分野などで使用していた湿式酸化(wet oxidation)、常圧の炉(furnace)内で熱酸化などの方法をそのまま使用してトンネル層を形成した。これにより、トンネリングが円滑に行われ得る程度にトンネル層を薄くて均一に形成するのに困難があった。
【0066】
反面、上述したように、本実施例では、高い温度で行われる熱酸化工程によってトンネル層20を形成し、従来とは異なり、常圧よりも低い圧力によって熱酸化の速度を調節する。これによって、トンネリングが円滑に行われ得る程度の厚さでトンネル層20を薄くて均一に形成することができる。このように、温度と圧力を共に制御しなければならないので、圧力の調節が不可能な従来の炉(furnace)で本実施例のトンネル層20を形成することができず、温度及び圧力の調節が全て可能な装置内でトンネル層20を形成しなければならない。これによって本実施例では、トンネル層20は、蒸着装置などの内部で熱酸化工程によって形成することができる。このとき、低い圧力を具現しなければならないので、トンネル層20が低圧化学気相蒸着装置(low pressure chemical vapor deposition apparatus)内で形成されてもよい。
【0067】
トンネル層20上に形成される半導体層(
図3Cの参照符号30)が蒸着装置によって形成されるので、トンネル層20を蒸着装置で形成すれば、トンネル層20と半導体層30を同じ蒸着装置(より具体的には、低圧化学気相蒸着装置)内で連続的に行われるインサイチュ(in−situ)工程によって形成することができる。このように、トンネル層20と半導体層30をインサイチュ工程によって形成する場合、製造工程を大きく単純化することができ、製造コスト、製造時間などを大きく低減することができる。
【0068】
蒸着装置内の温度は、長時間熱を加えたり、熱を冷ますことによって調節され、温度を安定化させるために時間が多くかかる一方、気体雰囲気及び圧力は、蒸着装置内に供給される気体の種類、量などによって調節することができる。したがって、気体雰囲気及び圧力は、温度より容易に制御することができる。
【0069】
これを考慮して、本実施例では、トンネル層20の形成温度と半導体層30の蒸着工程の温度との差が200℃以内(即ち、0℃〜200℃)となるようにすることができる。より具体的には、トンネル層20の形成温度と半導体層30の蒸着工程の温度との差を100℃以内(即ち、0℃〜100℃)となるようにすることができる。これは、トンネル層20を低圧で形成するので、トンネル層20の形成温度を相対的に上げることができ、半導体層30の蒸着工程との温度差を減少させることができるからである。このように、相対的に調節が難しい温度を大きな変化なしに維持できるので、トンネル層20と半導体層30を連続的に形成するインサイチュ工程の効率をより向上させることができる。一方、半導体層30の蒸着工程の気体雰囲気は、トンネル層20の形成時の気体雰囲気と異なり、半導体層30の蒸着工程の圧力は、トンネル層20の形成時の圧力と同一または異なってもよい。これについては、半導体層30の蒸着工程を説明しながらより詳細に後述する。
【0070】
次に、
図3C及び
図3Dに示すように、トンネル層20上に半導体層30を形成する。本実施例において、半導体層30は、半導体基板10の後面に全体的に形成することができる。これをより詳細に説明する。
【0071】
まず、
図3Cに示すように、トンネル層20上に半導体物質を蒸着する蒸着工程によって、ドープされていない真性の半導体層30を形成する。
【0072】
本実施例において、真性の半導体層30は、化学気相蒸着によって形成することができ、より具体的には、低圧化学気相蒸着によって形成することができる。これによって、上述したように、真性の半導体層30がトンネル層20とインサイチュ工程によって形成されてもよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20及び半導体層30にインサイチュ工程が適用されなくてもよい。
【0073】
半導体層30の蒸着工程に用いられる気体は、半導体層30を構成する半導体物質を含む気体(例えば、シラン気体)を含むことができる。本実施例では、真性を有するように半導体層30を蒸着するので、気体雰囲気が、半導体物質を含む気体のみで構成され得る。これによって供給気体を単純化することができ、形成される半導体層30の純度を向上させることができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体層30の蒸着工程を促進したり、または半導体層30の特性を向上させるための別途の気体などをさらに使用することができる。また、半導体層30の蒸着工程において第1及び第2導電型ドーパントのドーピングを共に行う場合には、第1又は第2導電型ドーパントを含む気体(例えば、B
2H
6、PH
3など)をさらに含むことができる。これについては、
図4A乃至
図4Hを参照して詳細に後述する。
【0074】
そして、半導体層30の蒸着工程では、半導体物質を含む気体以外にも、亜酸化窒素(N
2O)気体及び/又は酸素(O
2)気体を共に注入して、結晶粒の大きさ、結晶性などを調節することができる。
【0075】
半導体層30の蒸着温度は、トンネル層20の形成時の温度と同一またはそれより低くてもよい。特に、半導体層30の蒸着温度をトンネル層20の形成時の温度よりも低くすると、光電変換に直接的に関与する半導体層30の特性を均一にすることができる。または、半導体層30の蒸着温度は500℃〜700℃であってもよい。これは、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層30を蒸着するのに適した温度に限定されたものである。特に、本実施例でのように半導体層30がドープされていない場合には、ドープされた場合よりも相対的に反応速度が小さいので、半導体層30の蒸着温度が600℃〜700℃であってもよい。これによれば、トンネル層20の形成時の温度との偏差をさらに減少させることができる。
【0076】
上述したように、トンネル層20の温度を半導体層30の蒸着温度と同一またはほぼ同一にしたので、温度を調節するための時間、温度を安定化させるための時間などが不要であるので、工程を単純化することができる。
【0077】
そして、半導体層30の蒸着圧力は0.01Torr〜0.5Torrであってもよい。蒸着圧力を0.01Torr未満に維持することは、工程上限界があり、半導体層30の工程時間が大幅に長くなって実際の量産に適用しにくいことがある。蒸着圧力が0.5Torrを超えると、半導体層30の均一度が低下することがある。または、半導体層30の蒸着圧力は、トンネル層20の形成時の圧力と同一またはそれより小さくてもよい。特に、半導体層30の蒸着圧力をトンネル層20の形成時の圧力よりも小さくすると、光電変換に直接的に関与する半導体層30の特性を均一にすることができる。
【0078】
これをより詳細に説明する。半導体物質(例えば、シリコン)を含む気体が熱分解されて、半導体物質がトンネル層20上に蒸着されることによって半導体層30が形成される。ところで、蒸着速度を増加させるために温度及び/又は圧力を増加させる場合、半導体層30の内部で結晶性の変動が大きくなる。半導体層30の結晶性は、キャリアの移動速度などに関与することになるので、半導体層30の結晶性の変動が大きくなると、半導体層30の特性が不均一となり得る。反面、トンネル層20は非常に薄い厚さに形成され、結晶性がトンネル層20の特性に大きな影響を及ぼさない。これを考慮して、半導体層30がトンネル層20よりも厚い厚さに形成されなければならないにもかかわらず、半導層30の蒸着温度及び/又は圧力をトンネル層20の形成時よりも低くして半導体層30の特性を向上させるものである。
【0079】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体層30の気体雰囲気、温度、圧力などは様々に変化可能である。
【0080】
このように、半導体層30は、トンネル層20の形成後に供給される気体の種類を変更し、供給される気体の量を調節することによって形成することができる。例えば、トンネル層20の形成が完了した後、トンネル層20の形成時に用いられた気体(例えば、酸素気体、窒素気体、塩素気体など)をポンピング(pumping)及びパージ(purge)によって除去した後、半導体層30を形成するための気体(例えば、半導体物質を含む気体など)を注入することによって半導体層30を形成することができる。
【0081】
これによって、トンネル層20及び半導体層30の形成工程を単純化することができる。また、従来のように、トンネル層を形成した後、トンネル層が形成された半導体基板を装置の外部に取り出す場合、トンネル層が不純物に汚染されるか、または追加的な酸化によってトンネル層の厚さが厚くなるという問題があった。本実施例では、トンネル層20を形成した装置内で半導体層30を連続して形成するので、トンネル層20が半導体層30の形成前に外部に露出されない。したがって、トンネル層20が半導体層30の形成前に外部に露出して発生し得る問題を防止することができる。
【0082】
次いで、
図3Dに示すように、真性の半導体層30に第1及び第2導電型ドーパントをドープして、第1導電型領域32、第2導電型領域34、及びバリア領域36を含む半導体層30を形成する。例えば、第1導電型領域32に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などのような様々な方法により第1導電型ドーパントをドープし、第2導電型領域34に該当する領域に、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などによる様々な方法により第2導電型ドーパントをドープすることができる。すると、第1導電型領域32と第2導電型領域34との間に位置した領域がバリア領域36を構成することになる。
【0083】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、導電型領域32,34、そして、バリア領域36を形成する方法としては、公知の様々な方法を使用することができる。そして、バリア領域36を形成しないなどの様々な変形が可能である。
【0084】
本実施例では、トンネル層20上に半導体物質を蒸着する蒸着工程によって、ドープされていない真性の半導体層30を形成する工程の後、第1及び第2導電型ドーパントを半導体層30にドープして、第1及び第2導電型領域32,34、そして、選択的にバリア領域36を有する半導体層30を形成した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体物質を蒸着する蒸着工程で第1及び/又は第2導電型ドーパントを共にドープすることも可能である。これについては、
図4A乃至
図4Hを参照してより詳細に後述する。
【0085】
次いで、
図3Eに示すように、半導体基板10の前面に第2導電型ドーパントをドープすることで前面電界領域130を形成することができる。前面電界領域130は、イオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などのような様々な方法により形成することができる。その他の様々な方法を使用することができる。また、前面電界領域130が別途に形成されないことも可能である。
【0086】
次いで、
図3Fに示すように、半導体基板10の前面にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を順次形成し、半導体基板10の後面に絶縁層40を形成する。すなわち、半導体基板10の前面上にパッシベーション膜24及び反射防止膜26を全体的に形成し、半導体基板10の後面上に第1及び第2導電型領域32,34を覆うように全体的に絶縁層40を形成する。パッシベーション膜24、反射防止膜26及び絶縁層40は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷またはスプレーコーティングなどのような様々な方法により形成することができる。パッシベーション膜24及び反射防止膜26、そして、絶縁層40の形成順序は多様に変更することができる。
【0087】
次いで、
図3Gに示すように、第1及び第2導電型領域32,34にそれぞれ接続される第1及び第2電極42,44を形成する。
【0088】
一例として、絶縁層40に第1及び第2開口部402,404を形成し、第1及び第2開口部402,404内にメッキ法、蒸着法などの様々な方法で第1及び第2電極42,44を形成することができる。他の実施例として、第1及び第2電極形成用ペーストを絶縁層40上にそれぞれスクリーン印刷などで塗布した後、ファイヤースルー(fire through)またはレーザー焼成コンタクト(laser firing contact)などを行うことで、上述した形状の第1及び第2電極42,44を形成することも可能である。この場合には、第1及び第2電極42,44を形成するときに第1及び第2開口部402,404が形成されるので、別途に第1及び第2開口部402,404を形成する工程を追加しなくて済む。
【0089】
本実施例によれば、トンネル層20を室温より高い温度、常圧より低い圧力で形成することで、トンネル層20を均一且つ薄く形成することができる。すると、トンネル層20のトンネリング確率が増加し、太陽電池100の特性を向上させることができる。そして、化学気相蒸着装置内でトンネル層20を形成できるので、化学気相蒸着装置内で形成される半導体層30とインサイチュ工程によって形成することができる。これによって、太陽電池100の製造工程を単純化して、製造コスト及び製造時間を大きく低減することができる。
【0090】
上述した実施例では、トンネル層20、導電型領域32,34、バリア領域36を形成した後、前面電界層130を形成し、パッシベーション膜24、反射防止膜26及び絶縁層40を形成した後、第1及び第2電極42,44を形成する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、トンネル層20、第2導電型領域32,34、バリア領域36,パッシベーション膜24、反射防止膜26及び絶縁層40の形成順序は様々に変更可能である。また、一部が形成されないなどの様々な変更が可能である。
【0091】
そして、図では、トンネル層20、半導体層30などが半導体基板10の後面にのみ形成される場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20、半導体層30が、半導体基板10の後面と共に、側面及び/又は前面にも形成可能である。半導体基板10の側面及び/又は前面に位置するトンネル層、半導体層は、太陽電池100の製造方法の工程中に除去されてもよく、そのまま残って太陽電池100の一部を構成してもよい。例えば、半導体基板10の前面に形成されたトンネル層と半導体層をそのまま残し、第1及び第2導電型領域32,34のうちの一方は、半導体基板10の後面に位置する半導体層30に位置するようにし、他方は、半導体基板10の前面に位置する半導体層に位置するようにすることができる。その他の様々な変形が可能である。
【0092】
以下、
図4A乃至
図4Hを参照して、本発明の他の実施例に係る太陽電池の製造方法及びそれによって製造された太陽電池を詳細に説明する。上述した説明と同一又は極めて類似の部分に対しては、上述の説明をそのまま適用できるので、詳細な説明を省略し、互いに異なる部分に対してのみ詳細に説明する。そして、上述した実施例又はその変形例と下記の実施例又はその変形例を互いに結合したものもまた本発明の範囲に属する。
【0093】
図4A乃至
図4Hは、本発明の他の実施例に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
【0094】
まず、
図4Aに示すように、半導体基板10上にトンネル層20を形成する。
【0095】
次いで、
図4B乃至
図4Dに示すように、トンネル層20上に半導体層30を形成する。本実施例において、半導体層30は、第1導電型ドーパントがドープされた第1導電型領域32で構成されてもよい。すなわち、第1導電型領域32がトンネル層20上に全体的に形成されてもよい。
【0096】
本実施例において、半導体層30は化学気相蒸着によって形成することができ、より具体的には、低圧化学気相蒸着によって形成することができる。これによって、上述したように、真性の半導体層30がトンネル層20とインサイチュ工程によって形成され得る。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、トンネル層20及び半導体層30にインサイチュ工程を適用しなくてもよい。
【0097】
半導体層30の蒸着工程に用いられる気体は、半導体層30を構成する半導体物質を含む気体(例えば、シラン気体)と、第1導電型ドーパントを含む気体(例えば、B
2H
6、PH
3など)とを含むことができる。このとき、半導体物質を含む気体:第1導電型ドーパントを含む気体の体積比は、1:0.05〜1:0.2であってもよい。このような範囲内で、第1導電型ドーパントを含む半導体層30が安定的に成長することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体物質を含む気体、第1導電型ドーパントなどの体積比は様々に変更可能である。
【0098】
そして、半導体層30の蒸着工程では、半導体物質を含む気体以外にも、亜酸化窒素(N
2O)気体及び/又は酸素(O
2)気体を共に注入して、結晶粒の大きさ、結晶性などを調節することができます。
【0099】
半導体層30の蒸着温度は、トンネル層20の形成時の温度と同一またはそれより低くてもよい。または、半導体層30の蒸着温度は500℃〜700℃であってもよい。これは、半導体基板10と異なる結晶構造を有する半導体層30を蒸着するのに適した温度に限定されたものである。特に、本実施例でのように半導体層30が、ドープされた第1導電型領域32からなる場合には、相対的に反応速度が大きいので、半導体層30の蒸着温度が500℃〜600℃であってもよい。そして、半導体層30の蒸着圧力は0.01Torr〜0.5Torrであってもよい。
【0100】
しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、半導体層30の気体雰囲気、温度、圧力などは様々に変化可能である。
【0101】
このように、本実施例では、半導体層30を蒸着する工程で第1導電型ドーパントをドープすることで、第1導電型ドーパントをドープする別途の工程を省略することができる。本実施例では、相対的に広い面積で形成される第1導電型領域32を全体的に形成して、工程の効率性を向上させた。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体層30を蒸着する工程で第2導電型ドーパントをドープすることも可能であり、場合によって、第1及び第2導電型ドーパントを共にドープすることもできる。
【0102】
次いで、
図4Cに示すように、半導体層30上にキャッピング膜300を形成し、活性化熱処理温度で熱処理して、第1導電型ドーパントを活性化する。
【0103】
キャッピング膜300は、第1導電型領域32を含む半導体層30上に全体的に形成されて、活性化熱処理中に第1導電型領域32に位置する第1導電型ドーパントが外部に拡散することを防止することができる。キャッピング膜300は、様々な方法により形成された様々な物質を含む膜であってもよい。
【0104】
一例として、キャッピング膜300は、蒸着工程または熱酸化工程によって形成される層であってもよい。このとき、キャッピング膜300は、トンネル層20と同一または類似の物質(例えば、シリコン酸化物)を含むことができる。例えば、キャッピング膜300は、トンネル層20と同一または類似の条件下で行われる熱酸化工程によって形成されるシリコン酸化物膜であってもよい。ただし、キャッピング膜300の厚さは50nm〜100nmであってもよい。キャッピング膜300の厚さが50nm未満であると、キャッピング膜300の役割を十分に行うことが難しく、キャッピング膜300の厚さが100nmを超えると、キャッピング膜300を形成するための時間、コストなどが増加することがある。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、キャッピング膜300の物質、厚さなどは様々に変化可能である。
【0105】
このように、キャッピング膜300がトンネル層20と同一または類似の物質で構成される場合、キャッピング膜300をトンネル層20及び半導体層30と共にインサイチュ工程によって形成することができる。ただし、キャッピング膜300は、トンネル層20とは異なり、均一度などを大きく考慮しなくてもよく、厚さがトンネル層20よりも非常に大きいので、工程条件がトンネル層20とは多少異なり得る。
【0106】
例えば、キャッピング膜300の形成時の気体は、トンネル層20の気体と同一またはほぼ同一であるので、酸素気体、塩素気体及び窒素気体を含むことができる。ただし、トンネル層20よりも大きい厚さに速く成長できるように、塩素気体を酸素気体と同一またはそれより多く含むことができる。一例として、酸素気体:塩素気体の体積比が1:1〜1:100(より具体的には、1:25〜1:100)であってもよい。これによれば、塩素気体によって成長速度が増加してキャッピング膜300を速く成長させることで、工程時間を短縮することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、気体雰囲気が様々に変化可能である。
【0107】
そして、キャッピング膜300を形成する熱酸化工程は、圧力、温度及び工程時間がトンネル層20の形成時の圧力、温度及び工程時間よりもそれぞれ大きくてもよい。例えば、キャッピング膜300の形成時の圧力が1.5Torr〜2.0Torr、温度が700℃〜900℃、工程時間が10分〜60分であってもよい。このような圧力、温度、工程時間は、キャッピング膜300の形成時に適合するように限定されたものであるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0108】
しかし、キャッピング膜300を形成する工程は必須のものではなく、実施例に応じて省略してもよい。
【0109】
そして、第1導電型ドーパントのドーピング後に第1導電型ドーパントを活性化する活性化熱処理を行うと、第1導電型領域32の特性を向上させることができる。特に、イオン注入法によって第1及び第2導電型ドーパントをドープする場合には活性化熱処理を行うことで、第1導電型領域32の特性を向上させることができる。より具体的には、第1導電型ドーパントのドーピング後に、格子位置ではない位置に位置することがあるが、この場合には、ドーパントとしての役割を効果的に行うことが難しい。したがって、ドーピング後に活性化熱処理を施して第1導電型ドーパントを格子位置に移動させて、ドーパントとしての役割を効果的に行うようにする。しかし、活性化熱処理が必須の工程ではなく、実施例に応じて省略してもよく、ドーピング直後ではなく、以降の他の工程で行われてもよい。
【0110】
一例として、活性化熱処理は、キャッピング膜300を形成する温度、圧力、気体雰囲気と同一または類似の雰囲気で行うことができる。この場合には、キャッピング膜300の形成後に活性化熱処理を行うことができる。または、キャッピング膜300を形成する工程で活性化熱処理を行うか、または活性化熱処理を行う工程にキャッピング膜300を形成する工程を含ませるなどが可能である。
【0111】
または、活性化熱処理は、半導体層30及びキャッピング膜300を形成する温度、圧力及び気体雰囲気のいずれか1つを異ならせて行うことができる。この場合には、キャッピング膜300を形成した後に活性化熱処理を行うことができる。例えば、活性化熱処理の温度を半導体層30及びキャッピング膜300を形成する温度よりも大きくすることができる。これによって、活性化熱処理による効果を最大化することができる。
【0112】
本実施例では、活性化熱処理が、1.0Torr〜2.0Torrの圧力、800℃〜900℃の温度、窒素雰囲気で10分〜60分間行われてもよい。すると、活性化熱処理に適した温度、圧力、気体雰囲気によって、活性化熱処理による効果を最大化することができる。
【0113】
このように、活性化熱処理もまた、トンネル層20、半導体層30及びキャッピング膜300とインサイチュ工程によって行うことができる。このとき、活性化熱処理をトンネル層20、半導体層30及びキャッピング膜300と共に低圧化学気相蒸着装置内で低圧で行うと、温度変動を減らし、活性化熱処理によって半導体基板10、半導体層30などに均等に活性化することができる。
【0114】
本実施例では、キャッピング膜300が、第1導電型ドーパントを有する第1導電型領域32上に位置し、熱処理によって第1導電型ドーパントを活性化することを例示したが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、キャッピング膜300が、
図3Cに示した真性の半導体層30上に形成されてもよい。この場合には、真性の半導体層30のアニーリング熱処理(例えば、非晶質を有する真性の半導体層30を形成した後に、多結晶を有する真性の半導体層30としてアニーリングする熱処理)工程で外部の汚染源によって半導体層30が汚染することを防止し、アニーリング熱処理の効果を向上して、半導体層30の結晶性を向上させることができる。その他にも、キャッピング膜300が様々な工程に適用されて様々な効果を奏することができる。
【0115】
次いで、
図4Dに示すように、キャッピング膜300を除去することができる。キャッピング膜300は、様々な方法により除去することができ、一例として、希釈されたフッ酸(diluted HF)によって除去することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0116】
次いで、
図4Eに示すように、第2導電型領域(
図4Fの参照符号34、以下同様)が形成される部分に対応して半導体層30及びトンネル層20を除去する。当該部分のトンネル層20及び半導体層30を除去する方法としては、公知の様々な方法(一例として、エッチング)などを用いることができる。本発明がこれに限定されるものではない。
【0117】
次いで、
図4Fに示すように、第2導電型ドーパントをドープして、マスク302の開口部302aに該当する半導体基板10の領域に第2導電型領域34を形成する。このとき、ドーピング方法としては、イオン注入法、熱拡散法などの様々な方法を用いることができる。
【0118】
次いで、
図4Gに示すように、半導体基板10の前面に前面電界層130、パッシベーション膜24及び反射防止膜26を形成し、半導体基板10の後面に、第1導電型領域32を含む半導体層30及び半導体基板10を覆う絶縁層40を形成する。このとき、絶縁層40は、第1導電型領域32を含む半導体層30の後面及び側面、そして、半導体層30の間に露出した半導体基板10の後面に形成することができる。
【0119】
次いで、
図4Hに示すように、第1及び第2導電型領域32,34にそれぞれ接続される第1及び第2電極42,44を形成する。
【0120】
本実施例に係る太陽電池100aは、相対的に小さい面積で形成される第2導電型領域34を半導体基板10に形成し、相対的に広い面積を有する第1導電型領域32を半導体基板10上に位置したトンネル層20上に形成する。これによって、半導体基板10に不純物をドープするときに発生し得る半導体基板の特性の低下、損傷などを効果的に防止することができる。また、第1導電型領域32と第2導電型領域34が、互いに離隔した空間で別個に形成されることによって、第1導電型領域32と第2導電型領域34が隣接して発生し得るシャント(shunt)などを防止することができる。これによって太陽電池100aの開放電圧及びフィルファクタを向上させ、太陽電池100aの効率を向上させることができる。
【0121】
このとき、半導体層30の蒸着工程で第1導電型ドーパントを共にドープすることで、工程を単純化することができる。そして、トンネル層20、半導体層30、キャッピング膜300及び活性化熱処理のうちの少なくとも一部の工程を同じ装置(例えば、低圧化学気相蒸着装置)内で連続的に行うことで、工程を最小化することができる。
【0122】
以下、本発明の実験例を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実験例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明が下記の実験例に限定されるものではない。
【0123】
実験例1
シリコンウエハからなる半導体基板を低圧化学気相蒸着装置内で10分間の熱酸化工程によってトンネル層を形成した。低圧化学気相蒸着装置内の圧力が0.9Torr、温度が700℃であり、気体雰囲気は酸素気体、塩素気体及び窒素気体を含む。
【0124】
トンネル層上にバリア領域を挟んで位置する第1及び第2導電型領域を形成し、絶縁層、パッシベーション膜、反射防止膜などを形成し、第1及び第2導電型領域にそれぞれ接続される第1及び第2電極を形成することで、太陽電池を製造した。
【0125】
実験例2
トンネル層の形成時の圧力を1.1Torrとしたこと以外は、実験例1と同様の方法で太陽電池を製造した。
【0126】
実験例3
トンネル層の形成時の圧力を1.3Torrとしたこと以外は、実験例1と同様の方法で太陽電池を製造した。
【0127】
比較例1
トンネル層の形成時の圧力を3.0Torrとしたこと以外は、実験例1と同様の方法で太陽電池を製造した。
【0128】
実験例1、2及び3、比較例1によって製造された太陽電池のトンネル層の厚さを
図5に示した。参考に、各実験例及び比較例では、複数個の太陽電池を製造し、これに形成されたトンネル層の厚さを平均を取って
図5に示した。
【0129】
図5を参照すると、実験例1、2及び3によるトンネル層の厚さの平均値が、それぞれ1.31nm、1.41nm、及び1.81nmで、2nm以下であることがわかる。特に、1.5Torr以下である1.3Torr、1.1Torrの圧力では、1.41nm、1.31nmで、1.5nm以下の厚さを有するトンネル層を形成できることがわかる。一方、比較例1では、トンネル層の厚さが2.25nmで、2nmを超えることがわかる。
【0130】
実験例1、2及び3においてトンネル層の平均厚さを有する太陽電池の電流(I)−電圧(V)を測定し、電流−電圧グラフを
図6に示した。そして、実験例1、2及び3で用いた全ての太陽電池の電流−電圧グラフ、及びその他の様々な厚さのトンネル層を有する太陽電池の電流−電圧グラフにおいてそれぞれのフィルファクタを計算し、トンネル層の厚さによるフィルファクタのグラフを
図7に示した。
【0131】
図6を参照すると、トンネル層の厚さが増加するほど、電流−電圧曲線の下部面積に該当するフィルファクタが小さくなることがわかる。
図7を参照すると、トンネル層の厚さが2nmを超えると、フィルファクタが非常に低いことがわかり、特に、トンネル層の厚さが1.5nm以下のとき(特に、1.4nm以下、より正確には1.3nm以下)、フィルファクタが非常に優れた値を有することがわかる。
【0132】
このように、本実施例によれば、トンネル層20の厚さを2nm以下(例えば、1.5nm)に薄く形成することができ、これによって、太陽電池100のフィルファクタを大きく向上させることができる。
【0133】
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせ及び変形に係わる内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。