(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベータ乗り場に設けられ、エレベータの呼び登録の操作を行うタッチパネルと、前記タッチパネルに対向する、もしくは、前記タッチパネルを操作する利用者の身体的特徴に基づき、該利用者が予め定められた区分のいずれに属するかを識別する識別部と、識別された前記利用者の区分に応じて、前記タッチパネルの操作態様を変更する操作態様制御部と、を備え、前記操作態様制御部は、所定年齢よりも小さい幼児を含まない第1の区分に前記利用者が属すると識別された場合、前記タッチパネルの操作態様を第1の操作態様に変更し、所定年齢よりも小さい幼児の区分である第2の区分に前記利用者が属すると識別された場合、前記タッチパネルの操作態様を前記第1の操作態様より複雑な第2の操作態様又は操作を受け付けない第3の操作態様に変更することを特徴とするエレベータの呼び登録装置。
前記第2の操作態様は、前記タッチパネルへの操作を複数回要求する操作態様、又は、前記タッチパネルへの操作を複数種類組み合わせて要求する操作態様を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレベータの呼び登録装置。
前記利用者を撮影する撮影部を備え、前記識別部は、前記撮影部が撮影した画像情報が示す前記利用者の身体的特徴に基づき、該利用者の区分を識別することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの呼び登録装置。
前記タッチパネルへの前記利用者の指の接触領域を検出する接触領域検出部を備え、前記識別部は、前記接触領域検出部が検出した利用者の指の幅、もしくは、指の向きに基づき、該利用者の区分を識別することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの呼び登録装置。
前記エレベータ乗り場の床部の一部に設けられた荷重検出部を備え、前記識別部は、前記荷重検出部が検出した荷重、もしくは、荷重分布領域の大きさ及び形状に基づき、該利用者の区分を識別することを特徴とする請求項1又は2に記載のエレベータの呼び登録装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係るエレベータの呼び登録装置を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のエレベータの呼び登録装置を備えるエレベータシステムの概略構成を示すブロック図であり、
図2は、第1実施形態のエレベータの呼び登録装置が配置されたエレベータ乗り場を示す斜視図である。第1実施形態では、エレベータシステム1は、
図1に示すように、ビルなどの建屋に1台のエレベータ2を備えた構成である。エレベータ2は、建屋の鉛直方向に沿って設けられた昇降路(不図示)内を昇降するかご3を備え、このかご3に乗った利用者をサービス対象のフロア(階床)に搬送する。各フロアには、
図2に示すように、エレベータ乗り場4が設けられている。エレベータ乗り場4は、壁部5に形成された乗降開口6を開閉する扉7を備え、この扉7が開くと、乗降開口6を通じて、エレベータ乗り場4からかご3(
図1)への乗車、または、かご3(
図1)からエレベータ乗り場4への降車が可能となる。なお、本実施形態では、1台のエレベータ2を備えた構成として説明したが、エレベータ2の台数は1台に限るものではなく、適宜に変更することが可能である。
【0010】
エレベータシステム1は、
図1に示すように、利用者がエレベータの呼び情報の登録を行う呼び登録装置10と、呼び登録装置10で登録された呼び情報に基づいて、エレベータ2の運転を制御する運転制御部21を有するエレベータ制御装置20とを備える。呼び登録装置10は、
図2に示すように、エレベータ乗り場4における乗降開口6の右側方に位置する壁部5に取り付けられている。呼び登録装置10は、エレベータ2(かご3)が停止する階床にそれぞれ設けられ、各階床における利用者からの呼び登録を受け付ける。
【0011】
呼び登録装置10は、
図1に示すように、撮影部11と、タッチパネル12と、音声出力部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。撮影部11は、呼び登録装置10に対向する利用者、もしくは、呼び登録の操作を行う利用者を撮影するカメラであり、
図2に示すように、呼び登録装置10の鉛直方向の上部に設けられている。タッチパネル12は、エレベータの呼び登録の操作を行うものであり、呼び登録装置10の中央部に設けられている。タッチパネル12は、
図1に示すように、表示部30と入力操作部31とを備える。表示部30は、例えば、液晶パネルなどで構成され、操作ボタン領域を表示する。また、入力操作部31は、例えば、入力電極をマトリクス状に配列したタッチセンサにより構成され、表示部30の表面側に積層配置される。この入力操作部31(タッチセンサ)により、利用者が触れた(タッチした)領域を判断し、入力操作情報が制御部15に出力される。
【0012】
本実施形態では、呼び登録装置10は、呼び登録を行う際の入力操作の態様(操作態様)を複数備えて構成されている。具体的には、(1)ボタンタッチ入力、(2)テンキー入力、(3)手書き入力、(4)タッチ回数入力の4つの操作態様を備え、制御部15がいずれの操作態様とするかを制御する。(1)ボタンタッチ入力は、タッチパネル12の表示部30に、例えば、上呼びボタン(△)及び下呼びボタン(▽)を表示し、これら上呼びボタン及び下呼びボタンのタッチによりエレベータ2の呼び登録を行う。また、(2)テンキー入力は、タッチパネル12の表示部30にテンキーを表示し、このテンキーによって入力された数字(行先階)によって、上呼びもしくは下呼びを判断してエレベータ2の呼び登録を行う。また、(3)手書き入力は、タッチパネル12に手書き入力領域を設け、この手書き入力領域に入力された文字を認識し、認識した文字に基づくエレベータ2の呼び登録を行う。例えば、『うえ』と認識された場合には上呼びと判断し、また、『した』と認識された場合には下呼びと判断する。また、例えば、数字が認識された場合には、テンキーと同様に、認識された数字(行先階)によって、上呼びもしくは下呼びを判断してエレベータ2の呼び登録を行う。(4)タッチ回数入力は、タッチパネル12にタッチした回数をカウントし、この回数に応じて、エレベータ2の呼び登録を行う。タッチした回数は、操作内容と対応づけて決められており、例えば、タッチが1回の場合は上呼びとし、タッチが2回の場合は下呼びとする。タッチ回数入力は、例えば、利用者が視覚障害者の場合に好適であり、タッチ操作の方法、回数を音声で案内することで、簡単にエレベータ2の呼び登録を行うことができる。操作態様は、上記した4つに限るものではなく、内容や数を適宜変更できる。
【0013】
音声出力部13は、音声情報を出力するスピーカである。利用者が呼び登録の操作をする際に操作案内などの音声情報を出力する。記憶部14は、予め定めた利用者の区分を記憶する。本実施形態では、利用者の身体的特徴(外見上の特徴)に基づいて(A)車椅子利用者、(B)視覚障害者、(C)幼児、(D)健常者(A〜Cのいずれにも該当しないもの)の4つの区分を定めている。なお、これら区分は上記した4つに限るものではなく、区分けする内容や数を適宜変更できる。
【0014】
制御部15は、エレベータ制御装置20の運転制御部21と通信可能に構成され、入力操作部31により入力操作が行われると、入力された操作情報を呼び情報として運転制御部21に出力する。また、制御部15は、タッチパネル12の操作態様が手書き入力の場合には、入力された文字を認識し、タッチ回数入力の場合にはタッチ回数の計測を行う。
【0015】
また、制御部15は、利用者の身体的特徴を検出する特徴検出部32と、検出された身体的特徴に基づき、利用者が上記したいずれの区分に属するかを識別する識別部33と、識別された区分に応じてタッチパネル12の操作態様を変更する操作態様制御部34とを備える。特徴検出部32は、撮影部11が撮影した利用者の画像情報から利用者の身体的特徴を検出する。具体的には、画像情報に車椅子や白杖が確認されるか、画像情報から算出される利用者の身長が所定値(例えば100cm)以上であるかといった身体的特徴を検出する。
【0016】
識別部33は、特徴検出部32が車椅子を検出すると、この利用者は車椅子利用者の区分に属すると識別し、特徴検出部32が白杖を検出すると、この利用者は視覚障害者の区分に属すると識別する。また、特徴検出部32が、利用者の身長は所定高さ(例えば100cm)以下と検出すると、識別部33は、この利用者は幼児の区分に属すると識別する。ここで、幼児とは、エレベータ2の呼び登録の操作を意識せずに、タッチパネル12を不用意に操作する恐れの高いものをいい、例えば、未就学児をいう。また、識別部33は、利用者が、車椅子利用者、視覚障害者、及び幼児のいずれの区分にも属さない場合には、健常者の区分に属すると識別する。
【0017】
操作態様制御部34は、識別された利用者の区分に応じて、タッチパネル12の操作態様を変更する。利用者の区分と操作態様とは、予め紐づけて設定されており、記憶部14に記憶されている。この場合、利用者に対応する操作態様は、該利用者が容易に操作できるものが好ましい。
【0018】
視覚障害者は、タッチパネル12をボタンタッチ入力としても操作が困難になることもある。このため、タッチパネル12の操作態様を、タッチ回数入力の態様に設定すると共に、音声出力部13から音声による操作案内を流すことが好適である。この構成では、視覚障害者が呼び登録の操作を簡単に行うことができる。また、タッチ回数入力だけでなく、手書き入力などを採用することもできる。
【0019】
また、車椅子利用者の場合には、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力とすると共に、各入力操作ボタンを車椅子利用者の背丈に合わせて、タッチパネル12の下部側に表示する態様が好適である。
【0020】
また、呼び登録装置10の周囲に幼児がいる場合には、幼児が呼び登録を行う認識なく不用意にタッチパネル12に触れ、不必要な呼び情報を生成することが想定される。また、安全上、不必要なエレベータ2の呼びに伴う扉7の開閉を抑えることも望まれる。このため、利用者が幼児のみの場合には、タッチパネル12の操作態様を、上記した入力操作を複数回要求する操作態様としたり、そもそもタッチパネル12の入力操作を受け付けない操作態様とする。これによれば、不必要な呼び情報の生成が防止されることにより、エレベータ2の運転効率の向上を図ることができる。また、不必要なエレベータ2の呼びに伴う扉7の開閉が防止されるため、エレベータ2の安全性の向上を図ることができる。
【0021】
次に、呼び登録装置10の動作手順について説明する。
図3は、第1実施形態のエレベータの呼び登録装置の動作手順を示すフローチャートである。第1実施形態では、利用者の区分を上記した車椅子利用者、視覚障害者、幼児、健常者の4つに想定している。
【0022】
まず、制御部15は、呼び登録装置10の前に利用者がいるか否かを判別する(ステップSa1)。具体的には、撮影部11の撮影領域に利用者が入っているか否か、または、利用者がタッチパネル12に触れたか否かにより判別する。この判別において、呼び登録装置10の前に利用者がいない場合(ステップSa1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、呼び登録装置10の前に利用者がいる場合(ステップSa1;YES)、制御部15は、撮影部11に利用者を撮影させる(ステップSa2)。
【0023】
次に、特徴検出部32は、撮影部11が撮影した利用者の画像情報から利用者の身体的特徴を検出する(ステップSa3)。具体的には、特徴検出部32は、撮影された画像情報の利用者が立っているか否かを判別する(ステップSa4)。この場合、利用者が立っている場合(ステップSa4;YES)には処理をステップSa8に移行し、利用者が立っていない場合(ステップSa4;NO)には、続けて、撮影された画像に車椅子のタイヤが確認できるか否かを判別する(ステップSa5)。
【0024】
この判別において、車椅子のタイヤが確認できない場合(ステップSa5;NO)には、利用者の身体的特徴が検出されないため、処理をステップSa1に戻す。また、車椅子のタイヤが確認できた場合(ステップSa5;YES)には、利用者は、車椅子を利用するという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を車椅子利用者の区分に属すると識別する(ステップSa6)。
【0025】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(車椅子利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSa7)。車椅子利用者は、呼び登録をする場合、タッチパネル12に表示された情報を認識可能な距離まで近づく必要がある。ボタンタッチ入力は、情報量を低減しつつも、入力操作ボタンにより、表示内容を直感的に認識することができるため、容易に呼び登録の操作を行なうことができる。また、車椅子利用者の場合には、車椅子利用者の背丈に合わせて、入力操作ボタンをタッチパネル12の下部側に表示することが好ましい。
【0026】
一方、ステップSa4の処理において、利用者が立っている場合(ステップSa4;YES)には、続けて、撮影された画像に白杖が確認できるか否かを判別する(ステップSa8)。この白杖は、例えば、長さが1〜1.4m程度、直径が2cm程度の長尺の棒であり、視覚障害者が歩行時に前方の路面を触擦して使用するものである。また、色は、白色のみではなく、黄色の杖も含む。この判別において、白杖が確認できない場合(ステップSa8;NO)には、処理をステップSa11に移行し、白杖が確認できた場合(ステップSa8;YES)には、利用者は、白杖を利用するという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を視覚障害者の区分に属すると識別する(ステップSa9)。
【0027】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(視覚障害者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチ回数入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSa10)。従来の押しボタンを備えた呼び登録装置では、押しボタンの周りに操作内容を示す点字などを設けることで、視覚障害者が容易に呼び登録を可能としていた。これに対して、タッチパネルを備えた呼び登録装置では、タッチパネル表面に点字などを設けることはできず、視覚障害者が簡単に呼び登録を行うことができなかった。この実施形態では、利用者が視覚障害者の区分に属すると識別されると、タッチパネル12の操作態様を、タッチ回数入力の操作態様に変更すると共に、音声出力部13から音声による操作案内を流すため、視覚障害者が呼び登録の操作を簡単に行うことができる。なお、音声による操作案内によって、視覚障害者が容易に呼び登録を行うことができれば、操作態様は、タッチ回数入力に限る必要はなく、手書き入力の操作態様としても良い。
【0028】
一方、ステップSa8の処理において、撮影された画像に白杖が確認できない場合(ステップSa8;NO)には、続けて、画像情報から算出される利用者の身長が所定値(例えば100cm)以上であるか否かを判別する(ステップSa11)。この判別において、利用者の身長が100cm以上である場合(ステップSa11;YES)には、処理をステップSa14に移行し、利用者の身長が100cm以上でない場合(ステップSa11;NO)には、利用者は、身長が所定値よりも小さいという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSa12)。
【0029】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSa13)。具体的には、ボタンタッチ入力による入力操作を2回要求し、同一の入力操作がなされた場合に、呼び登録の操作を受け付ける。この構成により、誤操作による不必要な呼び情報の生成が防止されることにより、エレベータ2の運転効率の向上を図ることができる。また、不必要なエレベータ2の呼びに伴う扉7の開閉が防止されるため、エレベータ2の安全性の向上を図ることができる。さらに、同一の入力操作が2回以上なされた場合には、この入力操作に伴う呼び登録が行われるため、操作してもエレベータ2が来ないという事態を避けることができる。なお、操作態様は、ボタンタッチ入力による入力操作を複数回要求するものに限らず、入力操作を複雑化できれば、他の操作態様を組み合わせることもできる。また、利用者が幼児の区分に属すると識別された場合には、安全を優先して、タッチパネル12への入力操作を受け付けない操作態様としてもよい。
【0030】
一方、ステップSa11の処理において、利用者の身長が100cm以上である場合(ステップSa11;YES)には、続けて、撮影された画像から利用者がタッチパネル12を見ているか否かを判別する(ステップSa14)。この判別において、利用者がタッチパネル12を所定時間(例えば3秒)以上見ていない場合(ステップSa14;NO)には、処理をステップSa9に移行して、識別部33は、この利用者を視覚障害者の区分に属すると識別する。また、利用者がタッチパネル12を見ている場合(ステップSa14;YES)には、利用者は、車椅子利用者、視覚障害者及び幼児の身体的特徴が検出されないため、識別部33は、この利用者を健常者の区分に属すると識別する(ステップS15)。ここでいう、健常者は、成人(大人)だけでなく、不用意にタッチパネル12に触れることのない幼児(未就学児)よりも大きな年齢の利用者を含むものとする。
【0031】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(健常者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSa16)。ボタンタッチ入力は、表示態様が容易で直感的に操作できるためである。ただし、ボタンタッチ入力の操作態様に限るものではなく、上記したテンキー入力、手書き入力としても良い。さらに、これらの操作態様をランダムに変更しても良い。
【0032】
以上、この第1実施形態によれば、エレベータ乗り場4に設けられ、エレベータ2の呼び登録の操作を行うタッチパネル12と、タッチパネル12に対向する、もしくは、タッチパネル12を操作する利用者の身体的特徴に基づき、該利用者が予め定められた区分のいずれに属するかを識別する識別部33と、識別された利用者の区分に応じて、タッチパネル12の操作態様を変更する操作態様制御部34とを備えたため、利用者それぞれに対してエレベータ2の呼び登録の操作を容易化することができる。このため、エレベータ2の利便性の向上を実現できる。
【0033】
また、この第1実施形態によれば、利用者を撮影する撮影部11を備え、識別部33は、撮影部11が撮影した画像情報が示す利用者の身体的特徴に基づき、該利用者の区分を識別するため、利用者が車椅子利用者、視覚障害者、幼児、または、健常者のいずれの区分に属するかを容易に識別できる。
【0034】
また、この第1実施形態によれば、利用者が所定年齢よりも小さい幼児の区分に属すると識別された場合、操作態様制御部34は、タッチパネル12への操作を複数回要求する操作態様、もしくは、操作を受け付けない操作態様に変更するため、誤操作による不必要な呼び情報の生成が防止されることにより、エレベータ2の運転効率の向上を図ることができる。また、不必要なエレベータ2の呼びに伴う扉7の開閉が防止されるため、エレベータ2の安全性の向上を図ることができる。
【0035】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかる呼び登録装置10Aについて説明する。
図4は、第2実施形態のエレベータの呼び登録装置が配置されたエレベータ乗り場を示す斜視図であり、
図5は、第2実施形態のエレベータの呼び登録装置の動作手順を示すフローチャートである。呼び登録装置10Aの構成は、第1実施形態の呼び登録装置10と同様であるため説明を省略する。この第2実施形態では、利用者の区分を幼児、基準利用者の2つに設定している。基準利用者とは、車椅子利用者、視覚障害者及び幼児の区分に属するものではなく、第1実施形態における健常者と同等である。ただし、基準利用者は、健常者の場合よりも下限の年齢が高く、例えば、中学生以上を想定する。
【0036】
この第2実施形態では、呼び登録装置10Aは、撮影部11として第1撮影部11aと第2撮影部11bとを備える。これら第1撮影部11a及び第2撮影部11bは、呼び登録装置10Aに対向する利用者、もしくは、呼び登録の操作を行う利用者を撮影するカメラであり、
図4に示すように、第1撮影部11aは、呼び登録装置10Aの鉛直方向の上部に設けられ、第2撮影部11bは、タッチパネル12を挟んだ呼び登録装置10Aの鉛直方向の下部に設けられている。また、第1撮影部11aは、床面から所定値(例えば100cm)以上の領域を撮影可能に取り付けられている。
【0037】
次に、呼び登録装置10Aの動作手順について説明する。まず、制御部15は、呼び登録装置10Aの前に利用者がいるか否かを判別する(ステップSb1)。具体的には、第2撮影部11bの撮影領域に利用者が入っているか否か、または、利用者がタッチパネル12に触れたか否かにより判別する。この判別において、呼び登録装置10Aの前に利用者がいない場合(ステップSb1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、呼び登録装置10Aの前に利用者がいる場合(ステップSb1;YES)、制御部15は、第1撮影部11a及び第2撮影部11bに利用者を撮影させる(ステップSb2)。
【0038】
次に、特徴検出部32は、第1撮影部11a及び第2撮影部11bがそれぞれ撮影した利用者の画像情報から利用者の身体的特徴を検出する(ステップSb3)。具体的には、特徴検出部32は、第1撮影部11aが撮影した画像情報に利用者がいるか(撮影されているか)否かを判別する(ステップSb4)。第1撮影部11aは、
図6に示すように、床面から所定値(例えば100cm)以上の領域を撮影可能に設けられており、利用者の身長がこの所定値(100cm)よりも低い場合には、第1撮影部11aに撮影されない。このため、この判別において、第1撮影部11aの画像情報に利用者がいる場合(ステップSb4;YES)には、利用者は身長が所定値よりも大きいという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を基準利用者40(
図6)の区分に属すると識別する(ステップSb5)。
【0039】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSb6)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0040】
一方、ステップSb4の処理において、第1撮影部11aの画像情報に利用者がいない場合(ステップSb4;NO)には、利用者は、身長が所定値よりも小さいという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を幼児41(
図6)の区分に属すると識別する(ステップSb7)。
【0041】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSb8)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0042】
以上、この第2実施形態によれば、撮影部11は、呼び登録装置10Aの鉛直方向の上部に設けられる第1撮影部11aと、タッチパネル12を挟んだ呼び登録装置10Aの鉛直方向の下部に設けられる第2撮影部11bとを備え、第1撮影部11aは、床面から所定値以上の領域を撮影可能としているため、この第1撮影部11aが撮影した画像情報に利用者がいるか否かで、この利用者が所定値よりも身長の低い幼児の区分に属するか、該所定値よりも身長の高い基準利用者の区分に属するかを容易に識別することができる。
【0043】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態にかかる呼び登録装置10Bについて説明する。
図7は、第3実施形態のエレベータの呼び登録装置が配置されたエレベータ乗り場を示す斜視図であり、
図8は、第3実施形態のエレベータの呼び登録装置の動作手順を示すフローチャートである。呼び登録装置10Bの構成は、第1実施形態の呼び登録装置10と同様であるため説明を省略する。この第3実施形態においても、利用者の区分を上記した幼児、基準利用者の2つに設定している。
【0044】
この第3実施形態では、呼び登録装置10Bは撮影部11を備え、この撮影部11は、
図7に示すように、タッチパネル12の上方の天井部に設けられている。この撮影部11は、第1、第2実施形態と同様に、呼び登録装置10Bに対向する利用者、もしくは、呼び登録の操作を行う利用者を撮影するカメラである。
【0045】
次に、呼び登録装置10Bの動作手順について説明する。まず、制御部15は、呼び登録装置10Bの前に利用者がいるか否かを判別する(ステップSc1)。具体的には、撮影部11の撮影領域に利用者が入っているか否か、または、利用者がタッチパネル12に触れたか否かにより判別する。この判別において、呼び登録装置10Bの前に利用者がいない場合(ステップSc1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、呼び登録装置10Bの前に利用者がいる場合(ステップSc1;YES)、制御部15は、撮影部11に利用者を撮影させる(ステップSc2)。
【0046】
次に、特徴検出部32は、撮影部11が撮影した利用者の画像情報から利用者の身体的特徴を検出する(ステップSc3)。具体的には、特徴検出部32は、撮影部11が撮影した画像情報から算出される利用者の身長が所定値(例えば100cm)以上であるか否かを判別する(ステップSc4)。この判別において、利用者の身長が100cm以上である場合(ステップSc4;YES)には、利用者は身長が所定値よりも大きいという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を基準利用者の区分に属すると識別する(ステップSc5)。
【0047】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSc6)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0048】
一方、ステップSc4の処理において、利用者の身長が100cm以上でない場合(ステップSc4;NO)には、利用者は、身長が所定値よりも小さいという身体的特徴が検出されるため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSc7)。
【0049】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネルへの入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSc8)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0050】
以上、この第3実施形態によれば、撮影部11は、呼び登録装置10Bの鉛直方向の上方の天井部に設けられているため、撮影部11が撮影した画像情報から算出した利用者の身長に基づき、所定値よりも身長の低い幼児の区分に属するか、該所定値よりも身長の高い基準利用者の区分に属するかを容易に識別することができる。
【0051】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態にかかる呼び登録装置10Cについて説明する。
図9は、第4実施形態のエレベータの呼び登録装置を備えるエレベータシステムの概略構成を示すブロック図である。この第4実施形態においても、利用者の区分を上記した幼児、基準利用者の2つに設定している。また、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0052】
呼び登録装置10Cは、
図9に示すように、撮影部11と、タッチパネル12と、音声出力部13と、記憶部14と、制御部15Aとを備える。この制御部15Aは、識別部33と操作態様制御部34とに加え、特徴検出部32の代わりに接触領域検出部35を備える。接触領域検出部35は、利用者がタッチパネル12にタッチした場合に、このタッチした指の接触領域の大きさを検出する。
【0053】
図10は、利用者がタッチパネルに指でタッチした様子を示す模式図であり、
図11は、指でタッチした際の接触領域を示す図である。
図10に示すように、利用者がタッチパネル12に指43でタッチした場合、タッチパネル12との接触領域44は、指43が延びる方向に長く形成される略楕円形状となる。この場合、接触領域44は、
図11に示すように、長径L1とこの長径L1に直交する短径L2とを有し、この短径L2を指幅とする。通常、幼児は、中学生以上を想定した基準利用者よりも手が小さいため、結果として指幅も小さくなる。このため、この第4実施形態では、指の接触領域から指幅を検出し、この指幅の大きさに基づいて、利用者がいずれの区分に属するかを識別する。
【0054】
次に、呼び登録装置10Cの動作手順について説明する。
図12は、第4実施形態のエレベータの呼び登録装置の動作手順を示すフローチャートである。まず、制御部15Aは、利用者がタッチパネル12にタッチした(触れた)か否かを判別する(ステップSd1)。この判別において、利用者がタッチパネル12にタッチしていない場合(ステップSd1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、利用者がタッチパネル12にタッチしていた場合(ステップSd1;YES)、接触領域検出部35は、タッチパネル12に接触した指43の接触領域44の大きさを検出する(ステップSd2)。
【0055】
次に、接触領域検出部35は、指43の接触領域44から指幅を検出し、この検出された指幅は所定値(例えば10mm)以上であるか否かを判別する(ステップSd3)。この判別において、指幅が10mm以上である場合(ステップSd3;YES)には、利用者は指、すなわち手が所定値よりも大きいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を基準利用者の区分に属すると識別する(ステップSd4)。
【0056】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSd5)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0057】
一方、ステップSd3の処理において、指幅が10mm以上でない場合(ステップSd3;NO)には、利用者は指、すなわち手が所定値よりも小さいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSd6)。
【0058】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSd7)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0059】
次に、第4実施形態の呼び登録装置10Cの別の動作手順について説明する。
図13は、利用者がタッチパネルに指でタッチした様子を示す模式図であり、
図14は、指でタッチした際の接触領域を示す図である。
【0060】
図13に示すように、利用者がタッチパネル12に指43でタッチした場合、タッチパネル12との接触領域44は、指43が延びる方向に長く形成される略楕円形状となる。通常、幼児は、中学生以上を想定した基準利用者よりも身長が低い。また、呼び登録装置10Cは、主として、基準利用者が操作しやすい位置に設けられるため、タッチパネル12は、基準利用者の顔(目線)の高さと同等、もしくは、それよりも少し低い位置に設けられる。このため、タッチパネル12は、幼児にとっては顔よりも高い位置に設けられることとなる。
【0061】
ここで、顔と同等、もしくは、少し低い高さ位置に設けられたタッチパネルに指でタッチする(触れる)場合、
図13に示すように、指43は、鉛直方向(矢印Z方向)に対して、交差する方向に延びる傾向にある。一方、顔よりも高い高さ位置に設けられたタッチパネルに指でタッチする(触れる)場合には、指43は、鉛直方向(矢印Z方向)に沿って延びる傾向にある。このため、
図14に示すように、利用者がタッチパネル12に指43でタッチした場合、タッチパネル12との接触領域44の長軸44Aと鉛直方向線Z1とが所定角度α以上であるか否かで利用者がいずれの区分に属するかを識別する。
【0062】
図15は、呼び登録装置の別の動作手順を示すフローチャートである。まず、制御部15Aは、利用者がタッチパネル12にタッチした(触れた)か否かを判別する(ステップSe1)。この判別において、利用者がタッチパネル12にタッチしていない場合(ステップSe1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、利用者がタッチパネル12にタッチした場合(ステップSe1;YES)、接触領域検出部35は、タッチパネル12に最初に接触した際の、指43の接触領域44の大きさを検出する(ステップSe2)。例えば、文字入力などのように、タッチした指を移動させる場合には、移動によって指の向きが変更する可能性がある。このため、タッチパネル12に最初に接触した時点の接触領域44を検出する。
【0063】
次に、接触領域検出部35は、指43の接触領域44から指43の向きを検出し、この検出された指の向きが鉛直方向に対して所定角度α(例えば30°)以上であるか否かを判別する(ステップSe3)。この判別において、指の向きが鉛直方向に対して30°以上である場合(ステップSe3;YES)には、利用者は、所定の基準よりも身長が高いという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を基準利用者の区分に属すると識別する(ステップSe4)。
【0064】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSe5)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0065】
一方、ステップSe3の処理において、指の向きが鉛直方向に対して30°以上でない場合(ステップSe3;NO)には、利用者は、所定の基準よりも身長が低いという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSe6)。
【0066】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSe7)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0067】
以上、この第4実施形態によれば、タッチパネル12への利用者の指43の接触領域44を検出する接触領域検出部35を備え、識別部33は、接触領域検出部35が検出した利用者の指43の幅が所定値よりも大きいか否か、もしくは、指43の向きが鉛直方向に対して所定角度以上であるか否かで、この利用者が所定値よりも身長の低い幼児の区分に属するか、該所定値よりも身長の高い基準利用者の区分に属するかを容易に識別することができる。
【0068】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態にかかる呼び登録装置10Dについて説明する。
図16は、第5実施形態のエレベータの呼び登録装置を備えるエレベータシステムの概略構成を示すブロック図であり、
図17は、第5実施形態のエレベータの呼び登録装置が配置されたエレベータ乗り場を示す斜視図である。また、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0069】
呼び登録装置10Dは、
図16に示すように、撮影部11と、タッチパネル12と、音声出力部13と、記憶部14と、制御部15Bと、荷重検出部16とを備える。制御部15Bは、識別部33と操作態様制御部34とを備える。また、荷重検出部16は、
図17に示すように、エレベータ乗り場4の床部の一部、すなわち、呼び登録装置10Dに正対した場合に位置する部分に設けられている。荷重検出部16は、この荷重検出部16に載った利用者の荷重の大きさ、もしくは、荷重分布領域の形状及び大きさを検出する。
【0070】
次に、呼び登録装置10Dの動作手順について説明する。
図18は、第5実施形態のエレベータの呼び登録装置の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、利用者の区分を上記した幼児、基準利用者の2つに設定している。まず、制御部15Bは、呼び登録装置10Dの前に利用者がいるか否かを判別する(ステップSf1)。具体的には、撮影部11の撮影領域に利用者が入っているか否か、または、利用者がタッチパネル12に触れたか否かにより判別する。この判別において、呼び登録装置10Dの前に利用者がいない場合(ステップSf1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、呼び登録装置10Dの前に利用者がいる場合(ステップSf1;YES)、制御部15Bは、荷重検出部16に利用者の荷重を検出させる(ステップSf2)。
【0071】
次に、制御部15Bは、荷重検出部16が検出した荷重が所定値(例えば20kg)以上であるか否かを判別する(ステップSf3)。通常、幼児は中学生以上を想定した基準利用者よりも荷重(体重)が小さい。このため、ステップSf3の判別において、検出した荷重が20kg以上である場合(ステップSf3;YES)には、利用者は荷重(体重)が所定値よりも大きいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を基準利用者の区分に属すると識別する(ステップSf4)。
【0072】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSf5)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0073】
一方、ステップSf3の処理において、検出した荷重が20kg以上でない場合(ステップSf3;NO)には、利用者は荷重(体重)が所定値よりも小さいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSf6)。
【0074】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSf7)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0075】
次に、呼び登録装置10Dの別の動作手順について説明する。
図19は、第5実施形態のエレベータの呼び登録装置の別の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートでは、利用者の区分を上記した、車椅子利用者、幼児、基準利用者の3つに設定している。まず、制御部15Bは、呼び登録装置10Dの前に利用者がいるか否かを判別する(ステップSg1)。具体的には、撮影部11の撮影領域に利用者が入っているか否か、または、利用者がタッチパネル12に触れたか否かにより判別する。この判別において、呼び登録装置10Dの前に利用者がいない場合(ステップSg1;NO)には、処理を繰り返し実行する。また、呼び登録装置10Dの前に利用者がいる場合(ステップSg1;YES)、制御部15Bは、荷重検出部16に利用者の荷重分布を検出させる(ステップSg2)。
【0076】
次に、制御部15Bは、荷重検出部16が検出した荷重分布の形状がタイヤ状であるか否かを判別する(ステップSg3)。具体的には、車椅子の両側に設けられる一対の駆動輪と、これら駆動輪よりも前方に配置されて進行方向を案内する一対のキャスタに相当する荷重分布の形状となっているか否かを判別する。この判別において、荷重検出部16が検出した荷重分布の形状がタイヤ状である場合(ステップSg3;YES)には、利用者は、車椅子を利用するという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を車椅子利用者の区分に属すると識別する(ステップSg4)。
【0077】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(車椅子利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSg5)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa7と同様であるため説明を省略する。
【0078】
一方、ステップSg3の判別において、荷重検出部16が検出した荷重分布の形状がタイヤ状でない場合(ステップSg3;NO)には、続けて、荷重検出部16が検出した荷重分布の形状の長手方向の大きさが所定値(例えば18cm)以上であるか否かを判別する(ステップSg6)。具体的には、検出された荷重分布から該荷重分布の形状を検出し、この形状の長手方向の長さ、すなわち足(靴)の大きさが所定値(例えば18cm)以上であるか否かを判別する。
【0079】
通常、幼児は中学生以上を想定した基準利用者よりも足のサイズが小さい。このため、ステップSg6の判別において、検出した荷重分布の形状の長手方向の大きさが18cm以上である場合(ステップSg6;YES)には、利用者は足のサイズが所定値よりも大きいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を基準利用者の区分に属すると識別する(ステップSg7)。
【0080】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(基準利用者)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、ボタンタッチ入力の操作態様に変更する制御を行う(ステップSg8)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa16と同様であるため説明を省略する。
【0081】
一方、ステップSg6の処理において、検出した荷重分布の形状の長手方向の大きさが18cm以上でない場合(ステップSg6;NO)には、利用者は足のサイズが所定値よりも小さいという身体的特徴を有するため、識別部33は、この利用者を幼児の区分に属すると識別する(ステップSg9)。
【0082】
次に、操作態様制御部34は、識別された利用者の区分(幼児)に応じて、タッチパネル12の操作態様を、タッチパネル12への入力操作を複数回要求する操作態様に変更する制御を行う(ステップSg10)。この構成は、第1実施形態におけるステップSa13と同様であるため説明を省略する。
【0083】
以上、この第5実施形態によれば、エレベータ乗り場4の床部の一部に設けられた荷重検出部16を備え、識別部33は、荷重検出部16が検出した荷重が所定値以上であるか否かで、この利用者が所定値よりも荷重(体重)の小さい幼児の区分に属するか、該所定値よりも荷重(体重)の大きい基準利用者の区分に属するかを容易に識別することができる。また、この第5実施形態によれば、識別部33は、荷重検出部16が検出した荷重分布の形状に基づき、利用者の区分を識別するため、利用者が車椅子利用者、幼児、または、基準利用者のいずれの区分に属するかを容易に識別できる。
【0084】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。