(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記通信部を収容する筐体は凹部を備え、前記成分検知部を収容する筐体は凸部を備え、前記凹部と前記凸部とが接続されることで、前記通信部と前記成分検知部とが電気的に接続されることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項2または3に従属する請求項4、および請求項6の何れか一項に記載の成分検知装置。
前記通信部を収容する筐体は凸部を備え、前記成分検知部を収容する筐体は凹部を備え、前記凸部と前記凹部とが接続されることで、前記通信部と前記成分検知部とが電気的に接続されることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項2または3に従属する請求項4、および請求項6の何れか一項に記載の成分検知装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における成分検知装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、細かい構造および重複または類似する説明については、適宜簡略化または省略している。また、各実施の形態におけるフローチャートは制御の一例であり、加熱調理器と成分検知装置の制御を限定するものではない。以下の実施の形態では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器について説明する。
【0010】
実施の形態1.
(成分検知装置の構成)
まず、本発明の実施の形態1における成分検知装置1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態における成分検知装置1の正面斜視図であり、
図2は、本実施の形態の成分検知装置1の上面図である。本実施の形態の成分検知装置1は、加熱調理器100に載置された容器400に取り付けられ、容器400内の調理物の成分情報を検知して加熱調理器100に無線送信する。加熱調理器100の詳細については後述する。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態における成分検知装置1は鍋などの容器400の蓋と一体に構成されるものであり、蓋部10と、取っ手部20と、検知部30とを備える。取っ手部20と検知部30とは、蓋部10を挟むように配置され、取っ手部20と検知部30とは、電気的に接続されている。
【0012】
蓋部10は、調理物が収容される鍋やフライパンなどの容器400の上部を覆う蓋として用いられるものであり、ステンレス、アルミ合金(フッ素塗装有または無)、強化ガラスまたはホーロ等の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。蓋部10の中心には、取っ手部20と検知部30とを電気的に接続する配線を通すための開口(図示せず)が設けられている。本実施の形態の蓋部10は円形状を有しているが、蓋部10の形状は直方形または楕円形等でもよく、様々な鍋に対応できるように蓋部10の外周部に段差や凹凸が形成されていてもよい。
【0013】
取っ手部20は、蓋部10の上面中央に配置され、蓋部10の取っ手として用いられる。取っ手部20は、使用者が持ちやすいように、下方がくびれた円柱形状の筐体21を有する。筐体21の底面は、筐体21の内部へ液体などの異物が浸入しないように、耐熱性の高い接着剤等で蓋部10に固定される。または、筐体21は、耐熱性および防水性を有するパッキン(図示せず)を介して蓋部10に固定されてもよい。筐体21の内部には、後述する表示部40と、通信部50と、電源部60と、制御部70とが収容される。
【0014】
また、筐体21は、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。例えば、筐体21は、シリコーン樹脂、もしくは耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製とすることができる。また、筐体21は、ステンレスまたはアルミ等の金属製、もしくは樹脂および金属を組み合わせたものとしてもよい。さらに、筐体21は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や木等によって、任意の形状でカバーされてもよい。
【0015】
図1および
図2に示すように、取っ手部20の筐体21の上面には、成分検知装置1の電源部60の電源として用いられる電池61を挿入するための電池挿入部62が形成される。電池挿入部62の形状は、電池61の種類に応じて任意の形状とすることができる。例えば、ボタン型電池を電池61として採用する場合は、円柱形の挿入部とすることができる。電池挿入部62の内縁面には、パッキン63が配置され、筐体21の内部への液体の浸入を防いでいる。パッキン63の材料は、防水性(止水性)のある材質であればよく、例えばシリコーンゴム製とされる。電池挿入部62は、着脱可能に取り付けられる電池カバー64で密閉される。電池カバー64により、電池挿入部62への液体の浸入が防止され、電池挿入部62に汚れが付着することが抑制される。なお、電池61は一次電池または二次電池(充電池)の何れであってもよい。
【0016】
また、取っ手部20の筐体21の上面には、加熱調理器100と無線通信を行うための通信ポート51が設けられる。通信ポート51は、加熱調理器100と安定した通信を行うことが可能な、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)樹脂等の電波透過性の高い材質で構成される。通信ポート51は、筐体21の側面に設けられてもよい。
【0017】
また、取っ手部20の筐体21の側面には、直方形状の表示窓41が設けられている。表示窓41は、直方形状の開口部が光透過性のフィルムまたはシート等の光透過性部材で覆われた構造となっており、開口部にはLED等の発光素子(表示ランプ)からなる表示部40が設けられている。直方状の開口部と光透過性部材との間の隙間部分は、水分等の液体成分が筐体21の内部に浸入しないように、例えば耐熱性の高い接着剤等で閉塞(密封)される。表示窓41の位置や形状は、
図1に示す例に限定されるものではなく、筐体21の上面に円形の表示窓41が設けられてもよい。
【0018】
検知部30は、蓋部10の下面中央から、容器400内の中心に向かって下方に伸びる棒形状の筐体31と、筐体31の先端に配置された直方体形状の筐体32とを有する。筐体32の内部には、後述する成分検知部33および温度検知部34が収容される。また、筐体31の内部には、成分検知部33および温度検知部34と、取っ手部20の表示部40、通信部50、電源部60および制御部70とを電気的に接続する配線が収容される。
【0019】
検知部30の筐体31は、筐体21の内部へ液体などの異物が浸入しないように、耐熱性の高い接着剤等で蓋部10の下面に固定される。または、筐体31は、耐熱性および防水性を有するパッキン(図示せず)を介して蓋部10に固定されてもよい。また、筐体31および筐体32は、耐水性および耐熱性が高く、多様なpH条件下(例えば、酸性条件下、アルカリ性条件下)での使用に長期間耐えうる耐食性を有する材質で形成される。例えば、筐体31および筐体32は、シリコーン樹脂、もしくは耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製とすることができる。また、ステンレスまたはアルミ等の金属製、もしくは樹脂および金属を組み合わせたものとしてもよい。
【0020】
図1に示すように、検知部30の筐体32には、成分検知部33が設けられている。成分検知部33は、筐体32に形成された矩形状の開口部内に配置される。矩形状の開口部と成分検知部33との間の隙間部分は、水分等の液体成分が筐体32の内部に浸入しないように、例えばゴムパッキン等(図示せず)で密封される。
【0021】
上記の成分検知装置1における蓋部10、取っ手部20および検知部30、ならびに各部に配置される各構成要素は、全て防水性のある材質で構成される。そのため、成分検知装置1を用いて調理物の成分検知を行った後で、調理物による汚れを除去するために洗浄することができる。
【0022】
図3は、本実施の形態の成分検知装置1の内部構成を示す図である。
図3に示すように、成分検知装置1は、検知部30に収容される成分検知部33および温度検知部34と、取っ手部20に収容される表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と、を備える。
【0023】
検知部30は、調理物の成分を検知する成分検知部33と、調理物の温度を検知する温度検知部34とを備え、調理物の成分および成分検知時の温度等を検知する。
図1に示すように、成分検知部33は、筐体32に設けられた矩形状の開口部に装着されている。成分検知部33は、調理物の成分を検知するための様々な検知手段を備える。例えば、成分検知部33は、調理物の塩分をナトリウムイオン電極法を用いて検知するためのガラス電極および比較電極を備えてもよい。または、成分検知部33は、調理物の塩分を検知するために、液体の電気伝導度(導電率)を検知するセンサ、もしくは液体の屈折率から塩分を光学的に検知するセンサなどを備えることができる。
【0024】
また、成分検知部33は、調理物の糖分をbrix糖度(屈折率糖度)として検知するための光センサ、または糖による光の吸収を検知する光センサを備えることができる。なお、brix糖度を検知する光センサは、糖による光の屈折率を利用したものである。また、糖による光の吸収を検知できる光センサは、赤外線分光分析法や散乱光路長補正吸収方式(TFDRS)を利用したものである。これによって、調理物中の糖分の指標となるデータを成分検知部33で検知することができる。
【0025】
また、成分検知部33は、ガラス電極法を用いて、調理物の酸味を表す指標であるpH値を検知してもよい。これによって、調理物中のpH値の指標となる調理物中の電位差が検知される。なお、pH値の検知には、小型化(微小化)が可能で割れにくい半導体センサであるpHセンサを用いてもよい。
【0026】
また、成分検知部33は、調理物の旨味成分を検知するための作用電極と参照電極とを備えてもよい。ここで、「旨味成分」とは、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸成分、イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸構成物質のヌクレオチド成分、若しくはコハク酸等の有機酸成分、またはそれらの酸の塩化合物のことである。例えば、グルタミン酸は、生体内におけるアミノ酸の分解又は窒素の代謝に関与し、哺乳動物の神経系における神経伝達物質の1つとして学習又は記憶に関与する重要なアミノ酸である。また、グルタミン酸は、近年では、自閉症、アルツハイマー病等の疾患の関連性も指摘されている。グルタミン酸の電気分解の際に流れる電流は、グルタミン酸の濃度の指標となる。したがって、作用電極および参照電極に電圧を印加して電気分解を行うことにより、グルタミン酸の濃度の指標となる電流を検知することができる。
【0027】
温度検知部34は、検知部30の筐体32に接触する調理物の温度を、筐体32を介在して間接的に検知するものである。すなわち、温度検知部34は、筐体32の内表面(図示せず)に接触させることにより、調理物が接触する筐体32の温度を検知するものである。温度検知部34は、例えばサーミスタ等の半導体温度センサである。
【0028】
また、調理物が接触し、かつ、温度検知部34が接触する筐体32の部分(例えば、
図1における筐体32に設けられた矩形状の開口部の上方部分)を、熱伝導率の高い金属製としてもよい。これにより、温度検知部34が検知する温度と、調理物の温度との温度差を小さくでき、検知精度を向上させることができる。具体的には、温度検知部34が接触する筐体32の部分は、ステンレスまたはアルミ等の耐食性の高い金属製としてもよい。また、温度検知部34が接触する筐体32の部分に表面処理をしてもよいし、フッ素等で塗膜処理をしてもよい。表面処理又は塗膜処理によって、調理物に対する耐食性に加え、撥水性が向上するため、調理物による汚れの清掃が容易となる。
【0029】
本実施の形態では、成分検知装置1が容器400の蓋として載置され、成分検知部33および温度検知部34が調理物450に浸かった状態で、成分検知が行われる。成分検知部33および温度検知部34による検知結果は、制御部70に送信される。
【0030】
表示部40は、成分検知装置1の給電状態、加熱調理器100との通信状態等の成分検知装置1の動作状態(使用状況)を発光等により報知するものである。表示部40は、例えばLEDで構成され、成分検知装置1が電源ONの場合に点灯するよう制御部70によって制御される。表示部40の発光が、取っ手部20の側面に設けられた表示窓41を通して使用者に視認されることで、使用者の利便性を向上させることができる。
【0031】
通信部50は、通信ポート51を介して、加熱調理器100と双方向で情報通信を行うものである。詳しくは、通信部50は、検知部30で検知した成分情報を加熱調理器100に送信する。また、通信部50は、加熱調理器100からの起動指令、成分検知の開始/停止指令などの指令信号(制御信号)を加熱調理器100から受信し、制御部70に送信する。
【0032】
本実施の形態の通信部50は、成分検知装置1の操作性を向上させるために、無線通信モジュールを用いて構成され、加熱調理器100との間で無線通信を行う。本実施の形態においては、加熱調理器100との間の無線通信は、金属帯が伝送経路に介在すると電波が遮蔽されてしまうため、電波透過性が高い通信ポート51を介して行われる。
【0033】
なお、通信部50は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等の加熱調理器100以外の外部機器と双方向で無線通信できるように構成してもよい。例えば、通信部50の使用周波数帯をWi−Fiモジュールと無線通信可能な周波数帯とすることにより、外部機器との通信の拡張性を向上させることができる。
【0034】
電源部60は、加熱調理器100から独立して、成分検知装置1に電力を供給するものであり、ボタン電池または乾電池等の電池61を電源とするものである。電源部60は、制御部70による制御の下、成分検知装置1の各部に電力を供給する。なお、電源部60の電源は、電池61に限定されるものではなく、誘導加熱調理器であれば非接触給電を用いてもよい。
【0035】
制御部70は、成分検知装置1の各部を制御するものであり、専用のハードウェア、またはメモリ(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。なお、制御部70の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0036】
図3に示すように、制御部70は、指令制御部71と、成分分析部72とを有する。指令制御部71および成分分析部72は、ソフトウェアで実現される機能部として制御部70によって、メモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される。または、上記各部は、ASIC(Application Specific IC)またはPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現されてもよい。
【0037】
指令制御部71は、通信部50を介して加熱調理器100から受信する指令に応じて、成分検知装置1の各部を制御する。具体的には、指令制御部71は、加熱調理器100から、起動指令を受信した場合、電源部60を制御して、成分検知装置1の各部への通電を開始するとともに、表示部40を点灯する。また、指令制御部71は、加熱調理器100から、成分検知の開始指令を受信した場合、検知部30による成分検知を開始し、検知結果を加熱調理器100へ送信する。また、指令制御部71は、加熱調理器100から、成分検知の停止指令を受信した場合、検知部30による成分検知および検知結果の送信を停止する。
【0038】
成分分析部72は、成分検知部33が検知した検知値を、温度検知部34で検知した温度を用いて補正し、調理物の成分濃度などの成分値を算出する。成分検知部33で検知される検知値は、調理物の検知対象成分又はその成分の検知方法によっては、調理物の温度によって影響を受ける場合がある。例えば、汁物の成分等の液体中の塩分を、電気伝導度を検知するセンサ(導電率方式)で検知する場合、温度上昇に伴い溶液中のイオン運動が活性化し導電率が高くなる。導電率方式では、溶液の導電率を比較することで塩分値が算出されるため、同一温度での検知値の比較が検知値の精度向上の観点から要求される。
【0039】
したがって、成分分析部72においては、例えば、2つの検知値を測定した時点での温度が互いに異なっている場合、成分検知部33が検知した検知値は、温度検知部34で検知された温度情報を用いて、同一温度(例えば25℃)における導電率に換算される。その後、成分分析部72においては、同一温度溶液の導電率を比較することにより塩分値が算出される。
【0040】
また、塩分の算出のために、ナトリウムイオン電極法を用いて起電力を検知する場合も、溶液中のイオン運動の活性化により、溶液中の温度に依存して起電力が変化する。したがって、ナトリウムイオン電極法を用いた場合、成分分析部72においては、成分検知部33が検知した検知値である起電力の値は、温度検知部34が検知した温度情報で補正されて、塩分値として算出される。
【0041】
なお、他の方法での塩分の検知、またはグルタミン酸等の他の成分の検知においても、成分分析部72によって、温度検知部34が検知した温度情報で、成分検知部33が検知した検知値を補正して成分値として算出できる。成分分析部72によって算出された成分値は、成分情報として、通信部50を介して加熱調理器100に送信される。
【0042】
(加熱調理器の構成)
次に、加熱調理器100の構成について説明する。
図4は、本実施の形態における加熱調理器100の概略斜視図である。
図4に示すように、加熱調理器100は、本体110と、本体110の上面に配置されたトッププレート120とを備えている。本体110には、魚等の調理物の調理を行うためのグリル130が収容されている。グリル130の内部には、グリル130に載置された調理物を加熱するための熱源となるグリルヒータ(図示せず)が設けられている。また、グリル130に隣接して、前面操作部140が設けられている。前面操作部140には、電源スイッチ142および複数の操作ダイヤル144が配置されている。電源スイッチ142は、加熱調理器100の電源をON/OFFするために操作されるものである。操作ダイヤル144は、例えばグリル130の火力を調整するために操作されるものである。前面操作部140を介して入力される操作信号は、制御部300(
図5)に送信される。
【0043】
トッププレート120は、例えば、耐熱性のガラス板と金属の枠体とにより構成される。トッププレート120の上面には、印刷等により加熱領域を示す複数の(本実施の形態では3個の)円形の加熱口150が設けられている。各加熱口150には、鍋またはフライパン等の容器400が載置される。
【0044】
トッププレート120の手前側には、加熱口150の火力を調整するために操作される上面操作部160が設けられている。上面操作部160は、火力を調節するために操作される火力操作部162と、火力の大きさを表す火力表示部164とを有する。本実施の形態では、各加熱口150に対応して、複数の火力操作部162および火力表示部164が設けられている。
【0045】
火力操作部162は、例えば静電容量式のタッチセンサで構成される。火力操作部162を介して入力される操作指示は、制御部300へ出力される。火力表示部164は、例えば複数の発光ダイオード(LED)で構成され、制御部300の制御の下、火力の大きさに応じた数の発光ダイオードが点灯される。
【0046】
また、トッププレート120の手前側中央には、操作表示部180が設けられている。操作表示部180は、例えばタッチパネルで構成され、加熱調理器100に関する情報が表示されるとともに、加熱調理器100または成分検知装置1に対する操作が入力される。操作表示部180に表示される情報には、加熱調理器100の設定情報、調理モードの選択表示、自動調理の進行状況、および警告情報の表示等が含まれる。操作表示部180の表示内容は、制御部300によって制御される。また、操作表示部180を介して入力される操作信号は、制御部300に送信される。
【0047】
また、トッププレート120の奥側には、複数の排気口170が設けられている。排気口170は、本体110の内部と連通するように配置される。本体110の内部に取り込まれた空気は、排気口170から排気される。排気口170の上部には、本体110の内部への埃その他の異物が侵入するのを防止する通気性を有するカバー(図示せず)を設けてもよい。
【0048】
また、排気口170の手前には、成分検知装置1との間で、無線通信を行うための通信ポート190が設けられている。通信ポート190は、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)樹脂等の電波透過性の高い材質で構成される。
図6では、通信ポート190は、トッププレート120の上面に載置される容器400によって無線電波が遮蔽されないように、加熱口150と排気口170との間に配置されている。しかしながら、通信ポート190の位置はこれに限定されるものではなく、例えば、各加熱口150との距離が均等となる位置に配置されてもよい。または、通信ポート190を操作表示部180の一部として設けてもよい。
【0049】
図5は、本実施の形態における加熱調理器100の主要部の構成および機能を説明する図である。なお、
図5では、1つの加熱口150に対応する構成のみを図示しており、また、例えば水や食材等の調理物450が収容された容器400と、容器400に取り付けられた成分検知装置1とを併せて図示している。成分検知装置1は、加熱調理器100とは別体に設けられ、容器400に収容された調理物450の成分を検知し、検知した成分情報を加熱調理器100へ送信する。
【0050】
図5に示すように、トッププレート120の下方には、各加熱口150に対応して加熱コイル200が配置される。本実施の形態では、加熱コイル200は、略環状の内側加熱コイルと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイルとを備えた二重環形状である。
【0051】
また、トッププレート120の下方には、赤外線温度センサ210が配置されている。赤外線温度センサ210は、加熱コイル200上のトッププレート120に載置された容器400の底部から放射される赤外線を検知する。なお、赤外線温度センサ210の直上部は、赤外線が遮蔽されない構造(例えば空洞または透過素材)とすることが望ましい。また、トッププレート120の裏面の加熱コイル200と対向する面には、サーミスタなどの接触式温度センサ220がトッププレート120の裏面に接触するように配置されている。接触式温度センサ220は、容器400からトッププレート120へ伝わる熱を検知する。赤外線温度センサ210および接触式温度センサ220によって検知された信号は、温度検知部230へ出力される。温度検知部230は、赤外線温度センサ210および接触式温度センサ220による検知信号をA/D変換し、温度に換算する。温度検知部230によって換算された温度情報は、制御部300へ送信される。
【0052】
また、本体110の内部には、加熱調理器100の各部を制御する制御部300と、成分検知装置1と通信ポート190を介して通信する通信部310と、加熱調理器100の各部への電力供給を行う電源部320と、加熱コイル200に高周波電流を供給する高周波インバータ330とが設けられている。
【0053】
通信部310は、成分検知装置1の通信部50との間で、双方向に情報通信を行うものである。通信部310は、成分検知装置1から成分情報を受信するとともに、制御部300にて生成される成分検知装置1に対する指令(制御信号)を成分検知装置1に送信する。成分検知装置1に対する指令は、例えば、成分検知装置1での電源供給の開始を指示する起動指令、成分検知の開始を指示する開始指令および成分検知を停止する停止指令などが含まれる。
【0054】
本実施の形態の通信部310は、無線通信モジュールを用いて構成され、成分検知装置1との間で無線通信を行う。成分検知装置1との間の無線通信は、金属帯が伝送経路に介在すると電波が遮蔽されてしまうため、電波透過性が高い通信ポート190を介して行われる。なお、通信部310において、使用周波数帯をWi−Fiモジュールと無線通信可能な周波数帯とすることにより、外部機器との通信の拡張性を向上させることができる。
【0055】
電源部320は、電源スイッチ142からの電源供給の開始または停止信号に基づいて、加熱調理器100の各部への電力の供給を開始または停止するものである。
【0056】
高周波インバータ330は、制御部300からの制御信号に基づいて、電源部320から供給される直流電流を変換し、加熱コイル200と共振コンデンサ(図示せず)とを接続した回路に、高周波電流を供給するものである。また、高周波インバータ330は、制御部300からの制御信号に基づいて、グリル130の内部に収容されたグリルヒータ(図示せず)に高周波電流を供給してもよい。
【0057】
制御部300は、加熱調理器100各部の動作制御を行うとともに、成分検知装置1に指令を送信し、成分検知装置1の制御を行う。制御部300は、専用のハードウェア、またはメモリ(図示せず)に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成される。なお、制御部70の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0058】
図6は、加熱調理器100の制御部300の機能ブロック図である。
図6に示すように、制御部300は、操作制御部301と、報知部302と、加熱制御部303と、成分管理制御部304と、記憶部305とを有する。上記各部は、ソフトウェアで実現される機能部として制御部300によって、メモリまたはCD−ROMなどの記録媒体(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。または、上記各部は、ASICまたはPLDなどの電子回路で実現されてもよい。
【0059】
操作制御部301は、操作ダイヤル144、火力操作部162または操作表示部180からの操作信号を受信し、操作信号に応じた処理を行う。具体的には、操作制御部301は、火力操作部162を介して火力が調節する操作がなされた場合、操作内容に応じた制御信号を生成し、加熱制御部303へ送信する。また、操作制御部301は、操作表示部180を介して、成分検知装置1の成分検知制御に関する操作がなされた場合、操作内容に応じた制御信号を生成し、成分管理制御部304に送信する。
【0060】
報知部302は、加熱調理器100の動作状態および設定、ならびに成分検知装置1によって検知された成分情報などを使用者に報知するために、火力表示部164および操作表示部180の表示を制御する。例えば、報知部302は、加熱調理器100の加熱調理に関する設定情報または成分検知装置1によって検知された成分情報を操作表示部180に表示する。なお、報知部302は、操作表示部180における文字等による表示だけでなく、加熱調理器100が備えるスピーカ(図示なし)などから音声によって、各種情報を報知してもよい。
【0061】
加熱制御部303は、操作制御部301からの制御信号および、温度検知部230からの温度情報を用いて、加熱コイル200を駆動する信号を高周波インバータ330に送信する。また、加熱制御部303は、操作制御部301からの制御信号に基づき、グリル130の内部に収容されたグリルヒータ(図示せず)を駆動する信号を高周波インバータ330に送信してもよい。
【0062】
成分管理制御部304は、操作制御部301からの制御信号に基づいて、成分検知装置1への指令を生成し、通信部310を介して成分検知装置1へ送信する。また、成分検知装置1で検知された調理物の成分情報を、通信部310を介して受信し、報知部302へ送信する。
【0063】
記憶部305は、不揮発性のメモリなどからなり、加熱調理器100の表示および制御などに用いられる各種データおよびプログラムを記憶する。具体的には、記憶部305には、操作表示部180に表示する表示データおよび成分管理制御部304が受信した成分情報などが記憶される。
【0064】
(加熱調理器および成分検知装置の動作)
次に、本実施の形態における加熱調理器100および成分検知装置1の動作について説明する。本実施の形態における加熱調理器100および成分検知装置1は互いに連動する。
図7は、本実施の形態における成分検知装置1および加熱調理器100の成分検知制御を示すフローチャートの一例である。
【0065】
図7において、実線は加熱調理器100および成分検知装置1における制御の流れを示し、破線は加熱調理器100と成分検知装置1との間の信号の流れを示す。本実施の形態では、加熱調理器100において予め設定された間隔で、成分検知装置1が自動的に成分検知を行う、自動検知処理が実施される。
【0066】
本処理の開始前に、加熱調理器100の何れかの加熱口150の上に、調理物が収容された容器400が載置され、容器400の蓋として成分検知装置1が取り付けられる。このとき、成分検知装置1は、通信部50における受信のみが可能な待機状態となっており、検知部30などには通電されていない。そして、加熱調理器100による加熱が開始される。そして、まず、使用者によって加熱調理器100の操作表示部180が操作され、メニュー画面が表示される(S1)。
図8は、加熱調理器100の操作表示部180に表示されるメニュー画面の一例である。メニュー画面は、加熱調理器100で実施される「煮物」、「揚げ物」、「成分管理」などの複数のメニュー項目181を含んでいる。なお、
図8は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
【0067】
図7に戻って、ステップS2では、操作制御部301によってメニュー画面から「成分管理」が選択されたか否かが判断される(S2)。ここで、「成分管理」が選択されない場合(S2:NO)、選択された項目に従って、通常の加熱調理動作が継続される(S19)。
【0068】
一方、「成分管理」が選択された場合(S2:YES)、加熱調理器100の成分管理制御部304によって、成分検知装置1を起動するための起動指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S3)。加熱調理器100から送信された起動指令は、成分検知装置1の通信部50によって受信される(S4)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、電源部60が制御され、検知部30を含む成分検知装置1内の各部への通電が開始される(S5)。
【0069】
また、加熱調理器100では、使用者によって、成分検知の開始指示がなされたか否かが判断される(S6)。
図9は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される成分検知の開始指示画面の一例である。開始指示画面は、メニュー画面において、「成分管理」が選択された場合に表示される。
図9に示すように、開始指示画面は、「START」ボタン182と「CANCEL」ボタン183とを含む。なお、
図9は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
【0070】
図7に戻って、成分検知の開始指示がなされていない場合(S6:NO)、すなわち「CANCEL」ボタン183が押された場合は、ステップS16へ移行する。一方、成分検知の開始指示がなされた場合(S6:YES)、すなわち「START」ボタン182が押された場合、成分管理制御部304によって、成分検知を開始する開始指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S7)。
【0071】
加熱調理器100から送信された開始指令は、成分検知装置1の通信部50によって受信される(S8)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、成分検知部33および温度検知部34に成分検知指令が送られ、成分検知部33および温度検知部34による調理物の成分検知および温度検知が行われる(S9)。そして、成分検知装置1の成分分析部72において、成分検知部33および温度検知部34によって検知されたデータから、調理物の成分分析が行われる(S10)。このとき、分析される成分情報としては、塩分、糖分、等の成分種、成分濃度、糖度、単位当たり含有量、PH値、等があり、検出される成分とその量を表すものとし、検知される成分種は、一つまたは複数でも構わない。
【0072】
成分分析部72による成分分析が完了すると、成分分析結果が成分情報として成分検知装置1の通信部50から加熱調理器100に送信される(S11)。このとき、成分検知装置1は、加熱調理器100に加え、携帯電話、タブレットまたはPC等の外部機器にも成分情報を送信してもよい。
【0073】
成分検知装置1から送信された成分情報は、加熱調理器100の通信部310によって受信される(S12)。そして、加熱調理器100の報知部302によって、受信した成分情報が使用者に報知される(S13)。具体的には、報知部302によって、操作表示部180に成分情報が表示される。
図10は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される成分表示画面の一例である。
図10に示すように、成分表示画面には、成分情報184と、成分検知の停止を指示するための「STOP」ボタン185とが表示される。なお、
図10は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、「STOP」ボタン185は、成分情報184とは別の画面に表示されてもよい。また、成分情報は、加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよい。
【0074】
図7に戻って、加熱調理器100において、所定時間が経過したか否かが判断される(S14)。所定時間は、予め設定された時間であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、所定時間が経過していない場合は(S14:NO)、成分検知を停止するか否かが判断される(S15)。ここでは、使用者によって操作表示部180に表示された成分表示画面における「STOP」ボタン185が押された場合に、成分検知を停止すると判断される。そして、成分検知を停止しない場合は(S15:NO)、ステップS14に戻る。
【0075】
「STOP」ボタン185が押されないまま、所定時間が経過した場合(S14:YES)、ステップS7に戻って、加熱調理器100の通信部310から成分検知装置1に開始指令が送信される(S7)。これにより、成分検知装置1は、「STOP」ボタン185が押されるまで、予め設定された時間間隔で自動的に成分検知を行い、加熱調理器100に成分情報を送信する。
【0076】
一方、「STOP」ボタン185が押され、成分検知を停止する場合(S15:YES)、加熱調理器100の成分管理制御部304によって成分検知を停止するための停止指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S16)。その後、加熱調理器100は、通常動作に戻る(S19)。加熱調理器100から送信された停止指令は、成分検知装置1の通信部50によって受信される(S17)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、電源部60が制御され、成分検知装置1内の各部への通電が停止される(S18)。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1と加熱調理器100とが連動することにより、調理中の調理物の成分検知を自動的に行うことができる。これにより、使用者の手間が軽減し、利便性が向上することで、健康に関心が高い使用者の調理アシストが可能となる。また、成分検知装置1によって検知された成分濃度が加熱調理器100にて報知されることで、調理の仕上がりの安定性が向上し、使用者の満足感を向上させることができる。また、調理中に成分検知装置1本体に触れることなく成分検知ができることで、使用者の煩わしさも低減される。
【0078】
さらに、成分検知装置1に、容器400の蓋となる蓋部10を備え、蓋部10の上方に通信部を配置し、蓋部10の下方に検知部30を配置したことで、調理物の中央近傍で成分検知が可能になり、検知精度が向上する。また、成分検知装置1が蓋部10と一体で形成され、成分検知装置1が容器400の蓋となることで、調理時間の短縮および仕上がりの向上を実現する調理メニュー(煮込み調理等)においても、自動成分検知が可能になり、利便性が向上する。また、蓋を開けることなく成分検知ができることで、蓋の開閉による調理物の温度低下が防止でき、消費電力を削減できる。また、表示部40、通信部50、電源部60および制御部70を収容する筐体21を蓋部10の取っ手形状としたことで、使用者の違和感を低減できる。
【0079】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2における成分検知装置1Aについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Aは、容器400の蓋10Aとは別体で構成され、蓋10Aに対して着脱可能に取り付けられる点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Aの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Aと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0080】
図11は、本実施の形態における成分検知装置1Aの正面斜視図である。
図12は、本実施の形態における成分検知装置1Aを蓋10Aに取り付けた状態の側面図である。また、
図13は、本実施の形態における成分検知装置1Aを蓋10Aへ取り付ける様子を説明する図である。
図11〜
図13に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Aは、取っ手部20Aと、検知部30Aと、固定装置80とで構成される。取っ手部20Aは、検知部30Aと一体に構成され、固定装置80が検知部30Aに付属される。
【0081】
蓋10Aは、容器400の蓋として用いられる市販の蓋であり、任意の形状および材質を有する。蓋10Aの中心部には、蓋10Aの取っ手を取り付けるための開口部11が設けられている(
図13)。
【0082】
取っ手部20Aは、実施の形態1の取っ手部20と同様の筐体21を有し、筐体21の内部には、表示部40と、通信部50と、電源部60と、制御部70とが収容される。また、筐体21の上面には、電池挿入部62および通信ポート51が設けられ、側面には表示窓41が設けられる。
【0083】
検知部30Aは、取っ手部20Aの筐体21の底面から、下方に伸びる棒形状の筐体31Aを有する。筐体31Aは、内部に液体などの異物が浸入しないように、耐熱性の高い接着剤等で取っ手部20Aの筐体21の底面に固定される。また、筐体31Aの先端内部には、成分検知部33および温度検知部34が収容される。そして、成分検知部33および温度検知部34は、取っ手部20Aの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と配線により電気的に接続される。
【0084】
また、筐体31Aの直径は、蓋10Aの開口部11の直径よりも小さくなっている。これにより、筐体31Aが蓋10Aの開口部11に差し込める構造となっている。また、筐体31Aの取っ手部20Aと接する側の外周面には、ネジ構造35が形成されている。
【0085】
固定装置80は、逆円錐形状を有し、取っ手部20Aおよび検知部30Aと同様に耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。固定装置80の中央部には、円柱状の開口部81が設けられており、開口部81の内周面には、ネジ構造82が形成されている。ネジ構造82は、検知部30Aの筐体31Aに形成されたネジ構造35と結合する形状となっている。また、固定装置80の上面には、成分検知装置1Aを蓋10Aに安定して固定するための、弾力性のある台座83が設けられる。台座83は、耐熱性および防水性のある材質で形成され、例えばシリコーンゴム製とされる。
【0086】
図12および
図13に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Aは、固定装置80によって蓋10Aに固定される。具体的には、まず、成分検知装置1Aの検知部30Aが、蓋10Aの開口部11に差し込まれる。そして、固定装置80が、蓋10Aの下方において検知部30Aに装着される。そして、取っ手部20Aの底面と固定装置80の台座83とで蓋10Aを挟むように固定装置80を移動させることで、成分検知装置1Aが安定して蓋10Aに取り付けられる。
【0087】
なお、取っ手部20A、検知部30Aおよび固定装置80の形状は、
図11〜
図13に示すものに限定されるものではない。例えば、検知部30Aは、蓋10Aの開口部11よりも細い形状であればよく、実施の形態1のように取っ手部20Aと検知部30Aとを電気的に接続する配線が構成される筐体と、内部に成分検知部33および温度検知部34が収容される筐体とを別形状としてもよい。また、固定装置80は、検知部30Aの筐体31Aに形成されるネジ構造35と結合できるネジ構造が形成された開口部を有していればよい。
【0088】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Aと蓋10Aとを別体として構成することで、成分検知装置1Aおよび蓋10Aの洗浄性および収納性が向上する。また、成分検知装置1Aは、使用者が既に購入済みの様々な鍋蓋に取り付けることが可能となるため、利便性も向上する。
【0089】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3における成分検知装置1Bについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Bは、取っ手部20Bと検知部30Bとが着脱可能である点において、実施の形態2と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Bの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Bと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0090】
図14は、本実施の形態における成分検知装置1Bの正面斜視図である。
図15は、本実施の形態における成分検知装置1Bを蓋10Aへ取り付ける様子を説明する図である。
図14に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Bは、取っ手部20Bと、接続部90と、検知部30Bと、固定装置80とで構成される。取っ手部20Bと接続部90は一体に構成され、検知部30Bは取っ手部20Bと別体で構成される。固定装置80は、接続部90に付属される。本実施の形態の成分検知装置1Bは、実施の形態2と同様に、任意の蓋10Aに着脱可能に取り付けられる。
【0091】
取っ手部20Bは、実施の形態1の取っ手部20と同様の筐体21を備え、筐体21の内部には、表示部40と、通信部50と、電源部60と、制御部70とが収容される。また、筐体21の上面には、電池挿入部62および通信ポート51が設けられ、側面には表示窓41が設けられる。
【0092】
接続部90は、取っ手部20Bの底面から下方に伸びる棒形状の筐体91を有する。筐体91の直径は、蓋10Aの開口部11の直径より小さくなっている。これにより、接続部90は、蓋10Aの開口部11に差し込める構造となっている。また、筐体91の取っ手部20Bと接する側の外周面には、ネジ構造92が形成されている。また、筐体91の先端には、直方体形状の凹部93が形成される。凹部93には、取っ手部20Bの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と電気的に接続される電極93aが配置される。なお、接続部90の筐体91を取っ手部20の筐体21と一体に構成してもよい。
【0093】
検知部30Bは、棒形状の筐体31と直方体形状の筐体32とを有する。また、筐体31の先端には、直方体形状の凸部36が形成される。凸部36は、接続部90の凹部93と対応する形状を有する。また凸部36には、成分検知部33および温度検知部34と電気的に接続される電極36aが配置される。筐体32の内部には、実施の形態1と同様の成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31には、成分検知部33および温度検知部34と、電極36aとを電気的に接続する配線が収容される。
【0094】
固定装置80は、実施の形態2と同様の形状を有し、中央部にネジ構造82が形成された開口部81が設けられている。固定装置80のネジ構造82は、接続部90に形成されるネジ構造92と結合する形状となっている。また、固定装置80の上面には弾力のある台座83が設けられている。
【0095】
また、本実施の形態の検知部30Bは、一つまたは複数の成分種の組み合わせごとに別体で構成することができる。例えば、
図14に示すように、検知部30Bの成分検知部33とは異なる成分を検知する成分検知部33aを備えた検知部30Baを、検知部30Bに替えて接続部90に接続してもよい。検知部30Baの成分検知部33a以外の構成については、検知部30Bと同じである。
【0096】
図15に示すように、本実施の形態では、成分検知装置1Bは、固定装置80によって蓋10Aに固定される。具体的には、まず、成分検知装置1Bの接続部90が、蓋10Aの開口部11に差し込まれ、蓋10Aの下方において、固定装置80を接続部90に装着する。そして、取っ手部20Bの底面と固定装置80の台座83とで蓋10Aを挟むように固定装置80を移動させることで、成分検知装置1Bが安定して蓋10Aに取りつけられる。
【0097】
そして、検知部30Bの筐体31の先端に形成された凸部36を、接続部90の凹部93にはめ込む。これにより、凸部36の電極36aと凹部93の電極93aとが接触し、取っ手部20Bの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と、検知部30Bの成分検知部33および温度検知部34とが電気的に接続される。また、検知部30Bおよび接続部90の接続箇所には、内部への水分または異物の混入を防止するめに、耐水性および耐熱性の高い材質で形成されたパッキン(図示せず)を装着してもよい。
【0098】
なお、取っ手部20B、検知部30Bおよび固定装置80の形状は、
図14および
図15に示すものに限定されるものではない。例えば、接続部90に凸部を設け、検知部30Bの筐体31の先端を凹部としてもよい。さらに、接続部90と検知部30Bの筐体31を安定して接続するために引っ掛け爪を形成してもよい。また、蓋10Aに成分検知装置1Bを取り付けるための開口部を設ける場合、取っ手部20Bの筐体21は、取っ手形状でなくてもよく、接続部90の形状は、当該開口部より細ければよい。
【0099】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Bの取っ手部20Bと検知部30Bとを着脱可能に構成としたことで、使用者が測りたい成分ごとに複数の検知部30Bおよび30Baの何れかを選択して付け替えができる。これにより、高温の調理物に長時間接触する検知部のみを交換することが可能となり、購入時および交換時のコストの低減ができる。また、成分検知装置1Bを使用者が保有している様々な鍋蓋に付け替えができる。さらに、検知部30Bを、蓋10Aの開口部11の大きさによらず、任意の形状で形成することができる。また、成分種ごとに検知部を構成できることで、内部構造の簡素化による製造コストの削減と検知部の小型化を実現できる。
【0100】
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4における成分検知装置1Cについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Cは、取っ手部20Cと蓋部10Cとを一体で構成し、検知部30Cを着脱可能とした点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Cの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Cと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0101】
図16は、本実施の形態の成分検知装置1Cにおける検知部30Cを取っ手部20Cへ取り付ける様子を説明する図である。
図17(a)は、本実施の形態における成分検知装置1Cの蓋部10Cの裏面図であり、
図17(b)は、検知部30C装着時の蓋部10Cにおける取っ手部20Cの拡大図である。
【0102】
図16に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Cは、蓋部10Cと、取っ手部20Cと、検知部30Cとを備える。本実施の形態では、蓋部10Cと取っ手部20Cとが一体に構成される。また、検知部30Cが別体で構成され、取っ手部20Cに着脱可能に取り付けられる。
【0103】
蓋部10Cは、実施の形態1の蓋部10と同様に、調理物が収容される鍋やフライパンなどの容器400の上部を覆う蓋として用いられるものであり、ステンレス、アルミ合金(フッ素塗装有または無)、強化ガラスまたはホーロ等の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。蓋部10Cの中心には、取っ手部20の底面をはめ込むための開口(図示せず)が設けられている。
【0104】
取っ手部20Cは、実施の形態1の取っ手部20と同様の筐体21を有し、筐体21の底面は、蓋部10Cの開口にはめ込まれ、耐熱性の高い接着剤等で固定される。筐体21の内部には、表示部40と、通信部50と、電源部60と、制御部70とが収容される。また、筐体21の上面には、電池挿入部62および通信ポート51が設けられ、筐体21の側面には、表示窓41が設けられる。さらに、
図17(a)に示すように、取っ手部20Cの底面には、長方形の開口部23が形成される。開口部23には、表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と電気的に接続される電極23aが設けられる。
【0105】
検知部30Cは、外側に突出する直方体形状の接続部37と、接続部37を支持する支持部38と、棒形状の筐体31Cとを備える。筐体31Cの先端の内部には、成分検知部33および温度検知部34が収容される。接続部37の上面は、取っ手部20Cの底面に形成された開口部23よりもわずかに小さいサイズを有し、接続部37を取っ手部20Cの開口部23に差し込める構造となっている。また、接続部37の上面には、成分検知部33および温度検知部34と電気的に接続されている電極37aが設けられている。
【0106】
図16および
図17に示すように、成分検知装置1Cの取っ手部20Cの底面に形成された開口部23に、検知部30Cの接続部37が差し込まれる。そして、接続部37が開口部23に差し込まれた状態で、取っ手部20Cまたは検知部30Cの何れか一方を回転させ、
図17(b)に示すように取っ手部20Cの開口部23と接続部37とを交差させることで検知部30Cが取っ手部20Cに取り付けられる。この時、接続部37の電極37aと、開口部23に設けられた電極23aとが接触することで、取っ手部20Cと検知部30Cとが電気的に接続される。
【0107】
取っ手部20Cの電極23aおよび検知部30Cの電極37aの配置場所は、
図16に示すものに限定されるものではなく、取っ手部20Cまたは検知部30Cの回転により、取っ手部20Cと検知部30Cとが固定され、取っ手部20Cの電極23aと検知部30Cの電極37aとが接触することで取っ手部20Cと検知部30Cとが接続される構成であればよい。
【0108】
以上のように、本実施の形態によれば、固定装置80などの付属品を用いることなく、検知部30Cを取っ手部20Cおよび蓋部10Cに簡単に結合できるため、使用者の利便性が向上する。
【0109】
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5における成分検知装置1Dについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Dは、表示部40、通信部50、電源部60および制御部70を収容する筐体24を蓋部10Dの取っ手12とは別体で構成する点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Dの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Dと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0110】
図18は、本実施の形態における成分検知装置1Dの正面斜視図である。
図18に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Dは、蓋部10Dと、処理部20Dと検知部30Dとを備える。処理部20Dと検知部30Dとは、蓋部10Dを挟むように配置され、電気的に接続されている。
【0111】
蓋部10Dは、実施の形態1の蓋部10と同様に、調理物が収容される鍋やフライパンなどの容器400の上部を覆う蓋として用いられるものであり、ステンレス、アルミ合金(フッ素塗装有または無)、強化ガラスまたはホーロ等の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。蓋部10Dの上面中央には、取っ手12が設けられている。取っ手12は、例えば下方がくびれた円柱形状を有し、耐熱性の高い材質で形成される。また、蓋部10Dには、処理部20Dと検知部30とを電気的に接続する配線を通すための開口(図示せず)が設けられている。
【0112】
処理部20Dは、円柱形状の筐体24を有し、蓋部10Dの上面に固定される。処理部20Dの位置は、蓋部10Dの上面の任意の位置とすることができる。筐体24は、実施の形態1の筐体21と同様に、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。筐体24の内部には、表示部40、通信部50、電源部60および制御部70が収容される。また、
図18に示すように、筐体24の上面には電池挿入部62が設けられ、筐体24の側面には表示窓41および通信ポート51が設けられる。筐体24は、筐体24の内部へ液体などの異物が浸入しないように、パッキン65を介して蓋部10Dに固定される。パッキン65は、耐熱性、防水性のある材質であればよく、例えばシリコーンゴム製としてもよい。または、筐体24は、耐熱性の高い接着剤等で蓋部10Dに固定されてもよい。
【0113】
検知部30Dは、蓋部10Dの下面中央から、容器400内の中心に向かって下方に伸びる棒形状の筐体31と、筐体31の先端に配置された直方体形状の筐体32とを有する。筐体32の内部には、成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31の内部には、成分検知部33および温度検知部34と、取っ手部20の表示部40、通信部50、電源部60および制御部70とを電気的に接続する配線が収容される。
【0114】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Dの処理部20Dの形状、大きさ、配置位置を蓋部10D上に任意に構成できる。これにより、製造の自由度が向上するとともに、蓋部10Dの開閉時に、使用者が処理部20Dに接触することがないため、耐久性が向上し、各構成要素の汚れおよび誤操作を低減することができる。
【0115】
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6における成分検知装置1Eについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Eは、容器400の蓋10Eとは別体で構成され、蓋10Eに対して着脱可能に取り付けられる点において、実施の形態5と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Eの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Eと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0116】
図19は、本実施の形態における成分検知装置1Eの正面斜視図である。また、
図20は、本実施の形態における成分検知装置1Eを蓋10Eへ取り付ける様子を説明する図である。
図19に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Eは、処理部20Eと、検知部30Eとを備える。処理部20Eと検知部30Eとは、一体に構成され、電気的に接続されている。
【0117】
処理部20Eは、実施の形態5の処理部20Dと同様の筐体24を備える。筐体24は、耐水性および耐熱性の高い材質で形成され、内部に表示部40、通信部50、電源部60および制御部70が収容される。また、筐体24の上面には電池挿入部62が設けられ、側面には表示窓41および通信ポート51が設けられる。さらに、処理部20Eの下方には、成分検知装置1Eを蓋10Eに安定して固定するとともに、筐体24の内部への異物の浸入を防ぐための、弾力性のある台座66が設けられる。台座66は、耐熱性および防水性のある材質で形成され、例えばシリコーンゴム製である。
【0118】
検知部30Eは、処理部20Eの下面中央から、下方に伸びる棒形状の筐体31と、筐体31の先端に配置された直方体形状の筐体32とを有する。筐体32の内部には、成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31の内部には、成分検知部33および温度検知部34と、取っ手部20の表示部40、通信部50、電源部60および制御部70とを電気的に接続する配線が収容される。
【0119】
図20に示すように、蓋10Eは、実施の形態1の蓋部10と同様に、調理物が収容される鍋やフライパンなどの容器400の上部を覆う蓋として用いられるものであり、ステンレス、アルミ合金(フッ素塗装有または無)、強化ガラスまたはホーロ等の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。蓋10Eの上面中央には、取っ手12が設けられている。また、蓋10Eには、成分検知装置1Eを取り付けるための開口部13が形成されている。開口部13の直径は、処理部20Eの筐体24の底面より小さく、検知部30Eの筐体32の底面より大きくなっている。
【0120】
また、開口部13の周囲には、成分検知装置1Eを蓋10Eに安定して固定させ、隙間への異物の浸入を防ぐためのパッキン14と、成分検知装置1Eを使用しない場合に開口部13を閉塞するための開口蓋15とが設けられている。パッキン14および開口蓋15は、別体で構成しても、一体で構成してもよい。また、パッキン14および開口蓋15は、耐熱性および防水性のある材質で形成され、例えばシリコーンゴム製である。蓋10Eは、成分検知装置1Eによる成分検知を行わない場合、開口蓋15で開口部13を閉塞することで、通常の鍋蓋として使用できる。
【0121】
図20に示すように、蓋10Eの開口部13に、成分検知装置1Eの検知部30Eが差し込まれる。そして、処理部20Eの台座66とパッキン14とが接触することで、成分検知装置1Eが蓋10Eに取り付けられる。
【0122】
なお処理部20E、検知部30Eおよび蓋10Eの形状は、
図19および
図20に示すものに限定されるものではない。例えば、検知部30Eの筐体31と筐体32とを別形状とするのではなく、実施の形態2の筐体31Aのように一体形状としてもよい。また、蓋10Eの開口部13は、処理部20Eの底面より小さく、検知部30Eを差し込める大きさであればよく、また任意の位置に形成することができる。
【0123】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Eと蓋10Eとを別体で構成することで、成分検知装置1Eおよび蓋10Eの洗浄性および収納性が向上する。また、使用者は、成分検知装置1Eを蓋10Eに差し込むだけでよく、成分検知装置1Eの装着の手間が削減できる。また、調理途中での成分検知装置1Eの着脱を簡単に行うことができ、利便性が向上する。
【0124】
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7における成分検知装置1Fについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Fは、高さを調整するための固定装置80Fを備える点において、実施の形態6と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Fの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Fと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0125】
図21は、本実施の形態における成分検知装置1Fの正面斜視図である。
図22は、本実施の形態における成分検知装置1Fを蓋10Fへ取り付ける様子を説明する図である。
図21に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Fは、蓋10Fと別体に構成され、処理部20Fと、検知部30Fと、固定装置80Fとを備える。処理部20Fと検知部30Fとは、一体に構成され、電気的に接続されている。また、検知部30Fには、固定装置80Fが付属している。
【0126】
処理部20Fは、実施の形態5の処理部20Dと同様の筐体24を備える。筐体24は、耐水性および耐熱性の高い材質で形成され、内部に表示部40、通信部50、電源部60および制御部70が収容される。また、筐体24の上面には電池挿入部62が設けられ、側面には表示窓41および通信ポート51が設けられる。
【0127】
検知部30Fは、処理部20Fの下面中央から、下方に伸びる棒形状の筐体31と、筐体31の先端に配置された直方体形状の筐体32とを有する。筐体32の内部には、成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31の内部には、成分検知部33および温度検知部34と、処理部20Fの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70とを電気的に接続する配線が収容される。また、筐体31の処理部20F側の外周面には、ネジ構造35が形成される。
【0128】
蓋10Fは、実施の形態6と同様に、任意の位置に、成分検知装置1Fを取り付けるための開口部13が形成されている。開口部13は、固定装置80Fの台座83の底面よりも小さく、検知部30Fの筐体32の底面よりも大きくなっている。
【0129】
固定装置80Fは、円錐形状を有し、中央部に円柱状の開口部81が設けられる。また、開口部81の内周面には、ネジ構造82が形成される。ネジ構造82は、検知部30Fの筐体31に形成されたネジ構造35と結合される形状を有する。また、固定装置80Fの底面には、成分検知装置1Fを蓋10Fに安定して固定するための、弾力性のある台座83が設けられる。台座83は、耐熱性および防水性のある材質で形成され、例えばシリコーンゴム製とされる。台座83の底面は蓋10Eの開口部13よりも広く形成されている。固定装置80Fは、処理部20Fおよび検知部30Fと同様の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。
【0130】
図22に示すように、成分検知装置1Fの検知部30Fが蓋10Fの開口部13に差し込まれる。そして、固定装置80Fの台座83が蓋10Fの上面に接触することで、成分検知装置1Fが蓋10Fに取り付けられる。また、固定装置80Fは、検知部30Fの筐体31に形成されたネジ構造35と結合するネジ構造82における回転に応じて、上下に移動することができる。これにより、固定装置80Fと検知部30Fとの距離が調整され、筐体32内の成分検知部33を任意の高さに配置することができる。
【0131】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Fの検知部30Fを、容器400の形状や調理物の高さに合わせた位置に固定することができ、利便性が向上する。
【0132】
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8における成分検知装置1Gについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Gは、蓋10Fの下方に配置される固定装置80Gをさらに備える点および処理部20Gと検知部30Gとが着脱可能である点において、実施の形態7と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Gの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Gと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0133】
図23は、本実施の形態における成分検知装置1Gの正面斜視図である。
図24は、本実施の形態における成分検知装置1Gを蓋10Fへ取り付ける様子を説明する図である。
図23に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Gは、蓋10Fとは別体で構成されるものであり、処理部20Gと、接続部90Gと、固定装置80Fと、固定装置80Gと、検知部30Gとを備える。処理部20Gと接続部90Gとは一体に構成され、検知部30Gは、接続部90Gに着脱可能に取り付けられる。また、固定装置80Fは接続部90Gに付属され、固定装置80Gは検知部30Gに付属される。
【0134】
処理部20Fは、実施の形態5の処理部20Dと同様の筐体24を備える。筐体24は、耐水性および耐熱性の高い材質で形成され、内部に表示部40、通信部50、電源部60および制御部70が収容される。また、筐体24の上面には電池挿入部62が設けられ、側面には表示窓41および通信ポート51が設けられる。
【0135】
接続部90Gは、処理部20Gの底面下方に伸びる棒形状の筐体91を有する。筐体91の直径は、蓋10Fの開口部13の直径より小さくなっている。これにより、接続部90は、蓋10Fの開口部13に差し込める構造となっている。また、筐体91の外周面には、ネジ構造92が形成されている。また、筐体91の先端には、直方体形状の凹部93が形成される。凹部93には、処理部20Gの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と電気的に接続される電極93aが配置される。
【0136】
検知部30Gは、棒形状の筐体31と直方体形状の筐体32とを有する。また、筐体31の先端には、直方体形状の凸部36が形成される。凸部36は、接続部90Gの凹部93と対応する形状を有する。また凸部36には、成分検知部33および温度検知部34と電気的に接続される電極36aが配置される。さらに、筐体31の凸部36が形成される側の外周面には、ネジ構造35が形成される。筐体32の内部には、実施の形態1と同様の成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31には、成分検知部33および温度検知部34と、電極36aとを電気的に接続する配線が収容される。
【0137】
固定装置80Fは、実施の形態7と同様である。固定装置80Gは、逆円錐形状を有し、処理部20Gおよび検知部30Gと同様の耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。固定装置80Gの中央部には、ネジ構造82が形成された開口部81が設けられている。固定装置80Gのネジ構造82は、接続部90Gに形成されるネジ構造92および検知部30Gに形成されるネジ構造35と結合する形状となっている。また、固定装置80Gの底面には弾力のある台座84が設けられている。
【0138】
蓋10Fは、実施の形態6と同様に、任意の位置に、成分検知装置1Gを取り付けるための開口部13が形成されている。開口部13は、固定装置80Fの台座83および固定装置80Gの台座84の底面よりも小さく、接続部90Gの筐体91および検知部30Gの筐体32の底面よりも大きくなっている。
【0139】
図24に示すように、成分検知装置1Gの接続部90Gが蓋10Fの開口部13に差し込まれる。そして、検知部30Gの凸部36が接続部90Gの凹部93にはめ込まれる。これにより、処理部20Gの電極93aと検知部30Gの電極36aとが接触し、処理部20Gと検知部30Gとが電気的に接続される。
【0140】
また、このとき、固定装置80Fは蓋10Fの上方に配置され、固定装置80Gは蓋10Fの下方に配置される。そして、固定装置80Fの台座83と固定装置80Gの台座84とで蓋10Fを挟むことで、成分検知装置1Gが蓋10Fに安定して固定される。また、固定装置80Fおよび固定装置80Gは、接続部90Gのネジ構造92および検知部30Gのネジ構造35と結合するネジ構造82における回転に応じて、上下に移動することができる。これにより、固定装置80Fおよび固定装置80Gと検知部30Fとの距離が調整され、筐体32内の成分検知部33を任意の高さに配置することができる。
【0141】
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1Gの検知部30Gを、容器400の形状や調理物の高さに合わせた位置に固定することができ、利便性が向上するとともに、成分検知装置1Gを安定して蓋10Fに固定することができる。
【0142】
実施の形態9.
次に、本発明の実施の形態9における成分検知装置1Hについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Hは、処理部20Hと検知部30Hとが着脱可能であり、処理部20Hと検知部30Hとの間に接続できる延長アタッチメント95を備える点において実施の形態6と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Hの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Hと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0143】
図25は、本実施の形態における成分検知装置1Hの正面斜視図である。
図25に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Hは、処理部20Hと、接続部90Hと、検知部30Hと、延長アタッチメント95とを備える。処理部20Hと接続部90Hとは一体に構成され、検知部30Hは、接続部90Hに着脱可能に取り付けられる。また、延長アタッチメント95は、接続部90Hと検知部30Hとの間に接続される。本実施の形態の成分検知装置1Hは、任意の蓋10Fに着脱可能に取り付けられる。
【0144】
処理部20Hは、実施の形態5の処理部20Dと同様の筐体24を備える。筐体24は、耐水性および耐熱性の高い材質で形成され、内部に表示部40、通信部50、電源部60および制御部70が収容される。また、筐体24の上面には電池挿入部62が設けられ、側面には表示窓41および通信ポート51が設けられる。さらに、処理部20Hの下方には、成分検知装置1Hを蓋10Fに安定して固定するとともに、筐体24の内部への異物の浸入を防ぐための、弾力性のある台座66が設けられる。
【0145】
接続部90Hは、処理部20Hの底面下方に伸びる棒形状の筐体91を有する。筐体91の直径は、蓋10Fの開口部13の直径より小さくなっている。これにより、接続部90Hは、蓋10Fの開口部13に差し込める構造となっている。また、筐体91の下端には、直方体形状の凹部93が形成される。凹部93には、処理部20Hの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70と電気的に接続される電極93aが配置される。
【0146】
検知部30Hは、棒形状の筐体31と直方体形状の筐体32とを有する。また、筐体31の先端には、直方体形状の凸部36が形成される。凸部36は、接続部90Hの凹部93と対応する形状を有する。また凸部36には、成分検知部33および温度検知部34と電気的に接続される電極36aが配置される。筐体32の内部には、実施の形態1と同様の成分検知部33および温度検知部34が収容され、筐体31には、成分検知部33および温度検知部34と、電極36aとを電気的に接続する配線が収容される。
【0147】
延長アタッチメント95は、検知部30Hの筐体31と同じ直径の円柱形状を有する。延長アタッチメント95の上面には、直方体形状の凸部96が形成される。凸部96は、接続部90Hの凹部93と対応する形状を有する。また凸部96には、電極96aが配置される。延長アタッチメント95の下面には、直方体形状の凹部97が形成される。凹部97は、接続部90Hの凹部93と同じ形状を有し、凸部96の電極96aと電気的に接続される電極97aが配置される。
【0148】
また、延長アタッチメント95は、耐食性、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。例えば、延長アタッチメント95は、シリコーン樹脂、耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製とすることができる。また、ステンレスまたはアルミ等の金属製、もしくは樹脂および金属を組み合わせたものとしてもよい。また、延長アタッチメント95は、検知部30Hの筐体31と同一の材料で構成されてもよく、別の材料で構成されてもよい。
【0149】
本実施の形態の成分検知装置1Hでは、検知部30Hの凸部36が延長アタッチメント95の凹部97に接続される。そして、延長アタッチメント95の凸部96が接続部90Hの凹部93に接続される。これにより、検知部30Hの成分検知部33および温度検知部34が、処理部20Hの表示部40、通信部50、電源部60および制御部70に電気的に接続される。また、検知部30H、延長アタッチメント95、および接続部90Hの接続箇所には、内部への水分または異物の混入を防止するめに、耐水性および耐熱性の高い材質で形成されたパッキンを装着してもよい。延長アタッチメント95は、成分検知装置1Hが使用される容器400の形状や調理物の高さに合わせて、一つまたは複数接続することができる。
【0150】
以上のように、本実施の形態によれば、検知部30Hと処理部20Hとの間に延長アタッチメント95を一つまたは複数接続することで、容器400の形状や調理物の高さに合わせて、成分検知装置1Hを任意の高さで固定することができ、利便性が向上する。
【0151】
実施の形態10.
次に、本発明の実施の形態10における成分検知装置1Kについて説明する。本実施の形態の成分検知装置1Kは、延長アタッチメント95Aが支持部98を備える点において実施の形態9と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1Kの内部構成および構成材料、ならびに成分検知装置1Kと加熱調理器100との連携動作については、実施の形態1と同様である。
【0152】
図26は、本実施の形態における成分検知装置1Kの正面斜視図である。また、
図27は、本実施の形態における成分検知装置1Kの容器400への取り付け例である。
図26に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Kは、処理部20Hと、接続部90Hと、検知部30Hと、延長アタッチメント95Aとを備える。処理部20Hと接続部90Hとは一体に構成され、検知部30Hは、接続部90Hに着脱可能に取り付けられる。また、延長アタッチメント95Aは、接続部90Hと検知部30Hとの間に接続される。本実施の形態の処理部20H、接続部90Hおよび検知部30Hの構成は、実施の形態9と同様である。
【0153】
延長アタッチメント95Aは、検知部30Hの筐体31と同じ直径の円柱形状を有する。延長アタッチメント95の上面には、直方体形状の凸部96が形成される。凸部96は、接続部90Hの凹部93と対応する形状を有する。また凸部96には、電極96aが配置される。延長アタッチメント95の下端には、直方体形状の凹部97が形成される。凹部97は、接続部90Hの凹部93と同じ形状を有し、凸部96の電極96aと電気的に接続される電極97aが配置される。また、延長アタッチメント95Aの外周面には、支持部98が設けられる。
【0154】
支持部98は、成分検知装置1Kを支持するための支持手段であり、支持部98の形状は、取り付ける対象物の構造等によって任意の形状にできる。例えば、
図26に示すように、支持部98は、弾性を有するクリップ形状とされ、延長アタッチメント95Aの外周面と支持部98との間で容器400の側壁を挟むように構成される。また、支持部98は、耐食性、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。例えば、支持部98は、シリコーン樹脂、耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製とすることができる。また、ステンレスまたはアルミ等の金属製、もしくは樹脂および金属を組み合わせたものとしてもよい。また、支持部98は、検知部30Hの筐体31と同一の材料で構成されてもよく、別の材料で構成されてもよい。
【0155】
図27に示すように、成分検知装置1Kに支持部98が形成された延長アタッチメント95Aを接続し、容器400の内側壁面に成分検知装置1Kを取り付けることができる。
【0156】
以上のように、延長アタッチメント95Aに支持部98を設けることで、容器400の蓋を使用しない場合にも、容器400の縁に成分検知装置1Kを装着でき、利便性が向上する。
【0157】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、本発明の具体的な構成はこれに限られるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。また、上記実施の形態1〜10における構成は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、上記実施の形態では、加熱調理器100の操作表示部180を操作することで、成分検知制御を行う構成としたが、これに限定されるものではなく、加熱調理器100のその他の操作部(上面操作部160または前面操作部140)によって操作してもよい。また、加熱調理器100および成分検知装置1の成分管理機能に関する設定および制御を、携帯端末またはPCなどの外部機器にて行うことも可能である。また、加熱調理器100において、必要に応じて外部機器から成分管理情報、分析結果を取得する機能を備えてもよい。このように、外部機器からの制御を可能とすることで、一人暮らしの高齢者や、在宅治療中の患者、等の特に食事制限が必要な使用者の食生活を遠隔で管理することが可能になり、健康へのアシストにつながる。
【0158】
また、取っ手部20の筐体21の形状は、上記実施の形態に限定されるものではない。
図28は、変形例における取っ手部20の筐体21Aを示す図である。
図28に示すように、取っ手部20は、中央の立ち上がりから、蓋部10の傘方向に屈折した持ち手形状の筐体21Aを有してもよい。
【0159】
また、取っ手部20の筐体21に成分検知装置1の電源をON/OFFするための電源スイッチ28および成分検知装置1による成分検知を開始または停止するための検知スイッチ29を設けてもよい。
図29は、変形例における成分検知装置1Mの内部構成を示す図である。例えば電源スイッチ28および検知スイッチ29は、押しボタンスイッチであり、成分検知装置1Bの内部へ埋め込まれる構造とし、これにより、容器400からの水蒸気や調理物の飛散による汚れを防止するとともに、水分や異物との接触を抑制することができる。なお、電源スイッチ28および検知スイッチ29の構造は、上記に限定されるものでない。電源スイッチ28と、検知スイッチ29は、両方を備える構成でも、何れか一方のみを備える構成としてもよい。または、電源スイッチ28と、検知スイッチ29との両方の機能を備えたスイッチを一つ備える構成としてもよい。
【0160】
電源スイッチ28は、成分検知装置1の電源をON/OFFするものであり、電源スイッチ28を備えることで必要な時にのみ通電が可能になり、待機電力によるロスやスイッチの切り忘れが削減できる。その結果、成分検知装置1の消費電力を削減し、電池61の使用可能な期間を延ばすことができる。検知スイッチ29は、成分検知装置1による成分検知を開始または停止するためものであり、検知スイッチ29を備えることで、加熱調理器100の操作表示部180を目視して操作することなく、成分検知を行うことができる。これにより、使用者の利便性をさらに向上させることができる。また、
図29に示すように、電源スイッチ28や検知スイッチ29を備える場合は、制御部70に検知スイッチ29からの成分検知指令を送信するための操作部280を備える。
【0161】
また、成分検知装置1は、起動指令および開始指令を、加熱調理器100または外部機器からの指令と、各スイッチとの両方から受信してもよい。
【0162】
また、成分検知装置1によって検知される成分情報を表示する情報表示部を取っ手部20に設けてもよい(図示せず)。情報表示部は、例えば液晶ディスプレイであり、矩形状の開口部内に設けられ、光透過性のフィルム又はシート等の光透過性部材で覆われた構造となっている。矩形状の開口部と光透過性部材との間の隙間部分は、水分等の液体成分が取っ手部20の内部に浸入しないように、例えば耐熱性の高い接着剤等で閉塞(密封)される。なお、表示部40を備えず、情報表示部のみを備える構成とし、情報表示部の背景を、加熱調理器100からの指令および成分検知装置1の状態で変更してもよい。
【0163】
また、上記実施の形態において、成分検知装置1の制御部70を、加熱調理器100の制御部300に備える構成としてもよい。この場合、成分検知装置1は、成分検知部33および温度検知部34が検知した実測データをそのまま加熱調理器100に送信すればよい。このように、成分検知装置1の機能の一部を加熱調理器100に備えることで、成分検知装置1をさらに小型化することができる。また、成分検知装置1の機能が削減できることで、成分検知装置1の落下、洗浄等の負荷による不具合を低減でき、耐久性を向上させることができる。
【0164】
さらに、上記実施の形態の成分検知装置1に、電源スイッチ28、検知スイッチ29、情報表示部を備える構成とし、成分情報等を情報表示部に表示することで、成分検知装置1を加熱調理器100から切り離して単独で使用することもできる。
【0165】
以上のように、本発明の成分検知装置は、加熱調理器と連動して駆動し、調理中の調理物の成分を自動で測定し、使用者に報知することで、使用者は手間無く成分測定ができ、使用者の好みの仕上がりを安定的に提供でき使用者の満足度を向上できる。また、成分濃度を自動管理できることで、使用者の健康への意識の向上が可能になるとともに、成人病、等の各種疾病による食事制限が必要な場合の調理アシストが可能になることから、介護施設、病院、保育園等、でも好適に利用することができる。また、遠隔からの制御・管理を可能とすることで、高齢者や在宅治療者の食生活のアシストが可能になる。