(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139661
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】浮き床システム、床パネル、およびその設置方法
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20170522BHJP
E04F 15/10 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
E04F15/02 E
E04F15/10 104F
【請求項の数】26
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-505984(P2015-505984)
(86)(22)【出願日】2013年4月15日
(65)【公表番号】特表2015-513024(P2015-513024A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】US2013036663
(87)【国際公開番号】WO2013155534
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】61/623,670
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300045352
【氏名又は名称】アームストロング ワールド インダストリーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】スニル・ラーマチャンドラ
(72)【発明者】
【氏名】アナ・ジェイ・トタロ
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−522982(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第1350904(EP,A2)
【文献】
中国特許出願公開第102383565(CN,A)
【文献】
独国特許出願公開第102007020271(DE,A1)
【文献】
特開2010−242423(JP,A)
【文献】
特開2004−244922(JP,A)
【文献】
米国特許第06862857(US,B2)
【文献】
国際公開第2008/122479(WO,A1)
【文献】
特表2011−511891(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102006024184(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 15/10
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の縁部、第1の縁部とは反対側の第2の縁部、第3の縁部、第3の縁部とは反対側の第4の縁部、ならびに、第3および第4の縁部に平行に延在する長手方向軸線を備えるパネル本体と;
パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;
パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;
第1のフランジから突出するとともに、アンダーカット面と面取り面とを有する係止リップを備える単一の係止部材であって、該係止リップは、パネル本体から離れる方向で突出する、係止部材;および、
第2のフランジに形成された単一の係止スロット;
を備える機械的係止アセンブリと
をそれぞれ備える、複数のパネルからなり、
ここで、該機械的係止アセンブリは、パネルのうち第1のパネルの係止部材がパネルのうち第2のパネルの係止スロット内に配設されたとき、第1のパネルの係止部材のアンダーカット面と第2のパネルの第2のフランジの係止面との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルが共に垂直方向で係止されるように構成され、そして、
ここで、該係止部材は、パネル本体の第3の縁部から第1のフランジに沿って第1の距離だけ離間している第1の端部から、パネル本体の第4の縁部から第1のフランジに沿って第2の距離だけ離間している第2の端部へと延在しており、該第1の距離は該第2の距離より大きく、それにより係止部材はパネル本体の長手方向軸線からずれている、
浮き床システム。
【請求項2】
パネルそれぞれについて、係止スロットは貫通スロットである、請求項1に記載の浮き床システム。
【請求項3】
第1のパネルの係止部材の幅は、第2のパネルの係止スロットの幅より小さく、それによって偏向ギャップが形成され、そして、第一のパネルの係止部材は、通常状態から偏向状態へと押しやられるように弾性であり、それによって、該係止部材は、係止リップが第2のパネルの係止スロットに挿入されるにつれて、偏向ギャップ中に偏向し、第1のパネ
ルの係止リップのアンダーカット面が第2のパネルの係止面と位置合わせされたとき、通常状態に戻る、請求項1に記載の浮き床システム。
【請求項4】
パネルそれぞれについて、係止部材は係止本体を備え、係止リップは係止本体の側面から突出する、請求項1に記載の浮き床システム。
【請求項5】
パネルそれぞれについて、係止リップはパネル本体から離れる方向で係止本体の側面から突出する、請求項4に記載の浮き床システム。
【請求項6】
パネルそれぞれについて、係止本体とパネル本体との間にギャップが存在する、請求項5に記載の浮き床システム。
【請求項7】
パネルそれぞれについて、アンダーカット面はパネル本体の上面にほぼ平行である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項8】
パネルそれぞれについて、第2のフランジは陥凹部を備え、第1のフランジは突起を備え;該陥凹部および該突起は、第1のパネルの突起が第2のパネルの陥凹部に挿入されたとき、第1のパネルの突起と第2のパネルの陥凹部の壁との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルが共に水平方向で係止されるように構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項9】
パネルそれぞれについて、係止スロットは陥凹部の床に位置し、係止部材は突起上に位置し、陥凹部は細長いチャネルであり、突起は細長いリッジである、請求項8に記載の浮き床システム。
【請求項10】
パネルそれぞれについて、係止面はパネル本体の下面から垂直方向にずれている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項11】
パネルそれぞれについて、第2のフランジはパネル本体の下面とほぼ共面の下面を有する、請求項10に記載の浮き床システム。
【請求項12】
パネルそれぞれについて、係止部材は長さLLMを有し、スロットは長さLLSを有し、LLMはLLSよりも短い、請求項1〜11のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項13】
パネルそれぞれについて、係止溝はアンダーカット面と第1のフランジとの間に形成され;第1および第2のパネルが共に垂直方向で係止されたとき、第2のパネルの係止スロットを画成する壁は第1のパネルの係止溝内に嵌まる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項14】
パネルそれぞれについて、パネル本体は細長く、長手方向軸線に沿って延在する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項15】
パネルそれぞれについて、第1のフランジはパネル本体の上面とほぼ共面の上面を備える、請求項1〜14のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項16】
パネルはそれぞれ、上層および下層を備える積層構造であり、上層はパネル本体の上面および第1のフランジの上面を含み、パネル本体の上面および第1のフランジの上面は目に見える装飾パターンを備える、請求項15に記載の浮き床システム。
【請求項17】
上層は、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、またはそれらの組み
合わせを含む可撓性シート材料を含む、請求項16に記載の浮き床システム。
【請求項18】
上層は、混合層、磨耗層、およびトップコート層を含む、請求項16又は17に記載の浮き床システム。
【請求項19】
下層は、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む可撓性シート材料を含む、請求項16〜18のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項20】
パネルはそれぞれ、240MPA〜620MPAの範囲のヤング率を有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の浮き床システム。
【請求項21】
パネルはそれぞれ:
パネル本体の第3の縁部から延在する第3のフランジと;
パネル本体の第4の縁部から延在する第4のフランジとをさらに備え;
係止部材は第1の縁部に隣接して位置し、係止スロットは第2の縁部に隣接して位置し;
パネルはそれぞれ、第3の縁部に隣接した第3のフランジから突出する複数の歯と;
第4の縁部に隣接して位置する第4のフランジにある複数の歯スロットと;
をさらに備え、
ここで、該歯および該歯スロットは、パネルのうち第3のパネルの歯が第1のパネルの歯スロットに挿入されたとき、第1および第3のパネルが:(1)第3のパネルの歯と第1のパネルの歯スロットとの噛合によって、第1の水平方向において共に水平方向で係止され、(2)第1の水平方向にほぼ直交する第2の水平方向で相対的に滑動できるように構成される、
請求項1に記載の浮き床システム。
【請求項22】
第1の縁部、第1の縁部とは反対側の第2の縁部、第3の縁部、第3の縁部とは反対側の第4の縁部、ならびに、第3および第4の縁部に平行に延在する長手方向軸線を備えるパネル本体と;
パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;
パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;
第1のフランジから突出し、そしてアンダーカット面と面取り面とを有する係止リップを備える弾性係止部材であって、該係止リップは、パネル本体から離れる方向で突出する、係止部材;および、
第2のフランジに形成された単一の係止スロット;
を備える、機械的係止アセンブリと;
をパネルがそれぞれ備え、
ここで、該係止部材は、パネル本体の第3の縁部から第1のフランジに沿って第1の距離だけ離間している第1の端部から、パネル本体の第4の縁部から第1のフランジに沿って第2の距離だけ離間している第2の端部へと延在しており、該第1の距離は該第2の距離より大きく、それにより係止部材はパネル本体の長手方向軸線からずれている、
浮き床システムを作製するため複数のパネルを設置する方法であって:
a)複数のパネルのうち第1および第2のパネルを互いに隣接させて位置付ける工程;
b)パネルのうち第1のパネルの弾性係止部材をパネルのうち第2のパネルの係止スロットに挿入し、第1のパネルの弾性係止部材は通常状態から偏向状態へと押しやられる、工程;
c)第1のパネルの係止部材のアンダーカット面と第2のパネルの係止面との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルを共に垂直方向で係止するように、第1のパネルの弾性係止部材が通常状態に戻るまで、工程b)を継続する工程
を含む、前記方法。
【請求項23】
弾性係止部材は通常状態へと付勢される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
工程b)の間、第1または第2パネルのうち一方のパネルの突出部は第1または第2のパネルのうち他方のパネルの陥凹部に挿入されて、第1および第2のパネルの間で水平方向の係止が提供される、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
工程b)は、第1のパネルを第2のパネルに向かって下方に折り込む工程をさらに含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
工程a)は、第1のパネルの突出部を、第2のパネルが位置する列に隣接したパネル列のパネルのうち1つのパネルの溝に挿入する工程をさらに含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2012年4月13日出願の米国仮特許出願第61/623,670号の利益を主張し、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は、全体として、床システム、床パネル、およびその設置方法に関し、特に、前記床システム、床パネル、およびその設置方法のための向上した機械的係止システムに関する。本発明は、LVT(高級ビニルタイル)などの弾性パネルを利用するものなど、浮き床システムに特に適している。
【背景技術】
【0003】
浮き床システムは当該分野において知られている。既存の浮き床システムでは、床パネルは一般的に、化学的接着によって共に連動させる。例えば、既存の浮き床システムの床パネルは、一般に、床パネル本体の両側から延在する下側の横方向フランジおよび上側の横方向フランジを備える。上側および/または下側の横方向フランジのうち少なくとも1つは、それに塗布された接着剤が露出している。かかる浮き床システムの組立て/設置の際、床パネルの下側フランジに、床パネルのうち隣接したパネルの上側フランジが重ね合わされる。その結果、露出した接着剤は、隣接した床パネルの上側および下側フランジを共に連動させる。組立て/設置プロセスは、床下地の所望の面積全体が覆われるまで続けられる。
【0004】
近年、床パネルが機械的に連動する浮き床システムを開発する試みが行われてきた。1つの既知の機械的に連動する浮き床システムは、上側および下側フランジそれぞれにある、互いに噛合する歯ならびに歯スロット(tooth slots)を利用して、床パネル間の水平方向の連動を作り出す。これら既存の機械的連動システムによる1つの問題は、歯をスロットと位置合わせするのが簡単ではなく、それにより、設置/組立てプロセスが困難になる点である。それに加えて、これらの機械的連動システムは、水平方向の係止を提供することに限定され、その結果、隣接した床パネル間のレジング(ledging)が問題となり得る。
【0005】
当該分野において、一般に、木質系芯材を有する床板が機械的係止システムを備えてもよいこと、また、アングル・アングル(angle-angle)、アングル・スナップ(angle-snap)、または垂直折込み(vertical folding)によってかかる床板を組み立てる方法が知られている。LVT(高級ビニルタイル)などの弾性材料の床パネルは、従来、床下地に貼り付けられるか、または縁部で互いに接合される。
【0006】
上述した木質系芯材を有する床板を組み立てる既知の方法は、弾性床パネルを組み立てる際に使用することが困難であるが、それは、弾性床パネルが剛性ではなく、薄いプロファイルを有し、それによって床パネルが容易に曲がることを許すからである。したがって、アングル・アングルの方法の使用は困難である。それに加えて、アングル・スナップの方法は、例えばハンマまたはタッピングブロックによって、接続しようとする床パネルの縁部に対して反対側の縁部に力を加えることを要し、また、弾性床パネルの弾性芯材が加えられた力を吸収し、何らかの損傷を受ける可能性が高く、それがエンドユーザにとっては視覚的に望ましくないことがあるため、その方法の使用が実行不可能になっている。既知の垂直折込みの方法もまた、弾性床パネルの可撓性が増加したことにより、同じ方法を使用した硬質系の床板の場合よりも弾性床パネルがより簡単に係脱することが可能になるため、適用が困難である。
【0007】
長辺、短辺、または両方にある角度付きタイプのロックは、垂直に押し下げるかまたは嵌め込むことができるロックよりも、設置するのが著しく困難である。しかし、垂直折込みまたは押下げタイプのロックは、現在の市場では、床下地の不規則性、または2つの係止した厚板間における何らかの著しい相対的垂直移動により、簡単に浮き上がる(pop open)か、または直角縁の製品に対する「レジング」を呈する場合がある。
【0008】
レジングに関する課題はますます顕著になってきているが、それは、日曜大工(DIY)用の製品が、競争力のある価格でなければならないために、(斜縁ではなく)直角縁部を有する必要があるためであり、つまり、DIY製品は、斜縁の製品には必要な厚い磨耗層を有することができない。したがって、レジングまたは浮き上がりのリスクが最小限に抑えられるかあるいは本質的に排除される、直角縁のDIY製品が必要とされている。したがって、本発明の1つの利益は、レジングまたは浮き上がりのリスクなしに、薄い磨耗層を有するDIY用の製品が直角縁を有することが可能になることである。
【0009】
したがって、機械的連動システムを利用する、改善された浮き床システム、床パネル、およびその設置方法が必要とされている。かかる必要性は、LVTパネルなどの弾性床パネルに関して特に感じられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、隣接した床パネル間の垂直方向の係止を提供して、それらの間のレジングを最小限に抑える、かつ/または防止するスナップ嵌め係止アセンブリを含む、浮き床システム、床パネル、およびその使用方法を対象とする。一実施形態では、床パネルはLVTなどの弾性床パネルである。水平方向の係止を提供するため、突起および陥凹部も床パネルに設けられてもよい。スナップ嵌め係止アセンブリは:第1のフランジから突出するとともにアンダーカット面を備える係止部材;および、第2のフランジに形成された係止スロット、を備えてもよい。スナップ嵌め係止アセンブリは、パネルのうち第1のパネルの係止部材がパネルのうち第2のパネルの係止スロット内に配設されたとき、第1のパネルの係止部材のアンダーカット面と第2のパネルの第2のフランジの係止面との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルが共に垂直方向で係止されるように構成される。
【0011】
一実施形態では、本発明は:第1の縁部および第1の縁部とは反対側の第2の縁部を備えるパネル本体と;パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;第1のフランジから突出するとともにアンダーカット面を備える係止部材;および、第2のフランジに形成された係止スロット;を備えるスナップ嵌め係止アセンブリとをそれぞれ備える、複数のパネルを備え、スナップ嵌め係止アセンブリは、パネルのうち第1のパネルの係止部材がパネルのうち第2のパネルの係止スロット内に配設されたとき、第1のパネルの係止部材のアンダーカット面と第2のパネルの第2のフランジの係止面との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルが共に垂直方向で係止されるように構成される、浮き床システムであり得る。
【0012】
別の実施形態では、本発明は:第1の縁部および第1の縁部とは反対側の第2の縁部を備えるパネル本体と;パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;第1のフランジから突出する係止部材;および、第2のフランジに形成された係止スロット;を備えるスナップ嵌め係止アセンブリとをそれぞれ備える、複数のパネルを備え、パネルのうち第1のパネルの係止部材とパネルのうち第2のパネルの係止スロットとの間の機械的相互作用によって、パネルが共に垂直方向で係止される、浮き床システムであり得る。
【0013】
さらに別の実施形態では、本発明は:第1の縁部および第1の縁部とは反対側の第2の縁部を備えるパネル本体と;パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;第1のフランジから突出するとともにアンダーカット面を備える係止部材;第2のフランジに形成された係止スロット;および、係止スロットに隣接した第2のフランジ上の係止面;を備えるスナップ嵌め係止アセンブリとを備え、スナップ嵌め係止アセンブリは、床パネルの係止部材が隣接した床パネルの係止スロット内に配設されたとき、床パネルの係止部材のアンダーカット面と隣接した床パネルの第2のフランジの係止面との間の機械的相互作用によって、床パネルおよび隣接した床パネルが共に垂直方向で係止されるように構成される、浮き床システムのための床パネルであり得る。
【0014】
さらなる実施形態では、本発明は:第1の縁部および第1の縁部とは反対側の第2の縁部を備えるパネル本体と;パネル本体の第1の縁部から延在する第1のフランジと;パネル本体の第2の縁部から延在する第2のフランジと;第1のフランジから突出する弾性係止部材;および、第2のフランジ内に形成された係止スロットを備える、スナップ嵌め係止アセンブリと;をパネルがそれぞれ備える、浮き床システムを作成するため複数のパネルを設置する方法であって:a)複数のパネルのうち第1および第2のパネルを互いに隣接させて位置付ける工程;b)パネルのうち第1のパネルの弾性係止部材をパネルのうち第2のパネルの係止スロットに挿入し、第1のパネルの弾性係止部材は通常状態から偏向状態へと押しやられる、工程;c)第1のパネルの係止部材のアンダーカット面と第2のパネルの係止面との間の機械的相互作用によって、第1および第2のパネルを共に垂直方向で係止するように、第1のパネルの弾性係止部材が通常状態に戻るまで、工程b)を継続する工程、を含む、方法であり得る。
【0015】
本発明の適用可能性のさらなる範囲が、以下に提供される詳細な説明から明白となるであろう。詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、単なる例証を目的とするものであって、本発明の範囲を限定しようとするものではないことを理解されたい。
【0016】
本発明は、詳細な説明および添付図面からより十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による床パネルの上面斜視図である。
【
図2A】
図1の床パネルの近位端部分を示す下面斜視図である。
【
図5】
図3の視点V−Vに沿った
図1の床パネルの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、スナップ嵌めアセンブリを使用して共に垂直方向で係止されている
図1の床パネルのうち第1および第2のパネルを示す斜視図である。
【
図7】
図1の床パネルのうち第2のパネルの係止スロットに入っている、
図1の床パネルのうち第1のパネルの係止部材を示す断面図である。
【
図8】
図1の床パネルのうち第1のパネルの係止部材が
図1の床パネルのうち第2のパネルの係止スロット内に配設されて、それらの間の垂直方向の係止をもたらしている状態を示す断面図である。
【
図9】さらなる詳細を示している、
図1の床パネルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好ましい実施形態の以下の記載は、事実上単なる例示であり、本発明、その適用、または使用を、いかなる形でも限定しようとするものではない。本発明の原理による例証の実施形態の記載は、文書による説明全体の一部と見なされるべき添付図面に関連して読まれるものとする。さらに、本発明の特徴および利益は、例示の実施形態を参照することによって例証される。したがって、本発明は明示的に、単独でまたは特徴の他の組み合わせの形で存在してもよい、いくつかの見込まれる非限定的な特徴の組み合わせを例証する、かかる例示的な実施形態に限定されるべきではなく;本発明の範囲は、本明細書に添付される請求項によって定義される。
【0019】
最初に
図1〜4を同時に参照すると、本発明の一実施形態による床パネル100が示される。一実施形態では、床パネル100は、全体を参照によって本明細書に組み入れる、2010年9月30日公開の米国特許出願公開第2010/0247834号に開示されているような組成および積層構造を有する、ビニルタイルであってもよい。しかし、米国特許出願公開第2010/0247834号に開示されているビニルタイルと異なり、床パネル100は、隣接した床パネル100を連動させて浮き床を形成する、機械的係止システムを備える。それに加えて、本発明のパネル100は、本明細書では「床パネル」と呼ばれるが、本発明の床パネル100は、壁面など、他の表面を覆うのに使用できることを理解されたい。
【0020】
床パネル100は、一般に、上面10および反対側の下面11を備える。上面10は、床パネル100が設置されたときに目に見えることが意図され、したがって、目に見える装飾パターンを備える仕上げ面であってもよい。反対に、下面11は、床下地の上面など、覆われるべき表面と表面接触することが意図される。床下地という用語は、本明細書で使用するとき、合板、既存のタイル、セメントボード、コンクリート、壁面、堅木の厚板、およびそれらの組み合わせを非限定的に含む、床パネル100で覆われるべき任意の表面を含むものとする。したがって、特定の実施形態では、下面11は未仕上げ面であってもよい。
【0021】
床パネル100は長手方向軸線A−Aに沿って延在する。例示の実施形態では、床パネル100は長方形形状を有する。しかし、本発明の他の実施形態では、床パネル100は他の多角形形状を呈してもよい。床パネル100は、長手方向軸線A−Aに沿って測定されるパネル長さと、長手方向軸線A−Aを横断する方向で測定されるパネル幅とを有する。かかる特定の実施形態(例示されるものなど)では、床パネル100は、パネル長さがパネル幅よりも長い、細長いパネルである。しかし、他の実施形態では、床パネル100は、パネル長さがパネル幅にほぼ等しい正方形のパネルであってもよい。
【0022】
床パネル100は、一般に、パネル本体110と、パネル本体110から延在する第1のフランジ120と、パネル本体110から延在する第2のフランジ130とを備える。例示の実施形態では、上面10が床パネル100の意図される表示面であることにより、第1のフランジ120が上側フランジと見なされてもよく、第2のフランジ130が下側フランジと見なされてもよい。しかし、他の実施形態では、床パネル100は、第2のフランジ130が床パネル100の上面10の一部分を形成する上側フランジであり、第1のフランジ120が下面11の一部分を形成する下側フランジであるように設計されてもよい。
【0023】
床パネル100は、特定の実施形態では、第3のフランジ140および第4のフランジ150をさらに備える。例示の実施形態では、上面10が床パネル100の意図される表示面であることにより、第3のフランジ140がやはり上側フランジと見なされてもよく、第4のフランジ150が下側フランジと見なされてもよい。しかし、他の実施形態では、床パネル100は、第4のフランジ150が床パネル100の上面10の一部分を形成する上側フランジであり、第3のフランジ140が下面11の一部分を形成する下側フランジであるように設計されてもよい。
【0024】
例示の実施形態では、第3のフランジ140は、図示されるように、パネル本体110の2つの隣接した縁部の周りにL字型のフランジを集合的に形成するように、第1のフランジ120に接続され、それと一体的に形成される。同様に、第4のフランジ150は、図示されるように、パネル本体110の残りの2つの隣接した縁部の周りにL字型のフランジを集合的に形成するように、第2のフランジ130に接続され、それと一体的に形成される。
【0025】
第1のフランジ120はパネル本体110の第1の縁部111から延在し、第2のフランジ130は、パネル本体110の第1の縁部111とは反対側の第2の縁部112から延在する。同様に、第3のフランジ140はパネル本体110の第3の縁部113から延在し、第4のフランジ150は、パネル本体110の第3の縁部113とは反対側の第4の縁部114から延在する。例示の実施形態では、第1の縁部111はパネル本体110の近位縁部であり、第2の縁部112はパネル本体110の遠位縁部であり、長手方向軸線A−Aは、第1の縁部112および第2の縁部113(したがって、第1のフランジ120および第2のフランジ130)の間に延在する。しかし、第3の縁部113および第4の縁部114はそれぞれ、パネル本体110の第1および第2の横縁部を形成する。
【0026】
例示の実施形態では、第1のフランジ120、第2のフランジ130、第3のフランジ140、および第4のフランジ150はそれぞれ、それらがそこから延在する縁部111〜114のほぼ全体に沿って延在する連続的なフランジである。しかし、他の実施形態では、ギャップによって分離され、集合的にフランジを形成するものと見なされる複数のフランジセグメントを備えるように、第1のフランジ120、第2のフランジ130、第3のフランジ140、および第4のフランジ150の1つまたはそれ以上は非連続的であってもよい。
【0027】
第1のフランジ120および第2のフランジ130は、設置中に複数の床パネル100が端部を(遠位端と近位端を)突き合わせて配置されて床パネル100の列を形成したとき(図
6〜8を参照)、第1のフランジ120および第2のフランジ130が重なり合い、スナップ嵌め係止アセンブリ(より詳細に後述する)を使用して互いに機械的に連動させて、床パネル100間の垂直方向の分離を防ぐようにして提供される。第3のフランジ140および第4のフランジ150は、設置中に複数の床パネル100が横方向に隣接して(横並びに)配置されて床パネル100の隣接した列を形成したと
き、第3のフランジ140および第4のフランジ150が重なり合い、歯/歯スロットの噛合(より詳細に後述)を使用して機械的に連動させて、第1の水平方向における床パネル100間の水平方向の分離を防ぐとともに、第1の水平方向にほぼ直交する第2の水平方向における床パネル間の相対的な滑動が可能になるようにして提供される。
【0028】
より詳細に考察するように、スナップ嵌め係止アセンブリは、他の実施形態では、スナップ嵌め係止アセンブリを使用して隣接した列の床パネル100を機械的に連動させて、隣接した列の床パネル100を共に垂直方向で係止するため、(近位および遠位縁部沿いに加えて、またはその代わりに)パネル本体110の第1および第2の横縁部に沿って提供することができる。かかる実施形態では、第1および第2の横縁部(即ち、第3の縁部113および第4の縁部114)から延在するフランジを、第1のフランジ120および第2のフランジ130と見なすことができる。
【0029】
上述したように、床パネル100は、床パネル100を利用する浮き床システムの設置中に、隣接した床パネル100を共に垂直方向で係止するための、スナップ嵌め係止アセンブリを備える。本明細書で使用するとき、「垂直」という用語は、床パネル100の上面10の面にほぼ直交する方向を指す。「第1の水平方向」という用語は、長手方向軸線にほぼ平行な方向を指す。「第2の水平方向」という用語は、長手方向軸線および床パネル100の上面10の面にほぼ垂直な方向を指す。
【0030】
次に
図2、2A、および5を同時に参照して、床パネル100のスナップ嵌め係止アセンブリについてより詳細に記載する。スナップ嵌め係止アセンブリは、一般に、第1のフランジ120から突出する係止部材160と、後で考察するように、床パネル100のうち隣接したパネルの係止部材160を受け入れる、第2のフランジ130に形成された係止スロット180とを備える。係止部材160は、例示の実施形態では、第1のフランジ120と一体的に形成される。しかし、他の実施形態では、係止部材160は、第1のフランジ120に後で固着される別個の構成要素であってもよい。
【0031】
係止部材160は、第1のフランジの第1の表面121から突出する。係止部材160は、一般に、係止本体161およびアンダーカット面162を備える。係止溝166は、アンダーカット面162と第1のフランジ120との間に形成される。例示の実施形態では、アンダーカット面162は、係止本体161の側面164から突出する係止リップ163によって形成される。より具体的には、係止リップ163は、パネル本体110から離れる方向で、係止本体161の側面164から突出する。他の実施形態では、係止リップ163は、パネル本体110に向かう方向で、係止本体161の側面168から突出してもよい。
【0032】
図から分かるように、係止リップ163の前端は、床パネル100を使用した床の設置中、係止スロット180内への係止部材160の進入を容易にする、面取り面165を備える。より詳細に後で考察するように、隣接した床パネル100がスナップ嵌め係止アセンブリを使用して共に連結されるとき、面取り面165は、係止スロット180を画成する第2のフランジ130の壁181と相互作用して、係止部材160(弾性である)を通常状態(
図5に示されるような)から偏向状態(図示なし)へと偏向させる。面取り面165は、一実施形態では、垂直から5〜15°の範囲である。係止部材160が床パネル100のうち隣接したパネルの係止スロット180に完全に挿入されたとき、隣接した床パネルの壁181は係止溝166内に嵌まる(
図8を参照)。
【0033】
例示の実施形態では、アンダーカット面162は係止リップ163上に形成されるが、他の実施形態では、アンダーカット面162は係止本体161内に直接形成されてもよい。かかる実施形態では、係止スロット180の壁181自体が、アンダーカット面162と係合するように延在する、係止スロット180内に突出する係止リップを備えてもよい。
【0034】
アンダーカット面162は、パネル本体110の上面111にほぼ平行である(パネル本体110の上面111は、床パネル100の上面10の一部分を形成する)。他の実施形態では、アンダーカット面162は、パネル本体110の上面111に対して傾斜していてもよい。係止部材の対向面には、係止本体161とパネル本体110との間にギャップ167が存在する。より詳細に後で考察するように、このギャップ167は、一部には、隣接した床パネル100を水平方向で係止するための陥凹部135を画成する、第2のフランジ130の隆起した壁182を受け入れる空間を提供する。係止部材は長さL
LMを有する。係止スロットは長さ
LLSを有する。一実施形態では、L
LMは
LLSよりも短い。特定の一実施形態では、
LLSは1.2L
LM以上である。これにより、正確な精度を要することなく、床の設置中に係止部材160を係止スロット180に挿入することが可能になる。これにより、さらに、真っ直ぐな「押下げ」に加えて、係止部材160を係止スロット180内へと折り込むことが可能になる。隣接した列の床パネル間における
垂直方向の係止を達成するため、係止部材160および係止スロットのスナップ嵌め係止アセンブリが、パネル本体の横縁部113、114に沿って利用される実施形態では、
LLSをL
LMよりも大きく設計することによって、相対的な滑動を可能にして、精密な切断の必要性が最小限に抑えられる。かかる実施形態では、
LLSは1.5L
LM以上である。
【0035】
係止スロット180は、例示の実施形態では、第2のフランジ130を通る通路を形成するという点で貫通スロットである。しかし、他の実施形態では、係止スロット180は貫通スロットでなくてもよく、それよりもむしろ、床を備えた窪みであってもよい。かかる実施形態は、設置された床で係止スロット180が見えなくなるので、上で考察したように第2のフランジ130が床パネル100の「上側フランジ」となるときに特に有用である。上述したように、係止スロット180が貫通スロットではない一実施形態では、係止スロット180の内壁から係止スロット180内へと突出して、係止部材160のアンダーカット面162を係合する、係止リップが設けられてもよい。あるいは、係止部材の係止リップ163を受け入れる溝が、係止スロット180の内壁に設けられてもよい。
【0036】
係止スロットは壁181によって画成される。さらに、第2のフランジ130は、係止スロット180の縁部に隣接した係止面184を備える。より詳細に後で考察するように、隣接した床パネル100の係止部材160が係止スロット180に完全に挿入されたとき、係止部材160のアンダーカット面162と係止面184との間の機械的相互作用によって、床パネルが共に垂直方向で係止される。係止面184は、パネル本体110の下面112から垂直方向にずれている(パネル本体110の下面112は、床パネル100の下面11の一部分を形成する)。これによって、係止部材160がパネル本体110の下面112によって形成される面を越えて突出することなく、アンダーカット面162が係止面184を機械的に係合することが可能な形で、係止部材160が中に完全に嵌まることが可能になる。それに加えて、例示の実施形態では、係止面184はパネル本体110の第2の縁部112と係止スロット180との間に位置するが、他の実施形態では、係止面184は係止スロットに隣接した他の位置に位置してもよい。
【0037】
さらに、第2のフランジ130は、係止スロット180の対向面上に、パネル本体110の下面112とほぼ共面の下面131を有する。このことは、第2のフランジ130の支柱部分132が、床の設置後に垂直荷重を受けたときに偏向するのを防ぐ助けとなる。その結果、経時的な垂直方向の係止の弾性がさらに改善される。
【0038】
例示するように、係止部材160は細長い長方形の部材であり、係止スロット180も細長い長方形のスロットである。しかし、他の実施形態では、係止部材160および係止スロット180は、正方形、多角形、楕円形、または円形など、他の形状を呈してもよい。例えば、かかる一実施形態では、係止部材160は円筒状の要素であることができる。単純に言えば、係止部材160および係止スロット180は、垂直方向の係止機能が達成できる限り、任意の形状であることができる。
【0039】
次に
図1〜2および5を参照すると、第1のフランジ120は突起125をさらに備え、第2のフランジ130はそれに対応する陥凹部135を備える。陥凹部135は、少なくとも第1の水平方向で、隣接した床パネル100間の水平方向の係止を提供するため、突起125を受け入れるようにサイズおよび形状が定められる。より具体的には、床パネル100のうち1つのパネルの突起125が、床パネル100のうち別のパネルの陥凹部135に挿入されたとき、床パネル100は、一方の床パネル100の突起125と他方の床パネル100の陥凹部135の壁182との間の機械的相互作用によって、共に水平方向で係止される(
図8を参照)。
【0040】
例示の実施形態では、突起125は細長いリッジ(ridge)の形態であり、陥凹部135はそれに対応する細長いチャネルの形態である。「折込みの段差(fold-down step)」と見なすことができる細長いリッジは、床パネル100の第1のフランジ120の幅の一部分またはその全体にわたって延在してもよい。同様に、「折込みのスロット」と見なすことができる細長いチャネルは、床パネル100の第2のフランジ130の幅の一部分またはその全体にわたって延在してもよい。他の構成が当然ながら可能である。
【0041】
他の実施形態では、突起125および陥凹部135は、少なくとも第1の水平方向における所望の水平方向の係止を提供するための、互いに噛合することができる他の形状を呈することができる。例示の実施形態では、係止スロット180は陥凹部135の床136に位置し、係止部材160は突起125上に位置する。より具体的には、係止部材160は突起125の遠位面126から下向きに突出する。他の実施形態では、係止部材160および突起125は互いから分離されてもよく、係止スロット180および陥凹部135も互いから分離されてもよい。
【0042】
図1を再び参照すると、床パネル100は、本体110の第4の縁部114に位置する溝75をさらに備える(
図2も参照)。この溝75は、連続的な形で床パネル100の全長に延在する。あるいは、セグメント化するか、または床パネル100の長さの一部分のみに延在することができる。それに加えて、床パネル100はまた、第3のフランジ140の自由な横縁部145から延在する補完的な突出部85を備える。突出部85は、床パネル100の上面10からずれている上面を有する。突出部85は、連続的な形で床パネル100の全長に延在する。あるいは、セグメント化するか、またはパネルの長さの一部分のみに延在することができる。より詳細に後述するように、床パネル100の突出部85は、折込みによる垂直方向の係止手順の間に、隣接した列の床パネル100の溝75に挿入される。
【0043】
次に
図6〜8を参照して、列状に長手方向で隣接した2つの床パネル100の垂直方向の係止について考察する。参照および考察を容易にするため、これらの床パネル100は、第1の床パネル100Aおよび第2の床パネル100Bとして数字で特定する。床パネル100A、100Bは、上で考察した床パネル100と同一(かつ互いに同一)である。したがって、第1のパネル100Aについては添字「A」、第2のパネル100Bについては添字「B」を追加して、類似の要素を指すのに類似の数字を使用するものとする。
【0044】
図6から始めて、第2の床パネル100Bを、覆うべき表面上の所望の場所に位置付ける。そのように位置付けた後、第1の床パネル100Aの第1のフランジ120Aが第2の床パネル100Bの第2のフランジ130Bと重なり合うようにして、第1の床パネルAを第2の床パネル100Bに隣接して位置付ける。(
図6に示されるような)折込みの方法を利用する場合、次に、第1の床パネル100Aをその長手方向軸線A−Aを中心にして傾け、第1の床パネル100Aの突起125の末端部分が第2の床パネル100Bの陥凹部135Bに挿入されるまで低下させる。床パネル100の前の列が設置済みである設置の際、この工程はまた、第1のパネル100Aの突出部85を、第2のパネル100Bが位置する列に隣接したパネル列の床パネルのうち1つのパネルの溝75に挿入する工程を含んでもよい(図
1を参照)。
【0045】
次に、突起125Aの長さのより多くが陥凹部135Bに挿入されるように、第1の床パネル100Aの持ち上げられた横縁部を低下させる。第1の床パネル100Aの突起125Aと第2の床パネル100Bの陥凹部135Bを画成する壁182Bとの間の機械的相互作用/接触(即ち、機械的干渉または当接)の結果として、第1のパネル100Aおよび第2のパネル100Bは、第1の水平方向において共に水平方向で係止される。
【0046】
次に
図7を参照すると、係止部材160Aの前端が係止スロット180Bに入り始めるまで、上述の低下を行う。このとき、係止部材160Aの係止リップ163Aの面取り面165Aが、係止スロット180Bを画成する壁181Bと接触するようになる。下向きの力が加わり続けるにつれて、係止部材160Bに対して力がかかり、係止部材160Aを通常状態(
図7)から偏向状態(図示なし)へと動かす。図示される実施形態では、係止部材160が偏向して偏向ギャップ198に入り、それによって係止リップ163Aが係止スロット180に完全に入ることが可能になる。上述したように、係止部材160Aは弾性であり、したがって、前記挿入の間、係止リップ163Aを壁181Bに押し付けるように継続的に自己付勢される。
【0047】
次に
図8を参照すると、アンダーカット面162Aが係止面184と位置合わせされるまで、係止部材160Aは貫通スロット180Bへと下向きに挿入され続ける。係止スロット180Bが貫通スロットである実施形態では、アンダーカット面が係止スロット180Bに入ったのとは反対側から出るまでこれが行われる。この時点で、係止部材160Aは自己付勢されているので、係止部材160Aは、アンダーカット面162Aが係止面184Bと当接した通常状態へと自動的に戻る。アンダーカット面162Aと係止面184Bとの間のこの機械的相互作用の結果として、第1のパネル100Aおよび第2のパネル100Bが共に垂直方向で係止される。図から分かるように、この状態で、係止スロット180Bを画成する壁181Bは、第1のパネル100Aの係止溝166(
図5)内に嵌まる。
【0048】
さらに、係止部材160が通常状態に戻った後で偏向ギャップ198が存在するにもかかわらず、第1の床パネル100Aの突起125Aと第2の床パネル100Bの陥凹部135Bの壁182Bとの間の機械的相互作用が継続していることによって、第1の床パネル100Aおよび第2の床パネル100Bは水平方向で係止されている。したがって、係止部材160Aが、破損するかまたはさらなる偏向を受けることなく、係止スロット180Bから後退して外に出る可能性はない。それに加えて、係止部材160Aが係止スロット180Bに入るのに先立って、突起125Aおよび陥凹部135Bによって達成される水平方向の係止は、係止部材160Aの偏向がもたらされるように第1の床パネル100Aおよび第2の床パネル100Bの相対位置を維持する助けとなる。
【0049】
例示の実施形態では、偏向ギャップ198が存在する(また、係止部材160Aがその中へと偏向する)ように、係止部材160Aの幅は係止スロット180Bの幅よりも僅かに狭いが、他の実施形態では、係止部材160Aおよび係止スロット180Bの幅は(僅かな許容差を除いて)ほぼ均等であり得る。かかる実施形態では、係止部材160Aが係止スロット180Bに完全に入って所望の垂直方向の係止を達成することが可能になるように、係止リップ163A自体を偏向または圧縮することができる。かかる実施形態では、係止リップ163Aの前記偏向または圧縮は、係止部材160Aの偏向状態と見なすことができる。さらに他の実施形態では、スナップ嵌め係止アセンブリの弾性作用は、全体的にまたは部分的に、第2のフランジ130Bの支柱部分132Bの偏向によって提供することができる。
【0050】
例示するように、係止部材160Aは、挿入中は偏向し、係止スロット180Bを通過した後は反発して適所に戻るように、弾性であるように設計される。しかし、係止部材160Aを有する代わりに、またはそれに加えて、圧縮可能なものなど、より軟質の材料を使用して係止部材160を形成することができる。これによって、弾性的な偏向の代わりに、またはそれに加えて、係止部材160Aを圧縮することによる垂直方向の係止作用が可能になる。より多くの可塑剤、より軟質の共重合体、より高い結合剤/充填剤比、および異なるタイプの樹脂を使用することによって、1つまたはそれ以上のより軟質の層を達成することができる。
【0051】
第1の床パネル100Aおよび第2の床パネル100Bの垂直方向の係止について、折込みの方法を使用して上述しているが、垂直押下げの方法も使用することができる。さらに、スナップ嵌め垂直係止アセンブリ(即ち、係止部材160および係止スロット180)を、長辺(側面)または短辺(遠位端および近位端)のどちらかに含むことができる。上述したスナップ嵌めアセンブリは、設置後に、簡単に浮上もしくは係脱しないか、またはレジングもしくは垂直方向移動を示さなくなる。さらに、単一の係止部材160および係止スロット180のみを例示しているが、他の実施形態では、スナップ嵌め係止アセンブリは、噛合をもたらすことができるように対向するフランジ上に対応するパターンで配置された、複数の係止部材160および係止スロット180を備えてもよい。特定の実施形態では、床パネル100は弾性床パネルである。かかる一例では、床パネル100は熱可塑性物質、例えばビニル、サーリン(surlyn)、およびPVCで作られてもよい。
【0052】
上で考察したように、係止部材160は、係止スロット180に隣接した係止面184と機械的に協働して垂直方向の係止をもたらし、それによってレジングが最小限に抑えられる。それに加えて、水平方向の係止をもたらす突起125および陥凹部135の機械的相互作用は、ギャッピングを防ぐ。
【0053】
再び
図1および2を同時に参照すると、床パネル100は、第3のフランジ140から突出する複数の歯191と、第4のフランジ150に形成された複数の歯スロット190とを備える。歯スロット190は、長手方向軸線A−Aにほぼ平行な軸線に沿って互いから等間隔で配置される。例示の実施形態では、歯スロット190はそれぞれ細長いスロットである。
【0054】
複数の歯191は互いから離隔される。歯191および歯スロットは、床パネル100のうち2つが互いに横方向に隣接して位置付けられると、横方向に隣接した床パネル100のうち一方のパネルの歯191を床パネル100のうち他方のパネルの歯スロット190に挿入することによって、床パネル100を共に連動させることができるように、互いに対応するパターンで床パネル100に配置される。1つの床パネル100の歯191を別の床パネル100の歯スロット190に挿入することによって、2つの横方向に隣接した床パネル100が共に連動されると、歯191と歯スロット190の壁との間の機械的相互作用によって、水平方向の荷重力を受けたときの第2の水平方向での床パネル100間の相対移動が防止される。
【0055】
さらに、各歯スロット190が、各歯191の長さよりも長い長さを有するように設計されることにより、横方向に隣接した第1のパネル100Aおよび第2のパネル100Bは、第1の水平方向では互いに対して滑動するが、第2の水平方向では水平方向で係止されたままであることができる。一実施形態では、歯191の長さは歯スロット190の長さの1.5倍である。歯191および歯スロット190の適切な設計の一実施形態に関する詳細は、2103年2月23日出願の国際特許出願PCT/US13/27675号に見出すことができ、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0056】
上述のスナップ嵌め係止アセンブリは効率的であり、床パネル100の全厚をより有効に活用し、それによって、係止部材160、歯191、歯スロット190、および係止スロット180を床パネル100に一体的に形成することが可能になる。
【0057】
次に
図9を参照して、床パネル100のさらなる詳細について記載する。これらの詳細は、
図1〜8の混乱および複雑さを回避する目的で、それらの図の例証からは省略していたものである。
図9に示されるように、床パネル100は
、上層280およ
び下層281を備える積層構造であってもよい
。上層280およ
び下層281はそれぞれ複数の層を備えてもよい。かかる一実施形態では
、上層280は、混合層、磨耗層、およびトップコート層を含んでもよい。さらに、他の実施形態では、床パネル100は
、上層280およ
び下層281に加えて、中間のガラス繊維またはポリエステルスクリム層などの層を備えることができる。追加層はまた、抗菌層、消音層、クッション層、耐滑動層、補剛層、チャネリング層、機械的にエンボス加工を施したテクスチャ、または化学的テクスチャの1つもしくはそれ以上を含んでもよい。
【0058】
したがって、特定の実施形態では、床パネル100の上面10には、目に見える装飾パターンが適用されている。一実施形態では
、上層280は、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、またはそれらの組み合わせを含む可撓性シート材料を含む
。下層280は、特定の実施形態では、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む可撓性シート材料を含んでもよい。
【0059】
一実施形態では、床パネル100のパネル本体110は2mm〜12mmの範囲の厚さを有する。別の実施形態では、床パネル100の本体110は2mm〜5mmの範囲の厚さを有する。特定の一実施形態では、床パネル100の本体110は3mm〜4mmの範囲の厚さを有する。床パネル100は、一実施形態では、240MPA〜620MPAの範囲のヤング率を有するように設計される。別の実施形態では、床パネル100は、320MPA〜540MPAの範囲のヤング率を有するように設計される。
【0060】
図示される実施形態では
、上層280は
、上部混合層283の上に位置付けられた透明フィルム/磨耗層282を含む
。上部混合層283は、例えば、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、またはそれらの組み合わせなど、実質的に可撓性のシート材料から形成されてもよい。目に見える装飾パターン
は上層280の上面に適用される。透明フィルム/磨耗層282は、特定の実施形態では、約4〜40ミル(約0.1〜1.0mm)、好ましくは約6〜20ミル(約0.15〜0.5mm)、より好ましくは約12〜20ミル(約0.3〜0.5mm)の厚さを有してもよい。
【0061】
上層280は、特定の実施形態では、約34〜110ミル(約0.8〜2.8mm)、好ましくは約37〜100ミル(約0.9〜2.5mm)、より好ましくは約38〜100ミル(約1.0〜2.5mm)の厚さを有してもよい。
【0062】
下層281は、図示される実施形態では
、下部混合層のみを含む
。下部混合層は、例えば、プラスチック、ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、またはそれらの組み合わせを含む材料の可撓性シートから形成されてもよい
。下層281はまた、他の実施形態では、脱工業化または使用済みスクラップなどのリサイクル材料を含んでもよい。
【0063】
下層281は、特定の実施形態では、約34〜110ミル(約0.8〜2.8mm)、好ましくは約37〜100ミル(約0.9〜2.5mm)、より好ましくは約38〜100ミル(約1.0〜2.5mm)の厚さを有してもよい。
【0064】
上層280の下面は、接着剤によっ
て下層281の上面に積層される。接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤、感圧性接着剤、または構造用および/もしくは反応性接着剤など、任意の適切な接着剤であってもよい。接着剤は、例えば、145°F(62.78℃)で約24時間熱老化させた後、少なくとも25重量ポンド(11.34kgf)、より
好ましくは約4.3N/mmの接着強さを有してもよい。図示される実施形態では、接着剤
は下層281の上面のほぼ全体に提供される。接着剤は、例えば、約1〜2ミル(約0.0254〜0.0508mm)の厚さを有するように塗布されてもよい。しかし、接着剤の厚さは、実質的に平滑な表面がより良好な付着および接着強さのおかげで、必要とする接着剤がより少ないという点で
、上層280の下面のテクスチャおよ
び下層281の上面のテクスチャに応じて変わってもよいことが、当業者には理解されるであろう。
【0065】
一実施形態では、機械的連動システム(即ち、係止部材160および係止スロット180)によって付与される応力による
、上層280
と下層281との間の剪断および/または層間剥離のリスクを最小限に抑えるために、同じ一体的に形成された層
(上部混合層また
は下部混合層など)によって形成される。例示の実施形態では、係止部材160および係止スロット180は
、上層280(より具体的には
、上部混合層)によって一体的に形成される。
【0066】
上部およ
び下部混合層は、可塑剤、充填剤、および結合剤から作られ、特定の実施形態に対して次の比率で作られてもよい:
下部混合層およ
び上部混合層(透明フィルムなし)の可塑剤の平均%:6.4%〜8.1%の範囲
下部混合層およ
び上部混合層(透明フィルムなし)の充填剤の平均%:65.9%〜78.7%の範囲
下部混合層およ
び上部混合層(透明フィルムなし)の結合剤の平均%:21.3%〜34.1%の範囲
【0067】
比率を変更することによって、床パネル100の磨耗、可撓性、および他の性能特性を変えることができる。
【0068】
上記に記載し図示したタイプの機械的係止システムを利用することの利点は、従来技術の「アングル・アングル」タイプの設置よりも著しく簡単である垂直「折込み」タイプの設置を使用して、継ぎ目を係止することができる点である。記載した突出およびスロットを使用することの別の利点は、貫通穴を有する継ぎ目でのみシステムを使用できる点である。本発明の別の利点は、係止部材160および係止スロット180のプロファイルを、倣削り装置(profiling equipment)を用いて機械加工できる点である。
【0069】
全体を通して使用されるように、範囲は、その範囲内にあるあらゆる値を説明するための略記として使用される。範囲内の任意の値を範囲の末端として選択することができる。それに加えて、本明細書で引用したすべての参照文献は、それらの全体が参照によって本明細書に組み入れられる。本開示における定義と引用した参照文献における定義とが相反する場合、本開示を優先する。
【0070】
本発明を実施するための現在好ましい形態を含む特定の実施例に関して、本発明について記載してきたが、当業者であれば、上述のシステムならびに技術の多数の変形および置換が存在することを理解するであろう。他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、構造上および機能上の修正が成されてもよいことを理解されたい。したがって、本発明の趣旨および範囲は、添付の請求項に記載されているように広く解釈されるべきである。