特許第6139668号(P6139668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139668ワイヤレスネットワークの構成のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139668
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ワイヤレスネットワークの構成のための方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/10 20090101AFI20170522BHJP
   H04W 52/04 20090101ALI20170522BHJP
   H04W 24/02 20090101ALI20170522BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20170522BHJP
【FI】
   H04W16/10
   H04W52/04
   H04W24/02
   H04W84/10
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-513196(P2015-513196)
(86)(22)【出願日】2013年5月23日
(65)【公表番号】特表2015-521002(P2015-521002A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】EP2013060681
(87)【国際公開番号】WO2013174953
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2016年5月23日
(31)【優先権主張番号】1254791
(32)【優先日】2012年5月24日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ルノー ドーア
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ バロン
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ シャンブラン
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/079560(WO,A1)
【文献】 特開2011−82973(JP,A)
【文献】 特開2010−34756(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/022626(WO,A2)
【文献】 特表2011−527162(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/107292(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0157096(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0111022(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/003008(WO,A2)
【文献】 特表2011−525329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークアクセスポイントを操作するための、前記アクセスポイントに実装される、方法であって、
低電力セットに属し、少なくとも1つの低電力チャネル上で第1の電力レベルより低い電力レベルで送信することが可能な前記アクセスポイントを構成するステップと、
前記アクセスポイントが前記低電力セットに属することの表示送信するステップと、
を含み、
近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力が第2の電力レベル未満である、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中で送信用の低電力チャネルを選択するステップをさらに含む、前記方法。
【請求項2】
前記低電力チャネルを選択するステップの間に、低電力チャネルは、前記少なくとも1つの低電力チャネルの各々において前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が前記第2の電力レベルよりも大きいときは選択されない、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記低電力チャネルを選択するステップの間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントの数が最大である、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記低電力チャネルを選択するステップの間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントの数がある値より低い、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記低電力チャネルを選択するステップの間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が最低である、前記少なくとも1つの低電力チャネルからさらに選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
チャネル上で前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力は、
− 前記チャネル上で前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記アクセスポイントによる前記受信電力、
− 予め定められた期間にわたる、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される信号の前記アクセスポイントによる平均受信電力、
− 前記近隣アクセスポイントの各々のビーコンフレームを含む信号を除く、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記アクセスポイントによる前記受信電力
の少なくとも1つから選定される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記アクセスポイントが前記低電力セットに属することの表示を、前記アクセスポイントにより前記送信するステップは、ビーコンフレームの前記送信を含み、前記ビーコンフレームは前記表示を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ビーコンフレームは、前記第1の電力レベルよりも大きな電力レベルで送信される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ネットワークのアクセスポイントであって、
− 低電力セットに属し、少なくとも1つの低電力チャネル上で第1の電力レベルより低い電力レベルで送信することが可能な前記アクセスポイントを構成する手段と、
− 前記アクセスポイントが前記低電力セットに属することの表示を送信する手段と、
を含み、
近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力が第2の電力レベル未満である、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中で送信用の低電力チャネルを選択する手段をさらに含む、前記アクセスポイント。
【請求項10】
前記低電力チャネルを選択する間に、低電力チャネルは、前記少なくとも1つの低電力チャネルの各々において前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が前記第2の電力レベルよりも大きいときは選択されない、請求項9に記載のアクセスポイント。
【請求項11】
前記低電力チャネルを選択する間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントの数が最大である、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される、請求項9に記載のアクセスポイント。
【請求項12】
前記低電力チャネルを選択する間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が最低である、前記少なくとも1つの低電力チャネルからさらに選択される、請求項9から11のいずれか一項に記載のアクセスポイント。
【請求項13】
チャネル上で前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力は、
− 前記チャネル上で前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記アクセスポイントによる前記受信電力、
− 予め定められた期間にわたる、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される信号の前記アクセスポイントによる平均受信電力、
− 前記近隣アクセスポイントの各々のビーコンフレームを含む信号を除く、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記アクセスポイントによる前記受信電力
の少なくとも1つから選定される、請求項9から12のいずれか一項に記載のアクセスポイント。
【請求項14】
前記アクセスポイントが前記低電力セットに属することの表示の前記アクセスポイントによる前記送信は、ビーコンフレームの前記送信を含み、前記ビーコンフレームは前記表示を含む、請求項9から13のいずれか一項に記載のアクセスポイント。
【請求項15】
前記ビーコンフレームは、前記第1の電力レベルよりも大きな電力レベルで送信される、請求項14に記載のアクセスポイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の対象領域に関係し、より詳細には、ワイヤレスネットワーク内の電力および周波数の構成に関係する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によると、WLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)ネットワークのいくつかのアーキテクチャが知られている。それらの一部は、単一のアクセスポイントを使用して、家、またはビルディングの床面などの空間をカバーすることを、例えば、MIMO(多入力多出力(Multiple Input Multiple Output))またはOFDM(直交周波数分割多重)などの異なる精巧な技術と組み合わされた高送信電力の使用により行う。ゆえに(規格802.11nをベースにする)Wi−Fi(登録商標)ネットワークのアクセスポイントは、MIMOおよびOFDM技術によって90メートルの半径の範囲内で100Mbit/sの現実のビットレートに達する。単一のアクセスポイントをベースにするそのようなアーキテクチャは、近隣領域に関する高レベルの干渉を生み出し、および、特に、送信される信号の強い減衰を引き起こす壁などの物理的障害物によりアクセスポイントから分離される一部の区域で、カバーされるべき空間全体をカバーしない恐れがあるという欠点を呈する。その上、高められた送信電力の使用によって、電磁放射に長期間さらされることに結び付いたリスクに関わる公衆衛生の問題が立ち上がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
他のワイヤレスローカルネットワークアーキテクチャは、いくつかのアクセスポイントを使用し、単一のアクセスポイントアーキテクチャでよりも弱い送信電力を用い、カバーされるべき空間内部に広げられ、例えば有線のバックボーンにより一体に接続される。しかしながらそのようなアーキテクチャは、構成するには複雑である。実際、アクセスポイントの各々のパラメータ(例えば、周波数チャネルおよび送信電力)を正しく構成して、最小限の干渉でカバーされるべき空間の全体的なカバレッジを確実にすることは困難である。送信電力のレベルが弱すぎると、空間の一部の区域はカバーされない恐れがあり、送信電力が強すぎると、異なるアクセスポイント間の干渉が高くなり過ぎる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、従来技術のこれらの欠点の少なくとも1つを克服することである。
【0005】
より詳細には、本発明の目的は、特に、少なくとも1つのアクセスポイントを備えるワイヤレスネットワークの構成を最適化することである。
【0006】
本発明は、ネットワークの第1のアクセスポイントの構成方法に関係する。この方法は、少なくとも1つの低電力チャネル上で、低電力で送信することが可能な少なくとも1つのアクセスポイントを備える低電力セットに属するような第1のアクセスポイントの構成ステップと、低電力セットに対する第1のアクセスポイントのメンバーシップを表す情報の要素の送信ステップと、を含む。
【0007】
個別の特徴によると、構成ステップは、第1の閾値の決定であって、低電力チャネル上で第1のアクセスポイントにより送信される信号電力が第1の閾値よりも小さい、決定を含む。
【0008】
別の個別の特徴によると、この方法は、第1のアクセスポイントによる低電力チャネルの選択ステップであって、選択は、一組の少なくとも1つのチャネルのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力に依存的である、選択ステップを含む。
【0009】
有利には、低電力チャネルの選択ステップの間に、低電力チャネルは、近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力が第2の閾値よりも小さい少なくとも1つの低電力チャネルから選択される。
【0010】
有利には、低電力チャネルの選択ステップの間に、低電力チャネルは、少なくとも1つの低電力チャネルの各々において近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力が第2の閾値よりも大きいときは選択されない。
【0011】
別の特徴によると、低電力チャネルの選択ステップの間に、低電力チャネルは、近隣アクセスポイントの数が最大である少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される。
【0012】
有利には、低電力チャネルは、近隣アクセスポイントの数が第3の閾値よりも小さい少なくとも1つの低電力チャネルから選択される。
【0013】
有利には、低電力チャネルの前記選択ステップの間に、低電力チャネルは、少なくとも1つの低電力チャネルの各々において近隣アクセスポイントの数が第3の閾値よりも大きいときは選択されない。
【0014】
別の特徴によると、低電力チャネルの選択ステップの間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントの前記受信される電力が最低である少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される。
【0015】
有利には、低電力チャネルの選択ステップの間に、低電力チャネルは、低電力チャネルが近隣アクセスポイントにより使用されないときはランダムに選択される。
【0016】
個別の特徴によると、チャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力は、
− チャネル上で近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の第1のアクセスポイントによる受信電力、
− 決定された期間にわたる、チャネル上で近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の第1のアクセスポイントによる平均受信電力、
− 近隣アクセスポイントの各々のビーコンフレームを含む信号を除く、チャネル上で近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の第1のアクセスポイントによる受信電力、
から選定される。
【0017】
特定の特徴によると、低電力セットに対する少なくとも1つのアクセスポイントのメンバーシップを表す情報の第1のアクセスポイントによる放出ステップは、ビーコンフレームの放出を含み、ビーコンフレームは、低電力セットに対するメンバーシップを表す情報を含む。
【0018】
有利には、ビーコンフレームは、第1の閾値よりも大きな電力のレベルで送信される。
【0019】
有利には、ビーコンフレームは、ビーコンフレームの電力のレベルを表す情報の要素を含む。この特徴は、ビーコンフレームが第1の閾値よりも大きなレベルで送信されるときに、データ信号の受信電力のレベルの推定に特に良く適合する。
【0020】
別の態様によると、本発明は、前に説明された変形例の1つによってこの方法を実現するデバイスに関係する。本発明は、ネットワークの第1のアクセスポイントに関係する。第1のアクセスポイントは、少なくとも1つの低電力チャネル上で低電力で送信することが可能な少なくとも1つのアクセスポイントを備える低電力セットに対する第1のアクセスポイントのメンバーシップを表す情報の要素に適合する構成モジュールと、低電力セットに対する第1のアクセスポイントのメンバーシップを表す情報の要素を送信することを行うように適合するインターフェースと、を備える。
【0021】
個別の特徴によると、構成モジュールは、低電力チャネル上で第1のアクセスポイントにより送信される信号電力が第1の閾値よりも小さくなるように第1の閾値を決定するように適合する。
【0022】
別の個別の特徴によると、構成モジュールは、低電力チャネルを選択するように適合し、選択は、一組の少なくとも1つのチャネルのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される信号のインターフェースによる受信電力に依存的である。
【0023】
別の態様によると、本発明は、ネットワークの構成方法に関係する。この方法は、少なくとも1つの構成デバイスで実現される以下のステップ、すなわち、
− 少なくとも1つの低電力チャネルを含む周波数空間の予約ステップと、
− 少なくとも1つの低電力チャネル上で、低電力で送信することが可能な少なくとも1つのアクセスポイントを備える低電力セットの構成ステップであって、少なくとも1つのアクセスポイントに対する構成情報の要素を送出するステップを含む、構成ステップと、
を含む。
【0024】
別の態様によると、本発明は、ネットワークの構成方法を実現するデバイスに関係する。本発明は、ネットワークの第1のアクセスポイントに関係する。デバイスは、少なくとも1つの低電力チャネルを含む予約周波数空間を表す情報の要素を記憶することを行うように適合したモジュールと、少なくとも1つの低電力チャネル上で、低電力で送信することが可能である少なくとも1つのアクセスポイントに対する構成情報の要素を送出するように適合した構成モジュールと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付される図面を参照する以下の説明を読むことで、本発明はより良く理解され、他の特定の特徴および利点が明らかになろう。
図1】本発明の個別の実施形態による、ワイヤレスネットワークを実現するワイヤレスシステムを示す図である。
図2】本発明の個別の実施形態による、図1のシステムのネットワークのアクセスポイントを図示する図である。
図3】本発明の個別の実施形態による、図1のシステムのネットワークのクライアントを図示する図である。
図4】本発明の個別の実施形態による、図1のシステムのワイヤレスネットワークの構成方法を示す図である。
図5】本発明の個別の実施形態による、図1のシステムのワイヤレスネットワークの構成方法を示す図である。
図6】本発明の個別の実施形態による、検出ステップの後の周波数チャネルのスペクトル例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、ワイヤレスネットワーク100を実現するワイヤレス通信システムを示す。ネットワーク100は、3つのアクセスポイントLPC_AP A、LPC_AP B、およびAP Cを備える。アクセスポイントLPC_AP Aは、アンテナによって、円形領域120Aに対応する空間をカバーする。アクセスポイントLPC_AP Bは、アンテナによって、円形区域120Bに対応する空間をカバーする。最後にアクセスポイントAP Cは、アンテナによって、円形区域120Cに対応する空間をカバーする。ネットワーク100は、ワイヤレスリンクを介してネットワークのアクセスポイントの1つに接続する、クライアントまたはいくつかのSTAクライアントをさらに備える。このように説明されるネットワークは、有利には、Wi−Fi(登録商標)ネットワークを形成し、5GHz周波数帯域に属する1または複数のチャネル周波数を使用する。
【0027】
変形例によると、アクセスポイントLPC_AP A、LPC_AP B、およびAP Cは、SISO(「1入力1出力(Single Input Single Output)」)タイプのものであり、単一のアンテナを有するのみである。同じように、STAクライアントのすべてはSISOタイプのものである。
【0028】
別の変形例によると、すべてのアクセスポイントLPC_AP A、LPC_AP B、およびAP Cは、MIMOタイプのものであり、MIMO信号を送信するいくつかのアンテナを有する。同じように、STAクライアント130のすべてはMIMOタイプのものである。
【0029】
別の変形例によると、システムの一部のアクセスポイントLPC_AP A、LPC_AP B、およびAP C(各々の一部のSTAクライアント)はMIMOタイプのものであり、他のものはSISOタイプのものである。
【0030】
本発明の有利な特性によると、低電力周波数空間が、低電力セットに属するアクセスポイントに対して予約され、すなわち、ワイヤレス通信を搬送する信号の放出に関するその電力が、特にこの予約空間上で制限される。ゆえに、低電力セットに属するアクセスポイントにより送信される信号の電力は、第1の閾値よりも小さい。したがって、このアクセスポイントにより送信される、および、近隣アクセスポイントにより受信される信号の電力は、第2の閾値よりも小さい。実際のところ、同じ周波数帯域上で送信する2つのワイヤレスアクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bが干渉しないための1つの方途は、それらの放出電力を低減し、したがって、それらのカバレッジ区域を制限することである。しかしながら、アクセスポイントLPC_AP Aがその放出電力を低減すると一方的に決める場合、このアクセスポイントは単独で、他のアクセスポイントLPC_AP BおよびAP Cの妨害または干渉に耐えることになる。したがって本発明の1つの着想は、アクセスポイントに共通な低電力ポリシーを、これらのアクセスポイントが集団的にそれらの放出電力を制限するように規定することである。ゆえに、本説明の残りの部分ではLPCと記述される低電力チャネルと呼ばれる複数の周波数帯域が、電力の制限ポリシーを適用するアクセスポイントの通信に対して予約される。低電力ポリシーを適用するアクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは、LPC_APと記述される低電力チャネルアクセスポイントと呼ばれる。第1の実施形態によると、5GHzでの低電力チャネルは、例えば0dBmから5dBmの間で固定される第2の閾値よりも小さい受信電力レベルを有し、一方で、通常の電力チャネル(または反対に、高電力チャネル)は、この第2の閾値よりも大きい電力レベルを有する。有利な変形例によると、通常の電力チャネル(または反対に、高電力チャネル)は、一般的には20dBmから25dBmの間の第3の閾値よりも大きい高電力レベルを有する。第2の実施形態によると、5GHzでの低電力チャネルは、通常の電力より低いおよそ20dBの電力レベルである。
【0031】
下記で説明される異なる構成は、アクセスポイントの近隣アクセスポイントの受信電力レベルにより生成される干渉の事例を例示する。各々のアクセスポイントは、信号を送信するアクセスポイントの識別子(基本サービスセット識別子に由来するBSSID)を表す情報を含む信号を送出する。この信号は、ビーコンフレームと呼ばれる。ビーコンフレームは、その特性を表す情報も含み、ネットワークに関するメンバーシップであり、ネットワークも識別子により表される。近隣アクセスポイントにより送信される信号を受信するクライアントまたはアクセスポイントは、有利には、受信される信号のRSSI(受信信号強度インジケータ(Received Signal Strength Indicator))を推定し、信号を復号して、それから、信号を送信する近隣アクセスポイントの識別子を抽出する。RSSIは、異なるアクセスポイント間の干渉レベルを規定することが可能である。
【0032】
第1の構成ポイントでは、アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは、互いに近く置かれ、そのことによって、同じチャネルであって、そのチャネル上でLPC_AP Bが送出する、同じチャネル上で近隣アクセスポイントLPC_AP Aから送信される信号が、アクセスポイントLPC_AP Bにより、第2の閾値(受信電力閾値)、例えばCCA閾値(クリアチャネルアセスメント(Clear Channel Assessment))より上のRSSIレベルで受信される。アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは、例えば一時の空間を予約することにより、経時的に周波数資源を共有するように制約される。CCA閾値は典型的には、20MHzチャネルでは−82dBmである。
【0033】
第2の構成では、アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは、十分に近く置かれ、近隣アクセスポイントLPC_AP Aから送信される信号が、CCAレベルより上の、ただしそれでもなおビーコンの検出レベルより下のRSSIレベルで受信される。このビーコンは実際のところ、ロバストな変調モードを使用することにより送信され、ビーコンフレームに関連する検出のレベルは、典型的には−100dBmである。この事例では送信は、有意な悪化を伴うことなく同じチャネル上で2つのワイヤレスアクセスポイントにより同時に行われ得る。
【0034】
第3の構成では、アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは、他方のノイズレベルを増大するだけであるように、互いから相当に離れて置かれる。影響は、同じ周波数での多数のチャネルが互いに干渉する場合に有意であるのみである。影響は、19個の周波数チャネルを含む5GHzネットワークに制限される。
【0035】
第4の構成では、一部のアクセスポイントは多くの理由で電力制限ポリシーを適用せず、これらのアクセスポイントは適合せず、これらのアクセスポイントは、高電力によって送信せずに離れたクライアントに到達することは可能ではない。この示される構成図1によると、アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bは低電力ポリシーを適用し、これらのアクセスポイントは協働的と呼ばれる。アクセスポイントAP Cは制限ポリシーを適用せず、AP Cは非協働的と呼ばれる。それがLPC_AP AおよびLPC_AP Bと同じチャネルを占有する場合、非協働的アクセスポイントAP Cは、したがって、協働的アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bの通信を妨害する。これに対して、本説明の残りの部分で認められるように、個別の実施形態によると、協働的アクセスポイントは、それらが全てでLPCチャネルを占有する場合、非協働的アクセスポイントに、協働的アクセスポイントにより使用されるものとは異なるチャネルを使用するように仕向けることになる。
【0036】
別の構成によると、空間内のアクセスポイントLPC_AP A、LPC_AP B、AP C、およびSTAクライアントの構成は、前に説明された構成の少なくとも2つの組み合わせである。最後に別の構成によると、例えばレーダ信号などの、ワイヤレス通信を妨害する他のタイプの信号は、それらの送信中、ワイヤレス通信の存在を考慮しない。
【0037】
本発明の特に有利な実施形態によると、LPC_AP AおよびLPC_AP Bアクセスポイントは、ビーコンフレーム信号を、他の信号に対してよりも高い電力によって送信する。この実施形態は、低電力ポリシーの実現に特に良好に適合する第5の構成につながる。この実施形態は、ビーコンフレーム信号が有利には、より高い電力レベルがビーコンフレームに対して合成されることを可能にする、電力増幅器の最適の構成に適合したロバストな変調モードを使用する、特徴を用いる。ゆえに同じアクセスポイントに対して、ビーコンフレームのカバレッジ区域が、通信信号のカバレッジ区域よりも拡張される。実際にはビーコンフレームの放出電力レベルは、この実施形態の変形例によると10dBmに達する。有利にはこのレベルは、他の変形例によると、ビーコンフレームの受信区域を広げるように、20dBm、または25dBmまでも上回る。この実施形態では、2つのアクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bのそれぞれのビーコンフレームは、それらのそれぞれのCCA閾値より高い電力レベルで受信され、一方で、アクセスポイントの、それらのそれぞれのクライアントとの通信は、それらのそれぞれのCCA閾値より低い電力レベルで受信される。したがってアクセスポイントは有利には、それらのカバレッジ区域内に置かれるクライアントとのそれらの通信での互いの干渉に耐える必要がない。さらに、ビーコンフレームが、制限された持続時間を有すると仮定すると、ことによるとアクセスポイントのビーコンフレームにより生成される干渉は、他のアクセスポイントからの通信に関して無視できることになる。最後にこの実施形態は、低電力ポリシーの実現に特に良好に適合するものであり、その理由は、それが、低減された通信に対するカバレッジ区域と、広いネットワーク内の近隣のものの検出区域とを組み合わせることが可能であるからである。実際のところこの実施形態では、第1の閾値よりも小さい、通信に対する制限された送信電力は、ビーコンフレームに対するアクセスポイントのより拡張されたカバレッジ区域と両立可能である。したがって低電力アクセスポイントは、その近隣のものまたは複数の近隣のものもまたLPCであること、それらがそれと同じチャネル上で送信すること、それらがその通信を妨害しないことになること、および、その近隣のものと同じチャネル上で送出することにより、それがLPC集団を増大することの情報を有することになる。
【0038】
ゆえに図1は本発明の利点をさらに例示することが可能であり、その利点によると、異なる協働的アクセスポイントLPC_AP AおよびLPC_AP Bによるチャネルの多重占有が、非協働的アクセスポイントAP Cのこのチャネル上での存在を防止することが可能である。LPC_AP AおよびLPC_AP Bが同じチャネルを使用する場合、それらは相互干渉により妨害されず、その理由は、LPC_AP Bにより受信されるLPC_AP Aのビーコンフレーム信号の電力レベルはLPC_AP BのCCA閾値より下であり、その逆も同様であるからというものである。同じチャネルのこの占有が、チャネル周波数を使用しようと努める非協働的アクセスポイントAP Cに、LPC_AP AおよびLPC_AP Bにより共有されるものについては、このチャネル周波数は多重様式で占有されることになるので、このチャネル周波数とは別個のチャネル周波数を選択するように仕向けることになる。
【0039】
有利な変形例によると、例えば通信ネットワークのアクセスゲートウェイにリンクされるアクセスポイントは、ネットワークに対するアクセスオペレータにより制御される。この変形例は、共通の電力の、およびすべてのアクセスポイントに集中される制限ポリシーを、オペレータのレベルで規定することが可能であるという利点を有する。いくつかのオペレータが、一体で係わる場合もある。別の変形例によるとアクセスポイントは、例えばWi−Fi direct(登録商標)ポリシーを順守する電子デバイス内に置かれる。この変形例では、電力制限の共通のポリシーの規定が、デバイスの製造業者のレベルで可能である。アクセスポイントの大部分は、AP、ルータ、および多くの場合はEthernetスイッチを含む融合デバイスを意味するワイヤレスルータである。多くのものは、ゲートウェイまたは広帯域モデムも含む。アクセスポイントは、パーソナルコンピュータ(PC)内で実現される場合もある。
【0040】
個別の特徴によると、低電力チャネル上で近隣アクセスポイントから受信される電力が、信号がクライアントに移送するのがビーコンフレームであろうと通信データであろうと、アクセスポイントにより受信される任意の信号の電力により規定される。このことは、このチャネル上で受信される信号のRSSIの最大値が、閾値、例えばCCA閾値よりも小さいことを意味する。
【0041】
別の個別の特徴によると、低電力チャネル上で近隣アクセスポイントから受信される電力が、アクセスポイントにより受信される任意の信号の平均電力により規定される。このことは、信号の活動時間に関連している、このチャネル上で受信される信号のRSSIの和が、閾値、例えばCCA閾値よりも小さいということを意味する。
【0042】
別の個別の特徴によると、低電力チャネル上で近隣アクセスポイントから受信される電力が、クライアントに通信データを移送するアクセスポイントにより受信される任意の信号の電力により規定される。この特徴によると、低電力チャネル上でのアクセスポイントの受信電力は、ビーコンフレームに対して信号を考慮しない。この特性はある実施形態で特に良好に適合するものであり、その実施形態によると、ビーコンフレームを移送する信号の電力レベルは、通信データを移送する信号のものよりも大きい。このことは、閾値、例えばCCA閾値での、クライアントに通信データをこのチャネル上で搬送する、受信される信号のRSSIの最大値において認められる。
【0043】
図2は、例えば図1のアクセスポイントLPC_AP AまたはLPC_AP Bに対応する、アクセスポイント2のハードウェア実施形態を図示する。
【0044】
アクセスポイント2は、クロック信号もまた移送するアドレスおよびデータのバス24により互いに接続される以下の要素、すなわち、
− マイクロプロセッサ21(またはCPU(中央処理装置))、
− ROM(「読出し専用メモリ」)タイプの不揮発性メモリ22、
− ランダムアクセスメモリ、すなわちRAM23、
− 無線インターフェース26、
− データの送信(例えば、サービスのブロードキャスティング、または、ポイントツーマルチポイントもしくはポイントツーポイント送信)に適合した、ならびに、とりわけ、符号器および/またはOFDM変調器の機能を実行する、インターフェース27、
− ユーザに対する情報の表示、および/または、データもしくはパラメータの入力(例えば、送信されるべき副搬送波およびデータのパラメータ化)に適合した、MMI(マンマシンインターフェース)インターフェース28または特定のアプリケーション
を備える。
【0045】
メモリ22および23の説明で使用される単語「レジスタ」は、述べられるメモリの各々で、低容量のメモリ区域(若干のバイナリーデータ)、および、(記憶されるべきプログラム全体、または、受信された、もしくはブロードキャストされるべきデータを表すデータの、すべてもしくは一部を可能にする)大容量のメモリ区域を表わすということが留意される。
【0046】
メモリROM22は特に、
− 「prog」220プログラム、および、
− 物理層のパラメータ221
を備える。
【0047】
本発明に特有の方法のステップを実現し、下記で説明されるアルゴリズムが、これらのステップを実現するアクセスポイント2に関連するROM22メモリ内に記憶される。電源投入されるとき、マイクロプロセッサ21は、これらのアルゴリズムの命令を読み込み、実行させる。
【0048】
ランダムアクセスメモリ23は特に、
− レジスタ230内の、アクセスポイント2をスイッチオンすることを担うマイクロプロセッサ21のオペレーティングプログラム、
− 送信パラメータ231(例えば、変調、符号化、MIMO、フレーム再現パラメータ)、
− 受信パラメータ232(例えば、変調、符号化、MIMO、フレーム再現パラメータ)、
− 入来のデータ233、
− データの送信のための符号化されたデータ234、および、
− 物理チャネルパラメータ235(例えば、アクセスポイント2によるデータの送信での、低電力ポリシーの適用、決定された周波数帯域の、決定された周波数帯域幅の、決定された時間スロットの、決定された符号の、LPC予約チャネル割り当ての周波数帯域、および/または、決定された副搬送波間隔)
を備える。
【0049】
無線インターフェース26は、必要であるならば、図1に示される1または複数のクライアントまたはアクセスポイントによる、信号の受信に適合する。インターフェース27は、必要であるならば、図1に示される1または複数のクライアントまたはアクセスポイントへの、信号、特に、LPCセットのメンバーシップを表す情報の要素の送信に適合した送信機である。
【0050】
図3は、例えば図1のSTAクライアントに対応する、クライアント3のハードウェア実施形態を図示する。STAクライアントは、携帯電話、スマートフォン、PC、タブレット、カメラ、またはプリントデバイスなどのWi−Fiネットワークに接続することが可能である任意のタイプの電子デバイスを含み得る。これらのデバイスの大部分は、ポータブルデバイスである。クライアント3は、クロック信号もまた移送するアドレスおよびデータバス34により一体に接続される以下の要素、すなわち、
− マイクロプロセッサ31(またはCPU(中央処理装置))、
− ROM(「読出し専用メモリ」)タイプの不揮発性メモリ32、
− ランダムアクセスメモリ、すなわちRAM33、
− 無線インターフェース36、
− データの送信(例えば、サービスのブロードキャスティング、または、ポイントツーマルチポイントもしくはポイントツーポイント送信)に適合した、および、とりわけ、符号器の機能を遂行する、インターフェース37、
− ユーザに対する情報のディスプレイ、および/または、データもしくはパラメータの入力に適合した、MMI(マンマシンインターフェース)38または特定のアプリケーション
を備える。
【0051】
メモリ32および33の説明で使用される単語「レジスタ」は、述べられるメモリの各々で、低容量のメモリ区域(若干のバイナリーデータ)、および、(記憶されるべきプログラム全体、または、受信された、もしくはブロードキャストされるべきデータを表すデータの、すべてもしくは一部を作動化する)大容量のメモリ区域を表わすということが留意される。
【0052】
メモリROM32は特に、
− 「prog」321プログラム、および、
− 物理層のパラメータ322
を備える。
【0053】
本発明に特有の方法のステップを実現し、下記で説明されるアルゴリズムが、これらのステップを実現するクライアント3に関連するROM32メモリ内に記憶される。電源投入されるとき、マイクロプロセッサ31は、これらのアルゴリズムの命令を読み込み、実行させる。
【0054】
ランダムアクセスメモリ33は特に、
− レジスタ330内の、クライアント3をスイッチオンすることを担うマイクロプロセッサ31のオペレーティングプログラム、
− 送信パラメータ331(例えば、変調、符号化、MIMO、フレーム再現パラメータ)、
− 受信パラメータ332(例えば、変調、符号化、MIMO、フレーム再現パラメータ)、
− 入来のデータ333、
− データの送信のための符号化されたデータ334、
− 低電力ポリシーの適用を表すパラメータ335(例えば、低電力チャネル上での送信電力のレベル)
を備える。
【0055】
無線インターフェース36は、必要であるならば、図1のネットワーク100の1または複数の他のアクセスポイントAPまたはLPC_APによる、信号の受信に適合する。
【0056】
図4は、本発明の特に有利な非制約的な実施形態による、図1のワイヤレスネットワーク100の構成のための方法を示す。
【0057】
周波数空間を予約するためのステップ40の間に、異なるオペレータおよび/またはコンストラクタが、電力の制限ポリシーを適用するアクセスポイントに対して予約される周波数空間を規定する。この空間は、一組の一般的には連続的なチャネルを含み、それらのチャネルの周波数帯域は、ことによると、ローカルワイヤレスネットワークが配備される国に、および、ワイヤレス通信規格に依存する。チャネルは、すべての協働的アクセスポイントに対する、すなわち、周波数および電力の共同割り当てポリシーを適用することに決めているアクセスポイントに対する、低電力チャネルとして規定される。しかしながら、協働的アクセスポイントに対する低電力チャネルは、非協働的アクセスポイントに対する何らかのチャネルとなる。有利にはアクセスポイントは、低電力チャネル上で送信しないにもかかわらず協働的である。実際のところ、個別の構成(例えば、すべてのチャネルが受信電力アクセスポイントにより占有される)によるアクセスポイントは、低電力ポリシーを順守しながらLPCチャネル上で送信することは可能ではなく(それは、他のものを妨害しないように非予約チャネル上で送信する)、アクセスのこのポイントは協働的である。このステップの間に、この空間のパラメータを決定することが必要であり、それらのパラメータの中で挙げられ得るものは、低電力チャネルの数、スペクトル内の占有される周波数帯域である。第1の実施形態によると、低電力チャネルの数は高く(すなわち、第1の規定された閾値よりも大きく)、例えば10よりも大きい。この実施形態は、家の中の、すなわち、異なるアクセスポイントに近い空間内の、干渉を制限するという利点を有する。この実施形態はさらに、低電力ポリシーを適用するアクセスポイントの数が高いときに特に良好に適合する。例えば単一のLPCチャネルは、ビルディングなどの閉鎖的な空間内に20個の低電力アクセスポイントを保持するのに十分ではないことになる。第2の実施形態によると、低電力チャネルの数は低く(すなわち、第2の規定された閾値よりも小さく)、例えば2に制限される。この実施形態は、非協働的アクセスポイントにより妨害される確率を低減するという利点を有し、その理由は、この確率が、低電力アクセスポイントにより占有されるスペクトルの幅とともに増大するからというものである。例えば、上記で述べられた20個のアクセスポイントの中で、16個のアクセスポイントが協働的であり、16個の別個のLPCチャネルを占有する場合、それらの一部は、それらの送信チャネル内の非協働的アクセスポイントの存在を我慢しなければならなくなるという可能性が高く、その理由は、4つの非協働的アクセスポイントが、干渉することなしに送信するための充分な数の別個のチャネルを有さないことになり、それら自体を一部のLPCチャネル上に配置することになるからというものである。有利な実施形態によると、予約チャネルの数は、非協働的アクセスポイントの数に対する協働的アクセスポイントの比数(ratio number)に依存することになり、すなわち、比が高くなるほどLPCチャネルの数は高くなる。最後に、スペクトル内で占有される周波数帯域のパラメータに対して、スペクトル内の決定された順位(place)、すなわち、他のものに対しての事前に与えられることになる優先度は存在しない。
【0058】
次に、その後の低電力セットの構成ステップ41の間に、協働的と規定され、電力制限を順守することにより低電力チャネル上で送信するアクセスポイントが構成される。この構成ステップの間に、ネットワーク、例えば周波数の5GHz帯域を使用するWi−Fiネットワークの、少なくとも1つの低電力アクセスポイントの1または複数のパラメータが構成される。構成するパラメータは、アクセスポイントに、低電力セットに関するそのメンバーシップ、すなわちその協働的特色に関して、協働的アクセスポイントに対する周波数空間の予約に関して、および、チャネル割り当て方法に関して通知することが可能である。構成されることになるパラメータは、
− アクセスポイントの協働的(LPC)または非協働的特色を表すパラメータ、
− 物理層パラメータ、すなわち例えば、送信チャネル周波数、送信電力、LPC構成方法の異なる閾値レベル
を含む群に属する。
【0059】
変形例によると、パラメータの群は、上記で列挙されたパラメータの単一または2つを含むだけである。別の変形例によると、構成されることになる第1のパラメータは、上記で規定されたパラメータの群の少なくとも2つのパラメータの組み合わせ、例えば、LPC特色を表すパラメータを物理層パラメータに関連付ける組み合わせである。
【0060】
図5は、低電力アクセスポイントでの、本発明の非制約的な特に有利な実施形態によるチャネル割り当て方法を示す。
【0061】
初期化ステップ50の間に、アクセスポイントの様々なパラメータが構成される。特に、アクセスポイントのLPC特色の情報に、送信する信号の電力レベルに、必要であるならば低電力チャネルに対応するパラメータが、任意の様式で初期化される。変形例によると初期化ステップは、ワイヤレス通信システムのサーバーによって、またはオペレータからのコマンドによってでも送信される構成メッセージの受信に続く。この変形例は、すでに配備されている一組のアクセスポイントに対する既存の構成を構成または更新することが可能であるという利点を有する。別の変形例ではこのステップは、アクセスポイントを集積する電子デバイスの製造の間に現実化される。
【0062】
次にチャネル割り当てステップの間に、各々のアクセスポイントは、とりわけ構成されたパラメータによって、ただしスペクトルの占有にもよって、チャネルであって、そのチャネル上でアクセスポイントが送信することが可能である、チャネルを決定する。
【0063】
ゆえにチャネル割り当てステップのサブステップ51の間に、アクセスポイントは、その受信帯域の周波数上で受信される信号、とりわけ、ネットワーク内に存在するあり得る他のアクセスポイントにより送信されるビーコンフレームを検出する。有利にはアクセスポイントは、これらのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される異なるビーコンフレーム信号の受信電力を推定する。変形例によるとアクセスポイントは、近隣アクセスポイントのビーコンフレーム信号の送信レベルの情報の要素によって受信電力レベルを調整する。別の変形例によるとアクセスポイントは、これらのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される異なる信号の受信電力を推定する。別の変形例によるとアクセスポイントは、これらのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される異なる信号の受信電力を表す情報の要素を受信する。このようにしてアクセスポイントは、使用されるチャネルのスペクトル、存在する協働的および非協働的アクセスポイントのリスト、使用される低電力チャネルのリスト、ならびに、図6に示されるようなこれらのチャネル上での異なる近隣アクセスポイントの受信電力を設定する。
【0064】
次にチャネル割り当てステップのサブステップ52の間に、低電力アクセスポイントは、予約チャネルの中から送信するチャネルを選択する。
【0065】
第1の変形例によると、LPCチャネルが使用されないならば、LPCアクセスポイントは、ランダムにLPCチャネルの中からチャネルを選択する。
【0066】
第2の変形例によると、高受信電力レベルを伴うアクセスポイントにより占有されないLPCチャネルの中から、LPCアクセスポイントは、LPCチャネルであって、そのチャネル上で最大数のLPCアクセスポイントが送信する、LPCチャネルを選択する。例えば高受信電力レベルでのアクセスポイントは、非協働的アクセスポイントによるか、非常に近い空間内に置かれる近隣協働的アクセスポイントによるかのいずれかであり、それらのアクセスポイントの電力であって、チャネルを選択するために探すLPCアクセスポイントにより受信される、電力は、閾値、例えばCCA閾値よりも大きい。有利には、チャネルごとのLPCアクセスポイントの最大数が決定される。LPCアクセスポイントは、LPCチャネルであって、そのチャネル上で最大数のLPCアクセスポイントが送信している、ただしLPCアクセスポイントのこの数は、決定された最大数よりも小さい、LPCチャネルからチャネルを選択する。決定された最大数が達せられるならば、LPCアクセスポイントは、このチャネル上に存在するLPCアクセスポイントの数の減少する順序で別のLPCチャネルを選択するものであり、この数は、決定された最大数よりも小さくなければならない。2つの別個のチャネル上に存在するLPCアクセスポイントの数が同じである事例では、LPCアクセスポイントは有利には、この最弱のチャネル上での信号の平均電力によってLPCチャネルを選択する。
【0067】
第3の変形例によると、すべてのLPCチャネルが、高受信電力レベルを伴うアクセスポイントにより占有されるならば、LPCアクセスポイントは有利には、LPCでない、すなわち、予約周波数空間の外側にあるチャネルを選択する。このためにアクセスポイントは、当業者により知られている方法によってチャネルを選択する。
【0068】
最後に情報送信ステップ53の間に、チャネルを選択したアクセスポイントが、電力の制限ポリシーに対するそのメンバーシップを表す情報の基本要素を送信する。好適な実施形態によるとアクセスポイントは、情報のこの基本要素を含むビーコンフレーム信号を送信する。ビーコンフレームは有利には、規格IEEE 802.11−2007またはIEEE 802.11−2012に準拠する。アクセスポイントのLPC情報の送信の実現は、規格内で利用可能な情報要素(IEと記述される)によって現実化される。ビーコンフレームにより送信されるこの要素によって有利には、協働的アクセスポイントが、そのカバレッジ区域内の近隣アクセスポイントおよびクライアントに、電力の制限に関する協働的アクセスポイントのセットのそのメンバーシップに関する情報を提供することが可能になる。ゆえに、協働的アクセスポイントのセットは互いに認識することになる。
【0069】
実施形態の改善によると、協働的アクセスポイントは、非協働的アクセスポイントまたは干渉の発生源(レーダ発生源など)がこのチャネル上に出現する場合、チャネルを変更する、すなわち、割り当てステップを反復することが可能である。その上、協働的アクセスポイントは、その送信チャネルおよびその電力レベルをその環境に適合させるように、低電力協働的モードから非協働的モードに動的に移行することが可能である。この実施形態は、協働的アクセスポイントのSTAクライアントの1つがモバイルであり、制限された電力によってカバーされる区域から離れて移動する例に良好に適合する。この事例では、アクセスポイントはその結果として、ビーコンフレームの情報を修正する。
【0070】
図6は、個別の実施形態による、検出されたスペクトルの例を示す。5から15と番号が付けられた、スペクトルの異なるチャネル61が示されている。各々のチャネルに対して、周波数割り当てステップの間にアクセスポイントにより検出される近隣アクセスポイントの数62もまた示されている。6〜14と番号が付けられたチャネルは、LPCチャネルを含む予約周波数空間に属する。ゆえに、利用可能な9つのLPCチャネルの中から、6つのLPCチャネルのみ(すなわち、チャネル6から9、11、および12)が、CCA閾値63より下の電力レベルによって通信をこれらの周波数上で受信する。これらの6つの残存するLPCチャネルの中から、5つのみが、協働的アクセスポイントにより現実に占有されている。前に説明された割り当てステップの変形例によると、LPCチャネル7または8の1つは、これらのLPCチャネルが最大数62(すなわち3)のアクセスポイントを含むので、LPCチャネル割り当てステップの間にアクセスポイントにより選択されることになる。数3は、LPCチャネルごとのLPCアクセスポイントの決定された最大数より下であることがさらに想定されている。割り当てステップの別の変形例によると、LPCアクセスポイントは有利には、RSSI平均電力判定基準に基づいて、チャネル7およびチャネル8からLPCチャネルを選択する。
【0071】
当然ながら本発明は、前に説明された実施形態に制限されない。
【0072】
特に本発明は、図1に示されるような2つの協働的アクセスポイントを備えるネットワークに制限されない。特に本発明は、無認可帯域通信に良好に適合する。ネットワークは、5GHz周波数帯域を使用するWi−Fi(登録商標)ネットワークに制限されるものではなく、例えばHiperLAN2、または、LTE(ロングタームエボリューション)を使用する、もしくはHSDPA(高速ダウンリンクパケットアクセス)を使用するフェムトセルなどの、任意のWLANタイプワイヤレスネットワークに伸展する。同じ方途でネットワークは、例えば、2.4GHz周波数帯域を使用するWi−Fiネットワーク(規格IEEE 802.11bまたはIEEE 802.11g)、Bluetooth型ネットワーク(規格IEEE 802.15.1)、WiMax(規格IEEE 802.16)、RAN(リージョナルエリアネットワーク、規格IEEE 802.22)、またはETSI HiperPANネットワークなどの、タイプWLANまたはWPAN(ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク)の任意のワイヤレスネットワークに伸展する。本発明は、ネットワークのタイプに制限されるものではなく、共存するネットワークの任意のセットに伸展し、それは、周波数および電力の共同構成に関して強調するような様式で伸展することが可能である。
【0073】
特に本発明は、説明された周波数割り当てステップにも制限されない。任意の既存の割り当て手順が、このLPCチャネル上でのLPCアクセスポイントの送信電力が電力の制限判定基準を満たすならば直ちに、本発明と両立可能である。
[付記1]
ネットワーク(100)の第1のアクセスポイント(LPC_AP A、LPC_AP B)の構成方法であって、前記第1のアクセスポイントで実現される、
− 少なくとも1つの低電力チャネル上で、低電力で送信することが可能な少なくとも1つのアクセスポイントを備える低電力セットに属するような前記第1のアクセスポイントの構成ステップ(50)と、
− 前記低電力セットに対する前記アクセスポイントのメンバーシップを表す情報の要素の送信ステップ(53)と、
を含む、前記方法。
[付記2]
前記構成ステップは、低電力チャネル上で前記第1のアクセスポイントにより送信される信号電力は前記第1の閾値よりも小さい、第1の閾値の決定を含む、付記1に記載の方法。
[付記3]
− 前記第1のアクセスポイントによる低電力チャネルの選択ステップ(52)であって、前記選択は、一組の少なくとも1つのチャネルのチャネル上で近隣アクセスポイントにより送信される信号の受信電力に依存的である、前記選択ステップ(52)
を含む、付記1または2に記載の方法。
[付記4]
低電力チャネルの前記選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が第2の閾値よりも小さい、前記少なくとも1つの低電力チャネルから選択される、付記3に記載の方法。
[付記5]
低電力チャネルの前記選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、前記少なくとも1つの低電力チャネルの各々において前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が前記第2の閾値よりも大きいときは選択されない、付記4に記載の方法。
[付記6]
低電力チャネルの選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、近隣アクセスポイントの数が最大である、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される、付記4に記載の方法。
[付記7]
低電力チャネルの選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、近隣アクセスポイントの数が第3の閾値より低い、前記少なくとも1つの低電力チャネルの中でさらに選択される、付記4または6に記載の方法。
[付記8]
低電力チャネルの前記選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、前記少なくとも1つの低電力チャネルの各々の上での近隣アクセスポイントの前記数は前記第3の閾値よりも大きいときは選択されない、付記7に記載の方法。
[付記9]
低電力チャネルの前記選択ステップ(52)の間に、低電力チャネルは、前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力が最低である、前記少なくとも1つの低電力チャネルからさらに選択される、付記4乃至8のいずれか一項に記載の方法。
[付記10]
チャネル上で前記近隣アクセスポイントにより送信される信号の前記受信電力は、
− 前記チャネル上で前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記第1のアクセスポイントによる前記受信電力、
− 決定された期間にわたる、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される信号の前記第1のアクセスポイントによる平均受信電力、
− 前記近隣アクセスポイントの各々のビーコンフレームを含む信号を除く、前記チャネルにおいて前記近隣アクセスポイントの各々により送信される任意の信号の前記第1のアクセスポイントによる前記受信電力
から選定される、付記3乃至9のいずれか一項に記載の方法。
[付記11]
前記低電力セットに対する前記少なくとも1つの第1のアクセスポイントの前記メンバーシップを表す前記表示の前記第1のアクセスポイントによる前記送信ステップ(53)は、ビーコンフレームの前記送信を含み、前記ビーコンフレームは前記表示を含む、付記1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
[付記12]
前記ビーコンフレームは、前記第1の閾値よりも大きな電力レベルで送信される、付記2または11に記載の方法。
[付記13]
前記ビーコンフレームは、付記12に記載の前記ビーコンフレームの送信のレベルを表す情報の要素を含む、付記11または12に記載の方法。
[付記14]
付記1乃至13のいずれか一項に記載の方法を実現するデバイス。
[付記15]
ネットワーク(100)の構成のための方法であって、少なくとも1つの構成デバイスで実現される以下のステップ、すなわち、
− 少なくとも1つの低電力チャネルを含む周波数空間の予約ステップ(40)と、
− 前記少なくとも1つの低電力チャネル上で、低電力で送信することが可能な少なくとも1つのアクセスポイントを備える低電力セットの構成ステップ(41)であって、前記少なくとも1つのアクセスポイントに対する構成情報の要素を送出するステップを含む、構成ステップ(41)と、
を含む、前記方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6