特許第6139738号(P6139738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6139738
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車
(51)【国際特許分類】
   B61G 7/10 20060101AFI20170522BHJP
   B61D 15/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B61G7/10
   B61D15/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-77171(P2016-77171)
(22)【出願日】2016年4月7日
【審査請求日】2016年5月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔販売した場所〕 南甲府駅(山梨県甲府市南口町1−36) 〔販売日〕 平成27年(2015年)11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】598002084
【氏名又は名称】北陸重機工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504116722
【氏名又は名称】株式会社トキオ
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】寺西 正
(72)【発明者】
【氏名】浅田 豊
【審査官】 諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−011066(JP,A)
【文献】 特表2015−536272(JP,A)
【文献】 特開2013−193538(JP,A)
【文献】 特開2011−246017(JP,A)
【文献】 特開2005−178600(JP,A)
【文献】 特開2002−327414(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03072773(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 1/00− 7/14
B61D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパーウェイトに連結器を取付けてなる連結装置を、鉄道車両に着脱する際に用いられる作業台車であって、
下部に車輪を有する台車本体と、
前記台車本体に設けられ、前記鉄道車両と前記連結装置との着脱が可能な状態で、前記バンパーウェイトとの着脱を可能にする着脱部と、を備え、
前記着脱部は垂直方向に延びた貫通長孔を備え、前記貫通長孔を通して前記バンパーウェイトに設けた取付け孔に締付け部材を着脱する構成とし、
さらに前記着脱部の前記貫通長孔を通して前記取付け孔に前記締付け部材を仮締めすることにより前記バンパーウェイトを前記台車本体に仮止めした状態で、前記鉄道車両から前記連結装置を取り外したときに、前記連結装置を上下動可能に支持する昇降装置と、を備えたことを特徴とする鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車。
【請求項2】
前記バンパーウェイトは板状で、その一側垂直面に前記連結器と受け部が配設されると共に、他側垂直面に前記鉄道車両が当接して取付けられ、
前記着脱部により前記台車本体に前記バンパーウェイトを垂直に仮止めしたときに、前記受け部が当接可能な位置に前記昇降装置を設けたことを特徴とする請求項記載の鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の端部に設けられる連結装置の着脱作業を安全に行ない得る鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の端部に除雪装置を装着した鉄道用除雪車は周知であり、夏場などの除雪装置の非装着時には、除雪装置に代わり連結器を備えた連結装置が鉄道車両に装着され、複数の鉄道車両が連結可能となる。これに関連して特許文献1には、連結装置の底部に配設した補助車輪を油圧シリンダで降下させ、レール上で補助車輪に支持された連結装置を鉄道車両に近付けて、連結装置の後部を鉄道車両の端部に装着すると、補助車輪がレール面から離間して連結装置が鉄道車両に自ずと支持される提案がなされている。
【0003】
上述した補助車輪付きの連結装置は、一台の連結装置毎に油圧シリンダと上下に可動する補助車輪を取り付けなければならず、コスト上昇を招く。また、連結装置の装着作業時に、連結装置を常に鉄道車両の所望の位置に合わせるのが難しい問題もある。
【0004】
これに対して特許文献2では、複数の連結装置に共通して、レール上で移動可能な着脱用作業台車が提案されている。ここでは連結装置を載せた昇降装置が作業台車に装備されており、連結装置を常に鉄道車両の所望の位置に合わせることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4411060号明細書
【特許文献2】特許第5610849号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に示す作業台車は、水平方向に並ぶ連結器や緩衝器を昇降装置に載置して、これらの連結装置を上下に位置調整するには適した構造であるが、除雪装置と同程度の重量を有するバンパーウェイトに連結器を取付け固定した連結装置では、板状のバンパーウェイトを略垂直に保持した状態で、鉄道車両に対する連結装置の着脱作業を行なう必要がある。そのため、単に昇降装置に連結装置を載置するだけの作業台車では、連結装置を安全に着脱させるのが難しいという問題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、簡単な構造でバンパーウェイト付きの連結装置を安全に着脱することができる鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、バンパーウェイトに連結器を取付けてなる連結装置を、鉄道車両に着脱する際に用いられる作業台車であって、下部に車輪を有する台車本体と、前記台車本体に設けられ、前記鉄道車両と前記連結装置との着脱が可能な状態で、前記バンパーウェイトとの着脱を可能にする着脱部と、を備え、前記着脱部は垂直方向に延びた貫通長孔を備え、前記貫通長孔を通して前記バンパーウェイトに設けた取付け孔に締付け部材を着脱する構成とし、さらに前記着脱部の前記貫通長孔を通して前記取付け孔に前記締付け部材を仮締めすることにより前記バンパーウェイトを前記台車本体に仮止めした状態で、前記鉄道車両から前記連結装置を取り外したときに、前記連結装置を上下動可能に支持する昇降装置と、を備えた鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車である。
【0009】
請求項の発明は、請求項の発明において、前記バンパーウェイトが板状で、その一側垂直面に前記連結器と受け部が配設されると共に、他側垂直面に前記鉄道車両が当接して取付けられ、前記台車本体に前記バンパーウェイトを垂直に仮止めしたときに、前記受け部が当接可能な位置に前記昇降装置を設けている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、台車本体に設けた着脱部を利用して、バンパーウェイトを台車本体に仮止めした安全な状態で、鉄道車両と連結装置との着脱を行なうことができる上に、鉄道車両から連結装置を取り外した場合は、昇降装置によりバンパーウェイトを上下に位置調整できる。そのため、台車本体に着脱部と昇降装置を設けただけの簡単な構造でありながら、バンパーウェイト付きの連結装置を作業台車で安全に着脱することが可能になる。
【0011】
また、貫通長孔と締付け部材とを組み合わせた簡単な構造で、昇降装置によりバンパーウェイト付きの連結装置を安全に上下方向へ位置調整できる。
【0012】
請求項の発明では、バンパーウェイトを一側垂直面の側から見て、受け部が昇降装置に当接できる位置にあるか否かを目視することで、台車本体にバンパーウェイトが正しく垂直に仮止めされたか否かを確認でき、連結装置をさらに安全な作業で着脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態における鉄道車両に除雪装置を装着した状態の鉄道用除雪車の正面図である。
図2】同上、除雪装置の代わりにバンパーウェイトを鉄道車両に装着した状態の一側面図である。
図3】同上、作業台車の正面図である。
図4】同上、作業台車の一側面図である。
図5】同上、鉄道車両からのバンパーウェイトの取外し作業において、バンパーウェイトを鉄道車両から外した状態の正面図である。
図6】同上、図3に示す状態の一側面図である。
図7】同上、図3に示す状態の平面図である。
図8】同上、鉄道車両からのバンパーウェイトの取外し作業において、作業を完了した状態の正面図である。
図9】同上、図5に示す状態の一側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳しく説明する。
【0015】
図1は、冬場に使用される鉄道用除雪車Sの全体図を示したものである。同図において、レール1上を前後の車輪2,3により走行する軌道車両4は、回動自在な車輪2,3を支持するフレーム状の台枠5を有し、この台枠5の上部に運転室6及び機関室7が配設される。台枠5の一端側におけるロータリ除雪装置連結部8には、ロータリ除雪装置9が着脱可能に連結されると共に、台枠5の他端側におけるスノープラウ連結部10には、スノープラウ11が着脱可能に連結される。このように鉄道用除雪車Sは、鉄道車両に相当する軌道車両4の端部に、除雪装置となるロータリ除雪装置9やスノープラウ11を装着して構成される。
【0016】
前記機関室7の内部には、何れも図示しないが主ディーゼルエンジンや減速機付の補助電動モータが、軌道車両4の走行用動力源としてそれぞれ台枠5に配設される。補助電動モータは主ディーゼルエンジンとは別に、台枠5の他端側に設けたエンジン発電機13から電源供給される。特に本実施形態では、除雪装置を使用する冬場に、補助電動モータの動力を利用して、軌道車両4を含む鉄道用除雪車Sを一定の微速度に走行させると共に、主ディーゼルエンジンの動力を利用して、ロータリ除雪装置9のカッター14を高トルクで回転駆動させる。その一方で、除雪装置を使用しない夏場には、主ディーゼルエンジンの動力を利用して、鉄道用除雪車Sをより高速に走行させる構成となっている。
【0017】
ロータリ除雪装置9は、ブロワ(図示せず)を内蔵する装置本体16の一側にフード状のカッターケース17を取付け、装置本体16の他側に伸縮自在な複数のアームを組み合わせたアーム機構18を取付け、さらに装置本体16の上部に投雪筒となるシュート19を取付けて構成される。カッターケース17には前述のオーガとなるカッター14が回動自在に設けられ、ロータリ除雪装置9の動作時に、回転するカッター14の中央部に導かれて粉浄化した雪をブロワに吸引し、そこからシュート19を通してロータリ除雪装置9の側方に吹き出す構成となっている。
【0018】
図2は、除雪装置を装着していない夏場の軌道車両4の様子を、ロータリ除雪装置連結部8側から見た図である。前述のように、夏場は軌道車両4からロータリ除雪装置9やスノープラウ11が取り外され、代わりにロータリ除雪装置9と同程度の重量を有する軌道車両4用の連結装置21が、ロータリ除雪装置連結部8に着脱可能に装着される。連結装置21は、金属板材からなるバンパーウェイト22と、他の軌道車両(図示せず)との連結を可能にする連結器としての自動連結器23や補助連結器24と、他の軌道車両に対するブレーキ制御のためのBP(Break Pipe)管ホース25と、を主な構成としている。バンパーウェイト22は、75mmの板厚と700kg程度の重量を有し、その一側垂直面22Aに自動連結器23と補助連結器24が上下に並んで配設され、さらに制動用のBP管ホース25が吊設される。
【0019】
ここで、他の図5図7図8を併せて参照すると、バンパーウェイト22の他側垂直面22Bは、連結装置21を軌道車両4に装着したときにロータリ除雪装置連結部8に密着する当接面として形成される。そして、連結装置21と軌道車両4との着脱を可能にするために、バンパーウェイト22には複数の貫通孔31が所定の間隔で設けられ、この貫通孔31に対応してロータリ除雪装置連結部8には、複数の雌ねじ孔32が配設される。本実施形態では、ウェイト締付け部材となるボルト33を8個の貫通孔31に各々挿通させ、対応する8個の雌ねじ孔32に螺着することで、軌道車両4のロータリ除雪装置連結部8に連結装置21を取付け、逆にボルト33と雌ねじ孔32との螺着を解除することで、ロータリ除雪装置連結部8から連結装置21を取り外す構成となっている。なお、ボルト33の取り付け数や取り付け位置は、図中に示したものに限定されない。バンパーウェイト22はさらに、貫通孔31とは干渉しない位置に、複数の雌ねじ孔34が所定の間隔で配設される。
【0020】
次に、図2図9を参照して、連結装置21の着脱作業時に用いられる着脱用作業台車(作業台車)41の構成を詳しく説明する。作業台車41は、レール1上に載置される回動自在な車輪42,43と、連結装置21を支持する台車本体44と、手動操作が可能な油圧ジャッキ45とにより構成される。台車本体44は、枠状に形成された基台47と、基台47上に立設する立枠48と、立枠48の左右外側に張出して取付け固定される連結板49と、基台47と立枠48との間に取付け固定される補強板50とにより構成され、基台47の前後下部には車輪42,43が、また基台47の左右上面部には油圧ジャッキ45が各々配設される。各車輪42,43は同一の構成を有し、また各油圧ジャッキ45も同一の構成を有する。
【0021】
作業台車41は、レール1上で車輪42,43により走行可能に設けられる。また連結板49は、作業台車41とバンパーウェイト22との着脱を可能にする着脱部として、バンパーウェイト22の一側垂直面22Aに対向して台車本体44に設けられる。各々の連結板49には、バンパーウェイト22に設けた雌ねじ孔34に対向して、垂直方向に延びた貫通長孔52が穿設される。これらの貫通長孔52は、締付け部材となるボルト53が挿通可能な形状を有しており、連結49を挟むようにして雌ねじ孔34にボルト53を螺着することで、作業台車41に連結装置21を取り付け、逆にボルト53と雌ねじ孔34との螺着を解除することで、作業台車41から連結装置21を取り外せる構成となっている。
【0022】
レール1と軌道車両4との間には、作業台車41の車輪42や基台47の一部が入り込む程度の空間が形成される。これにより、連結装置21を軌道車両4に取付けた状態で、バンパーウェイト22の一側垂直面22Aに作業台車41の連結板49が当接する位置にまで、レール1上の作業台車41を支障なく移動することができる。また、連結板49を利用して作業台車41に連結装置21を取付けた状態では、バンパーウェイト22の下面と基台47の上面との間に、受け部材となる木材54を設置可能にする別な空間55が形成される。
【0023】
連結装置21を軌道車両4に取付け固定するためのボルト33は、作業台車41を連結装置21側に移動させたときに、バンパーウェイト22の一側垂直面22Aよりも連結板49に先当りして、作業台車41に干渉する第1のボルト33Aと、連結板49には当接せず作業台車41にも干渉しない第2のボルト33Bと、に大別される。つまり第1のボルト33Aは、連結装置21を作業台車41に取付ける前に、軌道車両4から取り外すことが必要な一部のボルト33である。それに対して、第2のボルト33Bは、連結装置21を作業台車41に取付けた後に、軌道車両4から取り外す残りのボルト33ということができる。
【0024】
油圧ジャッキ45は、基台47に取付け固定されるジャッキ本体61と、ジャッキ本体61の上部より出没する可動部62と、ジャッキ本体61に対し着脱可能に設けられたハンドル63とを備える。本実施形態では、バンパーウェイト22の一側垂直面22Aに受け部となる受け板65を取付け固定しており、作業台車41の連結板49をバンパーウェイト22の一側垂直面22Aに当接させた状態で、油圧ジャッキ45のハンドル63を手動操作して可動部62を油圧で上昇させると、可動部52の上端面が受け板65に突き当たって、連結装置21全体を油圧ジャッキ45で保持できる構成になっている。
【0025】
なお、ここに示す油圧ジャッキ45はあくまでも一例に過ぎず、少なくとも軌道車両4から連結装置21を取り外した状態で、作業台車41の着脱部となる連結板49を利用して、ボルト53を雌ねじ孔34の途中まで締め込んでバンパーウェイト22を台車本体44に仮止めしたときに、連結装置21を上下動可能に支持する昇降装置としての機能を備えていればよい。また図8において、68は軌道車両4から連結装置21を取外した状態で、雌ねじ孔32に直接螺着される目隠しボルトである。
【0026】
次に、上記構成について、図2に示す夏季状態から図1に示す除雪装置を取付けるまでの準備として、軌道車両4から連結装置21を取り外す一連の作業手順を説明する。
【0027】
軌道車両4に連結装置21を取付け固定した夏季状態では、ロータリ除雪装置連結部8に設けた全ての雌ねじ孔32に、貫通孔31を通してボルト33が本締めされている。この中で、先ずそのままでは連結板49に干渉する第1のボルト33Aを軌道車両4から完全に取り外し、残りの第2のボルト33Bだけで連結装置21を軌道車両4に締付け固定する。次に、台車本体44に設けた左右の連結板49が、バンパーウェイト22の一側垂直面22Aを押し当てる位置にまで、レール1上で作業台車41を連結装置21に向けて移動させ、連結板49の貫通長孔52を通して、バンパーウェイト22に設けた全ての雌ねじ孔34に、手回し程度の力でボルト53を仮締めし、作業台車41とバンパーウェイト22とを軽く締結する。ここでは、先に雌ねじ孔32から取り外した第1のボルト33Aを、次に雌ねじ孔34に仮締めするボルト53としてそのまま利用できる。
【0028】
この後、棒状のハンドル63をジャッキ本体61に差し込んで油圧ジャッキ45をセットし、ハンドル63を手動で往復操作して、受け板65に当接する位置にまで可動部62を加圧上昇させ、左右の油圧ジャッキ45でバンパーウェイト22を略垂直のまま受ける。そして、貫通孔31を通して雌ねじ孔32に締め付けられている残りの第2のボルト33Aを全て取り外し、軌道車両4から連結装置21を外して、仮締めしたボルト53と油圧ジャッキ45だけでバンパーウェイト22を含む連結装置21を支持する。図5図7は、このときの状態を示している。
【0029】
続いて、油圧ジャッキ45の可動板62が少し上昇するように、ハンドル63を手動操作して、作業台車41ごと連結装置21を軌道車両4から離す。そして、バンパーウェイト22と基台47との間の空間55に木材54を設置し、油圧ジャッキ45の逃し弁(図示せず)を緩め操作して、木材54の上面にバンパーウェイト22が載る位置に可動部62を減圧降下させる。なお木材54は、バンパーウェイト22から台車本体44に加わる力を簡単に分散させる効果がある。この一連の作業では、バンパーウェイト22を含む連結装置21が、貫通長孔52に沿って上下方向に移動し、水平方向への動きが規制される。したがって、油圧ジャッキ45により略垂直なバンパーウェイト22付きの連結装置21を、安全に上下方向へ位置調整できる。
【0030】
バンパーウェイト22を木材54に載せた後は、仮締めされていた全てのボルト53を完全に締め付けて、バンパーウェイト22と連結板49とをボルト53で固く締結し、作業台車41ごと連結装置21を別な場所に格納する。これにより、自動連結器23や補助連結器24を装着したまま、バンパーウェイト22付きの連結装置21を安全な状態で保管できる。また、軌道車両4側は、ボルト33を取り外した全ての雌ねじ孔32に、目隠しボルト68が締付け固定される。
【0031】
図8および図9は、上述した軌道車両4から連結装置21を取り外す一連の作業が完了した状態を示しており、ここから軌道車両4にロータリ除雪装置9やスノープラウ11を装着することで、図1に示す鉄道用除雪車Sとして軌道車両4を使用できる。また、連結装置21を軌道車両4に取り付ける場合は、上述したものと逆の手順で行なえばよい。
【0032】
以上のように上記実施形態では、バンパーウェイト22に連結器となる自動連結器23や補助連結器24を取付けて構成される連結装置21を、鉄道車両となる軌道車両4に着脱する際に用いられる作業台車41について、特にこの作業台車41が、下部に車輪42,43を有する台車本体44と、台車本体44に設けられ、軌道車両4と連結装置21との着脱が可能な状態で、バンパーウェイト22との着脱を可能にする着脱部としての連結板49と、を備え、着脱部となる連結板49が垂直方向に延びた貫通長孔52を備え、貫通長孔52を通してバンパーウェイト22に設けた取付け孔としての雌ねじ孔34に、締付け部材となるボルト53を着脱することで、移動可能な作業台車41に対する連結装置21の取付けや取外しを行なう構成となっており、さらに連結板49の貫通長孔52を通して雌ねじ孔34にボルト53を仮締めすることによりバンパーウェイト22を台車本体44に仮止めした状態で、軌道車両4から連結装置21を取り外したときに、連結装置41を上下動可能に支持する昇降装置としての油圧ジャッキ45とを備えて構成される。
【0033】
こうした構成の作業台車41であれば、台車本体44に設けた連結板49を利用して、バンパーウェイト22を台車本体44に仮止めした安全な状態で、軌道車両4と連結装置21との着脱を行なうことができ、軌道車両4から連結装置21を取り外した場合は、油圧ジャッキ45により仮止めされた台車本体44に対してバンパーウェイト22を上下に位置調整できる。そのため、台車本体44に連結板49と油圧ジャッキ45を設けただけの簡単な構造でありながら、バンパーウェイト22付きの連結装置21を作業台車41で安全に着脱することが可能になる。
【0034】
しかも、複数の貫通長孔52とボルト53とを組み合わせた簡単な構造で、油圧ジャッキ45によりバンパーウェイト22付きの連結装置21を安全に上下方向へ位置調整できる。
【0035】
また本実施形態では、上記構成に加えて、バンパーウェイト22が板状で、その一側垂直面22Aに自動連結器23や補助連結器24の他に受け板65が配設されると共に、他側垂直面22Bに軌道車両4が当接して取付けられ、連結板49を利用して台車本体44にバンパーウェイト22を垂直に仮止めしたときに、受け板65が当接可能な位置に油圧ジャッキ45の可動部62を設けている。
【0036】
この場合、バンパーウェイト22を一側垂直面22Aの側から見て、受け板65が油圧ジャッキ45の可動部62に当接できる位置にあるか否かを目視することで、台車本体44にバンパーウェイト22が正しく垂直に仮止めされたか否かを確認でき、軌道車両4に対して連結装置21をさらに安全な作業で着脱させることが可能になる。
【0037】
その他に本実施形態では、バンパーウェイト22に複数の貫通孔31を穿設し、この貫通孔31を通して軌道車両4の取付け孔となる雌ねじ孔32に複数の締付け部材となるボルト33を各々螺着して、軌道車両4に連結装置21を取付けると共に、この状態で作業台車41をレール1上で移動させたときに、連結板49が連結装置21に当接する前に、ボルト33の一部に当接する構成となっている。
【0038】
つまり、軌道車両4から連結装置21を取り外す過程で、作業台車41をレール1上で移動させたときに、連結板49に先当りするボルト33の一部、すなわち第1のボルト33Aを予め外すことが習慣付けられるので、どのボルト33を残した状態で、連結板49により連結装置21を作業台車41に取付けるのかを自ずと理解でき、作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
さらに言えば、予め外した第1のボルト33Aを、連結装置21を作業台車41に取付ける際のボルト53としてそのまま利用することで、ボルト33,53の使用数を最小限に留めて、作業効率を一層向上することが可能になる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、作業台車41の仕様や形状などについては、上記実施形態で説明したものに限らず、連結装置21を安全に保持できる構造であれば、適宜修正や変更が可能である。また、軌道車両4と連結装置21との着脱構造や、作業台車41と連結装置21との着脱構造も、本実施形態のものに限定されず、ボルト33,53以外の各種締付け部材を利用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
4 軌道車両(鉄道車両)
22 バンパーウェイト
23 自動連結器(連結器)
24 補助連結器(連結器)
34 雌ねじ孔(取付け孔)
41 着脱用作業台車
42,43 車輪
44 台車本体
45 油圧ジャッキ(昇降装置)
49 連結板(着脱部)
52 貫通長孔
53 ボルト(締付け部材)
65 受け板(受け部)
【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造でバンパーウェイト付きの連結装置を安全に着脱することができる鉄道車両用連結装置の着脱用作業台車を提供する。
【解決手段】バンパーウェイト付きの連結装置を、軌道車両に着脱する際に用いられる作業台車41に関する。作業台車41は、下部に車輪42,43を有する台車本体44と、台車本体44に設けられ、軌道車両4と連結装置との着脱が可能な状態で、バンパーウェイトとの着脱を可能にする連結板49と、軌道車両から連結装置を取り外した状態で、連結板49によりバンパーウェイトを台車本体44に仮止めしたときに、連結装置41を上下動可能に支持する油圧ジャッキ45とを備えて構成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9