(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像データ群生成部により前記作業機械の使用時に表示が必要と想定される画像データをオペレータないしはユーザが予め設定できることを特徴とする請求項1記載の作業機械の周囲監視装置。
前記作業機械の左右の走行は前記運転室に備えられるステアリングハンドルにより操作され、このステアリングハンドルの操舵角度に応じて前記画像選択部はグループ化する画像データを決定すること
を特徴とする請求項1記載の作業機械の周囲監視装置。
前記画像選択部により選択された画像データをリスト化して前記モニタに表示して、前記画像データの入力操作を行う入力部を用いて前記リスト化された画像データの中から目的となる画像データを選択すること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の作業機械の周囲監視装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
作業機械の後方および左右側方を視野とする3台のカメラを設けて、特許文献1のように、何れか1つのカメラの画像をモニタに表示することができる。また、作業機械の前方の視野は広範に確保されているものの、それでも死角を生じる部分が存在するため、前方にカメラを設置する場合もある。また、特許文献2のように、仮想視点画像(俯瞰画像)を表示することで、オペレータに作業機械の周囲の状況を認識させることができる。従って、モニタには、前後左右を視野とするカメラからの画像(カメラスルー画像)および仮想視点画像を表示することができる。
【0008】
運転室に備えられるモニタは、オペレータの前方の視界を妨げないように、小型サイズのモニタが用いられるが、作業機械の状況に応じて、モニタの表示領域を分割して、それぞれの領域に異なる画像データを表示させる場合がある。例えば、作業機械が停止している状態から後進させるときには、最も注意すべきは作業機械の周囲の状況であり、従って仮想視点画像を表示する。また、作業機械を走行させる方向を視野とするカメラの画像データを仮想視点画像と共に表示させる。従って、この場合には、モニタの表示部の領域を2分割して、仮想視点画像と後方画像(後方のカメラが視野とする画像)とを表示することが望ましい。
【0009】
また、作業機械を左斜め後方に走行させるときには、後方画像だけではなく、左方画像(左方のカメラが視野とする画像)を表示することが望ましい。これにより、進行方向に応じた視界を確保することができる。さらに、場合によっては、前後左右の全てのカメラの画像を表示させることが望ましい場合もある。
【0010】
従って、状況に応じて、モニタに表示させる画像データは多種多様になる。オペレータは多数の画像データの中から、所望の1つの画像データを探し出して、モニタに表示させる。このとき、画像データが多数になると、多数の画像データの中から目的の画像データを特定することが困難になる。このような画像データを探し出す作業は、オペレータに過度な負担を強いることになる。
【0011】
そこで、本発明は、作業機械に備えられる複数のカメラにより撮影される多数の画像データの中から目的の画像を迅速に且つ簡単に選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するため、本発明の作業機の周囲監視装置は、作業機械の少なくとも後方および左右側方を視野とするカメラと、前記作業機械の運転室に備えられるモニタと、前記作業機械の前進および後進の走行を操作するシフトレバーと、前記カメラが撮影した複数の第1の画像及び、前記複数の第1の画像に基づいて上方視点となるように視点変換した仮想視点画像としての第2の画像からなる画像データであって、前記作業機械の走行方向に関連した第1の画像を含む画像データを画像データ群として生成する画像データ群生成部と、前記シフトレバーの操作情報に基づいて、前記画像データ群生成部により生成された前記画像データ群のうち、前記作業機械の走行方向に関連した前記第1の画像を含む画像データのみを選択してグループ化する画像選択部と、前記画像選択部により選択された画像データのグループの中から目的となる画像データを選択する作業を行うための入力部と、前記入力部により選択された画像データを前記モニタに表示する表示画像生成部と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
後方および左右側方を視野とする複数のカメラにより生成される画像データは多数になる。このときに、画像選択部は多数の画像データの中から作業機械の走行方向に関連した画像データのみを選択対象とするため、目的となる画像データを容易且つ迅速に選択することができる。
【0014】
また、前記作業機械の前方を視野とするカメラが撮影した画像データを前記画像データ群に含めたことを特徴とする。
【0015】
作業機械の運転室から前方の視界は広範に確保されているが、それでも死角となる部分を生じることがある。このために、前方を視野とするカメラを設けている。この前方を視野とするカメラの画像データを含めると、画像データはより多数になる。このときに、作業機械の走行方向に関連した画像データのみを選択対象とすることで、目的となる画像データを容易且つ迅速に選択することができる。
【0016】
また、少なくとも前記後方および左右側方を視野とするカメラに基づいて上方視点となるように視点変換した仮想視点画像を前記画像データ群に含めたことを特徴とする。
【0017】
仮想視点画像は作業機械の周囲の状況をオペレータに認識させる。この仮想視点画像を画像データ群に含めることにより、さらに画像データが多くなる。この場合でも、作業機械の走行方向に関連した画像データのみが選択対象となるため、目的となる画像データを容易且つ迅速に選択することができる。
【0018】
また、前記作業機械の前進および後進の走行は前記運転室に備えられるシフトレバーにより操作され、このシフトレバーの位置に応じて前記画像選択部はグループ化する画像データを決定することを特徴とする。
【0019】
ダンプカーのような運搬車両は、シフトレバーにより前進、停止、後進が操作される。従って、作業機の走行方向はシフトレバーの位置によって特定され、シフトレバーの位置が示す走行方向の画像データのみを選択対象とすることができる。
【0020】
また、前記作業機械の左右の走行は前記運転室に備えられるステアリングハンドルにより操作され、このステアリングハンドルの操舵角度に応じて前記画像選択部はグループ化する画像データを決定することを特徴とする。
【0021】
ダンプカーのような運搬車両は、ステアリングハンドルにより左右方向を操舵する。従って、ステアリングハンドルにより左右の走行方向が定まるため、これによって走行方向の画像データのみを選択対象とすることができる。
【0022】
また、前記画像選択部により選択された画像データをリスト化して前記モニタに表示して、前記画像データの入力操作を行う入力部を用いて前記リスト化された画像データの中から目的となる画像データを選択することを特徴とする。
【0023】
モニタに表示される画像データのリストは、走行方向に関連した画像データだけで構成されているため、選択対象となる画像データの数は少なくなる。これにより、目的となる画像データを容易に且つ迅速に選択することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、少なくとも後方および左右側方を視野とするカメラにより生成される多数の画像データの中から、作業機械の走行方向に関連した画像データのみを選択対象とすることで、目的となる画像データを容易且つ迅速に選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では作業機械として運搬車両のダンプトラックを適用しているが、ダンプトラックには限定されない。作業機械としては、他に油圧ショベル等を適用することもできる。また、ダンプトラックとしてはリジットダンプとアーティキュレートダンプとがあるが、何れを適用してもよい。なお、本実施形態で「左」とは運転室から見た左方であり、「右」とは運転室から見た右方である。
【0027】
図1はダンプトラック1の左側面図を示しており、この図に示すように、ダンプトラック1は車体フレーム2と前輪3と後輪4とベッセル5とホイストシリンダ6と運転室7と4台のカメラ(前方カメラ8F、右方カメラ8R、左方カメラ8L、後方カメラ8B)とを有している。なお、
図1はダンプトラック1の左側面図を示しており、右方カメラ8Rは表れていないが、左方カメラ8Lの反対側に右方カメラ8Rが設けられている。
【0028】
車体フレーム2はダンプトラック1の本体を形成するものであり、車体フレーム2の前方には前輪3が設けられており、後方には後輪4が設けられている。ベッセル5は荷台であり、土砂や鉱物等を積載する。ホイストシリンダ6は左右一対に設けられており、伸縮可能なホイストシリンダ6によりベッセル5を起伏させる。
【0029】
運転室7はオペレータが搭乗してダンプトラック1を操作するものであり、運転室7には後述するモニタが配置されている。また、ダンプトラック1を操作する操作手段として、ダンプトラック1を前進、停止または後進させるシフトレバー21、操舵角度を変えるステアリングハンドル22、ダンプトラック1を加速させるためのアクセルペダル等が設けられている。オペレータは運転室7に搭乗して、各種操作手段を用いて走行ないしは作業を行う。そして、オペレータは必要があるときに、モニタの確認を行う。
【0030】
ダンプトラック1の周囲を監視するために設けられる4つのカメラのうち前方カメラ8Fはダンプトラック1の前方から斜め下方に向けた範囲を視野としている。右方カメラ8Rはダンプトラック1の右側部に取り付けられており、ダンプトラック1の右側部から斜め下方に向けた範囲を視野としている。左方カメラ8Lはダンプトラック1の左側部に取り付けられており、ダンプトラック1の左側部から斜め下方に向けた範囲を視野としている。後方カメラ8Bはダンプトラック1の後方に取り付けられており、斜め下方に向けた範囲を視野とする。
【0031】
そして、各カメラ(前方カメラ8F、右方カメラ8R、左方カメラ8L、後方カメラ8B)はダンプトラック1から所定の範囲を視野としているが、各カメラの一部にはダンプトラック1の車体2や前輪3、後輪4等が部分的に映し出されるようにしている。そして、ダンプトラック1に設置される4台のカメラ8F、8L、8R、8Bはそれぞれ撮影する方向が概ね90度異なるようにしている。これにより、ダンプトラック1のほぼ全周に渡る視野を得ることができる。
【0032】
また、4台のカメラ8F、8L、8R、8Bはそれぞれ斜め下方を視野としており、例えば、
図1に示すように、前方カメラ8Fは接地面をLとしたときに角度θを持った斜め下方に対物レンズの光軸を向けている。これにより、接地面Lに対して角度θを持ったカメラ画像を得ることができる。この接地面Lを仮想平面とした画像は、仮想視点VFの光軸が垂直方向(水平面と直交する方向)になるように座標変換した画像が仮想視点画像として生成される。つまり、仮想視点VFから接地面Lを見下ろした仮想的な平面画像が仮想視点画像となる。この仮想視点画像が俯瞰画像となる。
【0033】
図2は車体コントローラ20と表示コントローラ30とにより構成されるコントローラを示しており、表示コントローラ30がモニタ14に接続される。モニタ14は運転室7に配置されるものであり、搭乗するオペレータの前方の視界を妨げない位置に配置される。このモニタ14は画像データを表示する表示部15と入力部16とを有している。
図3に示すように、入力部16はアップスイッチ16Uとダウンスイッチ16Dと決定ボタン16Aとを有して構成している。
【0034】
表示部15は所定の情報を表示する表示画面であり、4台のカメラ8F、8L、8R、8Bが撮影した画像(カメラスルー画像)を表示することもでき、視点変換した仮想視点画像を表示することもできる。カメラスルー画像および仮想視点画像は画像データであり、この画像データが表示画像として表示部15に表示される。表示部15は縦横に所定の表示領域を有しており、表示部15の全領域にカメラスルー画像または仮想視点画像を表示することもできるが、表示部15の表示領域を分割して、分割したそれぞれの領域に異なる画像を配した画像データとすることもできる。
【0035】
車体コントローラ20は主に車体制御部20Cを有して構成される。車体コントローラ20には運転室7に備えられるシフトレバー21からシフトレバー情報が入力される。シフトレバー21は前進(F)、中立(N)、後進(R)の3段階に変化する。従って、シフトレバー21が「F」のときにはダンプトラック1は前進し、「N」のときにはダンプトラック1は停止し、「R」のときにはダンプトラック1は後進する。
【0036】
また、運転室7にはステアリングハンドル22が設けられており、このステアリングハンドル22の操舵角度を示すステアリング情報が車体コントローラ20に入力される。そして、前輪3および後輪4の回転速度に基づいて、ダンプトラック1の走行速度を検出する速度検出部23が設けられている。速度検出部23が検出した走行速度情報は車体コントローラ20に入力される。
【0037】
また、運転室7にはベッセル5を操作するためのベッセル操作手段24が設けられている。このベッセル操作手段24を操作することにより、ホイストシリンダ6の伸縮制御を行う。ホイストシリンダ6を伸張させたときにはベッセル5は傾斜して、積載している土砂等を排土する。一方、ホイストシリンダ6を収縮させたときにはベッセル5は平行になり、排土は行われない。このベッセル操作手段24の操作情報がベッセル操作情報として車体コントローラ20に入力される。
【0038】
以上のシフトレバー情報とステアリング情報と走行速度情報とベッセル操作情報とが車体情報として、車体コントローラ20から表示コントローラ30に入力される。表示コントローラ30はモニタ14に表示させる内容を制御する。この表示コントローラ30は記憶保持部31と画像補正部32と視点変換部33と画像合成部34と画像データ群生成部35と画像選択部36と画像リスト生成部37と表示画像生成部38とを備えて構成している。
【0039】
表示コントローラ30には後方カメラ8B、左方カメラ8L、右方カメラ8R、前方カメラ8Fが撮影している視野の映像が入力される。各カメラは連続して視野を撮影することで、各カメラの映像を動画とすることができる。これにより、各カメラが撮影している映像をリアルタイムに認識することができる。
【0040】
記憶保持部31は4台のカメラ8F、8L、8R、8Bの撮影画角やレンズ歪み等のカメラ光学系パラメータ、搭載位置・姿勢情報、仮想視点画像に変換する際の仮想視点情報、ダンプトラック1のシンボルマークM(後述する)や縮尺値等の各種情報を記憶している。記憶保持部31は画像補正部32と視点変換部33と画像合成部34と表示画像生成部38とに情報を出力している。
【0041】
画像補正部32は4台のカメラ8F、8L、8R、8Bに接続されており、これら4台のカメラ8F、8L、8R、8Bから取り込んだカメラ画像に対して、記憶保持部31に記憶されているカメラ光学系パラメータ等に基づいて、収差補正やコントラスト補正、色調補正等の画像補正を行う。これにより、カメラ画像の画質を向上させている。画像補正部31が補正処理したカメラ画像は視点変換部33と画像データ群生成部35とに出力される。
【0042】
視点変換部33は、画像補正部32が補正処理した各カメラ画像(前方画像、右方画像、左方画像、後方画像)に基づいて、上方視点となるように視点変換を行う。4台のカメラ8F、8L、8R、8Bは接地面Lに対して斜め下方に視野を向けて撮影し、このときに得られるカメラ画像を画像変換処理して、仮想視点VFからの画像(仮想視点画像)に変換することができる。仮想視点画像は視点を上方位置とした俯瞰画像になり、この俯瞰画像に基づいてダンプトラック1の周囲の状況が正確に認識できるようになる。
【0043】
4台のカメラ8F、8L、8R、8Bの撮影視野の境界を重複させることで、ダンプトラック1の周囲の状況に死角を生じることがなくなる。前方画像、右方画像、左方画像、後方画像のうち、前方画像については運転室7からオペレータが視認することができるため、前方カメラ8Fを設置せずに前方画像を省略することもできる。この場合には、後方画像、左方画像および右方画像の3枚の画像データにより仮想視点画像が生成される。ただし、運転室7の前方視野にも死角を生じる場合があり、前方カメラ8Fを設置して死角部分を表示することで、オペレータに死角部分を表示させることができる。この場合には、前方のカメラ8Fによる仮想視点画像も表示をするように制御する。
【0044】
画像合成部34は、4台のカメラ8F、8L、8R、8Bの仮想視点画像を、ダンプトラック1のキャラクタをシンボルマークMとして中心に配置し、このシンボルマークを中心として前後および左右に領域を4分割する。例えば、
図3に示すように、シンボルマークMを中心に上側の領域A1には前方のカメラ8Fの画像データを視点変換した仮想視点前方画像を表示し、左側の領域A2には左方のカメラ8Lの画像データを視点変換した仮想視点左方画像を表示し、右側の領域A3には右方のカメラ8Rの画像データを視点変換した仮想視点右方画像を表示し、下側の領域A4には後方のカメラ8Bの画像データを視点変換した仮想視点後方画像を表示する。
【0045】
ダンプトラック1のシンボルマークMを中心として仮想視点前方画像と仮想視点左方画像と仮想視点右方画像と仮想視点後方画像とを画像合成部34が合成して表示することで、ダンプトラック1を中心とした全周の仮想視点画像を生成することができる。この仮想視点画像を表示することで、ダンプトラック1と作業員等の動的或いは固定的な障害物との位置関係をオペレータに認識させることができる。
【0046】
図2に戻って、画像データ群生成部35は画像補正部32から出力された前方画像、左方画像、右方画像、後方画像を入力し、また画像合成部34から仮想視点画像を入力する。前方画像、左方画像、右方画像、後方画像は画像データであり、仮想視点画像も画像データである。従って、5つの画像データを得ることができる。これにより、複数の画像データからなる画像データ群を生成する。モニタ14の表示部15には画像データ群のうち何れか1つの画像データを表示することができる。
【0047】
一方、モニタ14の表示部15を分割して異なる画像データを同時に表示することもできる。例えば、表示部15を2分割して、1つの領域に仮想視点画像を表示し、もう1つの領域に後方画像(カメラスルー画像)を表示することもできる。これも画像データとなる。また、表示部15を2分割して、1つの領域に後方画像を表示して、もう1つの領域に左方画像を表示することもできる。これも画像データになる。さらには、表示部15を4分割して、前方画像、左方画像、右方画像、後方画像を割り当てた画像データを生成することもできる。
【0048】
画像選択部36は、画像データ群生成部35が生成した多数の画像データの中から、ダンプトラック1の走行方向に関連した画像のみを選択する。走行方向に関連した画像データは1つのグループを構成する。このグループの画像データが画像リスト生成部37に出力される。画像リスト生成部37は画像選択部36から出力されたグループに属する画像データをリスト形式で表示部15に表示する。
【0049】
表示部15に表示されるリスト化した画像データに基づいて、オペレータは入力部16を操作して、モニタ14に表示させる画像を選択する。選択された画像の情報は表示画像生成部38に出力され、表示画像生成部38は選択された画像データを表示部15に表示させる制御を行う。
【0050】
以上が構成である。次に、動作について説明する。オペレータは運転室7に搭乗して、ダンプトラック1を稼動させる。このとき、ダンプトラック1の前方カメラ8F、左方カメラ8L、右方カメラ8R、後方カメラ8Bが撮影する視野の画像データを取得する。これら4つの画像データは画像補正部32に入力されて、記憶保持部31に記憶されているカメラ光学系パラメータ等に基づいて、収差補正やコントラスト補正、色調補正等の画像補正を行う。これにより、画像データの画質を向上させる。
【0051】
補正処理された4つの画像データは視点変換部33および画像データ群生成部35に入力される。視点変換部33では4つの画像データの視点変換を行い、仮想視点前方画像、仮想視点左方画像、仮想視点右方画像、仮想視点後方画像の4つを生成する。そして、ダンプトラック1のシンボルマークMを中心として、仮想視点前方画像、仮想視点左方画像、仮想視点右方画像、仮想視点後方画像を合成することで、仮想視点画像が生成される。この仮想視点画像が画像データ群生成部35に出力される。
【0052】
画像データ群生成部35では、補正処理された前方画像、左方画像、右方画像、後方画像の4つの画像データおよび仮想視点画像の画像データを入力する。これらの画像データにより画像データ群が構成される。また、前述したように、前方画像、左方画像、右方画像、後方画像および仮想視点画像をそれぞれ1つの画像データとして表示部15に表示することもできるが、複数の画像データを合成して1つの画像データとして生成することもできる。
【0053】
従って、5つの画像データの全ての組み合わせを考慮すると、画像データ群生成部35が生成する画像データは多数になる。このため、ダンプトラック1の使用時に必要となる画像データだけが選択対象となるように画像データ群生成部35に予め設定することができる。勿論、全ての組み合わせの画像データを対象とすることもできるが、ダンプトラック1の使用時に必要になると想定される画像データだけを対象となるように画像データ群生成部35に設定を行う。要は、表示することがない画像データは予め省略するように画像データ群生成部35に設定を行う。オペレータないしはユーザはこの設定を、ダンプトラック1の運用前に予め設定しておく。なお、5つの画像データの全ての組み合わせにより画像データ群を構成してもよい。
【0054】
図4は画像データ群生成部35が生成する画像データのグループの一例を示している。つまり、ダンプトラック1の使用時(運用時)に表示することが必要になると想定される画像データのグループを示している。画像データG1は領域を2分割し、1つの領域に仮想視点画像、もう1つの領域に後方画像を表示した画像データになる。画像データG2は後方画像のみを表示した画像データになる。なお、この画像データG2にはダンプトラック1の車体の一部としてリンク機構が映し出されている。画像データG3は右方画像のみを表示した画像データになる。画像データG4は左方画像のみを表示した画像データになる。画像データG3、G4にはダンプトラック1の車体の一部として前輪3が映し出されている。
【0055】
画像データG5は前方画像のみを表示した画像データになる。画像データG6は領域を2分割して右方画像と後方画像とを表示した画像データになる。画像データG7は領域を2分割して左方画像と後方画像とを表示した画像データになる。画像データG8は領域を4分割して、前方画像、左方画像、右方画像、後方画像の4つの画像を配置した画像データになる。なお、画像データG1乃至G8において、前方画像および後方画像には動的な障害物として作業員が映し出されている。
【0056】
同図にも示すように、各画像データには「BACK」、「LEFT」、「RIGHT」、「FRONT」を方向情報として、画像データに重畳して表示している。これにより、画像データが前方画像、左方画像、右方画像、後方画像の何れの画像であるかを一見して認識することができる。なお、仮想視点画像は、一見して仮想視点画像であることが認識されるため、方向情報を付していない。ただし、仮想視点情報にも方向情報を付してもよい。
【0057】
画像データ群生成部35は8つの画像データを画像選択部36に出力する。画像選択部36には、車体コントローラ20より車体情報が入力されている。この車体情報のうちシフトレバー情報とステアリング情報とに基づいて、8つの画像データの中から表示部15にリストとして表示する画像データを選択する。
【0058】
シフトレバー21が「R」に入っているときには、ダンプトラック1の走行方向は後進になる。従って、
図4に示した8枚の画像データのうち走行方向が後進に関連する画像データのみを選択する。選択した画像を
図5に示す。
図4に示した各画像データのうち、画像データG3は右方画像のみの画像データであり、画像データG4は左方画像のみの画像データであり、画像データG5は前方画像のみの画像である。
【0059】
一方、画像データG1、G2、G6乃至G8は後方画像を含んでいる。そこで、画像選択部36は画像データG1、G2、G6乃至G8を画像リスト生成部37に出力する。画像リスト生成部37はリスト形式で表示部15に各画像データを表示させる。ここでは、画像データG1、G2、G6乃至G8がリスト形式で表示部15に表示される。
【0060】
オペレータはモニタ14の表示部15を視認して、入力部16を操作して目的となる画像データを選択する。入力部16のアップスイッチ16Uまたはダウンスイッチ16Dにより矢印アイコンを上下させることで、目的となる画像データを選択する。そして、目的となる画像データを選択した後に、決定ボタン16Aを押下することで、表示部15に表示される画像データが決定される。
図5の例では、後方画面の画像データG2が選択されている(矢印アイコンにより選択されている)。従って、表示画像生成部38は画像データG2を表示部15に表示させる制御を行う。
【0061】
従って、シフトレバー情報に基づいて、前進または後進に関連した画像のみをグループ化することで、選択対象の画像データを少なくすることができ、オペレータが容易且つ迅速に目的となる画像データを表示部15に表示させることができる。これにより、オペレータに画像データを検索させる負担を軽減することができ、容易且つ迅速に目的の画像データを選択することができる。
【0062】
ここで、画像選択部36にはステアリング情報も入力されている。ステアリング情報は運転室7に備えられるステアリングハンドル22の操舵情報である。ステアリングハンドル22の操舵角度が所定角度以上のときには、大きく左右に走行するため、後方画像だけでなく、操舵する方向の画像(左方画像または右方画像)を表示することが望ましい。シフトレバー21が「R」であり、操舵する方向が左方であれば、画像データ群生成部35が生成した8つの画像データの中から、後方画像と左方画像とに関連する画像を選択してグループ化する。
【0063】
この場合には、後方画像と左方画像とに関連する画像であることから、
図6に示すように、画像データG1乃至G3、G6乃至G8が選択対象となる。オペレータは入力部16を用いて、何れかの画像データを選択して、表示部15に表示させる。これにより、斜めに後進するような場合でも、走行方向に関連する画像データのみを選択対象とすることができる。
【0064】
従って、ダンプトラック1の周囲4箇所に前方カメラ8F、右方カメラ8R、左方カメラ8L、後方カメラ8Bを配置した場合、各カメラが撮影する画像データだけではなく、複数のカメラの画像を組み合わせた画像データを生成できる。また、視点変換した仮想視点画像を画像データとして生成することができる。このため、組み合わせにより多数の画像データが選択対象となるが、このうち走行方向に関連した画像データのみを選択対象とすることで、選択対象となる画像データを少なくすることができる。これにより、オペレータが表示させたい画像データを選択する作業を軽減できる。
【0065】
なお、シフトレバー21が「R」であり、ステアリングハンドル22の操舵角度が所定角度未満の場合には、ほぼ真っ直ぐに後進することになる。この場合には、左方画像および右方画像、そして前方画像を表示する必要はなく、
図5に示すように、後方画像に関連した画像データのみが選択対象となる。
【0066】
以上において、
図5および
図6に示すように、画像選択部36が選択した画像データのみを表示して目的の画像データを選択させるようにしているが、画像データ群生成部35が生成する全ての画像データを表示させて、その中から走行方向に関連しない画像を選択不能にすることもできる。
【0067】
図7はその一例を示している。
図7では画像データ群生成部35が生成した全ての画像データがリスト形式で表示されているが、走行方向に関連しない右方画像からなる画像データG3、左方画像からなる画像データG4、前方画像からなる画像データG5を選択不能にする。オペレータは入力部16のアップスイッチ16Uまたはダウンスイッチ16Dを操作することにより、選択する画像の矢印アイコンを移動させるが、画像データG2の次に遷移させるときには、画像データG3乃至G5をスキップして、画像データG6に矢印アイコンを移動させることができる。これにより、走行方向に関連する画像データのみを選択対象とすることができる。
【0068】
また、ダンプトラック1の積載物を排土するときには、後方の視野が重要となる。このため、運転室7のベッセル操作手段が操作されて、ベッセル5が傾斜状態になったときは自動的に後方画像のみを表示する画像データG2が表示させるように制御する。これにより、積載物の排土を行うときの後方の状況を運転室7に搭乗しているオペレータが認識することができる。
【0069】
また、前述した実施形態においては、画像リスト生成部37は画像選択部36が選択した一連の画像データを表示部15に表示して、入力部16(アップスイッチ16U、ダウンスイッチ16D)を操作することで、目的となる画像データを選択する例を示していた。このとき、画像リスト生成部37は所定時間ごとに画像データを切り替えて表示することで、目的の画像を選択させるようにしてもよい。
【0070】
また、オペレータによる画像の選択は入力部16を用いて行っているが、入力部16を設けずにタッチパネル式にしてもよい。表示部15に表示される画像データをタッチパネルで選択することで、アップスイッチ16Uやダウンスイッチ16Dを用いて矢印アイコンを移動させる必要はなくなる。
【0071】
また、画像選択部36にはダンプトラック1の走行速度を示す走行速度情報が入力されている。この走行速度情報が所定速度以上になったときは仮想視点画像を選択の対象から外すことができる。仮想視点画像はダンプトラック1を中心とした周囲の状況を表示することができるが、その表示範囲は狭小である。従って、ダンプトラック1が停止或いは低速に走行しているときには仮想視点画像を選択対象とすることが望ましいが、所定速度以上になったときには遠方を視野とすることができる各カメラ8F、8R、8L、8Bのカメラ画像を表示して、仮想視点画像は選択対象に含めないこともできる。
【0072】
また、画像リスト生成部37が表示部15に表示させる画像データのリストは任意の順番としてもよいが、使用頻度の高い画像データから順番に表示するようにしてもよい。これにより、オペレータは使用頻度の高い画像データを表示するときには1度の操作で目的の画像データを表示することができる。また、アップスイッチ16U、ダウンスイッチ16Dにより操作される矢印アイコンにより目的の画像データを選択したが、矢印アイコンとは異なる方法で目的の画像データを選択するようにしてもよい。