(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物内に設置された複数のエレベータと、前記建物の各階床のエレベータ乗場にそれぞれ設置され、前記エレベータ乗場にいる利用者が行先方向を乗場呼びとして登録可能な乗場呼び登録装置と、前記複数のエレベータの乗りカゴ内にそれぞれ設置され、前記乗りカゴ内の前記利用者が行先階をカゴ呼びとして登録可能なカゴ呼び登録装置と、前記エレベータに電力を供給可能な蓄電池と、に接続されたエレベータ群管理制御装置において、前記エレベータに電源から電力が供給されていない場合に、前記エレベータへの電力の供給を開始するように前記蓄電池を制御する蓄電池制御部と、前記蓄電池から供給された電力によって前記エレベータが運転されている時に、前記乗場呼びが登録された場合に、前記乗場呼びが登録された階床が行先階として前記カゴ呼びにより登録された乗りカゴであり、かつ、前記乗場呼びの行先方向と前記カゴ呼びの行先階に到着した後の進行方向とが逆方向にならない乗りカゴを、前記乗り場呼びに従って前記階床で停止する乗りカゴの候補として選択する候補号機選択部と、前記乗りカゴの位置と荷重から、前記乗りカゴが前記乗場呼びに割当て可能か否かを判定し、割当てが可能な乗りカゴであって、かつ、前記乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い前記乗りカゴから順に高い評価を付与する候補号機評価部と、前記候補号機選択部が選択した前記乗りカゴから、前記候補号機評価部が付与した評価に基づいて、前記乗場呼びが登録された前記階床で停止する乗りカゴとして、前記乗場呼びに割当てる前記乗りカゴを決定する割当て決定部と、を備えたエレベータ群管理制御装置。
前記蓄電池から供給された電力によって前記エレベータが運転されている時に、前記カゴ呼びが新規に登録された場合に、前記カゴ呼びの行先階において、前記カゴ呼びの行先階に到着した乗りカゴの進行方向と逆方向にならない前記乗場呼びが存在するか否かを検出する呼び組合せ評価部、をさらに備え、前記割当て決定部は、前記乗場呼びに従って前記階床で停止する乗りカゴが既に割当てられている場合に、前記呼び組合せ評価部の検出結果に応じて、前記乗場呼びに対する前記乗りカゴの割当を変更可能である、請求項1に記載のエレベータ群管理制御装置。
建物内に設置された複数のエレベータと、前記建物の各階床のエレベータ乗場にそれぞれ設置され、前記エレベータ乗場にいる利用者が行先方向を乗場呼びとして登録可能な乗場呼び登録装置と、前記複数のエレベータの乗りカゴ内にそれぞれ設置され、前記乗りカゴ内の前記利用者が行先階をカゴ呼びとして登録可能なカゴ呼び登録装置と、前記エレベータに電力を供給可能な蓄電池と、に接続されたエレベータ群管理制御装置において、前記エレベータに電源から電力が供給されていない場合に、前記エレベータへの電力の供給を開始するように前記蓄電池を制御する蓄電池制御部と、前記蓄電池から供給された電力によって前記エレベータが運転されている時に、前記乗場呼びが登録された場合に、前記乗場呼びの登録階から前記乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とする前記カゴ呼び登録数の多い前記乗りカゴから、順に高い評価を付与する呼び組合せ評価部と、前記乗りカゴの位置と荷重から、前記乗りカゴが前記乗場呼びに割当て可能か否かを判定し、割当てが可能な乗りカゴであって、かつ、前記乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い前記乗りカゴから順に高い評価を付与する候補号機評価部と、前記呼び組合せ評価部が付与した評価が高い前記乗りカゴを優先的に前記乗場呼びに割当て、前記呼び組合せ評価部が付与した評価が複数の乗りカゴで等しい場合には、前記候補号機評価部が付与した評価が高い前記乗りカゴを前記乗場呼びに割当てる割当て決定部と、を備えたエレベータ群管理制御装置。
前記蓄電池は複数備えられ、前記複数の蓄電池はそれぞれ、前記複数のエレベータのうち一の前記エレベータに個別に電力を供給し、前記エレベータ群管理制御装置は、各蓄電池の残存蓄電量に基づいて、稼働可能な前記エレベータを決定する稼動号機決定部をさらに備え、前記割当て決定部は、前記稼動号機決定部が決定した稼働可能な前記エレベータの前記乗りカゴのうち、前記候補号機評価部が付与した評価が高い前記乗りカゴから優先的に前記乗場呼びに割当てる、請求項4に記載のエレベータ群管理制御装置。
建物内に設置された複数のエレベータと、前記建物の各階床のエレベータ乗場にそれぞれ設置され、前記エレベータ乗場にいる利用者が行先方向を乗場呼びとして登録可能な乗場呼び登録装置と、前記複数のエレベータの乗りカゴ内にそれぞれ設置され、前記乗りカゴ内の前記利用者が行先階をカゴ呼びとして登録可能なカゴ呼び登録装置と、前記エレベータ乗場の前記利用者に報知を行う乗場報知装置と、前記乗りカゴ内の前記利用者に報知を行うカゴ内報知装置と、前記エレベータに電力を供給可能な蓄電池と、に接続されたエレベータ群管理制御装置において、前記エレベータに電源から電力が供給されていない場合に、前記エレベータへの電力の供給を開始するように前記蓄電池を制御する蓄電池制御部と、前記蓄電池から供給された電力によって前記エレベータが運転されている時に、前記乗場呼びが登録された場合に、前記乗場呼びの行先方向と進行方向が逆方向にならない前記乗りカゴを検出し、検出された前記乗りカゴのうち、前記乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とする前記カゴ呼びが登録された前記乗りカゴに、高い評価を付与する呼び組合せ評価部と、前記乗りカゴの位置と荷重から、前記乗りカゴが前記乗場呼びに割当て可能か否かを判定し、割当てが可能な乗りカゴであって、かつ、前記乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い前記乗りカゴから順に高い評価を付与する候補号機評価部と、前記呼び組合せ評価部と前記候補号機評価部が付与した評価に基づいて前記乗りカゴを前記乗場呼びに割当てる割当て決定部と、前記割当て決定部によって前記乗場呼びに割当てられた前記乗りカゴにおける、前記乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とする前記カゴ呼びを解除し、前記カゴ呼び登録装置に登録されていた情報を変更するカゴ呼び制御部と、前記カゴ呼び制御部が変更した情報に基づいて、前記乗りカゴ内の前記カゴ呼び登録装置に信号を出力して行先階表示を変更させると共に、前記カゴ内報知装置に信号を出力して、停止階床の変更を前記利用者に対して報知させる報知情報出力部と、を備えたエレベータ群管理制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態1)
図1は、実施形態1にかかるエレベータシステム1の全体構成の一例を示す図である。エレベータシステム1は、複数の階床(フロア)を有する建物に設置され、複数のエレベータによって構成される。
【0008】
図1に示すように、エレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aと、エレベータ単体制御装置60と、各エレベータの昇降路内に設置された昇降路内構成要素10と、各階床のエレベータ乗場に設置された乗場呼び登録装置20と、乗場報知装置21と、乗場ドア22とを備える。昇降路内構成要素10は、乗りカゴ11、乗りカゴ内に設置されたカゴ呼び登録装置12、カゴ内報知装置13を含む。
【0009】
図1では1つのエレベータ単体制御装置60を例として図示したが、エレベータシステム1は不図示の複数のエレベータによって構成され、エレベータ毎にそれぞれ1つのエレベータ単体制御装置60が存在する。
【0010】
エレベータシステム1を構成する複数のエレベータは各1台の乗りカゴ11を備える。
図1では1台の乗りカゴ11を例として図示したが、エレベータシステム1は複数の乗りカゴ11を備えるものとする。
【0011】
エレベータシステム1は、受電盤30、蓄電池40と接続され、電力の供給を受けている。
【0012】
受電盤30は、エレベータシステム1に電力を供給する機器である。エレベータシステム1は、通常は受電盤30に接続された商用電源31からの電力供給を受けて稼働するが、停電などにより商用電源31からの電力供給が遮断されると、蓄電池40からの電力供給を受けて稼働する。
【0013】
蓄電池40は、エレベータに商用電源31からの電力が供給されていない場合に、エレベータシステム1内で電力を消費するすべての機器に電力を供給可能なバックアップ電源である。蓄電池40は、商用電源31から電力が供給されているときは充電を行い、商用電源31から電力供給が遮断されたときは、放電をしてエレベータシステム1に電力を供給する。蓄電池40は、1つの蓄電池によって構成されるものとしても良いし、複数の蓄電池の集合からなる蓄電池装置を採用しても良い。
【0014】
エレベータ群管理制御装置50aは、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータの仕様等の情報を記憶するバックアップRAMおよび入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータおよび駆動回路を備えている。
【0015】
エレベータ群管理制御装置50aは、エレベータ単体制御装置60と相互に検出信号や駆動信号、制御指令などの授受を行うことで、エレベータシステム1を構成する複数のエレベータを一群として群管理制御する。また、エレベータ群管理制御装置50aは、乗場呼び登録装置20、乗場報知装置21、受電盤30、蓄電池40のそれぞれと電気的に接続されて相互に検出信号や駆動信号、制御指令などの授受を行うことでそれらを制御する。
【0016】
エレベータ単体制御装置60は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータの仕様等の情報を記憶するバックアップRAMおよび入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータおよび駆動回路を備えている。
【0017】
エレベータ単体制御装置60は、種々のセンサ、検出器や巻上機等のエレベータの各部と電気的に接続され、エレベータ単体の各部の動作を統括的に制御する。各エレベータは、エレベータ単体制御装置60によって各部の駆動が統括的に制御されて乗りかご11が昇降路内を昇降することで、任意の目的階の乗場に移動することができる。
【0018】
カゴ呼び登録装置12は、各乗りカゴ11内にそれぞれ設置され、利用者の行先階を入力可能な装置である。例えば、カゴ呼び登録装置12は、各階床の番号を表示したカゴ呼び登録ボタンを備え、利用者がいずれかのカゴ呼び登録ボタンを押したことを検出することで、利用者の行先階を認識することができる。利用者に押されたカゴ呼び登録ボタンは、点灯する等の表示をして、カゴ呼びが登録されていることを示す。
【0019】
ここで、カゴ呼びとは、乗りカゴ11内の利用者の行先階をいう。乗りカゴ11内の利用者は、カゴ呼び登録装置12のカゴ呼び登録ボタンを押すことで、当該乗りカゴ11に対してカゴ呼びを登録する。
【0020】
ここで、カゴ呼びが登録された乗りカゴ11と、各カゴ呼びの行先階とを含む情報を、カゴ呼び登録情報と呼ぶ。カゴ呼び登録情報は、例えば、各乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60のRAMに記憶される。あるいは、エレベータ群管理制御装置50aのRAMにカゴ呼び登録情報が記憶される構成を採用しても良い。
【0021】
カゴ内報知装置13は、各乗りカゴ11内にそれぞれ設置され、利用者に対して音声や表示によって報知をすることができる装置である。
【0022】
乗場呼び登録装置20は、建物の各階床のエレベータ乗場にそれぞれ設置される。各階床のエレベータ乗場における乗場呼び登録装置20は1つに限らず、例えば、乗場呼び登録装置20は、各乗場ドア22の横に設置されても良い。乗場呼び登録装置20は、エレベータの利用者が上下いずれの方向の階床に移動したいかを、乗場呼びとして登録することができる。例えば、各乗場呼び登録装置20は、上方向行の乗場呼び登録ボタンと、下方向行の乗場呼び登録ボタンを1つずつ備え、利用者がいずれかの乗場呼び登録ボタンを押したことを検出することで、利用者の希望する行先方向を認識することができる。利用者に押された乗場呼び登録ボタンは、点灯する等の表示をして、乗場呼びが登録されていることを示す。
【0023】
ここで、乗場呼びとは、エレベータ乗場の利用者の行先方向のことをいう。エレベータ乗場の利用者は、乗場呼び登録装置20の操作ボタンを押すことで、乗場呼びを登録する。また、利用者によって乗場呼びが登録された階床を、乗場呼び登録階という。
【0024】
また、各乗場呼びの乗場呼び登録階と、行先方向とを含む情報を、乗場呼び登録情報と呼ぶ。乗場呼び登録情報は、例えば、エレベータ群管理制御装置50aのRAMに記憶される。
【0025】
乗場呼びが登録された場合、乗場呼び登録装置20は、エレベータ群管理制御装置50aに乗場呼びが登録されたという情報、および乗場呼びの行先方向を伝える。
【0026】
図1に示す乗場呼び登録装置20は1種類であるが、エレベータシステム1は、それぞれの階床のエレベータ乗場において、車椅子用の乗りカゴ11を呼ぶための不図示の車椅子用乗場呼び登録装置を備えても良い。例えば、車椅子用乗場呼び登録装置は、車椅子用の乗りカゴ11を備えるエレベータの乗場ドア22の横に設置される。エレベータシステム1を構成するすべてのエレベータが車椅子用の乗りカゴ11を備える場合は、車椅子用乗場呼び登録装置は、すべて乗場ドア22の横に設置される。
【0027】
車椅子用の乗りカゴ11とは、主に車椅子利用者等が利用する乗りカゴ11である。車椅子用の乗りカゴ11は、例えば、主に車椅子利用者等が利用するために設けられた補助操作盤、乗りカゴ11内の背面に設けられた鏡面部材、手摺り等の種々の補助設備を備える。
【0028】
乗場報知装置21は、建物の各階床のエレベータ乗場にそれぞれに設置され、利用者に対して音声や表示によって報知をすることができる装置である。
【0029】
乗場ドア22は、エレベータ単体制御装置60によって制御され、乗りカゴ11が到着して戸開する際に連動して戸開する。
【0030】
次に、エレベータ群管理制御装置50aの詳細について説明する。
図2は、実施形態1にかかるエレベータ群管理制御装置50aの機能的構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
エレベータ群管理制御装置50aは、
図2に示すように、受電状態識別部501と、蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部504と、乗場呼び受付部505と、割当て候補号機評価部506と、割当て候補号機選択部507と、割当て号機決定部508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部510とを備えている。
【0032】
受電状態識別部501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部502と、割当て候補号機選択部507と、報知情報出力部510に対して送出する。
【0033】
ここで、受電状態とは、商用電源31から電力が供給されているか否か、供給されている場合はどの程度の電力量であるかをいう。
【0034】
また、受電状態識別部501は、蓄電池制御部502から、蓄電池40が充電中であるか、あるいは放電中であるかについての情報と、蓄電池40の残存蓄電量の情報を取得する。
【0035】
蓄電池制御部502は、蓄電池40を制御する。例えば、蓄電池制御部502は、商用電源31からエレベータシステム1に電力が供給されている場合は、充電を行うように蓄電池40を制御する。蓄電池制御部502は、受電状態識別部501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、エレベータシステム1への電力の供給を開始するように蓄電池40を制御する。
【0036】
蓄電池制御部502は、受電状態識別部501に対して、電源状態を受電状態識別部501に送出する。
【0037】
ここで、電源状態とは、蓄電池40が放電を開始しているか否かと、蓄電池40の残存蓄電量とを示す情報のことをいう。例えば、電源状態は、蓄電池40が放電を開始し、残存蓄電量が90%である、という情報を含む信号とする。
【0038】
エレベータ号機情報設定部503は、エレベータシステム1を構成する各エレベータの乗りカゴ11の定員人数、速度、用途等の設定情報を参照する。エレベータ号機情報設定部503は、エレベータシステム1が稼働を開始する際に、これらの設定情報をエレベータ情報管理部504に送出する。これらの設定情報は、エレベータ群管理制御装置50aのROMに予め記憶されるものとしても良いし、エレベータ単体制御装置60のROMに予め記憶された設定情報をエレベータ群管理制御装置50aが受信するものとしても良い。あるいは、エレベータ群管理制御装置50aまたはエレベータ単体制御装置60に接続された不図示の入力部から、管理者が設定情報を登録することができる構成を採用しても良い。
【0039】
エレベータ情報管理部504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の荷重、位置、速度、進行方向、各乗りカゴ11が割当てられている乗場呼びの登録階と行先方向、といった各乗りカゴ11の情報を取得する。また、エレベータ情報管理部504は、エレベータ号機情報設定部503から各乗りカゴ11の定員人数等の設定情報を取得する。
【0040】
また、エレベータ情報管理部504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11に登録されているカゴ呼びの行先階等の、カゴ呼び登録情報を取得する。
【0041】
エレベータ情報管理部504は、これらの取得した情報を、各乗りカゴ11の運行情報として、割当て候補号機評価部506に送出する。運行情報は、カゴ呼び登録情報を含むものとする。
【0042】
エレベータ情報管理部504は、カゴ呼び登録情報を、割当て候補号機選択部507に送出する。
【0043】
乗場呼び受付部505は、各階床の乗場呼び登録装置20にて乗場呼び登録ボタンが押されたことが認識された場合に、乗場呼び登録階がいずれの階床であるか、および乗場呼びの行先方向は上か下かという情報を含む乗場呼び登録情報を受信する。乗場呼び受付部505は、受信した乗場呼び登録情報を、割当て候補号機評価部506と割当て候補号機選択部507に送出する。
【0044】
割当て候補号機評価部506は、乗場呼び受付部505から取得した乗場呼び登録情報によって新規に登録された乗場呼びを検知した場合に、登録された乗場呼びに対していずれの乗りカゴ11を割り当てるべきかを評価し、評価値として算出する。割当て候補号機評価部506は、候補号機評価部の一例である。
【0045】
ここで、割当て候補号機評価部506が算出する評価値とは、新規に登録された乗場呼びに対して、いずれの乗りカゴ11を割り当てるべきかを示した値である。
【0046】
具体的には、まず、割当て候補号機評価部506は、エレベータ情報管理部504から取得した各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報、位置、速度、荷重に基づいて、登録された乗場呼びに対して、各乗りカゴ11が割当て可能か否かを判定する。例えば、乗りカゴ11の位置が乗場呼び登録階と隣接した階であり、乗りカゴ11の速度が減速されていないのであれば、当該乗りカゴ11は乗場呼び登録階には停止できないので、当該乗りカゴ11は割当て不可である。また、乗りカゴ11の荷重から乗りカゴ11が既に満員であることが判別される場合に、乗場呼び登録階に到着するまでの途中階で降車予定のカゴ呼びもないのであれば、当該乗りカゴ11は割当て不可である。
【0047】
次に、割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ11が乗場呼び登録階へ到着するまでの時間を算出する。そして、割当て候補号機評価部506は、登録された乗場呼びに対して割当てが可能な乗りカゴ11であって、かつ、乗場呼び登録階に到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。例えば、乗りカゴ11が全部で3台ある場合は、割当て候補号機評価部506は、乗場呼び登録階に到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に評価値を“3”、“2”、“1”として各乗りカゴ11に付与するものとする。
【0048】
あるいは、割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ間の到着時間の差を示すことができるように、“100”を初期値として、到着までに所定の時間を要する毎に、評価値を減算して評価するものとしてもよい。この場合、例えば、最も早く到着する乗りカゴ11が“70”、次に到着する乗りカゴ11が“60”、最も遅く到着する乗りカゴ11が“10”というように、各乗りカゴ11間の到着時間の差が考慮された評価値となる。上記の評価値の算出方法は一例であり、割当て候補号機評価部506は、他の算出方法によって評価値を算出しても良い。
【0049】
割当て候補号機評価部506は、算出した各乗りカゴ11の評価値を、割当て号機決定部508に送出する。
【0050】
割当て候補号機選択部507は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転されている時に、乗場呼びが登録された場合に、全ての乗りカゴ11のなかから所定の条件を満たす乗りカゴ11を、乗り場呼びに従って乗場呼びが登録された階床で停止する乗りカゴ11の候補として選択する。割当て候補号機選択部507は、受電状態識別部501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合に処理を行う。割当て候補号機選択部507は、候補号機選択部の一例である。
【0051】
所定の条件を満たす乗りカゴ11とは、乗場呼びが登録された階床が行先階としてカゴ呼びにより登録された乗りカゴ11であり、かつ、当該乗場呼びの行先方向とカゴ呼びの行先階に到着した後の進行方向とが逆方向にならない乗りカゴ11である。
【0052】
具体的には、割当て候補号機選択部507は、乗場呼び受付部505から取得した乗場呼び登録情報によって新規に登録された乗場呼びを検知した場合に、エレベータ情報管理部504からカゴ呼び登録情報を取得する。割当て候補号機選択部507は、取得したカゴ呼び登録情報から、各乗りカゴ11における乗場呼び登録階と同じ階床を行先階とするカゴ呼びの有無を検出する。
【0053】
乗場呼び登録階と同じ階床を行先階とするカゴ呼びが登録された乗りカゴ11が存在した場合、割当て候補号機選択部507は、当該乗りカゴ11が乗場呼び登録階に到着した場合の、進行方向を判定する。例えば、乗場呼びの行先方向が上方向の場合、乗場呼び登録階に到着した乗りカゴ11の進行方向が上方向である場合、乗りカゴ11の進行方向と乗場呼びの行先方向は等しい。乗りカゴ11が乗場呼び登録階に到着した時点で全てのカゴ呼びへの応答が完了し、進行方向が決定されていない状態となる場合でも、乗りカゴ11の進行方向と乗場呼びの行先方向が逆方向にならないので乗りカゴ11は所定の条件を満たす。
【0054】
割当て候補号機選択部507は、いずれの乗りカゴ11を選択したかを、割当て号機決定部508に送出する。
【0055】
割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507から乗りカゴ11の選択結果を取得し、割当て候補号機評価部506から各乗りカゴ11の評価値を取得する。割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11から、割当て候補号機評価部506が付与した評価に基づいて、乗場呼びが登録された階床で停止する乗りカゴ11として、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部508は、割当て決定部の一例である。
【0056】
例えば、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11が複数ある場合、割当て号機決定部508は、それらの乗りカゴ11のうち、割当て候補号機評価部506が付与した評価が最も高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0057】
また、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11が1台で、かつ、割当て候補号機評価部506がその乗りカゴ11が乗場呼びに割当て可能であると判定している場合は、割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0058】
ただし、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11が乗場呼びに割当て不可能である場合や、いずれの乗りカゴ11も所定の条件を満たさず割当て候補号機選択部507に選択されなかった場合は、割当て号機決定部508は、割当て候補号機評価部506が付与した評価が最も高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0059】
割当て号機決定部508は、エレベータシステム1が蓄電池40から供給された電力で稼働する場合に、割当て候補号機選択部507から選択結果を取得する。すなわち、エレベータシステム1が商用電源31から供給された電力で稼働する場合は、割当て号機決定部508は、割当て候補号機評価部506の付与した評価が最も高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0060】
割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11を優先して乗場呼びに割当てることによって、乗りカゴ11が停止する階床数を削減することができる。このため、エレベータシステム1は、乗りカゴ11が階床に停止する前の減速、停止した階床から出発する際の加速、乗場ドア22の開閉等によって消費する電力を削減することができる。
【0061】
ここで、省電力運転とは、エレベータシステム1が蓄電池40から供給された電力で稼働する場合に、省電力を重視してエレベータを運転することをという。
【0062】
割当て号機決定部508は、乗場呼びに対していずれの乗りカゴ11を割当てたかを、エレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0063】
エレベータ制御指令出力部509は、割当て号機決定部508から乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当て結果を取得し、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令を送信する。
【0064】
報知情報出力部510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13の制御を行う。
図2に示すように、報知情報出力部510は、各エレベータ単体制御装置60に制御信号を送出することでカゴ内報知装置13を間接的に制御しているが、報知情報出力部510が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0065】
報知情報出力部510は、受電状態識別部501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対し、エレベータが省電力運転中である旨を報知するように指示する。省電力性を重視して乗りカゴ11の割当てを行うことで利用者の待ち時間が長くなる等の影響が生じる可能性があるため、報知情報出力部510は当該報知を行う。報知内容としては、エレベータが通常の運転とは異なる動作をすること等を含んでも良い。
【0066】
また、報知情報出力部510は、エレベータシステム1が蓄電池40から供給される電力による運転を開始した時点だけでなく、省電力運転を行っている間は定期的に当該報知を行うとしても良い。また報知情報出力部510は、商用電源31からの電力供給が再開し、エレベータシステム1が省電力運転を終了する場合にも、報知を行うとしても良い。
【0067】
なお、
図2に示す各機能部間での情報の伝達は、送出側の機能部が能動的に送出処理を開始しても良いし、取得側の機能部がトリガとなって送出側の機能部から情報を取得しても良い。また、伝達される情報は、各処理の実行中は、例えば、エレベータ群管理制御装置50aまたはエレベータ単体制御装置60のRAMに一時的に保存されるものとする。
【0068】
次に、以上のように構成された実施形態1のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際にエレベータ群管理制御装置50aが行う処理について説明する。
図3は、実施形態1にかかるエレベータ群管理制御装置50aにおける省電力運転の開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0069】
ステップS101で、受電状態識別部501は、受電盤30から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという受電状態を示す信号を受け取る。受電状態識別部501は、電源が遮断されたことを蓄電池制御部502、割当て候補号機選択部507、報知情報出力部510に送出する。
【0070】
ステップS102で、蓄電池制御部502は、エレベータシステム1へ電力を供給するために、蓄電池40を制御し、放電を開始する。
【0071】
ステップS103で、蓄電池制御部502は、受電状態識別部501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として受電状態識別部501に通知する。
【0072】
ステップS104で、割当て候補号機選択部507は、受電状態識別部501から受けた通知によって蓄電池40から供給された電力によるエレベータの運転が開始されることを検知し、省電力運転を開始する。すなわち、このとき以降に乗場呼びが登録された場合は、割当て候補号機選択部507は乗りカゴ11の選択処理を行う。
【0073】
ステップS105で、報知情報出力部510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対し、エレベータが省電力運転中である旨を報知するよう、信号を送出して指示する。
【0074】
上記のステップS103からステップS105の処理の間には前後関係はなく、これらの処理は並列で実行可能である。
【0075】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態1のエレベータシステム1において、乗場呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当て処理について説明する。
図4は、実施形態1にかかるエレベータ群管理制御装置50aにおける乗りカゴ11の割当て処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0076】
ステップS151で、乗場呼び受付部505は、乗場呼びが登録されたことを、各階床の乗場呼び登録装置20から受信する。乗場呼び受付部505は、受信した情報を乗場呼び登録情報として、割当て候補号機評価部506と割当て候補号機選択部507に送出する。
【0077】
ステップS152で、エレベータ情報管理部504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部504は、各乗りカゴ11の運行情報を割当て候補号機評価部506に送出する。
【0078】
ステップS153で、割当て候補号機評価部506は、乗場呼び登録情報と、各乗りカゴ11の運行情報に基づいて、評価値を算出する。割当て候補号機評価部506は、算出した評価値を、割当て号機決定部508に送出する。
【0079】
ステップS154で、エレベータ情報管理部504は、割当て候補号機選択部507に対して、各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報を送出する。
【0080】
ステップS155で、割当て候補号機選択部507は、乗場呼び登録情報とカゴ呼び登録情報に基づいて、所定の条件を満たす乗りカゴ11を選択する。割当て候補号機選択部507は、選択結果を割当て号機決定部508に送出する。
【0081】
ステップS156で、割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507から取得した乗りカゴ11の選択結果と、割当て候補号機評価部506から取得した評価値に基づいて、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部508は、エレベータ制御指令出力部509に、割当て結果を送出する。
【0082】
ステップS157で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令の信号を送信する。
【0083】
ここで、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによる乗りカゴ11の割当て処理について、
図5を用いて具体的に説明する。
図5は、実施形態1にかかるエレベータ群管理制御装置50aが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための図である。
【0084】
図5では、エレベータシステム1は、4階建ての建物に設置されている。エレベータシステム1は、乗りカゴ11aを備えるA号機、乗りカゴ11bを備えるB号機、乗りカゴ11cを備えるC号機、という3機のエレベータによって構成される。
図5に示すエレベータシステム1は、蓄電池40から供給される電力によって稼働している。
【0085】
図5の符号100が示す列は、建物の各階床の階数を示す。
図5の符号101が示す列は、当該階床において登録された乗場呼びを表示する。
図5の符号102が示す列は、昇降路内の各乗りカゴ11a〜11cの位置を示す。
【0086】
図5に示す各乗りカゴ11の位置としては、乗りカゴ11aは、1階に停止中であり、上方向への走行を開始するところである。乗りカゴ11bは、1階と2階の間に位置し、上方向に走行中である。乗りカゴ11cは、3階と2階の間に位置し、下方向に走行中である。
【0087】
図5の符号120は、乗りカゴ11aにおいて、3階を行先階とするカゴ呼びが登録されていることを示す。符号121は、乗りカゴ11bにおいて、4階を行先階とするカゴ呼びが登録されていることを示す。符号122は、乗りカゴ11cにおいて、1階を行先階とするカゴ呼びが登録されていることを示す。
【0088】
ここで、
図5の符号200に示すように、3階において、上方向を行先方向とする乗場呼びが登録されたとする。このとき、乗場呼び受付部505は、
図4のステップS151の処理を行う。そして、エレベータ情報管理部504は、
図4のステップS152の処理を行う。
【0089】
割当て候補号機評価部506は、
図4のステップS153の処理を行う。ここでは、
図5に示す各乗りカゴ11a〜11cは、いずれも積載量の上限には達しておらず、停車可能な速度で運行しており、乗場呼び200に対して割当て可能であるとする。この場合、乗場呼び200の登録階である3階に到着するまでの時間が最も短いのは乗りカゴ11bである。3階に到着するまでの時間が2番目に短いのは乗りカゴ11aである。乗りカゴ11cは、1階を行先階とするカゴ呼び122に応答するために下方向に走行中であるため、乗場呼び200に応答するためには一度1階で停止後に折り返すこととなり、最も遅く到着すると予測される。
【0090】
この場合、
図4のステップS153の処理において、割当て候補号機評価部506は、乗りカゴ11bに最も高い評価値を付与し、その次に高い評価値を乗りカゴ11aに付与し、一番低い評価値を乗りカゴ11cに付与する。割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ11a〜11cに対する評価値を、割当て号機決定部508に対して送出する。
【0091】
エレベータ情報管理部504は、
図4のステップS154の処理を行う。その後、割当て候補号機選択部507は、
図4のステップS155の処理を行う。
図5に示す各乗りカゴ11a〜11cのうち、乗りカゴ11aは、乗場呼び200が登録された3階を行先階とするカゴ呼び120が登録されている。また、乗場呼び200の行先方向は上であり、乗りカゴ11aは3階以外にカゴ呼びが登録されていないため、3階に到着した乗りカゴ11aの進行方向は乗場呼び200の行先方向と逆方向にはならない。
【0092】
この場合、
図4のステップS155の処理において、割当て候補号機選択部507は、乗りカゴ11aを選択する。割当て候補号機選択部507は、乗りカゴ11aを選択した旨を、選択結果として、割当て号機決定部508に対して送出する。
【0093】
通常、エレベータシステム1が商用電源31から供給された電力によって稼働している場合は、割当て号機決定部508は、
図5の符号201に示すように、割当て候補号機評価部506の評価値が最も高い乗りカゴ11bに乗場呼び200を割り当てる。
【0094】
しかしながら、
図5に示すエレベータシステム1は蓄電池40から供給される電力によって稼働している。この場合、
図4のステップS156の処理において、割当て号機決定部508は、
図5の符号202に示すように、割当て候補号機選択部507が選択した乗りカゴ11aを乗場呼び200に割当てる。割当て号機決定部508は、割当て結果をエレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0095】
図4のステップS157の処理において、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11aを制御するエレベータ単体制御装置60へ、3階の乗場呼び200への応答指令の信号を送信する。
【0096】
仮に、通常の割当てのように、乗りカゴ11bを乗場呼び200に割当てた場合、乗りカゴ11bは既存のカゴ呼び121の行先階である4階に加えて、乗場呼び200に応答するために3階にも停止する。すなわち、通常の割当てをした場合は、乗場呼び200によって、停止回数が1回増加することとなる。
【0097】
一方、
図5に示すように乗りカゴ11aを乗場呼び200に割当てた場合、乗りカゴ11aは既存のカゴ呼び120の行先階である3階に行くことで、乗場呼び200にも応答することとなる。この場合、乗場呼び200によって、乗りカゴ11aの停止回数は増加しない。このため、乗りカゴ11aを乗場呼び200に割当てることによって、乗りカゴ11bの加減速、乗場ドア22の開閉等に伴う電力の消費を、通常の割当てをした場合と比較して削減することができる。
【0098】
このように、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、蓄電池40からエレベータシステム1に電力が供給される場合に、割当て候補号機選択部507が、乗場呼びが登録された階床へのカゴ呼びが登録され、かつ、乗場呼びの行先方向とカゴ呼びの行先階に到着した乗りカゴ11の進行方向が逆方向にならない乗りカゴ11を選択する。そして、割当て号機決定部508が、割当て候補号機選択部507によって選択された乗りカゴ11を優先して乗場呼びに割当てることによって、乗りカゴ11の停止回数を削減し、乗りカゴ11が加減速することによる消費電力を削減することができる。このような省電力運転を、停電等によって商用電源31からの電力供給が遮断された場合に行うことにより、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0099】
さらに、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、割当て号機決定部508は、割当て候補号機選択部507の選択結果に加えて、割当て候補号機評価部506の評価も考慮して乗りカゴ11の割当てを行う。割当て候補号機評価部506は、乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。このため、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、省電力運転時であっても、利用者の待ち時間の短縮を考慮した運行をすることができる。
【0100】
また、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、通常時の割当て処理に対して、割当て候補号機選択部507が乗りカゴ11の選択をする処理と、割当て号機決定部508が割当て候補号機選択部507の選択結果を踏まえて割当ての決定をする処理とを追加することで省電力運転を行っている。これらの処理は単純な演算によって実現可能であるため、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aによれば、処理の負荷が通常時の割当て処理と比較して過度に増加することなく、省電力運転を行うことができる。
【0101】
なお、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、割当て候補号機選択部507は乗場呼びの登録階と行先方向、およびカゴ呼び登録情報に基づいて、乗りカゴ11の選択を行っているが、これ以外の情報を判定の基準に加えても良い。例えば、車椅子用の乗りカゴ11に対する乗場呼びがされた場合は、車椅子対応の乗りカゴ11のみを選択の対象とする構成を採用しても良い。
【0102】
(実施形態2)
実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、新規に乗場呼びが発生した場合に、既存のカゴ呼びと新規の乗場呼びの組合せによって、乗りカゴ11の割当てを決定していた。この実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bでは、乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当てが行われた後に、新規にカゴ呼びが登録された場合に、当該新規のカゴ呼びによって乗りカゴ11の割当を変更する。
【0103】
実施形態2のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50bを備える。その他の実施形態2のエレベータシステム1の構成、商用電源31、受電盤30および蓄電池40の構成は
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0104】
エレベータ群管理制御装置50bのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0105】
図6は、実施形態2にかかるエレベータ群管理制御装置50bの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bは、受電状態識別部1501と、蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部1504と、乗場呼び受付部1505と、割当て候補号機評価部506と、割当て候補号機選択部507と、割当て号機決定部1508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部510と、呼び組合せ評価部511を備える。
【0106】
エレベータ群管理制御装置50bの蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、割当て候補号機評価部506と、割当て候補号機選択部507と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部510は、
図2で説明したエレベータ群管理制御装置50aの構成と同様である。
【0107】
受電状態識別部1501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部1501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部502、割当て候補号機選択部507、報知情報出力部510および呼び組合せ評価部511に対して送出する。
【0108】
エレベータ情報管理部1504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の荷重、位置、速度、進行方向、各乗りカゴ11が割当てられている乗場呼びの登録階と行先方向、といった各乗りカゴ11の情報を取得する。また、エレベータ情報管理部1504は、エレベータ号機情報設定部503から各乗りカゴ11の定員人数等の設定情報を取得する。
【0109】
また、エレベータ情報管理部1504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11に登録されているカゴ呼びの行先階等の、カゴ呼び登録情報を取得する。
【0110】
エレベータ情報管理部1504は、これらの取得した情報を、各乗りカゴ11の運行情報として、割当て候補号機評価部506および割当て号機決定部1508に送出する。
【0111】
エレベータ情報管理部1504は、カゴ呼び登録情報を、割当て候補号機選択部507および呼び組合せ評価部511に送出する。
【0112】
乗場呼び受付部1505は、各階床の乗場呼び登録装置20にて乗場呼び登録ボタンが押されたことが認識された場合に、乗場呼び登録階がいずれの階床であるか、および乗場呼びの行先方向は上か下かという情報を含む乗場呼び登録情報を受信する。乗場呼び受付部1505は、受信した乗場呼び登録情報を、割当て候補号機評価部506、割当て候補号機選択部507および呼び組合せ評価部511に送出する。
【0113】
呼び組合せ評価部511は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転されている時に、カゴ呼びが新規に登録される場合に、当該新規カゴ呼びの行先階において、新規カゴ呼びの行先階に到着した乗りカゴ11の進行方向と逆方向にならない既存の乗場呼びが存在するか否かを検出する。呼び組合せ評価部511は、受電状態識別部1501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合に処理を行う。
【0114】
具体的には、呼び組合せ評価部511は、エレベータ情報管理部1504から取得したカゴ呼び登録情報によって、いずれかの乗りカゴ11においてカゴ呼びが新規に登録されたかということ、および当該新規カゴ呼びの行先階を検出する。
【0115】
新規カゴ呼びが登録された場合、呼び組合せ評価部511は、乗場呼び受付部1505から取得した乗場呼び登録情報から、当該新規カゴ呼びの行先階において登録されている既存の乗場呼びの有無を検出する。
【0116】
当該新規カゴ呼びの行先階において登録されている既存の乗場呼びが存在する場合、呼び組合せ評価部511は、当該既存の乗場呼びが、当該新規カゴ呼びが登録された乗りカゴ11が行先階に到着した後の進行方向と、逆方向となるか否かを判定する。呼び組合せ評価部511は、逆方向とならない既存の乗場呼びを選択する。
【0117】
呼び組合せ評価部511は、エレベータ情報管理部1504から取得した乗りカゴ11の運行情報から、選択した既存の乗場呼びが割当てられているのは、いずれの乗りカゴ11であるかを検出する。
【0118】
呼び組合せ評価部511は、いずれの乗りカゴ11で新規にカゴ呼びがされたか、および当該新規カゴ呼びの行先階において登録されている既存の乗場呼びが割当て済みの乗りカゴ11の検出結果を、割当て号機決定部1508に送出する。
【0119】
ここで、既存の乗場呼びが割当て済みの乗りカゴ11を、既割当て乗りカゴ11という。
【0120】
ただし、当該カゴ呼びの行先階で登録され、新規なカゴ呼びが登録された乗りカゴ11の進行方向と行先方向が逆方向にならない乗場呼びが存在しない場合、呼び組合せ評価部511は、該当の乗場呼びがない旨を割当て号機決定部1508に送出する。また、該当の乗場呼びが存在したとしても、既割当て乗りカゴ11が、新規カゴ呼びが登録された乗りカゴ11と同一の乗りカゴ11である場合は、呼び組合せ評価部511は、該当の乗りカゴ11がない旨を割当て号機決定部1508に送出する。あるいは、呼び組合せ評価部511は、該当の乗場呼びおよび乗りカゴ11がない場合は、検出結果を送出しないという構成を採用しても良い。
【0121】
割当て号機決定部1508は、乗場呼びに従って乗場呼びが登録された階床で停止する乗りカゴ11が既に割当てられている場合に、呼び組合せ評価部511の検出結果に応じて、乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当てを変更することができる。割当て号機決定部1508は、割当て決定部の一例である。
【0122】
具体的には、割当て号機決定部1508は、呼び組合せ評価部511から既割当て乗りカゴ11の検出結果を取得する。割当て号機決定部1508は、エレベータ情報管理部1504から取得した各乗りカゴ11の運行情報から、新規カゴ呼びが登録された乗りカゴ11と、既割当て乗りカゴ11におけるカゴ呼びの登録や、速度等を検出する。
【0123】
割当て号機決定部1508は、取得した情報に基づいて、割当てを変更することで消費電力の削減が可能であるか否かを判定する。例えば、既割当て乗りカゴ11が、割当てられた乗場呼びに応答するために既に減速を開始している場合は、割当てを変更しても消費電力が減少しないため、割当ての変更を行わない。また、既割当て乗りカゴ11にも、新規なカゴ呼びと同じ階床を行先階とする既存のカゴ呼びが登録されている場合、割当てを変更しても停止回数が変わらないため、このような場合にも割当ては変更しない。
【0124】
割当てを変更することで消費電力の削減が可能な状態であれば、割当て号機決定部1508は、既割当て乗りカゴ11から既存の割当てを解除し、新規カゴ呼びが登録された乗りカゴ11を、当該カゴ呼びの行先階で登録された既存の乗場呼びに割当てる。
【0125】
ここで、割当ての解除とは、乗場呼び登録階への乗りカゴ11の停止予定を取り消すことである。
【0126】
割当て号機決定部1508は、割当ての変更をする場合は、変更した乗りカゴ11の割当てを、エレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0127】
以上のように構成された実施形態2のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際、エレベータ群管理制御装置50bの受電状態識別部1501は、
図3のステップS101の処理で受電状態識別部501が通知する各機能部に加えて、呼び組合せ評価部511にも、電源が遮断されたことを通知する。その後、エレベータ群管理制御装置50bは、
図3で説明したステップS102からステップS105の処理と同様の処理を行う。
【0128】
また、実施形態2のエレベータシステム1において、登録された乗り場呼びに対して乗りカゴ11を割当てる処理は、
図4で説明した実施形態1の処理と同様である。
【0129】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態2のエレベータシステム1において、新規にカゴ呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当ての変更処理について説明する。
図7は、実施形態2にかかるエレベータ群管理制御装置50bにおける、乗りカゴ11の割当て変更の処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
図7に示すエレベータ群管理制御装置50bは、蓄電池40から供給される電力によって稼働している。
【0130】
ステップS201で、新規のカゴ呼びが登録された場合、エレベータ情報管理部1504は、各エレベータ単体制御装置60から、カゴ呼び登録情報を取得する。また、エレベータ情報管理部1504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部1504は、各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報と運行情報を、呼び組合せ評価部511に送出する。
【0131】
ステップS202で、乗場呼び受付部1505は、既存の乗場呼びの登録情報を呼び組合せ評価部511に送出する。
【0132】
ステップS203で、呼び組合せ評価部511は、エレベータ情報管理部1504から取得した情報と、乗場呼び受付部1505から取得した情報から、新規に登録されたカゴ呼びの行先階において、当該新規なカゴ呼びの行先階に到着した乗りカゴ11の進行方向と逆方向にならない既存の乗場呼びが存在するか否かを検出する。呼び組合せ評価部511は、検出結果を割当て号機決定部1508に送出する。
【0133】
ステップS204で、エレベータ情報管理部1504は、割当て号機決定部1508に対して、各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報を送出する。
【0134】
ステップS205で、割当て号機決定部1508は、呼び組合せ評価部511から取得した検出結果と、エレベータ情報管理部1504から取得したカゴ呼び登録情報から、割当ての変更の要否を判定する。割当て号機決定部1508は、割当ての変更をする場合は、変更した乗りカゴ11の割当てを、エレベータ制御指令出力部509に対して送出する。
【0135】
ステップS206で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てを解除された乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60に対して、乗場呼びへの応答指令を取り消す。また、エレベータ制御指令出力部509は、新たに乗場呼びを割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60に、乗場呼びへの応答指令を送信する。
【0136】
ここで、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bによる乗りカゴ11の割当て変更の処理について、
図8を用いて具体的に説明する。
図8は、実施形態2にかかるエレベータ群管理制御装置50bが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための図である。
図8に示すエレベータシステム1が設置されている建物、および乗りカゴ11a〜11c、の構成は
図5で説明した実施形態1と同様である。また、
図5で説明した実施形態1と同様に、
図8に示す乗りカゴ11bにはカゴ呼び121、乗りカゴ11cにはカゴ呼び122が登録されている。
【0137】
図8においては、符号221に示すように、3階で登録された上方向を行先方向とする乗場呼び220に、乗りカゴ11bが割当てられている。
【0138】
ここで、
図8の符号300に示すように、乗りカゴ11aにおいて、3階を行先階とする新規のカゴ呼びが登録されたとする。このとき、エレベータ情報管理部1504は、
図7のステップS201の処理を行う。そして、乗場呼び受付部1505は、
図7のステップS202の処理を行う。
【0139】
呼び組合せ評価部511は、
図7のステップS203の処理において、新規カゴ呼び300の行先階である3階で登録された既存の乗場呼び220を検出する。乗場呼び220の行先方向は上であり、乗りカゴ11aが新規カゴ呼び300の行先階に到着した際の進行方向と逆方向にはならない。呼び組合せ評価部511は、さらに、乗場呼び220の既割当て乗りカゴ11が乗りカゴ11bであることを、エレベータ情報管理部1504から取得した運行情報から、検出する。呼び組合せ評価部511は、乗りカゴ11aにおいて新規カゴ呼び300が登録されたこと、および新規カゴ呼び300の行先階である3階で登録された既存の乗場呼び220の既割当て乗りカゴ11が乗りカゴ11bであることを、エレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0140】
エレベータ情報管理部1504は、
図7のステップS204の処理において乗りカゴ11a〜11cの運行情報を割当て号機決定部1508に送出する。
【0141】
ここで、
図8においては、乗りカゴ11bは、3階に停止するための減速をまだ開始していないものとする。また、乗りカゴ11bには、3階を行先階とするカゴ呼びは登録されていない。この場合、割当て号機決定部1508は、
図7のステップS205の処理において、乗場呼び220に対する割当てを、乗りカゴ11bから乗りカゴ11aに変更する。すなわち、
図8に示すように、乗場呼び220に対する割当てが、乗りカゴ11bに対する割当て221から、乗りカゴ11aに対する割当て222に変更される。
【0142】
仮に、割当てが変更されない場合は、新規のカゴ呼び300が登録されたことによって乗りカゴ11aの停止階床は3階、乗りカゴ11bの停止階床は3階と4階となり、乗りカゴ11aと乗りカゴ11bの停止回数は合計3回となる。一方、
図8に示すように割当てが変更されることによって、乗りカゴ11aの停止階床は3階、乗りカゴ11bの停止階床は4階となり、乗りカゴ11aと乗りカゴ11bの停止回数は合計2回となる。すなわち、エレベータ群管理制御装置50bは、停止回数の増加を抑制し、乗りカゴ11bの加減速、乗場ドア22の開閉等に伴う電力の消費を、通常の割当てをした場合と比較して削減することができる。
【0143】
割当て号機決定部1508は、割当て結果をエレベータ制御指令出力部509に送出する。
図7のステップS206の処理において、エレベータ制御指令出力部509は、乗りカゴ11bを制御するエレベータ単体制御装置60に対して、3階の乗場呼び220への応答を取り消す。また、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11aを制御するエレベータ単体制御装置60へ、3階の乗場呼び220への応答指令を送信する。
【0144】
このように、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bによれば、蓄電池40からエレベータシステム1に電力が供給される場合に、カゴ呼びが新規に登録されると、呼び組合せ評価部511が、新規のカゴ呼びの行先階において、カゴ呼びの行先階に到着した乗りカゴ11の進行方向と逆方向にならない既存の乗場呼びが存在するか否かを検出し、割当て号機決定部1508は呼び組合せ評価部511の検出結果に応じて、乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当てを変更可能である。そのため、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bによれば、割当てが決定した後でも、新規のカゴ呼びに対応して割当てを変更することによって、乗りカゴ11の停止回数を削減し、乗りカゴ11が加減速することによる消費電力を削減することができる。このような省電力運転を、停電等によって商用電源31からの電力供給が遮断された場合に行うことにより、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0145】
なお、実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bでは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aの構成に呼び組合せ評価部511を追加し、エレベータ情報管理部1504、乗場呼び受付部1505および割当て号機決定部1508に機能を追加しているが、必ずしも当該構成を採用する必要はない。新規なカゴ呼びが登録された際に、乗りカゴ11の停止回数の増加を抑制するように、既存の割当ての変更を可能にすれば良いので、既存の割当ては実施形態1の処理によって行われていることを前提とせず、他の処理によって行われる構成を採用しても良い。
【0146】
実施形態2のエレベータ群管理制御装置50bでは、割当て号機決定部1508は、既割当て乗りカゴ11におけるカゴ呼びの登録や、速度等を考慮して割当ての変更可否を判定していたが、これ以外の情報を判定の基準に加えても良い。例えば、既存の乗場呼びが車椅子用の乗りカゴ11に対する乗場呼びである場合には、割当て号機決定部1508は、新規カゴ呼びが登録されたのが車椅子対応の乗りカゴ11である場合のみ割当てを変更する構成を採用しても良い。
【0147】
(実施形態3)
実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、乗場呼びが登録されている階床へのカゴ呼びが登録されている乗りカゴ11に対して、優先的に当該乗場呼びを割当てることで停止回数の削減を行っていた。この実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cでは、乗場呼びの目的階の方向と乗りカゴ11の進行方向が等しく、かつ、乗場呼びの登録階より先の階床における、カゴ呼び登録数の多い乗りカゴ11に、優先的に割当てを行う。
【0148】
実施形態3のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50cを備える。その他の実施形態3のエレベータシステム1の構成、商用電源31、受電盤30および蓄電池40の構成は
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0149】
エレベータ群管理制御装置50cのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0150】
図9は、実施形態3にかかるエレベータ群管理制御装置50cの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cは、受電状態識別部2501と、蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部2504と、乗場呼び受付部2505と、割当て候補号機評価部506と、割当て号機決定部2508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部510と、呼び組合せ評価部1511を備える。
【0151】
エレベータ群管理制御装置50cの蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、割当て候補号機評価部506と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部510は、
図2で説明したエレベータ群管理制御装置50aの構成と同様である。
【0152】
受電状態識別部2501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部2501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部502、報知情報出力部510および呼び組合せ評価部1511に対して送出する。
【0153】
エレベータ情報管理部2504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の荷重、位置、速度、進行方向、各乗りカゴ11が割当てられている乗場呼びの登録階と行先方向、といった各乗りカゴ11の情報を取得する。また、エレベータ情報管理部2504は、エレベータ号機情報設定部503から各乗りカゴ11の定員人数等の設定情報を取得する。
【0154】
エレベータ情報管理部2504は、これらの取得した情報を、各乗りカゴ11の運行情報として、割当て候補号機評価部506および呼び組合せ評価部1511に送出する。
【0155】
また、エレベータ情報管理部2504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11に登録されているカゴ呼びの行先階等の、カゴ呼び登録情報を取得する。
【0156】
エレベータ情報管理部2504は、カゴ呼び登録情報を、呼び組合せ評価部1511に送出する。
【0157】
乗場呼び受付部2505は、各階床の乗場呼び登録装置20にて乗場呼び登録ボタンが押されたことが認識された場合に、乗場呼び登録階がいずれの階床であるか、および乗場呼びの行先方向は上か下かという情報を含む乗場呼び登録情報を受信する。乗場呼び受付部2505は、受信した乗場呼び登録情報を、割当て候補号機評価部506、および呼び組合せ評価部1511に送出する。
【0158】
呼び組合せ評価部1511は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転されている時に、乗場呼びが登録された場合に、乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数の多い乗りカゴ11から、順に高い評価を付与する。呼び組合せ評価部1511は、受電状態識別部2501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合に処理を行う。
【0159】
具体的には、呼び組合せ評価部1511は、乗場呼び受付部2505から乗場呼び登録情報を取得して、新規に乗場呼びが登録されたことを検出すると、処理を開始する。呼び組合せ評価部1511は、乗場呼び受付部2505から取得した乗場呼び登録情報から、当該乗場呼びの登録階と、当該乗場呼びの行先方向についての情報を検出する。呼び組合せ評価部1511は、エレベータ情報管理部2504から取得したカゴ呼び登録情報から、各乗りカゴ11の、当該乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数を検出する。
【0160】
呼び組合せ評価部1511は、検出した結果に基づいて、乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数の多い乗りカゴ11から、順に高い評価を付与する。呼び組合せ評価部1511が付与する評価値の設定の一例としては、条件に合致するカゴ呼び登録数をそのまま評価値として用いる方法がある。例えば、呼び組合せ評価部1511は、乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼びが1つ登録された乗りカゴ11は“1”、2つ登録された乗りカゴ11は“2”を評価値として付与する。
【0161】
ここで、乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床とは、上方向の乗場呼びが登録された場合であれば、乗場呼び登録階よりも上の階床のことを指す。また、下方向の乗場呼びが登録された場合であれば、乗場呼び登録階よりも下の階床のことを指す。
【0162】
呼び組合せ評価部1511がこのような基準で評価をする理由は、乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数のより多い乗りカゴ11を割当てた方が、新規にカゴ呼びが登録される可能性がより低くなるからである。乗場呼びを登録した利用者が乗車した場合に、当該利用者の行先階が既存のカゴ呼びと同一であれば、新たなカゴ呼びは発生せず、乗りカゴ11の停止回数は増加しない。
【0163】
割当て候補号機評価部506は、
図2で説明した実施形態1と同様に、乗場呼び受付部2505から取得した乗場呼び登録情報によって新規に登録された乗場呼びを検知した場合に、登録された乗場呼びに対していずれの乗りカゴ11を割り当てるべきかを評価し、評価値として算出する。
【0164】
割当て候補号機評価部506は、算出した各乗りカゴ11の評価値を、割当て号機決定部2508に送出する。
【0165】
割当て号機決定部2508は、呼び組合せ評価部1511が付与した評価値と割当て候補号機評価部506が付与した評価値の2種類の評価値に基づいて、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部2508は、割当て決定部の一例である。
【0166】
例えば、割当て号機決定部2508は、呼び組合せ評価部1511が付与した評価が高い乗りカゴ11を優先的に乗場呼びに割当てる。呼び組合せ評価部1511が付与した評価が複数の乗りカゴ11で等しい場合、または全ての乗りカゴ11において、条件に合致するカゴ呼びが存在しない場合には、割当て候補号機評価部506が付与した評価が高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0167】
割当て号機決定部2508による割当ての決定方法はこれに限定されず、2種類の評価値に基づいて割当てを決定すれば良い。例えば、呼び組合せ評価部1511が付与した評価値を割当て候補号機評価部506が付与した評価値に乗算し、その結果の値が大きい乗りカゴ11から優先して割り当てるとしても良い。
【0168】
割当て号機決定部2508はいずれの乗りカゴ11を選択したかを、割当て号機決定部2508に送出する。
【0169】
なお、
図9ではエレベータ群管理制御装置50cは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50cが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0170】
次に、以上のように構成された実施形態3のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際にエレベータ群管理制御装置50cが行う処理について説明する。
図10は、実施形態3にかかるエレベータ群管理制御装置50cにおける省電力運転の開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0171】
ステップS301で、受電状態識別部2501は、受電盤30から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという受電状態を示す信号を受け取る。受電状態識別部2501は、電源が遮断されたことを蓄電池制御部502、呼び組合せ評価部1511、報知情報出力部510に通知する。
【0172】
ステップS302で、蓄電池制御部502は、エレベータシステム1へ電力を供給するために、蓄電池40を制御し、放電を開始する。
【0173】
ステップS303で、蓄電池制御部502は、受電状態識別部2501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として受電状態識別部2501に通知する。
【0174】
ステップS304で、呼び組合せ評価部1511は、受電状態識別部2501から受けた通知によって蓄電池40から供給された電力によるエレベータの運転が開始されることを検知し、省電力運転を開始する。
【0175】
ステップS305で、報知情報出力部510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対し、エレベータが省電力運転中である旨を報知するよう、信号を送出して指示する。
【0176】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態3のエレベータシステム1において、乗場呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当て処理について説明する。
図11は、実施形態3にかかるエレベータ群管理制御装置50cにおける乗りカゴ11の割当て処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0177】
ステップS351で、乗場呼び受付部2505は、乗場呼びが登録されたことを、各階床の乗場呼び登録装置20から受信する。乗場呼び受付部2505は、受信した情報を乗場呼び登録情報として、割当て候補号機評価部506と呼び組合せ評価部1511に送出する。
【0178】
ステップS352で、エレベータ情報管理部2504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部2504は、各乗りカゴ11の運行情報を割当て候補号機評価部506に送出する。
【0179】
ステップS353で、割当て候補号機評価部506は、乗場呼び登録情報と、各乗りカゴ11の運行情報に基づいて、評価値を算出する。割当て候補号機評価部506は、算出した評価値を、割当て号機決定部2508に送出する。
【0180】
ステップS354で、エレベータ情報管理部2504は、呼び組合せ評価部1511に対して、各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報を送出する。
【0181】
ステップS355で、呼び組合せ評価部1511は、乗場呼び受付部2505から取得した乗場呼び登録情報と、エレベータ情報管理部2504から取得したカゴ呼び登録情報に基づいて、評価値を算出する。呼び組合せ評価部1511は、算出した評価値を、割当て号機決定部2508に送出する。
【0182】
ステップS356で、割当て号機決定部2508は、呼び組合せ評価部1511から取得した乗りカゴ11の選択結果と、割当て候補号機評価部506から取得した評価値に基づいて、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部2508は、エレベータ制御指令出力部509に、割当て結果を送出する。
【0183】
ステップS357で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令を送信する。
【0184】
ここで、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによる乗りカゴ11の割当て処理について、
図12を用いて具体的に説明する。
図12は、実施形態3に係るエレベータ群管理制御装置50cが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための図である。
図12に示すエレベータシステム1が設置されている建物、および乗りカゴ11a〜11c、の構成は
図5で説明した実施形態1と同様である。
図12に示すエレベータシステム1は、蓄電池40から供給される電力によって稼働している。
【0185】
図12において、乗りカゴ11aには、3階を行先階とするカゴ呼び130と、4階を行先階とするカゴ呼び131が登録されている。乗りカゴ11bには、3階を行先階とするカゴ呼び132が登録されている。乗りカゴ11cには、
図5で説明した実施形態1と同様に、1階を行先階とするカゴ呼び122が登録されている。
【0186】
ここで、
図12の符号230に示すように、3階において、上方向を行先方向とする乗場呼びが登録されたとする。このとき、乗場呼び受付部2505は、
図11のステップS351の処理を行う。そして、エレベータ情報管理部2504は、
図11のステップS352の処理を行う。
【0187】
次に、割当て候補号機評価部506は、
図11のステップS353の処理を行う。ここでは、
図12に示す各乗りカゴ11a〜11cは、いずれも積載量の上限には達しておらず、停車可能な速度で運行しており、乗場呼び230に対して割当て可能であるとする。この場合、乗場呼び230の登録階である3階に到着するまでの時間が最も短いのは乗りカゴ11bである。3階に到着するまでの時間が2番目に短いのは乗りカゴ11aである。乗りカゴ11cは、1階を行先階とするカゴ呼び122に応答するために下方向に走行中であるため、乗場呼び230に応答するためには一度1階で停止後に折り返すこととなり、最も遅く到着すると予測される。
【0188】
この場合、
図11のステップS353の処理において、割当て候補号機評価部506は、乗りカゴ11bに最も高い評価値を付与し、その次に高い評価値を乗りカゴ11aに付与し、一番低い評価値を乗りカゴ11cに付与する。割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ11a〜11cに対する評価値を、割当て号機決定部2508に対して送出する。
【0189】
エレベータ情報管理部2504は、
図11のステップS354の処理を行う。その後、呼び組合せ評価部1511は、
図11のステップS355の処理を行う。ここで、
図12に示す乗場呼び230の登録階は3階であり、乗場呼び230の行先方向は上方向である。したがって、乗場呼び230の行先方向の先の階床とは4階である。
図12に示す乗りカゴ11aは、4階を行先階とするカゴ呼び131が登録されているので、乗場呼び230の行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数は“1”である。乗りカゴ11bおよび乗りカゴ11cは、4階を行先階とするカゴ呼びは登録されていないので、乗場呼び230の行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数は、それぞれ“0”である。
【0190】
この場合、
図11のステップS355の処理において、呼び組合せ評価部1511は乗りカゴ11aに最も高い評価値を付与する。
【0191】
図11のステップS356の処理において、割当て号機決定部2508は、呼び組合せ評価部1511が付与した評価値と、割当て候補号機評価部506が付与した評価値に基づき、乗場呼び230に対して乗りカゴ11a〜11cのいずれを割当てるか決定する。この場合、呼び組合せ評価部1511が乗りカゴ11aに最も高い評価を付けているため、
図12の符号232に示すように、割当て号機決定部2508は、乗りカゴ11aを乗場呼び230に割当てる。割当て号機決定部2508は、割当て結果をエレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0192】
図11のステップS357の処理において、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11aを制御するエレベータ単体制御装置60へ、3階の乗場呼び230への応答指令を送信する。
【0193】
仮に、割当て号機決定部2508が通常時の割当てを行った場合、符号231に示すように、乗場呼び230には乗りカゴ11bが割当てられる。乗場呼び230の行先方向は上向きのため、乗場呼び230を登録した利用者は、3階より上の階で乗りカゴ11bから降車する。
図12の建物の場合、乗場呼び230を登録した利用者は4階で降車するため、乗りカゴ11bは新たに4階への停止が必要となる。
【0194】
一方、エレベータ群管理制御装置50cが省電力運転をしている場合は、前述のように、割当て号機決定部2508は、乗場呼び230には乗りカゴ11aを割当てる。乗りカゴ11aには4階を行先階とするカゴ呼び131が既に登録されているため、乗場呼び230が登録されても、乗りカゴ11aの停止回数は増加しない。すなわち、割当て号機決定部2508が、呼び組合せ評価部1511が高い評価を付与した乗りカゴ11aを選択することで、乗りカゴ11a〜11c全体の停止回数の増加を抑制することができる。
【0195】
このように、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、呼び組合せ評価部1511が乗場呼びの登録階から乗場呼びの行先方向の先の階床を行先階とするカゴ呼び登録数の多い乗りカゴ11から、順に高い評価を付与し、割当て号機決定部2508が、呼び組合せ評価部1511が付与した評価が高い乗りカゴ11を優先的に乗場呼びに割当てることによって、乗場呼びを登録した利用者が、新たなカゴ呼びを登録する可能性を低減させる。このため、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、乗りカゴ11の停止回数の増加を抑制できる。
【0196】
したがって、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、乗りカゴ11の停止回数を削減し、乗りカゴ11が加減速することによる消費電力を削減することができる。このような省電力運転を、停電等によって商用電源31からの電力供給が遮断された場合に行うことにより、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0197】
さらに、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、割当て号機決定部2508は、呼び組合せ評価部1511の選択結果に加えて、割当て候補号機評価部506の評価も考慮して乗りカゴ11の割当てを行う。割当て候補号機評価部506は、乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。このため、実施形態3のエレベータ群管理制御装置50cによれば、省電力運転時であっても、乗りカゴ11が乗場呼びに応答するまでの時間が長くなることを抑制することができる。
【0198】
(実施形態4)
実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当て処理によって停止回数の削減を行っていた。この実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dでは、各乗りカゴ11の運転範囲を制限し、同じ階へのエレベータ利用者が同じ乗りカゴ11を利用するように誘導することにより、乗りカゴ11の停止回数の削減を行う。
【0199】
実施形態4のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50dを備える。その他の実施形態4のエレベータシステム1の構成、商用電源31、受電盤30および蓄電池40の構成は
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0200】
エレベータ群管理制御装置50dのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0201】
図13は、実施形態4にかかるエレベータ群管理制御装置50dの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図13に示すように、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dは、受電状態識別部3501と、蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部3504と、乗場呼び受付部3505と、割当て候補号機評価部1506と、割当て号機決定部3508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部1510と、運転パターン選択部512を備える。
【0202】
エレベータ群管理制御装置50dの蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ制御指令出力部509は、
図2で説明したエレベータ群管理制御装置50aの構成と同様である。
【0203】
受電状態識別部3501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部3501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部502、報知情報出力部1510および運転パターン選択部512に対して送出する。
【0204】
エレベータ情報管理部3504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の荷重、位置、速度、進行方向、各乗りカゴ11が割当てられている乗場呼びの登録階と行先方向、といった各乗りカゴ11の情報を取得する。また、エレベータ情報管理部3504は、エレベータ号機情報設定部503から各乗りカゴ11の定員人数等の設定情報を取得する。
【0205】
エレベータ情報管理部3504は、これらの取得した情報を、各乗りカゴ11の運行情報として、割当て候補号機評価部1506および運転パターン選択部512に送出する。
【0206】
乗場呼び受付部3505は、各階床の乗場呼び登録装置20にて乗場呼び登録ボタンが押されたことが認識された場合に、乗場呼び登録階がいずれの階床であるか、および乗場呼びの行先方向は上か下かという情報を含む乗場呼び登録情報を受信する。乗場呼び受付部3505は、受信した乗場呼び登録情報を、割当て候補号機評価部1506に送出する。
【0207】
運転パターン選択部512は、エレベータ情報管理部3504から取得した各乗りカゴ11の運行情報と、受電状態識別部3501から取得した受電状態、時間帯等によって、複数の運転パターンから一の運転パターンを選択する。
【0208】
ここで、運転パターンとは、各乗りカゴ11がそれぞれ何階から何階までを運行するかという運行範囲と、そのうちの何階で乗りカゴ11が停止して利用者の乗降を可能とするかという停止可能階床を規定する設定情報である。
【0209】
運転パターンは、エレベータ群管理制御装置50dのROMに予め記憶されるものとしても良いし、エレベータ群管理制御装置50dに接続された不図示の外部記憶装置に記憶されるとしても良い。あるいは、エレベータ群管理制御装置50dに接続された不図示の入力部から、管理者が運転パターンを登録することができる構成を採用しても良い。
【0210】
運転パターン選択部512は、通常時は各乗りカゴ11の運行情報や時間帯に合わせて、効率的に乗りカゴ11を運行させるための運転パターンを選択する。しかし、受電状態識別部3501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという情報を取得した場合は、省電力運転用のパターンに切り替える。
【0211】
ここで、省電力運転用の運転パターンとは、乗りカゴ11の停止可能な階床を通常時よりも制限する運転パターンのことをいう。
【0212】
すなわち、運転パターン選択部512は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転される場合に、エレベータが運行する階床の範囲を定義した複数の運転パターンのうち、乗りカゴ11の停止可能な階床を通常時よりも制限する運転パターンを選択する。運転パターン選択部512は、運転パターンの選択結果を割当て候補号機評価部1506と報知情報出力部1510に送出する。
【0213】
割当て候補号機評価部1506は、乗場呼び受付部3505から取得した乗場呼び登録情報によって乗場呼びが新規に登録されたことを検知する。割当て候補号機評価部1506は、乗場呼びが登録されると、運転パターン選択部512によって選択された運転パターンに基づいた、乗り場呼びが登録された階床に割り当てが可能な乗りカゴ11のうち、到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。
【0214】
割当て候補号機評価部1506が付与する評価値は、
図2で説明した割当て候補号機評価部506と同様に、エレベータ情報管理部3504から取得した各乗りカゴ11の情報から導き出される各乗りカゴ11の到着時間を元に算出される。
【0215】
割当て候補号機評価部1506は、算出した各乗りカゴ11の評価値を、割当て号機決定部3508に送出する。割当て候補号機評価部1506は、候補号機評価部の一例である。
【0216】
割当て号機決定部3508は、割当て候補号機評価部1506から各乗りカゴ11の評価値を取得し、割当て候補号機評価部1506が付与した評価が高い乗りカゴ11から優先的に乗場呼びに割当てる。割当て号機決定部3508は、割当て決定部の一例である。割当て号機決定部3508は、エレベータ制御指令出力部509に割当て結果を送出する。
【0217】
報知情報出力部1510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13の制御を行う。報知情報出力部1510は、各エレベータ単体制御装置60に制御信号を送出することでカゴ内報知装置13を間接的に制御しているが、報知情報出力部1510が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0218】
報知情報出力部1510は、受電状態識別部3501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得し、運転パターン選択部512から運転パターンを取得する。省電力運転の開始に伴い運転パターンが切り替えられたことにより、各乗りカゴ11の停止可能な階床が通常時よりも制限される場合には、報知情報出力部1510はその旨を乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13を介して利用者に報知する。
【0219】
すなわち、報知情報出力部1510は、運転パターン選択部512によって選択された運転パターンに基づいて、乗場報知装置21とカゴ内報知装置13に信号を出力して、省電力運転中であること、および乗りカゴ11が停止可能な階床を報知させる。
【0220】
なお、
図13ではエレベータ群管理制御装置50dは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50dが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0221】
次に、以上のように構成された実施形態4のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際にエレベータ群管理制御装置50dが行う処理について説明する。
図14は、実施形態4にかかるエレベータ群管理制御装置50dにおける省電力運転の開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0222】
ステップS401で、受電状態識別部3501は、受電盤30から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという受電状態を示す信号を受け取る。受電状態識別部3501は、電源が遮断されたことを蓄電池制御部502、運転パターン選択部512、報知情報出力部1510に通知する。
【0223】
ステップS402で、蓄電池制御部502は、エレベータシステム1へ電力を供給するために、蓄電池40を制御し、放電を開始する。
【0224】
ステップS403で、蓄電池制御部502は、受電状態識別部3501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として受電状態識別部3501に通知する。
【0225】
ステップS404で、エレベータ情報管理部3504は、各乗りカゴ11の運行情報を運転パターン選択部512に送出する。
【0226】
ステップS405で、運転パターン選択部512は、受電状態識別部3501から取得した電源供給が遮断されたという情報に基づき、省電力運転用の運転パターンを選択する。運転パターン選択部512は、選択結果を割当て候補号機評価部1506および報知情報出力部1510に送出する。
【0227】
ステップS406で、割当て候補号機評価部1506は、各乗りカゴ11の評価を算出する前提となる、運転パターンを、運転パターン選択部512から取得する。運転パターン選択部512は省電力運転用の運転パターンを選択しているため、これ以降に乗場呼びが登録されると、割当て候補号機評価部1506は、省電力運転用の運転パターンでエレベータ運行されることを前提として、各乗りカゴ11の到着時間を算出することとなる。
【0228】
ステップS407で、報知情報出力部1510は、省電力運転中であること、および
各乗りカゴ11の停止可能な階床を、乗場報知装置21とカゴ内報知装置13に対して出力し、報知させる。
【0229】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態4のエレベータシステム1において、新規に乗場呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当て処理について説明する。
図15は、実施形態4にかかるエレベータ群管理制御装置50dにおける、乗りカゴ11の割当て処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0230】
ステップS451で、乗場呼び受付部3505は、乗場呼びが登録されたことを、各階床の乗場呼び登録装置20から受信する。乗場呼び受付部3505は、受信した情報を乗場呼び登録情報として、割当て候補号機評価部1506に送出する。
【0231】
ステップS452で、エレベータ情報管理部3504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部3504は、各乗りカゴ11の運行情報を割当て候補号機評価部1506に送出する。
【0232】
ステップS453で、割当て候補号機評価部1506は、省電力運転パターンにおいて、乗場呼び登録情報と、各乗りカゴ11の運行情報に基づいて、評価値を算出する。割当て候補号機評価部1506は、算出した評価値を、割当て号機決定部3508に送出する。
【0233】
ステップS454で、割当て号機決定部3508は、割当て候補号機評価部1506から取得した評価値に基づいて、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部3508は、エレベータ制御指令出力部509に、割当て結果を送出する。
【0234】
ステップS455で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令を送信する。
【0235】
ここで、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによる省電力用の運転パターンが適用された場合の、乗りカゴ11の割当て処理について、
図16を用いて具体的に説明する。
図16は、実施形態4にかかるエレベータ群管理制御装置50dが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための図である。
図16に示すエレベータシステム1が設置されている建物、および乗りカゴ11a〜11c、の構成は
図5で説明した実施形態1と同様である。
【0236】
図16の左側は、通常時の乗りカゴ11a〜11cの運行範囲を、右側は、省電力用の運転パターンが適用された場合の乗りカゴ11a〜11cの運行範囲を示している。
図16の左側の符号103a〜103cが示す列は、通常時に各階床の乗場において、乗りカゴ11a〜11cに対して上下方向の乗場呼びがそれぞれ割当て可能か否かを表している。上向きの三角形は上方向の乗場呼びが割当て可能であることを示し、下向きの三角形は下方向の乗場呼びが割当て可能であることを示している。乗場呼びを割当てることができない階床では、斜線が引かれている。
【0237】
図16の左側の符号104a〜104cが示す列は、通常時に各乗りカゴ11a〜11cにおいて、カゴ呼びの行先階として登録可能な階床を表している。丸が記載されている階床を行先階として、各乗りカゴ11a〜11cはカゴ呼びを登録可能である。
【0238】
一方、
図16の右側の符号105a〜105cが示す列は、省電力用の運転パターンが適用された場合に、各階床の乗場において、乗りカゴ11a〜11cに対して上下方向の乗場呼びがそれぞれ割当て可能か否かを表している。
【0239】
図16の右側の符号106a〜106cが示す列は、省電力用の運転パターンが適用された場合に、各乗りカゴ11a〜11cにおいて、カゴ呼びの行先階として登録可能な階床を表している。丸が記載されている階床を行先階として、各乗りカゴ11a〜11cはカゴ呼びを登録可能である。
【0240】
通常時は、
図16の左側に示すように、すべての乗りカゴ11a〜11cに対して、すべての階において乗場呼びが割当て可能である。ただし、最下階である1階では下方向の乗場呼びを登録することができず、最上階である4階では上方向の乗場呼びを登録することができないので、これらが各乗りカゴ11a〜11cに割当てられることは無い。また、
図16の左側に示すように、通常時は、すべての乗りカゴ11a〜11cにおいて、すべての階床を目的階としてカゴ呼びが登録可能である。
【0241】
それに対して、省電力用の運転パターンが適用された場合は、
図16の右側に示すように、各乗りカゴ11a〜11cが停止可能な階床は制限され、各乗りカゴ11a〜11cが運行範囲の階床を分担して利用者へのサービスを提供する。
【0242】
省電力用の運転パターンの一例として、
図16では、乗りカゴ11aは、1階と2階間を運行する。乗りカゴ11aに対して、1階では上向きの乗場呼びしか割当てられず、2階では下向きの乗場呼びしか割当てられない。乗りカゴ11a内では、1階または2階を行先階とするカゴ呼びのみが登録可能である。
【0243】
乗りカゴ11bは、1階と3階間を運行する。乗りカゴ11bに対して、1階では上向きの乗場呼びしか割当てられず、3階では下向きの乗場呼びしか割当てられない。乗りカゴ11b内では、1階または3階を行先階とするカゴ呼びのみが登録可能である。
【0244】
乗りカゴ11cは、1階と4階間を運行する。乗りカゴ11cに対して、1階では上向きの乗場呼びしか割当てられず、4階では下向きの乗場呼びしか割当てられない。乗りカゴ11c内では、1階または4階を行先階とするカゴ呼びのみが登録可能である。
【0245】
このように、各乗りカゴ11a〜11cの運行範囲を制限することで、1階の乗場から2階へ移動する利用者は乗りカゴ11a、3階へ移動する利用者は乗りカゴ11b、4階へ移動する利用者は乗りカゴ11cを使用することとなる。各階床への利用者が特定の乗りカゴ11にまとめられ、途中の階床への停止も制限されるため、各乗りカゴ11a〜11cの停止回数を削減することができる。
【0246】
なお、
図16で示す省電力用の運行パターンは一例であり、通常時よりも各乗りカゴ11a〜11cの停止回数が削減できればよい。例えば、
図16の右側の例ではすべての乗りカゴ11a〜11cは1階に停止するとしているが、これに限らず、乗りカゴ11cの運行範囲を2階から4階間にしても良い。
図16の右側の例では利用者が4階から2階に移動する場合は、乗りカゴ11cに乗って1階に移動した後、乗りカゴ11aに乗って2階に向かうか、階段等を徒歩で移動するが、乗りカゴ11cの運行範囲を2階から4階とすれば、利用者は4階から2階へ直接移動することができる。あるいは、乗りカゴ11cの運行範囲は1階から4階間のまま、途中階である2階でも停止可能としてもよい。このように省電力用の運行パターンは、エレベータシステム1が設置される建物の階数や、時間帯、利用者の人数によって、変更しても良い。
【0247】
また、
図16の左側の例では、通常時はすべての乗りカゴ11a〜11cが全階床を運行範囲としているが、これに限らず、エレベータシステム1が設置される建物の階数や、時間帯、利用者の人数によって、通常時の運行パターンにおける各乗りカゴ11a〜11cがそれぞれ異なる運行範囲となる構成を採用しても良い。
【0248】
各階床で乗場呼びの行先を制限する方法としては、
図15のステップS453、ステップS454で説明したように、各乗りカゴ11a〜11cへの割当てによる制限方法に限らない。例えば、各階床の各乗場ドア22の付近にそれぞれ設置された乗場呼び登録装置20において、当該階床に停止可能な乗りカゴ11に対応する乗場呼び登録装置20の、特定の方向の乗場呼び登録ボタンのみが有効となる構成を採用しても良い。この構成を採用した場合、
図16の105a〜105cは、各乗りカゴ11a〜11cに対応する乗場呼び登録装置20において、有効な乗場呼び登録ボタンを示す。
【0249】
このように、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転される場合に、運転パターン選択部512が、エレベータが運行する階床の範囲を定義した複数の運転パターンのうち、乗りカゴ11の停止可能な階床を制限する運転パターンを選択する。そして、乗場呼びが登録されると、割当て候補号機評価部1506が、運転パターン選択部512によって選択された運転パターンに基づいて、乗りカゴ11が乗場呼び登録階に到着するまでの時間を算出し、割当てが可能な乗りカゴ11であって、かつ、到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。割当て号機決定部3508は、割当て候補号機評価部1506が付与した評価が高い乗りカゴ11から優先的に乗場呼びに割当てる。このため、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによれば、同一の階床へ移動する利用者が特定の乗りカゴ11にまとめられるため、各乗りカゴ11の停止回数を削減することができる。
【0250】
すなわち、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによれば、乗りカゴ11の停止回数を削減し、乗りカゴ11が加減速することによる消費電力を削減することができる。このような省電力運転を、停電等によって商用電源31からの電力供給が遮断された場合に行うことにより、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0251】
さらに、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dによれば、エレベータシステム1を設置する建物の階数や利用者数等に応じて運転パターンを設定するため、省電力運転中であっても利用者の利便性を考慮してエレベータシステム1を運行することができる。
【0252】
(実施形態5)
実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当て処理によって停止回数の削減を行っていた。この実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eでは、省電力運転を行う際に、稼働可能な乗りカゴ11の数を制限することで、エレベータシステム1全体の消費電力を低減させる。
【0253】
実施形態5のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50eを備える。その他の実施形態5のエレベータシステム1の構成、商用電源31、受電盤30および蓄電池40の構成は
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0254】
エレベータ群管理制御装置50eのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0255】
図17は、実施形態5にかかるエレベータ群管理制御装置50eの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図17に示すように、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eは、受電状態識別部4501と、蓄電池制御部1502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部4504と、乗場呼び受付部4505と、割当て候補号機評価部506と、割当て号機決定部4508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部2510と、稼動号機決定部513を備える。
【0256】
エレベータ群管理制御装置50eのエレベータ号機情報設定部503と、割当て候補号機評価部506と、エレベータ制御指令出力部509、
図2で説明したエレベータ群管理制御装置50aの構成と同様である。
【0257】
受電状態識別部4501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部4501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部1502、報知情報出力部2510および稼動号機決定部513に対して送出する。
【0258】
蓄電池制御部1502は、蓄電池40を制御する。例えば、蓄電池制御部1502は、商用電源31からエレベータシステム1に電力が供給されている場合は、充電を行うように蓄電池40を制御する。蓄電池制御部1502は、受電状態識別部4501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、エレベータシステム1への電力の供給を開始するように蓄電池40を制御する。
【0259】
蓄電池制御部1502は、受電状態識別部4501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として、受電状態識別部4501に通知する。また、蓄電池制御部1502は、蓄電池40の残存蓄電量の情報を稼動号機決定部513に送出する。
【0260】
エレベータ情報管理部4504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の荷重、位置、速度、進行方向、各乗りカゴ11が割当てられている乗場呼びの登録階と行先方向、といった各乗りカゴ11の情報を取得する。また、エレベータ情報管理部4504は、エレベータ号機情報設定部503から各乗りカゴ11の定員人数等の設定情報を取得する。
【0261】
また、エレベータ情報管理部4504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11に登録されているカゴ呼びの行先階等の、カゴ呼び登録情報を取得する。
【0262】
エレベータ情報管理部4504は、これらの取得した情報を、各乗りカゴ11の運行情報として、割当て候補号機評価部506に送出する。
【0263】
乗場呼び受付部4505は、各階床の乗場呼び登録装置20にて乗場呼び登録ボタンが押されたことが認識された場合に、乗場呼び登録階がいずれの階床であるか、および乗場呼びの行先方向は上か下かという情報を含む乗場呼び登録情報を受信する。乗場呼び受付部4505は、受信した乗場呼び登録情報を、割当て候補号機評価部506に送出する。
【0264】
稼動号機決定部513は、エレベータシステム1を構成する複数のエレベータのうち、稼動可能なエレベータを、稼動対象のエレベータとして決定する。稼動対象のエレベータに選ばれなかったエレベータは、運行を停止する。稼動号機決定部513は、エレベータシステム1が商用電源31から供給される電力で稼働する場合は、すべてのエレベータを稼働可能とする。
【0265】
また、稼動号機決定部513は、受電状態識別部4501から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、蓄電池制御部1502から、蓄電池40の残存蓄電量の情報を取得する。稼動号機決定部513は、蓄電池40の残存蓄電量に従って、稼働させる乗りカゴ11の数を通常時と比較して減少させるよう、稼働可能なエレベータを決定する。稼動対象として選択されなかったエレベータは運行を停止するので、電力の消費を抑制することができる。
【0266】
稼動号機決定部513は、例えば、蓄電池40の残存蓄電量が50%以下となった場合はエレベータシステム1を構成する複数のエレベータのうち、半数を稼働可能とする。残存蓄電量によって何台のエレベータを稼働させるかについては、エレベータ群管理制御装置50eのROMに予め記憶されていてもよいし、不図示の入力部によってエレベータ群管理制御装置50eに登録されても良い。
【0267】
稼動号機決定部513は、稼働させる乗りカゴ11の決定結果を、割当て号機決定部4508および報知情報出力部2510に送出する。
【0268】
また、稼動号機決定部513は蓄電池制御部1502から継続的に残存蓄電量の情報を取得し、蓄電池40の残存蓄電量の減少にしたがって、稼働させる乗りカゴ11の数を順次、減少させるものとしても良い。
【0269】
割当て号機決定部4508は、稼動号機決定部513が稼働させると決定した乗りカゴ11のうち、割当て候補号機評価部506の評価値が最も高い乗りカゴ11を、乗場呼びに割当てる。割当て号機決定部4508は、割当て決定部の一例である。
【0270】
割当て号機決定部4508は、乗場呼びに対していずれの乗りカゴ11を割当てたかを、エレベータ制御指令出力部509に送出する。
【0271】
報知情報出力部2510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13の制御を行う。
図17に示すように、報知情報出力部2510は、各エレベータ単体制御装置60に制御信号を送出することでカゴ内報知装置13を間接的に制御しているが、報知情報出力部2510が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0272】
報知情報出力部2510は、受電状態識別部4501から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合、エレベータシステム1が省電力運転中であることを報知するよう、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13を制御する。さらに、報知情報出力部2510は、稼動号機決定部513から取得した稼働させる乗りカゴ11の決定結果に基づき、稼動対象の乗りカゴ11を報知するよう、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13を制御しても良い。
【0273】
なお、
図17ではエレベータ群管理制御装置50eは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50eが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0274】
次に、以上のように構成された実施形態5のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際にエレベータ群管理制御装置50eが行う処理について説明する。
図18は、実施形態5にかかるエレベータ群管理制御装置50eにおける省電力運転の開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0275】
ステップS501で、受電状態識別部4501は、受電盤30から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという受電状態を示す信号を受け取る。受電状態識別部4501は、電源が遮断されたことを蓄電池制御部1502、稼動号機決定部513、報知情報出力部2510に通知する。
【0276】
ステップS502で、蓄電池制御部1502は、エレベータシステム1へ電力を供給するために、蓄電池40を制御し、放電を開始する。
【0277】
ステップS503で、蓄電池制御部1502は、受電状態識別部4501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として受電状態識別部4501に通知する。また、蓄電池制御部1502は、稼動号機決定部513に対して、蓄電池40の残存蓄電量の情報を送出する。
【0278】
ステップS504で、蓄電池40の残存蓄電量に応じて、稼動号機決定部513は、稼働する乗りカゴ11を決定する。稼動号機決定部513は、決定結果を割当て号機決定部4508および報知情報出力部2510に送出する。
【0279】
ステップS505で、割当て号機決定部4508、稼動号機決定部513が決定した稼動対象の乗りカゴ11を認識する。このとき以降に乗場呼びが登録された場合、割当て号機決定部4508は、稼動対象の乗りカゴ11のみを、割当て可能な乗りカゴ11として処理を行う。
【0280】
ステップS506で、報知情報出力部2510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対し、エレベータが省電力運転中である旨、および稼動対象の乗りカゴ11を報知するよう、信号を送出して指示する。
【0281】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態5のエレベータシステム1において、乗場呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当て処理について説明する。
図19は、実施形態5にかかるエレベータ群管理制御装置50eにおける乗りカゴ11の割当て処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0282】
ステップS551で、乗場呼び受付部4505は、乗場呼びが登録されたことを、各階床の乗場呼び登録装置20から受信する。乗場呼び受付部4505は、受信した情報を乗場呼び登録情報として、割当て候補号機評価部506に送出する。
【0283】
ステップS552で、エレベータ情報管理部4504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部4504は、各乗りカゴ11の運行情報を割当て候補号機評価部506に送出する。
【0284】
ステップS553で、割当て候補号機評価部506は、乗場呼び登録情報と、各乗りカゴ11の運行情報に基づいて、評価値を算出する。割当て候補号機評価部506は、算出した評価値を、割当て号機決定部4508に送出する。
【0285】
ステップS554で、割当て号機決定部4508は、稼動対象の乗りカゴ11のうち、割当て候補号機評価部506の評価値が最も高い、乗りカゴ11に乗場呼びに割当てる。割当て号機決定部4508は、エレベータ制御指令出力部509に、割当て結果を送出する。
【0286】
ステップS555で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令を送信する。
【0287】
ここで、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eによる乗りカゴ11の割当て処理について、
図20を用いて具体的に説明する。
図20は、実施形態5にかかるエレベータ群管理制御装置50eが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための図である。
図20に示すエレベータシステム1が設置されている建物、および乗りカゴ11a〜11c、の構成は
図5で説明した実施形態1と同様である。
【0288】
図20では、エレベータシステム1に電力を供給する蓄電池40を記載している。
図20に示すエレベータシステム1は蓄電池40から供給される電力によって運行している。
【0289】
商用電源31からの電力供給が遮断された場合、
図18のステップS501、S502、S503の処理が行われた後、
図18のステップS504の処理で稼動号機決定部513は稼働する乗りカゴ11を決定し、結果を送出する。ここで、
図20に示す例では、稼動号機決定部513は乗りカゴ11a〜11cのうち、乗りカゴ11aと乗りカゴ11bを稼動号機として決定している。稼動号機ではない乗りカゴ11cは、運行を停止する。
【0290】
図18のステップS505の処理において、割当て号機決定部4508は乗りカゴ11aと乗りカゴ11bを稼動対象として認識し、以降乗場呼びが登録される場合は、乗りカゴ11aと乗りカゴ11bのいずれかに割当てる。
【0291】
図18のステップS506の処理において、報知情報出力部2510はエレベータシステム1が省電力中であること、および現在運行されているのは乗りカゴ11aと乗りカゴ11bであることを利用者に対して報知するように信号を送出する。
【0292】
図20では、乗りカゴ11aは1階に停止中である。乗りカゴ11bは、3階と2階の間に位置し、下方向に走行中である。乗りカゴ11bには、1階を行先階とするカゴ呼び150が登録されている。
【0293】
図20の例では、
図19のステップS551の処理において、乗場呼び受付部4505は3階で上方向の乗場呼び250が登録されたことを受信し、乗場呼び登録状況を送出する。
【0294】
図19のステップS552の処理において、エレベータ情報管理部4504が各乗りカゴ11a〜11cの運行情報を割当て候補号機評価部506に送出する。
【0295】
図19のステップS553の処理において、割当て候補号機評価部506は取得した情報に基づいて各乗りカゴ11a〜11cの評価を算出する。
図20の例では、乗りカゴ11aと乗りカゴ11cはいずれも1階に停止しており、乗場呼び250の登録階である3階に到着するまでの時間は同じである。乗りカゴ11bは3階から1階に向けて走行中であるため、3階に到着するまでの時間は3台のなかで最も遅い。この場合、割当て候補号機評価部506は乗りカゴ11aと乗りカゴ11cに同一の評価値を付与し、乗りカゴ11bには他の2台よりも低い評価値を付与する。割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ11a〜11cの評価値を割当て号機決定部4508に送出する。
【0296】
図19のステップS554の処理において、符号251に示すように、割当て号機決定部4508は、稼動対象の乗りカゴ11aと乗りカゴ11bのうち、割当て候補号機評価部506がより高い評価を付与した乗りカゴ11aを乗場呼び250に割当てる。
【0297】
図19のステップS555の処理において、エレベータ制御指令出力部509は乗りカゴ11aを制御するエレベータ単体制御装置60に乗場呼び250に応答するよう信号を送信する。
【0298】
このように、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eによれば、稼動号機決定部513が、蓄電池40の残存蓄電量に応じて、稼動号機決定部513が稼働可能な乗りカゴ11を制限するため、乗りカゴ11を稼動させるための消費電力を削減することができる。すなわち、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0299】
(実施形態5の変形例1)
実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eでは、すべての乗りカゴ11は単一の蓄電池40から電力を供給されていた。この実施形態5の変形例1として、乗りカゴ11a〜11c毎に個別の蓄電池41a〜41cが備えられたエレベータシステム1において、各蓄電池41a〜41cの残量によって、各乗りカゴ11a〜11cを稼働させる優先順位を決定するエレベータ群管理制御装置50fがある。
【0300】
実施形態5の変形例1のエレベータシステム1は複数の蓄電池41a〜41cを備える。また、実施形態5の変形例1のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50fを備える。実施形態5の変形例1のエレベータシステム1のその他の構成、商用電源31、受電盤30の構成は、
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0301】
エレベータ群管理制御装置50fのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0302】
図21は、実施形態5の変形例1にかかるエレベータ群管理制御装置50fの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図21に示すように、実施形態5の変形例1のエレベータ群管理制御装置50fは、受電状態識別部4501と、蓄電池制御部2502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部4504と、乗場呼び受付部4505と、割当て候補号機評価部506と、割当て号機決定部4508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部2510と、稼動号機決定部1513を備える。
【0303】
エレベータ群管理制御装置50fの受電状態識別部4501と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部4504と、乗場呼び受付部4505と、割当て候補号機評価部506と、割当て号機決定部4508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部2510の構成は、
図17で説明した実施形態5と同様である。
【0304】
図21に示すように、蓄電池制御部2502は、複数の蓄電池41a〜41cと接続している。蓄電池制御部2502は、蓄電池41a〜41cを制御する。例えば、蓄電池制御部2502は、商用電源31からエレベータシステム1に電力が供給されている場合は、充電を行うように蓄電池41a〜41cを制御する。蓄電池制御部2502は、受電状態識別部4501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、エレベータシステム1への電力の供給を開始するように蓄電池41a〜41cを制御する。
【0305】
ここで、実施形態5の変形例1のエレベータシステム1は、不図示の乗りカゴ11a〜11cを備える。蓄電池41aは乗りカゴ11aに、蓄電池41bは乗りカゴ11bに、蓄電池41cは乗りカゴ11cに、それぞれ個別に電力を供給する。
【0306】
蓄電池制御部2502は、受電状態識別部4501に対して、蓄電池41a〜41cが放電を開始したこと、および蓄電池41の残存蓄電量の情報を電源状態として、受電状態識別部4501に通知する。また、蓄電池制御部2502は、蓄電池41a〜41cのそれぞれの残存蓄電量の情報を稼動号機決定部1513に送出する。
【0307】
なお、
図21において蓄電池41a〜41cの数、および乗りカゴ11a〜11cの数をそれぞれ3台としたのは一例であり、実施形態5の変形例1が適用されるエレベータシステム1の構成はこれに限らない。また、蓄電池41a〜41cと乗りカゴ11a〜11cの数は必ずしも同数である必要はない。
【0308】
稼動号機決定部1513は、蓄電池制御部2502から蓄電池41a〜41cの残存蓄電量を取得する。稼動号機決定部1513は、蓄電池41a〜41cの残存蓄電量に従って、稼働させる乗りカゴ11の数を通常時と比較して減少させるよう、稼働可能なエレベータを決定する。
【0309】
稼動号機決定部1513は、蓄電池41a〜41cの残存蓄電量がそれぞれ異なる場合には、残存蓄電量が多い蓄電池41に対応する乗りカゴ11を優先して稼働させるように、稼動対象のエレベータを決定する。
【0310】
また、稼動号機決定部1513は蓄電池制御部2502から継続的に残存蓄電量の情報を取得し、蓄電池41a〜41cの残存蓄電量の変化にしたがって、稼働させる乗りカゴ11a〜11cを変更する。また、残存蓄電量の減少にしたがって、稼働させる乗りカゴ11a〜11cの数についても、順次減少させるものとしても良い。
【0311】
稼動号機決定部1513は、稼働させる乗りカゴ11の決定結果を、割当て号機決定部4508および報知情報出力部2510に送出する。
【0312】
なお、
図21ではエレベータ群管理制御装置50fは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50fが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0313】
このように、実施形態5の変形例1のエレベータ群管理制御装置50fによれば、稼動号機決定部1513が、蓄電池41a〜41cの残存蓄電量に応じて、稼働可能な乗りカゴ11を制限するため、乗りカゴ11を稼動させるための消費電力を削減することができる。
【0314】
さらに、実施形態5の変形例1のエレベータ群管理制御装置50fによれば、稼動号機決定部1513が、残存蓄電量が多い蓄電池41に対応する乗りカゴ11を優先して稼働させるように、稼動対象の乗りカゴ11を決定するため、電力の消費が特定の蓄電池41に過度に偏ることを防ぐことができる。すなわち、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50fによれば、蓄電池41から供給された電力を効率的に使用することによってエレベータシステム1を全体としてより長い時間稼働させることができる。
【0315】
(実施形態5の変形例2)
実施形態5のエレベータ群管理制御装置50eでは、稼働させる乗りカゴ11の数は削減しているが、各乗りカゴ11が停止する階床数の削減はされていなかった。一方、実施形態4のエレベータ群管理制御装置50dでは、省電力用の運転パターンによって各乗りカゴ11が停止可能な階床を制限していたが、稼働させる乗りカゴ11の数は削減していなかった。この実施形態5の変形例2のエレベータ群管理制御装置50gでは、稼働させる乗りカゴ11の数を削減した上で、実施形態4のように省電力用の運転パターンを適用して各乗りカゴ11の運停止可能な階床を制限する。
【0316】
実施形態5の変形例2のエレベータシステム1は、実施形態5の変形例1と同様に、複数の蓄電池41a〜41cを備える。また、実施形態5の変形例2のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50gを備える。実施形態5の変形例2のエレベータシステム1のその他の構成、商用電源31、受電盤30の構成は、
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0317】
蓄電池41a〜41cはそれぞれ、
図21で説明した実施形態5の変形例1と同様に、エレベータシステム1を構成する複数のエレベータのうちの1台のエレベータに個別に電力を供給する。
【0318】
なお、
図21と同様に、蓄電池41a〜41cの数、および乗りカゴ11a〜11cの数は一例であり、これに限らない。また、蓄電池41a〜41cと乗りカゴ11a〜11cの数は必ずしも同数である必要はない。
【0319】
エレベータ群管理制御装置50gのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0320】
図22は、実施形態5の変形例2にかかるエレベータ群管理制御装置50gの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図22に示すように、実施形態5の変形例2のエレベータ群管理制御装置50gは、受電状態識別部4501と、蓄電池制御部2502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部3504と、乗場呼び受付部3505と、割当て候補号機評価部2506と、割当て号機決定部5508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部3510と、運転パターン選択部1512と、稼動号機決定部2513を備える。
【0321】
エレベータ群管理制御装置50gのエレベータ号機情報設定部503、およびエレベータ制御指令出力部509は、
図2で説明した実施形態1と同様である。また、エレベータ群管理制御装置50gのエレベータ情報管理部3504、乗場呼び受付部3505は、
図13で説明した実施形態4と同様である。エレベータ群管理制御装置50gの受電状態識別部4501は、
図17で説明した実施形態5と同様である。エレベータ群管理制御装置50gの蓄電池制御部2502は、
図21で説明した実施形態5の変形例1と同様である。
【0322】
稼動号機決定部2513は、
図21で説明した稼動号機決定部1513と同様に、各蓄電池41a〜41cの残存蓄電量に基づいて、稼働可能なエレベータの乗りカゴ11a〜11cを決定する。
【0323】
稼動号機決定部2513は、稼働させる乗りカゴ11a〜11cの決定結果を、運転パターン選択部1512に送出する。
【0324】
図22に示す運転パターン選択部1512は、
図13で説明した実施形態4の運転パターン選択部512とは異なり、稼動号機決定部2513から稼動対象の乗りカゴ11a〜11cの決定結果を取得する。
【0325】
運転パターン選択部1512は、蓄電池41から供給された電力によってエレベータシステム1が稼動する場合に、乗りカゴ11a〜11cの停止可能な階床を制限する運転パターンを選択する。この際、運転パターン選択部1512は、乗りカゴ11a〜11cのいずれが稼動対象であるかによって、選択する運転パターンを変更する。
【0326】
すなわち、運転パターン選択部1512は、蓄電池41から供給された電力によってエレベータが運転される場合には、稼動号機決定部2513が決定した稼働可能なエレベータで構成される運転パターンであって、乗りカゴ11の停止可能な階床を通常時よりも制限する運転パターンを選択する。
【0327】
例えば、稼動号機決定部2513によって乗りカゴ11aと乗りカゴ11bが稼動対象とされた場合、運転パターン選択部1512は乗りカゴ11aと乗りカゴ11bの2台で各階床の運行を分担するよう、運転パターンを選択する。運転パターン選択部1512は、選択した運転パターンを、割当て候補号機評価部2506および報知情報出力部3510に送出する。
【0328】
割当て候補号機評価部2506は、
図13で説明した割当て候補号機評価部1506と同様に、乗場呼びが登録されると、運転パターン選択部1512によって選択された運転パターンに基づいた、乗り場呼びが登録された階床に割り当てが可能な乗りカゴ11のうち、到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。割当て候補号機評価部2506が付与する評価値は、
図2で説明した割当て候補号機評価部506と同様に、エレベータ情報管理部3504から取得した各乗りカゴ11の情報から導き出される各乗りカゴ11の到着時間を元に算出される。
【0329】
図22に示す実施形態5の変形例2においては、運転パターン選択部1512によって選択された運転パターンは、稼動号機決定部2513で稼動対象として決定された乗りカゴ11のみで構成される。このため、割当て候補号機評価部2506が評価を付与する対象は、稼動対象の乗りカゴ11のみとなる。割当て候補号機評価部2506は、算出した各乗りカゴ11の評価値を、割当て号機決定部5508に送出する。割当て候補号機評価部2506は、候補号機評価部の一例である。
【0330】
割当て号機決定部5508は、割当て候補号機評価部2506から各乗りカゴ11の評価値を取得し、割当て候補号機評価部2506が付与した評価が高い乗りカゴ11から優先的に乗場呼びに割当てる。前述したように、
図22に示す実施形態5の変形例2においては、割当て候補号機評価部2506が評価を付与する対象は、稼動対象の乗りカゴ11のみである。
【0331】
すなわち、割当て号機決定部5508は、稼動号機決定部2513が決定した稼働可能なエレベータの乗りカゴ11のうち、割当て候補号機評価部2506が付与した評価が高い乗りカゴ11から優先的に乗場呼びに割当てることとなる。割当て号機決定部5508は、割当て決定部の一例である。
【0332】
報知情報出力部3510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13の制御を行う。報知情報出力部3510は、各エレベータ単体制御装置60に制御信号を送出することでカゴ内報知装置13を間接的に制御しているが、報知情報出力部3510が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0333】
報知情報出力部3510は、運転パターン選択部1512によって選択された運転パターンに基づいて、乗場報知装置21とカゴ内報知装置13に信号を出力して、省電力運転中であること、稼動対象の乗りカゴ11がどの号機であるか、および稼動対象の乗りカゴ11の停止可能な階床を報知させる。
【0334】
なお、
図22ではエレベータ群管理制御装置50gは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50gが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0335】
このように、実施形態5の変形例2のエレベータ群管理制御装置50gによれば、稼動号機決定部2513が、残存蓄電量が多い蓄電池41に対応する乗りカゴ11を優先して稼働させるように、稼動対象の乗りカゴ11を決定した上で、運転パターン選択部1512が稼動対象の号機に応じた運転パターンを選択する。すなわち、稼働させる乗りカゴ11の数を削減した上で、各乗りカゴ11の停止可能な階床も制限するため、消費電力のさらなる削減をすることができる。したがって、実施形態5のエレベータ群管理制御装置50gによれば、蓄電池41a〜41cから供給される電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0336】
また、稼動号機決定部2513が、残存蓄電量が多い蓄電池41に対応する乗りカゴ11を優先して稼働させるように、稼動対象の乗りカゴ11を決定するため、電力の消費が特定の蓄電池41に過度に偏ることを防ぐことができる。
【0337】
なお、前述の稼動対象の乗りカゴ11の選定基準は一例であり、他の基準を用いて稼働させる乗りカゴ11を決定しても良い。例えば、乗りカゴ11の一部が車椅子用の乗りカゴ11である場合はその旨を考慮しても良い。具体的には、車椅子用の乗りカゴ11が複数である場合には、そのうちのすべてが稼動対象の乗りカゴ11に含まれることがないようにしてもよい。これにより、いくつかの車椅子用の乗りカゴ11の蓄電池41を温存することができるため、車椅子用の乗りカゴ11が電力不足により稼働不能になる事態を防ぐことができる。
【0338】
また、割当て号機評価部2506は、乗場呼び受付部3505から取得した乗場呼びが車椅子用乗場呼び登録装置のものによるものでない場合は、車椅子用の乗りカゴ11が割当てられにくくなるように、評価値を設定しても良い。
【0339】
(実施形態6)
実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aでは、乗場呼びが登録されている階床へのカゴ呼びが登録されている乗りカゴ11に対して、優先的に当該乗場呼びを割当てることで停止回数の削減を行っていた。この実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hでは、新規に乗場呼びが登録された場合に、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行き先とするカゴ呼びが登録されている数が多い乗りカゴ11に、優先的に当該乗場呼びを割当てる。
【0340】
さらに、この実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hでは、割当てられた乗りカゴ11の乗場呼び登録階の上下1階を行き先とするカゴ呼びを解除することで停止回数を削減する。この場合、解除されたカゴ呼びを登録していた利用者は、乗場呼び登録階で乗りカゴ11を降り、1階床分は階段を徒歩にて移動する。
【0341】
ここで、カゴ呼びの解除とは、カゴ呼びを取り消すことである。カゴ呼びが解除された場合、乗りカゴ11は、乗場呼び等の他の要因がない限り、解除されたカゴ呼びの行先階に停止しない。
【0342】
実施形態6のエレベータシステム1は、エレベータ群管理制御装置50aの代わりに、エレベータ群管理制御装置50hを備える。その他の実施形態6のエレベータシステム1の構成、商用電源31、受電盤30および蓄電池40の構成は
図1で説明した実施形態1の全体構成と同様である。
【0343】
エレベータ群管理制御装置50hのハードウェア構成は、
図1で説明したエレベータ群管理制御装置50aのハードウェア構成と同様である。
【0344】
図23は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hの機能的構成の一例を示すブロック図である。
図23に示すように、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hは、受電状態識別部5501と、蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、エレベータ情報管理部2504と、乗場呼び受付部2505と、割当て候補号機評価部506と、割当て号機決定部6508と、エレベータ制御指令出力部509と、報知情報出力部4510と、呼び組合せ評価部2511と、カゴ呼び制御部514を備える。
【0345】
エレベータ群管理制御装置50hの蓄電池制御部502と、エレベータ号機情報設定部503と、割当て候補号機評価部506と、エレベータ制御指令出力部509は、
図2で説明したエレベータ群管理制御装置50aの構成と同様である。また、エレベータ群管理制御装置50hのエレベータ情報管理部2504、乗場呼び受付部2505の機能は、
図9で説明したエレベータ群管理制御装置50cの構成と同様である。
【0346】
受電状態識別部5501は、受電盤30から、受電状態を示す信号を取得する。受電状態識別部5501は、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった場合には、その情報を蓄電池制御部502、報知情報出力部4510および呼び組合せ評価部2511に対して送出する。
【0347】
呼び組合せ評価部2511は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転されている時に、乗場呼びが登録された場合に、乗場呼びの行先方向と進行方向が逆方向にならない乗りカゴ11を検出し、検出された乗りカゴ11のうち、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階として登録されたカゴ呼びの数が多い乗りカゴ11に、高い評価を付与する。呼び組合せ評価部2511は、受電状態識別部5501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合に処理を行う。
【0348】
具体的には、呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び受付部2505から乗場呼び登録情報を取得して、新規に乗場呼びが登録されたことを検出すると、処理を開始する。呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び受付部2505から取得した乗場呼び登録情報から、当該乗場呼びの登録階と、当該乗場呼びの行先方向についての情報を検出する。
【0349】
そして、呼び組合せ評価部2511は、エレベータ情報管理部2504から取得したカゴ呼び登録情報から、各乗りカゴ11に対して登録された、当該乗場呼び登録階より1階上の階床または1階下の階床を行先階とするカゴ呼びを検出する。
【0350】
次に、呼び組合せ評価部2511は、上記のカゴ呼びの数が多い乗りカゴ11の評価が高くなるように、評価値を付与する。評価値の算出の方法としては、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階として登録されたカゴ呼びの数を、そのまま評価値として使用しても良い。例えば、呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び登録階より1階床上の階床を行先階とするカゴ呼びと1階床下の階床を行先階とするカゴ呼びの2つが登録された乗りカゴ11には“2”という評価値を付与する。
【0351】
割当て号機決定部6508は、呼び組合せ評価部2511と割当て候補号機評価部506が付与した評価に基づいて乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。割当て号機決定部6508は、割当て決定部の一例である。
【0352】
具体的には、割当て号機決定部6508は、呼び組合せ評価部2511が付与した評価値が最も高い乗りカゴ11が1台であった場合は当該乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。また、呼び組合せ評価部2511が付与した評価値が最も高い乗りカゴ11が複数存在する場合は、割当て号機決定部6508は、割当て候補号機評価部506が付与した評価値が最も高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0353】
割当て号機決定部6508による割当ての決定方法はこれに限定されず、2種類の評価値に基づいて割当てを決定すれば良い。例えば、呼び組合せ評価部2511が付与した評価値を割当て候補号機評価部506が付与した評価値に乗算し、その結果の値が大きい乗りカゴ11から優先して割り当てるとしても良い。
【0354】
いずれの乗りカゴ11も上記の条件を満たさず、呼び組合せ評価部2511に検出されない場合は、割当て号機決定部6508は、割当て候補号機評価部506が付与した評価値に基づいて、最も評価値が高い乗りカゴ11を乗場呼びに割当てる。
【0355】
割当て号機決定部6508は、エレベータシステム1が蓄電池40から供給された電力で稼働する場合に、呼び組合せ評価部2511から選択結果を取得する。すなわち、エレベータシステム1が商用電源31から供給された電力で稼働する場合は、割当て号機決定部6508は、割当て候補号機評価部506の付与した評価に基づいて乗場呼びに対する乗りカゴ11の割当を行う。
【0356】
割当て号機決定部6508は、乗場呼びに対していずれの乗りカゴ11を割当てたかを、エレベータ制御指令出力部509およびカゴ呼び制御部514に送出する。
【0357】
カゴ呼び制御部514は、乗りカゴ11に対して登録されたカゴ呼びの変更と、それに伴うカゴ呼び登録装置12に登録されていたカゴ呼び登録ボタンの表示情報の設定の変更を行う。カゴ呼び制御部514は、受電状態識別部5501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合に処理を行う。
【0358】
具体的には、カゴ呼び制御部514は、割当て号機決定部6508によって乗場呼びに割当てられた乗りカゴ11における、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階とするカゴ呼びを解除する。解除方法の一例として、カゴ呼び制御部514が、エレベータ単体制御装置60に信号を送信し、エレベータ単体制御装置60のRAMに記憶されたカゴ呼びの登録情報から、該当のカゴ呼びの記録を削除する方法を採用しても良い。
【0359】
また、カゴ呼び制御部514は、カゴ呼び登録装置12から解除されたカゴ呼びの行先階に該当するカゴ呼び登録ボタンを消灯し、新しく割当てられた乗場呼びの登録階と同じ階のカゴ呼び登録ボタンを点灯させるよう、カゴ呼び登録装置12に登録されていた表示情報を変更する。カゴ呼び制御部514が乗場呼びに対応する階についてもカゴ呼び登録ボタンを点灯させる理由は、割当てられた乗場呼びの登録階と同じ階のカゴ呼び登録ボタンを点灯させることで、その階床に停止することを乗りカゴ11内の利用者に明示するためである。
【0360】
カゴ呼び制御部514は、カゴ呼びの変更結果を、エレベータ単体制御装置60に送出する。また、カゴ呼び制御部514は、カゴ呼び登録装置12の表示設定の情報を、報知情報出力部4510に送出する。
【0361】
報知情報出力部4510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13の制御に加えて、カゴ呼び登録装置12のカゴ呼び登録ボタンの点灯および消灯の制御を行う。
【0362】
報知情報出力部4510は、受電状態識別部5501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得した場合は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対して、エレベータが省電力運転中である旨を報知するように指示する。
【0363】
また、報知情報出力部4510は、カゴ呼び制御部514が設定した情報に基づいて、乗りカゴ11内のカゴ呼び登録装置12に信号を出力してカゴ呼び登録ボタンの点灯および消灯を変更させる。カゴ呼び登録装置12のカゴ呼び登録ボタンの点灯および消灯は、行先階表示の一例である。
【0364】
さらに、報知情報出力部4510は、カゴ内報知装置13に信号を出力して、停止階床の変更を乗りカゴ11内の利用者に対して報知させる。
【0365】
図23に示すように、報知情報出力部4510は、各エレベータ単体制御装置60に制御信号を送信することで各装置に間接的に指示を伝えて制御しているが、報知情報出力部4510が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0366】
なお、カゴ呼び制御部514は、報知情報出力部4510に設定情報を送出することでカゴ呼び登録装置12を間接的に制御しているが、カゴ呼び制御部514が直接的に制御する構成を採用しても良い。
【0367】
この実施形態6では報知情報出力部4510がカゴ呼び登録装置12のカゴ呼び登録ボタンの点灯および消灯の制御を行うとしたが、カゴ呼び制御部514が当該制御を行う構成を採用しても良い。また、報知情報出力部4510は、乗場報知装置21に対して信号を送信し、停止階床の変更を乗りカゴ11内の利用者だけでなくエレベータ乗場にいる利用者にも報知する構成を採用しても良い。
【0368】
なお、
図23ではエレベータ群管理制御装置50hは、実施形態1のエレベータ群管理制御装置50aが備える割当て候補号機選択部507を備えないものとして図示したが、エレベータ群管理制御装置50hが割当て候補号機選択部507をさらに備える構成を採用しても良い。
【0369】
次に、以上のように構成された実施形態6のエレベータシステム1において、省電力運転が開始する際にエレベータ群管理制御装置50hが行う処理について説明する。
図24は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hにおける省電力運転の開始処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0370】
ステップS601で、受電状態識別部5501は、受電盤30から停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなったという受電状態を示す信号を受け取る。受電状態識別部5501は、電源が遮断されたことを蓄電池制御部502、呼び組合せ評価部2511、報知情報出力部4510に通知する。
【0371】
ステップS602で、蓄電池制御部502は、エレベータシステム1へ電力を供給するために、蓄電池40を制御し、放電を開始する。
【0372】
ステップS603で、蓄電池制御部502は、受電状態識別部5501に対して、蓄電池40が放電を開始したこと、および蓄電池40の残存蓄電量の情報を電源状態として、受電状態識別部5501に通知する。
【0373】
ステップS604で、呼び組合せ評価部2511は、受電状態識別部5501から受けた通知によって蓄電池40から供給された電力によるエレベータの運転が開始されることを検知し、省電力運転を開始する。すなわち、このとき以降に乗場呼びが登録された場合は、呼び組合せ評価部2511は乗場呼びとカゴ呼びの検出と評価の処理を行う。
【0374】
ステップS605で、報知情報出力部4510は、乗場報知装置21およびカゴ内報知装置13に対し、エレベータが省電力運転中である旨を報知するよう、信号を送出して指示する。
【0375】
上記のステップS603からステップS605の処理の間には前後関係はなく、これらの処理は並列で実行可能である。
【0376】
次に、以上の処理により省電力運転が開始された実施形態6のエレベータシステム1において、乗場呼びが登録された場合の乗りカゴ11の割当て処理について説明する。
図25は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hにおける乗りカゴ11の割当て処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0377】
ステップS651で、乗場呼び受付部2505は、乗場呼びが登録されたことを、各階床の乗場呼び登録装置20から受信する。乗場呼び受付部2505は、受信した情報を乗場呼び登録情報として、割当て候補号機評価部506に送出する。
【0378】
ステップS652で、エレベータ情報管理部2504は、各エレベータ単体制御装置60から、各乗りカゴ11の運行情報を取得する。エレベータ情報管理部2504は、各乗りカゴ11の運行情報を割当て候補号機評価部506に送出する。
【0379】
ステップS653で、割当て候補号機評価部506は、乗場呼び登録情報と、各乗りカゴ11の運行情報に基づいて、評価値を算出する。割当て候補号機評価部506は、算出した評価値を、割当て号機決定部6508に送出する。
【0380】
ステップS654で、エレベータ情報管理部2504は、呼び組合せ評価部2511に対して、各乗りカゴ11のカゴ呼び登録情報を送出する。
【0381】
ステップS655で、呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び登録情報とカゴ呼び登録情報に基づいて、乗場呼びの行先方向と進行方向が逆方向にならない乗りカゴ11を検出する。呼び組合せ評価部2511は、検出された乗りカゴ11に対して、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階とするカゴ呼びが登録された数を、各乗りカゴ11に評価値として付与する。呼び組合せ評価部2511は、付与した各乗りカゴ11の評価値を割当て号機決定部6508に送出する。
【0382】
ステップS656で、割当て号機決定部6508は、呼び組合せ評価部2511から取得した乗りカゴ11の選択結果と、割当て候補号機評価部506から取得した評価値に基づいて、乗場呼びに割当てる乗りカゴ11を決定する。割当て号機決定部6508は、エレベータ制御指令出力部509およびカゴ呼び制御部514に、割当て結果を送出する。
【0383】
ステップS657で、エレベータ制御指令出力部509は、割当てられた乗りカゴ11を制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び登録階への応答指令を送信する。
【0384】
ステップS658で、カゴ呼び制御部514は、乗場呼びに割当てられた乗りカゴ11における、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階とするカゴ呼びを解除する。また、カゴ呼び制御部514は、カゴ呼び登録装置12に登録されていた表示設定の情報を変更する。カゴ呼び制御部514は、変更したカゴ呼び登録装置12の表示設定の情報を、報知情報出力部4510に送出する。
【0385】
ステップS659で、報知情報出力部4510は、乗りカゴ11内のカゴ呼び登録装置12に信号を出力して行先階表示を変更させると共に、カゴ内報知装置13に信号を出力して、停止階床の変更を利用者に対して報知させる。
【0386】
ここで、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによる乗りカゴ11の割当て処理について、
図26を用いて具体的に説明する。
図26は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための第1の図である。
図26に示すエレベータシステム1が設置されている建物、および乗りカゴ11a〜11c、の構成は
図5で説明した実施形態1と同様である。
図26に示すエレベータシステム1は、蓄電池40から供給される電力によって稼働している。
【0387】
図26に示すように、乗りカゴ11aには2階を行先階とするカゴ呼び160と、4階を行先階とするカゴ呼び161が登録されている。また、
図5と同様に、乗りカゴ11bには4階を行先階とするカゴ呼び121が登録され、乗りカゴ11cには1階を行先階とするカゴ呼び122が登録されている。
【0388】
ここで、3階において、上方向を行先方向とする乗場呼び260が登録されたとする。乗場呼び受付部2505は乗場呼び260の登録を受けて、
図25のステップS651の処理を行う。次に、エレベータ情報管理部2504は
図25のステップS652の処理を行う。
【0389】
割当て候補号機評価部506は
図25のステップS653の処理を行う。ここでは、
図26に示す各乗りカゴ11a〜11cは、いずれも積載量の上限には達しておらず、停車可能な速度で運行しており、乗場呼び260に対して割当て可能であるとする。この場合、乗場呼び260の登録階である3階に到着するまでの時間が最も短いのは乗りカゴ11bで、3階に到着するまでの時間が2番目に短いのは乗りカゴ11aである。乗りカゴ11cは、1階を行先階とするカゴ呼び122に応答するために下方向に走行中であるため、乗場呼び260に応答するためには一度1階で停止後に折り返すこととなり、最も遅く到着すると予測される。
【0390】
この場合、
図25のステップS653の処理において、割当て候補号機評価部506は、乗りカゴ11bに最も高い評価値として“3”を付与し、その次に高い評価値として“2”を乗りカゴ11aに付与し、一番低い評価値“1”を乗りカゴ11cに付与する。割当て候補号機評価部506は、各乗りカゴ11a〜11cに対する評価値を、割当て号機決定部6508に対して送出する。
【0391】
エレベータ情報管理部2504は、
図25のステップS654の処理を行う。その後、呼び組合せ評価部2511は、
図25のステップS655の処理を行う。
図26に示す各乗りカゴ11a〜11cのうち、呼び組合せ評価部2511は、進行方向が乗場呼び260の行先方向と逆方向にはならないのは乗りカゴ11aと乗りカゴ11bを検出する。
【0392】
呼び組合せ評価部2511は、検出した乗りカゴ11a〜11bのうち、乗場呼び登録階である3階より1階床上の4階を行先階とするカゴ呼び161と、1階床下の2階を行先階とするカゴ呼び160とが登録された乗りカゴ11aには評価値として“2”を付与する。また、呼び組合せ評価部2511は、4階を行先階とするカゴ呼び121がある乗りカゴ11bには、評価値として“1”を付与する。
【0393】
呼び組合せ評価部2511は、進行方向が乗場呼び260の行先方向と逆方向になる乗りカゴ11cには、評価値として“0”を付与する。呼び組合せ評価部2511は、算出した各乗りカゴ11a〜11cの評価値を割当て号機決定部6508に送出する。
【0394】
図25のステップS656の処理で、割当て号機決定部6508は、符号262に示すように、呼び組合せ評価部2511に付与された評価値が最も高い“2”である乗りカゴ11aを乗場呼び260に割当てる。割当て号機決定部6508は、割当て結果をエレベータ制御指令出力部509およびカゴ呼び制御部514に送出する。
【0395】
図25のステップS657の処理で、エレベータ制御指令出力部509は、乗りカゴ11aを制御するエレベータ単体制御装置60へ、乗場呼び260の登録階である3階への応答指令を送信する。
【0396】
図25のステップS658で、カゴ呼び制御部514は、乗りカゴ11aにおける、2階と4階を行先階とするカゴ呼びを解除する。また、カゴ呼び制御部514は、2階と4階のカゴ呼び登録ボタンを消灯し、3階のカゴ呼び登録ボタンを点灯するよう、カゴ呼び登録装置12に登録されていた表示設定の情報を変更する。カゴ呼び制御部514は、変更後のカゴ呼び登録装置12の表示設定の情報を、報知情報出力部4510に送出する。
【0397】
図25のステップS659で、報知情報出力部4510は、乗りカゴ11a内のカゴ呼び登録装置12に信号を出力して2階と4階のカゴ呼び登録ボタンを消灯し、3階のカゴ呼び登録ボタンを点灯する。また、報知情報出力部4510は、カゴ内報知装置13に信号を出力して、乗りカゴ11a内の利用者に対し、消費電力の削減のために停止する階床を変更した旨を報知させる。報知情報出力部4510は、乗りカゴ11aは3階に停止するので2階と4階へ移動する利用者は1階床分を徒歩にて移動するように促す報知をカゴ内報知装置13にさせてもよい。
【0398】
仮に、エレベータシステム1が商用電源31から供給された電力で稼働している通常時であったならば、割当て号機決定部6508は、符号261に示すように割当て候補号機評価部506に付与された評価値が最も高い乗りカゴ11bを、乗場呼び260に割当てる。また、通常時であれば、カゴ呼び制御部514は、乗場呼び登録階の上下1階のカゴ呼びの解除の処理を行わない。したがって、通常時の処理では乗場呼び260が乗りカゴ11bに割当てられ、乗りカゴ11bの停止回数は3階と4階の2回となる。乗りカゴ11aの停止回数はカゴ呼び160、161に応答するための2回、乗りカゴ11cの停止回数はカゴ呼び122に応答するための1回なので、通常時の処理では乗りカゴ11a〜11cの停止回数の合計は6回となる。
【0399】
一方、
図26の符号260に示すように、エレベータ群管理制御装置50hの省電力運転時は、乗場呼び260は乗りカゴ11aに割当てられる。カゴ呼び160、161は解除されるため、乗りカゴ11aは3階にしか停止せず、停止回数は1回となる。乗りカゴ11bの停止回数はカゴ呼び121に応答するための1回、乗りカゴ11cの停止回数はカゴ呼び122に応答するための1回なので、省電力運転時の処理では乗りカゴ11a〜11cの停止回数の合計は3回となる。
【0400】
すなわち、エレベータ群管理制御装置50hが省電力運転を行うことで、乗りカゴ11a〜11cの停止回数を削減することができる。
【0401】
また、
図26に示す例では、乗場呼びが1つの場合に、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階とするカゴ呼びを1つにまとめることで停止回数を削減していたが、これに限らず、停止予定の複数の階床を1つにまとめることができれば良い。
図27は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための第2の図である。
【0402】
図27に示す例では、エレベータシステム1が設置された建物は10階よりも多くの階床を備える。
図27では、乗りカゴ11b、乗りカゴ11cの記載を省略し、乗りカゴ11aのみを用いて割当て処理を説明する。
【0403】
図27に示す乗りカゴ11aには、
図26と同様に2階を行先階とするカゴ呼び160、4階を行先階とするカゴ呼び161が登録されている。さらに、
図27では乗りカゴ11aに8階を行先階とするカゴ呼び162、10階を行先階とするカゴ呼び163が登録されている。
【0404】
ここで、
図26と同様に3階において乗場呼び260が登録され、割当て号機決定部6508は符号262に示すように、乗りカゴ11aを乗場呼び260に割当てる。また、カゴ呼び160、カゴ呼び161はカゴ呼び制御部514によって解除される。
【0405】
さらに、
図27では9階において乗場呼び263が登録される。乗りカゴ11aには9階の上下1階である10階と8階を行先階とするカゴ呼び162、カゴ呼び163が登録されている。このため、10階と8階を行先階とするカゴ呼びが登録されている乗りカゴ11が他になければ、割当て号機決定部6508は、符号264に示すように乗りカゴ11aを乗場呼び263に割当てる。この場合、カゴ呼び162、カゴ呼び163はカゴ呼び制御部514によって解除される。乗りカゴ11aの停止予定回数は、カゴ呼びと乗場呼びを合わせて6回であったところ、エレベータ群管理制御装置50hが省電力運転をしていることによって、2回に削減される。
【0406】
すなわち、
図27に示すように、エレベータ群管理制御装置50hによるカゴ呼びと乗場呼びを1つにまとめる処理は、複数回繰り返して行うことができる。このため、階床が多い建物においても、乗りカゴ11の停止回数の削減が可能である。
【0407】
また、
図27に示す例では、2つのカゴ呼びと1つの乗場呼びを合わせて1つにまとめることで停止回数を削減していたが、これに限らず、停止予定の複数の階床を1つにまとめることができれば良い。
図28は、実施形態6にかかるエレベータ群管理制御装置50hが適用されるエレベータシステム1の一例について説明するための第3の図である。
【0408】
図28に示す例では、エレベータシステム1は
図26と同様に4階建ての建物に設定されている。
図28では、乗りカゴ11b、乗りカゴ11cの記載を省略し、乗りカゴ11aのみを用いて割当て処理を説明する。
【0409】
図28に示す乗りカゴ11aには、4階を行先階とするカゴ呼び164が登録されている。
【0410】
ここで、3階において下向きの乗場呼び265が登録されたとする。3階の上下1階は2階と4階である。乗りカゴ11aには4階を行先階とするカゴ呼び164が登録されているので、呼び組合せ評価部2511は乗りカゴ11aに評価値“1”を付与する。乗りカゴ11bおよび乗りカゴ11cに、3階の上下1階である2階および4階を行先階とするカゴ呼びが登録されていない場合は、呼び組合せ評価部2511は、乗りカゴ11bおよび乗りカゴ11cに評価値“0”を付与する。
【0411】
この場合、乗りカゴ11aの評価値が最も高いので、割当て号機決定部6508は、符号266に示すように乗場呼び265に乗りカゴ11aを割当てる。また、カゴ呼び制御部514はカゴ呼び164を解除する。乗りカゴ11aは、通常であれば3階と4階に停止するところを、省電力運転により3階のみに停止することになる。よって、この場合でも乗りカゴ11aの停止回数を削減することができる。
【0412】
図23〜28では、呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び登録階の上下1階の階床を行先階とするカゴ呼びを1つにまとめることで乗りカゴ11の停止回数を削減していたが、これに限らず、停止予定の複数の階床を1つにまとめることができれば良い。すなわち、呼び組合せ評価部2511は、乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とするカゴ呼びが登録された乗りカゴ11が優先して割当てられるように、高い評価を付与するものであれば良い。
【0413】
同様に、カゴ呼び制御部514は、割当て号機決定部6508によって乗場呼びに割当てられた乗りカゴ11における、乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とするカゴ呼びを解除し、カゴ呼び登録装置12に登録されていた情報を変更するものであれば良い。
【0414】
ここで、所定の階数とは、予めエレベータシステム1に設定されているものとしても良いし、不図示の入力部から管理者がエレベータ群管理制御装置50hに登録可能な構成を採用しても良い。
【0415】
例えば、呼び組合せ評価部2511は、所定の階数が2である場合は乗場呼び登録階より2階下の階床から2階上の階床までを行先階とするカゴ呼びが登録されている数を、各乗りカゴ11のそれぞれの評価値とすることができる。
【0416】
この場合、カゴ呼び制御部514は、割当て号機決定部6508によって乗場呼びに割当てられた乗りカゴ11における、乗場呼び登録階より2階下の階床から2階上の階床までを行先階とするカゴ呼びを解除する。
【0417】
このように、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、呼び組合せ評価部2511は、蓄電池40から供給された電力によってエレベータが運転される場合に、乗場呼びが登録されると、乗場呼びの行先方向と進行方向が逆方向にならない乗りカゴ11を検出し、検出された乗りカゴ11のうち、乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とするカゴ呼びが登録された乗りカゴ11に、高い評価を付与する。割当て号機決定部6508は、呼び組合せ評価部2511が付与した評価が高い乗りカゴ11を優先して乗場呼びに割当てる。そして、カゴ呼び制御部514は、割当てられた乗りカゴ11における、乗場呼び登録階の上下の所定の階数内の階床を行先階とするカゴ呼びを解除するよう、カゴ呼び登録装置12の設定を変更する。このため、停止予定の複数の階床を1つにまとめることができ、乗りカゴ11の停止回数を削減することができる。
【0418】
すなわち、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、停止予定の複数の階床を1つにまとめることによって、乗りカゴ11の停止回数を削減し、乗りカゴ11が加減速することによる消費電力を削減することができる。このような省電力運転を、停電等によって商用電源31からの電力供給が遮断された場合に行うことにより、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、蓄電池40から供給された電力によってエレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0419】
また、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、報知情報出力部4510は、カゴ内報知装置13に信号を出力して、消費電力の削減のために停止する階床を変更した旨を利用者に対して報知させる。このため、乗りカゴ11の停止階床を変更しても、利用者の混乱を招くことなく、利用者を円滑に誘導することができる。
【0420】
さらに、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、割当て号機決定部6508は、呼び組合せ評価部2511の評価値だけでなく、割当て候補号機評価部506の評価も考慮して乗りカゴ11の割当を行う。割当て候補号機評価部506は、乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い乗りカゴ11から順に高い評価を付与する。このため、実施形態6のエレベータ群管理制御装置50hによれば、省電力運転時であっても、利用者の待ち時間の短縮を考慮した運行をすることができる。
【0421】
以上説明したとおり、実施形態1から実施形態6およびそれらの変形例のエレベータ群管理制御装置50hによれば、停電等によって商用電源31からエレベータシステム1への電力供給が遮断された場合に、乗りカゴ11の消費電力を削減することにより、エレベータシステム1をより長い時間稼働させることができる。
【0422】
なお、実施形態1から実施形態6およびそれらの変形例を、それぞれ独立した実施形態として説明してきたが、複数の実施形態を組合せる構成を採用しても良い。例えば、実施形態2と実施形態4または実施形態5を組み合わせることで、さらなる省電力化を行う構成を採用しても良い。
【0423】
また、実施形態1から実施形態6のエレベータ群管理制御装置50a〜50hでは、各機能部は受電状態識別部501、1501、2501、3501、4501、5501から、停電等によって商用電源31から電力が供給されなくなった旨の情報を取得している。しかしながら、これに限らず、蓄電池40に供給された電力によってエレベータシステム1が稼働していることを、各機能部が判別できれば良い。
【0424】
例えば、実施形態1では、割当て候補号機選択部507および報知情報出力部510は、蓄電池制御部502から蓄電池40が放電を開始したという通知を受けることによって、蓄電池40からの電力供給の開始を認識しても良い。同様に、他の実施形態においても各機能部は、蓄電池制御部502、1502、2502から、蓄電池40に供給された電力によってエレベータシステム1が稼働していることを通知される構成を採用しても良い。
【0425】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】実施形態のエレベータ群管理制御装置は、蓄電池制御部と、候補号機選択部と、候補号機評価部と、割当て決定部とを備える。候補号機選択部は、蓄電池から供給された電力によってエレベータが運転されている時に乗場呼びが登録された場合に、乗場呼びが登録された階床が行先階として登録された乗りカゴであり、かつ、乗場呼びの行先方向と進行方向が逆方向にならない乗りカゴを選択する。候補号機評価部は、割当てが可能な乗りカゴであって、かつ、乗場呼びが登録された階床に到着するまでの時間が短い乗りカゴから順に高い評価を付与する。割当て決定部は、候補号機選択部が選択した乗りカゴから、候補号機評価部が付与した評価に基づいて、乗場呼びが登録された階床で停止する乗りカゴとして、乗場呼びに割当てる乗りカゴを決定する。