【実施例】
【0015】
実施例に係る冷却装置につき、
図1から
図5を参照して説明する。以下、
図2の紙面左側を冷却装置の正面側(前方側)とし、その前方側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。
【0016】
本実施例の冷却装置1は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等において食品等の商品を保冷した状態で陳列するために設置される冷凍・冷蔵ショーケースであり、
図1に示されるように、冷却装置1の上方に設けられ商品(図示略)が冷却・収納される保冷室2(貯蔵室)と、該保冷室2の下方に設けられ冷媒を利用した冷凍サイクルを行う冷却器等が収容される機械室3と、を備え、機械室3に収容された冷却器により冷却装置1内で冷凍サイクルを行って保冷室2を冷却できるようになっている。
【0017】
図2に示されるように、冷却装置1は、前面側が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱21と、その内方の、同じく前面側が開放された略コ字形の内箱22とから構成されるケース本体20を備え、その内部空間に保冷室2が形成されている。内箱22の背面部22aには、前後に延びるブラケット23,23の後端が取付けられ、ブラケット23,23の上には棚板24,24が取付けられており、棚板24,24及び内箱22の底部22bの上面にそれぞれ商品が陳列可能になっている。
【0018】
また、ケース本体20の背面側には、外箱21と内箱22との間に通風路25が形成され、この通風路25の鉛直下方が後述する上部機械室30に連通しており、冷却器を構成する後述する蒸発器41と、該蒸発器41に向けて空気を送る送風機5とが配設されている。尚、蒸発器41は、冷媒を利用した冷凍サイクルにより熱交換を行い、その周囲の空気を冷却できるようになっている。
【0019】
また、ケース本体20の上部前端の下縁には、通風路25に連通する冷気の吹出口26が下向きに形成され、ケース本体20の下部前端の上縁には、上方に開口して上部機械室30に連通する冷気の吸込口27が形成されているため、上部機械室30内の送風機5を作動させることにより、蒸発器41により冷却された冷気が、上方の吹出口26から下方の吸込口27に向けて吹き出されるようになっている。
【0020】
これによれば、ケース本体20の前面の開放面に冷気の気流によりエアカーテンが形成されるとともに、その冷気の一部が保冷室2内に流入することにより、保冷室2内が冷却された状態を維持できるようになっている。また、吸込口27から吸い込まれた冷気は、上部機械室30内に流入して、送風機5により再び蒸発器41に送られることにより、冷気が効率的に循環するようになっている。
【0021】
図2及び
図4に示されるように、保冷室2の下方に設けられる機械室3は、上部機械室30と、該上部機械室30の下方に形成される下部機械室31と、から構成され、冷媒を利用した冷凍サイクルを行う冷却器を構成する圧縮機42、凝縮器43(凝縮部)、膨張弁46、蒸発器41がそれぞれ冷媒配管47により接続された状態で収容されている。
【0022】
図2に示されるように、上部機械室30は、ケース本体20を構成する内箱22の底部22bと、外箱21の底部21aとの上下間に形成され、前述したようにケース本体20の背面側で通風路25に連通している。
【0023】
また、上部機械室30の底面を構成する外箱21の底部21aには、前方の所定位置に排水部30aが設けられている。さらに、ここでは図示しないが、排水部30aは下方の下部機械室31に配設される排水処理部6(
図3参照)に配水管30bにより連結されている。尚、上部機械室30の底面は、排水部30aに向けて下方に傾斜した形状を成しており、冷却に伴って蒸発器41に付着する霜を除霜した際等に生じる水が傾斜に沿って排水部30aまで流れやすくなっている。
【0024】
下部機械室31は、外箱21の底部21aを挟んで上部機械室30の下方に設けられ、前後に開口を有する箱型に形成されており、前方の開口には、矩形状の換気口32(
図1,
図2参照)が着脱可能に取付けられている。また、後方の開口は、冷却装置1の背面側に着脱可能に取付けられる背面カバー28の下端部により閉塞され、外箱21の背面部21bと背面カバー28との間に上下に亘って形成される排気ダクト29に連通している。
【0025】
また、外箱21の背面部21bには、上面視H字状のスペーサ21cが上下に亘って設けられており、上述した排気ダクト29内から背面カバー28に当接することにより、背面カバー28の中央部分の撓みを防ぐとともに、背面カバー28の取付け強度を高めている。
【0026】
また、背面カバー28の上方には、幅方向に亘ってスリット28a(
図1参照)が設けられており、下部機械室31内を通過して排気ダクト29内を上がってきた熱交換風がスリット28aを通って外部に排気されるようになっている。尚、熱交換風とは、冷凍サイクルを行う冷却器を構成する凝縮器43において熱交換により冷媒から放熱された熱を受け渡される空気のことである。
【0027】
図3に示されるように、下部機械室31は、幅方向に3つの区画に分けられており、中央の区画には、冷凍サイクルにおいて蒸発器41で発生した低温低圧の冷媒を圧縮する圧縮機42と、冷凍サイクルの冷媒の流れにおいて圧縮機42の下流側に配置され熱交換を行う凝縮器43と、下部機械室31内において熱交換風を前方から後方に向けて能動的に送る送風機7と、が主に配設されている。
【0028】
また、下部機械室31の両側の区画には、前述した上部機械室30の排水部30aと配水管30bにより連結される排水処理部6と、冷却装置1の動作を制御する図示しない制御部等が内蔵された電装箱8とがそれぞれ配設されている。
【0029】
尚、本実施例における凝縮器43は、主凝縮器44と、冷凍サイクルの冷媒の流れにおいて主凝縮器44の上流側に配置される補助凝縮器45と、から構成されている。
【0030】
主凝縮器44は、前後複数列に折り畳まれるように繰り返し反転屈曲された冷媒管44aと、熱交換風が前後方向に効率よく通過するように冷媒管44aに複数嵌挿される放熱板44b,44b,…(
図1及び
図4参照)と、から構成されており、補助凝縮器45に比べて熱交換量が大きくなっている。
【0031】
補助凝縮器45は、前後一列に繰り返し反転屈曲された冷媒管45a(
図1及び
図4参照)で構成されている。また、補助凝縮器45は、放熱板を備えない、すなわち、冷媒管45aのみで構成されることにより小型化されているため、凝縮器43全体をコンパクトに構成することができる。
【0032】
次いで、冷却装置1における冷凍サイクルの構成について
図4を用いて説明する。尚、
図4においては、紙面下側を冷却装置1の正面側(前方側)とし、紙面上側を冷却装置1の背面側(後方側)として説明する。また、冷凍サイクルは、無端状の冷媒回路Cから構成されるため、冷却器を構成する蒸発器41を基点に冷媒の流れに沿って順に説明する。
【0033】
図4に示されるように、冷却装置1における冷凍サイクルの冷媒回路Cは、前述したように上部機械室30及び下部機械室31に収容される冷却器を構成する圧縮機42、主凝縮器44、補助凝縮器45、膨張弁46、及び蒸発器41と、これらを接続する冷媒配管47と、から主に構成されている。
【0034】
尚、上部機械室30には、冷媒との熱交換(吸熱)により周囲の空気の冷却を行う蒸発器41と、冷凍サイクルの冷媒の流れにおいて蒸発器41の上流側に配置され、冷媒の減圧を行う膨張弁46とが収容されている。
【0035】
また、下部機械室31には、冷媒を圧縮する圧縮機42と、冷凍サイクルの冷媒の流れにおいて圧縮機42の上流側に配置され、熱交換風との熱交換により冷媒から放熱を行う主凝縮器44及び補助凝縮器45とが収容されている。
【0036】
冷媒回路Cにおいて、上部機械室30に配設される蒸発器41は、下流側に延びる冷媒配管47により下部機械室31に配設される圧縮機42に接続されている。尚、圧縮機42の上流側には、アキュムレータ48が接続されている。アキュムレータ48は、気化冷媒と液冷媒を分離するために設けられ、圧縮機42の故障の原因となる液冷媒の流入を防いでいる。
【0037】
下部機械室31内において、圧縮機42は、下流側に延びる冷媒配管47により補助凝縮器45に接続され、補助凝縮器45は、さらに下流側に延びる冷媒配管47により主凝縮器44に接続されている。
【0038】
主凝縮器44は、下流側に延びる冷媒配管47により上部機械室30に配設される膨張弁46に接続されている。尚、主凝縮器44の下流側には、受液器49が配置されており、液冷媒が蓄えられるようになっている。
【0039】
上部機械室30内において膨張弁46は、下流側に延びる冷媒配管47により蒸発器41に接続されており、無端状の冷媒回路Cを冷媒が循環するようになっている。
【0040】
次いで、冷凍サイクルの冷媒回路Cにおける冷媒の流れについて
図4を用いて説明する。尚、ここでは、冷媒回路Cに配設される冷却器における冷媒の流れについて説明し、前述したアキュムレータ48及び受液器49における冷媒の流れについての説明を省略する。
【0041】
図4に示されるように、先ず、上部機械室30に配設された蒸発器41において周囲の空気との熱交換により発生した低温低圧の気体冷媒が下流側に延びる冷媒配管47を通って下部機械室31に配設される圧縮機42に流入する。
【0042】
下部機械室31内で圧縮機42に流入した低温低圧の気化冷媒は、圧縮されて高温高圧の気化冷媒となる。尚、高温高圧の気化冷媒は、温度を低下させることにより液化しやすい状態となっている。
【0043】
次に、圧縮機42から送り出された高温高圧の気化冷媒は、補助凝縮器45に流入し、下部機械室31内を通過する熱交換風との熱交換により放熱されることで温度が低下する。
【0044】
次に、補助凝縮器45から主凝縮器44に流入した高温高圧の気化冷媒は、下部機械室31内を通過する熱交換風との熱交換により放熱されることで温度が低下して液化する。
【0045】
主凝縮器44から送り出された液冷媒は、下流側に延びる冷媒配管47を通って上部機械室30に配設される膨張弁46に流入し、減圧されて低温低圧の液冷媒となり、蒸発器41に流入して気化する。このとき生じる気化熱により周囲の空気から吸熱することで熱交換が行われ、上述した冷媒回路Cにおける一連の冷凍サイクルを繰り返すことにより冷却装置1の冷却が行われている。
【0046】
このように、冷媒回路Cを流れる冷媒は、補助凝縮器45において、下部機械室31内を通過する熱交換風との熱交換により予め放熱を行うことにより、ある程度温度が低下した状態で下流側の主凝縮器44に流入されるため、主凝縮器44における冷媒の熱交換の効率が高められている。また、補助凝縮器45がない場合と比べて主凝縮器44における熱交換量を抑えることができるため、主凝縮器44を小型化することも可能である。尚、補助凝縮器45は、高温高圧の気化冷媒の温度を低下させるとともに、その一部を液化させるものであってもよい。
【0047】
次いで、下部機械室31において冷媒の熱交換を行う主凝縮器44及び補助凝縮器45と、下部機械室31内を通過する熱交換風との関係について
図5を用いて説明する。
【0048】
図5に示されるように、下部機械室31の中央の区画に配設される圧縮機42、主凝縮器44、補助凝縮器45、及び送風機7(
図3参照)は、矩形状の板材から成るユニットベース33上に載置されており、前方から補助凝縮器45、主凝縮器44、及び送風機7の順に一直線状に配置されている。
【0049】
送風機7は、主凝縮器44の背面側に取付けられおり、主凝縮器44の前面側から熱交換風を吸い込み、主凝縮器44内を通過して熱を持った熱交換風を背面側から効率的に排気できるようになっている。また、下部機械室31の背面側上方には、補助送風機10が設けられており、送風機7により主凝縮器44の背面側から排気された熱を持った熱交換風を下部機械室31の後方に形成される排気ダクト29に向けて効率よく排気できるようになっている。すなわち、下部機械室31において熱交換風は、前方から後方に向けて通過するようになっている。
【0050】
補助凝縮器45は、下部機械室31において主凝縮器44よりも風上側に配置されることにより、下部機械室31の前面側に設けられる換気口32から取り込まれた冷却装置1の外部の空気を熱交換風として利用することができる。
【0051】
また、補助凝縮器45は、前述したように前後一列に繰り返し反転屈曲された冷媒管45aのみで構成されており、熱交換量が小さいことに加え、主凝縮器44による熱により暖められていない外部の空気が補助凝縮器45に直接吹き付けるため、補助凝縮器45背面側から排気された熱交換風の持つ熱は、熱交換量が大きい主凝縮器44における熱交換を妨げることない程度に抑えられている。
【0052】
このように、主凝縮器44よりも熱交換量小さい補助凝縮器45を下部機械室31において主凝縮器44よりも風上側に配置することにより、温度の低い熱交換風が補助凝縮器45を先に通過し、補助凝縮器45と主凝縮器44の間隔を離して熱交換風を冷ます必要がなくなるため、補助凝縮器45を主凝縮器44の前面に近接させて設けることができ、凝縮器43を小型化できる。
【0053】
また、下部機械室31において、補助凝縮器45及び主凝縮器44の風下側で送風機7が動作することにより、補助凝縮器45及び主凝縮器44を通過する熱交換風の風量を安定して確保できる。
【0054】
また、下部機械室31において、補助凝縮器45と主凝縮器44との間にはフィルタ9が着脱可能に挟まれた状態で配設されており、容易にフィルタ9を位置規制できるようになっている。また、フィルタ9の前面側で塵や埃等を吸着することにより、主凝縮器44の放熱板44b,44b,…の間が塵や埃等で目詰まりを起こすことがなくなるとともに、フィルタ9は容易に着脱できるため清掃等を行いやすくなっている。
【0055】
また、下部機械室31における熱交換風の通過方向に沿って補助凝縮器45、主凝縮器44、及び送風機7を一直線状に配置することにより、小型なユニットとすることができる。
【0056】
また、主凝縮器44の前面に補助凝縮器45を直接取り付けてユニット化することにより、凝縮器43を小型化することができる。
【0057】
また、補助凝縮器45は、前後一列に繰り返し反転屈曲された冷媒管45aのみで構成されることにより、補助凝縮器45の前後方向の寸法を短くでき、凝縮器43をさらに小型化することできる。加えて、補助凝縮器45は、前後方向に直交する方向に略平面状の構造とされているため、凝縮器43をさらに小型化することできる。
【0058】
また、
図3及び
図5に示されるように、ユニット化された補助凝縮器45、主凝縮器44、及び送風機7と圧縮機42は、下部機械室31に設けられる矩形の板材から成るユニットベース33上に載置されている。ユニットベース33は、下部機械室31の底部31a上で対向して前後に延びる断面視倒立L字状のガイド部材34,34に沿って前後方向に移動可能に収納されている。尚、
図3における二点鎖線は、下部機械室31にユニットベース33全体が収納された状態を図示するものであり、説明の便宜上、冷媒配管47の二点鎖線の図示を省略する。
【0059】
これによれば、ユニットベース33上に載置された圧縮機42、主凝縮器44、補助凝縮器45及び送風機7をまとめて前方に引き出せるため、下部機械室31内に配設された圧縮機42、主凝縮器44、補助凝縮器45及び送風機7のメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0060】
尚、少なくとも主凝縮器44及び補助凝縮器45がユニットベース33上にユニット化されて載置されていれば、主凝縮器44及び補助凝縮器45をまとめて前方に引き出して凝縮器43のメンテナンス作業等を容易に行うことができる。
【0061】
また、ガイド部材34,34の後端の後方には、側面視クランク形状のストッパ部材35,35がそれぞれ設けられており、ユニットベース33を下部機械室31内に収納する際に、ユニットベース33を後方に押し切ることでユニットベース33の後端がストッパ部材35,35に接触して後方への移動が規制され、ユニットベース33上の圧縮機42、主凝縮器44、補助凝縮器45及び送風機7を下部機械室31内の所定の位置に正しく配置できるようになっている。尚、ユニットベース33にキャスタやローラ等を設けて前後に移動しやすい構成にしてもよい。
【0062】
尚、下部機械室31内に配設される冷媒配管47には、ユニットベース33の前後方向の移動に合わせて前後方向に伸縮する伸縮部47a,47a(
図4及び
図5参照)が形成されており、冷媒配管47がユニットベース33の移動を妨げることなく、冷媒配管47自体の破損も防げるようになっている。
【0063】
また、補助凝縮器45は、主凝縮器44の前面の上方部分のみに設けられることにより、補助凝縮器45を通過して熱を持った熱交換風を風下側の主凝縮器44内において上方側に偏らせて通過させ、主凝縮器44の前面の下方部分から補助凝縮器45による熱により暖められていない外部の空気を直接取り込むことができるため、主凝縮器44における冷媒の熱交換の効率が高められている。
【0064】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0065】
例えば、前記実施例では、下部機械室31における熱交換風の通過方向に沿って補助凝縮器45と主凝縮器44とが前後に近接して配置される態様として説明したが、これに限らず、補助凝縮器が主凝縮器の風上側に配設されるものであれば、補助凝縮器と主凝縮器との間が離間していてもよい。この場合、補助凝縮器と主凝縮器との間に設けられるフィルタは、主凝縮器の前面に着脱可能に取付けられることが好ましい。
【0066】
また、前記実施例では、補助送風機10が下部機械室31の背面側(主凝縮器44の風下側)に設けられる態様として説明したが、これに限らず、補助送風機は、主凝縮器の風上側に設けられていてもよく、補助凝縮器と主凝縮器との間や、補助凝縮器のさらに風上側に設けられてもよい。