(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6139764
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ボール配列マスク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H01L21/92 604Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-177955(P2016-177955)
(22)【出願日】2016年9月12日
【審査請求日】2017年1月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300071823
【氏名又は名称】株式会社ボンマーク
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】伊與 信平
(72)【発明者】
【氏名】小田 聡丈
【審査官】
▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−106680(JP,A)
【文献】
特開2016−027607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパターン開口領域にボール挿入用の貫通孔が多数設けられ、ボールを振り込むことにより、フラックスが塗布されたボールを搭載する基板の電極上にボールを搭載するボール配列マスクであって、
前記ボール配列マスクは、縦方向及び横方向に配列された複数のパターン開口領域と、
前記ボール配列マスクの下面側の前記各パターン開口領域の周縁近傍をそれぞれ取り囲むように設けられた第1の突起部と、
前記ボール配列マスクの下面側の前記各パターン開口領域間の中間位置に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部とを備え、
前記ボール配列マスクの下面側のうち、互に隣接する2個のパターン開口領域を単位とし、2個のパターン開口領域の全域及び2個のパターン開口領域の周縁近傍に設けられた前記第1の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング形成領域とし、
一方、前記ボール配列マスクの下面側のうち、前記各コーティング形成領域間に位置し、前記各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた前記第2の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング非形成領域とし、
前記コーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成し、前記コーティング非形成領域には、前記フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成しないようにしたことを特徴とするボール配列マスク。
【請求項2】
ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域の中間に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部は、ボールを搭載する基板のダイシングライン上に対応する位置に形成したことを特徴とする請求項1記載のボール配列マスク。
【請求項3】
コーティング形成領域のみに形成されるフラックス付着防止用の撥水性コーティング層は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の少なくとも一種であり、下地材には有機ケイ素化合物(シリコーン)や有機ケイ酸化合物(シロキサン)が含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のボール配列マスク。
【請求項4】
複数のパターン開口領域にボール挿入用の貫通孔が多数設けられ、ボールを振り込むことにより、フラックスが塗布されたボールを搭載する基板の電極上にボールを搭載するボール配列マスクであって、
前記ボール配列マスクは、縦方向及び横方向に配列された複数のパターン開口領域と、
前記ボール配列マスクの下面側の前記各パターン開口領域の周縁近傍をそれぞれ取り囲むように設けられた第1の突起部と、
前記ボール配列マスクの下面側の前記各パターン開口領域間の中間位置に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部とを備え、
前記ボール配列マスクの下面側のうち、互に隣接する2個のパターン開口領域を単位とし、2個のパターン開口領域の全域及び2個のパターン開口領域の周縁近傍に設けられた前記第1の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング形成領域とし、
一方、前記ボール配列マスクの下面側のうち、前記各コーティング形成領域間に位置し、前記各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた前記第2の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング非形成領域とし、
前記コーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成し、前記コーティング非形成領域には、前記フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成しないようにしたボール配列マスクの製造方法において、
前記ボール配列マスクの下面側の前記各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた前記第2の突起部の周辺部分を含むコーティング非形成領域を覆うマスキングを設けることにより、コーティング非形成領域を形成する工程と、ボール配列マスクの少なくとも下面側のコーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成する工程と、前記工程後に得られたボール配列マスクから、マスキングを除去する工程を含むことを特徴とするボール配列マスクの製造方法。
【請求項5】
マスキング工程は、レーザーでカットしたSUS材又はレジストでコーティング非形成領域をカバーすることを特徴とする請求項4記載のボール配列マスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボール配列マスク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、微小なボールを所定のパターンで被配列体に搭載するボール振込みマスクにおいて、前記ボールが挿通可能な複数の開口部が形成された平板状の基体部と、前記被配列体と当接して基体部を被配列体から所定隙間隔てるための基体部の一面側に形成された支持部とを有し、少なくとも前記支持部の前記被配列体と当接する面、及び周辺部の少なくともウエハーとの当接面には低粘着質部が形成されているボール振込みマスクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、他の従来技術として、所定の配列パターンに対応した通孔内に半田ボールを振り込むことで、ワーク上の所定位置に前記半田ボールを搭載する配列マスクであって、前記通孔からなるパターン領域が多数形成されたマスク本体と、前記マスク本体の前記ワークとの対向面側に設けられた突起部とを備え、少なくとも前記マスク本体下面に、コーティング層が形成されており、前記コーティング層は、マスク本体下面及び前記突起部表面の全面を覆うように形成されている配列マスクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177264号公報
【特許文献2】特開2016−27607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマスク本体下面及び突起部表面の全面を覆うように形成されるフラックス付着防止用コーティング層としては、撥水性のあるフッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などが用いられ、これらの樹脂にはマスク本体下面との接着性を良好にするため下地材が用いられるが、下地材には有機ケイ素化合物(シリコーン:Silicone)や有機ケイ酸化合物(シロキサン)が含まれている。主に、重合した分子数nが、10までのものを低分子シロキサンと言う。このような低分子シロキサンは、シリコーン(Silicone)などの材料からシロキサンがガス化し、接点上に低分子シロキサンが付着したときに接点の開閉によるアーク火花で酸化分解し、酸化分解で生成した二酸化ケイ素は接点開閉を行う度、徐々に接点上に堆積し、絶縁物となり、導通不良障害を起こすことが報告され、問題となっている。したがって、精密小型電子部品分野において、懸念材料である低分子シロキサンの発生を可能な限り抑制することが求められており、ボール配列マスクにおいても、当然フラックス付着防止用コーティング層に含まれる懸念材料である低分子シロキサンの転写リスクを軽減することが求められている。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、貫通孔が多数設けられた各パターン開口領域の全域と、各パターン開口領域の周辺近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分をコーティング形成領域とし、このコーティング形成領域のみにフラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成することにより、低分子シロキサンの発生を可能な限り抑制することができるボール配列マスク及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るボール配列マスクにおいては、縦方向及び横方向に配列された複数のパターン開口領域と、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域の周縁近傍をそれぞれ取り囲むように設けられた第1の突起部と、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域間の中間位置に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部とを備え、ボール配列マスクの下面側のうち、互に隣接する2個のパターン開口領域を単位とし、2個のパターン開口領域の全域及び2個のパターン開口領域の周縁近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング形成領域とし、一方、ボール配列マスクの下面側のうち、各コーティング形成領域間に位置し、各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング非形成領域とし、コーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成し、コーティング非形成領域には、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成しないようにしたものである。
【0007】
また、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域の中間に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部は、ボールを搭載する基板のダイシングライン上に対応する位置に形成したものである。
【0008】
また、コーティング形成領域のみに形成されるフラックス付着防止用の撥水性コーティング層は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂の少なくとも一種であり、下地材には有機ケイ素化合物(シリコーン)や有機ケイ酸化合物(シロキサン)が含まれているものである。
【0009】
また、この発明に係るボール配列マスクの製造方法においては、ボール配列マスクは、縦方向及び横方向に配列された複数のパターン開口領域と、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域の周縁近傍をそれぞれ取り囲むように設けられた第1の突起部と、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域間の中間位置に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部とを備え、ボール配列マスクの下面側のうち、互に隣接する2個のパターン開口領域を単位とし、2個のパターン開口領域の全域及び2個のパターン開口領域の周縁近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング形成領域とし、一方、ボール配列マスクの下面側のうち、各コーティング形成領域間に位置し、各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング非形成領域とし、コーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成し、コーティング非形成領域には、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成しないようにしたボール配列マスクの製造方法において、ボール配列マスクの下面側の各パターン開口領域間の中間位置に縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部の周辺部分を含むコーティング非形成領域を覆うマスキングを設けることにより、コーティング非形成領域を形成する工程と、ボール配列マスクの少なくとも下面側のコーティング形成領域のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成する工程と、その工程後に得られたボール配列マスクから、マスキングを除去する工程を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、貫通孔が多数設けられた各パターン開口領域の全域と、各パターン開口領域の周辺近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分をコーティング形成領域とし、このコーティング形成領域のみにフラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成することにより、低分子シロキサンの発生を可能な限り抑制することができる。すなわち、シリコーンなどの材料からシロキサンがガス化し、接点上に低分子シロキサンが付着したときに接点の開閉によるアーク火花で酸化分解し、酸化分解で生成した二酸化ケイ素は接点開閉を行う度、徐々に接点上に堆積し、絶縁物となり、導通不良障害を起こすことが想定されるが、そのような不具合を極力抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明の実施例1における版枠にボール配列マスクを取り付けた状態を示す斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】この発明の実施例1における版枠にボール配列マスクを取り付けた状態を示す斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】この発明の実施例1におけるボール配列マスクの要部を拡大して示す底面図である。
【
図4】この発明の実施例1におけるボール配列マスクの要部を拡大して示す断面図である。
【
図5】この発明の実施例1におけるボール配列マスクの下面のコーティング領域と非コーティング領域を拡大して示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図1はこの発明の実施例1における版枠にボール配列マスクを取り付けた状態を示す斜め上方から見た斜視図、
図2は同じく斜め下方から見た斜視図、
図3はボール配列マスクの要部を拡大して示す底面図、
図4はボール配列マスクの要部を拡大して示す断面図、
図5はボール配列マスクの下面のコーティング領域と非コーティング領域を拡大して示す要部断面図である。
【0013】
図1〜
図5において、この発明の実施例1におけるボール配列マスク1は、メッシュ等からなるコンビネーション2に貼り付けられ、コンビネーション2を介して矩形状の版枠3に張力を加えられて貼り付けられている。なお、ボール配列マスク1は、中間にメッシュ等を介在させず、外周縁部を直接矩形状枠体(図示せず)に装着した直付けタイプのものであっても良い。また、ボール配列マスク1は、中央に例えば縦方向に6個、横方向に6個を規則正しく配列した計36個のパターン開口領域4を有しているが、その数は幾つであっても良い。そして、ボール配列マスク1の各パターン開口領域4には、ボール挿入用の貫通孔5が多数設けられている。多数のボール挿入用の貫通孔5は、半導体ウエハー、電子回路基板、セラミック基板等のボールを搭載する基板(図示せず)のボール搭載箇所であるフラックスが塗布されている電極にそれぞれ対応している。ボール配列マスク1の下面側(基板側)には、各パターン開口領域4の周縁近傍を二重の口字状により取り囲むように多数の突起部6が設けられている。このパターン開口領域4の周縁近傍に設けられる二重の口字状の突起部6は第1の突起部であり、後述する第2の突起部7、8とは区別される。また、ボール配列マスク1の下面側(基板側)は、例えば縦方向に6個、横方向に6個を規則正しく配列した計36個のパターン開口領域4を、横方向に延びる上下7本の二重の突起部7により縦(上下)6段に区画されている。また縦方向に延びる左右4本の二重の突起部8により横(左右)3列に区画されている。この横方向に延びる二重の突起部7と縦方向に延びる二重の突起部8は、半導体ウエハー、電子回路基板、セラミック基板等のボールを搭載する基板(図示せず)のダイシングライン上に対応する位置に形成される第2の突起部であり、第1の突起部6とは区別される。そして、ボール配列マスク1の下面側(基板側)は、左右に隣接する2個(一対)のパターン開口領域4を単位とし、2個のパターン開口領域4の全域及び2個のパターン開口領域4の周縁近傍を二重の口字状により取り囲む多数の突起部6の周辺部分を含む横長の矩形部分9を、例えば縦方向に6個、横方向に3個を配列した計18個のコーティング形成領域9としている(
図3の斜線で囲まれた部分)。そして、このコーティング形成領域9のみに、
図5に示すように、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10が形成されている。フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10としては、撥水性の良好なフッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などが用いられるが、これらの樹脂にはマスク本体下面との接着性を良好にするために使用する下地材には有機ケイ素化合物(シリコーン:Silicone)や有機ケイ酸化合物(シロキサン)、アルカリ金属ケイ酸塩等が含まれている。主に、重合した分子数nが、10までのものを低分子シロキサンと言い、このような低分子シロキサンは、シリコーン(Silicone)などの材料からシロキサンがガス化し、接点上に低分子シロキサンが付着したときに接点の開閉によるアーク火花で酸化分解し、酸化分解で生成した二酸化ケイ素は接点開閉を行う度、徐々に接点上に堆積し、絶縁物となり、導通不良障害を起こすことが懸念されている。このような問題を解決するため、この発明においては、ボール配列マスク1の下面側(基板側)のコーティング形成領域9以外の部分は、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10が形成されないコーティング非形成領域11としている(
図3の斜線で囲まれていない部分)。すなわち、上記各コーティング形成領域9間であって、横方向に延びる二重の第2の突起部7の隣接する周辺部分と縦方向に延びる二重の第2の突起部8の隣接する周辺部分は、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10を形成しないコーティング非形成領域11となる。これにより、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10に含まれる懸念材料である低分子シロキサンの転写リスクを可能な限り軽減することができる。
上記実施例では、第1の突起部6、及び第2の突起部7、8を二重にして設けているが、一重にしたり、三重以上にしたりしても良い。また、連続した枠状に形成しても良い。また、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10として、フッ素樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂などを用いているが、シリコン樹脂は、ケイ素化合物を含むのであまり好ましくなく、フッ素樹脂は、ケイ素化合物を含まないので、これを用いるのが最適であると言える。
【0014】
次に、この発明の実施例1におけるボール配列マスクの製造方法について説明する。
先ず、ボール配列マスク1の各パターン開口領域4に、ボール挿入用の貫通孔5が多数設けられ、ボール配列マスク1の下面側(基板側)に、各パターン開口領域4の周縁近傍を二重の口字状に取り囲むように第1の突起部6が設けられ、ボール配列マスク1の下面側(基板側)は、例えば縦方向に6個、横方向に6個を規則正しく配列した計36個のパターン開口領域4を、横方向に延びる上下7本の二重の第2の突起部7により縦(上下)6段に区画され、また縦方向に延びる左右4本の二重の第2の突起部8により横(左右)3列に区画されているボール配列マスク1を用意する。次に、ボール配列マスク1の下面側(基板側)のコーティング非形成領域11(
図3の斜線で囲まれていない部分)、すなわち、上記各コーティング形成領域9間であって、横方向に延びる二重の第2の突起部7の隣接する周辺部分と縦方向に延びる二重の第2の突起部8の隣接する周辺部分を含むコーティング非形成領域11を覆う目隠しのためのマスキング(図示せず)を設ける。マスキングの形成方法としては、例えばレーザーでカットしたSUS材、レジスト等でコーティング非形成領域11の表面を薄く覆うことで実現することができる。これにより、左右に隣接する2個(一対)のパターン開口領域4を単位とし、2個のパターン開口領域4の全域部分及び2個のパターン開口領域4の周縁近傍を口字状に取り囲む多数の第1の突起部6の周辺部分を含む横長の矩形部分を、例えば縦方向に6個、横方向に3個を配列した計18個のコーティング形成領域9がマスキングの無い露出した部分として残る(
図3の斜線で囲まれた部分)。そこで、ボール配列マスク1の少なくとも下面側(基板側)のコーティング形成領域9のみに、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10を形成することができる。これにより、フラックス付着防止用の撥水性コーティング層10に含まれる懸念材料である低分子シロキサンの転写リスクを軽減することができるこの発明のボール配列マスク1が得られる。
【符号の説明】
【0015】
1 ボール配列マスク
2 コンビネーション
3 版枠
4 パターン開口領域
5 ボール挿入用の貫通孔
6 第1の突起部
7、8 第2の突起部
9 コーティング形成領域
10 フラックス付着防止用の撥水性コーティング層
11 コーティング非形成領域
【要約】
【課題】パターン開口領域の全域と、パターン開口領域の周辺近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分をコーティング形成領域とし、このコーティング形成領域のみにフラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成することにより、低分子シロキサンの発生を抑制できるボール配列マスクを得る。
【解決手段】パターン開口領域と、パターン開口領域の周縁近傍を取り囲むように設けられた第1の突起部と、パターン開口領域間の中間位置に設けられ、縦方向及び横方向にそれぞれ延びるように設けられた第2の突起部とを備え、パターン開口領域の全域及びパターン開口領域の周縁近傍に設けられた第1の突起部の周辺部分を含む領域をコーティング形成領域とし、コーティング形成領域間に位置する領域をコーティング非形成領域とし、コーティング形成領域のみにフラックス付着防止用の撥水性コーティング層を形成する。
【選択図】
図5