(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザの操作に応じて、前記第1の電気分解部又は前記第2の電気分解部のいずれか一方、若しくは両方を稼動させるよう、前記第1の電気分解部及び前記第2の電気分解部を制御する制御部と
を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電解水生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0011】
<第1の実施の形態>
図1において10は、全体として本発明の電解水生成装置を示している。電解水生成装置10は、3槽型の電気分解部12と、1槽型の電気分解部16とによって電気分解を行い、電解水を生成する。電解水生成装置10では、電気分解部12で使用された電解質水溶液が電気分解部16で再利用されることにより、電解質水溶液の廃液が発生しないようになされている。
【0012】
なお図示しないが、電解水生成装置10は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部20(図示せず)が電解水生成装置10の全体を統括的に制御するようになされている。
【0013】
原水供給部11は、制御部20による開閉機構41及び54の開閉制御により、電解水を生成するときにのみ原水を電気分解部12及び16に供給する。原水供給部11は、圧力をかけた状態で電気分解部16に対して原水を供給する。また、接続された水道水などの水圧が高すぎる場合には、減圧バルブなどの減圧機構を構成しても良い。
【0014】
原水としては、水道水や電解水、純水、精製水など種々のものを使用できる。また、原水供給部11の一部として各種フィルターを設置することにより、不純物などの不要成分を除去した水を使用しても良い。
【0015】
電気分解部12は、陰極24を有するカソード室21と、陽極25を有するアノード室22と、カソード室21及びアノード室22との中間に位置し隔膜26及び27によって隔てられた中間室23とを有する3槽型の電解槽である。
【0016】
電解質循環部13は、制御部20による制御により、電解質水溶液を電気分解部12に供給する。電解質としては特に制限されず、水に溶解して電解質としての特性を示す既知の化合物を適宜使用することができる。便宜上、電解質として塩化ナトリウムを使用した場合について説明するが、これに限られない。
【0017】
電解質供給部14は、電解質循環部13よりも容量の大きいタンクを有しており、制御部20の制御により電解質水溶液を電解質循環部13へ供給する。なお、電解水生成装置10では、制御部20の制御によってポンプ47、49及び53が駆動され、電解質水溶液が必要量だけ電気分解部12及び16へ供給される。
【0018】
すなわち、電気分解部12は、原水供給部11から配管42及び43を介してカソード室21及びアノード室22に原水が供給されると、電気分解を行い、配管44を介してアルカリ性電解水をアルカリ性電解水排出口17へ供給する一方、配管45を介して酸性電解水を酸性電解水排出口18へ供給する。この結果、アルカリ性電解水排出口17からはアルカリ性電解水が、酸性電解水排出口18からは酸性電解水が供給される。なお、アルカリ性電解水を使用しない場合には、アルカリ性電解水排出口17は廃棄用の配管に接続され、廃棄されてもよい。
【0019】
このとき、電解質循環部13から中間室23に供給された電解質水溶液中の電解質が隔膜26及び27を介してカソード室21及びアノード室22に供給され、電解質の一部が消費されると共に、配管46を介して電解質循環部13へと戻される。
【0020】
ここで、電解質循環部13には、電気分解部12の稼動時間に応じて電解質供給部14から電解質水溶液が配管50を介して供給される。電解質循環部13は、所定量の電解質水溶液を電気分解部12に供給し、同量の電解質水溶液が戻るため、電解質供給部14から供給される電解質水溶液の分量だけオーバーフローする。このオーバーフローした電解質水溶液は、配管52を介して電気分解部16へと供給される。
【0021】
電気分解部16は、陰極34及び陽極35を備える無隔膜電解室31を有しており、原水が配管55を介して供給される。この配管55には、配管52と配管57とが接続されており、電解質循環部13から供給される電解質水溶液と電解補助液供給部15から供給される電解補助液とが混合された状態で、原水を無隔膜電解室31に供給する。
【0022】
電解補助液供給部15には、電解質が溶解された電解補助液が貯留されている。電解補助液としては、特に限定されず、水に溶解して電解質としての特性を示す既知の化合物を適宜使用することができる。電解水として微酸性電解水を生成したい場合には、塩酸水溶液又は塩酸・塩化ナトリウム混合水溶液が好適に使用される。その濃度や割合に制限はなく、取り扱いの容易さや用途に応じた塩素濃度になるように適宜選択される。例えば、5〜20重量%の塩化ナトリウムと、10%塩酸に換算して5〜30重量%の塩酸が溶解した塩酸・塩化ナトリウム混合水溶液が使用される。
【0023】
電気分解部16は、供給される原水を電気分解し、微酸性電解水を配管57を介して配管45へ供給し、配管45を介して酸性電解水排出口18へ供給する。この結果、酸性電解水排出口18からは、電気分解部12によって生成された酸性電解水と電気分解部16によって生成された微酸性電解水が混合された状態で供給される。
【0024】
このように、3槽型の電気分解部12で循環使用した電解質水溶液を1槽型の電気分解部16で再利用することにより、本来必要であった電解質水溶液の排出経路が不要となる。また、電解質水溶液を循環使用することにより、電解質水溶液のpHが低下することが知られているが、電解質水溶液を廃棄しないため、廃棄の際に設置する必要のあった中和槽が不要となる。このため、電解水生成装置10では、電解質水溶液を廃棄すること無く有効利用できると共に、構成を簡易にすることができる。
【0025】
なお、循環使用した電解質水溶液を1槽型の電気分解部16で再利用した場合であっても、電解補助液のみを使用した場合と同程度の性能の電解水が得ることが可能であることが、本願発明人によって確認されている。
【0026】
<第2の実施の形態>
次に、
図2を用いて第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、電解補助液供給部15がない点と、電解質水溶液の内容が
図1に示した第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を附し、説明を省略する。
【0027】
図2に示すように、電解水生成装置10Xは、電解補助液供給部15を有していないため、電気分解部16には、電解質循環部13から供給される電解質水溶液と原水とが供給される。第2の実施の形態において、電解質水溶液は、例えば電気分解部16の電解補助液として使用するのに適した塩化ナトリウム・塩酸水溶液が使用される。
【0028】
制御部20は、電気分解部16が必要とするだけの量の電解質水溶液を電解質供給部14から電解質循環部13に供給してオーバーフローさせる。この結果、電気分解部16が必要とする量の電解質水溶液が供給される。
【0029】
これにより、第1の実施の形態と同様、電解質水溶液を廃棄しなくて済むと共に、電解補助液供給部15が不要となり、電解水生成装置10Xの構成を簡易にすることができる。
【0030】
<第3の実施の形態>
次に、
図3を用いて第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、循環使用した電解質水溶液が電解補助液供給部15に供給される点と、電気分解部12及び16によって生成される電解水が別々の酸性電解水排出口18A及び18Bから排出される点が
図1に示した第1の実施の形態と相違している。第1の実施の形態と同一箇所に同一符号を附し、説明を省略する。
【0031】
図3に示すように、電解水生成装置10Yでは、電解質循環部13に接続された配管52が電解補助液供給部15に接続され、当該電解補助液供給部15から接続された配管56が配管55に接続されている。すなわち、電解質循環部13から電気分解部16へと延びる配管上に電解補助液供給部15が設けられている。
【0032】
従って、電解質循環部13でオーバーフローした電解質水溶液は、電解補助液供給部15に貯留され、電解補助液として電気分解部16へ供給される。
【0033】
また、電気分解部12によって生成された酸性電解水は酸性電解水排出口18Aから、電気分解部16によって生成された酸性電解水は酸性電解水排出口18Bからそれぞれ排出される。
【0034】
図示しない操作部に対する操作により、弱酸性の酸性電解水又はアルカリ性電解水を供給する旨のユーザの操作要求を認識すると、制御部20は開閉機構41を開状態に遷移させて原水を電気分解部12に供給すると共に、電解質供給部14から電解質循環部13へ電解質水溶液を供給する。このとき、電解質循環部13においてオーバーフローした電解質水溶液は、電解補助液供給部15に貯留される。
【0035】
一方、図示しない操作部に対する操作により、微酸性の酸性電解水を供給する旨のユーザの操作要求を認識すると、制御部20は開閉機構54を開状態に遷移させて原水を電気分解部16に供給すると共に、電解補助液供給部15から電気分解部16へ電解補助液を供給させる。もちろん、電気分解部12及び16を同時に稼動させることも可能である。
【0036】
また図示しないが、配管45及び57を混合及び切替が可能な混合切替弁によって接続し、一つの酸性電解水排出口18から弱酸性の酸性電解水、微酸性の酸性電解水又はこれらの混合電解水の3種類の酸性電解水を供給することも可能である。
【0037】
このように、循環使用した電解質水溶液を電解補助液供給部15に貯留することにより、電解質水溶液の再利用ができると共に、電気分解部12及び16をそれぞれ別個に動作させやすくできる。
【0038】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0039】
陽極(陽極25)を有するアノード室(アノード室22)と陰極(陰極24)を有するカソード室(カソード室21)と、隔膜(隔膜26及び27)で隔てられ前記アノード室と前記カソード室の中間に設けられた中間室(中間室23)とを有する第1の電気分解部(電気分解部12)と、
前記アノード室及び前記カソード室に対して原水を供給する第1の原水供給部(原水供給部11)と、
前記中間室に対して電解質が溶解した電解質水溶液を供給すると共に、前記電解質水溶液を回収して循環させる電解質循環部(電解質循環部13)と、
陽極(陽極35)及び陰極(陰極34)を備えた無隔膜電解室(無隔膜電解室31)を有する第2の電気分解部(電気分解部16)と、
前記無隔膜電解室に対して原水を供給する第2の原水供給部(原水供給部11)と、
前記無隔膜電解室に対して前記電解質循環部から前記電解質水溶液を供給する電解質供給経路(配管52)と
を有することを特徴とする電解水生成装置。
【0040】
これにより、第1の電気分解部で使用した電解質水溶液を第2の電気分解部で使用することができる。
【0041】
前記電解質循環部に対して電解質水溶液を供給する電解質供給部(電解質供給部14)を有することを特徴とする。
【0042】
これにより、自動的に電解質水溶液の供給を行うことができ、自動での長時間の稼働が可能となる。
【0043】
前記無隔膜電解室に対して電解補助液を供給する電解補助液供給部(電解補助液供給部15)を有することを特徴とする。
【0044】
これにより、第2の電気分解部に適した電解補助液を用いて電解水を生成できる。
【0045】
前記電解質水溶液は、塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする。
【0046】
これにより、安価で安全な塩化ナトリウム水溶液を用いて電解水を生成できる。
【0047】
前記電解補助液は、塩酸を含有することを特徴とする。
【0048】
これにより、第2の電気分解部によって微弱性の酸性電解水を生成することができる。
【0049】
前記電解質循環部は、前記第2の電気分解部が消費する電解質の全量を前記無隔膜電解室に供給することを特徴とする。
【0050】
これにより、電解補助液供給部が不要となるため、電解水生成装置としての構成を簡易にすることができる。
【0051】
前記電解質水溶液は、塩酸及び塩化ナトリウム水溶液であることを特徴とする。
【0052】
これにより、第1の電気分解部によって弱酸性の酸性電解水を、第2の電気分解部によって微酸性の酸性電解水を生成することができる。
【0053】
ユーザの操作に応じて、前記第1の電気分解部又は前記第2の電気分解部のいずれか一方、若しくは両方を稼動させるよう、前記第1の電気分解部及び前記第2の電気分解部を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0054】
これにより、弱酸性の酸性電解水、微酸性の酸性電解水及びこれらを混合した酸性電解水を自在に供給することができる。
【0055】
前記電解質循環部から供給される前記電解質水溶液を貯留して電解補助液の一部とし、前記前記無隔膜電解室に対して電解補助液を供給する電解補助液供給部を有することを特徴とする。
【0056】
これにより、第1の電気分解部のみを稼動して生成された使用済みの電解質水溶液を貯留できるため、第1の電気分解部と第2の電気分解部とを別個に稼動させることが容易となる。
【0057】
電解水生成方法では、原水と3槽型の電解槽において使用された電解質水溶液とを含有する混合水を、1槽型の電解槽によって電気分解することにより電解水を生成することを特徴とする。
【0058】
これにより、3槽型の電解槽において使用された電解質水溶液を1槽型の電解槽によって再利用することができ、環境的にもコスト的にも有利に電解水を生成できる。
【0059】
<他の実施の形態>
上述実施形態では、生成された電解水をそのまま排出するようにしたが、後段にナノバブル生成器を設けて、ナノバブルを含有させて気泡電解水を生成しても良い。かかる気泡電解水生成装置は、例えば特許文献2(特願2014−510996号)に記載されている。
【0060】
上述実施形態では、電解室循環部13をオーバーフローさせることにより、電解室水溶液を無隔膜電解室31又は電解補助液供給部16へ供給するようにしたが、必ずしもオーバーフローさせる必要は無く、必要量だけをポンプなどにより圧送したり、一定回数循環させた後、全量を配管52上に設けられた電解補助液供給部15に供給しても良い。
【0061】
上述実施形態では、第1の電気分解部としての電気分解部12と、第1の原水供給部及び第2の原水供給部としての原水供給部11と、電解質循環部としての電解質循環部13と、第2の電気分解部としての電気分解部16と、電解質供給経路としての配管52とによって電解水生成装置としての電解水生成装置10を構成した。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる、第1の電気分解部と、第1の原水供給部及び第2の原水供給部と、電解質循環部と、第2の電気分解部と、電解質供給経路とによって本発明の電解水生成装置を構成しても良い。
【解決手段】本発明の電解水生成装置は、アノード室とカソード室と、中間室とを有する第1の電気分解部と、アノード室及びカソード室に対して原水を供給する第1の原水供給部と、中間室に対して電解質が溶解した電解質水溶液を供給すると共に、電解質水溶液を回収して循環させる電解質循環部と、無隔膜電解室を有する第2の電気分解部と、無隔膜電解室に対して原水を供給する第2の原水供給部と、無隔膜電解室に対して電解質循環部から電解質水溶液を供給する電解質供給経路とを有する。