特許第6139833号(P6139833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139833部品実装装置および部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139833
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】部品実装装置および部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20170522BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   H05K13/04 Z
   H05K13/04 B
   H05K13/08 Q
【請求項の数】9
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-193731(P2012-193731)
(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公開番号】特開2014-49705(P2014-49705A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】片井 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 一亮
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−141966(JP,A)
【文献】 特開2008−263138(JP,A)
【文献】 特開2003−174292(JP,A)
【文献】 特開平10−027513(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルが取り付けられ、前記複数のノズルを介して吸着した部品を基板に実装可能なヘッド部と、
前記ヘッド部により吸着された前記部品を撮像する撮像部と、
前記撮像部により前記部品を撮像する制御を行う制御部とを備え、
前記部品は、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、前記第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより前記部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含み、
前記制御部は、前記第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行い、少なくとも前記一の撮像ライン以外の撮像ライン上に前記第2部品の割り付けを行なった状態で、前記ヘッド部を前記撮像部に対して前記第1の方向に相対移動させながら前記複数の撮像ライン上に配置された前記第1部品と前記第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像部による1回の撮像動作により、前記複数の撮像ライン上に配置された前記第1部品と前記第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記撮像部は、前記撮像部の撮像中心を含む第1撮像領域と、前記第1撮像領域の外側の第2撮像領域とを含み、
前記制御部は、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致する撮像ライン上に配置された前記第1部品を前記第1撮像領域で撮像するのと同時に、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とを所定距離オフセットさせた状態で前記第2部品を前記第2撮像領域で撮像することにより、前記複数の撮像ライン上に配置された前記第1部品と前記第2部品とを前記撮像部による1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記ヘッド部は、前記複数のノズルが平面視で円周状に配置されたロータリーヘッドであり、
前記制御部は、前記第1部品を前記ロータリーヘッドの回転中心を通る直径方向に沿った互いに対向する前記ノズルに吸着させるとともに前記ノズルに吸着された前記第1部品が前記第1の方向に沿って、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致する撮像ライン上に配置されるように前記ロータリーヘッドを回転させた状態で、前記ロータリーヘッドを前記撮像部に対して前記第1の方向に相対移動させながら前記複数の撮像ライン上に配置された前記第1部品と前記第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項5】
複数のノズルが取り付けられ、前記複数のノズルを介して吸着した部品を基板に実装可能なヘッド部と、
前記ヘッド部により吸着された前記部品を撮像する撮像部と、
前記撮像部により前記部品を撮像する制御を行う制御部とを備え、
前記部品は、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、前記第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより前記部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含み、
前記制御部は、前記第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行い、少なくとも前記他の撮像ライン以外の撮像ライン上に前記第2部品への割り付けを行なった状態で、前記第1部品および前記第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射し、前記ヘッド部を前記撮像部に対して前記第1の方向に相対移動させながら前記複数の撮像ライン上に配置された前記第1部品と前記第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている、部品実装装置。
【請求項6】
前記複数のノズルは、前記第1の方向に沿って配置される第1列ノズル群と、前記第1列ノズル群に対して平面視で前記第1の方向と略直交する第2の方向にずれた状態で前記第1の方向に沿って配置される第2列ノズル群とを含み、
前記制御部は、前記第1部品を前記第1列ノズル群または前記第2列ノズル群のいずれか一方に吸着させるとともに前記第2部品を前記第1列ノズル群または前記第2列ノズル群のいずれか一方または他方に吸着させた状態で、前記第1部品と前記第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている、請求項1〜3および5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記複数のノズルは、前記第1の方向に沿って配列される第1列ノズル群と、前記第1列ノズル群に対して平面視で前記第1の方向と略直交する第2の方向にずれた状態で前記第1の方向に沿って配列される第2列ノズル群とを含み、
撮像時の前記第1部品への前記照明光の照射条件と前記第2部品への前記照明光の照射条件とが切り替え可能に構成された照明部をさらに備え、
前記撮像部は、前記第1の方向に所定幅を有するとともに前記第2の方向にライン状に延びる撮像領域を含み、
前記制御部は、前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致しない前記他の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行った状態で、かつ、互いに隣接する前記第1部品と前記第2部品とが前記第1の方向に沿って前記所定幅以上離間するように、前記第1部品を前記第1列ノズル群または前記第2列ノズル群のいずれか一方に吸着させるとともに前記第2部品を前記第1列ノズル群または前記第2列ノズル群のいずれか一方または他方に吸着させた状態で、前記ヘッド部を前記ライン状に延びる撮像領域に対して前記第1の方向に相対移動させるとともに前記第1部品と前記第2部品とに対する前記照明光の照射条件を切り替えながら前記第1部品と前記第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項8】
部品実装装置のヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら前記第1の方向に沿って延びる複数の撮像ライン上に配置された部品を撮像する際に、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、前記第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより前記部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含む前記部品のうちの前記第1部品が、前記複数の撮像ラインのうちの前記撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行ない、少なくとも前記一の撮像ライン以外の撮像ライン上に前記第2部品の割り付けを行なうステップを備える、部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法。
【請求項9】
部品実装装置のヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら前記第1の方向に沿って延びる複数の撮像ライン上に配置された部品を撮像する際に、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、前記第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより前記部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含む前記部品のうちの前記第1部品が、前記複数の撮像ラインのうちの前記撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行い、少なくとも前記他の撮像ライン上以外の前記撮像ライン上に前記第2部品の割り付けを行なった状態で、前記ヘッド部を前記撮像部に対して前記第1の方向に相対移動させながら、前記第1部品および前記第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射するステップを備える、部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置および部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法に関し、特に、ヘッド部により吸着された部品を撮像する撮像部を備えた部品実装装置および部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッド部により吸着された部品を撮像する撮像部を備えた部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、千鳥状(2列)に配列された複数のノズルを介して部品を吸着する装着ヘッドと、装着ヘッドをノズルの配列方向に沿って相対移動させながら装着ヘッド先端のノズルに吸着された部品を順次撮像するシャッタカメラとを備えた部品実装機(部品実装装置)が開示されている。この部品実装機では、シャッタカメラ(撮像部)の撮像中心をノズル列間に配置した状態で、各列ノズルに保持された個々の部品が、部品毎に照射される照明光の明るさを切り替えながら1回のスキャン動作で交互に撮像(オフセット撮像)されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−16115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された部品実装機では、照明光の明るさを切り替えながら各列の部品を交互に撮像する際、個々の部品の大きさ(形状)に対する照明光のサイズや撮像部(カメラ)とのオフセット量などの撮像条件が適切でない場合には適切な撮像結果が得られず部品認識の精度低下につながる。このため、BGAなどのボール部品等、部品認識精度が得られにくい部品については、オフセット撮像ではなく撮像部の撮像中心とノズル中心とを略一致させて撮像するカメラ中心撮像を適用して認識精度の維持を図る必要性に迫られる。しかしながら、このような場合、各列の部品毎にカメラ中心撮像を逐一行う必要があるため、1回のスキャン動作で全ての部品を撮像することができず、結果的に、部品の撮像時間(撮像動作のタクトタイム)の増加につながる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間を短縮することが可能な部品実装装置、および、部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における部品実装装置は、複数のノズルが取り付けられ、複数のノズルを介して吸着した部品を基板に実装可能なヘッド部と、ヘッド部により吸着された部品を撮像する撮像部と、撮像部により部品を撮像する制御を行う制御部とを備え、部品は、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含み、制御部は、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも一の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なった状態で、ヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による部品実装装置では、上記のように、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行った状態で、ヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを撮像する制御を行うように制御部を構成することによって、部品認識精度が相対的に低い第1部品をある特定の撮像ライン上に集めてグループ化した状態で撮像するとともに、グループ化された第1部品と同じ撮像ラインかまたは別な撮像ライン上に部品認識精度が相対的に高い第2部品を配置して、第1部品の撮像と同一のシーケンス(たとえば1回のスキャン動作)で撮像することができる。つまり、撮像の対象となる部品群の中に部品認識精度が互いに異なる部品同士が混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品を適切に撮像可能な撮像条件に基づいて個々の部品(第1部品および第2部品)を撮像して各々を精度よく認識することができる。これにより、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間を短縮することができる。
【0009】
上記第1の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、撮像部による1回の撮像動作により、複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている。このように、部品認識精度が互いに異なる部品(第1部品および第2部品)が複数の撮像ラインに亘って配置されていても、1回の撮像動作で各々を撮像することができるので、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間の短縮化を確実に図ることができる。
【0010】
上記撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも一の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なった状態において、好ましくは、撮像部は、撮像部の撮像中心を含む第1撮像領域と、第1撮像領域の外側の第2撮像領域とを含み、制御部は、撮像部の撮像中心とノズルの中心とを略一致させた状態で所定の撮像ライン上に配置された第1部品を第1撮像領域で撮像するのと同時に、撮像部の撮像中心とノズルの中心とを所定距離オフセットさせた状態で第2部品を第2撮像領域で撮像することにより、複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを撮像部による1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、より高い認識精度が要求される第1部品を第1撮像領域(撮像部の撮像中心)で精度よく撮像するのと同時に、撮像部の撮像中心から離れた第2撮像領域を有効に使用して第2部品を適切に撮像することができる。これにより、撮像される全ての部品の撮像結果に基づく認識精度を高く維持することができる。
【0011】
上記撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも一の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なった状態において、好ましくは、ヘッド部は、複数のノズルが平面視で円周状に配置されたロータリーヘッドであり、制御部は、第1部品をロータリーヘッドの回転中心を通る直径方向に沿った互いに対向するノズルに吸着させるとともにノズルに吸着された第1部品が第1の方向に沿って、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する撮像ライン上に配置されるようにロータリーヘッドを回転させた状態で、ロータリーヘッドを撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている。
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面における部品実装装置は、複数のノズルが取り付けられ、複数のノズルを介して吸着した部品を基板に実装可能なヘッド部と、ヘッド部により吸着された部品を撮像する撮像部と、撮像部により部品を撮像する制御を行う制御部とを備え、部品は、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含み、制御部は、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品への割り付けを行なった状態で、第1部品および第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射し、ヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら複数の撮像ライン上に配置された第1部品と第2部品とを撮像する制御を行うように構成されている。
この発明の第2の局面による部品実装装置では、上記のように、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品への割り付けを行なった状態で、第1部品および第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射することによって、部品認識精度が相対的に低い第1部品をある特定の撮像ライン上に集めてグループ化した状態で撮像するとともに、グループ化された第1部品と同じ撮像ラインかまたは別な撮像ライン上に部品認識精度が相対的に高い第2部品を配置して、第1部品の撮像と同一のシーケンス(たとえば1回のスキャン動作)で撮像することができる。つまり、撮像の対象となる部品群の中に部品認識精度が互いに異なる部品同士が混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品を適切に撮像可能な撮像条件に基づいて個々の部品(第1部品および第2部品)を撮像して各々を精度よく認識することができる。これにより、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間を短縮することができる。
【0012】
上記撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも一の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なった状態、または、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品への割り付けを行なった状態の構成において、好ましくは、複数のノズルは、第1の方向に沿って配置される第1列ノズル群と、第1列ノズル群に対して平面視で第1の方向と略直交する第2の方向にずれた状態で第1の方向に沿って配置される第2列ノズル群とを含み、制御部は、第1部品を第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方に吸着させるとともに第2部品を第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方または他方に吸着させた状態で、第1部品と第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1部品が第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方のノズル群に集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインに沿って第1部品を容易に撮像することができるとともに、第2部品が第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方または他方のノズル列に集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインに沿って第2部品を容易に撮像することができる。すなわち、1つのヘッド部に複数のノズル列が並行配置されたタンデムヘッドを備えた部品実装装置において、部品の認識精度を維持しながら撮像時間を短縮するという本発明の効果を容易に得ることができる。
【0013】
上記第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品への割り付けを行なった状態の構成において、好ましくは、複数のノズルは、第1の方向に沿って配列される第1列ノズル群と、第1列ノズル群に対して平面視で第1の方向と略直交する第2の方向にずれた状態で第1の方向に沿って配列される第2列ノズル群とを含み、撮像時の第1部品への照明光の照射条件と第2部品への照明光の照射条件とが切り替え可能に構成された照明部をさらに備え、撮像部は、第1の方向に所定幅を有するとともに第2の方向にライン状に延びる撮像領域を含み、制御部は、互いに隣接する第1部品と第2部品とが第1の方向に沿って所定幅以上離間するように、第1部品を第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方に吸着させるとともに第2部品を第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方または他方に吸着させた状態で、ヘッド部をライン状に延びる撮像領域に対して第1の方向に相対移動させるとともに第1部品と第2部品とに対する照明光の照射条件を切り替えながら第1部品と第2部品とを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、第1部品と第2部品とのヘッド部(各ノズル)への割り付けを工夫することで、第1の方向に互いに隣接する第1部品と第2部品との間に撮像部の撮像領域幅以上の隙間(スペース)を確保することができるので、第1部品と第2部品とが撮像ライン方向(第1の方向)に重ならない。すなわち、第1部品が第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方のノズル群に集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインに沿って第1部品を撮像する際の照明光の照射条件と、第2部品が第1列ノズル群または第2列ノズル群のいずれか一方または他方のノズル列に集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインに沿って第2部品を撮像する際の照明光の照射条件とを、撮像部(ライン状に延びる撮像領域)上を通過する部品毎に確実に切り替えて各々の部品を撮像することができる。したがって、1回の撮像動作で各部品(第1部品および第2部品)を共に精度よく撮像することができ、撮像時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
この発明の第3の局面における部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法は、部品実装装置のヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら第1の方向に沿って延びる複数の撮像ライン上に配置された部品を撮像する際に、撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、第1部品よりも部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含む部品のうちの第1部品が、前記複数の撮像ラインのうちの前記撮像部の撮像中心と前記ノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶように前記ヘッド部への前記第1部品の割り付けを行ない、少なくとも前記一の撮像ライン以外の撮像ライン上に前記第2部品の割り付けを行なうステップを備える
【0015】
この発明の第3の局面による部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法は、部品を撮像する際に、第1部品と第2部品とを含む部品のうちの第1部品が、複数の撮像ラインのうちの撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致する一の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行ない、少なくとも一の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なうステップを備えることによって、部品認識精度が相対的に低い第1部品をある特定の撮像ライン上に集めてグループ化した状態で撮像するとともに、グループ化された第1部品と同じ撮像ラインかまたは別な撮像ライン上に部品認識精度が相対的に高い第2部品を配置して、第1部品の撮像と同一のシーケンス(たとえば1回のスキャン動作)で撮像することができる。つまり、撮像の対象となる部品群の中に部品認識精度が互いに異なる部品同士が混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品を適切に撮像可能な撮像条件に基づいて個々の部品(第1部品および第2部品)を撮像して各々を精度よく認識することができる。これにより、部品実装装置における部品撮像時に、部品の認識精度を維持しながら撮像時間を短縮することができる。
この発明の第4の局面による部品実装装置におけるヘッド部への部品の割り付け方法は、部品実装装置のヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら第1の方向に沿って延びる複数の撮像ライン上に配置された部品を撮像する際に、撮像画像中の外形形状が相対的に不鮮明であることにより撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い第1部品と、第1部品よりも撮像画像中の外形形状が相対的に鮮明であることにより部品認識精度が相対的に高い第2部品とを含む部品のうちの第1部品が、複数の撮像ラインのうちの撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン上以外の撮像ライン上に第2部品の割り付けを行なった状態で、ヘッド部を撮像部に対して第1の方向に相対移動させながら、第1部品および第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射するステップを備える。
この発明の第4の局面による部品実装装置では、上記のように、第1部品が第1の方向に沿って延びる複数の撮像ラインのうち、撮像部の撮像中心とノズルの中心とが略一致しない他の撮像ライン上に並ぶようにヘッド部への第1部品の割り付けを行い、少なくとも他の撮像ライン以外の撮像ライン上に第2部品への割り付けを行なった状態で、第1部品および第2部品のそれぞれに対して調整された照明光を切り替えて照射することによって、部品認識精度が相対的に低い第1部品をある特定の撮像ライン上に集めてグループ化した状態で撮像するとともに、グループ化された第1部品と同じ撮像ラインかまたは別な撮像ライン上に部品認識精度が相対的に高い第2部品を配置して、第1部品の撮像と同一のシーケンス(たとえば1回のスキャン動作)で撮像することができる。つまり、撮像の対象となる部品群の中に部品認識精度が互いに異なる部品同士が混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品を適切に撮像可能な撮像条件に基づいて個々の部品(第1部品および第2部品)を撮像して各々を精度よく認識することができる。これにより、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、部品の認識精度を維持しながら、部品の撮像時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態による部品実装装置の全体構成を概略的に示した平面図である。
図2】本発明の第1実施形態による部品実装装置の全体構成を概略的に示した正面図である。
図3】本発明の第1実施形態による部品実装装置におけるヘッドユニットおよび撮像ユニットの詳細な構成(部品撮像時の位置関係)を説明するための平面図である。
図4】本発明の第1実施形態による部品実装装置におけるヘッドユニットおよび撮像ユニットの詳細な構成(部品撮像時の位置関係)を説明するための側面図である。
図5】本発明の第1実施形態による部品実装装置の制御上の構成を示したブロック図である。
図6】本発明の第2実施形態による部品実装装置の全体構成を概略的に示した平面図である。
図7】本発明の第2実施形態による部品実装装置におけるロータリーヘッドおよび撮像ユニットの詳細な構成(部品撮像時の位置関係)を説明するための平面図である。
図8】本発明の第3実施形態による部品実装装置におけるヘッドユニットおよび撮像ユニットの詳細な構成(部品撮像時の位置関係)を説明するための平面図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1図5を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100について説明する。以下では、まず、部品実装装置100の各構成要素について説明し、その後、部品実装装置100の実装動作に含まれる特徴的な動作内容について説明する。
【0020】
本発明の第1実施形態による部品実装装置100は、図1に示すように、クリーム半田(図示せず)が印刷された基板1に、後述するヘッドユニット50を用いて部品2を高速度で実装(搭載)するための装置である。なお、ヘッドユニット50は、本発明の「ヘッド部」の一例である。
【0021】
部品実装装置100は、図1に示すように、基台10と、基台10上(紙面手前側)に設けられた基板搬送部20と、基板搬送部20の両側(Y1側およびY2側)に配置された部品供給部30および40と、基板搬送部20の上方(紙面手前側)をX−Y面に沿って移動可能なヘッドユニット50と、実装前の部品2の状態を撮像する撮像ユニット60と、制御装置70(図5参照)とを備えている。
【0022】
基板搬送部20は、基板1の搬送方向(X方向)に延びる一対のコンベア21を有している。一対のコンベア21は、一方側(X1側)から基板1を受け入れて実装作業位置まで搬送するとともに、実装作業位置において基板1を保持する機能を有している。また、一対のコンベア21は、部品の実装完了後に、実装済みの基板1を他方側(X2側)に搬出する機能も有している。
【0023】
基板搬送部20の後方側(Y1側)に配置された部品供給部30には、X方向に沿って並べられた複数のテープフィーダ31が配置されている。各々のテープフィーダ31には、複数のチップ部品(部品2)を所定の間隔を隔てて保持したテープ(図示せず)が巻回されたリール(図示せず)が保持されている。そして、部品供給部30は、各々のテープフィーダ31から間欠的にテープを繰り出すことによって、テープ上のチップ部品を基板搬送部20近傍の部品供給位置に供給するように構成されている。ここで、チップ部品とは、LSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の電子部品を示す。なお、チップ部品は、本発明の「部品」の一例である。
【0024】
また、基板搬送部20の前方側(Y2側)に配置された部品供給部40には、X方向に所定の間隔を隔ててトレイ41および42が配置されている。トレイ41および42には、ヘッドユニット50による取り出しが可能となるように、QFP(Quad Flat Package)やBGA(Ball Grid Array)などの大型のパッケージ部品が整列して載置されている。なお、パッケージ部は、本発明の「部品」の一例である。
【0025】
ヘッドユニット50は、図1および図2に示すように、部品供給部30および40から供給される部品2を一時的に吸着/保持した状態で基板1上の所定位置まで移送し、その位置で部品2を基板1に実装する機能を有している。具体的には、ヘッドユニット50の下面には、6基の実装ヘッド51が取り付けられている。また、各実装ヘッド51には、先端部が下方(Z1方向)に向けられた部品吸着用のノズル5が取り付けられている。これにより、部品実装動作時には、部品実装装置100に設けられた負圧発生機(図示せず)によりノズル5の先端部(下端部)に発生させた負圧によって部品2が吸着されるように構成されている。
【0026】
また、6基の実装ヘッド51を含むヘッドユニット50は、基台10上をX方向に延びる支持部52を介して移動可能に支持されている。ヘッドユニット50は、支持部52に設けられたX軸サーボモータ53によりボールねじ軸54が回動されることによってX方向に移動される。また、基台10の上面には、Y方向に延びる一対の高架フレーム11が配置されており、高架フレーム11には、Y軸サーボモータ13とボールねじ軸14とが設けられている。ここで、支持部52は、一対の固定レール12を介して高架フレーム11上をX方向に跨いでいる。そして、支持部52は、Y軸サーボモータ13によりボールねじ軸14が回動されることによって高架フレーム11上をY方向に移動される。これにより、ヘッドユニット50は、ボールねじ軸54および14がそれぞれ回転されて、基台10上のX−Y面内を任意の位置に移動することが可能に構成されている。
【0027】
ここで、第1実施形態では、図3に示すように、ヘッドユニット50は、各々がX方向に沿って配置された一対のノズル群5aおよび5bを有している。具体的には、ノズル群5aは、X方向に沿って1列に配置された3基の実装ヘッド51(図1参照)下部のノズル5からなり、ノズル群5bは、ノズル群5aに対して平面視でX方向と略直交するY1方向にずれた状態でX方向に沿って1列に配置された別な3基の実装ヘッド51(図1参照)下部のノズル5からなる。すなわち、6本のノズル5のうち、前列側の3本のノズル5(ノズル群5a)と後列側の3本のノズル5(ノズル群5b)とは、ノズル5の中心間基準で互いにY方向に距離D1だけ離間している。また、ノズル群5aとノズル群5bとをX方向に沿って見た場合、ノズル群5aの中の隣接する2つのノズル5の略中間位置において距離D1だけY1方向に離間した位置にノズル群5b中の1つのノズル5が配置されており、6本のノズル5は全体として千鳥状に配列されている。なお、X方向およびY方向は、それぞれ、本発明の「第1の方向」および「第2の方向」の一例である。また、ノズル群5aおよび5bは、それぞれ、本発明の「第1列ノズル群」および「第2列ノズル群」の一例である。なお、詳細は後述するが、ノズル群5aを構成する3つのノズル5を結んだ線が図3における撮像ラインAに相当し、ノズル群5bを構成する3つのノズル5を結んだ線が図3における撮像ラインBに相当する。なお、距離D1は、本発明の「所定距離」の一例である。
【0028】
また、図4に示すように、各々の実装ヘッド51は、Z方向に昇降可能であるとともに、ノズル5の中心を通る鉛直軸線(Z方向)を回動中心として水平方向(R方向)に回動されるように構成されている。これにより、ノズル5に部品2が吸着された状態で部品2のX−Y面内での保持状態(吸着状態)が調整されるように構成されている。
【0029】
撮像ユニット60は、図1に示すように、基台10上に設けられており、平面視でトレイ41とトレイ42との間に固定的に設置されている。また、撮像ユニット60は、図4に示すように、ヘッドユニット50(図2参照)により部品供給部30および40(図1参照)から取り出された実装直前の部品2を、下面側(Z1側)から撮像する機能を有している。より詳細には、撮像ユニット60は、ヘッドユニット50が撮像ユニット60の上方(Z2側)をX方向(紙面に垂直な方向)に相対的に移動する間に、部品2の下面側の形状を撮像するように構成されている。この場合、図3に示すように、複数(最大6個)の部品2は、ノズル群5aの3つのノズル5およびノズル群5bの3つのノズル5にそれぞれ吸着されるので、最大で6個の部品2がヘッドユニット50とともに撮像ユニット60の上方をX1方向に横切った際に、各部品2の下面側の形状が撮像される。これにより、実装直前の部品2のノズル5に対する保持(吸着)状態が、部品実装装置100(図1参照)に認識されるように構成されている。
【0030】
また、撮像ユニット60は、図4に示すように、カメラ部61と、カメラ部61を収納するケース本体62と、ケース本体62に設けられた照明部63とを備えている。また、カメラ部61は、撮像領域(撮像素子)がY方向にライン状に延びるリニアセンサ65と、スリット66と、光学レンズ67とを含んでいる。ここで、リニアセンサ65は、光学レンズ67の中心部に対応する撮像領域65aと、撮像領域65aの外側(Y方向の両側)の撮像領域65bとを含んでいる。すなわち、図3および図4に示すように、リニアセンサ65における撮像領域65aが、カメラ部61の撮像中心となるように構成されている。なお、カメラ部61は、本発明の「撮像部」の一例である。また、リニアセンサ65の撮像領域65aおよび65bは、それぞれ、本発明の「第1撮像領域」および「第2撮像領域」の一例である。
【0031】
照明部63は、平面視(図3参照)で、ケース本体62に設けられたX方向に短くY方向に長いスリット状の導光窓62aのX方向の両側に配置され、個々のLED(発光ダイオード)をY方向に複数列(3列)並べた平坦照明部63aと、導光窓62aよりも上方(Z2方向)の略擂鉢状の内周傾斜部62bにLEDを全周に亘って並べた傾斜照明部63bとを含んでいる。したがって、図4に示すように、照明部63から撮像用の照明光(破線で示す)がノズル5に保持された部品2に照射された場合、部品2からのZ1方向への反射光が導光窓62aを通過した後、光学レンズ67および直線状のスリット66(幅W1:図3参照)を通過してカメラ部61内の撮像領域65aおよび65bにおける撮像素子上に結像される。
【0032】
制御装置70は、図5に示すように、部品実装装置100の部品実装動作に関する全体的な動作を制御する。具体的には、制御装置70は、CPUからなる主制御部71と、記憶部72と、カメラ制御部73と、画像処理部74と、駆動制御部75とを含んでいる。なお、主制御部71は、本発明の「制御部」の一例である。
【0033】
主制御部71は、記憶部72に記憶されている実装プログラムに従って駆動制御部75を介して部品実装装置100の各駆動機構(基板搬送部20およびヘッドユニット50)を統括的に制御する機能を有している。また、記憶部72には、実装される部品2の部品名称、部品番号、部品の形状などの個々の部品が特定可能な情報を含む「部品情報」が格納されている。このような部品情報は、オペレータが種々の部品2をテープフィーダ31(図1参照)やトレイ41および42(図1参照)などに補充する段取り作業を行う際に、図示しない入力装置(PC端末)を介して部品実装装置100(記憶部72)に予め登録される。
【0034】
また、主制御部71は、実装プログラムと、記憶部72に格納された部品情報とに基づいて、実装される部品2に応じた部品実装装置100の制御動作を行う。画像処理部74は、カメラ部61(リニアセンサ65)が取得した画像データに所定の画像処理を施す機能を有している。そして、主制御部71は、画像処理部74による画像処理結果(撮像結果)に基づいて、ノズル5を介してヘッドユニット50により吸着された部品2(図4参照)の保持状態を認識するように構成されている。このようにして、第1実施形態における部品実装装置100は構成されている。
【0035】
次に、図1図5を参照して、部品実装装置100において、主制御部71の制御に基づいて実行される部品2の実装動作について説明する。
【0036】
まず、実装プログラムに基づき、ヘッドユニット50(図1参照)が初期位置から部品供給部30上および部品供給部40上へと順次移動されて、各々のノズル5の先端部(下端部)に部品2(図2参照)が吸着される。そして、最大で6個の部品2が各々のノズル5に吸着された後、図3および図4に示すように、ヘッドユニット50(図3参照)は、撮像ユニット60上をX1方向に通過する。また、この際、撮像対象となる個々の部品2が撮像ユニット60の上方に到達する直前のタイミングで照明部63が点灯を開始し、全ての部品2が撮像ユニット60の上方を通過し終わるまで照明部63の点灯が継続される。そして、この間に、カメラ部61(リニアセンサ65)により、実装直前の各部品2のノズル5に対する保持状態(吸着状態)が順次撮像される。
【0037】
ここで、第1実施形態では、各ノズル5に吸着された部品2の撮像方法に関して、以下のような特徴的な手法(ヘッドユニット50への部品2の割り付け方法)を適用している。
【0038】
具体的には、部品2が、撮像ユニット60による撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い部品類に属する部品2a(図3参照)と、部品2aよりも部品認識精度が相対的に高い部品類に属する部品2b(図3参照)とを含むような場合において、撮像前(ヘッドユニット50が移動されて各々のノズル5の先端部に部品2が吸着される際)に、部品2aがX方向に沿って延びる2本の撮像ラインAおよびBのうちの撮像ラインA上に並ぶようにノズル群5a側のノズル5に対して部品2aを吸着させるような割り付け動作をヘッドユニット50に行わせる。また、部品2bについては、部品2aが吸着されていないノズル5(ノズル群5aおよび/またはノズル群5b)に対して吸着させるようにヘッドユニット50を動作させる。ここで、図3に示す例では、ノズル群5aには2個の部品2aと1個の部品2bが吸着されるとともに、ノズル群5bには3個の部品2bが吸着された状態となっている。そして、2個の部品2aが撮像ラインA上に並ぶようにノズル群5a側に割り付けられた状態で、ヘッドユニット50を撮像ユニット60に対してX1方向に移動させながら撮像ラインA上に配置された2個の部品2aと、撮像ラインA上に1個および撮像ラインB上に3個が配置された合計4個の部品2bとを、カメラ部61により撮像するように構成されている。なお、部品2aおよび部品2bは、それぞれ、本発明の「第1部品」および「第2部品」の一例である。また、撮像ラインAおよび撮像ラインBは、本発明の「複数の撮像ライン」の一例であり、撮像ラインAは、本発明の「所定の撮像ライン」の一例である。
【0039】
なお、図3に示した撮像ラインAおよびBは、実際に線状(ライン状)の構造物が存在するわけではない。第1実施形態では、ノズル群5aを構成する3つのノズル5がX方向並んだ位置を結んだ線を便宜的に撮像ラインAと定義し、ノズル群5bを構成する3つのノズル5がX方向に並んだ位置を結んだ線を便宜的に撮像ラインBと定義している。すなわち、6つのノズル5が3つずつタンデム配置されたヘッドユニット50には、2本の仮想上の撮像ラインが存在する。
【0040】
また、部品2aとしては、メルフチップやBGAなどのボール状(半球状)部分を含む部品など、電子部品の外形形状に丸みを帯びた角部などの曲線部が含まれる部品が該当する。図4に示すように、カメラ部61により部品2aを下面側から撮像した場合、平坦照明部63aおよび傾斜照明部63bが有する光強度に位置的な強弱を付けて照明部63による照明光の照射条件(撮像条件)を工夫したとしても、部品2aの丸みを帯びた外形に起因して撮像画像には不鮮明さが残り、撮像結果に基づく部品認識精度が低くなる。一方、部品2bとしては、抵抗チップ部品やQFP部品などのリード端子の先端形状(部品の外形形状)がはっきりしている部品が該当する。カメラ部61により部品2bを下面側から撮像した場合、外形形状(輪郭)がシャープな撮像画像として得られるので、撮像結果に基づく部品認識精度が部品2aに比べて高くなる。
【0041】
したがって、第1実施形態では、実装プログラムにしたがって部品供給部30および40から部品2をノズル5に吸着させる際、予め部品認識精度が相対的に低い部品2a(最大3個)が必ず撮像ラインA上に並ぶようにノズル群5aに部品2aを吸着させるとともに、部品2aよりも部品認識精度が相対的に高い部品2bについては、部品2aが吸着していないノズル群5a中の余ったノズル5か、または、ノズル群5b側の各ノズル5に吸着させる動作が、主制御部71(図5参照)の指令に基づいて実行される。そして、図3に示すように、撮像ラインAに沿ってヘッドユニット50を撮像ユニット60に対してX1方向に移動させながら2個の部品2aおよび4個の部品2bを1回の撮像動作(スキャン動作)で撮像するように構成されている。なお、ヘッドユニット50による1回の吸着動作(6個の部品2の吸着動作)においては、各部品2の「部品情報」が記憶部72(図5参照)に予め登録されているので、部品2aをノズル群5aに優先的に吸着させるとともにノズル群5bには部品2bを吸着させるようにヘッドユニット50が駆動される。
【0042】
また、第1実施形態では、部品2の撮像(スキャン動作)が行われる際、カメラ部61(リニアセンサ65)の撮像中心とノズル5の中心とを略一致させた状態で撮像ラインA上に配置された部品2aをリニアセンサ65の撮像領域65aで撮像するのと同時に、カメラ部61の撮像中心とノズル5の中心とを距離D1だけオフセットさせた状態で部品2bを撮像領域65bで撮像することにより、撮像ラインAおよびB上に配置された部品2aおよび部品2bを、カメラ部61による1回の撮像動作で撮像する動作が、主制御部71(図5参照)の指令に基づいて実行されるように構成されている。
【0043】
すなわち、部品実装装置100では、カメラ部61による1回の撮像動作において、ノズル5に吸着された部品2aに対するカメラ中心撮像(Y方向においてカメラ部61の撮像中心と各ノズル5の中心とを略一致させた状態でヘッドユニット50をカメラ部61に対してX1方向に移動させながら部品2aを撮像する動作)と、ノズル5に吸着された部品2bに対するオフセット撮像(Y方向においてカメラ部61の撮像中心と各ノズル5の中心とを距離D1だけY1方向にずらした状態でヘッドユニット50をカメラ部61に対してX1方向に移動させながら部品2bを撮像する動作)とを同時に行うことが可能に構成されている。この場合、部品認識精度が低い(劣る)傾向にある部品2aをリニアセンサ65の中心部が含まれる撮像領域65aで撮像するので、照明部63による照明光の照射条件を軸対称化しやすくする(各LEDからの光の強度が撮像中心から等方性を有するような照射条件にする)ことができて、より鮮明な撮像画像を得ることが可能となる。一方、撮像ラインB上の3個の部品2bについては、オフセット撮像であっても部品認識精度に影響のないような撮像画像が得られる。
【0044】
より詳細には、図4に示すように、傾斜照明部63bからの照明光(破線矢印)は、カメラ部61の撮像中心と一致するように形成された導光窓62aの中心の上方(Z2方向)に向かうとともに、導光窓62aのX方向両側の平坦照明部63aからの照明光(破線矢印)も導光窓62aのY方向における中央の上方に向かって照射される。これにより、導光窓62aの中央の上方で明るさが増加するので、カメラ中心撮像において、導光窓62aの中心上方をX方向に通過する部品2aは、下方および下方斜めから全域に亘っておおよそ満遍なく照明光を受ける。したがって、ノズル5の中心を基準として部品2aの正確な画像が得られ、部品認識精度が維持される。反対に、たとえば、部品2aが撮像ラインBに相当する位置(ノズル群5b側)に吸着されていた場合には、部品2aの下面に照射される照明光の強度がY方向に沿って非対称となるので部品2aの丸みを帯びた外形に起因して不鮮明な撮像画像しか得られない。すなわち、部品実装装置100では、部品認識精度が相対的に低い部品2aを常にカメラ中心撮像で撮像するような動作構成が前提となっている。
【0045】
このように、第1実施形態では、部品認識精度が互いに異なる部品2aおよび部品2bが混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品に適した撮像条件に基づいて個々の部品(部品2aおよび部品2b)を撮像して各々を精度よく認識することが可能とされている。
【0046】
また、撮像ユニット60による部品2(部品2aおよび部品2b)の撮像が終了すると、撮像ユニット60により撮像された各部品の撮像結果に基づいて部品2の吸着状態(実装ヘッド51に対する各部品2のX方向、Y方向およびR方向の位置ずれや傾きの状態)や部品2の欠陥の有無などが主制御部71(図5参照)によって認識される。そして、撮像された部品2の中に不良部品や吸着位置の補正が不可能な状態の部品がある場合には、当該部品が廃棄対象部品としてデータ登録された上で、廃棄対象以外の正常な部品2(図1参照)が、順次、基板1上に実装される。この際、部品2の認識結果に基づいて、部品2が適切な位置に実装されるようにヘッドユニット50の位置(X方向、Y方向)および各実装ヘッド51の回動角度(R方向)などが補正される制御が主制御部71(図5参照)によって実施される。このようにして実装動作の1回のサイクルが終了し、以降、実装プログラムに基づいて上記動作が繰り返される。
【0047】
また、部品実装装置100では、一度に6個の部品2を撮像することが可能である。この際、図3に示す例では、部品2aを一方側のノズル列(ノズル群5a)に集めることによって、2個の部品2aと4個の部品2bとを同時に撮像して1回の撮像(スキャン動作)で済ませている。また、部品2aに対するカメラ中心撮像と部品2bに対するオフセット撮像とを同時に実行している。これに対して、本発明を適用することなく、たとえば、部品2aを一方側のノズル列(ノズル群5a)と他方側のノズル列(ノズル群5b)と散在させた場合には、部品認識精度を維持するためには各々のノズル列において部品2aに対するカメラ中心撮像を繰り返す(撮像ラインAに沿ったカメラ中心撮像でのスキャン動作と撮像ラインBに沿ったカメラ中心撮像でのスキャン動作との2回の撮像動作を行う)必要が生じる。このように、本発明を適用しない場合と比較して本発明を適用した場合では、1個の吸着グループ(最大で6個の部品2)に対する撮像シーケンス数を従来の半分の回数(2回から1回)に削減することが可能となり、撮像動作のタクトタイム低減が確実に図られる。
【0048】
第1実施形態では、上記のように、部品2aがX方向に沿って延びる撮像ラインA上に並ぶようにヘッドユニット50への部品2aの割り付けを行った状態で、ヘッドユニット50を撮像ユニット60(カメラ部61)に対してX1方向に移動させながら撮像ラインAおよびB上に配置された部品2aと部品2bとを撮像する制御を行うように主制御部71を構成することによって、ヘッドユニット50(各ノズル5)への部品2の吸着順序(割り付け)を工夫することで部品認識精度が相対的に低い部品2aをある特定の撮像ラインA上に集めてグループ化した状態で撮像するとともに、グループ化された部品2aと同じ撮像ラインAかまたは並行する撮像ラインB上に部品認識精度が相対的に高い部品2bを配置して、部品2aの撮像と同一のシーケンス(1回のスキャン動作)で共に撮像することができる。つまり、撮像の対象となる部品2の中に部品認識精度が互いに異なる部品2aおよび部品2bが混在した状態でも、共通の撮像シーケンスの中で各部品を適切に撮像可能な撮像条件に基づいて部品2aおよび部品2bを個々に撮像して各々を精度よく認識することができる。これにより、部品2(部品2aおよび部品2b)の認識精度を維持しながら、部品2(部品2aおよび部品2b)の撮像時間を短縮することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、撮像ユニット60(カメラ部61)による1回の撮像動作により、撮像ラインAおよびB上に配置された部品2aと部品2bとを撮像する制御を行うように主制御部71を構成する。このように、部品認識精度が互いに異なる部品2(部品2aおよび部品2b)が撮像ラインAおよびBに亘って配置されていても、1回の撮像動作で各々を撮像することができるので、部品2(部品2aおよび部品2b)の認識精度を維持しながら撮像時間の短縮化を確実に図ることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、カメラ部61(撮像ユニット60)は、カメラ部61の撮像中心を含む撮像領域65aと、撮像領域65aの両外側の撮像領域65bとを含み、カメラ部61(リニアセンサ65)の撮像中心とノズル5の中心とを略一致させた状態で撮像ラインA上に配置された2個の部品2aを撮像領域65aで撮像するのと同時に、カメラ部61の撮像中心とノズル5の中心とを距離D1だけY1方向にオフセットさせた状態で3個の部品2bを撮像領域65bで撮像することにより、撮像ラインAおよびB上に配置された部品2aと部品2bとをカメラ部61(撮像ユニット60)による1回の撮像動作で撮像する制御を行うように主制御部71を構成する。これにより、より高い認識精度が要求される部品2aを撮像領域65a(カメラ部61の撮像中心)で精度よく撮像するのと同時に、カメラ部61の撮像中心から離れた撮像領域65bを有効に使用して部品2bを適切に撮像することができる。したがって、撮像される全ての部品2(部品2aおよび部品2b)の撮像結果に基づく認識精度を高く維持することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、複数(6本)のノズル5は、X方向に沿って配置されるノズル群5aと、ノズル群5aに対して平面視でX方向と略直交するY1方向にずれた状態でX方向に沿って配置されるノズル群5bとを含んでいる。そして、2個の部品2aをノズル群5aに吸着させるとともに4個の部品2bをノズル群5a(1個)およびノズル群5b(3個)に吸着させた状態で、部品2aと部品2bとを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように主制御部71を構成する。これにより、2個の部品2aがノズル群5aに集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインAに沿って部品2aを容易に撮像することができるとともに、4個の部品2bのうちの3個の部品2bがノズル群5bに集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインBに沿って部品2bを容易に撮像することができる。すなわち、1個のヘッドユニット50に2本のノズル列(ノズル群5aおよびノズル群5b)が並行配置されたタンデムヘッドを備えた部品実装装置100において、部品2(部品2aおよび部品2b)の認識精度を維持しながら撮像時間を短縮するという効果を容易に得ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、図1図6および図7を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、2基のロータリーヘッド255を備えた部品実装装置200の部品実装動作に、本発明を適用する例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0053】
本発明の第2実施形態における部品実装装置200は、図6に示すように、2基のロータリーヘッド255がヘッドユニット250の下面側にX方向に並んで取り付けられている。各々のロータリーヘッド255には、実装ヘッド256を介して複数(8個)のノズル6(図7参照)が平面視で円周状に配置されている。各ノズル6は、ロータリーヘッド255の回転方向Rに沿って約45度間隔で配置されており、各ノズル6は、円周方向に沿って位置が自在に移動(調整)されるように構成されている。なお、ヘッドユニット250は、本発明の「ヘッド部」の一例である。
【0054】
また、部品実装装置200においても部品実装装置100(図1参照)と同様に、ヘッドユニット250(ロータリーヘッド255)により部品供給部30および40から取り出された実装直前の部品2が撮像ユニット60を用いて下面側(Z1側)から撮像されるように構成されている。
【0055】
ここで、第2実施形態では、各ノズル6に吸着された部品2の撮像方法に関して、以下のような特徴的な手法(ロータリーヘッド255の動作内容)を適用している。
【0056】
具体的には、図7に示すように、撮像結果に基づく部品認識精度が相対的に低い部品類に属する部品2aをロータリーヘッド255の回転中心Pを通る直径方向に沿った互いに対向するノズル6に吸着させるとともにノズル5に吸着された部品2aがX方向に沿って撮像ラインC上に配置されるようにロータリーヘッド255を回転させる動作が主制御部71の指令に基づいて実行される。また、部品認識精度が相対的に高い部品類に属する部品2bについては、部品2aが吸着されていないノズル6に対して吸着させるようにロータリーヘッド255を動作させる。この場合、図7におけるX1側のロータリーヘッド255において部品2aが吸着された回転位置と、X2側のロータリーヘッド255において部品2aが吸着された回転位置とが共に撮像ラインC上に配置されるように各々のロータリーヘッド255が回転されて停止される。つまり、図7においては、4個の部品2aが撮像ラインCに沿ってX方向に1列に並べられた状態が形成される。ここで、撮像ラインCは、ロータリーヘッド255の回転中心PをX方向に通る直線に対応している。
【0057】
そして、この状態で、ヘッドユニット250(ロータリーヘッド255)をカメラ部61(撮像ユニット60)に対してX1方向に移動させながら撮像ラインC上に配置された4個の部品2aと、撮像ラインB1、B2、B3およびB4上に配置された12個の部品2bとを、カメラ部61による1回の撮像動作で撮像することが主制御部71の指令に基づいて実行されるように構成されている。なお、撮像ラインB1〜B4および撮像ラインCは、本発明の「複数の撮像ライン」の一例であり、撮像ラインCは、本発明の「所定の撮像ライン」の一例である。
【0058】
すなわち、部品実装装置200では、カメラ部61による1回の撮像動作において、ノズル6に吸着された4個の部品2aに対するカメラ中心撮像(Y方向においてカメラ部61の撮像中心と各ノズル6の中心とを略一致させた状態でヘッドユニット250をカメラ部61に対してX1方向に移動させながら部品2aを撮像する動作)と、ノズル6に吸着された12個の部品2bに対するオフセット撮像(Y方向においてカメラ部61の撮像中心と各ノズル6の中心とを距離D2および距離D2+D3だけずらした状態でロータリーヘッド255をカメラ部61に対してX1方向に移動させながら部品2bを撮像する動作)とを同時に行うことが可能に構成されている。
【0059】
なお、図7に示す例では、撮像ラインC上にのみ部品2aが並べられ、他の撮像ラインに対応するノズル6には部品2bが吸着された状態で1回の撮像動作で全て(16個)の部品2を一度に撮像しているが、実装工程によっては、1つのロータリーヘッド255に2個以上(3個〜最大8個)の部品2aを吸着させるような場合も生じる。このような場合でも、各ロータリーヘッド255において一対の部品2aを互いに回転中心Pに対して180度で対向する位置のノズル6に極力吸着させるとともに、常に未撮像の部品2aが吸着されたノズル6同士を2基のロータリーヘッド255とも撮像ラインC上に一列に並べるようにヘッドユニット250の動作制御を行った上で、都度撮像を行うことが好ましい。なお、部品実装装置200のその他の構成については、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
第2実施形態では、上記のように、部品実装装置200は、複数のノズル6が平面視で円周状に配置された2基のロータリーヘッド255を備えている。そして、部品2aを各々のロータリーヘッド255の回転中心Pを通る直径方向に沿った互いに対向するノズル6に吸着させるとともにノズル6に吸着された部品2aがX方向に沿って撮像ラインC上に配置されるように各々のロータリーヘッド255を回転させた状態で、ヘッドユニット250(ロータリーヘッド255)を撮像ユニット60に対してX1方向に移動させながら撮像ラインCおよび撮像ラインB1〜B4上に配置された部品2aと部品2bとを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように主制御部71を構成する。これにより、部品2aが各々のロータリーヘッド255内の直径方向に沿って対向する2個のノズル6に吸着された状態でこの2個のノズル6を通る撮像ラインCに沿って部品2aを容易に撮像することができるとともに、12個の部品2bが上記2個のノズル6以外のノズル6に吸着された状態で部品2bを部品2aとともに容易に撮像することができる。すなわち、複数のノズル6が円周状に配置されたロータリーヘッド255を備えた部品実装装置200において、部品2(部品2aおよび部品2b)の認識精度を維持しながら撮像時間を短縮するという効果を容易に得ることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0061】
(第3実施形態)
次に、図1および図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に構成されたヘッドユニット50を備えた部品実装装置105において、第1実施形態とは異なる撮像動作により部品2(部品2aおよび部品2b)の撮像を行う例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
【0062】
本発明の第3実施形態における部品実装装置105(図1参照)においては、図8に示すように、互いにY方向に距離D4だけ離間したノズル群5aとノズル群5bとの中間位置(双方のノズル5から距離D4(=D1/2)の位置)に沿った中央ラインEとカメラ部61(リニアセンサ65)の撮像中心とを略一致させた状態で、ノズル群5a側に吸着された2個の部品2aとノズル群5a側およびノズル群5b側に吸着された4個の部品2bとを1回のスキャン動作で撮像するように構成されている。つまり、2個の部品2a(および1個の部品2b)は、中央ラインEに対してY2方向に距離D4だけオフセットされた撮像ラインF上に並ベられた状態でリニアセンサ65のY2側の撮像領域65bでオフセット撮像されるとともに、3個の部品2bは、中央ラインEに対してY1方向に距離D4だけオフセットされた撮像ラインG上に並ベられた状態でリニアセンサ65のY1側の撮像領域65bでオフセット撮像される。なお、撮像ラインFおよび撮像ラインGは、本発明の「複数の撮像ライン」の一例であり、撮像ラインFは、本発明の「所定の撮像ライン」の一例である。」
【0063】
この際、第3実施形態では、照明部63は、部品2aを撮像する際の部品2aへの照明光の照射条件と、部品2bを撮像する際の部品2bへの照明光の照射条件とが切り替え可能に構成されている。すなわち、Y2側の撮像領域65b上を部品2aが通過する際には部品2aを最も鮮明に撮像するように調整された照明光が照射され、Y1側の撮像領域65b上を部品2bが通過する際には部品2bを最も鮮明に撮像するように調整された照明光が照射される。なお、ノズル群5a側の1個の部品2bについては、同じノズル列の部品2aへの照明光の照射条件であっても部品認識精度に影響のないレベルで適切に撮像される。すなわち、部品実装装置105では、平坦照明部63aおよび傾斜照明部63bが有する光強度に位置的な強弱を付けて照明部63による照明光の照射条件(撮像条件)を工夫することによって、部品認識精度が相対的に低い部品2aについてもオフセット撮像で適切に撮像可能であるような構成が前提となっている。
【0064】
そして、第3実施形態では、リニアセンサ65がX方向に幅W1(撮像領域65bの幅)を有していた場合、撮像前のヘッドユニット50による部品2の割り付け動作においては、互いに隣接する部品2aと部品2bとがX方向に沿って幅W1以上離間するように、部品2aをノズル群5aに吸着させるとともに部品2bをノズル群5bに吸着させる動作が行われる。すなわち、図8に示すように、ヘッドユニット50への部品2の割り付け状態をX1側からX2側に向けて順に見た場合、先頭(最もX1側)の部品2aと次位(2番目)の部品2bとは、距離W2(W2>W1)だけ離間して互いに吸着され、部品2bとその次(3番目)の部品2aとは、距離W3(W3>W1)だけ離間して互いに吸着される。同様に、3番目の部品2aと4番目の部品2bとは、距離W4(W4>W1)だけ離間して互いに吸着され、4番目の部品2bと5番目の部品2bとは、距離W5(W5>W1)だけ離間して互いに吸着される。また、5番目の部品2bと6番目(最もX2側)の部品2bとは、距離W6(W6>W1)だけ離間して互いに吸着されている。このような割り付け状態のもとで、ヘッドユニット50をライン状に延びるリニアセンサ65の撮像領域65bに対してX1方向に移動させるとともに部品2aと部品2bとに対する照明光の照射条件を交互に切り替えながら部品2aと部品2bとを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように構成されている。なお、図8においては、ヘッドユニット50がリニアセンサ65上まで移動した際に、部品間距離(幅W2〜幅W6)がリニアセンサ65の幅W1よりも大きいことを明確に示すために、リニアセンサ65の外形形状(破線で示す)が部品間に配置された状態を図示している。
【0065】
このように、部品2aと部品2bとのヘッドユニット50(各ノズル5)への割り付けを工夫することで、X方向に互いに隣接する部品2aと部品2bとの間に撮像部の撮像領域65bが有する幅W1以上の隙間(幅W2〜W6)が確保されるので、部品2aと部品2bとが撮像ラインFの方向(X方向)に重ならない。すなわち、部品2aがノズル群5aに集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインFに沿って部品2aを撮像する際の照明光の照射条件と、部品2bがノズル群5bのノズル列に集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインGに沿って部品2bを撮像する際の照明光の照射条件とを、リニアセンサ65(撮像領域65b)上を通過する部品毎に確実に切り替えて各々の部品を撮像することが可能であるように構成されている。
【0066】
なお、上記した第3実施形態とは異なり、もし、隣接する部品2aと部品2bとがX方向に重なる部分が存在するような割り付け状態であった場合には、部品2a(または部品2b)の照射条件のもとで部品2b(または部品2a)の一部を撮像する状況が発生してしまうので、各々の部品2を高精細に撮像することができない。したがって、隣接する部品間距離を撮像領域65bの幅W1以上確保するような割り付け状態を実施していないと、第3実施形態における撮像動作およびその効果を適正に得ることができない。
【0067】
第3実施形態では、上記のように、撮像時の部品2aへの照明光の照射条件と部品2bへの照明光の照射条件とが切り替え可能に構成された照明部63を備えている。また、リニアセンサ65は、X方向に幅W1を有するとともにY方向にライン状に延びる撮像領域65bを含んでいる。そして、互いに隣接する部品2aと部品2bとがX方向に沿って幅W1以上離間するように、部品2aをノズル群5aに吸着させるとともに部品2bをノズル群5bに吸着させた状態で、ヘッドユニット50をライン状に延びる撮像領域65bに対してX1方向に移動させるとともに部品2aと部品2bとに対する照明光の照射条件を切り替えながら部品2aと部品2bとを1回の撮像動作で撮像する制御を行うように主制御部71を構成する。これにより、部品2aと部品2bとのヘッドユニット50(各ノズル)への割り付けを工夫することで、X方向に互いに隣接する部品2aと部品2bとの間に撮像ユニット60の撮像領域幅W1以上の隙間(幅W2〜W6)を確保することができるので、部品2aと部品2bとが撮像ラインAの方向(X方向)に重ならない。すなわち、部品2aがノズル群5aに集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインFに沿って部品2aを撮像する際の照明光の照射条件と、部品2bがノズル群5bに集められた状態でこのノズル列上の撮像ラインGに沿って部品2bを撮像する際の照明光の照射条件とを、撮像ユニット60(ライン状に延びる撮像領域)上を通過する部品2毎に確実に切り替えて各々の部品2を撮像することができる。したがって、1回の撮像動作で各部品2(部品2aおよび部品2b)を共に精度よく撮像することができ、撮像時間の短縮化を図ることができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0068】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0069】
たとえば、上記第1実施形態では、撮像ラインAに対応するノズル群5a側のノズル5に対して部品2aを吸着させるような割り付け動作を行った例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、撮像ラインBに対応するノズル群5b側のノズル5に対して部品2aを吸着させるような割り付け動作を行うとともに、部品2bについては、部品2aが吸着されていないノズル5(ノズル群5bおよび/またはノズル群5a)に対して吸着させた状態で、撮像ラインB上に配置された部品2aと、撮像ラインBおよび/または撮像ラインA上に配置された部品2bとをカメラ部61により撮像してもよい。この場合、カメラ部61(リニアセンサ65)の撮像中心と部品2aを吸着するノズル群5b側のノズル5の中心とを略一致させた状態で部品2aと部品2bとを1回の撮像動作で撮像するのが好ましい。この場合、撮像ラインBが、本発明の「所定の撮像ライン」の一例になる。
【0070】
また、上記第1および第3実施形態では、2本のノズル列(ノズル群5aおよび5b)がタンデム配置されたヘッドユニット50を部品実装装置100(105)に適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、3列以上のノズル列がタンデム配置されたヘッド部を備えた部品実装装置に対しても、本発明を適用してもよい。
【0071】
また、上記第1および第3実施形態では、3本のノズル5によってノズル群5aおよび5bの各々を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。2本かまたは4本以上のノズル5によってノズル群5aおよび5bの各々を構成してもよい。また、上記第2実施形態では、8本のノズル6によって1つのロータリーヘッド255を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。8本以外の複数のノズル6によって1つのロータリーヘッド255を構成してもよい。
【0072】
また、上記第2実施形態では、2基のロータリーヘッド255を備えたヘッドユニット250を部品実装装置200に適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、3基以上のロータリーヘッドを備えた部品実装装置に対しても、本発明を適用してもよい。
【0073】
また、上記第1実施形態では、ヘッドユニット50における各ノズル5が千鳥状に配置された例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、同じタンデム配置でも、ノズル群5aとノズル群5bとが格子状(碁盤目状)に配置されたヘッドユニットの動作制御に対しても、本発明を適用してもよい。
【0074】
また、上記第1〜第3実施形態では、リニアセンサ65を用いてカメラ部61を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。リニアセンサ以外のたとえば二次元イメージセンサ(CCDエリアセンサ)を用いてカメラ部61を構成してもよい。二次元イメージセンサを有するカメラ部61は電子シャッター機能を備えているので、シャッター速度の設定により、各ノズル5に吸着された部品2がX方向において撮像ユニット60の上方位置となる各撮像タイミングにおいても、ヘッドユニット50の移動速度を落とすことなく撮像が可能となるので、複数の部品2を認識するための時間を短縮することができる。
【0075】
また、上記第1〜第3実施形態では、基台10に固定された撮像ユニット60に対してヘッドユニット50(250)をX1方向に移動させながらノズル5(6)に吸着された部品2を撮像するように部品実装装置100(105、200)を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、撮像ユニット60に対してヘッドユニット50(250)をX2方向に移動させながらノズル5(6)に吸着された部品2を撮像してもよい。
【0076】
また、上記第1〜第3実施形態では、基台10に固定された撮像ユニット60に対してヘッドユニット50(250)をX1方向に移動させながらノズル5(6)に吸着された部品2を撮像するように部品実装装置100(105、200)を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、所定位置に静止されたヘッドユニット50に対して、基台10上を移動可能に構成された撮像ユニット60をX方向に相対移動させながらノズル5に吸着された部品2を撮像するように部品実装装置100を構成してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 基板
2 部品
2a 部品(第1部品)
2b 部品(第2部品)
5、6 ノズル
5a (ノズル群)第1列ノズル群
5b (ノズル群)第2列ノズル群
50、250 ヘッドユニット(ヘッド部)
61 カメラ部(撮像部)
63 照明部
65a 撮像領域(第1撮像領域)
65b 撮像領域(第2撮像領域)
71 主制御部(制御部)
100、105、200 部品実装装置
255 ロータリーヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8