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特許6139835風音低減回路およびそれを用いたオーディオ信号処理回路、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139835
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】風音低減回路およびそれを用いたオーディオ信号処理回路、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H04R3/00 320
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-203270(P2012-203270)
(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公開番号】特開2014-60523(P2014-60523A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】丸子 亜登
【審査官】 北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−036831(JP,A)
【文献】 特開2012−129652(JP,A)
【文献】 特開2008−245254(JP,A)
【文献】 特開2010−157964(JP,A)
【文献】 特開2005−110127(JP,A)
【文献】 特開平06−269084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チャンネルのマイクと第2チャンネルのマイクそれぞれにより取得された第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号を受ける風音低減回路であって、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記強度が所定の最小値MINより小さい領域において、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、
前記強度が前記最小値MINより大きくなると、前記カットオフ周波数を緩やかに増大させ、
前記ハイパスフィルタは、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の差成分を生成する第1減算器と、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の和成分を生成する第1加算器と、
前記第1減算器により生成された前記差成分の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、
前記第1加算器により生成された前記和成分の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の和を生成する第2加算器と、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の差を生成する第2減算器と、
を含み、
前記制御部は、前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタのそれぞれのカットオフ周波数を、前記風音の強度に応じて設定することを特徴とする風音低減回路。
【請求項2】
第1チャンネルのマイクと第2チャンネルのマイクそれぞれにより取得された第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号を受ける風音低減回路であって、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記強度が所定の最小値MINより小さい領域において、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、
前記強度が前記最小値MINより大きくなると、前記カットオフ周波数を単調増加させ、かつ前記カットオフ周波数の傾きをゼロから増加させ、
前記ハイパスフィルタは、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の差成分を生成する第1減算器と、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の和成分を生成する第1加算器と、
前記第1減算器により生成された前記差成分の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、
前記第1加算器により生成された前記和成分の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の和を生成する第2加算器と、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の差を生成する第2減算器と、
を含み、
前記制御部は、前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタのそれぞれのカットオフ周波数を、前記風音の強度に応じて設定することを特徴とする風音低減回路。
【請求項3】
第1チャンネルのマイクと第2チャンネルのマイクそれぞれにより取得された第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号を受ける風音低減回路であって、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記強度が所定の最小値MINより小さい領域において、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、
前記強度が前記最小値MINより大きくなると、前記カットオフ周波数を前記強度の2次関数として増大させ、
前記ハイパスフィルタは、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の差成分を生成する第1減算器と、
前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の和成分を生成する第1加算器と、
前記第1減算器により生成された前記差成分の低周波成分を除去する第1ハイパスフィルタと、
前記第1加算器により生成された前記和成分の低周波成分を除去する第2ハイパスフィルタと、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の和を生成する第2加算器と、
前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタそれぞれの出力信号の差を生成する第2減算器と、
を含み、
前記制御部は、前記第1ハイパスフィルタと前記第2ハイパスフィルタのそれぞれのカットオフ周波数を、前記風音の強度に応じて設定することを特徴とする風音低減回路。
【請求項4】
前記最小値MINおよび前記最小周波数fMINの少なくとも一方は外部から設定可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記強度が所定の最大値MAXより大きい領域において、前記ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最大周波数fMAXとすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項6】
前記最大値MAXおよび前記最大周波数fMAXの少なくとも一方は、外部から設定可能であることを特徴とする請求項5に記載の風音低減回路。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の差成分を生成する検出用減算器を含み、前記差成分にもとづき前記風音の強度を検出することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1チャンネルオーディオ信号と前記第2チャンネルオーディオ信号の和成分を生成する検出用加算器をさらに含み、
前記制御部は、前記差成分と前記和成分との比にもとづいて、前記風音の強度を検出することを特徴とする請求項7に記載の風音低減回路。
【請求項9】
前記ハイパスフィルタは、
前記第1チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去する第1チャンネル用ハイパスフィルタと、
前記第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去する第2チャンネル用ハイパスフィルタと、
を含み、
前記制御部は、前記第1チャンネル用ハイパスフィルタと前記第2チャンネル用ハイパスフィルタのカットオフ周波数を、前記風音の強度に応じて等しい値に設定することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1ハイパスフィルタのカットオフ周波数を、前記第2ハイパスフィルタのカットオフ周波数よりも高く設定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項11】
ひとつの半導体基板に一体集積化されたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の風音低減回路。
【請求項12】
第1チャンネルのマイクの出力信号を増幅する第1アンプと、
第2チャンネルのマイクの出力信号を増幅する第2アンプと、
前記第1アンプの出力信号をデジタルの第1チャンネルオーディオ信号に変換する第1A/Dコンバータと、
前記第2アンプの出力信号をデジタルの第2チャンネルオーディオ信号に変換する第2A/Dコンバータと、
前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号を受け、風音を低減する請求項1から11のいずれかに記載の風音低減回路と、
前記風音低減回路を経た前記第1チャンネルオーディオ信号および前記第2チャンネルオーディオ信号に所定の信号処理を施すデジタル信号処理部と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項13】
請求項12に記載のオーディオ信号処理回路を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラやデジタルカメラ、携帯電話端末、パーソナルコンピュータをはじめとする様々な電子機器に、録音機能が搭載されている。録音機能付きの電子機器を、風が吹いている環境下で使用すると、風音あるいは風切り音と呼ばれるノイズが記録される。風音は、マイクに風防を装着することにより幾分低減することができるが、それとは異なるアプローチとして、信号処理により風音の低減技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
風音の周波数スペクトルは1kHz以下に集中する。そこで従来では、マイクにより取得されたオーディオ信号の周波数スペクトルにもとづいて風音の有無を検出し、風音が検出された場合、Lチャンネル、Rチャンネルのオーディオ信号それぞれをハイパスフィルタを通過させることにより、ハイパスフィルタのカットオフ周波数以下の風音のスペクトル成分を低減していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−126878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、風音の強度に応じて、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を制御について、以下の技術を検討し、その課題を認識するに至った。
【0006】
風音の強度がある最小値よりも小さい領域では、ハイパスフィルタを実質的に無効化するために、そのカットオフ周波数が所定の最小値に設定される。そして風音の強度が最小値より大きくなると、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を一定の傾きで増大させる。
【0007】
この制御を行うと、カットオフ周波数fcがその最小値fMINより大きくなるときに、傾きが不連続に変化する。したがって、風音の強度が最小値を跨いで変化すると、カットオフ周波数fcが急激に変化することになり、風音低減回路を経たオーディオ信号に、聴感上、違和感が生ずる。
【0008】
本発明は係る状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、風音を除去する際の聴感上の違和感を低減可能な風音低減回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、第1チャンネルのマイクと第2チャンネルのマイクそれぞれにより取得された第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号を受ける風音低減回路に関する。風音低減回路は、第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、を備える。制御部は、強度が所定の最小値MINより小さい領域において、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、強度が最小値MINより大きくなると、カットオフ周波数を緩やかに増大させる。
【0010】
本発明の別の態様もまた、風音低減回路である。この風音低減回路は、第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、を備える。制御部は、強度が所定の最小値MINより小さい領域において、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、強度が最小値MINより大きくなると、カットオフ周波数を単調増加させ、かつカットオフ周波数の傾きをゼロから増加させる。
【0011】
本発明のさらに別の態様もまた、風音低減回路である。この風音低減回路は、第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号の低周波成分を除去するハイパスフィルタと、第1チャンネルオーディオ信号と第2チャンネルオーディオ信号の少なくとも一方にもとづき風音の強度を検出し、検出した強度が大きいほど、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を増大させる制御部と、を備える。制御部は、強度が所定の最小値MINより小さい領域において、ハイパスフィルタのカットオフ周波数を所定の最小周波数fMINとし、強度が最小値MINより大きくなると、カットオフ周波数を強度の2次関数として増大させる。
【0012】
これらの態様によると、風音の強度が、最小値を跨いで変化しても、カットオフ周波数が緩やかに変化するため、聴感上の違和感を低減できる。
【0013】
本発明の別の態様は、オーディオ信号処理回路に関する。オーディオ信号処理回路は、第1チャンネルのマイクの出力信号を増幅する第1アンプと、第2チャンネルのマイクの出力信号を増幅する第2アンプと、第1アンプの出力信号をデジタルの第1チャンネルオーディオ信号に変換する第1A/Dコンバータと、第2アンプの出力信号をデジタルの第2チャンネルオーディオ信号に変換する第2A/Dコンバータと、第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号を受け、風音を低減する上述のいずれかの風音低減回路と、風音低減回路を経た第1チャンネルオーディオ信号および第2チャンネルオーディオ信号に所定の信号処理を施すデジタル信号処理部と、を備えてもよい。
【0014】
本発明の別の態様は、電子機器に関する。電子機器は、上述のオーディオ信号処理回路を備えてもよい。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る風音低減回路によれば、有意な音声信号を残しつつ、風音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る風音低減回路を備える電子機器の構成を示すブロック図である。
図2】ハイパスフィルタの周波数特性を示す図である。
図3図3(a)、(b)は、差成分の振幅とハイパスフィルタのカットオフ周波数の関係を示す図である。
図4】ハイパスフィルタの構成例を示すブロック図である。
図5】制御部の構成例を示すブロック図である。
図6】和成分および差成分の波形図である。
図7】オーディオ信号処理回路を搭載する電子機器を示す斜視図である。
図8】第2の実施の形態に係る風音低減回路の構成を示すブロック図である。
図9】制御部が検出した風音の強度と、第1ハイパスフィルタ、第2ハイパスフィルタのカットオフ周波数の関係を示す図である。
図10図10(a)、(b)は、第3の実施の形態に係る風音の強度とカットオフ周波数の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る風音低減回路100を備える電子機器1の構成を示すブロック図である。電子機器1は、Lchマイク2L、Rchマイク2Rおよびオーディオ信号処理回路10を備える。
【0020】
第1マイク(Lchマイク)2Lおよび第2マイク(Rchマイク)2Rはそれぞれ、音響信号をアナログの電気信号(オーディオ信号)S1L、S1Rに変換する。オーディオ信号処理回路10は、オーディオ信号S1L、S1Rを受け、それらに含まれる風音を除去し、所定の信号処理を施し、後段の回路(図示)へと供給する。
【0021】
オーディオ信号処理回路10は、風音低減回路100、第1増幅器(Lch増幅器)200L、第2増幅器(Rch増幅器)200R、オートレベルコントローラ202、第1A/Dコンバータ(LchA/Dコンバータ)204L、第2A/Dコンバータ(RchA/Dコンバータ)204R、デジタル信号処理部206を備える。
【0022】
Lch増幅器200Lは、Lchオーディオ信号S1Lを増幅する。Rch増幅器200Rは、Rchオーディオ信号S1Rを増幅する。オートレベルコントローラ202は、音量が一定となるように、Lch増幅器200LおよびRch増幅器200Rの利得を制御する。
【0023】
LchA/Dコンバータ204Lは、Lch増幅器200Lの出力S2Lをアナログ/デジタル変換し、Lチャンネルのデジタルオーディオ信号S3Lを生成する。同様にRchA/Dコンバータ204Rは、Rch増幅器200Rの出力S2Rをアナログ/デジタル変換し、Rチャンネルのデジタルオーディオ信号S3Rを生成する。
【0024】
風音低減回路100は、Lchオーディオ信号S3LおよびRchオーディオ信号S3Rを受け、それらから風音成分を除去する。デジタル信号処理部206は、風音が除去されたオーディオ信号S4L、S4Rに所定の信号処理を施し、オーディオ信号S5L、S5Rを生成する。
【0025】
以上が電子機器1の全体構成である。続いて風音低減回路100の構成を説明する。
【0026】
風音低減回路100は、ハイパスフィルタ110および制御部130を備える。ハイパスフィルタ110は、Lチャンネル(第1チャンネル)オーディオ信号S3LおよびRチャンネルオーディオ信号S4Rの低周波成分を除去する。ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcは可変に構成される。
【0027】
制御部130は、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの差成分(S3L−S3R)を生成し、差成分(S3L−S3R)にもとづきハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを制御する。当然ながら、(S3R−S3L)を差分としてもよい。具体的には、差成分(S3L−S3R)のレベル(振幅)が大きいほど、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを高く設定する。
【0028】
以上が風音低減回路100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
いま、仮想的な音源を考える。音源とLchマイク2Lの距離をDL、音源とRchマイク2Rの距離をDRとすると、マイク2L、2Rにより取得されたオーディオ信号S1LとS1Rは、距離DLとDRの差(DL−DR)と、音声信号の波長に応じて定まる。
【0029】
経験的に、風音の周波数は100Hz〜400Hzを主成分とする一方、マイクにより録音すべき有意な音声信号の周波数は、風音よりも高い周波数成分が支配的となるケースが多い。音声信号の周波数が高いほど、LチャンネルとRチャンネルのオーディオ信号の位相差は無視でき、したがって同相成分が大きくなる。つまり、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの差分(S3L−S3R)を計算すると、同相成分が多い有意な音声信号が相殺され、差動成分が多い風音が支配的に含まれることになる。
【0030】
図2は、ハイパスフィルタ110の周波数特性を示す図である。差成分(S3L−S3R)の振幅が大きくなるにしたがい、カットオフ周波数fcが、fc1、fc2、fc3の方向に大きくなっていく。風音の周波数スペクトルは、fwindの範囲に存在する。
【0031】
差成分(S3L−S3R)の振幅が大きくなると、すなわち風音が大きくなると、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcが高くなり、その結果、風音の周波数帯域fwindの通過ゲインが低下する。
【0032】
図3(a)、(b)は、差成分の振幅とハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcの関係を示す図である。横軸は差成分(S3L−S3R)の振幅、すなわち風音の強度を、縦軸はカットオフ周波数fcを示す。図3(a)では、差成分の振幅が所定の最小値MINより小さい範囲において、カットオフ周波数fcは所定の最小値fMINであり、その振幅が所定の最大値MAXより大きい範囲において、カットオフ周波数fcは所定の最大値fMAXであり、その振幅が最小値MINと最大値MAXの間の範囲に含まれるとき、カットオフ周波数fcは連続的に線形に変化する。
【0033】
図3(b)では、差成分の振幅が最小値MINと最大値MAXの間の範囲に含まれるとき、カットオフ周波数fcは段階的に変化する。
【0034】
図1の風音低減回路100によれば、LチャンネルとRチャンネルの差成分にもとづいて、風音の有無あるいは強弱を好適に検出し、その結果に応じて、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを適切に制御することができる。
【0035】
ハイパスフィルタ110および制御部130の具体的な構成は特に限定されるものではないが、以下ではそれらの構成例を説明する。
【0036】
図4は、ハイパスフィルタ110の構成例を示すブロック図である。図4のハイパスフィルタ110は、Lチャンネルオーディオ信号S3Lの低周波成分を除去するLch用ハイパスフィルタ110Lと、Rチャンネルオーディオ信号S3Rの低周波成分を除去するRch用ハイパスフィルタ110Rと、を含む。ハイパスフィルタ110L、110Rそれぞれのカットオフ周波数fcは、制御部130によって等しい値に設定される。
【0037】
図5は、制御部130の構成例を示すブロック図である。
制御部130は、検出用減算器132に加えて、検出用加算器134、第1ローパスフィルタ136、第2ローパスフィルタ138、第1平滑化回路140、第2平滑化回路142、検出部144、カットオフ周波数設定部146を備える。
【0038】
検出用減算器132は、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの差成分S10=(S3L−S3R)を生成する。上述のように、制御部130はこの差成分S10にもとづいて、風音の有無、強弱を検出し、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを制御する。
【0039】
より高い精度で風音を検出するために、図5の制御部130は、差成分のみでなく和成分を考慮する。
検出用加算器134は、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの和成分S11(S3L+S3R)を生成する。制御部130は、差成分S10と和成分S11との比S10/S11=(S3L−S3R)/(S3L+S3R)にもとづいて、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを制御する。
【0040】
差成分S10は、第1ローパスフィルタ136、第1平滑化回路140を経由して検出部144に入力され、和成分S11は、第2ローパスフィルタ138、第2平滑化回路142を経由して検出部144に入力される。検出部144は、差成分S14とS15の比を示すデータS16=S14/S15を計算する。カットオフ周波数設定部146は、データS16に応じて、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcを設定する。
【0041】
カットオフ周波数設定部146は、データS16と、カットオフ周波数fcの関係を示すテーブルを有してもよい。あるいは、データS16を所定の演算式に入力することにより、カットオフ周波数fcを計算してもよい。
【0042】
風音は、LチャンネルとRチャンネルの差動成分が大きく、同相成分が小さい。一方、高周波成分が支配的な有意な音声信号は、LチャンネルとRチャンネルの差動成分が小さく、同相成分が大きい。したがって、LチャンネルとRチャンネルの和成分を計算すると、風音の成分は相殺され、有意な音声信号が支配的に含まれることになる。つまり、和成分S11は、有意な音声信号の音量に応じていると理解できる。
【0043】
図6は、和成分S11および差成分S10の波形図である。期間(i)では風音が発生しており、期間(ii)では風音はゼロである。和成分S11の振幅が、風音の有無、強弱とは無関係であるのに対して、差成分S10の振幅は、期間(i)に大きくなり、期間(ii)に小さくなっている。すなわち差成分S10の振幅は、風音の強弱と相関を有している。
【0044】
図5の制御部130によれば、差成分S10と和成分S11の比S10/S11を計算することにより、有意な音声信号に対する風音の相対的な量を推定でき、ハイパスフィルタ110のカットオフ周波数fcに反映できる。
【0045】
第1ローパスフィルタ136、第2ローパスフィルタ138のカットオフ周波数は400Hz程度に設定される。風音の周波数成分を通過させる。これらは風音検出の検出精度を高めるために設けられる。ローパスフィルタ136、138を設けることにより、より正確に風音を検出できる。第2ローパスフィルタ138を省略してもよいし、さらに第1ローパスフィルタ136を省略してもよい。
【0046】
第1平滑化回路140は、差成分S12の移動平均をとる。移動平均時間を長く、すなわち平均回数を多くすると、検出部144に入力される差成分S14の応答速度が遅くなる。第1平滑化回路140を設けることにより、突発的な風や弱い風に対する感度を、移動平均時間に応じて設定できる。移動平均時間は、外部のマイコンから設定可能とすることが好ましい。これにより、風音低減回路100が使用される状況に応じて、感度を最適化できる。
【0047】
第2平滑化回路142は、差成分S14とS15のバランスをとるために設けられる。第2平滑化回路142に代えて、タイミングあわせのための遅延回路を設けてもよい。
【0048】
制御部130は、データS16を計算する際に、差成分S14と和成分S15に加えて、オフセット値DOFSを反映させてもよい。オフセット値DOFSは、外部のマイコンから設定値DEXTに応じて可能とすることが好ましい。
【0049】
風音低減回路100が搭載される電子機器1ごとに、LチャンネルとRチャンネルのマイク2L、2Rの距離は異なる。マイク2L、2Rの距離が異なると、同じ音量の風音に対する差成分S14の振幅も異なる。そこでオフセット値DOFSを導入し、マイク間の距離に応じてオフセット値DOFSを変化させることで、風音低減回路を、マイク間の距離が異なる様々なプラットフォームで使用できる。
【0050】
オフセット値DOFSは、外部からの設定値DEXTに加えて、Lch増幅器200L、Rch増幅器200Rの利得gに応じて設定されてもよい。これにより、Lch増幅器200L、Rch増幅器200Rの利得gが変化する状況においても、データS16’にもとづいて風音の強弱を検出できる。
【0051】
増幅器の利得が変化すると、外部からの設定値に対する差成分および和成分の比が変化するが、利得に応じてオフセット値を変化させることにより、風音検出における利得の影響を低減できる。
【0052】
続いてオーディオ信号処理回路10の用途を説明する。図7は、オーディオ信号処理回路10を搭載する電子機器を示す斜視図である。図7は電子機器の一例である、デジタルカメラである。
【0053】
デジタルカメラ800は、筐体802、レンズ804、図示しない撮像素子、画像処理プロセッサ、記録メディアを備える。それに加えてデジタルカメラ800は、Lchマイク2L、Rchマイク2R、オーディオ信号処理回路10を備える。
【0054】
そのほか、電子機器は、デジタルビデオカメラ、ボイスレコーダ、携帯電話端末、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Personal Computer)、オーディオプレイヤ、などであってもよい。
【0055】
(第2の実施の形態)
図8は、第2の実施の形態に係る風音低減回路100aの構成を示すブロック図である。風音低減回路100aは、ハイパスフィルタ110aおよび制御部130aを備える。
【0056】
ハイパスフィルタ110aは、第1減算器150、第1加算器152、第1ハイパスフィルタ154、第2ハイパスフィルタ156、第2加算器158、第2減算器160、第1係数回路162、第1係数回路164を含む。
【0057】
第1減算器150は、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの差成分S21を生成する。第1加算器152は、Lチャンネルオーディオ信号S3LとRチャンネルオーディオ信号S3Rの和成分S22を生成する。第1ハイパスフィルタ154は、第1減算器150により生成された差成分S21の低周波成分を除去する。第2ハイパスフィルタ156は、第1加算器152により生成された和成分S22の低周波成分を除去する。第1ハイパスフィルタ154および第2ハイパスフィルタ156は、カットオフ周波数fc1、fc2が独立に設定可能に構成される。
【0058】
第2加算器158は、第1ハイパスフィルタ154の出力S23と第2ハイパスフィルタ156の出力S24の和S25を生成する。第2減算器160は、第1ハイパスフィルタ154の出力S23と第2ハイパスフィルタ156の出力S24の差S26を生成する。第1係数回路162、第1係数回路164は、第2加算器158、第2減算器160それぞれの出力S25、S26に、係数1/2を乗算する。
【0059】
制御部130aは、オーディオ信号S3L、S3Rの少なくとも一方にもとづいて、風音を検出し、検出結果に基づいて、第1ハイパスフィルタ154、第2ハイパスフィルタ156のカットオフ周波数fc1、fc2を制御する。
【0060】
制御部130aによる風音の検出方法は特に限定されず、第1の実施の形態と同様に、差分S3L−S3Rにもとづいてもよい。この場合、図5の検出用減算器132、検出用加算器134を、図8の第1減算器150、第1加算器152として利用してもよい。
【0061】
あるいは制御部130aは、従来技術と同様に、オーディオ信号S3L、S3Rの少なくとも一方を監視し、風音のスペクトルが含まれる所定周波数(たとえば400Hz)以下の成分にもとづいて、風音を検出してもよい。
【0062】
図9は、制御部130が検出した風音の強度と、第1ハイパスフィルタ154、第2ハイパスフィルタ156のカットオフ周波数fc1、fc2の関係を示す図である。第1の実施の形態と同様に、風音の強度が大きくなるにしたがい、カットオフ周波数fc1、fc2は、fc1>fc2の関係を保ちながらそれぞれ上昇する。
具体的には風音の強度が最小値MINより低い領域では、カットオフ周波数fc1、fc2は等しくfMINに設定される。強度が最小値MINより大きくなると、fc1>fc2の関係を保ちながら、カットオフ周波数fc1、fc2が上昇する。風音の強度が最大値MAXより大きくなると、カットオフ周波数fc1、fc2はそれぞれの最大値fMAX1、fMAX2に固定される。当然のことながら、カットオフ周波数は、図3(b)のように段階的に変化してもよい。
【0063】
以上が風音低減回路100aの構成である。続いてその動作を説明する。風音低減回路100aの利点は、図4のハイパスフィルタ110との対比によって明確となる。
【0064】
風音のスペクトルはオーディオ信号S3LとS3Rそれぞれに均等に含まれ、同様に有意な音声信号のスペクトルもオーディオ信号S3L、S3Rそれぞれに均等に含まれる。したがって、図4のハイパスフィルタ110を利用した場合、風音を減衰させると、それとともに、風音と同じスペクトルを有する有意な音声信号も減衰してしまう。つまり、有意な音声信号の低域成分が不要に減衰するという問題が生ずる。
【0065】
第1の実施の形態で説明したように、風音は、オーディオ信号S3LとS3Rの差成分に多く含まれ、反対に、有意な音声信号は、オーディオ信号S3LとS3Rの和成分に多く含まれる。第2の実施の形態によれば、差成分と和成分それぞれに対してハイパスフィルタ154、156を設け、それらのカットオフ周波数fc1、fc2を個別に設定することにより、和成分に含まれる有意な音声信号のスペクトルを不要に減衰させずに、差成分に含まれる風音のスペクトルを好適に減衰させることができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
第1、第2の実施の形態においては、カットオフ周波数fc(fc1,fc2)が、風の強度に対して線形に変化した。本発明者らは、この制御について検討した結果、以下の課題を認識するに至った。図3(a)、(b)あるいは図9の制御では、カットオフ周波数fcがその最小値fMINより大きくなるときに、傾きが不連続に変化する。したがって、風音の強度が最小値を跨いで変化すると、カットオフ周波数fcが急激に変化することになり、風音低減回路を経たオーディオ信号に、聴感上、違和感が生ずる。
【0067】
以下で説明する第3の実施の形態は、第1、第2の実施の形態と組み合わせ可能な技術である。
【0068】
図10(a)、(b)は、第3の実施の形態に係る風音の強度xとカットオフ周波数yの関係を示す図である。図10(a)、(b)では、カットオフ周波数は、風音の強度xの最小値付近MINにおいて緩やかに増大するよう定められる。別の観点から言えば、カットオフ周波数dy/dxの傾きは、最小値MIN付近で連続的に変化するよう定められる。
【0069】
より具体的には、カットオフ周波数yは、図10(a)に示すように風音の強度xに対して2次関数に従って増大してもよい。つまりy=a・x+bが成りたつように、カットオフ周波数を定めてもよい。a、bはパラメータである。
【0070】
あるいはカットオフ周波数yは、風音の強度xに対して、指数関数に従って増大してもよい。つまりy=a・exp+bが成りたつように、カットオフ周波数を定めてもよい。a、bはパラメータである。
【0071】
図10(a)では、カットオフ周波数yおよびその傾きdy/dxの両方が単調増加するようにyが定義される。一方、図10(b)では、カットオフ周波数yは単調増加するが、その傾きdy/dxは、単調増加せず、緩やかに増大したのち、緩やかに減少する。
【0072】
また図10(a)では、最大値MAX付近において、カットオフ周波数yの傾きdy/dxは不連続であるが、図10(b)では、最大値MAX付近においても、カットオフ周波数yの傾きdy/dxは連続である。
【0073】
図10(b)のカットオフ周波数特性は、たとえば三角関数を利用して定めてもよい。
【0074】
第3の実施の形態によれば、風音の強度が最小値MINを跨いで変化するときに、カットオフ周波数fcが緩やかに変化するため、聴感上の違和感を低減することができる。
【0075】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0076】
1…電子機器、2L…Lchマイク、2R…Rchマイク、10…オーディオ信号処理回路、100…風音低減回路、110…ハイパスフィルタ、130…制御部、200L…Lch増幅器、200R…Rch増幅器、202…オートレベルコントローラ、204L…LchA/Dコンバータ、204R…RchA/Dコンバータ、206…デジタル信号処理部、132…検出用減算器、134…検出用加算器、136…第1ローパスフィルタ、138…第2ローパスフィルタ、140…第1平滑化回路、142…第2平滑化回路、144…検出部、146…カットオフ周波数設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10