【文献】
粉体物性図説,日本,(有)エヌジーティー/倉田 豊,2004年 6月30日,第3版第1刷,第196頁、第320頁、第321頁,珪藻土/カオリンクレー/滑石(タルク)
【文献】
一般社団法人日本粉体工業技術協会ホームページ,日本,一般社団法人日本粉体工業技術協会,2016年,協会ホームページ,JIS試験用粉体1(4種、9種タルク)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とを含む帯電防止層を有する、厚み0.2〜3.0mm、見かけ密度15〜150kg/m3のポリオレフィン系樹脂多層発泡シートにおいて、
前記帯電防止層には、フィラー(C)が配合されており、前記フィラー(C)の平均一次粒子径が2〜50μmであり、
前記帯電防止層中の高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)が5〜80質量%、フィラー(C)の配合量(Y)が10〜18質量%、ポリオレフィン系樹脂(A)の配合量(Z)が10質量%以上(ただし、X,Y,Zの合計は100質量%である)であり、
前記帯電防止層の坪量(α)が0.2〜10g/m2であり、前記帯電防止層の坪量(α)に対する前記フィラー(C)の配合量(Y)の比(Y/α)が1.6以上であることを特徴とするポリオレフィン系樹脂多層発泡シート。
前記高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)に対するフィラー(C)の配合量(Y)の比(Y/X)が、0.05〜2.0であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂多層発泡シート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の〔1〕ポリオレフィン系樹脂多層発泡シート、及び〔2〕該ポリオレフィン系樹脂多層発泡シートの製造方法について説明する。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂多層発泡シート
本発明のポリオレフィン系樹脂多層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とを含む帯電防止層を有する、厚み0.2〜3.0mm、見かけ密度15〜150kg/m
3のポリオレフィン系樹脂多層発泡シートにおいて、前記帯電防止層には、フィラー(C)が配合されており、
帯電防止層中の高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)が5〜80質量%、フィラー(C)の配合量(Y)が2〜25質量%、ポリオレフィン系樹脂(A)の配合量(Z)が10質量%以上(ただし、X,Y,Zの合計は100質量%である)であることを特徴とする。
【0010】
本発明のポリオレフィン系樹脂多層発泡シート(以下、多層発泡シートということがある)の一例を
図1の断面図で示す。多層発泡シート1は、ポリオレフィン系樹脂(E)を基材樹脂とするポリオレフィン系樹脂発泡層(以下、発泡層ということがある)2の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を含む帯電防止層(以下、帯電防止層ということがある)3を有するものである。ここでは、両面に帯電防止層3を有するものを中心に述べるが、発泡層2の片面に帯電防止層3を有する構成とすることができる。
【0011】
(1)帯電防止層
本発明における、前記帯電防止層は、ポリオレフィン樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とを含み、フィラー(C)が配合されており、帯電防止層中の高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)が5〜80質量%、フィラー(C)の配合量(Y)が2〜25質量%、ポリオレフィン系樹脂(A)の配合量(Z)が10質量%以上(ただし、X、Y、及びZの合計は100質量%である)であることを特徴とする。
【0012】
(1−1)帯電防止層の成分
(イ)ポリオレフィン系樹脂(A)
帯電防止層に用いられるポリオレフィン系樹脂(A)は、オレフィン成分が50モル%以上であり、ポリオレフィン系樹脂(A)としては、ポリプロピレン系樹脂(融点が概ね130〜170℃)、ポリエチレン系樹脂(融点が概ね100〜130℃)等が挙げられるが、これらのポリオレフィン系樹脂の中でも表面硬度が低く、被包装物の表面保護に優れる等の柔軟性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく用いられる。前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のエチレン重合体、さらにそれらの2種以上の混合物が挙げられるが、更にこれらの前記ポリエチレン系樹脂の中でも低密度ポリエチレン(融点が概ね100〜115℃)がより好ましい。
なお、融点は、JIS K7121(1987年)に基づく熱流束示差走査熱量計測定に準拠して測定される値である。試験片の状態調節(2)の条件(但し、冷却速度は10℃/分)を採用し、40℃から10℃/分にて昇温することによりDSC曲線を得る。得られたDSC曲線における融解ピークの頂点の温度を融点とする。なお、融解ピークが2つ以上現れる場合は、最も大きな融解ピークの頂点の温度を融点とする。
【0013】
(ロ)高分子型帯電防止剤(B)
高分子型帯電防止剤(B)は、界面活性剤等の低分子型の帯電防止剤とは区別されるものであり、具体的には、体積抵抗率が1×10
5〜1×10
11Ω・cmの親水性ポリマー(以下、単に親水性ポリマーともいう。)や、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとのブロックポリマー等が例示できる。親水性ポリマーとしては、ポリエーテル、カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマー等が例示できる。一方、疎水性ポリマーブロックとしては、ポリオレフィンやポリアミド等が例示できる。また、親水性ポリマーブロックと疎水性ポリマーブロックとの結合としては、エステル結合、アミド結合、エーテル結合等が例示できる。市場で入手できる高分子型帯電防止剤の表面抵抗率は概ね1×10
6〜1×10
10Ω程度である。
【0014】
帯電防止層に、静電気散逸性を付与すると共に、帯電防止層中に帯電防止剤を添加することによる物性低下を抑制するために、疎水性ポリマーブロックとしてポリオレフィン系樹脂が、親水性ポリマーブロックと共重合されていることが好ましい。高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテル−ポリオレフィンブロック共重合体である、三洋化成工業(株)製「ペレスタットVL300」、「ペレクトロンHS」等が例示できる。
また、前記高分子型帯電防止剤の融点は125〜140℃であることが好ましい。前記高分子型帯電防止剤の数平均分子量は、2000〜100000であることが好ましく、より好ましくは5000〜60000、さらに好ましくは10000〜40000である。なお上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、分子量既知のポリスチレンから得られる校正曲線を使用して換算された数平均分子量(ポリスチレン換算値)である。
【0015】
本発明において、帯電防止層中の高分子型帯電防止剤の配合量(X)は、5〜80質量%(但し、前記ポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)と前記フィラーの配合量(質量%)の合計は100質量%である)である。高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)が少なすぎると帯電防止性能が不十分となり、一方、多すぎると帯電防止層の物性低下や発泡層との接着力が低下し剥離するおそれがある。さらに、高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)が多すぎると該帯電防止層の形成自体が困難になると共に、安価な多層発泡シートの製造が困難となるおそれがある。上記観点から、高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)の下限値は、20質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。一方、その上限値は70質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。
【0016】
高分子型帯電防止剤(B)を含有する帯電防止層が充分な帯電防止性能又は無帯電性能(以下、両者を併せて帯電防止性能ということがある)を発揮するためには、帯電防止層中における高分子型帯電防止剤(B)が網状又は層状に分散し、樹脂中において導電ネットワークを形成することが好ましい。
【0017】
帯電防止層において、高分子型帯電防止剤(B)が分散し、帯電防止化するために十分な導電ネットワークを形成可能とするには、高分子型帯電防止剤(B)の融点と押出温度の関係が重要である。すなわち、押出時に高分子型帯電防止剤(B)の融点が流動可能な範囲にあることにより帯電防止層形成用溶融樹脂において、帯電防止性を達成するための十分な導電ネットワークを形成するために必要な流動性を保つことが可能になる。
【0018】
(ハ)フィラー(C)
フィラー(C)としては、帯電防止層の表面に微細な凹凸を形成しうるものであれば一般にフィラーとして使用されている無機フィラー、有機フィラーのいずれも使用できる。具体的には無機フィラーとしては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、雲母、酸化チタンなどの充填剤として一般的な無機紛体を挙げられ、有機フィラーとしては、スチレン系樹脂架橋微粒子やアクリル系樹脂架橋微粒子などのポリマー微粒子が挙げられる。この中でも、無機フィラーが好ましい。特に、硬度が低いため被包装物の表面を特に傷つけにくいことからから、特にタルク、炭酸カルシウムが好ましく用いられる。
【0019】
本発明の多層発泡シートは、帯電防止層にフィラー(C)が配合されることにより、その表面にフィラー(C)に由来する微細な凹凸が多数形成されるものと考えられる。この微細な凹凸により、多層発泡シートと被包装物とが点接触となることで、従来のような帯電防止剤の移行汚れが抑制されて、被包装物の表面不良の発生を抑制できるものと考えられる。
【0020】
フィラー(C)の平均一次粒子径は、2〜50μm程度であり、移行汚れが特に少なく、帯電防止層を形成しやすいことから、3〜20μmが好ましい。
なお、上記平均一次粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用い、累積体積が50%になる時の粒子径(体積平均粒径:D50)である。
【0021】
フィラー(C)は、ポリオレフィン系樹脂(A)を基材樹脂とするマスターバッチを調整して使用することがフィラー(C)の分散の観点から好ましい。基材樹脂に対してフィラーの割合が、10〜80重量%となるように調整されることが好ましく、20〜70重量%となるように調整されることがより好ましい。
【0022】
本発明において、前記帯電防止層中のフィラー(C)の配合量(Y)は、2〜25質量%である(但し、ポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)の配合量(質量%)の合計が100質量%である)。フィラー(C)の配合量(Y)が、少なすぎる場合には高分子型帯防剤(B)が被包装物へ移行して汚れるのを大幅に低減させる効果が充分に発現しない虞があり、一方、多すぎる場合には、製造時における帯電防止層の伸びが悪くなるため帯電防止層を形成することが困難になる虞がある。上記観点から、フィラー(C)の配合量(Y)の下限値は、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、その上限値は22質量%が好ましく、18質量%がより好ましい。
【0023】
帯電防止層において、帯電防止性に特に優れ、移行汚れをさらに少なくするという観点からは、高分子型帯電防止剤(B)の配合量(X)に対するフィラー(C)の配合量(Y)の比(Y/X)が、0.05〜2.0であることが好ましく、0.05〜1.7であることがさらに好ましい。
【0024】
(ニ)添加剤
前記帯電防止層には、本発明の目的を阻害しない範囲において各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填剤、抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤の添加量は、帯電防止層を構成するポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
【0025】
(1−2)帯電防止層の坪量(α)
帯電防止層の坪量(α)は0.2〜10g/m
2であることが好ましい。このような極めて薄い帯電防止層は後述する共押出法によって製造することができる。帯電防止層の坪量(α)が前記範囲の下限未満である場合には、共押出法であっても製造時に樹脂層を形成すること自体が難しく、一方、帯電防止層の坪量(α)が前記範囲の上限を超える場合には、多層発泡シートの用途によっては軽量性、柔軟性が不十分となるおそれがあり、多層発泡シートの製造時の原材料費も高くなってしまう。同様の観点から坪量(α)は0.5〜8g/m
2がより好ましく、1〜7g/m
2が更に好ましい。
【0026】
前記坪量(α)の調整は、帯電防止層形成用溶融樹脂の吐出量、および多層発泡シートの引き取り速度を調整することによって行なわれる。上記の帯電防止層の坪量(α)は、以下の方法によって求めることができる。多層発泡シートを製造する際に、押出発泡条件の内、帯電防止層の吐出量x(kg/hr)と、得られる多層発泡シートの幅W(m)、得られる多層発泡シートの単位時間あたりの長さL(=多層発泡シートの引取速度)(m/hr)が判る場合には、以下の(1)式にて帯電防止層の坪量(g/m
2)を求めることができる。
坪量(g/m
2)=〔1000x/(L×W)〕・・・(1)
【0027】
多層発泡シート表面に凹凸を形成するためには、帯電防止層の坪量(α)に対するフィラー(C)の配合量(Y)の比(Y/α)が、1.6以上であることが好ましく、1.8以上であることがより好ましい。上記範囲内であれば、帯電防止層の表面に凹凸が形成され、効果的に移行汚れ等の低減が可能となる。
【0028】
(2)ポリオレフィン系樹脂発泡層
本発明の多層発泡シートの発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂(E)等を以下に記載する。
(イ)ポリオレフィン系樹脂(E)
ポリオレフィン系樹脂(E)としては、前記帯電防止層に使用するポリオレフィン系樹脂(A)と同様の樹脂を使用することができる。その中でも表面硬度が低く被包装物の表面保護性能に優れる等の柔軟性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、特に低密度ポリエチレンが好ましく用いられる。
被包装物の表面を傷つけないようにする観点から、好ましくは曲げ弾性率が600MPa以下、より好ましくは450MPa以下、更に好ましくは300MPa以下の柔軟性の高い樹脂を用いることが好ましい。その下限は概ね10MPa程度である。曲げ弾性率が高すぎると、多層発泡シートの表面が硬くなり、さらに被包装物と滑りやすくなるため、被包装物の表面を傷つけやすくなってしまうおそれがある。
【0029】
(ロ)添加剤
発泡層には、各種の添加剤を添加してもよい。各種の添加剤としては、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機フィラー、抗菌剤、収縮防止剤等が挙げられる。その場合の添加量は発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂(E)100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下が特に好ましい。
【0030】
(3)ポリオレフィン系樹脂多層発泡シート
本発明の多層発泡シートは、
図1に示すように発泡層の少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)とからなる帯電防止層を有する。以下、本発明の多層発泡シートについて説明する。
【0031】
(イ)厚み
本発明の多層発泡シートの厚みは、0.2〜3.0mmである。該多層発泡シートを包装用シートとして使用する際に、厚みが薄すぎる場合には十分な緩衝性が得られない虞がある。一方、厚みが厚すぎる場合には、被包装物を梱包する上で取扱いが煩雑となる虞がある。上記観点から、厚みは0.3〜2.0mmが好ましい。
【0032】
多層発泡シートの厚みは、温度23±5℃、相対湿度50%の条件下で24時間以上状態調整した多層発泡シートの幅方向10cmおきにマイクロゲージなどにより厚みを測定し、各測定点での厚みを算術平均することにより求められる。このような測定装置としては、例えば、(株)山文電気製、オフライン厚み測定機(型式:TOF−4R)などを使用することができる。
なお、発泡層の厚みと帯電防止層の厚みの調整は、共押出する際の吐出量、引き取り速度を調整することにより前記した範囲に調整することができる。
【0033】
(ロ)見かけ密度
本発明の多層発泡シートの見かけ密度は15〜150kg/m
3である。該多層発泡シートの見掛け密度が15kg/m
3未満であると包装材料として強度不足となるおそれがある。かかる観点から多層発泡シートの見掛け密度は18kg/m
3以上が好ましく、20kg/m
3以上がより好ましい。一方、多層発泡シートの見掛け密度が150kg/m
3を超えると得られたシートの緩衝性が低下するおそれがある。かかる観点から多層発泡シートの見掛け密度は、100kg/m
3以下が好ましく、80kg/m
3以下がより好ましい。
【0034】
本発明の多層発泡シートの見かけ密度は、水没法などにより求めた多層発泡シートの体積を、あらかじめ測定しておいた多層発泡シートの質量で割り算し、単位を(kg/m
3)に換算することにより求められる。また、多層発泡シートの見掛け密度は、発泡シートの単位面積当たりの質量(g/m
2)を前記平均厚みで割算し、さらに(kg/m
3)に単位換算することにより求めることができる。
【0035】
(ハ)表面抵抗率
本発明の多層発泡シートの表面抵抗率は1.0×10
7〜1.0×10
14Ωが好ましく、1.0×10
8〜1.0×10
11Ωであることがより好ましい。表面抵抗率が前記1.0×10
14Ωを超える場合、静電気による大気中の埃、異物を引き付け、被包装材梱包時において異物巻き込んでしまうことによる傷付着、汚れ付着を起す場合がある。また、梱包開封時の剥離帯電における電気障害等も起す場合がある。
【0036】
(ニ)初期帯電圧
導電性領域よりも電気抵抗率が高い抵抗領域で、全く帯電しないか、又はほとんど帯電しないような電気性能を必要とする場合には、本発明の多層発泡シートの帯電防止層面に10kVの印加を30秒間行ったときの初期帯電圧は2000V以下が好ましく、1000V以下がより好ましく、100V以下が更に好ましく、0Vが最も好ましい。尚、初期帯電圧の測定は、JIS L 1094 A法に準拠し、スタティック・オネストメーター(コロナ荷電方式)を用いて測定することができる。
【0037】
〔2〕ポリオレフィン系樹脂多層発泡シートの製造方法
本発明の多層発泡シートは、例えば、
図2に例示するように、第1の押出機11でポリオレフィン系樹脂(A)4、高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)5、及び揮発性可塑剤(D)6を混練してなる帯電防止層形成用溶融樹脂7と、第2の押出機12にポリオレフィン系樹脂(E)8、及び物理発泡剤9を混練してなるポリオレフィン系樹脂発泡層形成用溶融樹脂(以下、発泡層形成用溶融樹脂ということがある。)10とを各押出機11、12内において適正温度に調整してから、ダイより共押出させて得られる。
【0038】
上記帯電防止層形成用溶融樹脂の上記適正温度とは、発泡層が容易に得られる温度のことである。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(A)の[融点]以上[融点+15℃]以下である。
前記帯電防止層形成用溶融樹脂は、適正温度よりも冷却しすぎた際には高分子型帯電防止剤が急速に高粘度化しポリオレフィン系樹脂(A)に対し粘度が極めて大きくなるために、高分子型帯電防止剤はポリオレフィン系樹脂(A)中で導電ネットワーク構造をとりにくくなるおそれがある。
【0039】
共押出しによる多層発泡シート1の製造は、
図1に示す態様では、発泡層2の両面の表面層として高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を含有する帯電防止層3が積層されるように製造してなるものである。特に図示しないが、上記の態様以外にも、高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を含有する帯電防止層が、発泡層の一方の表面に積層されていてもよい。或いは高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を含有する帯電防止層と発泡層の間に高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を含有していない樹脂層が積層されていてもよい。
【0040】
(イ)帯電防止層形成用溶融樹脂
帯電防止層形成用溶融樹脂に揮発性可塑剤(D)が配合され、該溶融樹脂が可塑化されることにより、該溶融樹脂の樹脂温度を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させる冷却調整が可能となると共に発泡層に追従する伸長性を付与することができる。このような手段は、特に発泡層を高発泡倍率とする場合に効果的であり、表面層に亀裂や裂け等を発生させることなく、帯電防止層を発泡層上に積層することが可能となり、さらに該発泡層の独立気泡率が20%以上の多層発泡シートを製造することが可能になる。
【0041】
好ましい揮発性可塑剤(D)を例示すると、炭化水素系化合物としては炭素数2〜7の脂肪族炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種又は2種以上を使用することができ、特に炭素数3〜6の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。上記炭化水素系化合物の使用は、帯電防止層形成用溶融樹脂を効率よく可塑化させるという点から好ましい。上記炭素数2〜7の脂肪族炭化水素としては、例えば、エタン、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、イソヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタンなどが挙げられこれらの中でも、ブタンを使用することが好ましく、イソブタン、又はイソブタン比率が30モル%以上のノルマルブタンとイソブタンとの混合物がより好ましく、特にイソブタンが好ましい。
共押出しにより、発泡層の表面層として高分子型帯電防止剤(B)を含有する帯電防止層が積層されてなる多層発泡シートにおいて、帯電防止層中の揮発性可塑剤(D)は、押出された時点で押出し時の熱により殆ど揮散する。
【0042】
第2の押出機12の帯電防止層形成用溶融樹脂には、後述する揮発性可塑剤(D)が添加されるが、該揮発性可塑剤(D)の添加時期は、ポリオレフィン系樹脂(A)に高分子型帯電防止剤(B)とフィラー(C)を十分に分散させた後に添加するのが好ましい。これは、ポリオレフィン系樹脂(A)と高分子型帯電防止剤(B)とを混練する場合には、粘度をある程度高い状態に維持することにより、高分子型帯電防止剤(B)の分散を確実に行って導電ネットワーク構造を確実に形成するとともに、発泡層と共押出しする際には、揮発性可塑剤(D)を添加することにより帯電防止層形成用溶融樹脂の溶融温度(樹脂温度ともいう)を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させ、さらに該発泡層に追従する伸長性を付与することができる。特に発泡層が、高発泡倍率の場合に効果的であり、確実な多層発泡シートの製造を行うことができる。
揮発性可塑剤(D)の添加量は、帯電防止層を構成するポリオレフィン系樹脂(A)100質量部に対して、3〜30質量部であることが好ましく、4〜25質量部であることがより好ましい。上記範囲内であれば、帯電防止層形成用溶融樹脂の溶融温度を発泡層の発泡を阻害しない温度まで低下させ、該発泡層に追従する伸長性を付与することができる。
【0043】
(ロ)発泡層形成用溶融樹脂
前記発泡層形成用溶融樹脂に配合使用される発泡剤は、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩化炭化水素などの有機系物理発泡剤、窒素、二酸化炭素等の無機系物理発泡剤が挙げられる。上記の物理発泡剤は2種以上混合して使用することができる。
上記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする発泡層の見かけ密度に応じて適宜調整されるが、発泡剤として、例えばブタン等の有機系物理発泡剤を用いた場合、有機系物理発泡剤の添加量は、発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂(E)100質量部に対して、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは4〜25質量部である。
【0044】
発泡層形成用溶融樹脂には、通常、気泡調整剤が添加される。気泡調整剤としては有機系のもの、無機系のもののいずれも使用することができる。無機系気泡調整剤としては、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また有機系気泡調整剤としては、クエン酸モノナトリウム、リン酸−2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
また、例えば、クエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウムを組み合わせたもの等、2種以上を混合して用いることができる。
上記気泡調整剤の添加量は、例えば、発泡層を構成するポリオレフィン系樹脂(E)100質量部に対して好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜8質量部である。また、気泡調整剤はマスターバッチとして用いることが好ましい。
【0045】
共押出法により多層発泡シートを得る方法について更に述べると、(a)フラットダイを用い、始めからシート状に共押出して積層する方法、(b)先ず環状ダイを用いて共押出して筒状発泡体を製造し、次いで筒状発泡体を切り開いて多層発泡シートとする方法等がある。前記した中でも押出機先端のダイとして前記(b)の環状ダイを用いる方法は、コルゲートと呼ばれる波状模様の発生を抑えることや、幅が1000mm以上の幅広の多層発泡シートが容易に製造することができる利点がある。
尚、共押出の方法においては、環状ダイの出口や、ダイの出口の外で樹脂層と発泡層とを積層してもよい。また、前記環状ダイ、押出機、円柱状冷却装置、筒状積層発泡体を切開く装置等は、従来から押出発泡の分野で用いられてきた公知のものを用いることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例、比較例により、本発明を具体的に説明する。
実施例で使用した原材料、及び評価方法を以下に記載する。
【0047】
次に、本発明の多層発泡シートを実施例および比較例により更に詳細に説明する。
先ず、本実施例、比較例において使用した原材料、及び採用した評価方法について記載する。
(1)原材料
(1−1)発泡層形成用ポリオレフィン系樹脂(E)、及び帯電防止層形成用ポリオレフィン系樹脂(A)
(イ)ポリエチレン樹脂LD1
ダウケミカル製、ポリエチレン樹脂(商品名:NUC8321、曲げ弾性率:205MPa、MFR(メルトフローレート):2.4g/10分、融点:111℃)
(ロ)ポリエチレン樹脂LD2
ダウケミカル製、ポリエチレン樹脂(商品名:NUC8009、曲げ弾性率420MPa、MFR:9.0g/10分、融点:107℃)
(ハ)ポリエチレン樹脂LD3
住友化学(株)製、低密度ポリエチレン樹脂(商品名:F102、曲げ弾性率205MPa、MFR:0.3g/10分、密度0.922g/cm
3、融点109℃)
尚、上記(イ)〜(ハ)におけるポリエチレン系樹脂の溶融粘度(MFR)は、JIS K7210−1999に従い、条件コードDを採用して測定される値である。発泡シートから測定試料を調整する場合、発泡シートを真空オーブンにて加熱し脱泡したものを試料とする。その際の真空オーブンでの脱泡条件は、発泡シートの基材樹脂を構成しているポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度、かつ減圧下とする。
【0048】
(1−2)高分子型帯電防止剤
(イ)三洋化成(株)製、ペレスタット300(表面抵抗率1×10
8Ω、密度990g/L、融点136℃)
(ロ)三洋化成(株)製、ペレクトロンHS(表面抵抗率2×10
6Ω、融点135℃)
(1−3)フィラー
(イ)タルク
松村産業(株)製、タルク(商品名:ハイフィラー♯12、白色度>92.0、体積平均粒子径D50:3〜4μm)
(ロ)炭酸カルシウム
白石カルシウム(株)製、炭酸カルシウム(商品名:BF300、体積平均粒子径D50:21.7μm)
【0049】
尚、上記(イ)と(ハ)において、フィラーの平均粒子径は、(株)島津製作所製、レーザー回折式粒度分布測定装置(型式:SALD−2100)を用い、累積体積が50%になる時の粒子径(体積平均粒子径:D50)を平均粒子径とした。
(1−4)気泡調整剤
気泡調整剤は、低密度ポリエチレン100質量部に対してタルク(松村産業(株)製、商品名「ハイフィラー#12」)を11.8質量部、クエン酸モノナトリウムを5.9質量部混合してなる気泡調整剤マスターバッチを用いた。
【0050】
(2)評価方法
(2−1)帯電防止層の坪量(α)
多層発泡シートの坪量(α)は、帯電防止層形成用溶融樹脂の吐出量、および多層発泡シートの引き取り速度を調整することによって行なわれる。上記の帯電防止層の坪量(α)は、以下の方法によって求めた。多層発泡シートを製造する際に、押出発泡条件の内、帯電防止層の吐出量x(kg/hr)と、得られる多層発泡シートの幅W(m)、得られる多層発泡シートの単位時間あたりの長さL(=多層発泡シートの引取速度)(m/hr)が判る場合には、以下の(2)式にて帯電防止層の坪量(g/m
2)を求めた。
坪量(g/m
2)=〔1000x/(L×W)〕・・・(2)
なお、帯電防止層が発泡層の両面に積層されている場合は、それぞれの坪量を求め、その平均値とした。
【0051】
(2−2)ポリオレフィン系樹脂多層発泡シート
(イ)厚み
多層発泡シートの厚みは、温度23±5℃、相対湿度50%の条件下で24時間以上状態調整した多層発泡シートの幅方向10cmおきにマイクロゲージにより厚みを測定し、各測定点での厚みを算術平均することにより求めた。測定装置としては、(株)山文電気製、オフライン厚み測定機(型式:TOF−4R)を使用した。
【0052】
(ロ)見掛け密度
多層発泡シートの見かけ密度は、水没法などにより求めた多層発泡シートの体積を、あらかじめ測定しておいた多層発泡シートの質量で割り算し、単位を[kg/m
3]に換算することにより求めた。
【0053】
(ハ)表面抵抗率
多層発泡シートから3片切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:試験片厚み)をサンプルとし、JIS K6911(2006年)の方法に準じて印加電圧500Vで印加してから1分後の表面抵抗率を採用し、得られた測定値の平均値から表面抵抗率を求めた。表面抵抗率の測定にはタケダ理研工業(株)製、型式:TR8601を用いた。
なお、高分子型帯電防止剤の表面抵抗率は、押出機等で混練し、厚さ2mmの成形シートに成形して、前記多層発泡シートと同様に、JIS K6911(2006年)の方法に準じて表面抵抗率を測定した。
【0054】
(ニ)初期帯電圧
本発明における初期帯電圧の測定は、多層発泡シートより45mm×45mmのサイズ(厚みは積層シートの厚み)に複数切り出し、これらを試験片として、23℃、50%RH環境下にて24時間状態調節した後、スタティックオネストメーター(シシド静電気(株)製、TIPE:S−5109)を使用して23℃、50%RH環境下にてJIS L1094(1988年)A法に従って各帯電防止層面に10kVの電圧を30秒間印加して、印加を停止した際の初期帯電圧を測定値として、各測定値を平均して初期帯電圧とした。尚、各試験片は、前処理として試験片を切り出した後、60℃のイオン交換水に浸漬させた状態で10分間超音波洗浄機にて洗浄を行い、更にイオン交換水で十分に濯いだ後に60℃のオーブンにて1時間乾燥させてから、上記状態に調節した。試験片を、温水に浸漬させる場合には、予め油分を除去した金属製の冶具にて試験片の端部を上から押さえて温水から浮かび上がらないようにした。
【0055】
(ホ)ヘイズ値(移行性の評価)
多層発泡シートから被包装物への移行性の評価として、JIS K 7136(2000年)に準拠し、発泡シートに接触させたスライドガラスのヘイズ値を日本電色工業社製濁度計(NDH2000)を用いて測定した。
前処理として、スライドガラス(縦76mm、横26mm、厚さ0.9〜1.2mm、松浪硝子工業(株)製、商品名:S7213)はエタノールで洗浄した後、スライドガラスと多層発泡シートを交互に10枚重ねて荷重(錘:2kgf、面加重:50.6g/cm
2)をかけて圧着させ、オーブンにて60℃、50wt%雰囲気下で24hrガラスに促進移行、汚染させた。
同様の操作を行ったガラス板10枚を重ね合わせ、10枚のガラス板を透過したヘイズの測定により、ガラス板の汚染状況を確認した。汚染度合は、多層発泡シートを圧着した後のガラス板のヘイズ値から、多層発泡シートを圧着する前のヘイズ値を差し引いて、ヘイズ値の上昇値として評価した。
なお、ブランクは、スライドガラスのみを10枚重ねたものを使用した。
試験前後のヘイズ値の差を、ヘイズ上昇値(Hz)として下記評価基準を採用した。
○:ヘイズ上昇値5.0未満
×:ヘイズ上昇値5.0以上
【0056】
(ヘ)耐ブロッキング性
耐ブロッキング性試験は、多層発泡シートから切り出されたサンプル片(サイズ:40×150mm)を10枚重ねて荷重を掛け、50℃の環境下にて、荷重5.5g/cm
2にて、7日間保持した後ブロッキング性を評価した。
圧着保持条件:サンプルを50℃の環境下にて、荷重5.5g/cm
2にて、7日間保持した後にサンプル同士の貼り付きを観察して評価した。
評価基準は以下の通りである。
○:積層時、サンプル同士の貼り付きがなく1枚ずつ給紙可能
×:積層時、サンプル同士の貼り付きがあり1枚ずつ給紙不可
【0057】
[実施例1]
図2に示す、発泡層を形成するための第1押出機として発泡剤注入口を備えた直径90mm押出機と直径120mmの押出機とを連結したタンデム押出機を使用し、帯電防止層を形成するための第2押出機として直径50mm、L/D=46(Lは長さ、Dは直径)の押出機を使用した。また第1押出機と第2押出機の押出機出口に発泡シートの共押出しの為に直径94mmのダイリップを有する環状ダイを用いた。
発泡層形成のために、低密度ポリエチレンLD1 100質量部に対して、気泡調整剤マスターバッチを3質量部配合して、直径90mmの押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調製された溶融樹脂とした。該溶融樹脂に物理発泡剤(ノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%のブタン混合発泡剤)を用いて、低密度ポリエチレン100質量部に対して30質量部となるように圧入し、次いで前記直径90mmの押出機の下流側に連結された直径120mmの押出機に供給して、115℃の発泡層形成用溶融樹脂を得た。
【0058】
一方、帯電防止層を形成するために、低密度ポリエチレンLD1 86質量%に対し、高分子型帯電防止剤10質量%、フィラーとしてタルク4質量%を配合して、直径50mmの第2押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融して約200℃に調製された溶融樹脂混合物とし、該溶融樹脂混合物に揮発性可塑剤として混合ブタン(ノルマルブタン70質量%とイソブタン30質量%からなる混合物)を溶融樹脂混合物100質量部に対して30質量部となるように圧入し、その後樹脂温度を118℃に調整して、帯電防止層形成用溶融樹脂を得た。
【0059】
上記で得た発泡層形成用溶融樹脂と帯電防止層形成用溶融樹脂を合流ダイ中へ供給し、順に帯電防止層形成用溶融樹脂/発泡層形成用溶融樹脂/帯電防止層形成用溶融樹脂となるように積層して環状ダイから共押出し、筒状の押出発泡体を冷却用の円筒に沿わせて引き取り、切り開いて発泡層の両面に帯電防止層が積層接着された本発明の多層発泡シートを得た。
得られた多層発泡シートの見掛け密度と厚み、帯電防止層の坪量、並びに多層発泡シートの帯電防止性能(表面抵抗率、初期帯電圧)、移行性、及び耐ブロッキング性についての評価を行った。その結果を表2にまとめて示す。
【0060】
[実施例2]
実施例2において、フィラー配合量を15質量%とした以外は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。
[実施例3]
実施例3において、帯電防止剤を「ぺレクトロンHS」とし、帯電防止剤配合量を50質量%とした以外は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。
【0061】
[実施例4]
実施例4において、フィラーの配合量を10質量%とした以外は実施例3と同様にして多層発泡シートを得た。
[実施例5]
実施例5において、ポリオレフィン系樹脂をLD2とし、多層発泡シートの見掛け密度を92kg/m
3、帯電防止層の坪量を5.4g/m
2とした以外は実施例4と同様にして本発明による発泡シートを得た。
[実施例6]
実施例6において、フィラーを炭酸カルシウムとした以外は実施例5と同様にして本発明の多層発泡シートを得た。
【0062】
[実施例7]
実施例7において、多層発泡シートの見かけ密度を46kg/m
3、帯電防止層の坪量を0.7g/m
2、多層発泡シートの厚みを0.34mmとした以外は実施例4と同様にして本発明の多層発泡シートを得た。
[実施例8]
実施例8において、フィラーの配合量を20質量部、ポリオレフィン系樹脂をLD3とした以外は実施例4と同様にして本発明の多層発泡シートを得た。
[実施例9]
実施例9において、帯電防止剤配合量を70質量%、フィラーの配合量を6質量%とした以外は実施例3と同様にして本発明の多層発泡シートを得た。
【0063】
[比較例1]
フィラーを配合しなかった以外は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。実施例1と比較して、ヘイズ値が高くなり、移行汚れが増加した。
[比較例2]
フィラーを配合せず、帯電防止剤の配合量を50質量%に増やした以外は実施例3と同様にして多層発泡シートを得た。フィラーを配合していないため、実施例3と比較して表面抵抗率は優れるが移行性の評価が悪化していることがわかる。
【0064】
[比較例3]
フィラーであるタルクの配合量を1質量部と少なくした以外は比較例2と同様にして多層発泡シートを得た。比較例2と比較して若干は移行性の評価が向上しているが、フィラーが不足しているために移行性評価に劣り、優れた多層発泡シートが得られなかった。
[比較例4]
フィラー配合量を30質量%とした以外は、比較例3と同様にして多層発泡シートを得た。比較例3と比較してフィラーの量が多すぎたため、帯電防止層を形成することが困難となった。
上記実施例1〜9、比較例1〜4におけるこの多層発泡シートの使用材料、評価結果をそれぞれ表1と表2にまとめて示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】