(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
チューブネスト反応器は、固定床反応器であり、固定床内で反応するプロセスガス混合物すなわち反応ガスと、個別の加熱媒体と、の間において熱交換を引き起こす可能性を提供する。反応は、基本的には、吸熱反応とも、発熱反応とも、することができる。実質的に粒状触媒をなす固定床は、複数の反応チューブからなるネスト(すなわち、束)のチューブ(反応チューブ)内に配置されている。反応チューブは、一般に、鉛直方向に配置される。反応チューブの両端は、チューブプレートに対して固定されていて、シールされている。反応チューブの周囲において、加熱媒体が、チューブネストを囲んでいる反応器シェル内を流通する。プロセスガス混合物は、一方のチューブプレートに設けられた反応器キャップを介して、複数の反応チューブに対して供給され、他方のチューブプレートに設けられた反応器キャップを介して同様にして抽出される。加熱媒体は、多くの場合、溶融塩とされ、1つまたは複数のポンプによって循環され、反応プロセスの特性に応じて、1つまたは複数の熱交換器によって加熱または冷却される。加熱媒体は、通常、反応器の内部に対して、反応器シェルを囲む複数のリングチャネルを通して、導入または導出される。複数のリングチャネルは、チューブプレートの近傍に配置され、シェル開口によってシェルの内部に対して連通される。シェルの内部は、以下においては、「シェルスペース」と称される。ポンプと熱交換器との双方は、通常は、反応器シェルの外部に配置される。
【0003】
現代のチューブネスト反応器においては、30,000本あるいはそれ以上の数のチューブが設けられる。一様な反応プロセスのために、よって、反応製品の高収率および良好な選択性のために、反応器のそのようなすべてのチューブに関してできるだけ同じ温度分布を得るためには、重要なことは、反応チューブに対して直交した各平面内における加熱媒体の温度の相違および流通条件の相違を、できるだけ小さく維持することである。
【0004】
反応器の内部における一様な熱伝達のための事前条件は、反応器の外周まわりにおいて、反応器内へと流入する容積流と反応器外へと流出する容積流とが同じであることである。これは、一般に、リングチャネルと反応器内部との間のシェル開口であって、局所的なそれぞれの流通圧力に応じて、反応器の外周まわりにおいて様々に相違する出口横断面積を有したシェル開口によって、得られる。
【0005】
冷却器を通しての加熱媒体の容積流に関して、一定の動作状況を生成するためには、DE1963394Aは、制御可能なバイパスが熱交換器のケーシング内に設けられた反応器システムであって、制御可能なバイパスが、冷却要求に応じて、より多量のあるいはより少量の加熱媒体を熱伝達表面へと案内するような、反応器システムを提案している。このようにして、冷却器を通しての合計の容積流は、一定に維持される。一実施形態においては、ポンプおよび熱交換器が、反応器の両サイドに配置される。この構成においては、熱交換器から抽出された加熱媒体は、上側の、加熱媒体の戻り経路リングチャネル内へと供給される。その場合、リングチャネルは、2つのリングチャネル半体へと分割され、流通経路の途中で結合され、加熱された加熱媒体の流れは、反応器シェルの開口から導出される。リングチャネルの端部においては、2つの加熱媒体流が、結合して、ポンプに対して供給される。ポンプは、加熱媒体の合計流を、加熱媒体の導出経路リングチャネル内へとポンピングする。そこで、リングチャネルは、再度、2つのリングチャネル半体へと分割され、シェル開口を介して反応器内へと供給される。リングチャネル半体の下流側の他端においては、いくらかの加熱媒体が、熱交換器内へと供給される。反応器からの加熱媒体の流れと、熱交換器からの加熱媒体の流れと、の混合のための個別デバイスは、想定されていない。混合は、主にポンプによって行われる。ポンプを通して、加熱媒体は、大きな乱流度合いで流れる。すなわち、多数の渦および/または大規模な渦を有して流れる。しかしながら、大きな乱流度合いは、ポンプの効率を低減させ、より一層大きなポンピング能力を要求する。
【0006】
相応して大きなポンピング能力が要求されるような大きな反応器に関しては、DE3409159A1は、2つのポンプの間におけるポンピング能力の分割を提案している。2つのポンプは、互いに反対側に位置した場所において、リングチャネルに対して連通される。このようにして、最大のポンピング距離が低減され、要求されるポンピング能力は、それに相応して、低減される。熱交換器は、2つのポンプの間において対称的に配置することが想定される。熱交換器からの戻り流は、複数のアクチュエータによって調整することができる。これにより、反応器の2つのサイドの温度を、制御することができる。この場合にも、個別の混合デバイスは、想定されていない。そして、この場合にも、混合は、主に2つのポンプによって行われる。
【0007】
ポンプおよび熱交換器は、様々な態様で反応器に付設することができる。例えば、WO2004/052525A1は、ポンプおよび熱交換器が『周縁方向において』互いに異なる位置に配置された反応器を開示している。いくつかの実施形態の例は、180°および90°というオフセットを有した構成を示している。供給チャネルから加熱媒体の導出経路リングチャネル内への、および、導出経路リングチャネルから反応器内部への、加熱媒体の一様な流入は、複数の湾曲したバッフルプレートによって補助される。加えて、ポンプ内における混合を助長するために、複数の混合器を、導出経路リングチャネル内への入口の前方に、あるいは、このチャネル内に、配置することが提案されている。複数の混合器は、複数のグレーティングとして、あるいは、複数の混合チャンバとして、実施される。
【0008】
ポンプと熱交換器との180°というオフセットを有した構成における流れの案内は、DE1963394Aに開示されたものと、同じである。90°というオフセットを有した構成においては、加熱媒体の導出経路リングチャネル内に、さらに、反応器内部への加熱媒体の流れおよび熱交換器内への加熱媒体の流れを制御するための分離プレートが設けられる。
【0009】
DE 101 37 768 A1は、そのような反応器において、反応器内の流通断面積にわたっての加熱媒体の混合は、ごく限られた程度しか起こらないことを述べている。高効率の循環ポンプが要望された場合には、ポンプの混合効率は、また、不十分である。反応器からのおよび熱交換器からの様々な温度の加熱媒体の流れを、これら流れがポンプ内へと流入する前に、大きな程度で混合することが必要であると考えられている。シェル開口を通して反応器から抽出された加熱媒体を、加熱媒体の戻り経路リングチャネル内への流入直後に、加熱媒体の戻り経路リングチャネル内に構築された混合チャネルにおいて、熱交換器からくる加熱媒体と一緒に、混合することが提案されている。同じく加熱媒体の戻り経路リングチャネル内に構築された分散チャネルにより、熱交換器からくる加熱媒体は、多数の微細な個々のジェットへと分割され、各ジェットは、シェル開口を通して流入する加熱媒体の部分流内へと、分散して、均等に混合される。
【0010】
加熱媒体を循環させるために使用されるポンプは、比較的小さなヘッドでもって大容積流を循環させるという課題を有している。特別な要求がない限りにおいては、ポンプは、できるだけ単純に実施される。すなわち、ポンプは、円筒形のポンプケーシングを備えており、要求に応じて軸方向インペラを備えている。ポンプは、通常、DE 101 37 768 A1の
図4に図示されているように、上側のリングチャネルと下側のリングチャネルとの間に配置されている。しかしながら、加熱媒体が高温であることのために、ポンプおよび駆動モータの多くの部材を、加熱媒体システムの外部に配置することが要望されている。したがって、インペラだけが加熱媒体に対して接触していることが、理想的である。しかしながら、このためには、駆動モータとポンプのインペラとの間の連結シャフトを長いものとする必要がある。小さな振動での動作を確保するためには、シャフトは、適切なベアリング上に取り付けられなければならない、好ましくは、加熱媒体に対して接触することなく取り付けられなければならない。このためには、インペラを『片持ち式に』取り付ける必要がある。回転の臨界速度から十分な距離を得るためには、シャフトは、堅固な構成のものとしなければならない。そこで、連結シャフトの浮遊部分は、製造コストの理由からまたスペース的な理由から、できるだけ短いべきである。しかしながら、そのためには、特殊な構成が必要とされる。
【0011】
この観点においては、JP59138794Aの構成が公知である。この文献によると、ポンピングされるべき液体は、単純な流通反転を受ける。この構成におけるポンプは、ポンプガイドチューブと、このポンプガイドチューブを囲むケーシングと、を備えている。液体は、ケーシングの下部の開口を通してケーシング内へと流入し、その後、ケーシングの内壁とポンプガイドチューブの外壁との間の領域を上向きに移動し、ポンプガイドチューブの上部領域の開口を通してポンプガイドチューブの内部へと流入し、ポンプガイドチューブ内を下向きに流れ、ポンプガイドチューブの下部領域の開口を通して流出する。これは、短い浮遊シャフトを得ることを可能とする。なぜなら、インペラの位置を、リングチャネルの形状とは無関係に選択できるからである。
【0012】
DE 101 27 365 A1は、JP59138794Aの改良であって、二重の流通反転を有している。この場合には、加熱媒体は、追加的な流通チャネル内に偏向した後に、反応器の上側リングチャネル内へと上向きに供給される。よって、反応器のチューブネスト内において下向きの流通反転を得ることができる。
【0013】
WO2004/052526A1は、ポンプと、熱交換器のバイパスと、を備えた反応器を開示している。熱交換器が反応器と並列に設けられている実施形態においては、熱交換器からくる加熱媒体は、まず最初に、外部混合器内において反応器のシェルスペースからくる加熱された加熱媒体と混合され、その後、ポンプ内へと供給される。混合器の構成は、詳細には開示されていない。シェルスペースの部分流と熱交換器の部分流との組合せという構成上の特徴点に関しては、一切提案されていない。
【0014】
他の実施形態においては、2つの比較的短い反応ゾーンを備えた反応器が開示されている。その場合、ポンプおよび熱交換器は、反応器の周縁まわりの様々なポイントに配置されている。2つの反応ゾーンのポンプは、同じ高さ位置に配置され、好ましくは、上側ゾーンの領域において同じ高さ位置に配置される。これにより、ポンプシャフトを短くすることができ、動作の信頼性を向上させることができる。この構成は、加熱媒体をリングチャネルの所望ポイントへと案内するために、対応する偏向チャネルを必要とする。ポンプとリングチャネルとの間においてチャネルどうしを連結するには、様々な選択肢が存在する。加えて、注入ポンプが例示されており、この注入ポンプは、ポンプの取込領域における圧力を増大させ、よって、ハイパワーポンプにおけるキャビテーション特性を改良する。
【0015】
混合デバイスは、例えば、DE2245442Aにより公知である。この文献においては、乱流の生成を補助する旋回混合器が開示されている。このデバイスは、多数の捩れたストリップ形状部材を備えている。これら部材は、流通方向において互いに平行とされた多数の組合せで配置することができる。部材の回転方向は、同様とすることも逆向きとすることもできる。混合のために必要とされるエネルギーは、デバイス内を流れる液体の移動によって得られる。
【0016】
反応器システムを通して加熱媒体を案内するための公知の手法は、主に、個々の容積流の量に対して影響を与えることに関するものである。様々な温度の加熱媒体流どうしが組み合わされた場合には、それらが、追加的なデバイスを必要とすることなく、互いに対して十分に混合されることを、暗黙のうちに仮定している。あるいは、循環ポンプがこの混合に影響を与えることを、暗黙のうちに仮定している。実際、このことは、DE 101 37 768 A1に開示されているように、効率が最適化されたポンプの場合には、すなわち、流れが最適化されなおかつ乱流度合いが小さなポンプの場合には、当てはまらない。
【0017】
DE 101 37 768 A1は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル内における混合デバイスを提案している。しかしながら、提案されたこの手法は、複雑でコスト高のものである。なぜなら、熱交換器からくる冷却された加熱媒体の流れは、リングチャネルの延在長さの全体にわたって、一様に分散されなければならないからである。そのことは、相応して調整された複数の開口を有した追加的な分散チャネルを必要とする。さらに、分散チャネルと、それに続く混合チャネルとは、大きな圧力降下を引き起こし、そのため、熱交換器内における望ましくない背圧を引き起こす。さらに、サブチャネルどうしの間の望ましくない熱伝達が、流通経路に沿って引き起こされる。
【0018】
WO2004/052526A1において提案されているように、ポンプ内への入口から上流側に外部混合器を配置するには、より大きなスペースを必要とする。しかしながら、通常は、コンパクト化された構成という理由のために、ポンプは、反応器のできるだけ近くに配置することが要望される。混合器によって必要とされるスペースは、この要望と競合する。
【0019】
ポンプを高効率なものとするためには、ポンプのインペラに対しての流れが最適化された小さな乱流度合いの導入、および、ポンプのインペラを通しての流れが最適化された小さな乱流度合いの流通が、重要であるだけではなく、インペラの導出側に配置された同様に流れが最適化された流通チャネルを設けることも、また、重要である。なぜなら、そうでなければ、DE 101 37 768 A1やWO2004/052526A1に記載されているように、そうでない場合に得られる効率が得られないからである。あるいは、効率の損失は、増大された努力および費用によって他のポイントにおいて補償されなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明によって解決されるべき課題は、技術分野の項において上述したタイプのチューブネスト反応器を、ポンプの効率をより経済的に向上させ得るように、構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明においては、上記の課題は、請求項1,11,13に記載されたチューブネスト反応器によって、解決される。
【0023】
本発明による複数のチューブネスト反応器によれば、適切な構成に基づき効率向上のために必要であるようなポンプを通しての加熱媒体流の最適化を補助することによって、外部ポンプの効率を向上させることができる。
【0024】
すなわち、請求項1記載の手法においては、流れが最適化されたポンプにおける混合効果の低減が、加熱媒体の戻り経路リングチャネルの格別の構成によって、補償される。通常は20K〜100Kという温度差を有しているような、シェルスペースからの加熱媒体と、メインの熱交換器からの戻りの加熱媒体と、の効果的な混合が、極めて安価に得られる。この場合、加熱媒体の戻り経路リングチャネルは、その長さ全体にわたっておよびその横断面積全体にわたって回転混合器として構成され、熱交換器からの戻り流の全体が、分割された2つのリングチャネル部分どうしの連結ポイントのところにおいて、リングチャネルの横断面積の全体内へと導入される。熱交換器からの加熱媒体の戻り流と、シェル開口を通してのシェルスペースからの加熱媒体の部分流と、の迅速かつ完全な混合を得るために、加熱媒体の戻り経路リングチャネルの各部分は、リングチャネル部分の長手方向軸線まわりにおける戻り流の回転を引き起こすための少なくとも2つのデバイスを有している。それらデバイスは、リングチャネル部分に沿って分散して配置されている。これにより、戻り流を、リングチャネル部分内への流入直後に回転させ、加熱媒体の戻り経路リングチャネルの出口のところにおける、すなわち、外部ポンプに対しての供給路のところにおける、他方のリングチャネル部分からの加熱媒体流に対しての合流直前まで、その回転を継続させる。これにより、戻り流と、回転する戻り流に対して横方向から合流することとなるシェル開口からの部分流と、の迅速かつ完全な混合が、確実に達成される。双方のリングチャネル部分における互いに比例的な、一様な混合は、すなわち、混合された加熱媒体流における等温的な混合は、メインの熱交換器からリングチャネル部分内へと導入された加熱媒体の部分流どうしの容積比率が、2つのリングチャネル部分どうしの長さの比率に対応していることによって、確保される。シェル開口の種類およびサイズは、加熱媒体流が、シェルスペースから加熱媒体の戻り経路リングチャネルへと周縁まわりに一様に分散されて流入し得るように、構成される。よって、加熱媒体の戻り経路リングチャネルからの加熱媒体流は、外部ポンプへと流入する際には、横断面積の全体にわたって完全にかつ一様に混合される。これにより、さらなる混合が不要である。したがって、ポンプ
は、排他的に、流れを最適化することができる、すなわち、他の混合効果に関係なく、流れの最適化を得ることができる。そのような大容量ポンプの使用により、単一のポンプによって反応器を動作させることができる。
【0025】
請求項11の手法においては、ポンプにおける低減された混合効果が、第2の加熱媒体の戻り経路リングチャネルによって、補償される。第2の加熱媒体の戻り経路リングチャネルは、ポンプケーシングのうちの、上を向いた同心領域を囲み、液体が、ポンプケーシングの周縁まわりに分散して配置された多数の開口を通してインペラへの供給路に対して流れ得るようにして、連結される。請求項1のようにシェルスペースを囲む加熱媒体の戻り経路リングチャネルに対してではなくて、インペラに対して、メインの熱交換器の出口が取り付けられている。
【0026】
ポンプケーシングのうちの、インペラへの供給路内において軸方向に上を向いた同心領域は、インペラに対しての回転対称的な流れを引き起こす。これは、同心領域を囲む第2の加熱媒体の戻り経路リングチャネルによって行われる。第2の加熱媒体の戻り経路リングチャネルは、供給領域の周縁全体にわたって、メインの熱交換器からの戻り流を、第1の加熱媒体の戻り経路リングチャネルを介してシェルスペースからくる加熱媒体流内へと、比例させる。メインの熱交換器からの戻り流は、供給領域内において回転対称的に分散される、すなわち、供給領域の周縁全体にわたって回転対称的に分散される。このようにして、シェルスペースからくる大容積の加熱媒体流に対しての、熱交換器からの戻り流の混合効果を、比例手段の構成によって、単純な態様で得ることができる。これにより、十分な混合のためにインペラの入口までの長い流通経路を設けることが、もはや不要である。よって、インペラ領域は、加熱媒体流の最適化のために、すなわち、ポンプ効率の最適化のために、排他的に、構成することができる。
【0027】
さらなる手法として、請求項13は、鉛直方向から水平方向への加熱媒体流体の偏向領域の格別の構成に基づいて、偏向領域の製造コストを低減させつつ、インペラの加圧サイドにおける加熱媒体流の最適化を提案する。偏向領域の壁を、鉛直方向と水平方向とに延在する2つのシリンダの交差だけによって形成されていることにより、加熱媒体の極度に小さな乱流度合いの偏向が、得られる。なぜなら、デッドコーナーが生成されないからであり、すなわち、デッドなウォータゾーンが生成されないからであり、一方においては、横断面の先鋭な偏向および突然的な拡径が回避されるからである。他方においては、単純で安価な部材からの製造が可能である。このような小さな乱流度合いの偏向は、それ自体が既に流れの最適化であり、ポンプ効率の向上を引き起こす。しかしながら、これに加えて、上流側の領域におけるさらなる流れの最適化が可能である。なぜなら、偏向領域において形成された過度の渦を有した流れによって打ち消されることがないからである。
【0028】
好ましい実施形態においては、請求項1に記載されたチューブネスト反応器においては、メインの熱交換器の出口が、加熱媒体の戻り経路リングチャネルへの連結チャネルによって連結され、この連結チャネル内において、加熱媒体からの戻り流を2つのリングチャネル部分へと比例的に分割するための手段が設けられる。このようにして、加熱媒体の戻り経路リングチャネルは、加熱媒体の戻り経路リングチャネルを2つのリングチャネル部分へと分割するための分離壁を除いては、そのような手段を設ける必要がない。これにより、回転を生成するためのデバイスを、連結ポイントの近傍において、リングチャネル部分内に、排他的に設けることができる。加えて、連結チャネル自体からの影響を、連結チャネル内の対応手段によって、補償することができる。
【0029】
例えば、本発明の有利な態様においては、メインの熱交換器の出口から2つの部分の連結ポイントへの流通経路の長さは、相異するものとすることができ、連結チャネル内における分割手段の構成は、また、これらの相異を補償することができる。
【0030】
例えば、径方向内側の流通経路を径方向外側の流通経路よりも短いものとし得るよう連結チャネルが円弧形状のものとして構成されているならば、メインの熱交換器は、反応器シェルの出口サイドに対してできるだけ近くに取り付けることができる。これにより、一方においては、構築のためのスペースを低減し得るとともに、他方においては、反応器シェルの支持体上におけるメインの熱交換器の支持体の構成を単純なものとすることができる。
【0031】
本発明の有利な態様においては、1つまたは複数の補助的な熱交換器が、メインの熱交換器に対して連結され、補助的な熱交換器の各々からの戻り流が、分割手段を通過する。そのような補助的な熱交換器は、例えば取込ガス予熱器やスチーム過熱器といったような、さらなるプロセスステージのための熱交換器とされる。加熱媒体の戻り経路リングチャネルに対しての補助的な熱交換器の直接的な連結は、リングチャネル部分内を流れる加熱媒体の容積比率における不均衡を引き起こす。補助的な熱交換器の各々からの戻り経路がメインの熱交換器に対して連結されているならば、さらに、戻り流が分割手段を介して案内されているならば、戻り流も、自動的に分配される。このため、不均衡が起こらない。加熱媒体の戻り経路リングチャネルに対しての補助的な熱交換器の直接的な連結は、無視できる程度の量の加熱媒体しか導入されない場合にのみ、可能である。
【0032】
メインの熱交換器に関する連結ポイントと、ポンプに関する連結ポイントとが、互いに対して90°〜180°というオフセットでもって配置されていることが、有利である。リングチャネル部分の長さが、反応器シェルの周縁の少なくとも4分の1である場合には、戻り経路の流れに回転を引き起こすためのデバイスの数が比較的少数であったとしても、すなわち、回転速度が比較的小さなものであったとしても、十分な混合効果が既に得られている。180°というオフセットの場合には、対称性が存在し、このため、特に、分割手段の構成および製造が大幅に簡略化される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態においては、回転を引き起こすための2つまたはそれ以上のデバイスの各々が、バッフルプレートとされ、バッフルプレートが、リングチャネルの少なくとも1つの壁上に、設けられ、バッフルプレートが、戻り流内にリングチャネルの長手方向軸線に対して直角とされた接線方向速度成分を形成するように、構成されている。このようにして、リングチャネル部分の長手方向軸線まわりにおける戻り流の回転が、より少ない技術的努力であっても、得られる。
【0034】
シェル開口から流出する部分流の流れ方向において、偏向によって、部分流に接線方向速度成分を誘起して回転を引き起こすためのデバイスが配置されていることが、特に好ましい。これは、混合効果を、より明瞭なものとする。なぜなら、シェル開口からくる加熱媒体の各部分流に対して、戻り流に対しての接線方向に部分流を偏向させるデバイスが割り当てられているからであり、それにより、混合効果が増強されるからである。
【0035】
回転を打ち消すためのデバイスが、ポンプの前方側において2つのリングチャネル部分の合流箇所に配置されていることが、有利である。このようにして、合流した合計の加熱媒体内における渦が、大幅に回避され、これにより、ポンプ効率に関して、流れが最適化される。
【0036】
本発明の特に有利な態様においては、デバイスが、複数の水平方向に配置されたなおかつ鉛直方向に離間されたプレートを備え、これらプレートが、最後のシェル開口からポンプ導入パイプ内へと、リングチャネル部分内における加熱媒体の流れ方向において、2つのリングチャネル部分の幅全体にわたって延在し、これにより、複数のプレートが、複数の隙間を形成し、隙間の各々が、リングチャネル部分内に位置した2つの導入側面と、ポンプ導入パイプ内に位置した1つの導出側面と、を有している。これにより、加熱媒体流内における回転の打ち消しが、極めて効果的ななおかつ安価な態様で、得られる。
【0037】
隙間が、2つの導入側面のところにおいて高さ方向において交互的に少なくとも部分的に閉塞されることが、特に好ましい。このようにして、リングチャネル部分からの2つの衝突する加熱媒体流の層状化が得られ、これにより、これら2つの加熱媒体流の混合の改良が得られる。
【0038】
請求項11に記載されたチューブネスト反応器の好ましい実施形態においては、ポンプケーシング開口が、比例手段として構成され、2つまたはそれ以上の列をなす比例手段が、ポンプの軸線方向において、上下方向に多段で配置され、供給路内における複数の列が、ポンプに対して径方向に互いにオフセットされている。メインの熱交換器からポンプの供給路内への戻り流の軸線方向と径方向との双方においてオフセットされたこの通過により、特に微細に分配された比例配分が達成され、これにより、比例によって極めて強烈な混合が得られ、これにより、比例ポイントからインペラへの極めて短い流通経路を構築することができる。
【0039】
請求項13の記載されたチューブネスト反応器の好ましい実施形態においては、外部ポンプが、インペラの加圧サイドに、
ディフューザを備え、加圧サイドの拡径が、収束形状のコアによって少なくとも部分的に形成されている。
ディフューザの効果は、流通チャネルの壁からの流れの分離を大いに防止するものであり、運動エネルギーから圧力エネルギーへの最適の変換を可能とする。収束コアを配置することにより、チャネルの外壁を、一定の直径を有したものとして、すなわち、シリンダ部分として、構築することができる。
【0040】
好ましくは、チャネルの下流側には、偏向領域が配置されている。偏向領域の横断面積は、流れ方向において拡径している。この手段は、ポンプの出口から加熱媒体の導出経路リングチャネルの入口への他の
ディフューザを形成する。これにより、詳細に上述したように、運動エネルギーから圧力エネルギーへの変換が最適化される。
【0041】
本発明につき、以下においては、添付図面を参照して、より詳細に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1aおよび
図1bは、チューブネスト反応器1を示している。チューブネスト反応器1は、メインの反応器ボディ2と、外部の加熱媒体ポンプ3と、外部のメインの熱交換器4と、外部の補助的な熱交換器5と、を具備している。
【0044】
メインの反応器ボディ2は、円筒形の(すなわち、シリンダ形状の)反応器シェル6を備えている。反応器シェル6は、複数の鉛直方向の反応チューブ7からなるネスト(
図1bには図示されていない)を囲んでいる。複数の反応チューブ7は、上側チューブプレート8および下側チューブプレート9のところにおいて、両端部が固定されてシールされている。反応シェル6およびチューブプレート8,9は、協働して、シェルスペース10を形成している。シェルスペース10内においては、加熱媒体11が、反応チューブ7の周囲を流通している。図示の例示としての実施形態においては、反応ガス12が、複数の反応チューブ7を通して、下向きに流されている。
【0045】
図示の例示としての実施形態においては、反応器キャップ13が、ガス入口キャップ13として、上側チューブプレート8上に設けられており、反応器キャップ14が、ガス出口キャップ14として、下側チューブプレート9上に設けられている。反応チューブ7の端部は、開口しており、液体が反応器キャップ13,14に対して流れ得るように、連通されている。反応ガス12は、図示していない供給パイプから供給され、入口ノズル15を通して、ガス入口キャップ13内へと流入し、そして、複数の反応チューブ7を通して流れる。複数の反応チューブ7からは、反応済みガス12が、ガス出口キャップ14内へと流入し、ガス出口ノズル16を通して、ここでは図示していない排出パイプ内へと流入する。
【0046】
反応器シェル6は、2つのチューブプレート8,9の近傍において、リングチャネル17,18によって囲まれている。リングチャネル17,18は、液体が多数のシェル開口19を通してシェルスペースに対して流れ得るようにして、連通されている。多数のシェル開口19は、反応器シェル6に形成されていて、周縁まわりに沿って互いに離間されている。シェル開口19のタイプおよびサイズは、加熱媒体11がシェルスペース10の内外にわたって周縁方向において一様に分散して導出入され得るように、構成されている。
【0047】
図示の例示としての実施形態においては、加熱媒体11は、
図1aにおいて、シェルスペース10から上側リングチャネル17内へと流れる。上側リングチャネル17は、以下においては、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17と称される。加熱媒体11は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17から、供給パイプ20を介して、ポンプ3の入口21へと流れる。ポンプ3の出口22は、出口パイプ23を介して、
図1aにおける下側リングチャネル18へと接続されている。下側リングチャネル18は、以下においては、加熱媒体の導出経路リングチャネル18と称される。これにより、加熱媒体11は、ポンプ3から、加熱媒体の導出経路リングチャネル18内へと流れ、このリングチャネル18から、シェル開口を通して、シェルスペース10内へと流れる。
【0048】
加熱媒体流11の一部は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18から、連結パイプ24を介して、メインの熱交換器4へと流れ、さらに、メインの熱交換器4から、戻り経路パイプ25を介して、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17へと流れる。よって、メインの熱交換器4の入口26は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18に対して接続されており、メインの熱交換器4の出口27は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17に対して接続されている。
【0049】
補助的な熱交換器5は、メインの熱交換器4と並列に接続されている。補助的な熱交換器5の入口28は、入口パイプ29を介して、メインの熱交換器4の連結パイプ24に対して接続されている。補助的な熱交換器5の出口30は、出口パイプ31を介して、メインの熱交換器4に対して接続されている。これにより、補助的な熱交換器5からの戻り流32は、メインの熱交換器4からの戻り経路パイプ25を介して、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内へと供給される。
【0050】
図1bは、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の高さ位置において
図1aのチューブネスト反応器1を示す水平方向の断面図である。特に、シェルスペース10から加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内への加熱媒体11の流れと、メインの熱交換器4および補助的な熱交換器5からの加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内への加熱媒体11の流れと、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17からポンプ3に対しての加熱媒体11の流れと、を見ることができる。
【0051】
図示の例示としての実施形態においては、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17に対してのポンプ3の連結ポイント33と、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17に対してのメインの熱交換器4の連結ポイント34とは、約150°または210°だけ、互いにオフセットされている。よって、連結ポイント33,34は、径方向において互いに反対側に位置したものではなく、これにより、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17は、より短いリングチャネル部分35と、より長いリングチャネル部分36と、を有している。
【0052】
シェルスペース10からは、加熱媒体11は、複数のシェル開口19を通して、リングチャネル部分35,36へと流入する。複数のシェル開口19は、反応器シェル16の周縁全体にわたって分散して配置されている。
【0053】
メインの熱交換器4を加熱媒体の戻り経路リングチャネル17に対して接続している出口パイプすなわち戻り経路パイプ25は、円弧形状の連結チャネルとして構成されている。戻り経路パイプ25内には、分割手段37が構築されている。分割手段37により、2つのリングチャネル部分35,36内へと導入される加熱媒体容積または加熱媒体流38,39の容積比率を、互いに調整される。これにより、この容積比率を、リングチャネル部分35,36の長さ比率に対応したものとすることができる。この目的のために、分割手段37は、分離壁40を有している。分離壁40は、連結チャネル25に沿って、連結チャネルの入口領域から、反応器シェル6へと、延在している。分離壁40は、連結チャネル25の高さ全体にわたって鉛直方向に延在しており、連結チャネルの壁に対して堅固に溶接されている。リングチャネル17内においては、分離壁40は、リングチャネル17の横断面にわたってリングチャネル部分35,36の長手方向軸線に対して直角でもって、鉛直方向に延在しており、これにより、リングチャネル17を、2つのリングチャネル部分35,36へと分割している。分離壁40は、リングチャネル17の上部壁および下部壁に対して、および、反応器シェル6に対して、堅固に溶接されている。連結チャネル25の入口領域においては、分離壁40は、この分離壁40を横断するプレートに対して溶接されており、このプレートは、連結チャネル25の壁と協働して、2つのリングチャネル部分35,36内における加熱媒体流のための比例開口42,43を形成している。比例開口42,43のサイズは、2つのリングチャネル部分35,36内を流れる加熱媒体流38,39の容積比率を2つのリングチャネル部分35,36の長さ比率の対応させ得るように、構成されている。
【0054】
メインの熱交換器4に対して、補助的な熱交換器5が連結されている。補助的な熱交換器5の加熱媒体流32は、メインの熱交換器4を通して連結チャネル25へと流れ、上述したように、2つのリングチャネル部分35,36へと分割される。
【0055】
2つのリングチャネル部分35,36内には、多数のデバイス44が配置されている。デバイス44は、リングチャネル部分35,36の長手方向軸線まわりにおける戻り流45,46の回転を引き起こす。戻り流45,46は、リングチャネル部分35,36内において、メインの熱交換器4および補助的な熱交換器5からの戻り流38,39と、シェルスペース10からシェル開口19を通して流れる加熱媒体の部分流47と、から構成されており、以下においては、合計戻り流と称される。シェル開口19からの加熱媒体の部分流47は、リングチャネル部分35,36に沿って流れている合計戻り流45,46を横方向に衝撃する。これにより、特に効果的な混合は、回転混合に起因することができる。
【0056】
よって、熱交換器4,5からの戻り流38,39と、シェル開口19を通して流入する加熱媒体の部分流47とは、合計戻り流45,46内において組み合わされる。合計戻り流45,46に対しては、なおも下向きに流入する加熱媒体の部分流47が、混合される。
【0057】
外部ポンプ3に対しての供給の前に、2つのリングチャネル部分35,36からの2つの合計戻り流45,46は、単一の加熱媒体戻り流48へと結合され、ポンプ3内へと流入する。
【0058】
2つのリングチャネル部分35,36に起因して互いに衝突する2つの合計戻り流45,46は、同じ温度を有している。なぜなら、一方においては、シェルスペース10からの加熱媒体の部分流47を有した加熱媒体の戻り流38,39の一様な混合が、双方のリングチャネル部分35,36において起こるからであり、加えて、リングチャネル部分35,36内における容積流が、それらの長さ比率に対応していて、そのため、双方のリングチャネル部分35,36内において、同等の効果的な混合が得られるだけではなく、同じ混合温度が得られるからである。
【0059】
図2aおよび
図2bは、リングチャネル部分の長手方向軸線まわりにおける戻り流の回転を引き起こすために、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内に設けられたデバイスの第1実施形態を示している。
【0060】
図2aは、反応器1のシェルスペース10のうちの、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の部分35に隣接した部分を示している。シェルスペース10を通して鉛直方向に延在している複数の反応チューブ7は、それらの長手方向軸線によって、概略的に図示されているに過ぎない。複数の反応チューブ7は、上側チューブプレート8において終端している。複数の反応チューブ7は、上側チューブプレート8のところにおいて気密的にかつ液密的に固定されており、液体が、チューブプレート8上に設けられた上側反応器キャップ13(ここでは図示していない)に対して流れ得るようにして、連結されている。加熱媒体の戻り経路リングチャネル17は、反応器シェル6の外側に対して溶接されており、液体が多数のシェル開口19を介してシェルスペース10に対して流れ得るようにして、連結されている。複数のシェル開口19は、反応器シェルの外周の全体にわたって分散して配置されている。これにより、対応して分散している多数の加熱媒体の部分流は、シェルスペース10から、シェル開口19を介して、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17へと、流入することができる。図示の例示としての実施形態においては、複数のシェル開口19は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の中央の高さ位置に配置されている。
【0061】
加熱媒体の戻り経路リングチャネル17のうちの、シェル開口19とは反対側に位置した鉛直方向の外壁49上には、傾斜した流通ガイドプレート(あるいは、バッフルプレート)50が、配置されている。流通ガイドプレート50は、図示の例示としての実施形態においては、流れ方向において、下向きに延在している。これら流通ガイドプレート50は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の内方へと所定距離にわたって、好ましくは、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の全幅の10%〜40%にわたって、延在している。図示の例示としての実施形態においては、流通ガイドプレート50の水平方向に対しての傾斜角度は、約20°とされている。状況によっては、例えば加熱媒体の種類や加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の寸法によっては、傾斜角度は、好ましくは、10°〜45°という範囲とされる。
【0062】
このようにして、少ない製造努力でもって、戻り流45は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の横断面積の全体にわたって回転するように設定される。これにより、シェル開口19から横方向に流入する加熱媒体の部分流47に対しての、極めて効果的な混合が得られる。これにより、完全な混合が確保される。
【0063】
熱交換器4,5から加熱媒体の戻り経路リングチャネル17へと流入する加熱媒体流38,39は、外壁6,49,51a,51bの間においてそれぞれのリングチャネル部分35,36の横断面積の全体にわたって、流れる。戻り流45,46を横断面内の一部だけに制限してしまうようないかなるタイプのバッフルも、必要ではない。熱交換器からの戻り流38,39と、シェル開口19からの加熱媒体流47と、の双方は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の全横断面内へと直接的に導入され、そこで混合される。
【0064】
図3に示す実施形態においては、流通ガイドプレート52は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内において、各シェル開口19の前方に配置されている。流通ガイドプレート52は、加熱媒体流47が加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内へと流入した直後に、リングチャネル17の底部プレート51bに向けて加熱媒体流47を偏向させる。これにより、長手方向軸線に沿って流れる合計戻り流45,46内へと、横方向において偏心的に、加熱媒体流47を供給する。加熱媒体の部分流47のこの偏心的な供給は、戻り流45,46を回転させ、この回転により、戻り流45,46と加熱媒体の部分流47との効果的な混合が引き起こされる。
【0065】
図4a〜
図4dは、流れが最適化されたポンプ3を示している。このポンプ3は、ポンプ導入パイプ20,21と、ポンププロペラすなわちポンプインペラ53と、ポンプ出口部分22,23と、を備えている。
図4bに示すように、図示の例示としてのこの実施形態においては、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17と、加熱媒体の導出経路リングチャネル18とは、反応器シェル6の高さ方向の中央位置において直接的に隣接しており、上側チューブプレート8または下側チューブプレート9の近傍にまで延在している。
【0066】
図4aは、2つの合計戻り流45,46の結合を示している。すなわち、加熱媒体の一部は、2つのリングチャネル部分35,36から、加熱媒体の合計流48内へと流れ、さらに、導入パイプ20,21から、プロペラまたはインペラ53へと流れる。結合箇所においては、加熱媒体の部分流45,46における回転を打ち消すためのデバイス54が配置されている。デバイス54は、鉛直方向において多段に積層され、水平方向に延在し、鉛直方向において互いに離間した、複数のプレート55を有している。プレート55は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17の幅全体にわたって延在している、あるいは、2つのリングチャネル部分35,36の幅全体にわたって延在している。プレート55は、2つのリングチャネル部分35,36の最後のシェル開口19どうしの間において反応器シェル6に対して溶接され、導入パイプ20内へと延在しており、導入パイプ20の壁56に対しても溶接されている。プレート55どうしの間の隙間57は、各リングチャネル35,36内に導入側面58,59を形成しているとともに、導入パイプ20内に導出側面60を形成している。隙間57は、2つの導出側面58,59のところにおいて、ブロック壁58a,59aによって、『高さ方向に横断して』交互的に、少なくとも部分的に閉塞することができる。流通ガイドプレート60aが、隙間57内に配置されている。加熱媒体の部分流45,46は、プレート55の間の隙間57を通して流れ、その後、加熱媒体の合計流48として流れ、環状のポンプ入口スペース61内へと流入し、ポンプインペラ53を通って流れる。
【0067】
ポンプインペラ53は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17よりも上に配置されており、入口ノズル62によって周縁まわりに囲まれている。加熱媒体は、ポンプ入口スペース61を通り、まず最初に、上向きに移動し、その次に、インペラ53を通って、下向きに移動する。
【0068】
ポンプインペラ53および入口ノズル62の上方には、環状形状の入口バッフルプレート63が、同軸的に配置されている。入口バッフルプレート63は、径方向においては円弧形状で構成されており、凸状の上面を有している。この入口バッフルプレート63は、できるだけ最小の乱流度合いでもって、ポンプインペラ53に向けての、加熱媒体流48の回転した対称的な流れ反転を引き起こす。加熱媒体流48の一部は、入口バッフルプレート63の底面に沿ってポンプインペラ53へと案内され、加熱媒体流48の他の部分は、入口バッフルプレート63の上面に沿って、入口バッフルプレート63の中央開口を通して、ポンプインペラ53へと案内される。
【0069】
入口ノズル62の下流端のところにおいては、入口ノズル62は、同軸的に配置された円錐台シェル65に対して周縁まわりにおいて緊密に連結されている。円錐台シェル65は、流れ方向において拡径しており、内部ディスプレーサ(内部濾過器)67付きの出口ステータ66を囲んでいる。円錐台シェル65の上流側端部における直径は、ポンプインペラ53の外径にほぼ対応している。内部ディスプレーサ67は、円筒形状の構成のものとされ、円錐台シェル65内において同軸的に配置されている。内部ディスプレーサ67は、出口ステータ66の径方向に延在する出口ガイドベーン68を介して、円錐台シェル65に対して固定されている。
【0070】
円錐台シェル65の下流側には、円筒形の
ディフューザシェル69が配置されている。
ディフューザシェル69の内部には、コア
ディフューザ70が同軸的に配置されている。コア
ディフューザ70は、
ディフューザシェル69の下流側端部まで延在している。コア
ディフューザ70は、内部ディスプレーサ67に対して固定されており、下流側端部に向けて先細りとなっている。これにより、
ディフューザシェル69のところの流通断面積は、しだいに広がっている。
ディフューザシェル69の壁からの流れの分離を大いに回避するという
ディフューザの効果により、運動エネルギーから圧力エネルギーへの最適の変換を得ることができる。よって、ポンプ効率を向上させることができる。連結ポイント71のところにおいては、円錐台シェル65の直径と
ディフューザシェル69の直径とは、同じであり、連結ポイント72のところにおいては、内部ディスプレーサ67の直径とコア
ディフューザ70の直径とは、同じである。よって、横断面積における急激な変化は存在しない。
【0071】
円筒形のポンプケーシング73は、
ディフューザシェル69と、円錐台シェル65と、入口ノズル62と、入口バッフルプレート63と、を収容しており、供給チャネル20の出口に対して取り付けられている、よって、加熱媒体流45,46の回転を打ち消すためのデバイス54に対して取り付けられている。
【0072】
ポンプケーシング73は、一方においては、円筒形のケーシング壁74と、他方においては、
ディフューザシェル69および円錐台シェル65および入口ノズル62と、の間に、環状のポンプ入口スペース61を形成する。そのスペース61内においては、積層プレート55から流出した加熱媒体48が、
ディフューザシェル69と円錐台シェル65と入口ノズル62との周縁全体にわたって広がり、上向きに流れる。上方から入口ノズル62内に向けて、湾曲した入口バッフルプレート63が、加熱媒体流48を、ポンプインペラ53に向けて、上向き流から下向き流へと偏向させる。
【0073】
入口バッフルプレート63の上方の所定距離のところには、水平方向の分離プレート75が設置されている。水平方向の分離プレート75は、ポンプケーシング73の壁74に対して取り付けられており、ポンプ入口スペース61を、その上方の均衡化ベッセル76から分離させる。均衡化ベッセル76内にも、加熱媒体11が設けられている。加熱媒体11は、均衡化開口(図示せず)を介して、ポンプ入口スペース61へと流入し得るとともに、ポンプ入口スペース61から流出することができる。これにより、熱的な理由による容積変動を補償することができる。均衡化ベッセルすなわち膨張ベッセル76は、ポンプケーシングの上側境界壁すなわちカバー77によって閉塞される。ポンプケーシングの下部境界78は、水平方向の底板によって形成されている。水平方向の底板は、
ディフューザシェル69を挿通させている。底板78は、
ディフューザディフューザシェル69の外側面に対して緊密に溶接されている。
【0074】
ポンプケーシング73のカバー77上には、ポンプインペラ53を駆動するためのモータ79に対してのポンプシャフト80のベアリング(図示せず)が、配置されている。モータ79は、ポンプシャフト80を介して、ポンプインペラ53に対して連結されている。ポンプシャフト80は、上側のシャフト用貫通穴81によってカバー77を貫通しており、下側のシャフト用貫通穴82によって分離プレート75を貫通している。
【0075】
ポンプ出口部分22,23においては、すなわち、インペラ53からの出口サイドにおいては、加熱媒体流48は、
ディフューザ69,70を鉛直方向に下降し、偏向領域83によって水平方向へと偏向される。偏向領域83は、上流側においては、
ディフューザシェル69と連通しており、下流側においては、連結ノズル84と連通している。連結ノズル84は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18に対して連通している。
【0076】
偏向領域83は、2つの交差シリンダ85,86のセグメントから構成されている。一方のシリンダ85は、ポンプケーシング73の内部および外部の双方において、流れ方向において鉛直方向に延在している。ポンプケーシング73の内部においては、シリンダ85は、円筒形の
ディフューザシェル69を形成しており、そして、ポンプケーシング73の外部においては、シリンダ85は、偏向領域83の壁の鉛直方向部分を形成している。偏向領域83の中には、流れバッフルプレート83aが配置されている。流れバッフルプレート83aは、加熱媒体流の一様な偏向を引き起こす。流れバッフルプレート83aは、好ましくは、円筒形セグメントという態様で単純に湾曲されている、あるいは、多角形状に曲げられている。
【0077】
他方のシリンダ86は、水平方向に、すなわち、加熱媒体11,48の流れ方向に対して横方向に、延在しており、
図4cにおいては円として図示されている。この「水平方向に延在するシリンダ」のうち、実線で図示されている部分87だけが使用されている。すなわち、部分87は、
図4cにおいては、四分円として図示されている。破線で図示されているような、円の残部は、円筒形状の初期形状を図示するためだけに機能している。
【0078】
2つのシリンダ85,86の直径は、
図4cに示すように、互いに異なるものとすることができる。これにより、シリンダ85の長手方向軸線88と、シリンダ86の長手方向軸線89とは、交差することがない。シリンダ86の長手方向軸線89は、好ましくは、部分87が連結ノズル84の底部内へと接線方向に連接するように、位置合わせされている。
【0079】
図4dは、平面視において、偏向領域83の形成における2つのシリンダ85,86の共有を示している。加えて、連結ノズル84は、偏向領域83に対しての連結シーム90を有するものとして、図示されている。連結ノズルは、偏向領域83から加熱媒体の導出経路リングチャネル18に向けて拡径している。これにより、
ディフューザ効果が、連結ノズル84においても得られる。よって、流通状況がさらに最適化される。
【0080】
偏向領域83の湾曲した側壁は、すなわち、
図4dにおける上側および下側は、鉛直方向に延在するシリンダ85の部分によって形成されている。流れ方向における連結用の傾斜した側壁は、すなわち、
図4dにおいて左側に延在する部分は、連結ノズル84によって形成されている。下流側の境界壁、すなわち、
図4dにおける右側の部分と、図面がなす平面における連結用の底壁とは、
図4cに示すように、水平方向シリンダ86の上述した(湾曲した)壁セグメント87によって形成される。
【0081】
図5aは、チューブネスト反応器に関しての、
図4bと同様の部分を示しているものの、この場合には、メインの熱交換器4の出口27が、ポンプ3に対して接続されている。
【0082】
この実施形態においては、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内の戻り流91は、反応器1のシェルスペース10からの加熱媒体11だけから構成されている。メインの熱交換器4からの戻り流92との混合は、ポンプ入口スペース61に到達するまでは、起こらない。
【0083】
図5aの実施形態においては、ポンプケーシング73は、ケーシング壁を完全に囲むリングチャネル93を備えている。図示の例示としての実施形態においては、ポンプインペラ53の高さ位置に、ケーシング壁を完全に囲むリングチャネル93を備えている。ポンプケーシング93は、液体を流通させ得る多数のポンプケーシング開口94を介して、環状のポンプ入口スペース61に対して連通している。多数のポンプケーシング開口94は、ケーシング壁74の周縁全体にわたって分散して配置されている。ポンプケーシング開口94は、上下に整列した複数の列として配置することができる。すなわち、加熱媒体11の流れ方向に整列した複数の列として配置することができる。好ましくは、ポンプケーシング開口94は、比例手段95として構成されている。比例手段95は、ポンプ入口スペース61内において、径方向において互いにオフセットされた状態で、終端している。すなわち、加熱媒体11の流れ方向に対して横方向に互いにオフセットされた状態で、終端している。このようにして、熱交換器からの戻り流92は、シェルスペース10からの加熱媒体流91内へと案内されたときには、既に細かく分散されている。これにより、この目的のために、大きな混合が既に起こっている。よって、十分な混合を得るに際して、ポンプインペラ53内への長い経路が不要である。
【0084】
ポンプインペラ53と円錐台シェル65と内部ディスプレーサ67と
ディフューザシェル69とコア
ディフューザ70とからなる下向きの流通チャネルは、
図4bと実質的に対応している。ただし、ここでは、内部ディスプレーサ67とコア
ディフューザ70とは、図示されていない。
【0085】
しかしながら、
図5aに示す実施形態においては、偏向領域83からの加熱媒体流48の一部は、メインの熱交換器4に向けて、ポンプインペラ53の導出側へと、案内される。偏向領域83からメインの熱交換器4への連結パイプ96は、バルブ97を備えている。バルブ97を使用することにより、流れの容積を調整することができる。
【0086】
この実施形態においても、また、入口バッフルプレート63が設けられている。入口バッフルプレート63は、加熱媒体流91を、環状のポンプ入口スペース61内における上向き流から、ポンプインペラ53に向かう下向き流へと、反転させる。
【0087】
この場合にも、ポンプ入口スペース61は、分離プレート75によって、上方に位置する均衡化ベッセルから分離されている。均衡化ベッセル76は、カバー77によって上面が閉塞される。カバー77上には、モータ79が配置されている。モータ79は、ポンプシャフト80によってインペラに対して連結されている。ポンプシャフト80は、シャフト用の開口81を介してカバー77を貫通しているとともに、シャフト用の開口82を介して分離プレート75を貫通している。これにより、インペラを駆動することができる。
【0088】
ポンプ入口スペース61内においては、分離プレート75の近傍において、入口バッフルプレート63の上方には、径方向ポンプ98が、ポンプシャフト80に対して固定されている。分離プレート75には、径方向ポンプ98の近傍において、開口99が配置されている。開口99を通して、均衡化ベッセル76とポンプ入口スペース61との間において、液体が流れることができる。径方向ポンプ98の高さ位置においては、ポンプ入口スペース61は、起立部分100を介して、膨張ベッセル101に対して連通している。膨張ベッセル101は、均衡化ベッセル76に対して連通しており、これにより、液体が流れることができる。
【0089】
径方向ポンプ98により、加熱媒体11は、ポンプインペラ53に向けて押圧される。あるいは、インペラ53から上向きの追加的な圧力を生成することができる。すなわち、インペラの入口つまり吸引口から上向きの追加的な圧力を生成することができる。これにより、インペラ53に関してのすべてのキャビテーションリスクを阻止することができる。
【0090】
必要であれば、径方向ポンプ98は、均衡化ベッセル76から、ポンプインペラ53の入口領域へと、加熱媒体11をポンピングする。一方、ポンピングされた加熱媒体11の過剰分は、起立部分100を介して、膨張ベッセル101内へと流れることができ、さらに、膨張ベッセル101から均衡化ベッセル76内へと流れることができる。
【0091】
起立部分100内における液体高さ位置あるいは静水圧力は、ポンプ入口スペース61内において対応する静水圧力を生成する。液体がすなわち加熱媒体11が、起立部分100からオーバーフローした場合には、理想的な状態に到達する。なぜなら、その場合には、過剰の加熱媒体11が、径方向ポンプによってポンピングされないからであり、これと同時に、可能な最大の静水圧力102に到達するからである。
【0092】
図5cおよび
図5dは、径方向ポンプ98を詳細に示している。径方向ポンプ98は、列をなす複数のブレードホイール103を有している。ブレードホイール103は、実質的に径方向に延在しており、水平方向ディスク104上に配置されており、周縁まわりにおいて一様に分散配置されている。水平方向ディスク104は、ポンプシャフト80に対して堅固に固定されており、ポンプ3のケーシング壁74から所定距離のところにまで、ブレードホイール103と一緒に、径方向に延在している。
【0093】
径方向ポンプ98は、分離プレート75の近傍において、ポンプ入口スペース61内に配置されている。分離プレート75は、ケーシング壁74から径方向にポンプシャフト80のところにまで延在しており、貫通穴99を形成している。貫通穴99は、ポンプシャフト80の周囲において、均衡化ベッセル76からポンプ入口スペース61へと延在している。貫通穴99を通して、加熱媒体11が、均衡化ベッセル76から径方向ポンプ98へと流れる。径方向ポンプ98は、均衡化ベッセル76からポンプインペラ53の入口領域内へと加熱媒体11をポンピングする。
【0094】
図6は、メインの熱交換器4に関しての例示としての実施形態を示している。入口26は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18に対して連通しており、出口27は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17に対して連通している。熱交換器4は、鉛直方向の複数の熱交換チューブ105を有している。熱交換チューブ105の両端部は、開口しているとともに、それらの外周縁部が、上側チューブプレート106または下側チューブプレート107に対して固定されていてシールされている。上側チューブプレート106に対して固定されたチューブ端は、鉛直方向に延在する長尺のサブチャンバ108内において終端している。サブチャンバ108は、上側チューブプレート106上に配置されている。下側チューブプレート107に対して固定されたチューブ端は、下側チューブプレート107上に設けられたキャップ109内において終端している。熱交換チューブは、それらの長手方向軸線だけによって、概略的に図示されているに過ぎない。
【0095】
熱交換器ケーシング110は、複数の熱交換チューブ105からなる束と、チューブプレート106,107と、キャップ109と、を囲んでおり、さらに、サブチャンバ108のほぼ下半分を囲んでいる。熱交換器ケーシング110内においては、すべての熱交換チューブの周囲を、反応器1のシェルスペース10からの加熱媒体11が流れる。加熱媒体11は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18と、シェルスペース10と、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17と、を通って、ループ状でもって循環する。加熱媒体11のいくらかは、加熱媒体の導出経路リングチャネル18から、熱交換器ケーシング110内を通って、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17へと流れる。
【0096】
熱交換チューブ105と、キャップ109と、サブチャンバ108の一部とは、第2加熱媒体111によって充填されている。第2加熱媒体111は、熱交換器用の加熱媒体111と称される。熱交換器用の加熱媒体111は、蒸発冷却によってシェルスペース加熱媒体11を冷却するのに適切な沸点を有している。蒸発冷却時に生成されてサブチャンバ内に収集されたスチーム112が、サブチャンバ108内において凝縮せず、下向きに戻らない限りにおいては、スチーム112は、出口ノズルを通して上向きに排出される。
【0097】
サブチャンバ108のうちの、熱交換器ケーシング110によって囲まれている部分は、すなわち、サブチャンバ108のうちの、シェルスペース加熱媒体11が周囲を流れている部分は、絶縁層114によって、シェルスペース加熱媒体11の温度から絶縁されている。絶縁層114は、サブチャンバ108の外壁に対して適用されている。
【0098】
上側チューブプレート106は、連結チャネル25の下エッジ115よりも下方に位置している。連結チャネル25は、加熱媒体の戻り経路リングチャネル17と、熱交換器4からの出口27とを、連結している。
【0099】
下側チューブプレート107は、加熱媒体の導出経路リングチャネル18よりも下方に位置している。連結パイプ24は、下側チューブプレート107よりもやや上方において熱交換器ケーシング110において終端しており、シェルスペース加熱媒体11を、メインの熱交換器4内へと下向きに案内する。
【0100】
熱交換器ケーシング110の上端からは、オーバーフローパイプ118が延出されている。オーバーフローパイプ118は、最初は、所定長さの分だけ、斜め上向きに延在している。そして、オーバーフローパイプ118の横断面119の全体は、熱交換器ケーシング110内のシェルスペース加熱媒体11の水位121よりも、所定の鉛直方向距離120の分だけ、上方に位置している。その後は、オーバーフローパイプ118は、鉛直方向下向きに延在しており、セパレータ122において終端している。セパレータ122は、例えば、カバーされたピットや、カバーされた容器、という態様のものとすることができる。安全な場所へとベントを行うためのベントパイプ124が、セパレータ122のカバー123から延出されている。
【0101】
オーバーフローパイプ118は、シェルスペース加熱媒体11によって充填されたスペース内へと突然的に流入したガスを持ち去るように機能する。そのようなガスの突然的な流入は、例えば、反応チューブ7あるいは熱交換チューブ105の破裂に起因することができる。生成された液体/ガス混合物は、オーバーフローパイプ118を通して運び去られる。セパレータ122内においては、液体成分とガス成分とが分離され、液体125は、セパレータの底部に収集され、ガスは、ベントパイプ124を通して安全な場所へと排出される。
【0102】
図7aおよび
図7bは、加熱媒体の導出経路リングチャネル18とシェルスペース10とを連通しているシェル開口19を例として、シェル開口19を詳細に示している。シェル開口19のタイプおよびサイズは、加熱媒体11が、シェルスペース10から加熱媒体の戻り経路リングチャネル17内へと、あるいは、加熱媒体の導出経路リングチャネル18からシェルスペース10内へと、周縁まわりにおいてできるだけ均等に分散して流入するように、構成されている。後者の場合、加熱媒体11は、できるだけ径方向にシェルスペース10内へと流入すべきである。
【0103】
好ましくは、シェル開口19は、クロスフローレベル126に対して中央とされている、すなわち、チューブプレート8,9とバッフルプレート127との間において中央とされている、あるいは、2つのバッフルプレート127の間において中央とされている。
【0104】
シェル開口19の幅128は、好ましくは、50mm〜500mmとされ、隣接するシェル開口19どうしの間のウェブ130の幅129に対しての、シェル開口19の幅128の比率は、有利には、0.5〜10とされる。リングチャネル17,18の高さ132に対しての、シェル開口19の最大高さ131は、通常は、20%〜90%という範囲とされる。
【0105】
他方においては、反応チューブ7の間隔133に対しての、すなわち、反応チューブ7の中心間隔に対しての、隣接するシェル開口19どうしの間のウェブ130の幅129の比率は、好ましくは、1〜10という範囲とされる。そして、チューブ束の外径からの、反応器シェル6の距離134は、チューブ間隔133の1倍〜20倍であるべきである。
【0106】
リングチャネル17,18においては、穴開きプレート135が、それぞれのシェル開口19のところに配置されている。穴開きプレート135は、シェル開口19を少なくとも部分的にカバーしている。穴開きプレート135は、シェル開口19の前方または後方のいずれにも配置することができる、あるいは、シェル開口19内に挿入することができる。隣接するシェル開口19に配置される穴開きプレート135どうしは、異なる流れ特性を提供し得るよう、異なる構成のものとすることができる。穴直径138に対しての、穴間隔136の比率は、すなわち、穴137の中心間隔の比率は、好ましくは、1.2〜4.0という範囲とされる。穴開きプレート135は、また、互いに適合した穴パターンを有した複数枚の穴開きプレート135が積層されてなる穴開きプレートスタックとして構成することもできる。穴直径138に対しての、そのような穴開きプレートスタックの合計厚さの比率は、あるいは、シェル開口19の前方にただ1枚の穴開きプレート135が配置される場合には、穴直径138に対しての、この単一の穴開きプレート135厚さの比率は、好ましくは、0.2〜2.0という範囲とされる。穴137は、半径方向に対して傾斜したものとすることができる。これにより、ある方向において、加熱媒体11を案内することができる。