(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の表面上に形成された配線導体層と、前記配線導体層及び前記樹脂絶縁層を連続して貫通する貫通穴と、前記貫通穴内に形成され前記配線導体層に接続される貫通導体とを備えた配線基板であって、
前記貫通穴は、前記配線導体層を貫通する部分において、前記樹脂絶縁層の表面側に位置し前記配線導体層の内壁面により形成される第1の部分としての大径部と、前記第1の部分よりも前記樹脂絶縁層の表面から離れた位置に設けられ前記第1の部分より径が小さく形成された第2の部分としての小径部とを有し、
前記配線導体層の前記大径部と前記小径部との境界部分には、前記小径部の内壁面から前記大径部の内壁面に向かって延びる段差面が形成され、
前記貫通導体は、前記大径部と前記小径部とを含む前記貫通穴内に形成されている
ことを特徴とする配線基板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図14の配線基板100において、貫通導体102は、配線導体層103を貫通する部分の直径が小さくその貫通部分がストレートな形状(単一の径で貫通する形状)である。従って、配線基板100では、貫通導体102と配線導体層103との接触面積が少ないため、接続強度を十分に確保することができない。このため、配線基板100において、貫通導体102と配線導体層103との間でオープン不良(断線)が生じ易くなる。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貫通導体と配線導体層との接触面積を増やし、接続信頼性に優れた配線基板を提供することにある。また別の目的は、上記配線基板を製造することができる配線基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の表面上に形成された配線導体層と、前記配線導体層及び前記樹脂絶縁層を連続して貫通する貫通穴と、前記貫通穴内に形成され前記配線導体層に接続される貫通導体とを備えた配線基板であって、前記貫通穴は、前記配線導体層を貫通する部分において、前記樹脂絶縁層の表面側に位置し前記配線導体層の内壁面により形成される第1の部分
としての大径部と、前記第1の部分よりも前記樹脂絶縁層の表面から離れた位置に設けられ前記第1の部分
より径が小さく形成された第2の部分
としての小径部とを有し
、前記配線導体層の前記大径部と前記小径部との境界部分には、前記小径部の内壁面から前記大径部の内壁面に向かって延びる段差面が形成され、前記貫通導体は、
前記大径部と前記小径部とを含む前記貫通穴内に形成されていることを特徴とする配線基板がある。
【0009】
手段1に記載の発明によると、貫通穴において、第2の部分は、第1の部分に対して配線導体層の内壁面が窄まるよう形成されている。そして、それら第1の部分と第2の部分とを含む貫通穴内に貫通導体が形成されている。このように配線基板を構成すると、従来の配線基板と比較して、貫通導体と配線導体層との接触面積が増し、貫通導体と配線導体層との接続強度を高めることができる。従って、本発明の配線基板では、従来技術のようなオープン不良が生じ難くなる
。
また本発明では、配線導体層の第1の部分と第2の部分との境界部分には、第2の部分の内壁面から第1の部分の内壁面に向かって延びる段差面が形成されて
いることから、貫通導体と配線導体層との密着性を向上させることができ、貫通導体と配線導体層との接続信頼性を高めることができる。またこの場合、貫通導体の端面の段差部分が配線導体層側に嵌まり込むかたちになるため、貫通導体と配線導体層との接続強度を十分に高めることができる。
【0010】
貫通穴は円形状の貫通穴であり、第1の部分は、直径が大きな大径部であり、第2の部分は、第1の部分よりも直径が小さな小径部であってもよい。また、第2の部分としての小径部は、その開口側に行くに従って徐々に縮径するように、テーパ状の内壁面を有するように形成されていてもよい。このように構成しても、貫通導体と配線導体層との接触面積が増し、貫通導体と配線導体層との接続強度を高めることができる。
【0012】
本発明において、貫通穴内の貫通導体は、めっきを施すことで形成してもよいし、導電性ペーストを充填することで形成してもよい。
【0013】
また、第1の部分と第2の部分との境界部分に形成される段差面には、配線導体層の表面と平行な平坦面が存在していてもよい。ここで、例えば導電性ペーストにて貫通導体を形成した場合、その貫通導体が収縮して貫通穴の内壁面との間に隙間が生じることがある。このような場合、境界部分の平坦面によって貫通導体と配線導体層とを確実に密着させることができ、従来のようなオープン不良が生じ難くなる。
【0014】
貫通穴において大径部(第1の部分)の内壁面の直径は、その大径部から連続して貫通形成される樹脂絶縁層の部分の直径と等しく、50μm以下であってもよい。このようにすると、貫通導体の直径(大径部及び小径部)が50μm以下となるため、配線基板における配線の微細化や高密度化を図ることができる。
【0015】
配線基板は、複数の樹脂絶縁層と複数の配線導体層とが積層された樹脂絶縁部と、樹脂絶縁部の下層側に設けられ、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とが積層されたセラミック基板部とを備える電子部品検査用配線基板であってもよい。この場合、貫通導体を介して各層の配線導体層が確実に接続されるため、接続信頼性の優れた電子部品検査用配線基板を得ることができる。さらに、電子部品検査用配線基板における貫通導体と配線導体層との接続信頼性を確保できるため、多数の端子が密集してアレイ状に配置されている電子部品を確実に検査することができる。
【0016】
樹脂絶縁層は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層と、第1樹脂層の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層とにより構成されていてもよい。この場合、加圧及び加熱を行うことにより、第2樹脂層が接着層として機能するため、複数の樹脂絶縁層を一体化した多層配線基板を確実に製造することができる。
【0017】
樹脂絶縁層は、ポリイミド系の樹脂以外の樹脂を用いて形成されるものでもよく、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。また、樹脂絶縁層は、樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材に熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
【0018】
また、上記課題を解決するための別の手段(手段2)としては、手段1に記載の配線基板の製造方法であって、前記樹脂絶縁層となる樹脂絶縁材の片面に、前記配線導体層となる金属層が形成された樹脂フィルムを準備する準備工程と、前記樹脂絶縁材において前記金属層が形成された前記片面の反対側から穴加工を施すことで、前記第1の部分及び前記第2の部分を有する前記貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、前記片面の反対側から前記第1の部分及び前記第2の部分内に導電性ペーストを充填して前記貫通導体を形成する貫通導体形成工程と、前記金属層に対するエッチングを行って前記配線導体層を形成する導体層形成工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【0019】
手段2に記載の発明によると、貫通穴形成工程では、樹脂絶縁材において金属層が形成された片面の反対側から穴加工を施すことで、第1の部分及び第2の部分を有する貫通穴が形成される。本発明では、貫通穴における第2の部分は、第1の部分に対して配線導体層の内壁面が窄まるように形成される。その後、貫通導体形成工程では、第1の部分及び第2の部分内に導電性ペーストが充填されて貫通導体が形成される。ここで、貫通穴において、樹脂絶縁材の片面の反対側の開口から導電性ペーストを充填する際には、片面側の第2の部分の開口から貫通穴内の空気が抜けるため、導電性ペーストの充填をスムーズに行うことができる。このため、第1の部分及び第2の部分において隙間なく確実に貫通導体を形成することができる。また、導体層形成工程において、金属層に対するエッチングを行うことで、貫通導体に繋がる配線導体層がパターン形成される。このように貫通穴及び貫通導体を形成すると、貫通導体と配線導体層との接触面積が増し、貫通導体と配線導体層との密着性を向上させることができる。従って、貫通導体と配線導体層との接続強度を高めることができ、接続信頼性の高い配線基板を製造することができる。
【0020】
貫通穴形成工程では、レーザ加工により、非貫通穴を形成した後、非貫通穴と中心が一致するようその中央にて開口する貫通穴を形成してもよい。この場合、貫通穴における第1の部分(大径部)及び第2の部分(小径部)を位置精度良く確実に形成することができる。また、貫通穴形成工程において、第2の部分となる貫通穴を形成した後、その貫通穴の周囲に第1の部分を形成してもよい。このようにしても、第1の部分及び第2の部分を有する貫通穴を形成することができる。
【0021】
準備工程では、樹脂絶縁材の片面上に金属層としての金属箔を貼り付けた金属箔付き樹脂フィルムを準備してもよい。また、金属箔付き樹脂フィルムにおける金属箔の厚さは10μm以下であってもよい。このように金属箔を薄くすると、配線基板における配線の微細化や高密度化を図ることができる。また、準備工程において、樹脂絶縁材の片面に金属層としてのめっき層やスパッタ層を形成した樹脂フィルムを準備してもよい。この場合、樹脂絶縁材の片面に、比較的薄い金属層を形成することができるため、配線の微細化や高密度化を図ることができる。
【0022】
樹脂フィルムの金属箔が銅箔であり、貫通導体形成工程で用いられる導電性ペーストが銀ペーストであってもよい。この場合、一般的に使用される汎用の材料である銅箔付き樹脂フィルムや銀ペーストを用いることができるため、配線基板の製造コストを低く抑えることができる。
【0023】
また、貫通穴形成工程及び貫通導体形成工程を行った後に導体層形成工程を行ってもよいし、貫通導体形成工程を行う前に導体層形成工程を行ってもよい。但し、導体層形成工程後に貫通導体形成工程を行うと、その貫通導体形成工程において配線導体層の端部等に導電性ペーストが付着する場合があり、その場合には導電性ペーストを拭き取るなどの余分な工程が必要となる。これに対して、貫通導体形成工程後に導体層形成工程を行う場合には、導電性ペーストの拭き取りなどの作業工程が不要となり、配線基板を比較的容易に製造することができる。
【0024】
多層配線基板を製造する場合には、配線導体層をパターン形成した複数の樹脂絶縁層をその厚さ方向に複数積層して多層化する積層工程をさらに含んでいてもよい。この場合、貫通導体と配線導体層との接続信頼性に優れた多層配線基板を製造することができる
。
また、上記課題を解決するための別の手段(手段3)としては、前記大径部が、前記樹脂絶縁層の表面側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状の内壁面を有し、前記小径部が、前記樹脂絶縁層の表面から離れた位置にある開口側に行くに従って徐々に拡径するテーパ状の内壁面を有する配線基板の製造方法であって、前記樹脂絶縁層となる樹脂絶縁材の片面に、前記配線導体層となる金属層が形成された樹脂フィルムを準備する準備工程と、前記樹脂絶縁材において前記金属層が形成された前記片面の反対側からレーザ加工を施して前記大径部を形成するとともに、前記金属層が形成された前記片面側からレーザ加工を施して前記小径部を形成することで、前記貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、前記片面の反対側から前記大径部及び前記小径部内に導電性ペーストを充填して前記貫通導体を形成する貫通導体形成工程と、前記金属層に対するエッチングを行って前記配線導体層を形成する導体層形成工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を電子部品検査用配線基板に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の電子部品検査用配線基板の概略構成を示す断面図である。
【0027】
図1に示される電子部品検査用配線基板10は、ICチップの電気検査を行うための検査装置の一部に使用される部品である。電子部品検査用配線基板10は、樹脂絶縁部20とその樹脂絶縁部20の下層側に設けられるセラミック基板部30とを備える。電子部品検査用配線基板10は、縦横の長さが10cm程度、厚さが4mm程度の基板であり、使用時において配線基板10の主面11(樹脂絶縁部20の表面)が検査対象である電子部品に向けて配置される。
【0028】
セラミック基板部30には、複数のセラミック絶縁層31,32,33と複数の導体層34とが積層されている。セラミック絶縁層31〜33は、例えばアルミナの焼結体であり、導体層34は、例えばタングステン、モリブデン、又はこれらの合金層のメタライズ層である。セラミック基板部30において、各セラミック絶縁層31〜33には厚さ方向に貫通する貫通穴36が形成されており、その貫通穴36内には層間の導体層34に接続されるビア導体37が形成されている。各貫通穴36は断面円形状をなしており、それらの内径は60μm程度である。各ビア導体37も断面円形状をなしており、それらの外径は60μm程度である。ビア導体37は、導体層34と同様にタングステン、モリブデン、又はこれらの合金層のメタライズ層からなる。さらに、配線基板10の裏面12(セラミック基板部30の裏面)には、複数の裏面側端子38がほぼ全域にわたってアレイ状に形成されている。各裏面側端子38は断面円形状をなし、裏面側端子38の直径は、1.0mm程度に設定されている。
【0029】
樹脂絶縁部20には、複数の樹脂絶縁層21,22と複数の配線導体層23とが積層されている。樹脂絶縁層21,22は、例えばポリイミド系樹脂からなる絶縁層である。具体的には、樹脂絶縁層21,22は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とにより構成されている。本実施の形態において、樹脂絶縁層21,22を構成する第1樹脂層24の厚みは20μm程度であり、第2樹脂層25の厚みは5μm程度である。つまり、樹脂絶縁層21,22は30μm程度である。また、配線導体層23は、例えば銅からなる導体層であり、その厚みは5μm程度である。樹脂絶縁部20において、樹脂絶縁層21,22及び配線導体層23を貫通する貫通穴26が形成されており、その貫通穴26内には層間の配線導体層23に接続されるビア導体27(貫通導体)が形成されている。樹脂絶縁部20の貫通穴26及びビア導体27も断面円形状をなす。
【0030】
また、配線基板10の主面11(樹脂絶縁部20の表面)上の中央部分には、配線導体層23を構成する複数の主面側端子28がアレイ状に形成されている。主面側端子28は断面円形状をなし、その直径は例えば50μm程度に設定されている。
【0031】
図1及び
図2に示されるように、貫通穴26は、配線導体層23(主面側端子28や内層の配線パターン)を貫通する部分において、その配線導体層23の内壁面により形成される第1の部分51及び第2の部分52を有する。より詳しくは、貫通穴26において、第1の部分51は、配線導体層23の内層側(樹脂絶縁層21,22の表面側)に位置し、第2の部分52は、その第1の部分51よりも配線導体層23の表層側(樹脂絶縁層21,22の表面から離れた位置)に設けられている。第1の部分51は、直径が大きな大径部であり、第2の部分52は、第1の部分51よりも直径が小さな小径部である。
【0032】
貫通穴26において、第1の部分51の内壁面の直径D1は、その第1の部分51から連続して貫通形成される樹脂絶縁層21,22の部分と等しい直径を有し、例えば40μm程度である。第2の部分52は、第1の部分51に対して配線導体層23の内壁面の直径が縮径するよう形成され、その直径D2は、例えば20μm程度である。また、ビア導体27は、第1の部分51と第2の部分52とを含む貫通穴26内に形成されている。従って、ビア導体27は、第1の部分51で40μm程度、第2の部分52で20μm程度の直径を有している。さらに、第1の部分51及び第2の部分52の厚さは、2.5μm程度であり、配線導体層23の厚さの50%程度となっている。
【0033】
本実施の形態では、貫通穴26における第1の部分51と第2の部分52との境界部分に第2の部分52の内壁面から第1の部分51の内壁面に向かって延びる段差面53が形成されている。また、段差面53には、第1の部分51と第2の部分52との境界部分に配線導体層23の表面と平行な平坦面54が存在している。そして、第1の部分51及び第2の部分52の内壁面に加えてその段差面53にもビア導体27が密着した状態で形成されている。
【0034】
図1に示されるように、電子部品検査用配線基板10において、各主面側端子28は、ビア導体27を介して内層側の配線導体層23に接続され、さらにセラミック基板部30の導体層34やビア導体37を介して裏面側端子38に接続される。
【0035】
次に、本実施の形態における電子部品検査用配線基板10の製造方法を説明する。先ず、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いてグリーンシートを複数枚形成する。そして、複数枚のグリーンシート41に対し、レーザ照射加工、パンチング加工、ドリル加工等による穴あけを行って、所定の位置に複数の貫通穴36を多数形成する(
図3参照)。その後、従来周知のペースト印刷装置(図示略)を用い、各グリーンシート41の貫通穴36に導電性ペースト(例えばタングステンペースト)を充填し、未焼成のビア導体37を形成する。さらに、従来周知のペースト印刷装置を用いて、導電性ペーストを印刷して未焼成の導体層34や裏面側端子38を形成する(
図4参照)。なお、導電性ペーストの充填及び印刷の順序は逆にしてもよい。
【0036】
そして、導電性ペーストの乾燥後、それら複数枚のグリーンシート41を積み重ねて配置し、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシート41を圧着、一体化してセラミック積層体43を形成する(
図5参照)。次に、セラミック積層体43を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、グリーンシート41のアルミナ及びペースト中のタングステンが同時焼結し、セラミック基板部30が形成される。
【0037】
また、樹脂絶縁部20を構成する樹脂絶縁層21,22を以下の手法で作製する。具体的には、
図6に示されるように、樹脂絶縁層21,22となる樹脂絶縁材45の片面46(
図6では上面)に、配線導体層23となる銅箔47が形成された銅箔付き樹脂フィルム48を準備する(準備工程)。なお、樹脂絶縁材45は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に配設されポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とから構成される。そして、樹脂絶縁材45の上面46側に、厚さが5μmである銅箔47が貼り付けられている。
【0038】
次に、
図7及び
図8に示すように、樹脂絶縁材45において銅箔47が形成された片面46の反対側となる下面49側から穴加工を施すことで、第1の部分51及び第2の部分52を有する貫通穴26を形成する(貫通穴形成工程)。具体的には、先ず、
図7に示されるように、レーザ加工により、樹脂フィルム48の樹脂絶縁材45を貫通するとともに樹脂フィルム48の銅箔47を貫通しない第1の部分51を有する非貫通穴を形成する(
図7参照)。銅箔47における第1の部分51は、直径が40μm程度であり、深さが2.5μm程度である。その後、レーザ加工により、銅箔47を貫通する貫通穴である第2の部分52を形成する(
図8参照)。ここでは、樹脂絶縁材45の下面49側からレーザを照射して、第1の部分51(非貫通穴)と中心が一致するよう非貫通穴の中央にて開口する第2の部分52(貫通穴)を形成する。なお、第2の部分52の貫通穴の直径は20μm程度である。このように、樹脂フィルム48の樹脂絶縁材45及銅箔47を連続して貫通し、銅箔47の貫通部分において第1の部分51(大径部)及び第2の部分52(小径部)を有する貫通穴26を形成する。
【0039】
次に、ペースト印刷装置(図示略)を用い、
図9に示されるように、樹脂絶縁材45における下面49側から貫通穴26内に導電性ペースト(具体的には、銀ペースト)を充填した後、180℃程度の温度で1時間加熱してビア導体27(貫通導体)を形成する(貫通導体形成工程)。ここでは、ビア導体27の端面の位置が貫通穴26における第2の部分52の開口よりも内側に収まるようにビア導体27が形成される。
【0040】
その後、樹脂フィルム48の銅箔47を、サブトラクティブ法でパターニングすることで、樹脂絶縁層21上に配線導体層23(主面側端子28)を形成する(
図10参照)。具体的には、樹脂絶縁材45の上面46及び下面49上において、ドライフィルムをラミネートし、同ドライフィルムに対して露光及び現像を行う。これにより、樹脂絶縁層21の下面49にその全面を覆うようにエッチングレジストを形成するとともに、樹脂絶縁層21の上面46に所定のパターンのエッチングレジストを形成する。この状態で、樹脂フィルム48の銅箔47に対してエッチングによるパターニングを行うことにより、樹脂絶縁層21上に各主面側端子28を形成する(導体層形成工程)。その後、剥離液に接触させることにより、各主面側端子28上に残存するエッチングレジストを除去するとともに、下面49側のエッチングレジストを除去する。
【0041】
このような工程を経て、各主面側端子28と各端子28に接続されるビア導体27とを有する樹脂絶縁層21が形成される。また、上述した準備工程〜導体層形成工程を同様に行うことで、配線導体層23の配線パターンとその配線パターンに接続されるビア導体27とを有する樹脂絶縁層22が形成される。
【0042】
次いで、セラミック基板部30の上層側に、樹脂絶縁層21と樹脂絶縁層22とを積層配置し、350℃程度の温度に加熱しつつ75kgf/cm
2程度の圧力で加圧する。この結果、
図1に示されるように、樹脂絶縁部20とセラミック基板部30とが一体化した電子部品検査用配線基板10が製造される。なお、上記製造工程において、樹脂絶縁層21及び樹脂絶縁層22を加圧積層した後セラミック基板部30に積層して電子部品検査用配線基板10を製造してもよい。
【0043】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0044】
(1)本実施の形態の電子部品検査用配線基板10において、ビア導体27が形成される貫通穴26は、配線導体層23を貫通する部分にて第1の部分51とその第1の部分51よりも配線導体層23の内壁面の径が窄まるよう形成された第2の部分52とを有している。このようにすると、従来技術のように同じ直径のストレートな内壁面を有する貫通穴と比較して、ビア導体27と配線導体層23との接触面積が増し、それらビア導体27と配線導体層23との接続強度を高めることができる。従って、本実施の形態の電子部品検査用配線基板10では、従来技術のようなオープン不良が生じ難くなる。
【0045】
(2)本実施の形態の電子部品検査用配線基板10では、貫通穴26において第1の部分51と第2の部分52との境界部分には、第2の部分52の内壁面から第1の部分51の内壁面に向かって延びる段差面53が形成されている。さらに、その段差面53には配線導体層23の表面と平行な平坦面54が存在している。この場合、ビア導体27が収縮して貫通穴26の壁面に隙間が生じた状態でも、境界部分の平坦面54にて配線導体層23とビア導体27とを確実に密着させることができる。また、ビア導体27の上端面の段差部分が配線導体層23側に嵌まり込むかたちになるため、ビア導体27と配線導体層23との接続強度を高めることができ、従来技術のようなオープン不良が生じ難くなる。
【0046】
(3)本実施の形態の電子部品検査用配線基板10において、樹脂絶縁層21,22の表面から離れた位置に設けられた第2の部分52は、樹脂絶縁層21,22の表面側に位置する第1の部分51の直径D1よりも直径D2が小さな小径部となっている。このようにすると、第2の部分52を第1の部分51の直径D1よりも大きく形成する場合と比較して、配線導体層23をより狭いパターンで形成することが可能となり、配線基板10の高密度化や微細化を図ることができる。
【0047】
(4)本実施の形態の場合、貫通穴26において、樹脂絶縁材45の片面46の反対側の開口から銀ペーストを充填する際に、片面46側の第2の部分52の開口から貫通穴26内の空気が抜けるため、銀ペーストの充填をスムーズに行うことができる。このため、第1の部分51及び第2の部分52において隙間なく確実にビア導体27を形成することができる。また、配線導体層23の表面に露出する第2の部分52の開口は比較的狭くなるため、第2の部分52の開口から銀ペーストがはみ出し難くなる。従って、ビア導体27の端面の位置が貫通穴26における第2の部分52の開口よりも内側に収まるようにビア導体27を形成することができる。さらに、第2の部分52の開口は、第1の部分51と比較して狭くなっているため、積層時の加圧によってビア導体27が貫通穴26からはみ出て広がることが防止される。この結果、電子部品検査用配線基板10における配線の微細化や高密度化を図ることができる。また、ビア導体27の端部が第2の部分52の開口から突出しないので、樹脂絶縁層21,22の積層後において配線導体層23の表面に凹凸が生じることがない。
【0048】
(5)本実施の形態の場合、貫通穴形成工程において、レーザ加工により、樹脂フィルム48の銅箔47を貫通しない第1の部分51(大径部となる非貫通穴)が形成される。その後、レーザ加工により、非貫通穴と中心が一致するようその中央にて開口する第2の部分52(小径部となる貫通穴)が形成されている。このようにすると、第1の部分51及び第2の部分52を位置精度良く確実に形成することができる。
【0049】
(6)本実施の形態の場合、一般的に使用される汎用の材料である銅箔付き樹脂フィルム48や銀ペーストを用いているため、電子部品検査用配線基板10の製造コストを低く抑えることができる。
【0050】
(7)本実施の形態の場合、貫通導体形成工程を行った後に導体層形成工程を行っている。これとは逆に、導体層形成工程後に貫通導体形成工程を行うと、配線導体層23の端部等に導電性ペーストが付着する場合があり、その場合には導電性ペーストを拭き取るなどの余分な工程が必要となる。これに対して、本実施の形態のように貫通導体形成工程後に導体層形成工程を行う場合には、導電性ペーストの拭き取りなどの作業工程が不要となり、配線基板10を比較的容易に製造することができる。
【0051】
(8)本実施の形態の電子部品検査用配線基板10において、樹脂絶縁層21,22は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とにより構成されている。この場合、各樹脂絶縁層21,22の積層工程で加圧及び加熱を行うことにより、第2樹脂層25が接着層として機能するため、複数の樹脂絶縁層21,22を一体化した配線基板10を確実に製造することができる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0053】
・上記実施の形態の電子部品検査用配線基板10において、ビア導体27を形成する貫通穴26は、第1の部分51と第2の部分52との境界部分に平坦面54が形成されていたがこれに限定されるものではない。例えば、
図11に示される貫通穴26のように、開口側に行くに従って徐々に縮径するように、つまりテーパ状の内壁面を有するように第2の部分52(小径部)を形成してもよい。
図11の貫通穴26でも、第1の部分51の直径D1が40μm程度、第2の部分52の直径D2が20μm程度となるように形成される。なおここで、第1の部分51の径D1は、第1の部分51のうち樹脂絶縁層21の表面からもっとも離れた位置で測定される値である。また、第2の部分52の径D2は、第2の部分52のうち樹脂絶縁層21の表面にもっとも近い位置で測定される値である。このように貫通穴26を形成しても、ビア導体27と配線導体層23との接触面積が増し、それらビア導体27と配線導体層23との接続強度を高めることができる。
【0054】
・上記実施の形態では、樹脂絶縁材45の下面49側からのレーザ加工を2段階に分けて行うことで、第1の部分51と第2の部分52とを形成していたが、これに限定されるものではない。例えば、レーザ加工時におけるレーザ出力を中心側ほど強くなるように調整し、樹脂フィルム48の下面49側からの1回のレーザ加工により第1の部分51及び第2の部分52を同時に形成してもよい。また、樹脂絶縁材45の下面49側からレーザ加工を施して第1の部分51を形成した後、樹脂絶縁材45の上面46の銅箔47側からレーザ加工を施して第2の部分52を形成してもよい。またこの場合、
図12に示されるように、開口側に行くに従って徐々に拡径するよう第2の部分52を形成してもよい。なおこの具体例でも、第2の部分52の直径D2は、第1の部分51の直径D1よりも小さくなっており、第1の部分51に対して配線導体層23の内壁面が窄まるように第2の部分52が形成されている。
図12のように貫通穴26を形成した場合でも、ビア導体27と配線導体層23との接触面積が増し、それらビア導体27と配線導体層23との接続信頼性を高めることができる。
【0055】
・貫通穴26を形成する穴加工の方法としては、上記実施の形態のようにレーザ加工に限定されるものではなく、エッチングやパンチング加工など他の手法を利用してもよい。具体的には、例えば、小径部である第2の部分52(貫通穴)をパンチング加工で形成した後、大径部である第1の部分51(非貫通穴)をレーザ加工によって形成してもよい。さらに、レーザ加工及び銅箔47のエッチングを組み合わせて行うことで第1の部分51(非貫通穴)を形成した後、針やドリルなど工具を用いて第2の部分52(貫通穴)を形成してもよい。
【0056】
・上記実施の形態において、貫通穴26において、第2の部分52は、第1の部分51の中心となる位置に形成されていたがこれに限定されるものではなく、第1の部分51の中心からずれた位置に第2の部分52を形成してもよい。また、
図13に示されるように、貫通穴26において、1つの第1の部分51に対して複数の第2の部分52を形成してもよい。このように貫通穴26を形成しても、ビア導体27と配線導体層23との接触面積が増し、それらビア導体27と配線導体層23との接続強度を高めることができる。
【0057】
・上記実施の形態において、貫通穴26は円形状の貫通穴であったがこれに限定されるものではなく、四角形状などの多角形状の貫通穴であってもよい。また、貫通穴26における第1の部分51及び第2の部分52も円形状であったが、四角形状などの多角形状であってもよい。さらに、第2の部分52は、第1の部分51に対して配線導体層23の内壁面が窄まるように形成されるものであればよく、半円形状、三日月形状、楕円形状などの任意の形状に変更してもよい。
【0058】
・上記実施の形態において、導電性ペーストとして、銀ペーストを用いたが、これに限定されるものではなく、銅ペーストや、銀と銅とを含むペーストなどの他の導電性ペーストを用いてもよい。
【0059】
・上記実施の形態においてセラミック絶縁層31〜33としてアルミナの焼結体を用いたが、これに限定されるものではない。アルミナ以外の、例えばガラス−セラミックでもよい。ガラス−セラミックを用いた場合、導体層34及びビア導体37は銀、銅、又はこれらの合金を用いる。
【0060】
・上記実施の形態では、樹脂絶縁部20とセラミック基板部30とを備える電子部品検査用配線基板10に具体化したが、他の用途で使用される配線基板に本発明を具体化してもよい。例えば、複数の樹脂絶縁層からなる多層配線基板に本発明を具体化してもよい。
【0061】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0062】
(1)手段1において、前記貫通穴は円形状の貫通穴であり、前記第1の部分は、直径が大きな大径部であり、前記第2の部分は、前記第1の部分よりも直径が小さな小径部であることを特徴とする配線基板。
【0063】
(2)技術的思想(1)において、前記小径部は、その開口側に行くに従って徐々に縮径するよう形成されていることを特徴とする配線基板。
【0064】
(3)技術的思想(1)において、前記貫通穴において前記大径部の内壁面の直径は、その大径部から連続して貫通形成される前記樹脂絶縁層の部分の直径と等しく、50μm以下であることを特徴とする配線基板。
【0065】
(4)手段1において、前記配線基板は、複数の前記樹脂絶縁層と複数の前記配線導体層とが積層された樹脂絶縁部と、前記樹脂絶縁部の下層側に設けられ、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とが積層されたセラミック基板部とを備える電子部品検査用配線基板であることを特徴とする配線基板。
【0066】
(5)手段1において、前記樹脂絶縁層は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層とにより構成されていることを特徴とする配線基板。
【0067】
(6)手段2において、前記貫通穴形成工程では、レーザ加工により、前記非貫通穴を形成した後、前記非貫通穴と中心が一致するようその非貫通穴の中央にて開口する前記貫通穴を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
【0068】
(7)手段2において、前記準備工程では、前記樹脂絶縁材の片面上に前記金属層としての金属箔を貼り付けた金属箔付き樹脂フィルムを準備することを特徴とする配線基板の製造方法。
【0069】
(8)技術的思想(7)において、前記金属箔の厚さが、10μm以下であることを特徴とする配線基板の製造方法。
【0070】
(9)技術的思想(7)において、前記金属箔が銅箔であり、前記貫通導体形成工程で用いられる導電性ペーストが銀ペーストであることを特徴とする配線基板の製造方法。
【0071】
(10)手段2において、前記貫通穴形成工程及び前記貫通導体形成工程を行った後に前記導体層形成工程を行うことを特徴とする配線基板の製造方法。
【0072】
(11)手段2において、前記配線導体層をパターン形成した複数の前記樹脂絶縁層をその厚さ方向に複数積層して多層化する積層工程をさらに含むことを特徴とする配線基板の製造方法。