特許第6139865号(P6139865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139865
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】車両用熱電発電機
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20170522BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20170522BHJP
   F02G 5/04 20060101ALI20170522BHJP
   H01L 35/30 20060101ALI20170522BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F01N5/02 J
   F02G5/02 A
   F02G5/04 G
   F02G5/04 L
   H01L35/30
   H02N11/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-255872(P2012-255872)
(22)【出願日】2012年11月22日
(65)【公開番号】特開2013-133822(P2013-133822A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0141320
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA MOTORS CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】512302500
【氏名又は名称】セジョン インダストリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アン,ホ−チャン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ゾン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ホ−チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ソン−オール
【審査官】 石川 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−177301(JP,A)
【文献】 特表2011−524481(JP,A)
【文献】 特開2009−114995(JP,A)
【文献】 実開昭63−175387(JP,U)
【文献】 実開昭59−131688(JP,U)
【文献】 特開2011−079032(JP,A)
【文献】 特開2002−130554(JP,A)
【文献】 特開2005−049030(JP,A)
【文献】 実開昭56−056978(JP,U)
【文献】 特開2006−002704(JP,A)
【文献】 実開昭59−062221(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F02G 5/02
F02G 5/04
F16L 13/00−15/08
F16L 17/00−19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に高温の排気ガスが流れ、前記排気ガスと熱交換して加熱される排気管、および前記排気管の外周面に所定間隔で取り付けられ、前記排気管によって加熱される複数対の熱伝達板を備える高温部と、
内部に冷却水が流れる環状平板の冷却水通路を備える低温部と、
P−型半導体とN−型半導体を接合してなり、前記熱伝達板と前記冷却水通路に挟まれて、熱電現象を利用して電気を発生し、互いに電気的に連結された複数対の熱電モジュールと、を含んで構成され、
前記熱電モジュールのそれぞれは、その一側面が前記高温部によって加熱され、他側面が前記低温部によって冷却され、その間の温度差による熱電現象を利用して電気を発生し、
前記低温部は、
前記熱電モジュールそれぞれの間に位置し、内部に冷却水が流れ、一側面に冷却水が流入する冷却水流入口が形成され、他側面に冷却水が排出される冷却水排出口が形成される環状平板の複数の冷却水通路と、
前記冷却水通路は互いに180度回転した状態で並べられ、前記複数の冷却水通路のうち隣接した冷却水通路の前記冷却水流入口と隣接した他の冷却水通路の前記冷却水排出口とを連結する冷却水通路連結部、を有することを特徴とする車両用熱電発電機。
【請求項2】
前記冷却水通路連結部は、前記冷却水流入口と前記冷却水排出口の外周面に取り付けられたホースで連結され、前記ホースをクランプで加圧して固定されてなることを特徴とする請求項に記載の車両用熱電発電機。
【請求項3】
前記冷却水通路連結部は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口を、互いに溶接して連結されてなることを特徴とする請求項に記載の車両用熱電発電機。
【請求項4】
前記冷却水通路連結部は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口に形成された左ねじと、隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口に形成された右ねじを、連結ナットの両端のそれぞれにねじ連結されてなることを特徴とする請求項に記載の車両用熱電発電機。
【請求項5】
前記冷却水通路連結部は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と、隣接した他の1つの冷却水通路にあって前記冷却水流入口より大きい直径の冷却水排出口を、圧入シーリングで連結されてなることを特徴とする請求項に記載の車両用熱電発電機。
【請求項6】
前記冷却水通路連結部は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と、隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口とを、フィッティングユニオンで連結されてなることを特徴とする請求項に記載の車両用熱電発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電発電機に関し、より詳しくは、自動車の排気ガスの熱を利用して発電する車両用熱電発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電素子は、素子両端の温度差を電気に切り換えることによって熱エネルギーを電気エネルギーに変換する、あるいは逆に素子に電気を流すことによって素子両端に温度差を生じさせて電気エネルギーを熱エネルギーに変換するといった熱電現象を用いる素子をいう。このような熱電素子は、小規模冷却装置、小規模加熱装置、または小規模発電装置に用いられている。
【0003】
熱電素子が小規模発電装置に用いられるのを熱電発電装置または熱電発電機と呼ぶ。このような熱電発電機は、主に、無線通信機の電源供給装置、宇宙船の電力供給装置、核潜水艦の動力供給装置、および車両の排気システムに設けられる熱電発電機に使用される。車両に関しては、エンジンの排気系に熱電素子を配置して発電する排熱発電装置の提案がなされている〔例えば、特許文献1、特許文献2参照〕。
【0004】
図1は、車両の熱電発電機を示す断面図である。図に示したように、車両の排気システムに設けられる熱電発電機10は、高温の排気ガスが流れる六角形状の排気熱回収装置40、排気熱回収装置40の外側に設けられ、内部に冷却水が流れる冷却装置30、および排気熱回収装置40の外側と冷却装置30の内側に接触し、両端の温度差によって電気を発生させる複数の熱電モジュール20を有している。
【0005】
排気熱回収装置40の内部には高温の排気ガスが流れ、排気ガスの熱エネルギーが熱電モジュール20に伝達される。冷却装置30の内部には冷却パイプが形成され、排気熱回収装置40と接触する熱電モジュール20の内側と冷却装置30と接触する熱電モジュール20の外側との間の温度差を大きくする。このように熱電モジュール20の内側と外側の温度差を大きくすることにより、自動車の排気システムに設けられた熱電発電機の効率を高めることができる。
【0006】
熱電発電機により多くの電気を生産する、すなわち熱電発電効率を高めるためには、排気ガスの熱が熱電モジュールに効率的に伝達されなければならない。しかし、従来の車両用熱電発電機では排気ガスの熱が高温部に十分に伝達されないために排気ガスの熱エネルギーの回収能力が落ち、熱電発電機の熱電効率を低下させる問題を抱いていた。
また、従来の車両用熱電発電機は、冷却装置30が大きな空間を占めているに拘らず、熱交換面積が小さく、かつ熱伝達率が低いため、大きさに比べて熱電発電効率が低いといった問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−16747号公報
【特許文献2】特開2010−255632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、小さく、且つ、熱電発電効率を高めることができる車両用熱電発電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車両用熱電発電機は、内部に高温の排気ガスが流れ、排気ガスと熱交換して加熱される排気管、および排気管の外周面に所定間隔で取り付けられ、排気管によって加熱される複数対の熱伝達板を備える高温部と、内部に冷却水が流れる環状平板の冷却水通路を備える低温部と、P−型半導体とN−型半導体を接合してなり、熱伝達板と冷却水通路に挟まれて熱電現象を利用して電気を発生し、互いに電気的に連結された複数対の熱電モジュールと、を含んで構成され、熱電モジュールのそれぞれは、その一側面が高温部によって加熱され、他側面が低温部によって冷却され、その間の温度差による熱電現象を利用して電気を発生し、
低温部は、熱電モジュールそれぞれの間に位置し、内部に冷却水が流れ、一側面に冷却水が流入する冷却水流入口が形成され、他側面に冷却水が排出される冷却水排出口が形成される環状平板の複数の冷却水通路と、前記冷却水通路は互いに180度回転した状態で並べられ、複数の冷却水通路のうち隣接した冷却水通路の冷却水流入口と隣接した他の冷却水通路の冷却水排出口とを連結する冷却水通路連結部、を有することを特徴とする。
【0011】
冷却水通路連結部の一つの形態は、冷却水流入口と冷却水排出口の外周面に取り付けられたホースで連結され、ホースをクランプで加圧して固定されてなる。
【0012】
冷却水通路連結部の別の形態は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口を、互いに溶接して連結されてなる。
【0013】
冷却水通路連結部のまた別の形態は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口に形成された左ねじと、隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口に形成された右ねじを、連結ナットの両端のそれぞれにねじ連結されてなる。
【0014】
冷却水通路連結部のまた別の形態は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と、隣接した他の1つの冷却水通路にあって冷却水流入口より大きい直径の冷却水排出口を、圧入シーリングで連結されてなる。
【0015】
冷却水通路連結部のまた別の形態は、隣接した1つの冷却水通路の冷却水流入口と、隣接した他の1つの冷却水通路の冷却水排出口とを、フィッティングユニオンで連結されてなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車両用熱電発電機によれば、排気ガスが熱電モジュールと接触する面積は大きいが、熱電発電機全体の大きさを小さくすることができる。
また、構造が簡単で、部品数が少なく済むので製造費用を下げ、生産性が向上する。
本発明の車両用熱電発電機は、その大きさが小さいので車両パッケージングにその取り付けが容易であって、様々な車両に適用することができる。
【0017】
本発明では、高温部と熱電モジュールとの間に熱交換メッシュを設けており、これにより排気ガスとの接触面積を増加させ、排気ガスの熱を効率的に熱電モジュールに伝達することができ、また通過する排気ガスの騒音も減少する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来の車両用熱電発電機を示す断面図である。
図2】本発明に係る車両用熱電発電機の一実施形態を示す斜視図である。
図3図2の車両用熱電発電機の高温部、熱電モジュール、および低温部の分解斜視図である。
図4図2のA−A’線に沿った断面図であり、高温部、熱電モジュール、および低温部の結合状態を示す。
図5図2のA−A’線に沿った断面図であり、低温部の内部を流動する冷却水の流れを示す。
図6図2のB−B’線に沿った断面図である。
図7】車両用熱電発電機における冷却水通路連結部を、ホースにより連結した方式の断面図である。
図8】車両用熱電発電機における冷却水通路連結部を、溶接により連結した方式の断面図である。
図9】車両用熱電発電機における冷却水通路連結部を、ねじにより連結した方式の断面図である。
図10】車両用熱電発電機における冷却水通路連結部を、シーリングにより連結した方式の断面図である。
図11】車両用熱電発電機における冷却水通路連結部を、フィッティングユニオンにより連結した方式の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による車両用熱電発電機を詳しく説明する。
本発明の車両用熱電発電機100は、エンジンから排出された高温の排気ガスと熱交換して加熱される高温部、高温部の外側に設けられ、エンジンの冷却システムから循環する冷却水が流れる低温部、および高温部と低温部との間にあり、高温部による高温度と低温部による低温度との間の温度差による熱電現象を利用して電気を発生させる熱電モジュール130を備えている。
【0020】
高温部は、内部に高温の排気ガスが流れるときに加熱される排気管112、および排気管112の外周面に所定間隔で設けられたドーナツ形状の複数対の熱伝達板114とを有している。
【0021】
熱伝達板114は、図3に示すように、内周面に長さ方向に延びて配列され、排気管112の外周面に接触するフランジ115、および一側に形成された開口部113を有している。フランジ115は、排気管112を通して排気ガスの熱を熱伝達板114に伝達する役割をする。
【0022】
排気管112は中空の円筒形状で、内部に高温の排気ガスが流れて加熱される。加熱された排気管112は、その外周面に設けられた熱伝達板114を加熱する。排気管112の内部には排気ガスがバイパスされるバイパス管117が設けられる。バイパス管117の末端には、エンジンの負荷に応じて排気ガスをバイパスさせるようにバイパス管117の末端を開閉するバイパスバルブ116が取り付けられる。バイパスバルブ116はスプリング118によってバイパス管117に弾性的に支持される。バイパス管117の上流には、バイパスバルブ116が閉鎖された場合に排気ガスが流れる複数の排気孔(図示していない)が形成される。
【0023】
バイパス管117の外周面と排気管112の内周面との間には熱交換メッシュ111が配置される。熱交換メッシュ111は、高温の排気ガスが流れて熱交換し、排気ガスの熱を吸収し、この熱を排気管112に伝達する。すなわち、熱交換メッシュ111によって排気ガスの熱は排気管112に効率良く伝達される。
【0024】
車両が高速で運行している時、すなわち、エンジンの負荷が増加すると排気管が過熱されることがある。これを防止するために、エンジンが高負荷時には、バイパスバルブ116が開放され、高温の排気ガスはバイパス管117を通して多く排気され、バイパス管117と排気管112との間を流れる排気ガスの量が調節される。
【0025】
低温部は、高温部である複数対の熱伝達板114の間に位置して、環状平板の冷却水通路122と、冷却水通路122に対し180度毎に交互に位置を変えて連結された複数の冷却水通路連結部124を有してなっている。
【0026】
複数ある冷却水通路122のそれぞれは、図3に示すように環状平板であり、エンジンの冷却システム(図示していない)によって循環する冷却水が流入する冷却水流入口121、および冷却水流入口121に対し反対面の対角線方向に形成され、冷却水が排出される冷却水排出口123を有している。複数の冷却水通路122は、1つの冷却水通路122の冷却水流入口121と他の1つの冷却水通路122の冷却水排出口123とが冷却水通路連結部124で長さ方向に連結して互いに連結される。すなわち、隣接した2つの冷却水通路122は、互いに180度回転した状態で並べられて、一方の冷却水通路122の冷却水排出口123と他方の冷却水流入口121が互いに面して冷却水通路連結部124によって長さ方向に連結している。このように連結された冷却水通路122を図4と5に示す。
【0027】
冷却水通路122が相互に連結されると、図5に示すように、冷却水は排気管112の中心線に沿ってジグザグ形態で流動する。隣接した1つの冷却水通路122の冷却水流入口121と、隣接した他の1つの冷却水通路122の冷却水排出口123を連結する方式は様々であり、その例を図7〜11に示している。
【0028】
図7は、ホースによる連結方式を示す。冷却水通路122の冷却水流入口121と冷却水排出口123をそれぞれホースに挿入し、ホースの外周面をクランプで固定する方式である。
【0029】
図8は、溶接による冷却水通路連結方式を示す。この例では、冷却水流入口121と冷却水排出口123はその直径が互いに異なっており、冷却水流入口(または冷却水排出口)が冷却水排出口(または冷却水流入口)の中に挿入され、それらの間を溶接することによって2つの冷却水通路122が連結される。
【0030】
図9は、ねじによる冷却水通路連結方式を示す。この方式によれば、冷却水流入口121と冷却水排出口123の外周面にそれぞれ異なる方向のねじが形成される。例えば、冷却水流入口121の外周面に左ねじが形成され、冷却水排出口123の外周面には右ねじが形成され、連結ナットの両端のそれぞれにねじ連結されて結合される。このとき、冷却水流入口121に右ねじ、冷却水排出口123に左ねじとしてもよい。ナットを回転させることだけで冷却水流入口121と冷却水排出口123が結合できる。
【0031】
図10は、シーリングによる冷却水通路連結方式を示す。この方式においては、冷却水流入口121と冷却水排出口123の直径が互いに異なって、冷却水流入口121が冷却水排出口123より直径が小さいか、またはその逆となる。冷却水流入口(または冷却水排出口)が冷却水排出口(または冷却水流入口)の中に挿入され、その間に1つまたはそれ以上の圧入シーリングが圧入されることにより、冷却水流入口と冷却水排出口が連結される。
【0032】
図11は、フィッティングユニオンによる冷却水通路連結方式を示す。この場合、冷却水流入口と冷却水排出口はフィッティングユニオンを利用して簡単に連結することができる。
【0033】
熱電モジュール130はP−型半導体とN−型半導体を接合してなり、一端が開放された開口部132を有する環状平板に製作される。一対の熱電モジュール130は、低温部である1つの冷却水通路122の両側面に付着され、その外側面には一対の熱伝達板114が位置する。複数の熱電モジュール130は互いに電気的に連結さて車両のバッテリー(図示していない)と電気的に連結される。
【0034】
詳しく説明すると、熱電モジュール130の一側面は熱伝達板114と接触して加熱され、他側面は冷却水通路122と接触して冷却される。これにより、熱電モジュール130の両側面に温度差が生じ、この温度差によって熱電現象が発生して電気が生産される。生産された電気は、熱電モジュール130と電気的に連結されたバッテリを充電していく。
【0035】
上で説明した車両用熱電発電機100の作用を説明する。
エンジンが駆動されたとき、エンジンからの排気ガスが排気管112の内部に流れ、この時、バイパスバルブ116がバイパス管117を閉鎖している。一方、エンジンの冷却システム(図示していない)で循環する冷却水は、冷却水流入口121から冷却水通路122に流入し、内部を流れて、冷却水排出口123から冷却水通路連結部124を経て隣接の冷却水流入口121から冷却水通路122に流れていく。
【0036】
排気ガスは排気管112の内部を流れて排気管112を加熱し、さらにその外周面に設けられる熱伝達板114を加熱し、熱伝達板114と接する熱電モジュール130の一側を加熱する。
一方、冷却水は、冷却水流入口121から冷却水通路122を経て冷却水排出口123に流れ、冷却水通路122と接する熱電モジュール130の他側面を冷却する。
【0037】
これにより、排気管112の外周面に所定間隔で配列された複数の熱電モジュール130は、熱伝達板114と冷却水通路122に挟まれて両側面の間に温度差が生じる。この温度差により複数の熱電モジュール130それぞれで電気が発生し、複数の熱電モジュール130に発生した電気は、電気的に連結されたバッテリを充電する。
【0038】
車両の速度が増したとき、すなわち、エンジンの負荷が増加したとき、バイパスバルブ116がスプリング118の弾性力に勝ってバイパス管117を開放する。バイパス管117が開放されることにより、排気ガスの大半はバイパス管117に流れてそのまま排気され、残りはバイパス管117と排気管112との間を流動する。バイパス管117と排気管112との間には熱交換メッシュ111があり、排気ガスと熱交換して排気管112を加熱し、その後の作用はバイパスバルブ116が閉鎖される場合と同様である。
【0039】
このように、本発明の車両用熱電発電機によれば、その構造が簡単で部品数が少なく済むので製造費用が減少し、生産性が向上する。車両に取り付けが容易であり、様々な車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10:熱電発電機
20:熱電モジュール
30:冷却装置
40:排気熱回収装置
100:熱電発電機
111:熱交換メッシュ
112:排気管
113:(熱伝達板にある)開口部
114:熱伝達板
115:フランジ
116:バイパスバルブ
117:バイパス管
118:スプリング
121:冷却水流入口
122:冷却水通路
123:冷却水排出口
124:冷却水通路連結部
130:熱電モジュール
132:(熱電モジュールにある)開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11