【実施例】
【0026】
[製造例1]薬参抽出物の製造
本発明の玄参、人参、丹参、黄耆、蔓参、苦参及び沙参の7種の薬参抽出物は下記の方法によって製造した。前記それぞれの薬参を流水で洗浄した後、250メッシュ(mesh)のフィルターで濾過して50℃で24時間乾燥する。乾燥したそれぞれの薬参50gに、70%のエタノールを1L添加し、7種の乾燥した薬参混合物350g(各50g)には、70%のエタノールを10L添加して、4℃の温度条件下で48時間還流抽出した。その後、250メッシュのフィルターで濾過して沈澱させた後、再び0.5μmのフィルターで濾過してそれぞれの薬参抽出物及び混合抽出物を得た。
【0027】
[製造例2]麹発酵抽出物の製造
本発明で使用した組成物は、前記薬参の麹発酵抽出物またはその混合抽出物を有効成分として含み、下記のような方法によって製造した。7種の薬参(玄参、人参、丹参、黄耆、蔓参、苦参、及び沙参)を流水で洗浄した後、250メッシュ(mesh)のフィルターで濾過して50℃で24時間乾燥する。麻布風呂敷で前記乾燥したそれぞれの薬参50gと7種の乾燥した薬参混合物350g(各50g)を包んで、麹とご飯が1:1で混合された混合物が入っているカメに入れた。35℃で3日間発酵させた後、麻布風呂敷を取り出した。発酵した薬参の重量の20倍の精製水を入れ、80℃で24時間熱水抽出して麹発酵抽出物を得た。
【0028】
[参考例1]比較例1〜9
、及び実施例1〜8
(参照例1〜7、実施例8)の製造
前記製造例1の抽出物を使用して比較例1〜9を、前記製造例2の麹発酵抽出物を使用して実施例1〜8
(参照例1〜7、実施例8)を下記表1の組成によって製造した。
【0029】
【表1】
【0030】
[実験例1]毛嚢毛乳頭細胞増殖効果の試験
毛髪を構成するケラチンタンパク質は、毛根部のケラチン形成細胞(keratinocyte)で生成され、このケラチン形成細胞は、毛乳頭細胞から分化する。本発明による組成物の毛乳頭細胞の活性を評価するために、本発明では、DP6(rat immortalized dermal papilla cell)細胞株を使用した〔Wendy Filsell, Journal of Cell Science 107, 1761−1772(1994)〕。本毛乳頭細胞株は、雄PVG ratのひげの毛根でmicrodissection方法で分離して培養した細胞株であり、10%のウシ胎仔血清(Fetal bovine serum、FBS)が含まれたDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium;Gibco BRL, Gaithersburg, MD, USA)培地で5%のCO
2、37℃が維持される培養器(incubator)で24時間培養した。
【0031】
前記培養されたDP6に、表1の組成の比較例1〜9
、又は実施例1〜8
(参照例1〜7、実施例8)を処理して、96穴プレート(96−well plate)に入れ、37℃の培養器(incubator)で24時間培養した。比較例1は、抽出物を処理していない未処理群である。薬物処理が24時間経過した後、WST−1 kit(Roche)を使用して細胞増殖能を測定した。その結果を
図1に示す。
【0032】
図1に示される結果から、薬参抽出物そのものを使用する比較例2〜9の場合に比べて、麹発酵抽出物を処理した実施例1〜8
(参照例1〜7、実施例8)の場合、毛乳頭細胞増殖効果が優れており、1種の抽出物と同じ濃度で処理した混合抽出物である実施例8の場合、1種のみの抽出物を使用する実施例1〜7
(参照例1〜7)に比べて効果が優れており、混合使用による上昇効果があることが確認できる。
【0033】
[実験例2]カリウムイオンチャンネル活性増大効果の評価
脱毛治療剤であるミノキシジルは、潜在的なミトコンドリアKATP channel opener(カリウムイオンチャンネルオープナー)として知られており、アンドロゲン性脱毛の治療に使用される代表的な薬物である。このようなミノキシジルのメカニズムを評価するために、頭皮の真皮を構成する線維芽細胞で、KATP channelを塞ぐトルブタミド(Tolbutamide, SIGMA AlDRICH, T0891)を処理して細胞増殖を抑制し、再びカリウムイオンチャンネルを開いて細胞増殖が回復する試験法を使用した。
【0034】
本組成物のKATP channel openerとしての機能を評価するために、本発明では、線維芽細胞株であるNIH3T3(Mouse embryonic fibroblast cell line)細胞株を使用した。本細胞株は、NIH Swiss mouse embryoから分離した線維芽細胞株を、3T3 protocolで自然不滅化させた細胞株である。前記細胞株は、10%ウシ胎仔血清(Fetal bovine serum、FBS)が含まれたDMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s medium;Gibco BRL, Gaithersburg, MD, USA)培地で、5%のCO
2、37℃が維持される培養器(incubator)で24時間培養した。NIH3T3を96穴プレート(96−well plate)に入れ、37℃の培養器(incubator)で24時間培養した後、2.5mMのトルブタミドで処理し、10分後に陽性対照群であるミノキシジル10μMと、製造例1での薬参抽出物又は製造例2の麹発酵抽出物とを、下記表2及び表3の組成でそれぞれ処理し、薬物処理が48時間経過した後、WST−1 kit(Roche)を使用して細胞増殖能を測定した。その結果を
図2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
図2に示される結果から、実施例9〜16
(参照例9〜15、実施例16)で処理した場合、ミノキシジルで処理した比較例12と同様な程度に線維芽細胞の増殖が回復し、薬参抽出物そのものを使用した場合である比較例13〜20に比べて、麹発酵抽出物で処理した実施例9〜16
(参照例9〜15、実施例16)の場合、カリウムイオンチャンネル活性増大効果が優れており、1種の抽出物と同じ濃度で処理した混合抽出物で処理した実施例16の場合、1種のみの抽出物を使用した実施例9〜15
(参照例9〜15)に比べて効果が優れており、混合使用による上昇効果があることが確認できる。
【0038】
[参考例2]比較例21〜31
、及び実施例17〜24
(参照例17〜23、実施例24)の製造
前記製造例1の薬参抽出物を使用して比較例21〜31を、前記製造例2の麹発酵抽出物を使用して実施例17〜24
(参照例17〜23、実施例24)を、下記表4及び表5の組成によって製造した。
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
[実験例3]抗酸化効果の評価
本組成物の抗酸化効果を評価するために、DPPH抗酸化評価法を使用した。体内で起こる酸化反応は、主に自由ラジカルによって起こり、このような作用は、細胞の老化及び癌の発生を招くと知られている。したがって、体内の自由ラジカルの生成抑制は、結局、体内抗酸化、抗老化に関連し、このような抗酸化効果は、体内の自由ラジカルを対象として実験し難いため、DPPH(2,2−diphenyl−1−picrylhydrazyl)ラジカルを普遍的に使用している。DPPHラジカルは、濃い紫色を帯びているが、抗酸化効能の物質と出合って反応すると、薄い黄色に変わり、517nmの波長で吸光度を測定して抗酸化能を評価する。物質の抗酸化能が高ければ高いほど、薄い黄色を帯び、吸光度が低下する。
【0042】
本実験では、96穴プレート(96well plate)に0.1mMのDPPH溶液を入れた後、これに前記参考例2の比較例21〜31
、又は実施例17〜24
(参照例17〜23、実施例24)をそれぞれ入れて、37℃の培養器で30分間反応させ、517nmで吸光度を測定した。その結果を
図3に示す。比較例21は未処理群であり、比較例22〜23は陽性対照群であり、ビタミンC〔SIGMA, (+)−Sodium L−ascorbate〕50μg/ml又は100μg/mlでそれぞれ処理した。
【0043】
図3に示されるように、本発明の麹発酵抽出物で処理した実施例17〜24
(参照例17〜23、実施例24)は、対照群に比べて抗酸化効果に優れていることが分かり、薬参抽出物そのものを使用した比較例24〜31の場合に比べて、麹発酵抽出物で処理した実施例17〜24
(参照例17〜23、実施例24)が抗酸化効果に優れていることが分かる。また、1種の抽出物と同じ濃度で処理した混合抽出物である実施例24の場合、1種のみの抽出物を使用した実施例17〜23
(参照例17〜23)に比べて効果に優れており、抗酸化効果において混合使用による上昇効果があることが確認できる。