特許第6139875号(P6139875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139875ステアリング装置を構成するヨークとシャフトのヨークとシャフトの接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139875
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ステアリング装置を構成するヨークとシャフトのヨークとシャフトの接合方法
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/26 20060101AFI20170522BHJP
   F16D 1/06 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F16D3/26 Z
   F16D1/06 200
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-275590(P2012-275590)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-119056(P2014-119056A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】小磯 貴之
(72)【発明者】
【氏名】関口 暢
【審査官】 西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−065351(JP,A)
【文献】 特開平10−045006(JP,A)
【文献】 特開2006−283795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/26
F16D 1/02
F16D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状部を有するヨークと、前記円筒状部に金属接合された接合側軸端部を有するシャフトと、前記ヨークの円筒状部と前記シャフトの接合側軸端部との接合箇所の周方向全体を被覆する合成樹脂被覆部とからなり、前記円筒状部に形成されたヨーク通し孔部と、前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部には前記合成樹脂被覆部の一部が充填固化されてなる構成としてなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造。
【請求項2】
請求項1において、前記円筒状部には、円筒形状の空隙として形成された接合凹部が形成され、該接合凹部には前記シャフトの接合側軸端部が挿入され、且つ前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部とヨーク通し孔部とは同一直径中心線に一致する構成としてなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造。
【請求項3】
請求項1において、前記円筒状部外径と、前記シャフトの接合側軸端部とは同一直径とし、突合せにて金属接合され、前記円筒状部に形成されたヨーク通し孔部と、前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部には前記合成樹脂被覆部の一部が充填固化される構成としてなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造。
【請求項4】
請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填固化されてなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造。
【請求項5】
軸方向一端側に接合凹部が形成された円筒状部を有するヨークと、前記円筒状部の接合凹部に充填される接合側軸端部を有するシャフトとからなり、前記シャフトの接合側軸端部を前記接合凹部に挿入すると共に、前記接合側軸端部と前記接合凹部とを金属接合し、前記円筒状部と前記接合側軸端部とを一直線状に貫通する通し孔を穿孔し、金型を介して前記通し孔に樹脂を充填すると共に、前記円筒状部と前記接合側軸端部の接合箇所の周方向全体に合成樹脂被覆部を形成してなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合方法。
【請求項6】
請求項5において、前記円筒状部の軸方向他端側に前記接合凹部と連通すると共に該接合凹部の内径よりも小さい内径を有し且つ同一直径中心線上となる貫通孔が形成され、該接合凹部内に到達するように中子を挿入した後、金型を介して前記通し孔に樹脂を充填すると共に前記円筒状部と前記接合側軸端部の接合箇所の周方向全体に合成樹脂被覆部を形成し、前記中子を前記貫通孔より取り外してなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合方法。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填されてなることを特徴とするステアリング装置を構成するヨークとシャフトのヨークとシャフトの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリング装置を構成するヨークとシャフトとを金属接合したものに対して極めて簡易な構造で、且つ極めて小形の状態で接合強度を得ることができるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造及びその接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトとヨークとを溶接等の金属接合によって接合する構造が開示されている。従来技術である特許文献1(特開2003−65351)について概説する、なお、特許文献1に記載された、符号はそのまま使用する。出力軸13と出力軸ヨーク14とを摩擦溶接によって接合している〔特許文献1の図6参照〕。出力軸13は、中空円筒状の均一径の本体の内周面に、セレーション19が形成され、前記本体の一端部13aに拡径部30が一体に設けられている〔特許文献1の図(5)参照〕。拡径部30は、本体よりも肉厚に形成されている。
【0003】
この拡径部30は、円筒状に形成され、外周面30aが略平坦な円形面に形成されている。出力軸13と出力軸ヨーク14は、回転を伝達する軸及び該軸同士を連結する自在継手であり、回転トルクを確実に伝達するため、出力軸13に本体よりも肉厚な拡径部30を形成し、出力軸ヨーク14の基端部20に対する溶接面積を大きくすることで接合強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−65351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の出力軸13を拡径すると、出力軸ヨーク14の基端部20も、拡開部30に合わせて径を大きく形成する必要があり、出力軸13及び出力軸ヨーク14のサイズが増大し、重量が増え、ステアリング装置全体が大型化してしまう。シャフトとヨークが大型化すると、他の部品との干渉を避ける構造とする為の考慮が必要になる等、設計の自由度が少なくなる。本発明の解決しようとする技術的課題(目的)は、摩擦接合された部材同士の接合箇所における補強を、極めて簡単な構造で且つコンパクトにまとめ、極めて簡単に製造することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、円筒状部を有するヨークと、前記円筒状部に金属接合された接合側軸端部を有するシャフトと、前記ヨークの円筒状部と前記シャフトの接合側軸端部との接合箇所の周方向全体を被覆する合成樹脂被覆部とからなり、前記円筒状部に形成されたヨーク通し孔部と、前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部には前記合成樹脂被覆部の一部が充填固化されてなる構成としてなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造としたことにより上記課題を解決した。
【0007】
請求項2の発明を、請求項1において、前記円筒状部には、円筒形状の空隙として形成された接合凹部が形成され、該接合凹部には前記シャフトの接合側軸端部が挿入され、且つ前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部とヨーク通し孔部とは同一直径中心線に一致する構成としてなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造としたことにより上記課題を解決した。
【0008】
請求項3の発明を、請求項1において、前記円筒状部外径と、前記シャフトの接合側軸端部とは同一直径とし、突合せにて金属接合され、前記円筒状部に形成されたヨーク通し孔部と、前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部には前記合成樹脂被覆部の一部が充填固化される構成としてなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造としたことにより上記課題を解決した。
【0009】
請求項4の発明を、請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填固化されてなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合構造としたことにより上記課題を解決した。
【0010】
請求項5の発明を、軸方向一端側に接合凹部が形成された円筒状部を有するヨークと、前記円筒状部の接合凹部に充填される接合側軸端部を有するシャフトとからなり、前記シャフトの接合側軸端部を前記接合凹部に挿入すると共に、前記接合側軸端部と前記接合凹部とを金属接合し、前記円筒状部と前記接合側軸端部とを一直線状に貫通する通し孔を穿孔し、金型を介して前記通し孔に樹脂を充填すると共に、前記円筒状部と前記接合側軸端部の接合箇所の周方向全体に合成樹脂被覆部を形成してなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合方法としたことにより上記課題を解決した。
【0011】
請求項6の発明を、請求項5において、前記円筒状部の軸方向他端側に前記接合凹部と連通すると共に該接合凹部の内径よりも小さい内径を有し且つ同一直径中心線上となる貫通孔が形成され、該接合凹部内に到達するように中子を挿入した後、金型を介して前記通し孔に樹脂を充填すると共に前記円筒状部と前記接合側軸端部の接合箇所の周方向全体に合成樹脂被覆部を形成し、前記中子を前記貫通孔より取り外してなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトの接合方法としたことにより上記課題を解決した。請求項7の発明を、請求項5又は6において、前記シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填されてなるステアリング装置を構成するヨークとシャフトのヨークとシャフトの接合方法としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、ヨークの円筒状部とシャフトの接合側軸端部とが金属接合され、前記円筒状部と前記接合側軸端部との接合箇所の周方向全体を被覆する合成樹脂被覆部は、前記円筒状部に形成されたヨーク通し孔部と、前記シャフトの接合側軸端部に形成されたシャフト通し孔部に前記合成樹脂被覆部の一部が充填固化されてなる構成としたことにより、ヨークとシャフトが周方向に係止され、曲げ荷重に対する強度が高められ、剛性を向上させることができる。
【0013】
また、合成樹脂被覆部によって、ヨークとシャフトの接合部の回転方向の強度が高められ、ヨーク及びシャフトの軸部の小径化を容易にでき、コンパクトで大きなトルク伝達が可能となり、且つこれらの構成を、複雑な加工をすることなく、極めて簡単な構造にて実現できる。
【0014】
請求項2の発明では、円筒状部には、接合凹部が形成され、該接合凹部には前記シャフトの接合側軸端部が挿入されることにより、ヨークとシャフトとの位置合せが簡単にでき、金属接合した状態で接合側軸端部が接合凹部によって支持され、より一層強固な接合にできる。請求項3の発明では、円筒状部と、前記シャフトの接合側軸端部とは同一直径とし、突合せにて金属接合される構造により、ヨークとシャフトの接合箇所の形状を簡単なものにできる。
【0015】
請求項4の発明では、シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填固化される構成としたことにより、ヨークとシャフトとの軸方向における補強をより一層強固にできる。
【0016】
請求項5の発明では、円筒状部の接合凹部にシャフトの接合側軸端部を挿入し、シャフトを接合凹部内で高速回転させるので、金属接合を極めて正確且つ容易にできる。また、円筒状部と接合側軸端部にドリル等の工具にて一直線状に貫通する通し孔を極めて効率的に穿孔することができ、その後の金型を介して前記通し孔に樹脂を充填する作業を容易にできる。
【0017】
請求項6の発明では、円筒状部の軸方向他端側に前記接合凹部と連通すると共に該接合凹部の内径よりも小さい内径を有し且つ同一直径中心線上にとなる貫通孔が形成されたことにより、ヨークの軽量化を実現できる。さらに、中子を接合凹部内に挿入された接合側軸端部の軸凹部に挿入した後、金型を介して前記通し孔に樹脂を充填するものである。
【0018】
これによって、軸凹部の中子の位置には溶融した合成樹脂が入り込まず、中子を貫通孔より取り外すと、固化した合成樹脂によって環状部が構成されることになる。したがって、通し孔に充填された合成樹脂をより一層強固に補強することができるとともに溶融する合成樹脂の量も少量にして、節約することができる。
【0019】
請求項7の発明を、シャフトの接合側軸端部には周方向に沿って溝部が形成され、前記合成樹脂被覆部の一部は前記溝部に充填されることにより、ヨークとシャフトとの軸方向における補強をより一層強固にできると共に、この補強を合成樹脂被覆部を金型にて形成するときに同時に形成することができ、作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)は本発明の第1実施形態の一部断面にした側面図、(B)は(A)の(ア)部拡大図、(C)はヨークとシャフトを分離した拡大縦断側面図である。
図2】(A)は第1実施形態におけるヨークの接合凹部にシャフトの接合側軸端部を挿入しようとする工程を示す縦断側面図、(B)はヨークの円筒状部とシャフトの接合側軸端部とを金属接合(摩擦溶接)によって固着する工程の縦断側面図、(C)の(1)乃至(3)は(B)の(イ)部において金属接合(摩擦溶接)工程で発生したバリがクリアランスへ入り込む状態を示す工程図である。
図3】(A)は金属接合されたヨークとシャフトに通し孔を穿孔する工程を示す縦断側面図、(B)は金属接合されたヨークとシャフトに金型及び中子を装着しようとする工程を示す縦断側面図である。
図4】(A)はヨークとシャフトに装着された金型に樹脂注湯された状態の縦断側面図、(B)は金型及び中子が取り外された状態のヨークとシャフトの縦断側面図、(C)は(B)のY1−Y1矢視断面図である。
図5】(A)は、本発明の第2実施形態におけるヨークとシャフトを分離した状態の縦断側面図、(B)は本発明の第2実施形態の要部の縦断側面図である。
図6】(A)本発明の第3実施形態の要部縦断側面図、(B)は(A)の(ウ)部におけるシャフトの溝部付近の拡大断面図である。
図7】(A)本発明の第4実施形態におけるヨークとシャフトの分離した縦断側面図、(B)はヨークとシャフトに通し孔が穿孔される工程の縦断側面図、(C)は第4実施形態における要部の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明におけるヨークとシャフトは、自動車のステアリング装置を構成するものであって、ステアリングコラムに装着され、ステアリングホィールによる回転を伝達する中間軸部材である。本発明は主に、図1に示すように、ヨークAと、シャフト3と、合成樹脂被覆部4とから構成される。
【0022】
本発明には、複数の実施形態が存在し、まず第1実施形態から説明する。ヨークAは、金属製であり、アルミ材等が使用され、二股状部1と、円筒状部2とから構成される。二股状部1は、円筒状部2の軸方向一端側に、一体成形されたものである。具体的には、前記二股状部1は、2本の腕状片11,11から構成される。
【0023】
円筒状部2の軸方向一端側において直径方向両側端より2本の前記腕状片11,11が円筒状部2の外径よりも大きい間隔をおいて平行に配置形成される。両腕状片11,11には、それぞれ連結用貫通孔11a,11aが形成されている〔図1(B)参照〕。
【0024】
円筒状部2は、軸方向において比較的短い円筒形状に形成されている〔図1(C),図2(A)等参照〕。円筒状部2の軸方向他端側(前記二股状部1が形成されている側とは軸方向において反対側)では、開口部21aを有する接合凹部21が円筒状部2の軸方向に沿って形成されている。
【0025】
接合凹部21は、円筒形状の空隙として形成された窪みであり、後述するシャフト3の接合側軸端部31が挿入される。接合凹部21には底面部21bが形成されており、該底面部21bは、軸方向に直交する平坦面となっている。接合凹部21に挿入されたシャフト3の接合側軸端部31の端面は、底面部21bと当接し、摩擦溶接が行われる。
【0026】
さらに、円筒状部2の軸方向一端側(前記二股状部1が形成されている側)には貫通孔22が形成される。該貫通孔22は、前記接合凹部21と同一中心線上に位置しており、貫通孔22の内径Dbは、接合凹部21の内径Daよりも小さく形成されている〔図2(A)参照〕。また、円筒状部2の外周側にはヨーク通し孔23が形成される。該ヨーク通し孔23は、実際には、ヨークAとシャフト3とが摩擦接合された状態で穿孔されることになる。
【0027】
次に、シャフト3は、中実管又は中空管であり、前記円筒状部2と接合する軸方向端部側を接合側軸端部31と称する。また、接合側軸端部31の軸端面31aには、軸開口32aを有する軸凹部32が形成されている〔図1(C)参照〕。該軸凹部32は円筒形状の空隙であり、その内径は、前記円筒状部2の貫通孔22の内径に等しく形成される(略等しいも含む)。
【0028】
また、ヨークAの円筒状部2の接合凹部21に接合側軸端部31を挿入したときに、前記貫通孔22と、軸凹部32とは、直径中心線が一致しつつ軸方向に連続する円筒状空隙部を構成する〔図3(A)参照〕。接合側軸端部31には、シャフト通し孔33が形成される。該シャフト通し孔33は、実際には、ヨークAとシャフト3とが摩擦接合された状態で穿孔されることになる〔図3(A)参照〕。
【0029】
そして、接合側軸端部31には、周方向に沿って溝部34が形成される〔図1(C)参照〕。該溝部34には、後述する合成樹脂被覆部4の一部が充填され、該合成樹脂被覆部4がシャフト3に対してより一層強固に固定できるようにする役目をなすものである。また、シャフト3の接合側軸端部31を除く軸方向の領域にはスプライン或いはセレーション等の回転伝達部35が形成されることもある〔図1(A)参照〕。
【0030】
次に、ヨークAとシャフト3との接合工程について説明する。まず、ヨークAの接合凹部21にシャフト3の接合側軸端部31を挿入し、接合凹部21の底面21bと、接合側軸端部31の軸端面31aとが接触し、加圧しながら相対的に回転させる〔図2(A),(B)参照〕。その時の摩擦によって生じた発熱によって、端部同士が溶解融合して接合される。
【0031】
前記円筒状部2の接合凹部21と、シャフト3の接合側軸端部31とが摩擦溶接される過程で、接合凹部21と接合側軸端部31との間にカール状のバリが発生する。接合後、ヨークAの円筒状部2の貫通孔21と、シャフト3の貫通孔31との内周面に切削加工が施され、内周面に発生したバリが切削加工により除去される。
【0032】
ここで、シャフト3の接合側軸端部31の直径を前記接合凹部21の内径よりも小さく設定し、接合側軸端部31と接合凹部21との間にクリアランスTが生じるように設定される。具体的には、接合凹部21の内径Daに対して、接合側軸端部31の外径Dcとし、クリアランスTの寸法を2tとする。なお、クリアランスTは、接合側軸端部31の直径方向両側に生じる隙間の合計とする。
【0033】
これによって、接合凹部21の内径Daと、接合側軸端部31の外径Dcと、クリアランスTの寸法2tとの関係は以下のようになる。
【0034】
したがって、接合側軸端部31と接合凹部21とのそれぞれの隙間寸法はtとなる。この寸法tは、数ミリ程度に設定される〔図2(A),(C)の(1)参照〕。そして、摩擦溶接が行われる過程で発生するバリbの一部は、クリアランスTに次第に入り込む〔図2(C)の(2)乃至(3)参照〕。これによって、摩擦溶接によって発生したバリの一部が隙間Tに入り込むことにより、バリbがヨークAとシャフト3との接合箇所からはみ出ることを防止し、しかもクリアランスT内にバリbが詰め込まれることとなり、ヨークAとシャフト3とが極めて強固に接合されることになる。
【0035】
ヨークAの円筒状部2と、シャフト3の接合側軸端部31との摩擦溶接が完了すると、円筒状部2と接合側軸端部31にヨーク通し孔23と、シャフト通し孔33を穿孔する〔図3(A)参照〕。具体的には、円筒状部2と接合側軸端部31の直径中心を通過して貫通するようにヨーク通し孔23とシャフト通し孔33とが同一直径中心線上に一致するように穿孔される。符号7は、ヨーク通し孔23と、シャフト通し孔33を穿孔するためのドリルである。
【0036】
次に、円筒状部2と接合側軸端部31の接合箇所の周方向全体を被覆するように、金型5を配置する。該金型5は、2つに分離され、上金型51と下金型52とからなり〔図3(B)参照〕、ヨークAとシャフト3との接合箇所を周方向全体に亘って合成樹脂にて被覆する合成樹脂被覆部4を形成する役目をなすものである〔図4(A)参照〕。
【0037】
上金型51と下金型52には、前記合成樹脂被覆部4を形成するキャビティー51a,52a及び注湯口51b,52bがそれぞれ形成されており、上金型51と下金型52とをヨークAとシャフト3の接合箇所、より具体的には円筒状部2と接合側軸端部31との接合箇所にキャビティー51a,52aが位置するように配置する〔図3(B)参照〕。
【0038】
さらに中子6がヨークAの貫通孔22から挿入される。中子6は、円筒形状に形成され、細径軸部61と太径軸部62と段差部63とから構成されている〔図3(B)参照〕。該段差部63は長手方向の軸方向に直交する環状の平坦面である。太径軸部62の直径は、円筒状部2の貫通孔22と、軸凹部32の内径よりも僅かに小さい程度とし、その両者の間には隙間がほとんど生じることなく挿入することができるように設定されることが好ましい。
【0039】
また、シャフト3の軸凹部32内において、中子6の細径軸部61は、シャフト通し孔33の直径中心線に交わるように設定される〔図3(B)参照〕。そして、太径軸部62の一部と、細径軸部61とが軸凹部32内に入り込む。このとき、細径軸部61の先端面は、軸凹部32の底面に当接される〔図4(A)参照〕。
【0040】
そして、上金型51の注湯口51b(又は下金型52の注湯口52b)から溶融した合成樹脂rが流し込まれ、キャビティー51a,52aからヨーク通し孔23及びシャフト通し孔33に合成樹脂が流れ込む〔図4(A)参照〕。そして、軸凹部32内では、中子5の太径軸部62の一部と、細径軸部51とが位置しているので、この部分には、溶融した合成樹脂rは入り込まない。また、シャフト3の接合側軸端部31に形成された溝部34にも溶融した合成樹脂rが充填する〔図4(A)参照〕。
【0041】
そして金型5に注湯された合成樹脂が固化したときに、金型5及び中子6がヨークAとシャフト3との接合箇所から取り外すことにより該接合箇所に合成樹脂被覆部4が形成される。合成樹脂被覆部4は、ヨークAの円筒状部2と、シャフト3の接合側軸端部31との接合箇所を被覆する覆い部41と、ヨーク通し孔23,シャフト通し孔33に充填されて固化した接合ピン状片42と、溝部34に充填されて固化した固定突起片43と、軸凹部32内の内周側面に沿って環状固定部44が形成される〔図4(B),(C)参照〕。
【0042】
合成樹脂被覆部4の接合ピン状片42によって、ヨークAとシャフト3との回転方向における補強をより一層強固にする〔図4(B)参照〕。また、固定突起片43がシャフト3の溝部34に充填することによって、合成樹脂被覆部4とシャフト3との軸方向における補強を強固にすることができる〔図4(B)参照〕。
【0043】
また、環状固定部44は、前記接合ピン状片42の軸方向両端を覆い部41と共に補強することができる。さらに、中空の環状固定部44は、合成樹脂の量を少なくすることができる〔図4(C)参照〕。また、合成樹脂被覆部4により、前記クリアランスTに入り込んだバリbが包み込まれ、クリアランスT内にて固定されることとなり、バリbがクリアランスTの外部に飛散することを防止できる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。本発明の第2実施形態では、ヨークAの円筒状部2には接合凹部21のみで貫通孔22は形成されていない。また、シャフト3には軸凹部32は形成されていない〔図5(A)参照〕。
【0045】
この実施形態では、シャフト3の接合側軸端部31がヨークAの接合凹部21に挿入され、軸端面31aと底面部21bとが当接した状態で摩擦溶接が行われる。そして、摩擦溶接された状態で、円筒状部2と接合側軸端部31にヨーク通し孔23及びシャフト通し孔33が穿孔される。
【0046】
このとき、接合側軸端部31は中実であり、シャフト通し孔33は、直径方向に貫通する貫通孔となる。そして、本発明の第1実施形態と同様に金型5の上金型51と下金型52とが円筒状部2と接合側軸端部31の接合箇所に配置され、溶融した合成樹脂が注湯される。第2実施形態では、中子6は使用されない〔図5(B)参照〕。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態を図6に基づいて説明する。本発明の第3実施形態では、シャフト3は中空軸である。また、ヨークAは、第2実施形態と同様に円筒状部2には接合凹部21のみで貫通孔22は形成されていない〔図6(A)参照〕。
【0048】
この実施形態では、シャフト3の接合側軸端部31に形成されるシャフト通し孔33は、シャフト3の内部の中空部まで貫通しない構成であり、その底面に小径孔33aが形成される〔図6(B)参照〕。これによって、溶融した合成樹脂は、シャフト通し孔33に充填されるときに、前記小径孔33aから空気が逃がされて、充填が確実にできるものである。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態を図7に基づいて説明する。本発明の第4実施形態では、ヨークAの円筒状部2と、シャフト3の接合側軸端部31の直径は同一(等)である〔図7(A)参照〕。この同一には、略同一同(等)も含まれる。そして、円筒状部2と接合側軸端部31とは、それぞれの端部同士が付き合わせられる状態で接合され、摩擦溶接が行われる。
【0050】
ヨーク通し孔23及びシャフト通し孔33は、第1乃至第3実施形態のように、軸方向に直交する同一直線上に形成されるものではなく、互いに離れた異なる位置にドリル7等にて形成(穿孔)される〔図7(B)参照〕。そして、合成樹脂被覆部4は、覆い部41がヨーク通し孔23及びシャフト通し孔33を共に被覆するように形成される。また、ヨークAの接合凹部21とシャフト3の軸凹部32内には、環状固定部44が形成され、合成樹脂被覆部4をより一層補強することもある〔図7(C)参照〕。
【符号の説明】
【0051】
A…ヨーク、2…円筒状部、21…接合凹部、21b…底面部、22…貫通孔、
23…ヨーク通し孔、3…シャフト、31…接合側軸端部、32…軸凹部、
33…シャフト通し孔、34…溝部、4…合成樹脂被覆部、5…金型、6…中子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7