(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、衣装ケース、たんす、押入、クローゼット等の収納スペースを有効利用するために、布団等の収納物を密封式の袋本体を構成するフィルム内に収納した後、電気掃除機等の吸引装置によって減圧収納袋内の空気を袋本体の排気弁部から吸引排気することにより、収納物を圧縮減容して嵩を小さくし、この状態で排気弁部を閉じて保存する減圧収納袋がある。このような減圧収納袋の内部が減圧状態又は真空状態に維持されるので、防カビ、防虫等の効果も期待することができる。
【0003】
上記の袋本体内の空気を吸引排気する手段として、既に掃除用に購入されている家庭用の電気掃除機が用いられることが多い。
しかし、電気掃除機は用具としては大型で持ち運びや取扱いを簡易に行うことが困難、すなわち、わざわざ電気掃除機を運び出すことが必要であったり、狭いスペースでの窮屈な作業が必要であるという問題点があった。
また、本来の用途以外に電気掃除機を用いることは電気掃除機自体を故障させる要因にもなっていた。
また、クリーナータイプの先端部分の形状が袋本体の排気弁部を用いた吸引排気に適さない電気掃除機のみしか所有していない場合もある。
また、電気掃除機の利用者の片手が塞がれてしまい、両手による作業を行うことができなくなったり、その場所に居なくてはならなくなり他所にて他の作業を行うことができないという問題点があった。
【0004】
そこで、浮き輪やビニルプール等を膨らませるために用いられる空気を注入する機能と共に空気を吸引(吸気)する機能を有する電動空気ポンプを吸引装置として利用して、その吸気により減圧収納袋内の空気を袋本体の排気弁部から排気する手段として活用することが考えられる。しかし、吸気能力において減圧収納袋用としては吸引力が弱過ぎ、短時間で十分に収納物を圧縮減容することが困難であった。
【0005】
もちろん、特許文献1に開示されているように、ポンプ本体が電動モータ等の動力源の出力軸の両端部又は一端部に少なくとも1以上の羽根車を設けて構成される減圧収納袋用専用ポンプを使用することであってよいが、減圧収納袋用に適した専用ポンプは構造・形状が特殊・複雑であり、製造コストが高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態の減圧収納袋用電動空気ポンプPは、減圧収納袋100に対して用いられることにより機能を発揮する。
まず、減圧収納袋用電動空気ポンプPの構成について説明した後に、減圧収納袋100の構成について説明する。
【0015】
[減圧収納袋用電動空気ポンプP]
本実施形態の減圧収納袋用電動空気ポンプPは、ポンプ本体10と、アダプタ部20から構成されている。ここでも、まず、ポンプ本体10の構成について説明した後に、アダプタ部20の構成について説明する。なお、ポンプ本体10及びアダプタ部20における各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、ポンプ本体10及びアダプタ部20における各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0016】
[減圧収納袋用電動空気ポンプP−ポンプ本体10]
図1に示すように、ポンプ本体10は、布団等の空気太りする物品(収納物)を収納するための減圧収納袋100内の空気を吸引するための吸気能力が十分大きくないポンプであり、本体のポンプケーシング11内には、電動モータ(不図示)が配置されている。汎用プラスティック、ポリエチレン樹脂等の樹脂製であってよい。なお、ポンプ本体10は、浮き輪やビニルプール等を膨らませるために用いられる空気を注入する機能と共に空気を吸引(吸気)する機能を有する市販の電動空気ポンプが利用されてもよいし、専用ポンプが利用されてもよい。
【0017】
ポンプケーシング11の一方側には空気が吸入される吸気口部12が突設されており、吸気口部12は、ポンプケーシング11よりも小径の環状(例えば、厚さ寸法1mm〜3mm、高さ寸法10mm〜20mm)に形成されており、格子体を備えることであってもよい。
【0018】
ポンプケーシング11の他方側には排気口部13が設けられている。排気口部13は、端部壁の一部を側方に延伸する筒部とすることや、半円状に切り欠くこと等により形成されていてよい。
【0019】
スイッチ14で電動モータをON/OFFして、ポンプケーシング11に内蔵されている不図示の回転翼(ファン)により、ポンプケーシング11の吸気口部12から空気を吸入し、排気口部13に排出する。
【0020】
ポンプケーシング11の上方に電動モータ用電源コード15が挿通保持される箇所が突設されている。
【0021】
なお、ポンプケーシング11の一方から空気を吸入し、他方に排出するようにするのではなく、ポンプケーシング11の両側に吸気口部を設け、かつ、ポンプケーシング11の中途部に排気口部を設けるようにしてもよい。また、ポンプケーシング11の内部に複数の電池等が内蔵されてスイッチ14で電動モータをON/OFFする構成であってもよい。
【0022】
[減圧収納袋用電動空気ポンプP−アダプタ部20]
図1乃至
図3に示すように、本実施形態の減圧収納袋用電動空気ポンプPのアダプタ部20は、接続部21と、吸着部22から構成されている。ここでも、まず、接続部21の構成について説明した後に、吸着部22の構成について説明する。
【0023】
[アダプタ部20−接続部21]
接続部21は、一端が上記のポンプ本体10に設けられた吸気口部12と相互に挿嵌するように吸気口部12よりも僅かに小径又は大径の環状(例えば、厚さ寸法1mm〜3mm、高さ寸法20mm〜40mm)の筒状に形成されている。吸気口部12に脱着可能となっていてもよい。他端はアダプタ部20の吸着部22と接着、熱融着、超音波溶着等の方法によって気密に連接している。汎用プラスティック、ポリエチレン樹脂等の樹脂製であってよい。なお、アダプタ部20の接続部21と吸着部22は一体成型されることであってもよい。
【0024】
[アダプタ部20−吸着部22]
開口吸盤体からなる吸着部22は、可撓弾性を有するゴムや合成樹脂等を平面視開口円形をなす開口皿状に成形したものであり、凹面が被取付面Wである後述する基板部121に当接させて吸着させる吸着面Sに設定され、凸面側が背面Rに設定されている(
図2参照)。なお、吸着部22の基板部121に当接する先端部の外形寸法は、基板部121の外形寸法より小さく、平面視での形状は例えば外径約30mmの略円形である。
【0025】
吸着部22は、後述するダイヤフラム125を覆うようにして、吸着面Sの略全面又は一部を被取付面Wに当接して押圧されることで変形する(空気を外に追い出すことで中の空気が減るので気圧も下がる。)が、皿状に戻ろうとする自己弾性復元力によって、吸着面Sと被取付面Wとの間が負圧になることに起因して、被取付面Wに吸着する(一般的な吸盤と同様の原理である。)。被取付面Wへの吸着面Sの当接のし易さ、及び自己弾性復元力を考慮して、平面視開口部から周縁部に向けて肉厚(好適には0・5mm〜0・7mm)が漸減するように形成されていてもよい(
図3参照)。なお、被取付面Wに当接して押圧されることで変形した際の外形寸法も基板部121の外形寸法より小さく(例えば外径約38mm)なるように形成されている。また、接続部21が吸着部22の背面Rから突出した態様となるように同心に連接される開口部は、当該吸着部22を成形する際に貫通穴が穿設されることであってよい。開口部は、接続部21と略同一の外径に設定されている。
【0026】
使用者の吸着部22に対する押圧により、不均一に押し潰されることなく、形状に即して変形する。したがって、吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って被取付面Wに均一な状態で密接しており、被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止することができ、吸着体の被取付面Wに対する吸着状態を長期に亘って維持することができる。
【0027】
また、使用者の吸着部22に対する押圧により、吸着部22の吸着面Sが吸着部22の全周のうち一部が基板部121の被取付面Wに密接しているに過ぎない状態であってもよい。後述するように減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気時に吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って被取付面Wに均一な状態でより強固に密接することとなり、基板部121の被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止することができるからである。
【0028】
このようなアダプタ部20により、吸気能力が十分大きくない減圧収納袋用電動空気ポンプPを利用した場合であっても、吸気口部12の小径を含む形状や高さ寸法に起因するその吸気の際に吸気口部12と減圧収納袋100の排気弁部120の間隙から外気を吸引してしまう(外気を流入させてしまう。)という吸引力の分散による減圧収納袋100内の排気効率が低下することを回避し、効果的かつ効率的に減圧収納袋100の排気弁部120から排気させ、減圧収納袋100に収納された収納物130を減圧圧縮することが可能となる。
【0029】
[減圧収納袋100]
本実施形態の減圧収納袋100は、主に袋本体110と、排気弁部120から構成されている。なお、減圧収納袋本体110及び排気弁部120における各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、減圧収納袋本体110及び排気弁部120における各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0030】
図4に示すように、本実施形態の減圧収納袋100は既存の製品であってよく、基本的な機能構成は種々の既知の技術が適用されてよい。
【0031】
減圧収納袋100は、略矩形に形成された2枚のフィルム状の袋本体110を重ね合わせ、矩形の三辺を接着、熱融着、超音波溶着等の方法によって気密に固着することにより形成された袋状部材であり、後述する排気弁部120を有する。また、2枚の袋本体110の一辺は、固着されておらず開閉可能な収納物の出入口となっている。その出入口には、開閉機構としてのチャック部が配設され、開放及び閉止可能となっている。
【0032】
減圧収納袋100の内部に収納される対象物である収納物130は、いかなる種類の有体物であってもよいが、好適には、ある程度の柔軟性を備えている。ここでは、収納物130が肌着、セーター等の衣類や毛布、布団、シーツ等の寝具であることを前提とする。
【0033】
そして、袋本体110は、厚さ寸法が、例えば、10μm〜60μm程度の柔軟性を備える樹脂フィルムから成り、典型的には、内部の収納物130を外側から視認することができるように、透明又は半透明であるが、不透明であってもよい。また、袋本体110は、ガスバリア性を備えることが望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等から成る複数の樹脂層をラミネートして成る基材の表面にアルミニウムを蒸着したフィルムや、シリカを蒸着したフィルムであってもよいし、ガスバリア性が良好な二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等のフィルム、又は、該フィルムを含むラミネートフィルムであってもよい。
【0034】
チャック部は、袋本体110と同様の材質の樹脂フィルムから成る帯状の部材であって、2枚の袋本体110の各々における出入口の側縁に一体的に接続された一対の帯状基部と、各帯状基部の互いに対向する面に形成され、帯状基部の長手方向に延在する咬み合い条部とを備える。咬み合い条部の凸条と凹溝とが咬み合うことによって、帯状基部同士が気密に結合し、チャック部が閉じ、出入口が閉止される。これにより、減圧収納袋100の内部は外部の空気から気密に遮断された状態となる。
【0035】
図5に示すように、2枚の袋本体110のうちの一方には、袋本体110を厚さ方向に貫通する排気孔としての第3排気孔170が形成され、第3排気孔170に対応する位置に、排気弁部120が配設されている。第3排気孔170は、例えば、直径が10mm〜20mm程度の円形孔であるが、それ以外の形状であってもよく、大きさも適宜変更されてよい。また、第3排気孔170は、必ずしも、袋本体110の中央付近に形成される必要はなく、任意の位置に形成されてよいが、周縁からはある程度離れた位置に形成されることが望ましい。
【0036】
排気弁部120は、プレート状の基板部121と、基板部121に取り付けられたフィルム状のダイヤフラム125とを備え、減圧収納袋100内部の空気を第3排気孔170を通して外部に排出するとともに、外気が第3排気孔170を通して減圧収納袋100内に流入することを阻止する一方向弁として機能する。なお、
図5においては、袋本体110と基板部121とが離間し、かつ、基板部121とダイヤフラム125とが離間しているように描かれているが、実際には、袋本体110の表面と基板部121の裏面とは密着し、かつ、基板部121の表面とダイヤフラム125の裏面とは密着している。
【0037】
基板部121には基板部121を厚さ方向に貫通する排気孔としての第1排気孔122が形成され、基板部121は、第1排気孔122が第3排気孔170と対応するように、すなわち、重なるように袋本体110の表面に取り付けられている。第1排気孔122は、任意の形状・大きさの孔であってよいが、第3排気孔170と同一形状・同一径の孔であることが望ましく、かつ、基板部121は、第1排気孔122の中心と第3排気孔170の中心とが一致する位置に取り付けられことが望ましい。
【0038】
また、基板部121の平面視での形状は内径約20mm、外径約45mmの環状であるが外形は必ずしも円形である必要はなく、半円形であっても、楕円形であっても、三角形であっても、四角形であっても、五角形以上の多角形であってもよく、任意の形状であってよい。基板部121は、排気弁部120の弁座として機能する部材であり、厚さが、例えば、0.2mm〜3mm程度の剛性を備える板部材であるが、ある程度の柔軟性を備え、弾性的に変形可能な部材であってもよい。さらに、基板部121は、例えば、アルミニウム、鋼等の金属、ポリエチレン、アクリル、ポリカーボネイト等の樹脂、ガラス等のセラミクス、繊維等を含む複合材(コンポジット)等から成るが、空気を透過しない任意の材質であってよい。また、減圧収納袋用電動空気ポンプPによる吸気を行う場合、吸着部22が基板部121の表面に密着することができ、吸気効率を高めることが可能となる材質・形状であることが好適である。
【0039】
そして、基板部121の裏面は、接着、熱融着、超音波溶着等の方法によって、袋本体110の外表面側に気密に固着される。すなわち、外気が、基板部121の裏面と袋本体110の表面の間を通って、第1排気孔122及び第3排気孔170内に流入することがないように、基板部121は袋本体110に固着される。典型的には、基板部121の裏面及び袋本体110の表面は、ともに、平滑面である。なお、両者が気密に密着するのであれば、通しボルト、リベット等の固着部材を使用して、基板部121を袋本体110に固着することであってもよい。
【0040】
また、ダイヤフラム125にはダイヤフラム125を厚さ方向に貫通する排気孔としての第2排気孔126が形成され、ダイヤフラム125は、第2排気孔126が第1排気孔122と対応しないように、すなわち、重ならないように基板部121の表面に剥離可能に貼付されている。第2排気孔126は、円形のみならず任意の形状の孔であってよい。
【0041】
第2排気孔126の数は、複数であることが望ましい。また、第2排気孔126は、例えば、直径が0.5mm〜5mm程度の大きさであることが望ましいが、大きさは適宜変更することができる。さらに、第2排気孔126は、平面視で第1排気孔122の周辺に均等に配置されることが望ましい。なお、第1排気孔122の周縁から第2排気孔126までの距離は、例えば、1mm〜4mm程度であるが、適宜変更することができる。
【0042】
そして、ダイヤフラム125は、排気弁部120の弁体部として機能する部材であり、厚さが、例えば、10μm〜60μm程度の柔軟性を備えるシリコン樹脂フィルムから成り、典型的には、第1排気孔122の位置を外側から視認することができるように、透明又は、半透明であるが、不透明であってもよい。また、ダイヤフラム125は、ガスバリア性を備えることが望ましく、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド等から成る複数の樹脂層をラミネートして成る基材の表面にアルミニウムを蒸着したフィルムや、シリカを蒸着したフィルムであってもよいし、ガスバリア性が良好な二軸延伸ポリビニルアルコールフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム等のフィルム、又は、該フィルムを含むラミネートフィルムであってもよい。
【0043】
また、ダイヤフラム125の平面視での形状は必ずしも円形である必要はなく任意の形状であってよいが、基板部121の平面視での形状と対応することが望ましい。なお、ダイヤフラム125の外形寸法は、基板部121の外形寸法より少し小さい例えば30mm程度であることが望ましい。
【0044】
さらに、ダイヤフラム125の裏面は、基板部121の表面に剥離可能に貼付されるために、弱い粘着性、すなわち、微粘着性を備え、かつ、再貼付性及び再剥離性を備える。例えば、ダイヤフラム125の裏面をそれ自体が接着性又は粘着性を備えるポリ塩化ビニリデンフィルムで形成することによって、また、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等を含む接着剤の層をダイヤフラム125の裏面に形成することによって、微粘着性を備え、かつ、再貼付性及び再剥離性を備える裏面を得ることができる。
【0045】
ダイヤフラム125の裏面の微粘着性は、減圧収納袋用電動空気ポンプPによる吸気を行った場合に、基板部121の表面から離間してその間を空気が流通可能となり、吸気を停止すると、再び粘着して基板部121の表面との間を空気が流通不能となる程度のものである。なお、ダイヤフラム125の周縁における裏面は、接着、熱融着、超音波溶着等の方法によって基板部121の表面に気密に固着されていてもよい。
【0046】
また、基板部121の表面は、平滑面であることが望ましい。これにより、減圧収納袋100内部の空気の排気を行わない状態では、ダイヤフラム125の裏面が基板部121の表面と気密に密着することができ、ダイヤフラム125の裏面と基板部121の表面との間の空気の流通を確実に防止することができる。
【0047】
[排気弁部120の他の実施例]
図7及び
図8を参照すると、本実施例の排気弁部120は、袋本体110の任意の箇所に穿設された透孔内面に熱融着等によって固定される胴体と、同じく袋本体110の透孔の部位においての袋本体110の外面からその胴体に嵌合される円板状の基板部121と、該基板部121の中央に内方段差状となって形成された筒孔内で上下動可能となって上面が露出されている弁体部125´とから構成されている。
【0048】
胴体の中心下側には段差状に縮径された空気流通路が形成され、胴体の外周縁には円板状の固定板が延設されている。さらに、胴体の内側には、突起状のガイド部が中央に起立配置されて、円弧状の開口が空気流通路への入口となる。
【0049】
また、固定板の上面には同心円状となった複数のリング溝を備えている。そして、固定板が袋本体110の透孔周囲の内面に当該リング溝に食い込ませるようにして熱融着され、袋本体110の透孔から外方に突出された胴体の外周縁が、基板部121下面に筒孔から段差状となって周設されている拡径内周面に嵌合して弁体部125´の上面を筒孔から外方に露出させる。なお、固定板および基板部121は、弁体部125´の直径よりも少し大きい外径を有している。
【0051】
そして、基板部121の筒孔には、上下に摺動可能とし、かつ、胴体の空気流通路を介しての空気の流れを制御するための円形蓋状の弁体部125´が装着される。すなわち、弁体部125´の下面中央には、胴体のガイド部が挿入される筒状の挿入部が突設され、挿入部先端外周には、胴体の中心下側にある空気流通路の内壁に嵌挿されて弁体部125´自体を固定するためのOリング状のシール部材が付設されている。また、挿入部外周面の前後対称位置には縦長のリブが突設され、該リブの下端には基板部121の筒孔に係止されるよう外径方向に突出した係止部が形成され、これによって弁体部125´の離脱および昇降幅を制限する。さらに、弁体部125´下面の略周縁における左右対称位置には、挿入部に対向して離間配置された一対のガイド用脚部が垂設される。
【0052】
弁体部125´は、ガイド用脚部によって支持されながら基板部121の筒孔から上昇移動した際には、弁体部125´の挿入部と胴体のガイド部とが離反して、弁体部125´の係止部が基板部121の筒孔に係止されることで、基板部121と弁体部125´との間に、胴体の空気流通路と連通する流路が形成されて排気が可能となる。
【0053】
減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸着部22が弁体部125´を覆うようにして基板部121に密着する。そして、減圧収納袋用電動空気ポンプPによる吸気を行った場合、吸着部22に覆われた空間の空気を減圧収納袋用電動空気ポンプP側に追い出すことで空間内の空気が減るので気圧も下がるため、弁体部125´の上面が負圧となって上昇移動し、胴体の中心下側の空気流通路が開放されて、袋本体110内の空気を排気弁120から排気可能となる。
【0054】
一方、排気後には、減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸着部22を基板部121から取り外すと、外気圧によって弁体部125´が押し下げられて弁体部125´の挿入部に胴体のガイド部が挿入され、かつ、弁体部の周縁部が基板部121の筒孔上縁に係止されると同時に挿入部の外周面が胴体の空気流通路の内壁に嵌挿されることで空気流通路を密閉させる。このとき、弁体部125´を手指でさらに下方に押し込むことによってシール部材が胴体の空気流通路内壁にしっかりと嵌合されて弁体部125´自体を固定する。
【0055】
次に、上述した構成の減圧収納袋用電動空気ポンプPを減圧収納袋100に対して用いる場合の使用方法について詳細に説明する。
【0056】
図9を参照して、減圧収納袋100内の空気を排気する動作を説明する。まず、減圧収納袋100の使用者は、減圧収納袋100のチャック部を開いて出入口を開放する。続いて、使用者は、減圧収納袋100の出入口から収納物130を減圧収納袋100内に収納する。ここでは、収納物130は寝具としての布団であり、折り畳んで重ねた状態で減圧収納袋100内に収納するものとする。
【0057】
続いて、使用者は、減圧収納袋100のチャック部を閉じて出入口を閉止する。なお、この際にスライダ部材を使用すると、容易、かつ、確実にチャック部を閉止することができ、減圧収納袋100の内部は、外気から気密に遮断された状態となる。
【0058】
続いて、使用者は、減圧収納袋用電動空気ポンプPを用意し、
図9(a)に示すように、減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸着部22を減圧収納袋100の袋本体110の外表面側に配設された排気弁部120の基板部121に対してダイヤフラム125を覆うように当接させて押圧する。なお、吸着部22の基板部121に当接する先端部の外形寸法は、基板部121の外形寸法より小さく、平面視での形状は外径約30mmの略円形であり、吸着部22が基板部121の被取付面Wに当接して押圧されることで変形した際の最大外形寸法も基板部121の外形寸法より小さく、例えば外径約38mmであるので、押圧により変形した際に基板部121から吸着部22の先端部がはみ出ない位置に吸着部22を当接して押圧する。はみ出てしまうと被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を許容することとなる場合があり、これを防止するためである。
【0059】
使用者の吸着部22に対する押圧により、不均一に押し潰されることなく、形状に即して変形する。したがって、吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って基板部121の被取付面Wに均一な状態で密接した場合には、基板部121の被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止することができ、吸着体の被取付面Wに対する吸着状態を長期に亘って維持することができる。このようにアダプタ部20(吸着部22)により、吸気能力が十分大きくない減圧収納袋用電動空気ポンプPを利用した場合であっても、吸気口部12の小径を含む形状や高さ寸法に起因するその吸気の際に吸気口部12と減圧収納袋100の排気弁部120の間隙から外気を吸引してしまう(外気を流入させてしまう。)という吸引力の分散による減圧収納袋100内の排気効率が低下することを回避し、効果的かつ効率的に減圧収納袋100の排気弁部120から排気させ、減圧収納袋100に収納された収納物130を減圧圧縮することが可能となる。
一方、使用者の吸着部22に対する押圧により、吸着部22の吸着面Sが吸着部22の全周のうち一部が被取付面Wに密接しているに過ぎない(一部間隙が生じている)状態(
図9(a)参照)であってもよい。後述する減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気時に吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って被取付面Wに均一な状態でより強固に密接することとなり、被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止することができるからである。
【0060】
続いて、
図9(b)に示すように、使用者が減圧収納袋用電動空気ポンプPのスイッチ14をONして作動させ吸気を開始させる。すなわち、スイッチ14をONして電動モータを駆動させて、電動モータにより回転翼14を回転させ、空気をアダプタ部20を介して吸気口部12からポンプケーシング11内に吸入し、ポンプケーシング11内の所定の通路を経由させてポンプケーシング11の端部壁の排気口部13から排出し始める。すると、吸着部22に対応(対抗)する部分のダイヤフラム125は、減圧収納袋用電動空気ポンプPから受ける気圧差に起因する吸引力により吸引されて基板部121から離間する方向(
図5における上方向)に変位させられる。これにより、吸着部22に対応(対抗)する部分のダイヤフラム125の裏面が基板部121の表面から離間してダイヤフラム125の裏面と基板部121の表面aとの間を空気が流通可能となる。すなわち、排気弁部120は開状態となる。これにより、減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気動作に応じて、減圧収納袋100内の空気は、第3排気孔117、第1排気孔122、離間したダイヤフラム125の裏面と基板部121の表面との間、及び、第2排気孔126を通って、排気される。なお、ダイヤフラム125の裏面が基板部121の表面から離間する距離は、極めて微小であってもよい。
【0061】
減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気時に吸着部22の吸着面Sは、吸着部22に覆われた空間の空気を減圧収納袋用電動空気ポンプP側に追い出すことで空間内の空気が減るので気圧も下がるため、吸着部22の弾性力によって、吸着面Sと基板部121の被取付面Wとの間が負圧になることに起因して、吸着部22の全周に亘って被取付面Wに均一な状態でより強固に密接することとなり、基板部121の被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止する。このようにアダプタ部20(吸着部22)により、吸気能力が十分大きくない減圧収納袋用電動空気ポンプPを利用した場合であっても、吸気口部12の小径を含む形状や高さ寸法に起因するその吸気の際に吸気口部12と減圧収納袋100の排気弁部120の間隙から外気を吸引してしまう(外気を流入させてしまう。)という吸引力の分散による減圧収納袋100内の排気効率が低下することを回避し、効果的かつ効率的に減圧収納袋100の排気弁部120から排気させ、減圧収納袋100に収納された収納物130を減圧圧縮することが可能となる。
さらに、吸気能力が十分大きくない減圧収納袋用電動空気ポンプPを利用した場合であっても、その吸気の際に吸着部22と基板部121の間隙から外気を吸引してしまう(外気を流入させてしまう。)という吸引力の分散による減圧収納袋100内の排気効率が低下することを回避し、効果的かつ効率的に減圧収納袋100の排気弁部120から排気させ、減圧収納袋100に収納された収納物130を減圧圧縮することが可能となる。
このことは、使用者の吸着部22に対する押圧により、吸着部22の吸着面Sが吸着部22の全周のうち一部が被取付面Wに密接しているに過ぎない状態であるときにのみ有効である作用ではなく、使用者の吸着部22に対する押圧により、吸着部22の吸着面Sが吸着部22の全周に亘って被取付面Wに密接している場合にもその状態から脱しないように、またその状態から脱した際には復元し、その状態を維持継続することで、有効に作用して効果的かつ効率的に減圧収納袋100の排気弁部120から排気させることに繋がる。
【0062】
そして、
図10に示すように、減圧収納袋100内の空気が十分に排気されて減圧状態又は真空状態となり、収納物130が十分に圧縮減容されると、使用者は減圧収納袋用電動空気ポンプPのスイッチ14をOFFして作動を停止させる。すると、吸気力が消滅するので、吸着部22に対応する部分のダイヤフラム125は元の状態に復帰する。これにより、吸着部22に対応する部分のダイヤフラム125の裏面が基板部121の表面に再び密着し、ダイヤフラム125の裏面と基板部121の表面との間は空気が流通不能となる。すなわち、排気弁部120は閉状態に復帰する。これにより、減圧収納袋100の内部は、外気から気密に遮断された状態となるので、減圧状態又は真空状態が維持される。また、減圧収納袋100内の圧力が外気の圧力よりも低くなるので、圧力差によってダイヤフラム125が基板部121に押し付けられ、ダイヤフラム125の裏面と基板部121の表面との密着性が高まり、排気弁部120の閉状態が確実に維持される。
【0063】
したがって、収納物130を圧縮減容して嵩を小さくした状態で保管することができ、家庭内の収納スペースを極めて有効に利用することができる。また、減圧収納袋100の内部が減圧状態又は真空状態に維持されるので、防カビ、防虫等の効果も期待することができる。
【0064】
また、上記の排気弁部120の他の実施例が適用される場合であっても、上述の使用方法と基本的には同様であり、ダイヤフラム125の代わりに、減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸着部22を減圧収納袋100の袋本体110の外表面側に配設された排気弁部120の基板部121に対して弁体部125´を覆うように当接させて押圧する点などが主に相違する。
【0065】
なお、上記の本実施の形態による減圧収納袋用電動空気ポンプPに適用されているアダプタ部20をアダプタとして利用する場合、吸着部22の全周に亘って基板部121の被取付面Wに均一な状態でより強固に密接することとなり、仮に吸引装置として電気掃除機が用いられると、電気掃除機では、その吸引力が減圧収納袋用としては強力過ぎ、電気掃除機本体が浮き上がる等の不都合を招来するおそれがあるなどの問題点があり、吸引装置としては電気掃除機ではなく電動空気ポンプが用いられなくてはならない。
【0066】
以下、本発明の第2の実施の形態を説明する。本実施形態の減圧収納袋用電動空気ポンプPは、減圧収納袋100に対して用いられることにより機能を発揮する。
減圧収納袋用電動空気ポンプPの基本的な構成は、上記の第1の実施の形態と同様であるので重複する説明は省略する。
【0067】
[アダプタ部20−吸着部22]
吸着部22は、上記の第1の実施の形態では、被取付面Wは、基板部121であった。これは、基板部121が袋本体110の外表面側に設けられていたため、ダイレクトに基板部121に吸着することが可能であったことによる。
しかし、本実施の形態では、基板部121が袋本体110の内表面側に設けられている。したがって、吸着部22は、袋本体110の厚さ寸法が微小であるので、あたかも基板部121にダイレクトに吸着するのと同様の動作を行うが、厳密には、被取付面Wは、袋本体110(基板部121に重なり対応する部分)ということになる。すなわち、吸着部22は、基板部121に吸着しようとすることにより袋本体110(基板部121に重なり対応する部分)に密着することとなる。上記の第1の実施の形態と比較すると、吸着部22は、袋本体110を介在させながら、基板部121に吸着しているとも表現できる。なお、袋本体110の基板部121に重なり対応する部分と基板部121の表面は少なくとも一部が剥離しないように接着、熱融着、超音波溶着等の方法によって、袋本体110の内表面側に気密に固着されていればよい。
【0068】
使用者の吸着部22に対する押圧により、吸着部22の吸着面Sが吸着部22の全周のうち一部が袋本体110(基板部121に重なり対応する部分)の被取付面Wに密接しているに過ぎない状態であってもよい。減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気時に吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って被取付面Wに袋本体110の特性にも起因して均一な状態でより強固に密接することとなり、基板部121の被取付面Wと吸着部22(吸着面S)との間への気体の流入を確実に防止することができるからである。すなわち、袋本体110は厚さ寸法が、例えば、10μm〜60μm程度の柔軟性を備える樹脂フィルムから成るので、上記の第1の実施の形態における固形の基板部121と比較して、袋本体110の被取付面W自体も吸着部22と密接するように吸い上げられて捲り上がるようにして形態を変化させることが容易(基板部121と固着している部分は除く。)であり、減圧収納袋用電動空気ポンプPの吸気時に吸着部22の吸着面Sは、吸着部22の全周に亘って均一な状態でより一層強固に密接することが可能となっている。
【0069】
その他、上記の第1の実施の形態(各実施例等を含む)における構成、作用効果は本実施の形態に最大限適用可能であることはもちろんである。
【0070】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、各構成部分の大きさや位置・数・形状を含む種々の変更が加えられて実施されてよい。