(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回収路から大量に遊技球が移送されてきた場合、遊技球導入装置内に並列配置された複数の案内通路上に遊技球が大量に堆積してブリッジ等を起こす恐れがある。
【0007】
また、省電力等のために、遊技球研磨装置を遊技店の営業中に稼動状態と休止状態に切り替え制御する場合には、遊技球研磨装置が停止している間に、案内通路に遊技球が堆積してブリッジが発生して球詰まりを起こしてしまい、遊技球研磨装置が起動しても遊技球研磨装置へ遊技球が導入されないといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、回収路から流入する遊技球を整列させて遊技球研磨装置へ案内する案内通路上での遊技球の詰まりを解消することのできる遊技球導入装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0010】
[1]遊技機島内の遊技球を移送して回収する回収路の出口に設けられ、前記回収路から流入する遊技球を落下させる導入口が複数開設された導入部材と、
前記導入部材の下方で前記導入口から落下した遊技球を受け止め、該遊技球を整列させて遊技球研磨装置の遊技球取り入れ口に向けて流下させる複数の並列配置された案内通路と、
前記案内通路上に堆積する遊技球に力を加えて詰まりを解消させる詰まり解消部と
を有
し、
前記詰まり解消部は、
槌部と、該槌部を、前記案内通路上に堆積する遊技球に当たる進出位置と、前記堆積する遊技球から離れた退避位置とに変位させる駆動部とを有し、
前記堆積する遊技球を前記槌部で打って前記詰まりを解消させる
ことを特徴とする遊技球導入装置。
【0011】
上記発明では、回収路から到来する遊技球は導入部材の導入口を通じて下方へ落下し、案内通路に受け止められた後、該案内通路に沿って遊技球研磨装置の遊技球取り込み口に向けて転動する。大量の遊技球が回収路から到来したり遊技球研磨装置が一時停止したりするなどによって案内通路上に遊技球が堆積してブリッジ等が生じ得る。しかし、詰まり解消部によってその詰まりを解消させることができる。詰まり解消部は、打つ(叩く)、押し上げる、振動させる、揺動させるなどにより遊技球に力を加えて、詰まりを解消する。
【0013】
上記発明では、詰まり解消部は、遊技球を槌部で打つことで、詰まりを解消させる。遊技球を打つ方向は、下からでも、横からでも、後ろ(上流側)からでもよい。
【0014】
[
2]前記案内通路の底部に、遊技球は落下せずに前記槌部は通る形状の穴を設け、
前記詰まり解消部は、前記穴を通して槌部で遊技球を下方から打つ
ことを特徴とする[
1]に記載の遊技球導入装置。
【0015】
上記発明では、案内通路の底部に設けた穴を通じて、遊技球を下方から槌部で打つ。案内通路の下方に詰まり解消部を設置できるので、横から打つ場合に比べて、並列する複数の案内通路内の遊技球を槌部で打つ構造を容易に実現することができる。
【0016】
[
3]前記槌部は、前記案内通路が遊技球を整列させて流下させる向きに沿って回転する回転体である
ことを特徴とする[
1]または[
2]に記載の遊技球導入装置。
【0017】
上記発明では、槌部が遊技球を整列させて流下させる向きに沿って回転するので、該槌部に打たれた遊技球が円滑に下流へ移動して、ブリッジや詰まりが解消される。回転体の形状は円形や多角形が好ましい。
【0018】
[
4]前記案内通路での遊技球の詰まりを検出する検出部をさらに有し、
前記遊技球研磨装置が稼動中に前記検出部が遊技球の詰まりを検出した場合に、前記詰まり解消部を作動させる
ことを特徴とする[1]乃至[
3]のいずれか1つに記載の遊技球導入装置。
【0019】
上記発明では、遊技球の詰まりが検出された場合に、詰まり解消部が作動する。すなわち、詰まりが生じた後に、その詰まりを解消するように制御される。
【0020】
[
5]遊技球研磨装置の起動条件が成立した場合に、前記詰まり解消部を作動させる
ことを特徴とする[1]乃至[
3]のいずれか1つに記載の遊技球導入装置。
【0021】
上記発明では、遊技球研磨装置の起動条件が成立したとき、すなわち、回収路から多数の遊技球が到来する条件が成立したとき、詰まり解消部を作動させる。遊技球研磨装置の起動条件には、たとえば、遊技機島の上部貯留タンクが空、下部貯留タンクの排出口を開く、などがある。この制御は、詰まりを予防するように作用する。
【0022】
[
6]前記詰まり解消部を、間欠的に作動させる
ことを特徴とする[1]乃至[
5]のいずれか1つに記載の遊技球導入装置。
【0023】
上記発明では、詰まり解消部を、間欠的に作動させるので、連続的に動作させる場合に比べて、詰まり解消部の耐久性が向上する。
【0024】
[
7]前記詰まり解消部は、前記槌部および前記駆動部をベース板の上に取り付けて構成されると共に、前記案内通路の下方に設けられており、
前記案内通路の底部には、塵埃が落下可能な第1落下口が設けられており、
前記ベース板には、塵埃が落下可能な第2落下口が設けられている
ことを特徴とする[
2]に記載の遊技球導入装置。
【0025】
上記発明では、案内通路の下方に詰まり解消部を設けた場合でも、案内通路の底部に設けた落下口および詰まり解消部のベース板に設けた落下口を通じて塵や埃を床面等へ排出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る遊技球導入装置によれば、回収路から流入する遊技球を整列させて遊技球研磨装置へ案内する案内通路上での遊技球の詰まりを解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る遊技球導入装置30を備えた遊技機島2の内部構造を示している。遊技機島2は、遊技装置として遊技機3と遊技球貸機4とを一組にして並置したものを多数並設収容している。ここでは、遊技機3はパチンコ機であり、遊技球貸機4は遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す装置である。
【0030】
遊技機島2は、遊技に供する遊技球を遊技機島2の中で循環させて繰り返し使用するようにされている。詳細には、各遊技機3の下部から排出された使用済みの遊技球、および入球受皿5aおよび入球計数機5bを介して計数された遊技球は、遊技機3の下方において遊技機島2の両端部から中央に向けて下り傾斜して設置された回収路6(6L、6R)で回収され、遊技機島2の中央に立設された遊技球研磨装置(揚送研磨機)20の下部へ遊技球導入装置30を介して送り込まれる。遊技球研磨装置20は遊技球導入装置30から取り込んだ遊技球を研磨しながら遊技機島2の上部貯留タンク7へ揚送し、研磨後の遊技球は上部貯留タンク7から補給樋8を通じて各遊技機3に供給される。
【0031】
また、上部貯留タンク7から溢れる遊技球や予備の遊技球を、遊技機島2の下部に配置した複数の下部貯留タンク9A〜9Cに貯留しておき、上部貯留タンク7の貯留量が少なくなったときに、下部貯留タンク9A〜9Cから遊技球を回収路6に排出することで、遊技機島2内で循環する遊技球を適正量に維持するように制御される。回収路6は、遊技機島2の両端から中央に向けて下り傾斜しているため、遊技機島2の両端部に配置された下部貯留タンク9Aでは、内部に貯留されている遊技球を下部貯留タンクリフト10で揚上して回収路6に排出する。遊技機島2の中央寄りに配置された下部貯留タンク9B、9Cでは、排出口を開閉するシャッタ11を開いて遊技球を回収路6へ排出するようになっている。
【0032】
また、隣接する遊技機島2の上部貯留タンク7同士の間には、遊技球の移送路が往復に掛け渡してあり、各遊技機島2における遊技球の貯留量がバランスするように、隣接する遊技機島2間で移送路を通じて遊技球を受け渡しするようになっている。この受け渡しのために上部貯留タンク7には、他の遊技機島2へ遊技球を送り出すための開閉制御可能な球排出口12と、他の遊技機島2からの遊技球を受け入れるための開閉制御可能な球受入口13が設けてあり、これらの開閉を制御することで、遊技機島2間での遊技球の移送が行われる。また、上部貯留タンク7には当該上部貯留タンク7内の遊技球の貯留量を検出する貯留量センサ14が設けてある。
【0033】
このほか、遊技機島2には、遊技球貸機4に投入された紙幣を遊技機島2の一端に設けられた紙幣金庫15まで搬送する紙幣搬送装置16、遊技球貸機4に投入された硬貨を紙幣金庫15の下方に設けられた貨幣金庫17まで搬送する貨幣搬送装置18などが設けられている。また、紙幣金庫15と反対側の島端には、遊技者が獲得した遊技球を計数する景品球計数機19が設けてある。景品球計数機19で計数された遊技球は、景品球計数機19の裏側に設けられた下部貯留タンク9Aに排出される。
【0034】
図2は、遊技球研磨装置20の側面図、
図3は正面図、
図4は遊技球研磨装置20の揚送経路の断面図である。
図4に示すように遊技球研磨装置20は、遊技球の径に合せた溝22aが複数本並列に形成された揚送レール22の上に研磨布23を張り、
図2に示すようにモータ24で駆動される下部の駆動ローラ25と上部の従動ローラ26との間に架け渡されて周回する平ベルト状の揚送ベルト27と揚送レール22とを対向配置し、遊技球導入装置30を通じて遊技球取り込み口21から取り込んだ遊技球を揚送ベルト27と揚送レール22の各溝22aとの間で研磨布23を介して挟持しながら上部貯留タンク7へ揚送する布揚送研磨機である。
【0035】
回収路6は遊技機島2の長手方向に沿って延設されており、遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21は回収路6と直交する方向を臨むように開口している。そのため、遊技球導入装置30は、回収路6の端部から流入する遊技球の進路を遊技球導入装置30の遊技球取り込み口21に向けて略90度変化させると共に、遊技球研磨装置20の揚送レール22の各溝22aに対応するように、遊技球を複数列に整列させて遊技球取り込み口21へ排出する機能を果たす。
【0036】
以下、遊技球導入装置30の構成について詳細に説明する。
【0037】
図5は、遊技球導入装置30とその周辺部分を示す正面図、
図6は遊技球導入装置30とその周辺部分を示す上面図、
図7は遊技球導入装置30とその周辺部分を示す断面図である。また、
図16、
図17は回収路6から遊技球導入装置30を経て遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21へ至る遊技球の流れを示す図である。
【0038】
遊技球導入装置30は、遊技機島2の長手方向の両端からそれぞれ中央に向けて遊技球を移送して回収する左右の回収路6(6L、6R)の出口(端部間)に設けられて、各回収路6から流入する遊技球を下方へ落下させる導入口31が複数開設された導入部材32を有する。さらに遊技球導入装置30は、導入部材32の下方に配置されて、導入口31から落下した遊技球を受け止め、該遊技球を整列させて遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21に向けて流下させる複数の並列配置された案内通路41を備える通路部40と、導入口31の下方の部分の案内通路41上に堆積する遊技球に力を加えて詰まりを解消させる詰まり解消部50を備えている。
【0039】
通路部40の出側と遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21との間には、通路部40の各案内通路41から排出された遊技球を、整列させた状態のまま、遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21へ案内通路41別に独立した経路で案内する連通部70が設けられている(
図6、
図7参照)。
図6に示すように、連通部70の各通路間は整列板71によって仕切られている。また、遊技球取り込み口21は、揚送レール22の各溝22aに対応する複数の導入路21aを備えている。案内通路41、連通部70の整列板71で仕切られた各通路、遊技球取り込み口21の導入路21a、揚送レール22の溝22aは1対1に対応している。
また、
図7に示すように、通路部40と連通部70との連結境界に、出入り可能に制御される規制板75が設けてある。規制板75を通路部40と連通部70との連結境界に進出させると、通路部40から連通部70への遊技球の流入を阻止することができる。
【0040】
図8は、導入部材32の上面を示している。導入部材32には、多数の導入口31が開設されている。各導入口31は円形であり、その直径は遊技球の直径より大きく、遊技球の直径の2倍より小さくされている。導入部材32には、回収路6から到来する遊技球が、導入部材32の下方に配置されている通路部40の各案内通路41へ均等に振り分けられて落下するように、多数の導入口31が配設されている。
【0041】
図9は通路部40を示す斜視図であり、
図10は通路部40の上面図、
図11は通路部40の正面図、
図12は通路部40の側面図である。通路部40は、底板42と、該底板42に立設されて、底板42上の空間を複数の案内通路41に仕切る複数枚の仕切板43を備えて構成される。仕切板43は各案内通路41の側壁となっており、底板42から導入部材32の裏面に至る高さを有する。仕切板43は導入口31からいずれかの案内通路41へ落下した遊技球が他の案内通路41へ移動することを阻止する。
【0042】
図7に示すように、仕切板43は、実際には、通路部40側に設けられる仕切板43Aと、導入部材32の裏面から下方に延設された仕切板43Bとに分けて構成されており、通路部40の上へ導入部材32を正しくセットしたとき、仕切板43Aと仕切板43Bとが一枚の仕切板として繋がるようになっている。
【0043】
図10、
図11に示すように、通路部40の各案内通路41の底部(底板42)には、案内通路41の延設方向に沿って長穴44が形成されている。長穴44の幅は、たとえば、遊技球の直径の約5分の4にされており、遊技球が落下しない範囲で幅広にされている。長穴44を通して小さなゴミや埃が通路部40の下方へ落下するようになっている。
【0044】
図13は、詰まり解消部50の斜視図であり、
図14は詰まり解消部50の側面図である。詰まり解消部50は、
図7に示すように、通路部40の各案内通路41の底部(底板42)に設けられた長穴44を通じて、案内通路41内の遊技球を槌部51で下方から叩く(打つ)ことで、案内通路41上に多数の遊技球が堆積して生じる遊技球の詰まりを解消する、もしくは詰まりを防止する機能を果たす。
【0045】
槌部51は、回転自在に中心を軸支された厚みが5mm直径が28mmほどの樹脂製の円板である。槌部51はポリアセタール(POM)など、滑りやすく形が崩れ難い部材で形成されることが好ましい。
【0046】
槌部51はその上部が長穴44から案内通路41の中へ数ミリ(たとえば5ミリ)ほど突出して案内通路41内の遊技球に衝突する進出位置F(
図7では実線で示した槌部51の位置)と、案内通路41内の遊技球に接触しないように案内通路41の下方へ退避した退避位置R(
図7では鎖線で示した槌部51の位置)とに変位する。
【0047】
槌部51はバネ52で退避位置Rに戻るように付勢されており、ソレノイドから成る駆動部53はバネ52に抗して槌部51を進出位置Fへ移動させる。
【0048】
なお、バネ52で付勢された槌部51が退避位置で停止するように、退避位置において槌部51の下端に当接するストッパ54が設けてある。ストッパ54の槌部51の下部と当接する部分には、衝撃の緩和と静音のためにゴムなどの弾性を有する保護部材54aが設けてある。
【0049】
図5、
図14(a)は、槌部51が進出位置Fにある状態を示している。
図14(b)は槌部51が退避位置Rにある状態を示している。
【0050】
より詳細には、
図13に示すように、詰まり解消部50は平らな矩形の鋼板からなるベース板56を有し、このベース板56の上に槌部51や駆動部53、ストッパ54などが取り付けられている。ベース板56には、通路部40の長穴44を通じて落下してきたゴミや埃を、該ベース板56の下方へさらに落下させるための穴部57が複数開設されている。
【0051】
図15は、補強部材58を取り外した状態の詰まり解消部50を示す斜視図である。同図を参照して詰まり解消部50の構成をさらに詳しく説明する。
【0052】
ベース板56には、鋼板を上面視コの字状に折り曲げて形成された台座部61が設けられ、この台座部61のコの字の両サイドの腕61a間であって、腕61aの付け根寄りの上部の位置に、回転軸62が掛け渡されて回動可能に軸支されている。
【0053】
さらに、回転軸62の両端部であって台座部61の両腕61aの内側には、該回転軸62と直交しかつ台座部61の両腕61aと同方向に延設された2本の第1腕部63が取り付けてある。
【0054】
2本の第1腕部63の先端部間には支持軸65が掛け渡されて軸支されている。支持軸65には、所定の間隔(並列する案内通路41に設けられた長穴44に対応する位置)で複数の槌部51が支持軸65を中心に回転可能に取り付けられている。支持軸65に軸支された各槌部51より少し回転軸62側において、2本の第1腕部63の間に補強シャフト66が掛け渡されている。補強シャフト66にはバネ52の一端が係止され、バネ52の他端はベース板56に係止されている。
【0055】
第1腕部63の先端には、外側へ突起した位置規制部材67が設けてある。位置規制部材67が台座部61の腕61aの先端部に当接することで、槌部51の進出位置Fを規制する。
【0056】
2本の第1腕部63のうちの一方の近くの内側において、回転軸62には、第1腕部63と反対方向に延設された第2腕部64が取り付けてある。駆動部53であるソレノイドのアクチュエータ53aは第2腕部64の先端に係止されており、駆動部53をONにすると第2腕部64の先端が駆動部53によって引き下げられ、槌部51が進出位置Fへ変位するようになっている。
【0057】
第1腕部63および第2腕部64は、回転軸62を直径方向に貫通した穴に挿入されたピン68を介して回転軸62に取り付けられている。このピン68に加わる力を軽減して、ピン68の疲労を防ぐために、断面コの字状の補強部材58が、第1腕部63および第2腕部64の付け根の部分を挟み込むようにして取り付けられる。
【0058】
このほか、
図6に示すように、回収路6の出口近傍には、該箇所に多数の遊技球が停留していることを検知する球詰まりセンサ35が設けてある。また、導入部材32の上面の一部には、回収路6の出口から流入する遊技球による衝撃を和らげるための球緩衝部材37が設けてある。球緩衝部材37は弾性を有するゴムなどで形成されたシート状を成している。
【0059】
次に、遊技球導入装置30の動作および作用について説明する。
【0060】
図16に示すように、回収路6によって回収されて移送されてきた球は、回収路6の出口から遊技球導入装置30の導入部材32へ流入し、導入口31から通路部40の各案内通路41へ落下する。導入口31から落下した遊技球は通路部40のいずれかの案内通路41に入って受け止められ、下り傾斜した該案内通路41に沿って流下して、連通部70を通じて遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21へ送り込まれる。
【0061】
案内通路41間は仕切板43によって路面から導入部材32の裏面に至る高さまで仕切られているので、導入口31からいずれかの案内通路41へ落下した遊技球は、その案内通路41内を転動し、落下後に他の案内通路41へ移動することはない。また、連通部70も整列板71で仕切られているので、遊技球は案内通路41別に遊技球取り込み口21の導入路21aへと案内される。
【0062】
球詰まりが生じていない正常時は、遊技球導入装置30から送り込まれる遊技球を遊技球研磨装置20が順次取り込み、研磨しながら揚送し、上部貯留タンク7へ排出する。そのため、遊技球研磨装置20の遊技球取り込み口21や遊技球導入装置30の内部に遊技球が多量に停留することはない。
【0063】
しかしながら、遊技球研磨装置20の処理能力を超える大量の遊技球が一度に回収路6から到来した場合や省電力等のために遊技球研磨装置20を一時停止させた場合には、回収路6から到来する遊技球が遊技球取り込み口21や遊技球導入装置30を一杯にし、さらに回収路6の出口付近に溢れ出して滞留するといった状況が生じる。
【0064】
このような状態では、遊技球導入装置30の内部で遊技球がブリッジして球詰まりを起こしやすい。そこで、本実施の形態の遊技球導入装置30では、詰まり解消部50を動作させて、上記の球詰まりを解消する、あるいは球詰まりの発生を防止(予防)する。
【0065】
具体的には、詰まり解消部50は、案内通路41に堆積している遊技球を、案内通路41の底部に開設された長穴44を通じて下方から槌部51で叩く〔打つ〕。この叩く衝撃により遊技球が僅かに移動して堆積状態の均衡が崩れてブリッジや球詰まりが解消される。
【0066】
図17(a)は、槌部51を進出位置Fに移動させて遊技球を下方から叩いている状態を示す。
図17(b)は槌部51を退避位置Rへ退避させた状態を示している。槌部51で叩く動作を1または数回行うことで、ブリッジや球詰まりが解消される。特に、省電力等のために遊技球研磨装置20を休止させ、必要時のみ稼動させる場合には、休止中に遊技球導入装置30内に遊技球が堆積してブリッジを引き起こし、次に遊技球研磨装置20を稼動させても遊技球が流れずに球詰まりが生じ易い。しかしながら、詰まり解消部50によって球詰まりを解消できるので、省電力等のための一時休止を問題なく実施することができる。
【0067】
また、槌部51が回転する円形を成しているので、槌部51が進出位置Fへ進出して遊技球を押し上げる際に槌部51が回転し、遊技球を下流の遊技球取り込み口21の方向へ円滑に進ませることができる。
【0068】
また、槌部51は樹脂で形成されているため、金属などで形成する場合に比べて、遊技球に衝突した際の衝突音が軽減される。また、遊技球を傷めることもない。また、ストッパ54の当接部分に、弾性を有するゴムなどで形成された保護部材54aを設けたので、退避位置Rへ戻る槌部51が保護部材54aに衝突しても槌部51を傷めて劣化させることがない。また衝突音が軽減されて静音が確保される。
【0069】
このほか、回収路6から案内通路41の長穴44を通じて落下してきた小さなゴミや埃は、詰まり解消部50のベース板56に開設された穴部57を通じてさらに下方へ落下するので、通路部40の下方に詰まり解消部50を取り付けても塵や埃が詰まり解消部50内に溜まることはない。
【0070】
次に、遊技球導入装置30の稼動、停止の制御について説明する。
【0071】
<球詰まり防止制御>
球詰まり防止制御では、球詰まりが生じる恐れのある場合に遊技球導入装置30を動作させて球詰まりを予防(防止)する。具体的には予め定めた遊技球研磨装置20の起動条件が成立した場合に詰まり解消部50を動作させる。起動条件は、遊技球研磨装置20の起動を要求する研磨要求信号がONとする条件である。
【0072】
図18は、研磨要求信号と、詰まり解消部50の制御信号(ハンマーゲート信号とする)と、実際の駆動部53のオンオフ制御との関係を示している。研磨要求信号がONの間、ハンマーゲート信号は、1分間ONとなったのち1分間OFFになる変化を繰り返す。駆動部53は、ハンマーゲート信号がONの期間中、5回叩いて(ON・OFFを繰り返して)10秒休む(OFFを継続する)という動作を繰り返し行う。
【0073】
このように間欠的に駆動部53をONにして槌部51で叩く動作を行うことで、消費電力の軽減および詰まり解消部50劣化が抑えられる。
【0074】
図19は、研磨要求信号のオンオフ、ハンマーゲート信号のオンオフに関する状態遷移図である。
【0075】
研磨要求信号は、以下のいずれかの条件が成立したときにON(研磨要求あり)になり、以下のすべての条件が不成立のときにOFF(研磨要求なし)となる。
【0076】
(1)上部貯留タンク7が空(貯留量センサ14で検出)
(2)下部貯留タンク9B、9Cのシャッタ11を開放(下部貯留タンク9B、9Cから回収路6へ遊技球を排出時)
(3)下部貯留タンクリフト10を作動(下部貯留タンク9Aから回収路6へ遊技球を排出時)
(4)上部貯留タンク7の球受入口13を開放(他の遊技機島2から移送された遊技球を上部貯留タンク7に受け入れる時)
(5)上部貯留タンク7の球排出口12を開放(他の遊技機島2へ移送する遊技球を上部貯留タンク7から排出する時)
(6)球詰まりセンサ35がON(回収路6の出口付近に遊技球が堆積しているとき)
【0077】
待機中に研磨要求あり(研磨要求信号ON)になると、作動状態へ移行し、ハンマーゲート信号がONとなる。その後、1分が経過すると、ハンマーゲート信号がOFFになって休止状態へ移行する。休止状態となって1分が経過するとハンマーゲート信号がONになって作動状態へ移行する。作動状態または休止状態において研磨要求なし(研磨要求信号OFF)になると、ハンマーゲート信号はOFFにされて待機中の状態に移行する。このような状態遷移により、研磨要求信号がON(研磨要求あり)の間、ハンマーゲート信号は、1分間ONとなったのち1分間OFFになる状態変化を繰り返す。
【0078】
<球詰まり解消制御>
球詰まり解消制御では、球詰まりが生じた場合に遊技球導入装置30を動作させる。具体的には、遊技球研磨装置20を稼動させているにもかかわらず球詰まりセンサ35が球詰まりを検出した場合に、詰まり解消部50を動作させる。
【0079】
なお、球詰まりが生じている間(球詰まりセンサ35がONの間)、ハンマーゲート信号を継続的にONとし、5回叩いて(駆動部53のON・OFFを繰り返して)10秒休む(OFFを継続する)という動作を繰り返し行う。あるいは、
図18のように、球詰まりが生じている間(球詰まりセンサ35がONの間)、ハンマーゲート信号を1分間ONとなったのち1分間OFFになる変化を繰り返すようにしてもよい。
【0080】
以上の制御は、遊技球導入装置30の内部にCPU、ROM、RAM等を主要部とする制御部を設けて行うようにしてもよいし、遊技機島2全体を制御する制御部が遊技球導入装置30の駆動部53を制御するようにしてもよい。
【0081】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0082】
実施の形態では、円形の回転する槌部51としたが、円でなくてもよく、他の形状や回転しないものであってもかまわない。また、槌部51で遊技球を横から、あるいは後ろから叩くように構成されてもよい。たとえば、案内通路41の上流側の端部に下流側へ進出する槌部を設け、案内通路41の上端部から下流に向けて遊技球を叩くように構成されてもよい。
【0083】
槌部51の駆動する機構や駆動部53は実施の形態に例示したものに限定されない。たとえば、モータの回転運動を往復運動に変換する機構により、槌部51を上下させるように構成されてもよい。
【0084】
さらには、案内通路41上に堆積している遊技球に対して槌部51で叩く以外の方法で力を加えることで遊技球の詰まりを防止、解消するようにしてもよい。たとえば、案内通路41を備える通路部40全体を振動させる、揺動させる、槌部51でゆっくりと遊技球を押し上げる、といった動作で遊技球に力を加えて球詰まりを解消させてもよい。
【0085】
実施の形態では球詰まりセンサ35を回収路6の出口近傍に設けたが、遊技球導入装置30の側面(通路部40の側面)などにもうけてもよい。また球詰まりセンサ35は、鉄製のパチンコ球を検出する磁気センサのほか光センサなどでもよい。遊技球導入装置30において球詰まりが発生していることを検知できれば球詰まりセンサ35の取り付け位置や種類は問わない。
【0086】
遊技球研磨装置20の起動条件は実施の形態に例示したものに限定されない。
【0087】
実施の形態では左右2つの回収路6に対応した遊技球導入装置30を示したが、1つの回収路6にのみ対応した構成でもかまわない。たとえば、遊技機島2の長手方向の端部に設けられる遊技球研磨装置に遊技球を送り込む遊技球導入装置の場合は1つの回収路にのみ対応すればよい。
【0088】
遊技球導入装置30による遊技球の送り込み先は布研磨機に限定されるものではないが、遊技球導入装置30は、遊技球を複数列に整列させて取り込むタイプの遊技球研磨装置に好適である。