(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139913
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ブラストチラー装置、およびブラストチラー装置を浄化するための方法
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20170522BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20170522BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
A61L2/10
F25D11/00 101Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-39090(P2013-39090)
(22)【出願日】2013年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-181750(P2013-181750A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】12157479.2
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513050062
【氏名又は名称】エレクトロラックス プロフェッショナル ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】マッシミリアーノ カマッタ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ パコリッチ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ レアーレ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ シナトラ
【審査官】
伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−337757(JP,A)
【文献】
特開2008−224122(JP,A)
【文献】
特開2000−258044(JP,A)
【文献】
米国特許第04909040(US,A)
【文献】
特開2007−259930(JP,A)
【文献】
特開2008−096077(JP,A)
【文献】
特開2014−025613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
A61L 2/10
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵または冷凍すべき食物を収容するために構成された冷却チャンバ(3)と、
前記冷却チャンバ(3)を冷却または冷凍するように構成された、少なくとも1つの第1の熱交換器(8)を有する冷却回路(6)と、を備える、ブラストチラー装置(1)であって、
前記冷却チャンバ(3)を浄化するように構成された浄化システム(13)を備え、
前記浄化システム(13)は、
前記第1の熱交換器(8)を解凍するように構成された解凍システム(12)と、
前記冷却チャンバ(3)の内部空間を紫外線によって照射するように構成された、少なくとも1つのUV源(14)と、
前記第1の熱交換器(8)を加熱すべく、前記解凍システム(12)を制御するように構成され、前記冷却チャンバ(3)の温度を、前記UV源(14)の動作の予め設定された最適な温度の範囲内とし、前記予め設定された最適な温度の範囲が30℃〜50℃である、制御システム(15)と、を有し、
前記制御システム(15)は、さらに、前記解凍システム(12)を制御するように構成され、前記第1の熱交換器(8)を熱的に浄化するために、前記第1の熱交換器(8)の温度を、予め設定された浄化温度の範囲内とし、前記予め設定された浄化温度の範囲が50℃〜80℃であることを特徴とする、ブラストチラー装置。
【請求項2】
前記制御システム(15)は、前記第1の熱交換器(8)を加熱すべく、前記解凍システム(12)を制御するように構成され、前記第1の熱交換器(8)の温度、および、前記冷却チャンバ(3)の温度を、それぞれ同時に、予め設定された浄化温度の範囲内、および、前記予め設定された最適な温度の範囲内とし、または範囲内に維持する、請求項1に記載のブラストチラー装置。
【請求項3】
前記制御システム(15)は、
前記冷却チャンバ(3)の内部の温度を計測するように構成された温度センサ(16、17)を少なくとも1つ有し、
計測された温度が、前記予め設定された最適な温度の範囲内に収まった場合に、紫外線を発生させるべく、前記UV源(14)をスイッチオンするように構成される、請求項1または2に記載のブラストチラー装置。
【請求項4】
前記予め設定された浄化温度の範囲は、60℃〜80℃である、請求項1に記載のブラストチラー装置。
【請求項5】
前記冷却回路(6)は、可逆サイクル式のヒートポンプ組立体(7)を有し、
前記ヒートポンプ組立体(7)は、
前記第1の熱交換器(8)を含み、
前記冷却チャンバ(3)を迅速に冷却または冷凍すべく、前記第1の熱交換器(8)を冷却するために、順方向の熱サイクルを実行し、または、代替的に、
前記第1の熱交換器(8)を解凍すべく、前記第1の熱交換器(8)を加熱するために、逆方向の熱サイクルを実行するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラストチラー装置。
【請求項6】
前記冷却回路(6)は、ヒートポンプ組立体(7)を有し、
前記ヒートポンプ組立体(7)は、
冷媒圧縮手段(10)と、
前記冷媒圧縮手段(10)の冷媒出口と、前記第1の熱交換器(8)の冷媒入口との間に挿入されるバイパスチャネル(19)と、
前記バイパスチャネル(19)に沿って配置され、命令に基づいて、前記冷媒圧縮手段(10)の冷媒出口と、前記第1の熱交換器(8)の冷媒入口とを連結するためのバルブ手段(20)と、を含み、
前記制御システム(15)は、前記第1の熱交換器(8)を解凍すべく、前記バルブ手段(20)を制御するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のブラストチラー装置。
【請求項7】
前記解凍システム(12)は、前記第1の熱交換器(8)と関連付けられた電気加熱手段(21)を有し、
前記制御システム(15)は、前記第1の熱交換器(8)を解凍すべく、前記電気加熱手段(21)を制御するように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のブラストチラー装置。
【請求項8】
冷蔵または冷凍すべき食物を収容するために構成された冷却チャンバ(3)と、
前記冷却チャンバ(3)を迅速に冷却または冷凍するように構成された、少なくとも1つの第1の熱交換器(8)を有する冷却回路(6)と、
前記少なくとも1つの第1の熱交換器(8)を解凍するように構成された解凍システム(12)と、
前記冷却チャンバ(3)の内部空間を紫外線によって照射するように構成された、少なくとも1つのUV源(14)と、を備える、ブラストチラー装置(1)を浄化するための方法であって、
前記第1の熱交換器(8)を加熱すべく、前記解凍システム(12)を制御し、前記冷却チャンバ(3)の温度を、前記UV源(14)の動作の予め設定された最適な温度の範囲内とし、前記予め設定された最適な温度の範囲が30℃〜50℃である、ステップと、
前記解凍システム(12)を制御し、前記第1の熱交換器(8)を熱的に浄化するために、前記第1の熱交換器(8)の温度を、予め設定された浄化温度の範囲内とし、前記予め設定された浄化温度の範囲が60℃〜80℃である、ステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の熱交換器(8)を加熱すべく、前記解凍システム(12)を制御し、前記第1の熱交換器(8)の温度、および、前記冷却チャンバ(3)の温度を、それぞれ同時に、予め設定された浄化温度の範囲内、および、前記予め設定された最適な温度の範囲内とするステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却チャンバ(3)の内部の温度を計測するステップと、
計測された温度が、前記予め設定された最適な温度の範囲内に収まった場合に、紫外線を発生させるべく、前記UV源(14)をスイッチオンするステップと、を備える、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラストチラー装置、およびブラストチラー装置を浄化するための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、冷蔵すべき食物を貯蔵するように構成された冷却チャンバを備え、冷却チャンバ内に配置された食物を迅速に冷却および/または冷凍するように構成されたブラストチラーに関する。ここで、以下の説明は、如何なる一般性も失うことを意味することなく、単に一例として、本ブラストチラー装置および方法に対して言及する。
【背景技術】
【0003】
以下の「浄化する」という語句に関しては、概して、チラー装置の冷却チャンバの清浄度を改善し、衛生の保全を補助する要素を意味していることを理解されたい。詳細には、本稿で用いられる「浄化する」または「浄化」という語句は、対象物を、(特に、微生物のような生体の形態としての)汚染物から開放することを意味している。
【0004】
公知のように、対象物を「浄化する」(すなわち、菌、酵母菌、バクテリア胞子、および/または類似のものを排除する)ための最も効率的な方法は、これら微生物を、例えば、現在市場で利用可能なUV源/UVランプによって発生され得る紫外線の作用に曝すことにある。
【0005】
浄化エージェントとして使用されている、より一般的なタイプのUVランプの1つは、低圧水銀ランプである。低圧水銀ランプは、一般的に、他のタイプのUV光源と比べて必要電力が低い上、比較的に高いUV出力をもたらす点において、コスト効率がよい。
【0006】
上述の利点を考慮して、UV水銀ランプは、ブラストチラー装置の冷却チャンバを浄化するのに効果的であることが示されてきた。
【0007】
しかしながら、UV水銀ランプの最適な動作温度より大幅に低い低温度に起因して、冷却チャンバ内で動作するUV水銀ランプの性能劣化が生じてしまう。
【0008】
事実の問題として、UV水銀ランプは、公知であるように、水銀ランプの最適な動作温度の範囲外となる冷却/冷凍温度においては、適切に機能することが不可能である。
【0009】
UV水銀ランプの適切な性能を維持しつつ、浄化サイクルを実行するために、上述のブラストチラー装置において、チラーの休止期間の間に、チャンバ内の温度を上昇させるべく、冷却チャンバの扉を開放する必要がある。これにより、冷却チャンバの内部の温度が、環境温度に相当する外部温度に達することになる。
【0010】
冷却チャンバの内部の温度が環境温度(すなわち、15℃)に達したとき、UVランプによる浄化サイクルが開始する。このような条件で調整された冷却チャンバ内部の温度によって、UV水銀ランプの動作性能が若干改善される。
【0011】
しかしながら、環境温度は、通常、最適な動作温度範囲よりも低いので、UV水銀ランプは、低効率で動作することになり、これにより、浄化性能の部分的な低下を引き起こしてしまう。
【0012】
さらに、浄化動作は、実行するのに長い時間を必要とする。何故ならば、チラーの扉を開放した後、冷却チャンバ内部の温度が環境温度に達するのを待つ必要があるからである。
【0013】
また、上述のブラストチラー装置は、典型的には、冷却回路を備えており、該冷却回路は、蒸発器を有する。この蒸発器は、冷却チャンバの内部に配置され、迅速に冷却回路を冷却/冷凍するように構成されている。
【0014】
しかしながら、蒸発器は、外側カバー手段によってシールドされている冷却面の部分を提供し、これにより、該冷却面の部分は、紫外線の照射を受けることはない。このことが、結果として蒸発器のシールドされた表面上に残留した微生物の、不完全な浄化に繋がり、食物の保全性に影響を与えてしまう。
【0015】
米国特許出願公開第2005/0178984号公報は、熱制御紫外線光装置を開示している。この装置は、紫外線光源と、カバーと、加熱または冷却要素を備える。加熱または冷却要素は、紫外線光源とカバーとの間の空間を加熱/冷却する。
【0016】
米国特許出願公開第2005/0178984号公報に開示された紫外線光装置は、該装置が使用の間に曝される温度に関わらず、紫外線光源の出力を最適化するように構成されている。しかしながら、この装置は、高価且つ複雑であるとともに、蒸発器のシールドされた表面上に存在する微生物に紫外線を照射することが不可能である。
【0017】
米国特許第6237250号公報は、冷蔵表示ケースを開示している。この冷蔵表示ケースは、物品プラットフォームと、該物品プラットフォームの上方に配置された物品空間と、物品プラットフォームの下方に配置され、表示ケースタブによって区切られているタブスペースと、ブロワーと、蒸発装置と、UV殺菌チューブとを備える。蒸発装置は、UV殺菌チューブの効率的範囲内に配置されている。このUV殺菌チューブは、解凍の間に蒸発装置を収容する。なお、解凍は、高温ガス解凍装置の補助によって実行される。比較的に短い解凍フェーズの間に、物品の温度は、それほど大きくは変動しない(すなわち、0.5℃〜1℃)。
【0018】
米国特許第6237250号公報に開示された冷蔵表示ケースは、蒸発器のすべての表面を完全に浄化することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以下の特定の目標を達成するために、出願人によって、徹底的な調査が行われてきた。すなわち、
−浄化時間を短縮させる。
−UV光源(特に、UV水銀ランプ)の高い性能を保証する。
−通常はブラストチラー装置によって実行される動作フェーズの間に、閉鎖された冷却チャンバの浄化を実行する。これにより、システムを簡略化する。
−蒸発器の全ての表面を完全に浄化する。
したがって、本発明の目的は、上述の目標を達成するように構成された手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明によれば、以下の構成を備えるブラストチラー装置が提供される。ブラストチラー装置は、冷蔵/冷凍すべき食物を収容するために構成された冷却チャンバと、冷却チャンバを迅速に冷却/冷凍するように構成された、少なくとも1つの第1の熱交換器を有する冷却回路と、冷却チャンバを浄化するように構成された浄化システムとを備える。ここで、浄化システムは、上記少なくとも1つの第1の熱交換器を解凍するように構成された解凍システムと、冷却チャンバの内部空間を紫外線によって照射するように構成された、少なくとも1つのUV源と、第1の熱交換器を加熱すべく、解凍システムを制御するように構成され、冷却チャンバの温度を、予め設定された、UV源の最適な動作温度の範囲内とする、制御システムとを有する。
【0021】
好ましくは、UV源は、Cタイプの紫外線を発生するように構成されたUV−C水銀ランプを含む。
【0022】
好ましくは、制御システムは、さらに、解凍システムを制御するように構成され、第1の熱交換器を熱的に浄化するために、第1の熱交換器の温度を、予め設定された浄化温度の範囲内とする。
【0023】
好ましくは、制御システムは、第1の熱交換器を加熱すべく、解凍システムを制御するように構成され、第1の熱交換器の温度、および、冷却チャンバの温度を、それぞれ同時に、予め設定された浄化温度の範囲内、および、予め設定された最適な温度の範囲内とする(または、範囲内に維持する)。
【0024】
好ましくは、制御システムは、冷却チャンバの内部の温度を計測するように構成された温度検知手段を少なくとも1つ有し、計測された温度が、予め設定された最適な温度の範囲内に収まった場合に、性が機先を発生させるべく、UV源をスイッチオンするように構成される。
【0025】
好ましくは、予め設定された最適な温度の範囲は、約30℃〜50℃である。
【0026】
好ましくは、予め設定された浄化温度の範囲は、約50℃〜80℃であり、さらに好ましくは、約60℃〜80℃である。
【0027】
好ましくは、冷却回路は、可逆サイクル式のヒートポンプ組立体を有し、該ヒートポンプ組立体は、第1の熱交換器を含み、冷却チャンバを迅速に冷却/冷凍すべく、順方向の熱サイクルを実行し、または、代替的に、第1の熱交換器を加熱すべく、第1の熱交換器を加熱するために、逆方向の熱サイクルを実行する。逆方向の熱サイクルの間に、可逆サイクル式のヒートポンプ組立体は、上記解凍システムとなる。
【0028】
好ましくは、冷却回路は、ヒートポンプ組立体を有し、該ヒートポンプ組立体は、冷媒圧縮手段と、冷媒圧縮手段の冷媒出口と、第1の熱交換器の冷媒入口との間に挿入されるバイパスチャネル、および、バイパスチャネルに沿って配置され、命令に基づいて、冷媒圧縮手段の冷媒出口と、第1の熱交換器の冷媒入口とを連結するためのバルブ手段を含む冷凍システムとを有する。制御システムは、第1の熱交換器を解凍すべく、バルブ手段を制御するように構成される。
【0029】
好ましくは、解凍システムは、第1の熱交換器と関連付けられた電気加熱手段を有し、制御システムは、第1の熱交換器を解凍すべく、電気加熱手段を制御するように構成される。
【0030】
本発明によれば、冷蔵/冷凍すべき食物を収容するために構成された冷却チャンバと、冷却チャンバを迅速に冷却/冷凍するように構成された、少なくとも1つの第1の熱交換器を有する冷却回路と、少なくとも1つの第1の熱交換器を解凍するように構成された解凍システムと、冷却チャンバの内部空間を紫外線によって照射するように構成された、少なくとも1つのUV源とを備えるブラストチラー装置を浄化するための方法が提供される。本方法は、第1の熱交換器を加熱すべく、解凍システムを制御し、冷却チャンバの温度を、予め設定された、UV源の最適な動作温度の範囲内とするステップを備える。
【0031】
好ましくは、本方法は、解凍システムを制御し、第1の熱交換器を熱的に浄化するために、第1の熱交換器の温度を、予め設定された浄化温度の範囲内とするステップを備える。
【0032】
好ましくは、本方法は、第1の熱交換器を加熱すべく、解凍システムを制御し、第1の熱交換器の温度、および、冷却チャンバの温度を、それぞれ同時に、予め設定された浄化温度の範囲内、および、予め設定された最適な温度の範囲内とするステップを備える。
【0033】
好ましくは、本方法は、冷却チャンバの内部の温度を計測するステップと、計測された温度が、予め設定された最適な温度の範囲内に収まった場合に、紫外線を発生させるべく、UV源をスイッチオンするステップとを備える。
【0034】
本発明の非限定的な実施形態について、添付の図面を参照し、例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に係るブラストチラー装置の概略的な側方断面図を示す。
【
図2】本発明の第1の異なる実施形態に係るブラストチラー装置の概略的な側方断面図を示す。
【
図3】本発明の第2の異なる実施形態に係るブラストチラー装置の概略的な側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
添付の図面を参照して、参照符号1は、全体として、例えば、業務用または家庭用/ハウスホールド用のブラストチラー装置のような、ブラスト冷蔵/冷凍装置を示す。このブラスト冷蔵/冷凍装置は、食物を貯蔵し、貯蔵された食物を迅速に冷却または冷凍するように、構成されている。
【0037】
以下の「ブラストチラー装置」という語句に関しては、食物(例えば、調理された食物)の温度を、約+90℃/60℃から約+3℃に、短時間で変化させるように構成された、業務用または家庭用のブラストチラーを意味することを理解されたい。または、以下の「ブラストチラー装置」という語句に関しては、食物の温度を、約+90℃/60℃から約−18℃に、短時間で変化させるように構成された、業務用または家庭用のブラスト冷凍チラーを意味することを理解されたい。
【0038】
図1を参照して、ブラストチラー1は、好ましくは(必須でなないが)、外側ケース2と、冷却チャンバ3と、窓付き扉5とを備える。外側ケース2は、平行6面体のボックス状の形状を有し、床の上に載置するように構成されている。冷却チャンバ3は、冷却すべき食物を内部に収容するように構成され、外側ケース2の内部に配置されている。また、冷却チャンバ3は、アクセス開口4に直接的に面している。アクセス開口4は、好ましくは(必須でなないが)、ケース2の前壁部に設けられている。窓付き扉5は、好ましくは(必須でなないが)、垂直方向に延びる基準軸の周りに、閉鎖位置に向かって(または閉鎖位置から)回転するように、ケース2の前壁部に枢着されている。なお、閉鎖位置において、扉4は、アクセス開口4を閉鎖するように、前壁部に対して完全に当接する。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によれば、ブラストチラー装置1は、ヒートポンプタイプの冷却回路6も備えている。冷却回路6は、外側ケース2内に配置されており、冷却チャンバ3を迅速に冷却/冷凍するように構成されている。
【0040】
好ましくは、ヒートポンプタイプの冷却回路6は、ヒートポンプ組立体7を有する。このヒートポンプ組立体7は、
−第1の熱交換器8と、
−第2の熱交換器9と、
−電動式の冷媒圧縮装置10と、
−膨張バルブ11(または、類似の受動的/動作的な冷媒膨張装置(例えば、毛細管、恒温バルブ、または電気制御式の膨張バルブ))とを含む。
【0041】
第1の熱交換器8は、少なくとも部分的に、冷却チャンバ3の内部に配置される。また、第1の熱交換器8は、以下のように構成される。すなわち、冷却チャンバ3内に配置された食物を迅速に冷却するために、冷媒流体が、冷却チャンバ3の内部に存在する空気から熱を吸収する。
【0042】
第2の熱交換器9は、冷却チャンバ3の外部に、ヒートポンプ組立体7の循環冷媒回路に沿って、配置される。また、第2の熱交換器9は、冷媒によって吸収された熱を、冷却チャンバ3内に放出するように構成される。
【0043】
冷媒圧縮装置10は、第1の熱交換器8の冷媒出口と、第2の熱交換器9の冷媒入口との間に挿入される。冷媒圧縮装置10は、第2の熱交換器9に向かう気体状態の冷媒を圧縮するように構成される。これにより、冷媒の圧力および温度は、第2の熱交換器9の冷媒入口において、第1の熱交換器8の冷媒出口よりも、大幅に高くなる。
【0044】
膨張バルブ11は、第2の熱交換器9の冷媒出口と、第1の熱交換器8の冷媒入口との間に挿入される。膨張バルブ11は、第1の熱交換器8に向かう冷媒を、急激に膨張させるように、構成される。これにより、冷媒の圧力および温度は、第2の熱交換器9の冷媒出口において、第1の熱交換器8の冷媒入口よりも、大幅に高くなる。
【0045】
従来は「蒸発器」として言及される、第1の熱交換器8は、以下のように構成される。すなわち、冷媒圧縮装置10に向かう、低圧且つ低温の冷媒が、冷却チャンバ3の内部に存在する空気から、熱を吸収する。これにより、冷却チャンバ3が冷却される。一方、従来は「凝縮器」として言及される、第2の熱交換器9は、以下のように構成される。すなわち、冷媒圧縮装置10の供給部から到達した高温の冷媒が、外環境に熱を放出する。冷媒圧縮装置10は、従来は「圧縮器」として言及され、その機能は、上記から明らかである。
【0046】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヒートポンプ組立体7は、順方向の熱サイクルに基づく第1の動作状態、または、逆方向の熱サイクルに基づく第2の動作状態にて動作するように構成された「可逆サイクル式ヒートポンプ」組立体であってもよい。ここで、第1の動作状態においては、第1の熱交換器8は、冷却チャンバ3を冷却するために「蒸発器」として動作するとともに、第2の熱交換器9は、吸収された熱を放出するために「凝縮器」として動作する。一方、第2の動作状態においては、第1の熱交換器8は、該第1の熱交換器8を解凍すべく、第1の熱交換器8の冷却面8aに冷媒の熱を放出するために「凝縮器」として動作するとともに、第2の熱交換器9は、「蒸発器」として動作する。
【0047】
図1によれば、ブラストチラー装置は、浄化システム13をさらに備える。浄化システム13は、冷却チャンバ3、および/または蒸発器の表面8aを浄化するように構成される。なお、蒸発器の表面8aは、冷却チャンバ3の内部空間に面している。
【0048】
浄化システム13は、第1の熱交換器8を解凍するように構成された解凍システム12と、少なくとも1つのUV源14とを有する。UV源14は、好ましくは(必須でなないが)、冷却チャンバ3の内部に配置され、冷却チャンバ3の内面に向かって紫外線を発生させるように、構成される。これにより、冷却チャンバ3の内面は、微生物を死滅および/または不活性化させるように、浄化される。
【0049】
図1に示す実施形態を参照して、解凍システム12は、第2の動作状態(すなわち、逆方向の熱サイクル)で動作するヒートポンプ組立体7によって定義され、冷却チャンバ3の内部空間に面する、第1の熱交換器8の冷却表面8aを解凍するように、構成される。
【0050】
UV源14は、好ましくは、Cタイプの紫外線を発生するように構成されたUV−C水銀ランプを含む。
【0051】
本発明によれば、浄化システム13は、電気制御システム15をさらに備える。電気制御システム15は、冷却チャンバ3の内部の温度を、予め設定された、UV源14の最適な動作温度の範囲内とするために、第1の熱交換器8を加熱すべく、解凍システム12を制御するように、構成される。
【0052】
さらに、電気制御システム15は、好ましくは、第1の熱交換器8を熱的に浄化するために、第1の熱交換器8の温度を、予め設定された浄化温度の範囲内とするように、解凍システム12を制御すべく、構成される。
【0053】
詳細には、電気制御システム15は、第1の熱交換器8を解凍し、解凍フェーズの間に、チャンバ3の内部温度を、予め設定された第1の温度に達するまで上昇させるように、解凍システム12を制御すべく、構成される。なお、上記第1の温度は、予め設定された、UV源14の最適動作温度の範囲と関連付けられる。また、電気制御システム15は、好ましくは、解凍フェーズの間に、第1の熱交換器8の温度(特に、その表面8aの温度)を、予め設定された浄化温度に含まれる、予め設定された第2の温度に達するまで上昇させるように、構成される。さらに、電気制御システム15は、予め設定された第1の温度および/または第2の温度に達したときに、紫外線を発生させるべく、UV源14をスイッチオンするように、構成される。
【0054】
好ましくは、電気制御システム15は、冷却チャンバ3の内部の温度を計測するように構成された温度検知/計測装置16、および/または、第1の熱交換器8の表面8aの温度を計測するように構成された温度検知/計測装置17を有する。さらに、電気制御システム15は、好ましくは、電気制御ユニット18を有する。電気制御ユニット18は、以下の動作を行うように構成される。すなわち、温度計測装置16および17によって計測された温度を入力にて受信する。そして、ヒートポンプ組立体7を第1の動作状態と第2の動作状態との間で移行させる(具体的には、第1の熱交換器8を解凍すべき場合は、第1の動作状態から第2の動作状態へ移行させる)べく、ヒートポンプ組立体7を操作する。そして、冷却チャンバ3の内部温度が、予め設定された第1の温度まで上昇し、且つ、第1の熱交換器8の冷却表面8aの温度が、予め設定された第2の温度まで上昇するように、解凍フェーズの間に、計測された温度に基づいて、ヒートポンプ組立体7を制御する。そして、最後に、予め設定された第1の温度および/または第2の温度に達したときに、UV源14をスイッチオンする。
【0055】
予め設定された第1の温度は、予め設定された、UV源14の最適温度の範囲内に収まる。この最適温度範囲は、約30℃〜50℃である。適切な、予め設定された第1の温度は、例えば、約40℃である。
【0056】
予め設定された浄化温度の範囲と関連付けられた、予め設定された第2の温度は、好ましくは、約50℃〜80℃であり、より好ましくは、約60℃〜80℃である。適切な、予め設定された第2の温度は、例えば、約70℃である。
【0057】
図2に示されている、本発明の異なる実施形態によれば、ヒートポンプ組立体7は、バイパスチャネル19と、電子バルブ20とを有する。バイパスチャネル19は、冷媒圧縮装置10の冷媒出口を、第1の熱交換器8の冷媒入口に連結する。電子バルブ20は、特には2ウェイバルブであって、バイパスチャネル19に沿って配置され、命令に応じて、閉鎖状態と開放状態との間で動作する。ここで、電子バルブ20の閉鎖状態においては、電子バルブ20は、ヒートポンプ組立体7を上述した第1の動作状態で動作するように、バイパスチャネル19を閉鎖する。一方、電子バルブ20の開放状態においては、電子バルブ20は、冷媒圧縮装置10の冷媒出口と、第1の熱交換器8の冷媒入口とを連結し、これにより、第1の熱交換器8は、冷媒圧縮装置10によって圧縮された、加熱された冷媒を受け取って、解凍されることになる。
【0058】
より具体的には、加熱された冷媒は、第1の熱交換器8の表面8aを解凍させる。その結果、第1の熱交換器8、冷媒圧縮装置10、第1の熱交換器8の冷媒出口と、冷媒圧縮装置10の冷媒入口とを連結する冷媒チャネル、バイパスチャネル19、および、電子バルブ20は、解凍システム12を定義することとなる。
【0059】
図2に示す実施形態によれば、電気制御ユニット18は、制御信号を、電子バルブ20と膨張バルブ11とに提供するように構成される。第1の熱交換機8を解凍すべき場合、電気制御ユニット18は、膨張バルブ11を閉鎖するとともに、電子バルブ20を開放すべく、制御信号を送信する。電子バルブ20を開放することによって、圧縮装置10の冷媒出口は、第1の熱交換器8の冷媒入口に連結される。これにより、第1の熱交換器8の解凍(すなわち、蒸発器の解凍)が、開始される。電気制御ユニット18は、解凍フェーズの間に、チャンバ3の内部温度を、予め設定された第1の温度まで上昇させ、且つ、好ましくは、表面8aの温度を、予め設定された第2の温度まで上昇させるべく、冷媒圧縮装置10を制御するように、構成される。
【0060】
図3に示す、本発明の異なる実施形態によれば、解凍システム12は、加熱手段21を有する。加熱要素21は、蒸発器の表面8aを迅速に解凍すべく、該蒸発器の表面8aを加熱するように、構成される。
【0061】
好ましくは、加熱手段21は、第1の熱交換器8を解凍するために、該第1の熱交換器8に一体的に組み込まれ、連結され、または、近接配置された、少なくとも1つの電子コンポーネント(すなわち、抵抗、またはその類似部材)を含む。
【0062】
しかしながら、加熱手段21は、蒸発器の表面8aを解凍すべく、該蒸発器の表面8aに熱を放出可能な、如何なる公知のシステムを有してもよい。
【0063】
図3の実施形態においては、電気制御ユニット18は、ヒートプンプ組立体7、加熱手段21、およびUV源14の動作を制御するように、構成される。
【0064】
特に、冷却チャンバ3を浄化するために、電気制御ユニット18は、ヒートプンプ組立体7をスイッチオフし、解凍を開始し、解凍フェーズの間に、加熱手段21を制御すべく、加熱手段21をスイッチオンするように、構成される。ここで、加熱手段21は、計測された温度に基づいて、(例えば、電流制御、電圧制御、または電力制御を実行することによって)冷却チャンバ3の内部温度を、予め設定された第1の温度まで上昇させ、且つ、好ましくは、蒸発器表面8aの表面温度を、予め設定された第2の温度まで上昇させるように、制御される。また、電気制御ユニット18は、第1の温度および第2の温度に達した場合に、紫外線を発生させるべく、UV源14をスイッチオンするように、構成される。
【0065】
加熱手段21を利用した、
図3による解凍技術は、
図1および
図2による技術のうちの1つと組み合わせて用いてもよい。
【0066】
本発明に係るブラストチラー装置は、以下に示す主要な利点を有する。すなわち、
−浄化時間を短縮させることができる。事実として、解凍フェーズの間に、浄化が行われる。
−UV光源の高い性能を保証することができる。何故ならば、UV光源は、水銀ランプの最適な動作温度の範囲内で動作するからである。
−実行するのに簡単である。
−蒸発器の全ての表面を完全に浄化することができる。事実として、蒸発器の表面は、熱的な浄化処理に供されることになる。
【0067】
明らかに、本発明の範囲を逸脱することなく、本稿にて説明し、且つ図示したブラストチラー装置および方法に対して、変更を加えることが可能である。