特許第6139915号(P6139915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6139915喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139915
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/02 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A24D3/02
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-41557(P2013-41557)
(22)【出願日】2013年3月4日
(65)【公開番号】特開2013-183738(P2013-183738A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2016年2月15日
(31)【優先権主張番号】BO2012A 000106
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512224442
【氏名又は名称】モントラーデ エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】アントネッラ・ジャンニーニ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト・モンツォーニ
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03377220(US,A)
【文献】 西独国特許出願公告第01296066(DE,B)
【文献】 特表2001−524173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1安定化部分(29)及び第2乾燥部分(30)を備えた形成ビーム(12)の形成チャネル(36)に沿って延在する多孔質の搬送手段(22)上に、硬化材料が染み込んだろ過材料からなるトウバンド(11)を送る工程と、
前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を前記形成チャネル(36)に沿って前進させる工程と、
前記硬化材料を反応させるために、前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)が前記第1安定化部分(29)に沿って前進するときに、前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を通して蒸気を吹き付ける工程と、
剛性を有する連続的なペーパーレスフィルターロッド(5)を得るために、蒸気によってすでに濡らされた前記トウバンド(11)を乾燥させるために、前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)が前記第2乾燥部分(30)に沿って前進するときに前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を通して空気を吹き付ける工程と、
前記剛性を有する連続的なペーパーレスフィルターロッド(5)を、所定長さのフィルターセグメントとなるように横に切断するために、前記形成ビーム(12)から出た前剛性を有する連続的なペーパーレスフィルターロッド(5)を切断手段(6)に送る工程と、
を備える、喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造する方法において、
− 蒸気を吹き付ける工程は、前記第1安定化部分(29)に沿って直列に配置された複数の安定化ステーション(45)で行われ、
− それぞれの安定化ステーション(45)では、蒸気が、前記形成チャネル(36)を取り囲み且つ環状ノズル(61+62)を通じて前記形成チャネル(36)と連通する蓄積チャンバ(46+47)内に送られ、前記環状ノズル(61+62)は、横断面で前記形成チャネル(36)へ延在し、且つ前記形成チャネル(36)の軸線(A)に沿って測定されると0.3mmから0.9mmの一定の幅を有しており、
前記蓄積チャンバ(46+47)は、喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドの製造中に互いに連通する第1蒸気チャンバ(46)及び第2蒸気チャンバ(47)によって規定され、
前記第1蒸気チャンバ(46)及び前記第2蒸気チャンバ(47)は、全体として前記環状ノズル(61+62)を画定する第1半環状スリット(61)及び第2半環状スリット(62)それぞれを通じて前記形成チャネル(36)と連通し、
蒸気は、前記第1半環状スリット(61)及び前記第2半環状スリット(62)それぞれを通じて前記形成チャネル(36)内に送られることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記環状ノズル(61+62)の幅は、0.7mmであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
蒸気は、前記蓄積チャンバ(46+47)へ送られる蒸気流の制御バルブ(56)を通じて前記蓄積チャンバ(46+47)へ送られることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1蒸気チャンバ(46)及び前記第2蒸気チャンバ(47)は、前記形成チャネル(36)の外部で前記形成ビーム(12)を通って形成されたダクト(49)を通じて互いに連通していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を通る空気を吹き付ける工程は、前記第2乾燥部分(30)に沿って直列に配置された少なくとも2つの乾燥ステーション(65)で行われ、
それぞれの乾燥ステーション(65)では、空気が、前記形成チャネル(36)内に送られ、その後、吸引手段(73)を介して前記形成チャネル(36)から取り除くように吸い込まれることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
連続的な管状ロッド(5)を得るために、前記トウバンド(11)に沿って連続的な軸方向の穴をさらに形成し、前記穴は、前記第1安定化部分(29)に沿って所定長さ延在するマンドレル(75)の周囲の前記形成チャネル(36)に入る前記トウバンド(11)を変形することによって形成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1安定化部分(29)及び第2乾燥部分(30)を備え且つ入口(35)と出口(39)との間で軸線(A)に沿って延在する形成チャネル(36)を有する形成ビーム(12)と、
前記形成チャネル(36)に沿って延在し、前記軸線(A)と平行な所定方向(7)に前記形成チャネル(36)に沿って移動するよう駆動される多孔質の搬送手段(22)と、
硬化材料が染み込んだろ過材料のトウバンド(11)を、前記搬送手段(22)上に且つ前記入口(35)の上流で送るトウバンド送り手段(10)と、
前記硬化材料を反応させるために、前記第1安定化部分(29)に沿って配置され、前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を通して蒸気を注入するための安定化手段(45)と、
蒸気によってすでに濡らされた前記トウバンド(11)を乾燥させ、剛性を有する連続的なペーパーレスフィルターロッド(5)を得るために、前記搬送手段(22)及び前記トウバンド(11)を通して空気を吹き付けるための前記第2乾燥部分(30)に沿って配置された乾燥手段(65)と、
前記剛性を有する連続的なペーパーレスフィルターロッド(5)を横切断して所定長さの複数のフィルターセグメントとするために、前記送り方向(7)において前記出口(39)の下流に配置された切断装置(6)と、
を備える、喫煙具用ペーパーレスフィルターを製造する装置において、
前記安定化手段(45)は、前記第1安定化部分(29)に沿って直列に配置された少なくとも2つの安定化ステーション(45)を備え、
それぞれの安定化ステーション(45)は、前記形成チャネル(36)を取り囲む蓄積チャンバ(46+47)と、蒸気を前記蓄積チャンバ(46+47)へ送る蒸気送り手段(55,56)と、前記蓄積チャンバ(46+47)を前記形成チャネル(36)に連通させる環状ノズル(61+62)と、を備え、前記環状ノズル(61+62)は、前記形成チャネル(36)と交差して延在する平面に配置され且つ前記軸線(A)に沿って測定すると0.3mmから0.9mmの一定の幅を有しており、
前記蓄積チャンバ(46+47)は、喫煙具用ペーパーレスフィルターを製造する装置の使用中に互いに連通する第1チャンバ(46)及び第2チャンバ(47)を備え、前記第1チャンバ(46)及び前記第2チャンバ(47)は、全体として前記環状ノズル(61+62)を画定する第1半環状スリット(61)及び第2半環状スリット(62)それぞれを通じて前記形成チャネル(36)と連通し、蒸気は、前記第1半環状スリット(61)及び前記第2半環状スリット(62)それぞれを通じて前記形成チャネル(36)内に送られることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記環状ノズル(61+62)の幅は、0.7mmであることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
それぞれの安定化ステーション(45)は、前記蓄積チャンバ(46+47)へ送られる蒸気流のための制御バルブ(56)を備えていることを特徴とする請求項またはに記載の装置。
【請求項10】
前記第1チャンバ(46)及び前記第2チャンバ(47)は、前記形成チャネル(36)の外部で前記形成ビーム(12)を通って形成されたダクト(49)を通じて互いに連通していることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記乾燥手段(65)は、前記第2乾燥部分(30)に沿って直列に配置された少なくとも2つの乾燥ステーション(65)を備え、それぞれの乾燥ステーション(65)は、空気を前記形成チャネル(36)内に送るための空気送り手段(71)と、空気を前記形成チャネル(36)から吸い込むため空気吸引手段(73)と、を備え、前記空気送り手段(71)及び前記空気吸引手段(73)は、前記形成チャネル(36)の両側に配置されていることを特徴とする請求項7から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記形成ビーム(12)は、前記軸線(A)に沿って延在する第1溝(38)を有する下部プレート(25)と、前記第1溝(38)に沿って前記下部プレート(25)を覆って配置され、前記下部プレート(25)に流体密封するように固定され、且つ前記下部プレート(25)と向かい合う側面に、前記軸線(A)に沿って延在し且つ前記第1溝(38)と共に前記形成チャネル(36)を画定する第2溝(43)を有するカバー手段(27,28)と、を備えることを特徴とする請求項から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
それぞれの安定化ステーション(45)では、前記第1チャンバ(46)は前記下部プレート(25)に形成され、前記第2チャンバ(47)は前記カバー手段(27)に形成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記形成ビーム(12)に入る前記トウバンド(11)に沿って軸方向の穴を達成する内部形成手段(75)を備え、該内部形成手段(75)は、マンドレルロッド(75)を備え、該マンドレルロッド(75)の端部は、前記入口(35)を通じて且つ前記第1安定化部分(29)の所定長さに沿って前記軸線(A)と同軸的に延在していることを特徴とする請求項から13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ産業において、ろ過材料、通常セルロースアセテートからなる連続的なテープを用いてペーパーレスフィルターロッドを形成することが公知である。このテープは、含浸ステーションを通って連続的に送られる。このステーションでは、テープは、硬化物質、通常トリアセチンで含浸され、その後、吹き込み空気を用いて全体として円筒状のトウバンド (tow band) に変形される。このトウバンドは、第1部分、この場合では安定化部分(stabilization portion)と、第2部分、この場合では乾燥部分(drying portion)と、を備えた形成ビーム(forming beam)のチャネルを通って長手方向に沿って前進させられる。第1部分に沿って、トウバンド内の硬化物質は、吹き込み蒸気、通常水蒸気(water steam)を用いて反応させられる一方で、第2部分に沿って、蒸気によってすでに濡らされたトウバンドは、乾燥され、これにより、所定の不変断面及び比較的高い軸方向の剛性を有する連続的なロッドの形態で形成ビームから出る。
【0003】
その後、この連続的なロッドは、所定長さのフィルターセグメントに切断されるために、再び連続的な動作で切断ステーションへ送られる。
【0004】
形成ビームの長手方向のチャネルに沿ってトウバンドを前進させることは、通常、蒸気が浸透する多孔質のコンベヤーベルトからなり且つ形成ビームの長手方向のチャネルに沿って延在した搬送延出部(transport stretch)を備えるループ状コンベヤーを用いて行われる。長手方向のチャネルは、コンベヤーベルトに作用するために形成された可変断面を有し、これにより、コンベヤーベルトを交差するように変形させ、且つトウバンドの周囲に巻き付けられる管状構造にして、トウバンドの周囲に比較的剛性を有する保護部を規定する。この保護部は、一方では、蒸気を透過させることができ、他方では、トウバンドの周囲を締め付け、これにより、トウバンドに所定の断面形状を与え、且つトウバンドとコンベヤーベルトとの間の軸方向の引き込み結合を保証する。
【0005】
引き換えに、形成ビーム及び上述したコンベヤーベルトからの下流に、新たに形成された連続的なロッドが押して前進されており、この種の前進は、上述したように、連続的なロッドが軸方向に剛性を有するという事実によってのみ可能となる。
【0006】
完全に安定化され且つ乾燥されて形成ビームから出る連続的なロッドが剛性を有するという要求は、ペーパーレスフィルターロッドを形成するためにこれまで使用されてきた方法に大いに影響し、上述したトウバンドが形成ビームの長手方向のチャネルに入るとすぐに、トウバンドが比較的高い水の流量及び含有量と比較的低速とで過飽和された蒸気流によって径方向に叩かれ、乾燥部分が比較的長く且つループ状コンベヤーの前進速度が比較的遅い装置を製造させてきた。
【0007】
形成ビームの長さ及びループ状コンベヤーの減少された前進速度は、トウバンドにおけるそれぞれの断面が、どんな場合でも、まず毛細管現象により蒸気をトウバンドのコアに到達させ、そして、全硬化物質を反応させ、さらに、トウバンドが乾燥部分に沿って進むときにトウバンドを完全に乾燥させるのに十分な比較的長い時間、形成ビーム内にあるままにすることを可能にする。
【0008】
最後に、これまでに公知な方法を使用することは、良好な品質のペーパーレスフィルターロッドが得られることを可能にしたが、生産速度は比較的低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、製品の品質に悪影響を及ぼすことなく蒸気流の水分量を著しく減少させ且つ生産速度を著しく上げることができる、喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、方法は、請求項1及び好ましくは請求項1に直接的または間接的に従属する一連の請求項のいずれか1つに記載の喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造するために提供される。
【0011】
本発明によれば、同様に、装置は、請求項8及び好ましくは請求項8に直接的または間接的に従属する一連の請求項のいずれか1つに記載の喫煙具用ペーパーレスフィルターロッドを製造するために提供される。
【0012】
本発明を、その非限定的であり例示的な実施形態を示す添付の図面を参照してこれから説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】分かりやすくするためにいくつかの部材を取り除いた、本発明の装置における好ましい一実施形態の側面図を示す。
図2】分かりやすくするためにいくつかの部材を取り除き且つ拡大したスケールでの、図1における第1細部の軸方向の断面を示す。
図3】分かりやすくするためにいくつかの部材を取り除いた、図1における第2細部の斜視図である。
図4】拡大したスケールでの図1におけるさらなる細部の斜視図を示す。
図5図4における細部の平面図である。
図6図1における線VI−VIによる断面図である。
図7図1における線VII−VIIによる断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、符号1は、ペーパーレスフィルターロッド(図示せず)を製造するための装置を全体として示している。
【0015】
装置1は、硬化液、通常トリアセチンに浸されたろ過材料、通常セルロースアセテートからなるテープ3を製造するように構成された公知な型の入口ユニット2と、入口ユニット2と直列に配置され、テープ3を軸方向に剛性を持った連続的なペーパーレスフィルターロッド5に変形するためにテープ3を受け且つ硬化材料を反応させるように構成されたロッド形成ユニット4と、通常、公知な型の回転切断ヘッドである切断装置6であって、テープ3及びロッド5の送り方向7においてロッド形成ユニット4の下流に配置され、ロッド5をペーパーレスフィルターセグメント(図示せず)となるように横に切断するように構成された、切断装置6と、を備えている。
【0016】
ロッド形成ユニット4は、頂部を、平坦で且つほぼ水平なパネル9によって規定されたベース8を備えている。パネル9は、硬化材料が染み込んだテープ3を受けるように構成された公知な型の空圧式入口装置10を支持し、これにより、テープ3を交差するように成形して、テープ3を全体として湿った円筒状のトウバンド11に変形させ、且つ送り方向7においてトウバンド11を前進させる。また、パネル9は、送り方向7において空圧式装置10と整列された形成ビーム12を支持しており、これにより、トウバンド11を受け、トウバンド11を連続的なロッド5に変形させる。
【0017】
図2によりよく示すように、公知な型の空圧式入口装置10は、例えばラバルノズル (de Laval nozzle) のような内部形状であり且つ中間部分14を有する傾斜ダクト13を備えている。この中間部分14は、ブラケット15によりパネル9の上で動けなくされており、環状空圧式分配器16を貫通して延在している。環状空圧式分配器16は、圧縮空気流を供給するための回路の出口端17を構成しており、この圧縮空気流は、中間部分14を貫通して設けられた複数の傾斜穴18を通ってダクト13内に入る。穴18から入った空気流は、テープ3を送り方向7において前方に且つ形成ビーム12に向かって押すことと、テープ3にほぼ円筒形状を与えてテープ3をトウバンド11に変えるためにテープ3を膨張させることと、の2つの目的を果たす。
【0018】
最後に、空圧式装置10は、ダクト13の出口端に接続され且つ穴18を通って送られた空気を解放するための側孔が設けられた漏斗部19を備えている。また、漏斗部19には、形成ビーム12と向かい合う頂点開口部20が設けられており、漏斗部19は、蒸気に対して透過性のある多孔質材料から製造された閉鎖ループ状コンベヤーベルト22の搬送延出部21の入口部分上にある。
【0019】
図1によりよく示すように、搬送延出部21は、空圧式入口装置10の下方のベース8に取り付けられた第1プーリーと、切断装置6の上流でベース8に取り付けられた第2プーリーと、の間を形成ビーム12を通って延在しており、コンベヤーベルト22は、復帰延出部23を備えている。復帰延出部23は、コンベヤーベルト22を作動するように構成された被駆動プーリー24の周囲に巻き付き、このため、使用するときには、搬送延出部21が送り方向7において調節可能な速度で継続的に前進する。
【0020】
図1に示すように、形成ビーム12は、パネル9によって支持され、且つねじ26(図3)を用いて且つ2つのカバー27及び28によってパネル9に固定された下部プレート25によって画定されている。これらカバー27及び28は、プレート25の上方で送り方向7において直列に配置され、プレート25と共に、形成ビーム12における安定化部分29及び乾燥部分30それぞれを画定している。
【0021】
図3に示すように、下部プレート25には、テーパ状チャネル32を画定するために、カバー27に対して空圧式入口装置10と向かい合う部分から2つの突出部31が突出している。テーパ状チャネル32は、コンベヤーベルト22のガイドスコップ(guide scoop)33を収容するためのスペースを提供し、且つ突出部31によって保持される2つの両顎部34と共に入口ステーション35を画定する。この入口ステーション35では、コンベヤーベルト22が交差方向に変形され、これにより、交差方向には平坦であったコンベヤーベルト22は、トウバンド11の周囲に巻き付くことを可能とするように構成された管形状を得て、トウバンド11と結合し、且つトウバンド11と共に、送り方向7と平行な軸線Aを有し且つ下部プレート25とカバー27及び28との間に画成された形成チャネル36(図5及び図6)を横切る。
【0022】
図4及び図5によりよく示すように、下部プレート25の上面37に沿って得られる部分は、ほぼ半円の溝38である(しかしながら、この断面は異なる形状であってもよい)。この溝38は、入口ステーション35と、切断装置6と向かい合うが切断装置6から所定距離離間して配置された出口ステーション39と、の間で送り方向7に延伸し、これにより、コンベヤーベルト22は復帰のためのストレッチが開始する前に平坦状態に再びなる。この点に関して言えば、コンベヤーベルト22は連続的なロッド5から分離し、従って連続的なロッド5を引きずり込むことが防止されるので、出口ステーション39のすぐ下流において形成ビーム12から出た連続的なロッド5が切断ステーション6へ押して送られることに留意すべきである。
【0023】
また、2つのさらなる溝40が上面37に沿って設けられている。溝38の両側に配置されたこれら溝40は、溝38と平行であり、且つカバー27及び28と下部プレート25との間の流体密封結合を保証するように構成されたそれぞれのガスケット41のためのスペースを提供する。
【0024】
図4のみを参照すると、それぞれの溝43は、カバー27及び28のそれぞれの下面42に沿って設けられている。2つの溝43は、送り方向7において互いに整列され、一の溝38の横断面と同様の横断面を有するものであって、カバー27及び28がガスケット41を圧迫するように各ブロック装置44(図1)によって下部プレート25上で動けなくされたときに、溝38と協働して、形成ビーム12における入口ステーション35と出口ステーション39との間に延在する形成チャネル36(図6及び図7)を画定する。
【0025】
図1に示すように、形成ビーム12の安定化部分29は、安定化部分29に沿って区分された一連の安定化ステーション45に分けられている(図示した実施例において合計で8つであるが、これらのうち2つあれば十分である)。
【0026】
図6に示すように、それぞれの安定化ステーション45は、形成チャネル36よりも下方の下部プレート25を貫通して設けられ且つパネル9によって流体密封するように底部を閉鎖された下部チャンバ46と、下部チャンバ46と向かい合う位置にあり形成チャネル36よりも上方のカバー27を貫通して設けられ且つキャップ48によって頂部で閉鎖された上部チャンバ47と、下部チャンバ46及び上部チャンバ47を互いに連通して設置するために形成チャネル36の両側に配置された2つの垂直ダクト49と、を備えている。それぞれのダクト49は、下部プレート25に半分が形成され且つカバー27に半分が形成され、その底部はブラインド型水平ダクト50の内側に開口している。ブラインド型水平ダクト50は、下部プレート25内に設けられ、且つ送り方向7と交差して且つ溝38のすぐ下方の下部チャンバ46を貫通して延在している。それぞれのダクト49は、ブラインド型水平ダクト51の内側に頂部が開口している。ブラインド型水平ダクト51は、カバー27に設けられ、送り方向7と交差して且つ溝43のすぐ上方の上部チャンバ47を貫通して延在し、且つキャップ52によって一端が閉鎖されている。ダクト50の中間部分53が、下部プレート25内に設けられた径方向ダクト54によって、パネル9を貫通して取り付けられた管状蒸気入口嵌合部55と連通している。
【0027】
中間部分53は、内側にねじ山が形成されており、下部チャンバに入る蒸気流のための制御バルブ56のケースを規定している。この制御バルブ56は、中間部分53と同軸であり且つバルブ自体の内側ねじ山部と結合されたねじ付スライダー57を備え、これにより、図6に示し且つダクト50と径方向ダクト54との間の連通を完全に開放させる引出位置と、ダクト50と径方向ダクト54との間の連通を全面閉鎖させる前進位置(図示せず)と、の間でねじ付スライダー57をダクト50に沿って軸方向に移動させる。スライダー57は、ロッド58を用いて外部から制御されてもよい。この場合ロッド58は、ダクト50と同軸であり、ダクト50及び下部プレート25の外部に延在し、かつ、結合部59によって回転可能かつ軸方向にスライド可能に且つプレート25の外部で支持されている。ここで結合部59は、下部プレート25に結合されているとともに半径方向ネジ60が設けられ、これにより、下部プレート25自体に対してロッド58をブロックしている。ロッド58は、手動で作動されるか、または制御バルブ56の開放を自動制御するために(公知な且つ図示しない)動力部を備えていてもよい。
【0028】
図3図4及び図6に示すように、下部チャンバ46は、半環状スリット61と、2つの垂直ダクト49の間で溝38の底部上に且つ送り方向7と交差して設けられた横方向の一定の間隙とにより形成チャネル36と連通している。同様に、上部チャンバ47は、スリット61と同一であり、軸線A及び方向7に対する横断平面上でスリット61と同一平面上にあり、且つ垂直ダクト49間で溝43の底部上に設けられたスリット62により形成チャネル36と連通している。スリット61及び62の幅は、1mmに満たない寸法範囲内であり、0.3mmから0.9mmの間、好ましくは約0.7mmである。
【0029】
図1を参照すると、それぞれの管状入口嵌合部55は、それぞれのダクト63を用いて収集部64に接続されており、収集部64の入口は、(公知な且つ図示しない)蒸気発生ユニットに接続されている。
【0030】
図1に示すように、形成ビーム12の乾燥部分30は、送り方向7に直列に配置された少なくとも2つの乾燥ステーション65を備えている。
【0031】
図7に示すように、それぞれの乾燥ステーション65は、下部チャンバ66と、上部チャンバ67と、複数のダクト69と、を備えている。下部チャンバ66は、形成チャネル36の下方の下部プレート25を貫通して設けられ、形成チャネル36と頂部で連通し且つパネル9によって流体密封されるように底部が閉鎖されている。上部チャンバ67は、キャップ68によって一端が閉鎖され、且つ送り方向7と交差するように下部チャンバ66と向かい合う位置で形成チャネル36の上方でカバー28を通って設けられた水平のブラインド穴によって画定されている。そして、複数のダクト69は、上部チャンバ67にまで延在しており、これにより上部チャンバ67を形成チャネル36と連通させ、さらに形成チャネル36により下部チャンバ66と連通させている。また、上部チャンバ67が、カバー28、下部プレート25及びパネル9を通って取り付けられた管状嵌合部70を用いて加圧空気源71と連通する一方で、下部チャンバ66が、真空ポンプ73に接続された吸引収集部72と連通している。
【0032】
使用に際しては、装置1は、特にテープ3の送り速度と、制御バルブ56と、収集部64に送られる蒸気の流量、温度及び飽和度と、真空ポンプ73と、を制御することができる制御ユニット74によって調整される。
【0033】
装置1の一般的な動作は、同じ型の公知な装置の一般的な動作と違いはなく、さらなる説明を必要としない。
【0034】
むしろ特別な説明を必要とすることは、装置1において、以下のことを考慮しながら、形成ビーム12の安定化部分29に沿う蒸気の作用に晒されるトウバンド11を如何に制御するか、ということである。
− 同じ型の任意の公知な装置と同様に、収集部64へ送られる蒸気から水分を取り除くためにさまざまな予防措置が利用されるにもかかわらず、この蒸気が、常に懸濁水の微細雫を有する飽和蒸気である。
− トウバンド11に当たる蒸気流が多くなればなるほど、トウバンド11内に浸透する水の微細雫の数も大きくなる。
− トウバンド11内に浸透するすべての水の雫がトウバンド11の内部に湿潤点を生じさせ、この湿潤点をなくすことは比較的長い乾燥時間を必要とする。
【0035】
公知な装置では、蒸気は、通常、トウバンドに対して径方向に配置されたノズルで終端する送りダクトによってトウバンドへ送られる。従って、蒸気をトウバンドの全断面に浸透させること及び湿潤点を乾燥させることの双方を可能にするには、比較的大きい蒸気の流量(すなわち、かなりの水滴を輸送させて)と、比較的長い蒸気にさらされる時間及び乾燥時間(すなわち、トウバンドにおける比較的減少した前進速度)と、を必要とする。
【0036】
装置1におけるそれぞれの安定化ステーション45では、スリット61及び62は、全体として、環状の蒸気ジェットを発射することができる環状ノズルを画定しており、この環状の蒸気ジェットは、送られる蒸気と等しければ、トウバンド11における浸透時間を少なくとも半分にする。この効果は、上述のノズルが比較的小さい流路間隙(0.3mmから0.9mm、好ましくは約0.7mm)のものであり、蒸気流量が等しく、これに蒸気の流出速度が対応し、よって相対的に高い浸透能力が得られることによってより促進される。
【0037】
さらに、形成ビーム12の安定化部分29に沿って蒸気を送ることは、蒸気の流量、従って水の微細な雫を輸送する蒸気の性能が大幅に減少されるという結果を伴って複数の安定化ステーション45間で分けられている。
【0038】
最後に、それぞれの安定化ステーションでの蒸気が上述した環状ノズルに直接的にではなく、蓄積チャンバ(下部チャンバ46及び上部チャンバ47)を通じて送られることは有利である。
【0039】
この蓄積チャンバの存在は、上記環状ノズルの横方向の寸法及びそこを通る蒸気流がいかなる場合においても大幅に減少するということと相俟って、次の如き現象をもたらす。つまり、上記蓄積チャンバ内部の蒸気のほとんどは実質的に静的状態のままとなり、かつ、この蒸気は、上記環状ノズルの直近に位置した部分でのみ急激な加速を受ける。この加速は、慣性により、蒸気の非飽和(より軽い)部分のみに関わり、蒸気の中に懸濁されているであろう水の微細雫にではない。
【0040】
最終的な効果は、実質的に乾燥した蒸気の“ブレード”ジェットが上述した環状ノズルから噴出され、硬化剤を活性化し、ただし容易な方法でトウバンド11を濡らし、従って乾燥時間を短縮させ、トウバンド11の速度を、装置1と同型の公知な装置において見られるもののほぼ2倍に上げることを可能にすることである。
【0041】
上記に関して以下の点を指摘しておく。装置1に行われた多くの試験によって以下のことが明らかとなった。すなわち、蒸気の流れをいくつかの安定化ステーション45(形成ビーム12に沿って直列に配置された8つの安定化ステーション45)に分けること(必要であれば、安定化ステーション45の一部のみでも十分である)が、最終的な結果を向上させる補助的な特徴であることが証明された場合、上述した環状ノズルを設けること、環状ノズルの横方向の寸法(スリット61及び62の幅)、及び環状ノズルへ蒸気を送るための蓄積チャンバ(チャンバ45及び46)を設けることが“決定的な”特徴であることが証明された。例えば、単に蓄積チャンバを設けずに、かつ/又は、スリットの幅を上述した範囲(0.3mm〜0.9mm)よりも僅かに1/10か2/10だけ広くしただけで、所期の結果はもはや得られなくなる。
【0042】
図2に示すように、空圧式装置10には、内部形成装置が結合されている。この内部成形装置は、軸方向に保持されたペーパーレスフィルターロッドが製造されるかどうかのみを示してはいるが、明らかに、ペーパーレスフィルターロッド全体が製造されるかどうかは示してはいない。
【0043】
前記内部形成装置は、マンドレル75によって規定されている。この内部形成装置は、得られる軸方向穴と同じ直径を有し、ほぼ“Ω”形状をなす。またこの内部形成装置は、互いに且つ軸線Aに対して同軸である2つの端部76及び77と、下方を向く凹部を有する湾曲中間部分78と、を備えている。端部76は、ダクト13の支持ブラケット15の脚部を通る軸線Aと同軸に設けられた穴79の内部でブロックされる。端部77は、通常は形成チャネル36における第1安定化ステーション、第2安定化ステーションまたは第3安定化ステーション45に制限された入口部分と、径方向間隙を有した状態で係合する。そして、中間部分78は、ダクト13から出てトウバンド11がたどるコース上に配置された特別なスリットを通って端部76に連結され且つダクト13内を通る上昇長さ部80と、軸線Aと平行であり且つ漏斗部19の内部に配置された中間長さ部81と、漏斗部19の内部に配置され且つ中間長さ部81を端部77に連結させる下降長さ部分82と、を備えている。
【0044】
使用するときには、トウバンド11をまず上昇長さ部80に、そして中間長さ部81に接触させることによって、濡らされ且つ塑性変形可能なトウバンド11は、マンドレル75をまたがって下方を向く凹部を有するU字状に変形する。トウバンド11が下降長さ部82に達すると、U字の2つのアームは、トウバンド11が開口部20で受ける空圧式圧迫の影響により、共にマンドレル75の下方で交わる。トウバンド11は、形成チャネル36の入口でその初期の形状を再び取り、そしてマンドレル75の端部77を完全に包む。
【0045】
マンドレル75によって規定された内部形成装置が設けられる場合、好ましくは、端部77によって架け渡された安定化ステーション45のみが作動される。これは、安定化ステーション45のどれか1つでも端部77の下流で作動された場合、トウバンド11を通ってちょうど形成された軸方向の穴が閉鎖する可能性があるためである。
【0046】
開示しない別の変形例によれば、テープ3は、軸方向に切断されて2つの半テープになり、それぞれの半テープは、それぞれの空圧式入口装置10に送られて、半トウバンドを製造する。これら2つの空圧式入口装置10は、互いに対して傾斜して配置され、一方が他方及び入口ステーション35に向かって近づき、且つ、一方がマンドレルまたは直線的なコアの上方に且つ他方がこれらの下方に配置される。このマンドレル又はコアは、軸線Aと同軸であり、所定長さだけ形成チャネル36内に入り込み、且つ2つの半トウバンド間に配置されている。これら2つの半トウバンドは、コンベヤーベルト22によって変形され、上述したマンドレルの周囲に完全に巻き付けられた管状トウバンド11を形成する。
【0047】
開示しない上述した変形例では、半切断テープ3は、単一の入口ユニット2を用いるため、2つの分離されたより小さいテープを用いるよりも有利である。さらに、管状トウバンド11を形成するために直線的なマンドレルを使用することは、同一の交互軸方向の運動、及び/または、極端な場合にマンドレルに与えられる軸線A回りの回転運動を可能にする。これら運動は、トウバンド11がマンドレルに接着することを防ぐ。
【符号の説明】
【0048】
5 ペーパーレスフィルターロッド、6 切断装置、7 所定方向、10 送り手段、11 トウバンド、12 形成ビーム、22 搬送手段、25 下部プレート、27,28 カバー手段、29 第1安定化部分、30 第2乾燥部分、35 入力部、36 形成チャネル、38 第1溝、39 出力部、43 第2溝、45 安定化ステーション、46 第1蒸気チャンバ、47 第2蒸気チャンバ、49 ダクト、56 制御バルブ、61 第1半環状スリット、62 第2半環状スリット、65 乾燥ステーション、71 空気送り手段、73 吸引手段、75 マンドレル、A 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7