特許第6139921号(P6139921)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139921
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】熱交換素子
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20170522BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20170522BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F24F7/08 101D
   F28D9/00
   F28F3/08 301A
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-46465(P2013-46465)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-173787(P2014-173787A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】500076974
【氏名又は名称】株式会社テクノフロンティア
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】河原 利和
(72)【発明者】
【氏名】井上 彰
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 太郎
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−151344(JP,A)
【文献】 特開昭56−001751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F28D 9/00
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状段ボール素材(1)から打抜かれるとともに外郭形状が六角形の流路形成骨部材(2)を、仕切膜(3)を介して複数段積層して構成され、上記仕切膜(3)を介して気体の熱交換を行う熱交換素子に於て、
各段の上記流路形成骨部材(2)が、外郭形状を平行四辺形(24)と六角形(14)に並べ替え自在な2枚の流路形成骨部材半体(6)から成り、
リブ方向(E)を上記平行四辺形(24)の長辺(27)又は短辺(25)と平行に配設し、
各段の上記流路形成骨部材(2)の外郭形状を、長方形(10)の一対の対辺(11)に同一外郭形状の二等辺三角形(12)を底辺(13)にて連設した六角形(14)に形成するとともに、上記流路形成骨部材半体(6)の外郭形状を、該六角形(14)を上記長方形(10)の他の一対の対辺(15)にわたるとともに上記リブ方向(E)と逆方向へ傾斜する斜切断線(16)にて切断して2等分した形状とし、
かつ、上記二等辺三角形(12)に対応する二等辺三角形部(18)にリブ方向(E)の仕切骨部(19)を有するとともに、上記長方形(10)に対応する長方形部(20)に、上記他の一対の対辺(15)と平行な横骨部(21)と、上記斜切断線(16)と平行な斜骨部(22)を有することを特徴とする熱交換素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
以前、本出願人は、平板状段ボール素材から打抜かれた流路形成骨部材を、仕切膜を介して複数段積層して構成され、仕切膜を介して気体の熱交換を行う熱交換素子を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、各段の流路形成骨部材が、1枚の六角形状であって、製造する際、長方形の段ボール素材から打抜く打抜工程での歩留まりが悪いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5110641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、打抜工程に於て歩留りが悪い点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る熱交換素子は、平板状段ボール素材から打抜かれるとともに外郭形状が六角形の流路形成骨部材を、仕切膜を介して複数段積層して構成され、上記仕切膜を介して気体の熱交換を行う熱交換素子に於て、各段の上記流路形成骨部材が、外郭形状を平行四辺形と六角形に並べ替え自在な2枚の流路形成骨部材半体から成り、リブ方向を上記平行四辺形の長辺又は短辺と平行に配設し、各段の上記流路形成骨部材の外郭形状を、長方形の一対の対辺に同一外郭形状の二等辺三角形を底辺にて連設した六角形に形成するとともに、上記流路形成骨部材半体の外郭形状を、該六角形を上記長方形の他の一対の対辺にわたるとともに上記リブ方向と逆方向へ傾斜する斜切断線にて切断して2等分した形状とし、かつ、上記二等辺三角形に対応する二等辺三角形部にリブ方向の仕切骨部を有するとともに、上記長方形に対応する長方形部に、上記他の一対の対辺と平行な横骨部と、上記斜切断線と平行な斜骨部を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の熱交換素子によれば、打抜工程における捨て材が減少し、歩留りを向上させることができる。また、熱交換効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
図2】平面図である。
図3】第1流路形成骨部材を示す平面図である。
図4】第2流路形成骨部材を示す平面図である。
図5】流路形成骨部材の形状を示す説明図であって、(A)は長方形と二等辺三角形を示す説明図、(B)は六角形を示す説明図、(C)は斜切断線の向きを示す説明図である。
図6】打抜工程を示す平面図である。
図7】打抜かれた直後の状態を示す説明図である。
図8】説明図である。
図9】段ボール素材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の実施の形態に基づいて本発明について詳説する。
図1図4は、本発明の実施の一形態を示す。この熱交換素子は、平板状段ボール素材1(図6図9参照)から打抜かれるとともに外郭形状が六角形の流路形成骨部材2を、仕切膜3を介して複数段積層して構成され、仕切膜3を介して気体の熱交換を行うものである。
【0010】
段ボール素材1は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製、又は紙製、あるいは、アルミニウム等の金属箔を成形したもの等から成る。仕切膜3は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリテトラフルオロエチレン等を素材とする多孔質シートの表面に親水性高分子の薄膜を塗布した透湿膜、又は、非透湿膜から成る。すなわち、本発明の熱交換素子は、全熱交換器に用いる場合と、顕熱交換器に用いる場合を含む。熱交換素子の最上段と最下段に補強板4を有するのが好ましい。また、5は気体の漏洩を防止する閉塞板を示す。
【0011】
気体の流れについて説明すると、例えば、屋内の高温の気体が矢印P方向に熱交換素子に流入し、熱交換によって温度が低下した後、矢印P´方向に熱交換素子から流出する。また、屋外の低温の気体が矢印Q方向に熱交換素子に流入し、熱交換によって温度が上昇した後、矢印Q´方向に熱交換素子から流出する。
【0012】
流路形成骨部材2は、相互に線対称な第1流路形成骨部材2Aと第2流路形成骨部材2Bとが、交互に積層されている。各段の流路形成骨部材2が、外郭形状を平行四辺形と六角形に並べ替え自在な2枚の流路形成骨部材半体6から成る。例えば、図3に示す六角形の第1流路形成骨部材2Aを構成する2枚の流路形成骨部材半体6は、図7に示すように平行四辺形24に並べ替えることができる。
【0013】
リブ方向Eが平行四辺形の短辺と平行に配設される。段ボール素材1は、図9に示すように、上壁部7と、下壁部8と、上壁部7と下壁部8をつなぐリブ9から成り、リブ9の長手方向を「リブ方向」Eとする。
【0014】
図5に示すように、各段の流路形成骨部材2の外郭形状が、長方形10の一対の対辺11に同一外郭形状の二等辺三角形12を底辺13にて連設した六角形14に形成される。流路形成骨部材半体6の外郭形状が、六角形14を長方形10の他の一対の対辺15にわたるとともにリブ方向Eと逆方向へ傾斜する斜切断線16にて切断して2等分した形状である。「逆方向」とは、長方形10の一対の対辺11に平行な仮想線17に対して、鋭角となる方向が、時計回り方向xか反時計回り方向yかが異なる方向であることを言う。
【0015】
図3図4に戻って、二等辺三角形12に対応する二等辺三角形部18にリブ方向Eの仕切骨部19を有する。長方形10に対応する長方形部20に、他の一対の対辺15と平行な横骨部21と、斜切断線16と平行な斜骨部22を有する。
【0016】
次に、打抜工程について説明する。図6に示すように、1枚の段ボール素材1から、複数の平行四辺形24(例えば長方形。図7参照)が並ぶように打抜く。具体的には、平行四辺形24の短辺25が、段ボール素材1のリブ方向Eと平行となるように、かつ、六角形14と並べ替え自在な2枚の流路形成骨部材半体6を形成すべく各平行四辺形24に分割線26を形成しつつ、打抜く。捨て材sが(複数の六角形14が並ぶように打抜く場合と比較して)減少する。
【0017】
2枚の流路形成骨部材半体6が、上述のように、外郭形状を平行四辺形24と六角形14に並べ替え自在となる条件について説明する。図8に示すように、斜切断線16は、長方形10の中心点Cを通る。さらに、上記二等辺三角形12の頂角の角度をαとすると、斜切断線16と上記長方形10の他の一対の対辺15が成す角度βが、β=α/2に設定される。このとき、2枚の流路形成骨部材半体6が、外郭形状を平行四辺形24と六角形14に並べ替え自在となる。
【0018】
なお、外郭形状が平行四辺形であるかを判断する際、切欠部23は無視する(切欠かれていない)ものとする。また、第2流路形成骨部材2Bは、第1流路形成骨部材2Aと同一形状として、上下反転させることにより得られるように構成するのが好ましい。また、図5(C)、図6、及び、図8に於て、外郭形状及び斜切断線16のみを図示し、他を図示省略した。
本発明は、設計変更可能であって、例えば、流路形成骨部材2の外郭形状が組立用突部(図示省略)を有するも良い。また、リブ方向Eを平行四辺形24の長辺27と平行に配設するも良い。
【0019】
以上のように、本発明は、平板状段ボール素材1から打抜かれるとともに外郭形状が六角形の流路形成骨部材2を、仕切膜3を介して複数段積層して構成され、仕切膜3を介して気体の熱交換を行う熱交換素子に於て、各段の流路形成骨部材2が、外郭形状を平行四辺形24と六角形14に並べ替え自在な2枚の流路形成骨部材半体6から成るので、打抜工程に於て、平行四辺形24を並べた状態で打抜くことができ、六角形14を並べた状態で打抜く場合と比較して、捨て材sが減少し、歩留りを向上させることができる。
【0020】
また、リブ方向Eを平行四辺形24の長辺27又は短辺25と平行に配設したので、容易に製造することができる。例えば、長方形の段ボール素材1のリブ方向Eが該長方形の長辺と平行な場合に、容易に歩留りを向上させつつ打抜くことができる。
また、各段の流路形成骨部材2の外郭形状を、長方形10の一対の対辺11に同一外郭形状の二等辺三角形12を底辺13にて連設した六角形14に形成するとともに、流路形成骨部材半体6の外郭形状を、六角形14を長方形10の他の一対の対辺15にわたるとともにリブ方向Eと逆方向へ傾斜する斜切断線16にて切断して2等分した形状とし、かつ、二等辺三角形12に対応する二等辺三角形部18にリブ方向Eの仕切骨部19を有するとともに、長方形10に対応する長方形部20に、他の一対の対辺15と平行な横骨部21と、斜切断線16と平行な斜骨部22を有するので、気体が熱交換素子内を流れる時間が増加し、熱交換効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 段ボール素材
2 流路形成骨部材
3 仕切膜
6 流路形成骨部材半体
10 長方形
11 一対の対辺
12 二等辺三角形
13 底辺
14 六角形
15 他の一対の対辺
16 斜切断線
18 二等辺三角形部
19 仕切骨部
20 長方形部
21 横骨部
22 斜骨部
24 平行四辺形
25 短辺
27 長辺
E リブ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9