【実施例】
【0021】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0022】
図において、符号1は、自動車で例示される車両で、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0023】
車両1は、その車体2の下部を構成する車体フレーム3と、この車体フレーム3に懸架され、車体2を走行面4上に支持するそれぞれ左右一対の前、後車輪5,6と、上記車体フレーム3の上面に設置され、車体2内部の車室7の下面を形成する車体フロアパネル8と、この車体フロアパネル8上で車室7に設置されるシート9とを備えている。
【0024】
また、車両1は、車体2の前部において上記車体フレーム3の前部に支持される車両1走行駆動用のエンジン13と、このエンジン13から車体2の後端部に向け延出し、車体フレーム3の一側部(左側部)の下側に配置される排気管14とを備え、この排気管14は、その長手方向の中途部にマフラー15を有している。
【0025】
また、車両1は、上記エンジン13を駆動させるための燃料系装置17を備えている。この燃料系装置17は、上記車体フレーム3の他側部(右側部)の下側で上記マフラー15の側方近傍に配置され、上記エンジン13に供給される燃料18を貯留する燃料タンク19と、この燃料タンク19を上記車体フレーム3側に支持させるブラケット20と、上記燃料タンク19に取り付けられ、この燃料タンク19内の燃料18を加圧して上記燃料タンク19の外部に吐出可能とする燃料ポンプ21と、この燃料ポンプ21から吐出された加圧状態の燃料18を濾過して上記エンジン13に供給する燃料系補機22である燃料フィルター23とを備えている。
【0026】
具体的には、上記燃料フィルター23は、上記マフラー15と燃料タンク19との間の空間26に配置され、かつ、上記燃料タンク19近傍に配置される。上記燃料フィルター23は車体2の前後方向に延びる軸心27を有する円柱形状とされる。上記燃料タンク19から上記空間26内に向かって突出するよう締結具28によりブラケット29が突設される。このブラケット29の突出端側に上記燃料フィルター23を離脱可能に固着するバンド30が溶接により支持される。このバンド30は、上記燃料フィルター23の軸心27周りに延びて、その内周面側に上記燃料フィルター23を締結具31により離脱可能に固着させる。これにより、上記燃料フィルター23は、上記燃料タンク19を介し車体2側に取り付けられる。
【0027】
上記燃料フィルター23の前、後端部の外面に、それぞれ燃料18を流通させる前、後燃料管34,35が突設される。これら前、後燃料管34,35は、それぞれ上記燃料フィルター23の軸心27上に位置している。上記前、後燃料管34,35に対しこれら前、後燃料管34,35の軸方向に沿ってそれぞれ一端部が外嵌固着させられる前、後燃料チューブ36,37が設けられる。
【0028】
上記前燃料チューブ36の他端部は上記エンジン13に連結され、上記後燃料チューブ37の他端部は、上記燃料ポンプ21の吐出口に連結される。また、上記前燃料チューブ36の中途部を上記燃料タンク19に連通させる戻し燃料チューブ38が設けられる。上記各燃料管34,35に対する各燃料チューブ36,37の一端部の外嵌固着は、ワンタッチ式で脱着可能なクイックジョイントが用いられる。
【0029】
上記燃料ポンプ21を駆動させれば、上記燃料タンク19内の燃料18が加圧されて、上記後燃料チューブ37と後燃料管35とを通し燃料フィルター23に供給されて濾過される。また、この燃料フィルター23により濾過された燃料18は、上記前燃料管34と前燃料チューブ36とを通し上記エンジン13に供給され、燃焼に供される。また、上記前燃料チューブ36を通る燃料18が過高圧のときは、その一部が上記戻し燃料チューブ38を通し上記燃料タンク19に戻され、燃料18が所定圧に維持される。
【0030】
上記燃料系補機22である燃料フィルター23、前、後燃料管34,35、前、後燃料チューブ36,37の各一端部、および上記ブラケット29の突出端側を、上記排気管14のマフラー15側の外方から一体的に覆う板金製プロテクタ41が設けられる。このプロテクタ41は、上記ブラケット29の突出端側に突設されたブラケット42に対し締結具43により離脱可能に固着される。上記プロテクタ41は、上下方向に延び、かつ、上記燃料フィルター23の軸心27に沿うよう車体2の前後方向に延びるプロテクタ本体部41aと、このプロテクタ本体部41aの前、後端部から上記燃料タンク19側に屈曲するよう延出して、上記各燃料管34,35の軸方向外方の近傍に配置される前、後プロテクタ屈曲部41b,41bとを有している。
【0031】
上記プロテクタ41は、車両1の衝突時などに、上記燃料フィルター23、各燃料管34,35、および各燃料チューブ36,37の一端部に何らかの外力が与えられることを防止して、これらが破損しないよう保護する。また、上記プロテクタ41は、排気管14のマフラー15を通る排気による輻射熱Hが上記燃料フィルター23などに及ぶことを防止するヒートインシュレータとして働き、また、車両1走行時の飛び石が上記燃料フィルター23などに衝突することを防止するよう働く。
【0032】
また、上記プロテクタ41の前、後プロテクタ屈曲部41bは、上記各燃料管34,35から上記各燃料チューブ36,37の一端部が離脱することを規制するよう働く。具体的には、上記各燃料管34,35から上記各燃料チューブ36,37の一端部が離脱可能な寸法Aよりも、上記各燃料管34,35の軸方向で、上記各燃料チューブ36,37の外面から上記プロテクタ41の前、後プロテクタ屈曲部41b,41bに至るまでの寸法Bの方が小さくなることとされている(A>B)。
【0033】
上記燃料フィルター23を新しいものに交換したり、この燃料フィルター23に対し保守、点検作業をする場合には、まず、上記締結具43の弛緩により上記ブラケット42からプロテクタ41を取り外し、このプロテクタ41を上記燃料フィルター23から離れさせる。次に、上記各締結具28,31を弛緩させたり、上記各燃料管34,35から各燃料チューブ36,37を離脱させたりして、燃料フィルター23を取り出すなどすればよい。
【0034】
上記構成によれば、プロテクタ41が、上記燃料フィルター23、各燃料管34,35、およびこれら各燃料管34,35に外嵌された各燃料チューブ36,37の一端部を、上記排気管14のマフラー15側の外方から覆うようにしている。
【0035】
このため、車両1の衝突時などに、上記燃料フィルター23などに何らかの外力や輻射熱Hが与えられることは、上記プロテクタ41により防止されて、上記燃料フィルター23などが破損や加熱されないよう保護される。
【0036】
また、上記各燃料管34,35からの各燃料チューブ36,37の一端部の離脱を規制するよう、プロテクタ41の一部分を上記各燃料管34,35の軸方向外方に配置している。
【0037】
このため、車両1の衝突時などに、何らかの外力により、上記各燃料管34,35から、これら各燃料管34,35に外嵌された各燃料チューブ36,37の一端部が離脱しようとしても、この離脱は上記プロテクタ41の一部分である前、後プロテクタ屈曲部41b,41bによって規制される。よって、上記外力により上記各燃料管34,35から各燃料チューブ36,37の一端部が離脱して燃料18洩れが生じることは、より確実に防止される。この結果、この燃料18が上記排気管14のマフラー15からの輻射熱Hにより着火させられるという不都合の発生は、より確実に防止される。
【0038】
特に、エンジン13の駆動時には、燃料フィルター23内の燃料18は燃料ポンプ21により加圧された状態となる。このため、仮に、上記外力により上記各燃料管34,35から各燃料チューブ36,37の一端部が離脱したとすると、上記燃料18はその圧力により噴き出すよう洩出することとなり、これは極めて好ましくない。
【0039】
しかし、前記したように、上記各燃料管34,35からの各燃料チューブ36,37の一端部の離脱は上記プロテクタ41によって規制されるため、上記した噴き出すような燃料18洩れも、確実に防止されて極めて有益である。
【0040】
そして、上記した燃料18洩れの防止は、上記燃料フィルター23を何らかの外力などから保護するためのプロテクタ41の一部分の利用により達成される。よって、その分、上記燃料18洩れの防止は簡単な構成で、質量の増加を抑制しつつ達成できることから、車両における燃料系装置17の生産性は良好に維持されて、その生産コストを安価にすることができる。
【0041】
なお、以上は図示の例によるが、上記燃料系補機22はキャニスタであってもよい。また、上記各燃料管34,35は、上記燃料フィルター23の前、後端部のうち、いずれか一方の端部の外面に集中的に突設させたものであってもよい。また、上記各燃料チューブ36,37,38は、ナイロンなど硬質の樹脂製チューブであってもよく、鉄など金属製チューブであってもよい。また、上記各燃料管34,35への各燃料チューブ36,37の一端部の外嵌固着は、パイプクランプを用いてもよい。