(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6139954
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】流体装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/54 20060101AFI20170522BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20170522BHJP
F04D 29/66 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F04D29/54 D
F04D29/52 C
F04D29/54 G
F04D29/66 N
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-85587(P2013-85587)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-206146(P2014-206146A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】特許業務法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大矢 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小村 正人
【審査官】
北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭54−095847(JP,A)
【文献】
米国特許第05224447(US,A)
【文献】
特開2002−038952(JP,A)
【文献】
特開2009−121424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/54
F04D 29/52
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を圧送する回転体(40)と、
前記回転体(40)に吸込される流体の吸込口部(31)と、前記回転体(40)から流体を吹き出す吹出口部(32)と、が形成されたシュラウド(30)と、を備え、
前記回転体(40)の流体流最下流端(42)は、前記吹出口部(32)の流体流最下流端(36)よりも流体流上流側に位置し、
前記回転体(40)の回転軸の軸方向からみたときに前記吹出口部(32)の内周壁面(35)から前記シュラウド(30)の外周縁部(33)までの前記回転軸の径方向の距離を外周距離とし、
前記回転軸の垂直方向からみたときに前記回転体(40)の流体流最下流端(42)から前記吹出口部(32)の流体流最下流端(36)までの前記回転軸の軸方向の高さを吹出口部高さと定義すると、
前記外周距離は、前記回転軸の周方向で変化しており、
前記吹出口部高さは、全周中で変化して形成され、
前記外周距離が最も長い箇所に比べて短くなる位置において、前記外周距離が最も長い箇所における前記吹出口部高さよりも低くなるように形成されていることを特徴とする流体装置。
【請求項2】
前記流体は空気であり、前記回転体は軸流ファン(40)であることを特徴とする請求項1に記載の流体装置。
【請求項3】
前記シュラウド(30)の外周縁部(33)のうち前記外周距離が最も短くなる位置と、前記回転軸と、を前記回転軸の径方向に結んだ線を仮想線(60)と定義すると、
前記吹出口部(32)のうち、前記外周距離が最も長い箇所に比べて前記吹出口部高さが低く形成された部位は、前記回転軸の周方向において、前記仮想線(60)から前記軸流ファン(40)の回転上流側への長さと、前記仮想線(60)から前記軸流ファン(40)の回転下流側への長さと、が異なっていることを特徴とする請求項1または2に記載の流体装置。
【請求項4】
前記吹出口部(32)のうち、前記外周距離が最も長い箇所に比べて前記吹出口部高さが低く形成された部位は、前記回転軸の周方向において、前記仮想線(60)から前記軸流ファン(40)の回転下流側への長さが、前記仮想線(60)から前記軸流ファン(40)の回転上流側への長さよりも長いことを特徴とする請求項3に記載の流体装置。
【請求項5】
前記吹出口部(32)のうち、前記外周距離が最も長い箇所に比べて前記吹出口部高さが低く形成された部位は、前記回転軸の周方向において、前記仮想線(60)を0°とすると、−15°から+30°までの範囲に位置していることを特徴とする請求項4に記載の流体装置。
【請求項6】
前記吹出口部(32)は、当該吹出口部(32)のうちの空気出口部位の内周壁面(35)が前記軸流ファン(40)の回転軸側に突出したベルマウス形状を有しており、
前記ベルマウス形状において、前記軸流ファン(40)の回転軸の軸方向の高さをベルマウス高さとすると共に、前記吹出口部(32)の内周壁面(35)から前記軸流ファン(40)の回転軸側に突出した幅をベルマウス幅と定義すると、
前記吹出口部(32)のうち、前記外周距離が最も長い箇所に比べて前記吹出口部高さが低くされた部位のベルマウス形状は、前記吹出口部(32)のうち前記吹出口部高さが低くされていない部位のベルマウス形状に対して、前記ベルマウス高さ及び前記ベルマウス幅が小さく形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1に記載の流体装置。
【請求項7】
前記吹出口部(32)のうち、前記外周距離が最も長い箇所に比べて前記吹出口部高さが低く形成された部位のベルマウス形状におけるベルマウス高さは、当該ベルマウス形状のベルマウス幅よりも小さく形成されていることを特徴とする請求項6に記載の流体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シュラウドに流体を通過させる流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のブレードを持つ軸流ファンと、ファンシュラウドと、を備えた送風装置が例えば特許文献1で提案されている。ファンシュラウドは周囲壁を有すると共に、周囲壁の一部が凹んだ筒状部を備えている。軸流ファンは筒状部に配置されている。
【0003】
また、筒状部には、空気流の連通を確保するための開口部が設けられている。この開口部の中心には複数のモータステーによってモータが支持されている。さらに、ファンシュラウドは、開口部の端部に、軸流ファン側から開口部側へと向かって広がるベルマウス形状を有するリップ部を備えている。
【0004】
このような構成の送風装置では、ファンシュラウドの周囲壁の外周部と開口部の外周部との距離が開口部の周方向において異なっている。また、モータの駆動によって軸流ファンが回転すると、風は軸流ファン側からモータ側に向かって風が流れ、開口部を介してシュラウドの外に流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−222974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、開口部の外周部からシュラウドの周囲壁の外周部までの距離が開口部の周方向で異なっているので、軸流ファンの下流側において、開口部の周方向の特定位置で流体とシュラウドの周囲壁とが干渉して流速変動が発生する。このため、騒音が発生するという問題があった。
【0007】
なお、従来の送風装置では流体として空気(気体)が取り扱われているが、上記の騒音の問題は流体が気体の場合に限られず、流体が液体の場合にも同様に発生する。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、回転体の下流側における騒音を低減することができる構造を備えた流体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、流体を圧送する回転体(40)と、回転体(40)(40)に吸込される流体の吸込口部(31)と回転体(40)から流体を吹き出す吹出口部(32)とが形成されたシュラウド(30)と、を備え、
前記回転体(40)の流体流最下流端(42)は、前記吹出口部(32)の流体流最下流端(36)よりも流体流上流側に位置しており、以下の点を特徴としている。
【0010】
まず、回転体(40)(40)の回転軸の軸方向からみたときに吹出口部(32)の内周壁面(35)からシュラウド(30)の外周縁部(33)までの回転軸の径方向の距離を外周距離とし、回転軸の垂直方向からみたときに回転体(40)の流体流最下流端(42)から吹出口部(32)の流体流最下流端(36)までの回転軸の軸方向の高さを吹出口部高さと定義する。
【0011】
そして、外周距離は、回転軸の周方向で変化している。また、吹出口部高さは、全周中で変化して形成されている
。更に、前記外周距離が最も長い箇所に比べて短くなる位置において、前記外周距離が最も長い箇所における前記吹出口部高さよりも低くなるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
これによると、吹出口部(32)から吹き出す流体のうち速度成分が増加する部位と吹出口部(32)との干渉が抑制されるので、吹出口部(32)から吹き出す流体の流速変動を抑制することができる。したがって、騒音を低減することができる。
【0013】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る送風装置の側面図である。
【
図2】シュラウドを吹出口部側から見た平面図である。
【
図3】(a)は
図2のA−A断面図であり、(b)は
図2のB−B断面図である。
【
図4】軸流ファンの下流側の音圧レベルの測定結果を示した図である。
【
図5】第2実施形態に係るシュラウドを吹出口部側から見た平面図である。
【
図6】第3実施形態に係るシュラウドの断面図であり、(a)は
図2のA−A断面に対応する図、(b)は
図2のB−B断面に対応する図である。
【
図7】第4実施形態に係るシュラウドを吹出口部側から見た平面図である。
【
図8】(a)は
図7のC−C断面図、(b)は
図7のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される流体装置は、自動車のコンデンサ及びラジエータの冷却に用いられる送風装置として構成されたものである。
図1に示されるように、送風装置は、コンデンサ10と、ラジエータ20と、シュラウド30と、軸流ファン40と、モータ50と、を備えて構成されている。
【0017】
コンデンサ10は、図示しない冷凍サイクル内を循環する冷媒と外気とを熱交換して冷媒を冷却する熱交換器である。また、ラジエータ20は、エンジン冷却水と外気とを熱交換してエンジン冷却水を冷却する熱交換器である。コンデンサ10は、ラジエータ20の車両前方側すなわち空気流れ上流側に配置されている。コンデンサ10及びラジエータ20は連結されて一体化されている。
【0018】
シュラウド30は、モータ50を保持すると共に、軸流ファン40により誘起される空気流がコンデンサ10及びラジエータ20に流れるように空気流をガイドする部品である。シュラウド30は、ラジエータ20の車両後方側すなわち空気流れ下流側に配置されている。
【0019】
また、シュラウド30は、軸流ファン40に吸込される空気の吸込口部31と、軸流ファン40から空気を吹き出す吹出口部32と、を有している。吸込口部31は、ラジエータ20の背面すなわちラジエータ20の車両後方側の面を覆っている。吹出口部32は吸込口部31と連通する筒状になっていると共に、外部とも連通している。
【0020】
さらに、
図2に示されるように、シュラウド30の吹出口部32の平面形状は円形になっている。一方、シュラウド30の平面形状は矩形である。すなわち、シュラウド30の外周縁部33の平面形状が矩形状になっている。
【0021】
軸流ファン40は、
図1に示されるように、空気を送風する複数のブレード41を備えたファンである。軸流ファン40は、回転軸を中心に回転するように構成されている。本実施形態では、軸流ファン40はシュラウド30の吹出口部32の中空部分に配置されている。
【0022】
モータ50は、軸流ファン40に回転動力を与える電動機であり、図示しないモータシャフトを有している。モータ50は、シュラウド30の吹出口部32に設けられた複数のモータステー34によって支持されている。そして、モータ50はモータシャフトを回転させることにより軸流ファン40を回転させ、軸流ファン40の軸線方向すなわち回転軸の軸方向に空気流を発生させる。以上が、送風装置の全体構成である。
【0023】
次に、シュラウド30の吸込口部31の具体的な形状について説明する。まず、軸流ファン40の回転軸の軸方向からみたときに吹出口部32の内周壁面35からシュラウド30の外周縁部33までの当該回転軸の径方向の距離を外周距離と定義する。上述のように、シュラウド30の平面形状すなわち軸流ファン40の回転軸に垂直な面の形状は、吹出口部32が円形であり、外周縁部33が矩形である。したがって、外周距離は、軸流ファン40の回転軸の周方向で一定ではなく変化している。言い換えると、外周距離は軸流ファン40の回転角度に応じてそれぞれ異なっている。
【0024】
そして、上述のように、シュラウド30の吹出口部32から吹き出す空気のうち外周距離が短い部位から吹き出す空気は、軸流ファン40の回転軸の径方向の速度成分が増加する。ここで、軸流ファン40の回転軸の垂直方向からみたときに軸流ファン40の空気流最下流端42から吹出口部32の空気流最下流端36までの回転軸の軸方向の高さを吹出口部高さと定義する。このとき、吹出口部高さは、軸流ファン40の回転軸の周方向において、全周中で変化して形成されている。
【0025】
より具体的には、吹出口部高さは、吹出口部32から吹き出す空気の速度成分のうち回転軸の径方向の速度成分が増加するに伴って低くなるように形成されている。言い換えると、吹出口部高さは、外周距離が短くなる位置において低くなるように形成されている。
【0026】
「吹出口部高さが低くされた範囲」は、吹出口部高さが他の場所よりも低くなっている部分の範囲である。したがって、吹出口部高さの低さが一定でなくても良い。本実施形態では、
図1に示されるように、吹出口部32の吹出口部高さのうち通常の部位の高さと短い部位の高さとの間の高さは階段状に変化している。
【0027】
また、本実施形態では、軸流ファン40の回転軸の周方向において、吹出口部32の吹出口部高さが低くされた範囲は、
図2に示されるように、シュラウド30のうち外周距離が最も短くなる部分に対応する吹出口部32の位置を中心に左右対称となっている。すなわち、吹出口部32の吹出口部高さが低くされた範囲は、シュラウド30のうち外周距離が最も短くなる部分に対応する吹出口部32の位置から軸流ファン40の回転上流側への長さと回転下流側への長さとが同じになっている。
【0028】
シュラウド30のうち外周距離が長くなる部位に対応する吹出口部32の空気出口部位においては、
図3(a)に示されるように、吹出口部32のうちの空気出口部位の内周壁面35が軸流ファン40の回転軸側に突出したベルマウス形状になっている。これにより、空気がベルマウス形状に沿って流れるので、当該空気を整流することができる。
【0029】
一方、シュラウド30の吹出口部32のうち外周距離が短くなる部位においては、
図3(b)に示されるように、ベルマウス形状は設けられていない。また、上記の「吹出口部高さを低くする」という手段は、吹出口部32のうちベルマウス形状の部分を除去したとも言える。このように、シュラウド30の吹出口部32において音が発生する部分の吹出口部高さが低くなっているので、空気と吹出口部32との干渉が抑制される。つまり、軸流ファン40の下流側における空気の流速変動が抑制されて空気の流れの乱れが低減し、空気の流れが改善される。なお、
図3(b)ではモータステー34を省略している。
【0030】
発明者らは、吹出口部32の吹出口部高さを一定にした従来品と、吹出口部32のうち外周距離が短くなる部位の吹出口部高さを低くした本発明と、について軸流ファン40の下流側の音圧レベルを測定した。
図4に示される測定結果によると、上述のように吹出口部高さの一部を低くしたことにより、軸流ファン40の下流側の音圧レベルが1.8dB低下した。すなわち、従来品よりも騒音を低減させることができた。
【0031】
以上説明したように、シュラウド30の吹出口部32のうち吹出口部32から吹き出す空気のうち速度成分が増加する部位、すなわち外周距離が短くなる部位の吹出口部高さを低くしているので、当該部位と空気との干渉を抑制することができる。これにより、吹出口部32から吹き出す空気の流速変動が抑制され、ひいては騒音を低減することができる。
【0032】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、軸流ファン40が特許請求の範囲の「回転体」に対応する。また、吹出口部32の空気流最下流端36が特許請求の範囲の「吹出口部の流体流最下流端」に対応し、軸流ファン40の空気流最下流端42が特許請求の範囲の「回転体の流体流最下流端」に対応する。
【0033】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くなっている範囲が、軸流ファン40の回転方向に応じて設けられていることが特徴となっている。
【0034】
まず、
図5に示されるように、シュラウド30の外周縁部33のうち外周距離が最も短くなる位置と、回転軸と、を回転軸の径方向に結んだ線を仮想線60と定義する。そして、吹出口部32のうち吹出口部高さが低く形成された部位は、軸流ファン40の回転軸の周方向において、仮想線60から軸流ファン40の回転上流側への長さと、仮想線60から軸流ファン40の回転下流側への長さと、が異なっている。すなわち、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くなっている範囲は、軸流ファン40の回転軸の周方向で仮想線60を中心に左右非対称になっている。
【0035】
ここで、吹出口部32から吹き出す空気は軸流ファン40の回転方向に流れやすくなっている。したがって、吹出口部32のうち吹出口部高さが低く形成された部位は、軸流ファン40の回転軸の周方向において、仮想線60から軸流ファン40の回転下流側への長さが、回転上流側への長さよりも長くなっていることが好ましい。これにより、軸流ファン40の回転方向に流れやすい空気と吹出口部32の壁面との干渉をより効果的に低減することができる。
【0036】
また、吹出口部高さが低く形成された具体的な長さは、仮想線60を0°とすると、軸流ファン40の回転軸の周方向において、−15°から+30°までの範囲である。本実施形態では、
図5に示されるように、シュラウド30を吹出口部32から見たときに軸流ファン40の回転方向は時計回りになっている。したがって、吹出口部32の吹出口部高さは仮想線60を中心として−15°から+30°の範囲が低く形成された部位となる。
【0037】
以上のように、本実施形態では、軸流ファン40の回転方向に応じて吹出口部32の吹出口部高さの範囲を規定している。これにより、軸流ファン40の回転方向に流れた空気と吹出口部32との干渉によってシュラウド30から吹き出す風量が減少してコンデンサ10やラジエータ20の冷却性能が下がってしまうことを防止することができる。
【0038】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、吹出口部32において当該吹出口部32の吹出口部高さが低くされた範囲とそうでない範囲とに関係なく、軸流ファン40の回転軸の周方向の全体にベルマウス形状が形成されている。
【0039】
また、
図6(b)に示されるように、シュラウド30の吹出口部32のうち外周距離が短くなる部位すなわち吹出口部高さが低くなっている部位における吹出口部32のベルマウス形状は、シュラウド30のうち外周距離が長くなる部位すなわち吹出口部高さが低くなっていない部位における吹出口部32のベルマウス形状よりも小さく形成されている。
【0040】
具体的には、ベルマウス形状において、軸流ファン40の回転軸の軸方向の高さをベルマウス高さとすると共に、吹出口部32の内周壁面35から軸流ファン40の回転軸側に突出した幅をベルマウス幅と定義する。そして、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くされた部位のベルマウス形状は、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くされていない部位のベルマウス形状に対して、ベルマウス高さ及びベルマウス幅が小さく形成されている。また、吹出口部32のうち吹出口部高さが低く形成された部位のベルマウス形状におけるベルマウス高さは、当該ベルマウス形状のベルマウス幅よりも小さく形成されている。
【0041】
このように、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くなっている部位においてもベルマウス形状を設けると共に、そのサイズを小さくすることで吹出口部高さを低くすることができる。また、吹出口部32のうち吹出口部高さが低くなっている部位においても空気をベルマウス形状によって整流することができる。
【0042】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。本実施形態では、
図7に示されたシュラウド30は、
図8の各断面図示されるように、吹出口部32の空気出口部位にはベルマウス形状が設けられていない。このように、シュラウド30は、吹出口部32にベルマウス形状が設けられていない構造であっても良い。
【0043】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された送風装置の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、送風装置は少なくともシュラウド30と軸流ファン40とを備えた構成でも良い。
【0044】
また、吹出口部32のうち吹出口部高さが通常の部位と吹出口部高さが低く形成された部位とは連続的になっていても良い。すなわち、吹出口部32の吹出口部高さは、外周距離が短くなる位置において低くなるように形成されていれば良いので、吹出口部高さがテーパ状、あるいはスロープ状に連続的に変化していても良い。このように、吹出口部32の吹出口部高さは連続的及び断続的(不連続的)のどちらに形成されていても良い。
【0045】
第2実施形態では、吹出口部高さが低く形成された角度範囲が示されているがこれは一例である。したがって、シュラウド30が用いられる状況に応じて角度範囲を適宜設定すれば良い。
【0046】
上記各実施形態で示された吹出口部32のベルマウス形状は一例である。もちろん、ベルマウス高さやベルマウス幅についてもシュラウド30の形状に応じて適宜設定すれば良い。
【0047】
上記各実施形態では、流体装置は流体として空気(気体)を通過させる送風装置として構成されていたが、これは流体装置の構成の一例である。したがって、流体装置は流体として液体がシュラウド30を通過するように構成されていても良い。また、シュラウド30に流体を通過させるための軸流ファン40についても当該軸流ファン40には限られず、流体装置の構成に合わせて流体を圧送することができる回転体を用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
30 シュラウド
31 吸込口部
32 吹出口部
33 外周縁部
35 内周壁面
36 吹出口部の空気流最下流端
40 軸流ファン
42 軸流ファンの空気流最下流端
60 仮想線