【実施例】
【0014】
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施例による移動式トンネル防音壁をトンネルの外から見た正面図である。
移動式トンネル防音壁10は、車両が出入りする観音開きの主扉11a、11bと、主扉11a、11bの両側に配置される側部防音パネル12a、12bと、主扉11a、11bの上側に配置される上部防音パネル13と、主扉11a、11b、側部防音パネル12a、12b、及び上部防音パネル13を支える台座14a、14bとを備え、トンネル30の坑口又は坑内を閉塞する。
【0016】
主扉11a、11bは、長方形状の2枚のパネル板で構成される。
側部防音パネル12a、12bは、主扉11a、11b側の直線状の内側辺と、台座14a、14b側の直線状の底辺と、トンネル30内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成される。
上部防音パネル13は、主扉11a、11b側の直線状の内側辺と、トンネル30内面側の円弧状の外側辺とで囲まれるパネル板で構成される。
主扉11a、11bは、一対の支柱15a、15bの間に配置され、側部防音パネル12a、12bは、支柱15a、15bの外側に配置される。
台座14a、14bは、支柱15a、15bの下部に配置される。
【0017】
主扉11aは、蝶番16aで支柱15aに取り付けられ、主扉11bは、蝶番16bで支柱15bに取り付けられ、切羽方向に開く内開きとしている。
主扉11a、11bは、例えばかんぬき部材のような閉塞部材18によって閉塞状態を維持される。閉塞部材18は、切羽側に設けている。
トンネル発破時に発生する圧力は主扉11a、11bの切羽側の面に加わるが、主扉11a、11bを内開きとしていることで、主扉11a、11bの閉塞部材18の負担を軽減できる。
上部防音パネル13には、風管開口部20を設けている。
本実施例による移動式トンネル防音壁10は、重機によって牽引され、トンネル30の坑口又は坑内に設置され、トンネル30の坑口又は坑内から撤去される。
【0018】
図2は同移動式トンネル防音壁の上面図である。
図2に示すように、風管50を通す風管開口部20にはダンパー機構40が配置される。ダンパー機構40は、移動式トンネル防音壁10の切羽面に設けている。倒立式ダンパー41を、移動式トンネル防音壁10の切羽面に設けることで、トンネル発破時に発生する圧力によって倒立式ダンパー41が開かれることがなく、倒立式ダンパー41の閉塞の負担を軽減できる。
風管50は、可撓性を有し例えばビニールで形成される。
【0019】
図3は同移動式トンネル防音壁において、風管開口部を開放状態とした時の左側面図、
図4は同移動式トンネル防音壁の風管開口部を開放状態とした時の斜視図、
図5は同移動式トンネル防音壁の風管開口部を閉塞状態とした時の左側面図、
図6は同移動式トンネル防音壁の風管開口部を閉塞状態とした時の斜視図である。
ダンパー機構40は、倒立式ダンパー41と、風管開口部20の周囲に固定されるダンパー受け部材42とを有している。
【0020】
倒立式ダンパー41は、一端41aを移動式トンネル防音壁10に回動自在に設け、他端41bを自由端とし、風管50の外部に設けている。本実施例のように、風管開口部20を閉塞する倒立式ダンパー41を風管50外に配置することで、風管50を使った送風時に風管50内での抵抗を生じることがない。
図3及び
図4に示すように、倒立式ダンパー41は、風管開口部20を開放状態とした時には、倒立式ダンパー41によって風管50を下方から支える。本実施例によれば、倒立式ダンパー41によって風管50を下方から支えるため、送風時に風管50の躍りを防止でき、風管50が風管開口部20によって損傷することを防ぐことができる。
図5及び
図6に示すように、倒立式ダンパー41は、他端(自由端)41bを上方へ引き上げることで風管開口部20を閉塞状態とする。
【0021】
図4及び
図6に示すように、倒立式ダンパー41は、自由端41bに凹部41cが形成され、風管開口部20を閉塞状態とした時には、凹部41cに風管50を収容する。また、自由端41bの凹部41cの両側端は、凹部41cに向けて傾斜させている。なお、凹部41cは、自由端41bの全幅に渡って形成してもよい。また、凹部41cは、図示のように開口側が広い台形状であることが好ましい。また、凹部41cを形成する内周端には、ローラのような摺動部材41dを設けることが好ましい。
本実施例によれば、風管50を凹部41cに収容できるので、移動式トンネル防音壁10の移動時やトンネル発破時に、風管50を切断したり、取り外す必要が無いため、工事費の大幅な低減を図れる。なお、倒立式ダンパー41の上方への引き上げに伴い、風管50は凹部41cの両側端の傾斜によって凹部41cに導かれ、凹部41c内に収容される。凹部41cを開口側が広い台形状とし、又は摺動部材41dを設けることで、風管50はスムーズに凹部41cに導かれる。
図3及び
図4に示すように、倒立式ダンパー41の自由端41bには、ワイヤー43の一端が接続されている。
ワイヤー43の他端は、
図3及び
図5に示すウインチ44に接続されている。
ウインチ44によってワイヤー43を巻き取ることで、倒立式ダンパー41は閉塞状態となり、ウインチ44によってワイヤー43を緩めることで、倒立式ダンパー41は開放状態となる。
【0022】
ダンパー受け部材42は、少なくとも天板42aと一対の側板42bとによって開口部42cを形成し、開口部42cに倒立式ダンパー41を当接させて風管開口部20を閉塞状態とする。本実施例によれば、閉塞時にダンパー受け部材42と倒立式ダンパー41との間に空間が形成されるため、この空間に風管50を収めることができ、またこの空間に風管50を収めることでトンネル発破時に発生する圧力が風管開口部20から外に伝わることを防止できる。
【0023】
ダンパー機構40は、開放状態にある倒立式ダンパー41を支える保持部材45を有している。保持部材45は、それぞれの側板42bに一端を接合した一対の第1保持部材45aと、移動式トンネル防音壁10に一端を接合して移動式トンネル防音壁10から延出させた一対の第2保持部材45bと、一対の第1保持部材45aのそれぞれの他端、及び一対の第2保持部材45bのそれぞれの他端に接合される第3保持部材45cとで構成している。
開放状態にある倒立式ダンパー41は、第2保持部材45bと第3保持部材45cとによって保持される。
風管50は、倒立式ダンパー41の上面で保持されるとともに、一対の側板42b及び一対の第1保持部材45aによって水平方向の動きを規制される。