(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜
図14を参照して、第1実施形態および第2実施形態にかかるサポーターベルトについて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
(全体構成)
第1実施形態にかかるサポーターベルト100の全体構成の概要について
図1(A)、(B)および
図2を参照して説明する。
図1(A)は、第1実施形態にかかるサポーターベルト100の一例を示す概略正面図である。
図1(B)は、第1実施形態にかかるサポーターベルト100の概略底面図である。
図2は、第1実施形態にかかるサポーターベルト100の概略斜視図である。
図1(A)に示すように、サポーターベルト100は、帯状または板状のベース部110に対し、ベルト押さえ部120aおよびベルト押さえ部120bを支持する基台121と、ベルト通し125と、緩衝部材130とが取り付けられて構成されている。なお、
図1(A)における破線は、ベース部110に基台121および緩衝部材130を固定するための縫着線を示している。
【0021】
ベース部110は、帯状または板状に形成され、また着用者の腰部に沿うように構成される。また、
図1(A)に示すように胴ベルト等の安全帯がサポーターベルト100に装着されたときに安全帯の長手方向と、ベース部110の長手方向とはほぼ一致する。またベース部110の短手方向は、装着された安全帯の長手方向とほぼ直交する。また、サポーターベルト100の長手方向は、サポーターベルト100の着用者の身幅方向(左右方向)に相当し、対する短手方向は着用者の頭足方向(上下方向)に相当する。なお、サポーターベルト100の長手方向の長さは例えば660mm程度である。また、サポーターベルト100の短手方向の長さは、例えば105mm程度である。
【0022】
また
図2に示すようにベース部110は、緩衝部材130と組み合わされることにより、サポーターベルト100が着用されたとき、着用者の腰部に沿い、腰部に適合する形状となるように、曲げ、撓めることが可能であって、かつ撓められたときに着用者の腰部に沿った形状を維持できるような剛性を有している。このようなベース部110の一部の材料として、ナイロン、ポリエステル等、任意の繊維材料を用いることが可能である。また、
図1(A)に示すようなベース部110の一面(「第1の面」の一例)には、着用者の腰部の保護のための緩衝部材130が設けられる。この緩衝部材130によって例えば作業中の着用者の腰部に対して加えられる外力が緩和され、その腰部が保護される。また、例えば着用者が立位姿勢を継続しなければならない状態であっても、緩衝部材130によって、その腰部にかかる負担が軽減される。なお、ベース部110は腰部に沿って腰部に密着するように装着されればよい。したがって、ベース部110は上記構成のように可撓性が高くなくてもよく、例えば腰部に沿うように湾曲したままの形状を保持するように構成されていてもよい。なお、ベース部110の短手方向の長さ(幅)は、例えば80mm程度である
【0023】
(ベルト押さえ部、基台)
ベルト押さえ部120a(ベルト押さえ部120b)は、サポーターベルト100に胴ベルト等の安全帯を装着するための保持部である。第1実施形態においてベルト押さえ部120a等は、基台121によりベース部110に固定されている。ベルト押さえ部120a等のベース部110に対する固定位置は、例えば
図1(A)、
図1(B)に示すように、ベース部110の中央側である。
【0024】
<基台>
また、
図1(A)および
図1(B)に示すように基台121は、ベルト押さえ部120a、120bをベース部110に固定するものである。例えば基台121はベース部110の緩衝部材130側と反対側の面(「第2の面」の一例)に縫着されることでベース部110に接続され、かつベルト押さえ部120a、120bとも接続されている。また
図1(B)に示す例として、基台121は、ベース部110と略平行に取り付けられる。なお、基台121は縫着されている場合に限らず、はり合わせられていてもよい。
【0025】
<ベルト押さえ部>
次に
図3を参照して第1実施形態におけるベルト押さえ部120a、120bについて説明する。
図3は、第1実施形態にかかるサポーターベルト100のベルト押さえ部120a(ベルト押さえ部120b)および基台121の概略側面図である。なお、
図3はベルト押さえ部120a(またはベルト押さえ部120b)および基台121をサポーターベルト100の長手方向から見た側面図である。つまり、ベルト押さえ部120aを
図1(A)における左方向または右方向から見たものである。なお、
図3に示す例においてベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとが同一の構造である場合について説明する。
【0026】
図3に示すように、ベルト押さえ部120aは、基台121側の部分(以下、「基台側部分」と記載することがある。)と、当該部分の幅方向における両端を基部として基台121から離れる方向に突出する一対の側部と、当該側部それぞれの突出端同士を架け渡すように設けられた部分(以下、「突出側部分」と記載することがある。)とを含んで構成される。
【0027】
《配置》
図3に示すようにベース部110側の基台121には、ベルト押さえ部120a、120bが取り付けられている。また、ベース部110と平行に取り付けられた基台121の一面に対し、ベルト押さえ部120aは、ほぼ直交する方向に突出して設けられる。同様にベルト押さえ部120bも基台121の一面に対して直交する方向に突出して設けられる。したがって、ベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bそれぞれは、ベース部110の長手方向および短手方向の双方と直交して突出するように基台121に取り付けられる。
【0028】
また
図1(A)および
図1(B)の例において、ベルト押さえ部120a、120bそれぞれの長手方向は、ベース部110の短手方向に沿った方向である。同様に、ベルト押さえ部120a、120bそれぞれの短手方向は、ベース部110の長手方向に沿った方向である。なお以下において、これらベルト押さえ部120a、120bそれぞれの長手方向を「幅方向」として、短手方向を「奥行き方向」として、基台121から突出する方向を「高さ方向」として説明することがある(
図1(B)参照)。サポーターベルト100の着用時において、ここで説明した幅方向は着用者の頭足方向に対応し、奥行き方向は着用者の体幅方向(左右方向)に対応し、高さ方向は着用者の体厚方向(前後方向)に相当する。
【0029】
また、ベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとの配置間隔は、例えば安全帯の幅に対応する。例えば安全帯の肩ベルトが40mm幅であれば、当該配置間隔は、35mm〜60mmの間のいずれかの値をとる。なお、配置間隔とは、ベース部110における長手方向(
図1(A)の左右方向)における、ベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとの間の長さである。言い換えると、ベルト押さえ部120aにおけるベルト押さえ部120bに面した部分から、ベルト押さえ部120bにおけるベルト押さえ部120aに面した部分までの長さである。
【0030】
《貫通孔》
また
図3に示すように、ベルト押さえ部120a、120bそれぞれには、ベース部110の長手方向に沿った方向(奥行き方向)に貫通する貫通孔TH1が形成されている。ベルト押さえ部120aおよびベルト押さえ部120bは、基台121に対して同じ向きになるように取り付けられている。したがって、ベルト押さえ部120aおよびベルト押さえ部120bは、それぞれの貫通孔TH1の開口部が向き合うように基台121に取り付けられている。これら貫通孔TH1それぞれには、サポーターベルト100に装着される安全帯のベルト(胴ベルト等)が通される。
【0031】
ベルト押さえ部120a等の幅(長手方向の長さ)に対応する、貫通孔TH1の幅の例としては、およそ35mm〜65mm程度である。これは、胴ベルト等の安全帯の幅の規格が40mmであることに対応し、安全帯のベルト部分を挿通可能とするものである。すなわち貫通孔TH1の幅は、サポーターベルト100に取り付けられる安全帯の幅の規格に対応するように設定される。なお、貫通孔TH1は、「ベルト挿通孔」の一例に相当する。
【0032】
《厚さ》
ベルト押さえ部120a等の奥行き方向の長さ(厚さ)は、サポーターベルト100に対する安全帯の保持強度および経年劣化に対する耐久性と、サポーターベルト100に対する安全帯の装着しやすさとのバランスを考慮して設定される。後述するようにベルト押さえ部120a、120bそれぞれには、貫通孔TH1を狭める方向に突出する凸部123が設けられている。ベルト押さえ部120a等に挿通される安全帯のベルト部分は、凸部123との間の摩擦力により、ベルト押さえ部120a等の奥行き方向への移動が抑制される。したがって、ベルト押さえ部120a等の奥行き方向の長さ、すなわち厚さを厚くするほど、安全帯は、サポーターベルト100に対して着用者の体幅方向へ移動しにくくなる。つまりベルト押さえ部120a、120bによる安全帯の保持強度が確保できる。またベルト押さえ部120a等の厚みが増すほど、ベルト押さえ部120a等の耐久性の観点から堅牢である。
【0033】
ただし、ベルト押さえ部120a、120bの保持強度と堅牢性が確保されるという前提において、可能な限り奥行き方向の長さを短くすることで、サポーターベルト100に対して安全帯を装着しやすくすることができる。
【0034】
《高さ》
ベルト押さえ部120a、120bの高さ(幅方向および奥行き方向と直交する方向の長さ)は、貫通孔TH1の高さと、ベルト押さえ部120a、120bにおける貫通孔TH1の周囲のフレーム厚(高さ方向の長さ)とによって定まる。なお、一例においてベルト押さえ部120aの高さは11mm程度である。
【0035】
《凸部》
ベルト押さえ部120a、120bそれぞれの貫通孔TH1について説明する。
図3に示すように、ベルト押さえ部120a等の上記突出側部分は、基台側部分(ベース部110側部分)に向かって突出する。これを説明の便宜上、凸部123として説明する。
図3に示す一例において、凸部123の表面は曲面状であって、かつ貫通孔TH1の中央位置おいて最も突出するように形成されている。この凸部123の存在により、貫通孔TH1は一部が狭くなるように構成される。また凸部123の突出面から、ベルト押さえ部120aの基台側部分まで間の長さ(間隔)は、長くとも安全帯のベルトの厚さと同程度である。つまり凸部123の突出面と、ベルト押さえ部120aの間の長さを、胴ベルト等の厚さより若干短くしてもよい。
【0036】
したがって、ベルト押さえ部120a等に通される安全帯のベルトは、ベルト押さえ部120a等の幅方向の両端部分に対して通しやすく、反対に凸部123の存在により当該幅方向の中間位置に対して通りにくくなる。つまり、ベルト押さえ部120a等は、着用者がベルト押さえ部120a等に胴ベルトを通すときの通しやすさを考慮しつつ、ベルト押さえ部120a等に対してベース部110の長手方向(着用者の体幅方向)にベルトが移動しにくくなるように構成されている。
【0037】
なお凸部123としては、
図3の例のように1つの突出面を形成する例に限られない。例えば、凸部123の突出面が、波面を形成するよう、複数の突出面を有するように構成されていてもよい。これを
図3のような側方から見た場合、凸部123が波形をなすように視認される。また、凸部123は基台121側に突出させる例に限らず、凸部123を、基台側を基部としてベース部110から離れる方向(ベース部110の一面と直交する方向)に突出させてもよい。また、凸部123の突出面は曲面でなく、平面であってもよい。また凸部123の突出端は面でなく、尖らせてもよい。また凸部123を設けず、ベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bの上記突出側部分をほぼ均一な平面上に形成してもよい。その場合、当該突出側部分と基台側部分との間隔は、安全帯のベルトの厚さと同程度である。
【0038】
《材料》
上記ベルト押さえ部120a、120bは、例えばナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂、スチロール樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ジュラポン・ポリアセタール樹脂、もしくは塩化ビニル樹脂、またはこれら任意の材料の混合材料を射出成形することにより形成される。ただし、ベルト押さえ部120aは、その基台側部分および凸部123の突出端により、貫通孔TH1に通される繊維材料等のベルトを挟み込むことで、当該ベルトとベルト押さえ部120a等の内面との間に摩擦力を生じさせるように構成される。つまり凸部123には、ベース部110の長手方向(着用者の体幅方向)にベルトが移動することを抑制する機能が求められる。この点に着目すると、摩擦に強い、ナイロン樹脂、ジュラポン・ポリアセタール樹脂等が用いられる。ナイロン樹脂であれば、コスト面でも有効である。また、少なくとも凸部123の先端部を、樹脂によって構成してもよい。安全帯のベルト部分とベルト押さえ部120a等の内面との間に摩擦力を生じさせるためである。同様に、ベルト挿通孔を規定する面、すなわちベルト押さえ部120a等の内面を樹脂によって構成してもよい。
【0039】
《ベルト通し》
また、
図1(A)に示すようにサポーターベルト100のベース部110の長手方向の両端部近傍には、安全帯のベルトが通されるベルト通し125が設けられる。このベルト通し125については、少なくとも安全帯のベルトがサポーターベルト100から外れないようにする機能を有していればよい。したがって、ベルト通し125は、ベルト押さえ部120aやベルト押さえ部120bのように、安全帯のベルトとの間で摩擦力を生じさせ、位置ずれを防止するものでなくてもよい。ただし、ベース部110の長手方向の両端部近傍に、ベルト通し125でなくベルト押さえ部120a等と同様の構造のベルト押さえ部120a等を設けてもよい。
【0040】
(使用例1)
次に、
図4および
図5を参照して、第1実施形態にかかるサポーターベルト100に安全帯を装着した状態の一例を説明する。
図4は、Y型ハーネスH1および胴ベルトTBを着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。また
図5は、Y型ハーネスH1、胴ベルトTBおよび第1実施形態のサポーターベルト100を着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。なお、
図4および
図5においては、Y型ハーネスH1、胴ベルトTBの着用者の背面側を示している。
【0041】
Y型ハーネスH1は、2本の肩ベルトSBを備える。
図4に示すように、肩ベルトSBは、着用者の両肩に対し前後に掛け回され、着用者の背部の上側で互いに重ねられ、端部が着用者の腰部の中央側へ向かって降ろされる。各肩ベルトSBにより着用者の背部にY字が形成される。
図4に示すように各肩ベルトSBが交わる部分にベルト同士の連結部材が設けられる場合がある。またこの各肩ベルトSBが交わる部分に、ランヤード(ロープまたストラップ、フック等;不図示)とハーネスとを連結する連結環が設けられる場合がある。なお、ランヤードは、ハーネスのベルトと親綱その他の取付設備等とを接続するものである。
【0042】
また、Y型ハーネスH1における肩ベルトSBそれぞれは、着用者の背部から腰部までの間において互いに重ねられているが、着用者の腰部から左右の腿へ向かって枝分かれする。
図4に示すように肩ベルトSBの端部には、着用者の腿それぞれに巻回される腿ベルトTHBが設けられている。
図4の例において、腿ベルトTHBは、立位姿勢の着用者の腿に対してほぼ水平に巻回される。以上、説明したように、Y型ハーネスH1においては、肩ベルトSB、腿ベルトTHBおよび図示しない胸ベルト等により着用者の身体を支持する。
【0043】
さらにY型ハーネスH1の着用者は、
図4に示すようにY型ハーネスH1とともに胴ベルトTBを着用する。また、胴ベルトTBにはサポーターベルト100が装着される。例えば胴ベルトTBには、一端に図示しないバックルが設けられている。着用者は胴ベルトTBの他端(バックルと反対側)をベルト通し125、ベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bおよびもう一つのベルト通し125に通すことにより、サポーターベルト100に対し胴ベルトTBを装着する。
【0044】
また上述の通り、本実施形態のベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとの配置間隔は、Y型ハーネスH1の肩ベルトSBのベルト幅に対応する。したがって、サポーターベルト100におけるベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとの間隔にY型ハーネスH1の肩ベルトSBを通すことができる。すなわち、サポーターベルト100に対しY型ハーネスH1を保持させることにより、サポーターベルト100を介して胴ベルトTBとY型ハーネスH1との相対的位置の位置ずれも抑制することが可能である。
【0045】
つまり、本実施形態のサポーターベルト100は、従来のサポーターベルトと同様に腰部の保護の機能を有するとともに、ハーネス型安全帯と、胴ベルト型安全帯との位置ずれを抑制するという新しい機能を有する。
【0046】
次に、Y型ハーネスH1および胴ベルトTBの着用順の一例を説明する。まず、上述の通りサポーターベルト100に胴ベルトTBが取り付けられる。さらにサポーターベルト100のベルト押さえ部120aとベルト押さえ部120bとの間にY型ハーネスH1の肩ベルトSBが通される。このようにしてサポーターベルト100と、Y型ハーネスH1と、胴ベルトTBとが一体になる。さらに着用者はまずY型ハーネスH1を背負うようにして肩ベルトSBを身体に装着する。また、着用者は胴ベルトTBを腰部に装着する。さらに着用者は腿ベルトや図示しない胸ベルトを装着する。このようにしてY型ハーネスH1と胴ベルトTBと、サポーターベルト100が着用者に装着される(
図5参照)。なお、この着用順は一例である。
【0047】
(使用例2)
次に、
図6を参照して、第1実施形態にかかるサポーターベルト100に胴ベルト型安全帯を装着した状態の一例を説明する。
図6は、第1実施形態のサポーターベルト100に胴ベルトTBを装着させた状態を示す概略外観図である。なお、
図6においては、サポーターベルト100が着用者の腰部に沿って撓められた状態を示している。
【0048】
例えば1本吊り状態で使用する胴ベルトの場合、ベルト部分の一端にバックル、ランヤードを取り付ける連結環等が設けられる。またU字吊り状態で使用する胴ベルトの場合、ベルトの一端側と他端側の双方に連結環が設けられる。
【0049】
着用者は、
図6に示すように胴ベルトTBの他端(バックルと反対側)をベルト通し125、ベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bおよびもう一つのベルト通し125に通すことにより、サポーターベルト100に対し胴ベルトTBを装着する。また、着用者はサポーターベルト100が取り付けられた胴ベルトTBを腰部に当てがい、バックルに上記胴ベルトTBの他端を通し、腰部に胴ベルトTBを仮止めする。さらに着用者はサポーターベルト100が腰部に沿い、緩衝部材130により腰部を確実に保護するよう、サポーターベルト100の位置を調整する。このとき、ベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bと、胴ベルトTBとの間には摩擦力が生じるが、位置調整は可能である。サポーターベルト100の位置調整が完了すると、さらに着用者は胴ベルトTBのバックル通された胴ベルトTBのベルトを締め、胴ベルトTBの装着を完了させる。着用者はサポーターベルト100ごと胴ベルトTBを取り外し、次の使用時まで、これらを一体として保管する。
【0050】
(作用・効果)
以上説明した第1実施形態にかかるサポーターベルト100の作用および効果について説明する。
【0051】
本実施形態のサポーターベルト100は、ベース部110の一面に基台121を固定し、かつ基台121にベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bを固定している。またベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bには、それぞれベース部110の長手方向(着用時の体幅方向に対応)に貫通された貫通孔TH1が設けられる。この貫通孔TH1には、安全帯のベルト部分が通される。さらにベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bには、貫通孔TH1を狭める方向に突出する凸部123が設けられる。貫通孔TH1において凸部123の突出面は、貫通孔TH1に挿通される安全帯のベルトの一面に接する。したがって、サポーターベルト100に胴ベルトTBが通された時、凸部123の突出面と、当該突出面と対向するベルト押さえ部120a等の内面とにより、安全帯のベルトが挟み込まれる構成である。
【0052】
このような構成によれば、着用者が一旦、胴ベルトTBをサポーターベルト100のベルト押さえ部120a、ベルト押さえ部120bに通した後は、サポーターベルト100を押さえて、胴ベルトTBをベルト押さえ部120a等から外す動作(ベース部110の長手方向への摺動)を行わないと、胴ベルトTBとサポーターベルト100との相対的位置は変更されにくくなる。よって、本実施形態のサポーターベルト100では、サポーターベルト100と胴ベルトTBとの位置ずれが効果的に防止される。
【0053】
例えば、上記使用例2では、着用者が作業を終えてサポーターベルト100ごと胴ベルトTBを取り外したときにもベルト押さえ部120a等と胴ベルトTBとの間の摩擦力により位置ずれが生じにくい。また、取り外された胴ベルトTBをいずれかの場所に載置するときにおいても摩擦力により位置ずれが生じにくい。したがって、次にサポーターベルト100ごと胴ベルトTBを装着するときにサポーターベルト100の位置の調整を再度やり直すという煩雑な作業を省略することができる。
【0054】
従来のサポーターベルトの場合、胴ベルトTBの取り外しのときや、胴ベルトTBの載置、保管状態によって、載置と胴ベルトとの位置ずれが生じやすい。胴ベルトTBに腰袋や任意の器具を取り付けている場合、サポーターベルトの位置の再調整を行うと、腰袋や任意の器具の取り付け直しという煩雑な作業が生じる。この点、本実施形態のサポーターベルト100においては、その作業も省略することが可能である。
【0055】
また上記使用例1においては、上記使用例2における効果の他、次のような効果を有する。すなわち、胴ベルトTBとおよびY型ハーネスH1の相対的位置がサポーターベルト100を介して保持されているので、着用者が胴ベルトTBおよびY型ハーネスH1をまとめて身体から取り外すときに、位置ずれの発生を抑制することができる。さらに位置ずれの発生を抑制しつつ、これらを一体として載置、保管することが可能である。
【0056】
(変形例1)
次に、上記第1実施形態の変形例1について
図7を参照して説明する。
図7は、第1実施形態の変形例1にかかるベルト押さえ部120a(120b)の概要を示す概略側面図である。
【0057】
上記第1実施形態においては、ベルト押さえ部120a(ベルト押さえ部120b)において、貫通孔TH1を狭める一方向に突出する凸部123が設けられている。しかしながら第1実施形態はこれに限られない。例えば
図7に示すように、ベルト押さえ部120a(ベルト押さえ部120b)の突出側部分から基台121側に突出する凸部123aだけでなく、基台121側を基部としてベース部110から離れる方向(ベース部110の一面と直交する方向)に突出する凸部123bを備えてもよい。この場合、凸部123aと凸部123bの双方により貫通孔TH2が狭められる。また、凸部123aと凸部123bとの間隔は、長くとも安全帯のベルトの厚さと同程度である。つまり凸部123の突出面と、ベルト押さえ部120aの間の長さを、胴ベルト等の厚さより若干短くしてもよい。
【0058】
したがって、この変形例1にかかるサポーターベルト100においては、凸部123aの突出面と、凸部123bの突出面とで、挿通される安全帯のベルト部分を挟むことになる。凸部123aおよび凸部123bの突出面の材料によっては、当該各端面と安全帯のベルト部分との摩擦力が大きくなり、ベース部110の長手方向における位置ずれを効果的に抑制することが可能である。
【0059】
(変形例2)
次に、上記第1実施形態の変形例2について
図8を参照して説明する。
図8(A)は、第1実施形態の変形例2にかかるベルト押さえ部120a(120b)の概要を示す概略側面図である。
図8(B)は、第1実施形態の変形例2にかかるベルト押さえ部120a(120b)の概要を示す概略底面図である。
【0060】
上記第1実施形態においては、ベルト押さえ部120a(ベルト押さえ部120b)に、貫通孔TH1を狭める方向に突出する凸部123を設けることにより、挿通される安全帯のベルト部分の位置ずれを防止する構成である。しかしながら、他の構成とすることも可能である。例えば
図8(A)に示すように、ベルト押さえ部120aの貫通孔TH3を塞ぐ弾性材料または可撓性材料からなるゲート部Gを設けてもよい。ゲート部Gは、ベルト押さえ部120aの突出側部分を基部として、基台121側がベース部110の長手方向に回動可能であり、いわゆる暖簾型に形成される(
図8(B)参照)。ゲート部Gの基台側の端部は、ベルト押さえ部120aの基台121側に接していてもよく、当該端部がベルト押さえ部120aの基台121側から僅かに離れるように形成されていてもよい。ゲート部Gの端部と当該基台121側部分との間に間隙を設ける場合、その間隙は安全帯のベルト部分の厚さより短く形成される。
【0061】
この変形例2におけるベルト押さえ部120a(またはベルト押さえ部120b)に対して安全帯のベルト部分を挿通させるとき、当該ベルト部分の端部が、弾性材料等からなるゲート部Gをベース部110から離れる方向に押し上げ、当該端部が回動される(
図8(B)参照)か、あるいはゲート部Gが撓められる。このようにしてベルト押さえ部120a等に安全帯のベルト部分を挿通させることが可能である。また、変形例2のベルト押さえ部120a等の貫通孔TH3(
図8(A))に安全帯のベルト部分が挿通された後は、当該ベルト部分は、ゲート部Gの基台121側の端部とベルト押さえ部120a等の基台121側部分に挟まれる。これによって安全帯のベルト部分をベース部110の長手方向に移動させようとしても、摩擦力によりサポーターベルト100と安全帯との相対的位置を保持することが可能である。
【0062】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態にかかるサポーターベルト200の概要について
図9(A)および
図9(B)を参照して説明する。
図9(A)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200の概略正面図である。
図9(B)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200の概略底面図である。なお、第1実施形態と共通の部分については説明を割愛する。
【0063】
第2実施形態にかかるサポーターベルト200の全体構成の概要について
図9(A)および
図9(B)を参照して説明する。
図9(A)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200の一例を示す概略正面図である。
図9(B)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200の概略底面図である。
図9(A)に示すように、サポーターベルト200は、帯状または板状のベース部210に対し、ガイド帯240aおよびガイド帯240bと、ベルト通し225が取り付けられて構成されている。なお、
図9(A)における破線はベース部210にガイド帯240a、ガイド帯240bおよび緩衝部材230を固定するための縫着線を示している。
【0064】
なお、ベース部210については第1実施形態にかかるベース部110と同様の構成を有するため、説明を割愛する。
【0065】
(ベルト押さえ部、ガイド帯)
ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dは、サポーターベルト200に胴ベルト等の安全帯を装着するための安全帯の保持部分である。第2実施形態においてベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cは、ガイド帯240aによって、ベース部210の長手方向に移動可能に保持されている。この具体的構成について
図9(B)を参照して説明する。
【0066】
図9(B)に示すようにガイド帯240aは、一端がベース部210の長手方向の中間位置に固定され、他端がベース部210の長手方向の一端部に固定されている。ガイド帯240aは縫着や接着等、固定状態を維持できる任意の方法でベース部210に固定される。また、
図9(A)に示すようにガイド帯240aは、帯状に形成され、短手方向(幅方向)がベース部210の短手方向に対応し、対する長手方向(長さ方向)がベース部210の長手方向に対応する。また
図9(B)に示すように、ガイド帯240aはベース部210と離れる方向に湾曲して設けられる。
【0067】
ただし後述するように、安全帯のベルト部分がベルト押さえ部220a等に挿通されることにより、ベルト押さえ部220a等がベース部210側に押されて、ベルト押さえ部220a等が少なくともベース部210に接することが必要である(
図10(B)参照)。したがって、ガイド帯240aとベース部210との間隔を開け過ぎないように構成される。さらに、ガイド帯240aとベース部210とは、ガイド帯240aに挿通されたベルト押さえ部220a等がガイド帯240aにガイドされて摺動可能な程度の間隔が必要である。
【0068】
ガイド帯240aの厚さはベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cの貫通孔TH4の高さと安全帯のベルト部分の厚さに基づいて定められる。すなわち、各貫通孔TH4には安全帯のベルト部分が通され、かつベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cが移動可能である必要がある。したがって、ガイド帯240aは、貫通孔TH4に安全帯のベルト部分が通された状態で、ベルト押さえ部220a等をベルトに沿って(ガイドされて)移動できる程度の厚さに形成される。
【0069】
ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cは、第1実施形態にかかるベルト押さえ部120a等とほぼ同じ構成を有する。ただし、第1実施形態のベルト押さえ部120a等は、その貫通孔TH1に安全帯のベルト部分を挿通させることが可能な幅および高さに形成されればよいのに対し、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cには、安全帯のベルト部分だけでなく、上述の通りガイド帯240aも通される。したがって、ベルト押さえ部220a等の貫通孔(不図示)は、第1実施形態よりガイド帯240a等の厚さの分だけ高く形成される。なお、この「高さ」とは、ベルト押さえ部220aにおいて、ベース部210から離れる方向の長さである。また、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cにおけるベース部210側の面(外面)は、樹脂等により構成され、ベース部210と接することにより摩擦力を生じる。
【0070】
このような構成によれば、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cは、それぞれの貫通孔にガイド帯240aを通すことにより、ガイド帯240aにガイドされて、ガイド帯240aの長手方向の一端から他端までの範囲でその位置を変更することが可能である。
【0071】
ガイド帯240bは、
図9(B)に示すように一端がベース部210の長手方向の中間位置に固定され、他端がベース部210の長手方向の端部に固定されている。このベース部210の長手方向の端部とは、ガイド帯240aの一端が固定されている一端部に対する他端部である。その他の構成はガイド帯240bと同様である。すなわち、ガイド帯240aとガイド帯240bとはベース部210の長手方向における中間位置を挟んで対称となるように構成されている。
【0072】
ガイド帯240bには、ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dが通される。このベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dは、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cと同様の構成を有する。なお、ガイド帯240aとガイド帯240bを分けずに1つのガイド帯として構成してもよい。
【0073】
(ベルト押さえ部の固定方法)
第2実施形態のサポーターベルト200において、ベース部210に対してベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dの位置を固定する方法について
図10(A)および
図10(B)を参照して説明する。
図10(A)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200に胴ベルトTBを装着させた状態を示す概略外観図である。
図10(B)は、第2実施形態にかかるサポーターベルト200に胴ベルトTBを装着させた状態を示す概略平面図である。なお、
図10(A)および
図10(B)は、サポーターベルト200と胴ベルトTBが着用者の腰部に沿って撓められ、湾曲された状態を示している。
【0074】
図10(A)および
図10(B)に示すようにベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cは、それぞれの貫通孔(不図示)に胴ベルトTBが挿通されると、ガイド帯240aごとベース部210側に押し付けられる。したがって、ベルト押さえ部220a等とベース部210との間に摩擦力が生じ、その摩擦力により、ベース部210に対するベルト押さえ部220a等の位置が保持される。したがって、ベルト押さえ部220aは、着用者によりガイド帯240a上で移動されない限り、ベース部210に対するその位置が留められる。ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220d、ならびにガイド帯240bも同様である。
【0075】
ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dには、第1実施形態にかかるベルト押さえ部120aの凸部123と同様の構成の凸部(不図示)が設けられている。したがって、ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dに通された安全帯は、凸部との間の摩擦力により、ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dに対する位置が保持される。それに加えて、ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dがベース部210に対する位置が保持されているので、ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dに通された安全帯もベース部210に対する位置が保持される。
【0076】
(使用例3)
次に、
図11および
図12を参照して、第2実施形態にかかるサポーターベルト200に安全帯を装着した状態の一例を説明する。
図11は、X型ハーネスH2および胴ベルトTBを着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。
図12は、X型ハーネスH2、胴ベルトTBおよび第2実施形態のサポーターベルト200を着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。なお、
図11および
図12においては、X型ハーネスH2、胴ベルトTBの着用者の背面側を示している。
【0077】
X型ハーネスH2は、2本の肩ベルトSBを備える。
図11に示すように、肩ベルトSBは、着用者の両肩に対し前後に掛け回され、着用者の背部の上側で交差される。したがって、各肩ベルトSBにより着用者の背部に略X字が形成される。また、この各肩ベルトSBの交差部において、各肩ベルトSBを連結する連結部Jが設けられる。また、左肩に掛けられた肩ベルトSBは、連結部Jを通り、さらに着用者の腰部における右の腰骨より、やや腰部中央側の位置を通り、腿ベルトまで到達する。同様に右肩に掛けられた肩ベルトSBは、連結部Jを通り、さらに着用者の腰部における左の腰骨より、やや腰部中央側の位置を通り、腿ベルトまで到達する。
【0078】
またこの各肩ベルトSBの交差部分にある連結部Jに、ランヤードとハーネスとを連結する連結環が設けられる場合がある。上述したX型ハーネスH2においては、肩ベルトSB、腿ベルトTHBおよび図示しない胸ベルト等により着用者の身体を支持する。なお、
図11、
図12において例示される腿ベルトTHBは立位姿勢の着用者の腿に対してほぼ水平に巻回される。
【0079】
さらにX型ハーネスH2においても、着用者はX型ハーネスH2とともに胴ベルトTBを着用する。また、胴ベルトTBにはサポーターベルト200が装着される。例えば着用者は胴ベルトTBにおけるバックルが無い方の端部を、一方のベルト通し225、ベルト押さえ部220a等、および他方のベルト通し225に通すことにより、サポーターベルト200に対し胴ベルトTBを装着する。
【0080】
このとき、サポーターベルト200には、胴ベルトTBだけでなく、X型ハーネスH2を装着することも可能である。サポーターベルト200とX型ハーネスH2との装着について以下、説明する。
【0081】
上述の通り、サポーターベルト200においては、ベルト押さえ部220a等に安全帯のベルト部分を通す前、および通した後のいずれの状態においてもベース部210に対する位置を変更することが可能である。したがって、X型ハーネスH2の一方の肩ベルトSB(
図12では腰部左側)がガイド帯240aと交わる部分において、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cにより、ベース部210の長手方向(左右方向)において当該肩ベルトSBを挟むことも可能である(
図12)。それにより、サポーターベルト200と、胴ベルトTBと、X型ハーネスH2の肩ベルトSBとの相対的位置を保持することが可能である。
【0082】
他方の肩ベルトSBについてもガイド帯240bと交わる部分(
図12では腰部右側)において、ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dにより、当該肩ベルトSBを挟むことも可能である。それにより、サポーターベルト200と、胴ベルトTBと、X型ハーネスH2の肩ベルトSBとの相対的位置を保持することが可能である。
【0083】
つまり、サポーターベルト200に安全帯を装着することで、ベース部210に対するベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cの位置が留められる。さらにベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cの間に肩ベルトSBを挟むように通すことで、一方の肩ベルトSBとベース部210の相対的位置も保持される。またサポーターベルト200に安全帯を装着することで、ベース部210に対するベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dの位置が留められる。さらにベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dの間に肩ベルトSBを挟むように通すことで、他方の肩ベルトSBとベース部210の相対的位置も保持される。
【0084】
(使用例4)
次に、
図13および
図14を参照して、第2実施形態にかかるサポーターベルト200に安全帯を装着した状態の他の例を説明する。
図13は、X型ハーネスH3および胴ベルトTBを着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。
図14は、X型ハーネスH3、胴ベルトTBおよび第2実施形態のサポーターベルト200を着用者に装着させた状態を示す概略外観図である。なお、
図13および
図14においては、X型ハーネスH2、胴ベルトTBの着用者の背面側を示している。
【0085】
X型ハーネスH3とX型ハーネスH2とは、腿ベルトTHBの構成において異なる。すなわちX型ハーネスH2(
図11)において、腿ベルトTHBは、立位姿勢の着用者の腿に対してほぼ水平に巻回されるのに対し、X型ハーネスH3(
図13)における腿ベルトTHBは、恥骨近傍から股関節を通り腰骨に到達し、また始点の恥骨近傍に戻ってくるように腿に巻回される。腿ベルトTHBがこのような構成であることから、X型ハーネスH3においては、両肩から降ろされた肩ベルトSBそれぞれは、着用時の腰骨あたりの位置で腿ベルトTHBに接続される(
図13)。これにより各肩ベルトSBの交差角もX型ハーネスH2と異なる。
【0086】
したがって、X型ハーネスH3では、左肩に掛けられた肩ベルトSBは、連結部Jを通り、さらに着用者の腰部背面における右の腰骨に対応する位置で胴ベルトTBと交わる。同様にX型ハーネスH3における右肩に掛けられた肩ベルトSBは、連結部Jを通り、さらに着用者の腰部背面における左の腰骨に対応する位置で胴ベルトTBと交わる。
【0087】
このようなX型ハーネスH3は、サポーターベルト200に対し、次のように装着される。すなわち、X型ハーネスH3の一方の肩ベルトSBがガイド帯240aと交わる部分(
図14では左の腰骨近傍)において、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cにより、ベース部210の長手方向(左右方向)において当該肩ベルトSBを挟むことにより、サポーターベルト200と、胴ベルトTBと、X型ハーネスH2の肩ベルトSBとの相対的位置を保持することが可能である。
【0088】
他方の肩ベルトSBについてもガイド帯240bと交わる部分(
図14では右の腰骨近傍)において、ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dにより、当該肩ベルトSBを挟むことにより、サポーターベルト200と、胴ベルトTBと、X型ハーネスH2の肩ベルトSBとの相対的位置を保持することが可能である。
【0089】
(その他の使用例)
第1実施形態と同様に、第2実施形態にかかるサポーターベルト200も1本吊り状態やU字吊り状態で使用する胴ベルトに装着されることが可能である。また、Y型ハーネスH1についてもサポーターベルト200に装着されることが可能である。すなわち、ベルト押さえ部220aとベルト押さえ部220bの間にY型ハーネスH1の肩ベルトSBを挟むように通すことで、サポーターベルト200はサポーターベルト100と同様に機能する。
【0090】
(作用・効果)
以上説明した第2実施形態にかかるサポーターベルト200の作用および効果について説明する。
【0091】
本実施形態のサポーターベルト200は、ベース部210の一面に、ベース部210の中間位置を挟んで対称となるようにガイド帯240aとガイド帯240bとが固定されている。また、ガイド帯240aは、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cを移動可能に保持している。ガイド帯240bは、ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dを移動可能に保持している。ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dは、高さを除いて、第1実施形態のベルト押さえ部120aや、ベルト押さえ部120bと同様の構成である。
【0092】
また、ベルト押さえ部220aおよびベルト押さえ部220cは、それぞれの貫通孔に胴ベルトTBが挿通されると、ガイド帯240aごとベース部210側に押し付けられる。したがって、ベルト押さえ部220a等とベース部210との間に摩擦力が生じ、その摩擦力により、ベース部210に対するベルト押さえ部220a等の位置が保持される。ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dと、ガイド帯240bとの関係も同様である。
【0093】
このような構成によれば、着用者が一旦、胴ベルトTBをベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dに通した後は、サポーターベルト200を押さえつつ胴ベルトTBを意図的に取り外す動作を行わないと、胴ベルトTBとサポーターベルト200との相対的位置は変更されにくくなる。よって、本実施形態のサポーターベルト200では、サポーターベルト200と胴ベルトTBとの位置ずれが効果的に防止される。
【0094】
さらに、サポーターベルト200では、ベルト押さえ部220a〜ベルト押さえ部220dの位置が可変であるため、Y型ハーネスH1、X型ハーネスH2、X型ハーネスH3のような異なる構造のハーネス型安全帯のいずれにも対応することができ、かつ第1実施形態で説明したように、胴ベルト、ハーネスおよびサポーターベルトの相対的位置を保持できる。
【0095】
(変形例3)
次に、上記第2実施形態の変形例3について説明する。上記第2実施形態においては、ガイド帯240aに対しベルト押さえ部220a、ベルト押さえ部220cが設けられ、ガイド帯240bに対し、ベルト押さえ部220bおよびベルト押さえ部220dが設けられている。しかしながら第2実施形態はこれに限られない。例えばガイド帯240aおよびガイド帯240bに対し、それぞれ1つのベルト押さえ部を設けるだけでもよい。
【0096】
Y型ハーネスH1、X型ハーネスH2またはX型ハーネスH3を着用する者は、胴ベルトTBを併用すればサポーターベルト200を着用することができる。また、胴ベルトTBと各ハーネスとは、例えば着用者の前面において胴ベルトホルダ(例えば特開2012−075672の
図3等参照)により連結されている場合がある。この胴ベルトホルダは、ハーネスと胴ベルトと連結されることで、ハーネスと胴ベルトとの上下方向(着用者の頭足方向)における位置関係を保持することができる。したがって、着用者は、胴ベルトとハーネスとの連結を維持したまま、胴ベルトとハーネスとをその身体から取り外すことが可能である。
【0097】
しかしながら、上記胴ベルトホルダによって、ハーネスと胴ベルトとの上下方向における位置関係を保持することができるものの、胴ベルトホルダだけでは、左右方向(着用者の身幅方向)の位置ずれが生じるおそれがある。この点、この変形例3におけるサポーターベルト200においてこの左右方向の位置ずれを抑制することが可能である。
【0098】
例えば、まず着用者は、X型ハーネスH2またはX型ハーネスH3の肩ベルトSBが胴ベルトTBと交わる部分を把握する。さらにベルト押さえ部を移動することにより、肩ベルトSBに対し、ベルト押さえ部を着用者の腰部中央側に隣接させる。そうすると、ガイド帯240aにおける1つのベルト押さえ部は、腰部左側にある肩ベルトSBに対し右側に隣接する。同様にガイド帯240bにおける1つのベルト押さえ部は、腰部右側にある肩ベルトSBに対し左側に隣接する。これを言い換えると、各肩ベルトSBに対し、ベルト押さえ部が内側に隣接する。これは、
図12においてベルト押さえ部220cおよびベルト押さえ部220dを除去した状態とすることができる。またX型ハーネスH3であれば
図14に示す状態として説明することができる。
【0099】
この状態において腰部左側の肩ベルトSBを、右側に移動させる力が働くと、隣接するガイド帯240aのベルト押さえ部に当接してその移動が遮られる。
【0100】
また、腰部左側の肩ベルトSBを、左側に移動させる力が働くと、各肩ベルトSBの交差位置における連結部Jを介して、腰部右側の肩ベルトSBにも左側に移動させる力が働く。しかしながら、腰部右側の肩ベルトSBの左側にはガイド帯240bにおけるベルト押さえ部が隣接しているので、腰部右側の肩ベルトSBはベルト押さえ部に当接してその移動が遮られる。その結果、連結部Jを介して腰部右側の肩ベルトSBと腰部左側の肩ベルトSBとが連結されているため、腰部左側の肩ベルトSBの左側への移動も遮られる。
【0101】
以上の作用は、腰部右側の肩ベルトSBに左方向の力が働く場合、および腰部右側の肩ベルトSBに右方向の力が働く場合についても同様である。
【0102】
したがって、サポーターベルト200のガイド帯240aおよびガイド帯240bがそれぞれ1つのベルト押さえ部を有している構成においても、胴ベルトホルダを併用することにより、上記第2実施形態のサポーターベルト200と同様の効果を得ることができる。
【0103】
なお、上記第1実施形態の変形例1にかかるベルト押さえ部は、第2実施形態のサポーターベルト200に適用することも可能である。
【0104】
また、上記第1実施形態のサポーターベルト100をX型ハーネスH2およびX型ハーネスH3に対応させることも可能である。例えば基台121、ベルト押さえ部120aおよびベルト押さえ部120bの組み合わせの位置を、胴ベルトTBと各肩ベルトSBの交差部に対応させればよい。この場合、当該組み合わせは左右1つずつ2つ設けられる。さらにY型ハーネスH1、X型ハーネスH2、X型ハーネスH3の全てに対応可能なように、各ハーネスの肩ベルトSBが胴ベルトTBと交わる位置に基台121、ベルト押さえ部120aおよびベルト押さえ部120bの組み合わせを設ければよい。
【0105】
なお、各ハーネスにおける肩ベルトSBは、「実質的に縦方向の帯」の一例に該当する。また、上記説明において、「胴ベルトおよびハーネスの一方または双方において、サポーターベルトの相対的位置を保持する」こと、「肩ベルトSBの左方向、右方向への移動を、ベルト押さえ部が直接的または間接的に遮る」ことは、「縦方向の帯の横方向への移動を制限すること」の一例に該当する。
【0106】
この発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。