特許第6140004号(P6140004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140004
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】電圧出力回路、及び、車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20170522BHJP
   F02D 41/22 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G05F1/10 302D
   F02D41/22 305L
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-132483(P2013-132483)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7865(P2015-7865A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久米 正義
(72)【発明者】
【氏名】小松 和弘
(72)【発明者】
【氏名】木戸 啓介
【審査官】 小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/013692(WO,A1)
【文献】 特開2007−236194(JP,A)
【文献】 特開2012−231667(JP,A)
【文献】 特開2003−097342(JP,A)
【文献】 米国特許第04191151(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
F02D 41/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を外部に出力する電圧出力回路であって、
外部に設けられた、排気ガス中の酸素濃度に対応した電圧を出力する濃度センサの出力電圧が入力される非反転入力端子、第1反転入力端子及び第2反転入力端子を有する誤差アンプと、
前記誤差アンプの出力電圧を前記濃度センサ及び前記第1反転入力端子に出力する第1出力バッファと、
前記誤差アンプの出力電圧を前記第2反転入力端子に出力する第2出力バッファと、
前記第1出力バッファと第1反転入力端子との接続、及び、第2出力バッファと第2反転入力端子との接続を切り替える切替手段と、
前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段と、
を備え
前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続することを特徴とする電圧出力回路。
【請求項2】
請求項に記載の電圧出力回路において、
前記非反転入力端子には、外部に設けられた定電流回路が接続されており、
前記駆動制御手段は、前記定電流回路が電流を印加する期間に第1出力バッファを停止させ、電流を印加しない期間に第1出力バッファを駆動させることを特徴とする電圧出力回路。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか1項に記載の電圧出力回路において、
前記切替手段は、
前記第1出力バッファと第1反転入力端子との間に設けられた第1スイッチと、
前記第2出力バッファと第2反転入力端子との間に設けられた第2スイッチと、
を含むことを特徴とする電圧出力回路。
【請求項4】
請求項に記載の電圧出力回路において、
前記第1スイッチ及び第2スイッチは、切替信号によりオン及びオフが制御されるようになっており、
前記第1スイッチの切替信号及び前記第2スイッチの切替信号は、互いに論理レベルが逆転した信号であることを特徴とする電圧出力回路。
【請求項5】
請求項に記載の電圧出力回路において、
前記駆動制御手段は、前記第1出力バッファに電力を供給する電源と第1出力バッファとの間に設けられたバッファ用スイッチを含み、
前記バッファ用スイッチは、前記第1スイッチの切替信号と同じ信号でオン及びオフが制御されることを特徴とする電圧出力回路。
【請求項6】
車両の内燃機関における空気と燃料の混合比である空燃比を制御する車両制御システムであって、
排気ガス中の酸素濃度に対応した電圧を出力する濃度センサと、
前記濃度センサの出力電圧を入力して、該入力電圧を前記濃度センサにフィードバックする電圧出力回路と、
を備え、
前記電圧出力回路は、
前記濃度センサの出力電圧が入力される非反転入力端子、第1反転入力端子及び第2反転入力端子を有する誤差アンプと、
前記誤差アンプの出力電圧を前記濃度センサ及び前記第1反転入力端子に出力する第1出力バッファと、
前記誤差アンプの出力電圧を前記第2反転入力端子に出力する第2出力バッファと、
前記第1出力バッファと第1反転入力端子との接続、及び、第2出力バッファと第2反転入力端子との接続を切り替える切替手段と、
前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段と、
を備え
前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続することを特徴とする車両制御システム。
【請求項7】
請求項に記載の車両制御システムにおいて、
前記電圧出力回路は、
前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段をさらに備え、
前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続することを特徴とする車両制御システム。
【請求項8】
請求項に記載の車両制御システムにおいて、
前記濃度センサと前記誤差アンプの非反転入力端子との間に定電流回路が接続されており、
前記駆動制御手段は、前記定電流回路が電流を印加する期間に第1出力バッファを停止させ、電流を印加しない期間に第1出力バッファを駆動させることを特徴とする車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の混合気体の空燃比を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車には、内燃機関における空気と燃料との混合比(空燃比)を導出し、空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射等を制御する空燃比制御装置が設けられている。空燃比制御装置は、排気ガス中の酸素濃度を測定するセンサから取得した酸素濃度に応じて、燃料が最適な量となるように燃料噴射装置を制御する。
【0003】
図1は、従来の空燃比制御装置90の概要を示す図である。図1に示すように、空燃比制御装置90は、A/Fセンサ部91と、電圧バッファ部92と、VI変換部93とを備えている。A/Fセンサ(Air by Fuel ratio sensor)部91は、排気ガス中の酸素濃度を測定するセンサであり、酸素濃度に対応する電圧を電圧バッファ部92に対して出力する。
【0004】
電圧バッファ部92は、A/Fセンサ部91から入力した電圧を後段のVI変換部93に出力するバッファである。電圧バッファ部92は、誤差アンプ94と、出力バッファ95と、スイッチ96と、位相補償コンデンサ97とを備えている。また、これら誤差アンプ94と出力バッファ95とでオペアンプを構成している。
【0005】
A/Fセンサ部91から出力された電圧は、誤差アンプ94の非反転入力端子に入力され、誤差アンプ94の出力は出力バッファ95に入力される。出力バッファ95の出力は、誤差アンプ94の反転入力端子に入力される。つまり、オペアンプはボルテージフォロア接続されている。また、出力バッファ95の出力は、VI変換部93にも入力される。位相補償コンデンサ97は、誤差アンプ94と出力バッファ95との接続点とグランドとの間に設けられている。また、スイッチ96は、出力バッファ95と、この出力バッファ95に電力を供給する電源との間に接続されている。このスイッチ96をオン又はオフすることで、出力バッファ95の動作を駆動又は停止させる。
【0006】
VI変換部93は、入力した電圧に対応する電流を生成する。VI変換部93で変換された電流は、A/Fセンサ部91に印加される。すなわち、A/Fセンサ部91には、電圧バッファ部92から出力された電圧に対応する電流が流れる。A/Fセンサ部91に流れる電流値をモニタすることで、空燃比を導出することができる。そして、空燃比制御装置90は、この電流値に基づいて、空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射を制御する。
【0007】
なお、A/Fセンサ部91による酸素濃度の測定精度は、A/Fセンサ部91の温度に依存する。また、A/Fセンサ部91は、温度に応じてインピーダンスが変化する。このため、空燃比制御装置90は、定期的にA/Fセンサ部91のインピーダンスを測定することで、酸素濃度の測定に適切な温度であるか否かを判定している。具体的には、不図示の定電流回路から所定の電流をA/Fセンサ部91に流し、その際の電圧を測定することでインピーダンスを測定している。
【0008】
しかしながら、インピーダンス測定のために電流を流すと、A/Fセンサ部91には、その測定のために流した電流に起因する電圧が発生する。そして、発生した電圧がA/Fセンサ部91から電圧バッファ部92を介してVI変換部93に出力されると、空燃比を導出するための電圧として検出されてしまう。これにより、誤った空燃比が導出され、空燃比制御装置90が意図しない燃料噴射制御をしてしまう可能性がある。
【0009】
このため、A/Fセンサ部91のインピーダンスを測定する間は、電圧バッファ部92を停止して出力を保持する必要がある。そこで、空燃比制御装置90は、A/Fセンサ部91のインピーダンス測定期間は、スイッチ96をオフにして出力バッファ95の動作を停止させることで、電圧バッファ部92の出力をHiインピーダンスにして出力電圧を保持している。なお、本発明と関連する技術としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-203131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、スイッチ96をオフして出力バッファ95の動作を停止しても、誤差アンプ94は動作し続けている。つまり、オペアンプの負帰還制御は続いている。この場合、電圧バッファ部92に入力する電圧は変動しているのに対して、電圧バッファ部92の出力は保持された状態であるため、誤差アンプ94の出力電圧が変動する。すなわち、位相補償コンデンサ97の電位VAがHi又はLoに張り付いている状態(飽和状態)になる。この状態でスイッチ96をオフからオンに切り替えると、電圧バッファ部92から異常な値の電圧が出力されてしまう。
【0012】
これについて図2に基づいて説明する。図2は、電圧バッファ部92の各種信号の変化を示すタイムチャートである。図2中において、入力信号は、誤差アンプ94の非反転入力端子に入力される電圧信号である。また、スイッチ信号は、スイッチ96のオン又はオフを切り替えるための信号である。VAは、位相補償コンデンサ97の電位を示す信号である。また、出力信号は、電圧バッファ部92から出力される電圧信号である。
【0013】
図2に示すタイムチャートの開始時点では、スイッチ96はオンしており、出力バッファ95は動作している。この場合、入力信号と出力信号とは同じ電圧であるため、位相補償コンデンサ97の電位VA(誤差アンプの出力電圧)は、一定である。
【0014】
時点T10において、スイッチ96がオフになると、出力バッファ95は停止して電圧バッファ部92の出力がHiインピーダンスとなるため、出力電圧は保持される。一方、入力信号は変動しているため、誤差アンプ94は、出力信号を入力信号に追従させるように出力の電圧を制御する。このため、入力信号が出力信号よりも高い場合には位相補償コンデンサ97の電位VAがHiに張り付き、入力信号が出力信号よりも低い場合には位相補償コンデンサ97の電位VAがLoに張り付くことになる。
【0015】
そして、時点T11において、例えば、位相補償コンデンサ97の電位VAがHiに張り付いた状態でスイッチ96をオフからオンに切り替えると、入力信号の電圧が高いうえにさらに出力させようとするため、電圧バッファ部90は、所望の値を超える異常な電圧を出力してしまう。また、位相補償コンデンサ97の電位が一定の値に復帰するまでの期間(時点T11から時点T12まで)においても、電圧バッファ部90が異常な電圧を出力し続けることになる。その結果、空燃比制御装置90が誤動作する等の問題が生じる。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電圧バッファ部の出力をHiインピーダンスにした状態から復帰する際に、空燃比を制御する装置が誤動作することを回避する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、入力電圧を外部に出力する電圧出力回路であって、外部に設けられた、排気ガス中の酸素濃度に対応した電圧を出力する濃度センサの出力電圧が入力される非反転入力端子、第1反転入力端子及び第2反転入力端子を有する誤差アンプと、前記誤差アンプの出力電圧を前記濃度センサ及び前記第1反転入力端子に出力する第1出力バッファと、前記誤差アンプの出力電圧を前記第2反転入力端子に出力する第2出力バッファと、前記第1出力バッファと第1反転入力端子との接続、及び、第2出力バッファと第2反転入力端子との接続を切り替える切替手段と、前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段と、を備え、前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続する
【0019】
また、請求項の発明は、請求項に記載の電圧出力回路において、前記非反転入力端子には、外部に設けられた定電流回路が接続されており、前記駆動制御手段は、前記定電流回路が電流を印加する期間に第1出力バッファを停止させ、電流を印加しない期間に第1出力バッファを駆動させる。
【0020】
また、請求項の発明は、請求項1または2のいずれか1項に記載の電圧出力回路において、前記切替手段は、前記第1出力バッファと第1反転入力端子との間に設けられた第1スイッチと、前記第2出力バッファと第2反転入力端子との間に設けられた第2スイッチと、を含む。
【0021】
また、請求項の発明は、請求項に記載の電圧出力回路において、前記第1スイッチ及び第2スイッチは、切替信号によりオン及びオフが制御されるようになっており、前記第1スイッチの切替信号及び前記第2スイッチの切替信号は、互いに論理レベルが逆転した信号である。
【0022】
また、請求項の発明は、請求項に記載の電圧出力回路において、前記駆動制御手段は、前記第1出力バッファに電力を供給する電源と第1出力バッファとの間に設けられたバッファ用スイッチを含み、前記バッファ用スイッチは、前記第1スイッチの切替信号と同じ信号でオン及びオフが制御される。
【0023】
また、請求項の発明は、車両の内燃機関における空気と燃料の混合比である空燃比を制御する車両制御システムであって、排気ガス中の酸素濃度に対応した電圧を出力する濃度センサと、前記濃度センサの出力電圧を入力して、該入力電圧を前記濃度センサにフィードバックする電圧出力回路と、を備え、前記電圧出力回路は、前記濃度センサの出力電圧が入力される非反転入力端子、第1反転入力端子及び第2反転入力端子を有する誤差アンプと、前記誤差アンプの出力電圧を前記濃度センサ及び前記第1反転入力端子に出力する第1出力バッファと、前記誤差アンプの出力電圧を前記第2反転入力端子に出力する第2出力バッファと、前記第1出力バッファと第1反転入力端子との接続、及び、第2出力バッファと第2反転入力端子との接続を切り替える切替手段と、前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段と、を備え、前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続する
【0024】
また、請求項の発明は、請求項に記載の車両制御システムにおいて、前記電圧出力回路は、前記第1出力バッファの駆動及び停止を制御する駆動制御手段をさらに備え、前記切替手段は、前記第1出力バッファが駆動しているときは、第1出力バッファと第1反転入力端子とを接続し、前記第1出力バッファが停止しているときは、第2出力バッファと第2反転入力端子とを接続する。
【0025】
また、請求項の発明は、請求項に記載の車両制御システムにおいて、前記濃度センサと前記誤差アンプの非反転入力端子との間に定電流回路が接続されており、前記駆動制御手段は、前記定電流回路が電流を印加する期間に第1出力バッファを停止させ、電流を印加しない期間に第1出力バッファを駆動させる。
【発明の効果】
【0026】
請求項1ないし9の発明によれば、切替手段が、第1出力バッファと第1反転入力端子との接続と、第2出力バッファと第2反転入力端子との接続とを切り替えるため、第1出力バッファが駆動していない場合等においても、適切な負帰還制御が可能となり、異常な電圧が出力されることを回避することができる。
【0027】
また、特に請求項2及び3の発明によれば、本来の制御とは関連の少ない電流が印加されたときに、電圧出力回路の出力をHiインピーダンスして、適切な負帰還制御が可能となる。これにより、異常な電圧の出力を回避できる。また、特に請求項4ないし6の発明によれば、切替信号によって制御されるスイッチを用いて、第1スイッチ及び第2スイッチのオン及びオフを逆に制御することで切替手段による切り替えを容易に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、従来の空燃比制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、従来の空燃比制御装置の各種信号の変化を示すタイムチャートである。
図3図3は、本発明の車両制御システムの概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、本発明の車両制御システムの概略構成を示す図である。
図5図5は、本発明の車両制御システムの各種信号の変化を示すタイムチャートである。
図6図6は、本発明の車両制御システムの各種信号の変化を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係る車両制御システム10は、自動車等の車両の内燃機関の空燃比を導出し、理論空燃比となるように制御するシステムである。以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
<1.システムの構成>
図3は、本実施の形態に係る車両制御システム10の概略構成を示す図である。図3に示すように、車両制御システム10は、A/Fセンサ部11と、センサ制御部12と、VI変換部13と、マイコン14とを備えている。
【0031】
A/Fセンサ部11は、空燃比を導出するために酸素濃度を測定するセンサである。A/Fセンサ部11は、エンジン等の内燃機関の排気管に設けられており、排気ガス中の酸素濃度に対応する電圧を検出してセンサ制御部12に出力する。なお、A/Fセンサ部11の詳細な構成は後述する。
【0032】
センサ制御部12は、直接又はVI変換部13を介してA/Fセンサ部11を制御するものである。センサ制御部12は、電圧バッファ部15と定電流回路16とを備えている。電圧バッファ部15は、A/Fセンサ部11から入力した電圧を後段のVI変換部13に出力するバッファである。すなわち、電圧バッファ部15は、入力電圧を外部に出力するようになっている。定電流回路16は、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定の際に、A/Fセンサ部11に対して電流を印加する回路である。なお、電圧バッファ部15の詳細な構成についても後述する。
【0033】
VI変換部13は、電圧バッファ部15から入力した電圧を所定の電流に変換するものである。また、VI変換部13は、変換した電流をA/Fセンサ部11に印加する。VI変換部13に入力される電圧は、A/Fセンサ部11で検出した酸素濃度に対応する電圧である。すなわち、現状の空燃比に対応した電圧ともいえる。このため、VI変換部13は、入力した電圧と理論空燃比に対応した電圧との差に基づいて導出した電流をA/Fセンサ部11に対して印加する。
【0034】
マイコン14は、センサ制御部12や燃料噴射制御装置17等を制御するマイクロコンピュータである。マイコン14は、A/Fセンサ部11のインピーダンスを測定するタイミングを制御したり、VI変換部13で変換された電流値に基づいて空燃比が適切な値となるように燃料噴射制御装置17を制御する。具体的には、マイコン14は、VI変換部13がA/Fセンサ部11に印加した電流値をモニタして、その電流値から適切な燃料の噴射量や噴射時間等を導出し、燃料噴射制御装置17に対して制御信号を送信する。
【0035】
なお、燃料噴射制御装置17は、車両制御システム10の外部に設けられている。燃料噴射制御装置17は、マイコン14からの指示を受けて燃料噴射に関する種々の制御をするものである。具体的には、燃料噴射制御装置17は、マイコン14から指示信号を入力すると、入力した信号に基づいて燃料噴射量や噴射時間等を制御する。
【0036】
このように、車両制御システム10は、A/Fセンサ部11が検出した酸素濃度に対応する電圧を用いて、空燃比が理論空燃比に近づくようにフィードバック制御するシステムである。
【0037】
ここで、本実施の形態に係る車両制御システム10について詳細に説明する。図4は、車両制御システム10の一部の概略構成を示す図である。図4では、A/Fセンサ部11及び電圧バッファ部15について詳細な構成を示しているが、他の構成は図3と同様である。そこで、A/Fセンサ部11及び電圧バッファ部15の構成及び動作を主として説明する。
【0038】
A/Fセンサ部11は、いわゆる2セル方式のセンサであり、1つのセルには可変抵抗及び可変電圧電源が設けられている。これら2つのセルの間には、基準電源が設けられている。A/Fセンサ部11は、この基準電源を境にしてセンサ制御部側のセルとVI変換部側のセルとを有している。A/Fセンサ部11が排気ガス中の酸素濃度を測定する際には、センサ制御部側のセルに酸素濃度に応じた起電力が発生する。そして、A/Fセンサ部11は、基準電源の電圧と起電力により発生した電圧とを合計した電圧をセンサ制御部12の電圧バッファ部15に出力する。
【0039】
また、VI変換部側のセルには、VI変換部13で変換された電流が印加される。マイコン14は、その印加された電流値に応じて空燃比を制御する。具体的には、VI変換部13は、A/Fセンサ部11の出力電圧が、理論空燃比に対応する電圧(以下「理想電圧」という)となるように、VI変換部側のセルに所定の電流を印加する。例えば、電圧バッファ部15を介して入力したA/Fセンサ部11の出力電圧が理想電圧よりも高い場合には、VI変換部13は、A/Fセンサ部11からVI変換部13側に流れる所定の電流を印加する。これに対して、A/Fセンサ部11の出力電圧が理想電圧よりも低い場合には、VI変換部13は、VI変換部13からA/Fセンサ部11側に流れる所定の電流を印加する。そして、マイコン14は、このVI変換部13が印加した電流値をモニタして、空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射を制御する。
【0040】
なお、上述したように、A/Fセンサ部11による酸素濃度の測定精度は、A/Fセンサ部11の温度に依存するため、本実施の形態においても、所定のタイミングでA/Fセンサ部11のインピーダンスを測定している。A/Fセンサ部11のインピーダンスを測定する際には、定電流回路16が、A/Fセンサ部11に対して所定の電流を印加する。定電流回路16は、インピーダンスを測定するタイミングになると、A/Fセンサ部11に対して、インピーダンス測定用の電流を流し込むと共に引き抜く処理を行う。
【0041】
具体的には、定電流回路16は、定電流回路16からA/Fセンサ部11側(+方向)に流れる電流を印加すると共に、A/Fセンサ部11から定電流回路16側(−方向)に流れる電流を印加する。A/Fセンサ部11は、インピーダンス測定用の電流が印加されると、それに伴ってセンサ制御部側のセルに発生する電圧をセンサ制御部12に出力する。センサ制御部12に入力された電圧は、マイコン14にてモニタされる。マイコン14は、モニタした電圧に基づいてA/Fセンサ部11のインピーダンスを測定する。
【0042】
電圧バッファ部15は、上述のように、A/Fセンサ部11から入力した電圧を後段のVI変換部13に出力するバッファである。電圧バッファ部15は、誤差アンプ18と、分岐用バッファ19と、第1出力バッファ20と、第2出力バッファ21とを備えている。誤差アンプ18は、非反転入力端子と2つの反転入力端子とを有している。誤差アンプ18の非反転入力端子には、A/Fセンサ部11から出力された電圧が入力される。誤差アンプ18の第1反転入力端子には、第1出力バッファ20からの出力電圧が入力され、第2反転入力端子には、第2出力バッファ21からの出力電圧が入力される。また、誤差アンプ18の出力は、分岐用バッファ19に入力される。
【0043】
分岐用バッファ19、第1出力バッファ20及び第2出力バッファ21は、各々主として入力電圧の安定化や出力能力確保のために用いられるバッファである。分岐用バッファ19は、誤差アンプ18から入力した電圧を、第1出力バッファ20及び第2出力バッファ21に出力する。第1出力バッファ20は、分岐用バッファ19から入力した電圧を、誤差アンプ18の第1反転入力端子とVI変換部13とに出力する。また、第2出力バッファ21は、分岐用バッファ19から入力した電圧を、誤差アンプ18の第2反転入力端子に出力する。すなわち、電圧バッファ部15は、第1出力バッファ20から誤差アンプ18に負帰還制御する第1経路と、第2出力バッファ21から誤差アンプ18に負帰還制御する第2経路との2つの経路を有している。なお、これら誤差アンプ18、分岐用バッファ19、第1出力バッファ20及び第2出力バッファ21を含む構成をオペアンプと称する場合がある。つまり、本実施の形態におけるオペアンプも、ボルテージフォロア接続されている。
【0044】
また、誤差アンプ18、分岐用バッファ19、第1出力バッファ20及び第2出力バッファ21には、各々駆動用の電源が接続されている。さらに、第1出力バッファ20と電源との間には、バッファ用スイッチ22が設けられている。このバッファ用スイッチ22のオン又はオフによって第1出力バッファ20が駆動又は停止する。また、第1経路上には、第1スイッチ23が設けられている。この第1スイッチ23のオン又はオフによって第1経路が導通又は遮断される。また、第2経路上には、第2スイッチ24が設けられている。この第2スイッチ24のオン又はオフによって第2経路が導通又は遮断される。
【0045】
これらバッファ用スイッチ22、第1スイッチ23及び第2スイッチ24は、スイッチ制御用の信号(以下「切替信号」という)によってオン又はオフされる。切替信号は、マイコン14から入力した信号に基づいてセンサ制御部12内で生成される。センサ制御部12は、各スイッチに対して同一の切替信号を出力する。ただし、第2スイッチ24を制御する信号線にはインバータ25が設けられている。このため、第2スイッチ24を制御する信号は、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23を制御する信号の反転信号となる。つまり、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23の切替信号と、第2スイッチ24の切替信号とは、互いに論理レベルが逆転した信号となる。したがって、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23と、第2スイッチ24とはオン/オフが逆になる。
【0046】
すなわち、切替信号として各スイッチをオンにする信号が生成された場合には、バッファ用スイッチ22と第1スイッチ23とがオンし、第2スイッチ24はオフとなる。この場合、第1出力バッファ20は駆動して第1経路は導通するが、第2経路は遮断される。その結果、第1経路による負帰還制御が実行される。一方、切替信号として各スイッチをオフにする信号が生成された場合には、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23はオフになるが、第2スイッチ24はオンとなる。この場合には、第1出力バッファ20の駆動が停止されると共に第1経路が遮断され、第2経路が導通する。その結果、第2経路による負帰還制御が実行される。
【0047】
また、誤差アンプ18と分岐用バッファ19との接続点には、グランドに接続された位相補償コンデンサ26が設けられている。位相補償コンデンサ26は、電圧バッファ部15からの出力電圧の発振防止用のコンデンサである。
【0048】
なお、上述したように、A/Fセンサ部11に対してインピーダンス測定のための信号を流すと、インピーダンス測定用の電流に起因した電圧が発生することによって、誤った空燃比制御をしてしまう可能性がある。このため、電圧バッファ部15の出力をHiインピーダンスにする必要があるものの、オペアンプが飽和状態になるという問題があることから、本実施の形態では、負帰還制御する経路を第1経路から第2経路に切り替えることとしている。
【0049】
第1出力バッファ20の駆動及び停止と、負帰還制御する経路の切り替えとは、各スイッチのオン及びオフにより実現する。この各スイッチをオン及びオフするタイミングは、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を開始及び終了するタイミングに同期している。つまり、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を開始するタイミングと同期して、バッファ用スイッチ22をオフする。これにより、第1出力バッファ20が停止して、電圧バッファ部15の出力がHiインピーダンスになる。また、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を開始するタイミングと同期して、第1スイッチ23をオフすると共に第2スイッチ24をオンにする。これにより、負帰還制御する経路が第1経路から第2経路に切り替わる。インピーダンス測定を終了する際は、終了するタイミングに同期して開始する場合と逆の処理を実行する。なお、このインピーダンス測定の開始及び終了のタイミングは、マイコン14から入力したインピーダンス測定のタイミング制御用の信号に基づいて決められる。
【0050】
このインピーダンス測定時の経路の切り替えについてより具体的に説明する。A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を開始するまでの間は、第1出力バッファ20は駆動しているので、切替信号はバッファ用スイッチ22をオンする信号である。この場合、第1スイッチ23はオンしており、第2スイッチ24はオフしている。つまり、第1経路は導通しており、第2経路は遮断されている。
【0051】
そして、マイコン14からインピーダンス測定を開始する旨の信号が入力されると、切替信号は第1出力バッファ20をオフする信号となる。同時に、第1スイッチ23はオフとなり、第2スイッチ24がオンされる。つまり、第1出力バッファ20が停止し、それと同期して第1経路を遮断して第2経路を導通させることで負帰還制御する経路が切り替えられる。
【0052】
そして、マイコン14からインピーダンス測定を終了する旨の信号が入力されると、切替信号は第1出力バッファ20をオンする信号となる。同時に、第1スイッチ23はオンとなり、第2スイッチ24がオフとなる。つまり、第1出力バッファ20が駆動し、それと同期して第2経路を遮断して第1経路を導通させることで負帰還制御する経路が切り替えられる。
【0053】
すなわち、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を実行していない期間は、第1経路による負帰還制御が実行され、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定を実行している期間は、第2経路による負帰還制御が実行される。また、インピーダンス測定を実行している期間は、第1出力バッファ20が停止しているため、電圧バッファ部15の出力はHiインピーダンスとなっている。ただし、この期間は、停止した第1出力バッファ20の出力を帰還させた第1経路ではなく、第2出力バッファ21の出力を帰還させた第2経路による負帰還制御を実行している。このため、インピーダンス測定終了後に第1帰還による負帰還制御に復帰した場合においても、異常な電圧の出力を回避することが可能になっている。
【0054】
<2.システムの動作>
次に、車両制御システム10の動作についてタイムチャートを用いて説明する。図5は、電圧バッファ部15の各種信号の変化を示すタイムチャートである。
【0055】
図5中において、入力信号は、誤差アンプ18の非反転入力端子に入力される電圧信号である。すなわち、A/Fセンサ部11からの出力信号である。入力信号として、一定の周期で電圧変動を繰り返す信号を例に用いている。
【0056】
切替信号は、第1経路及び第2経路を切り替えるための信号である。すなわち、切替信号は、各スイッチのオン/オフを切り替える信号である。この切替信号は、センサ制御部12内で生成される。また、切替信号は、高電圧状態をHiとし低電圧状態をLoとすると、Loのときにバッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23をオンするように設定されている。したがって、切替信号がLoのときには、第2スイッチ24はオフになる。
【0057】
VAは、位相補償コンデンサ26の電位を示す信号である。すなわち、VAは、誤差アンプ18から出力される電圧信号である。また、第1出力信号は、第1出力バッファ20から出力される電圧信号である。第2出力信号は、第2出力バッファ21から出力される電圧信号である。
【0058】
図5に示すタイムチャートの開始時点では、切替信号はLoである。このため、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23はオンしており、第2スイッチ24はオフしている。つまり、第1出力バッファ20は駆動している。また、第1経路は導通しており、第2経路は遮断されている。この場合、誤差アンプ18の第1反転入力端子に、第1出力バッファ20の出力信号(第1出力信号)が入力している。このため、誤差アンプ18の非反転入力端子に入力される電圧と、反転入力端子に入力される電圧とは同じ電圧となり、位相補償コンデンサ26の電位VA(誤差アンプ18の出力電圧)は一定となる。
【0059】
時点T1において、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定が開始すると、切替信号がHiになる。切替信号がHiになると、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23がオフされ、第2スイッチ24がオンされる。つまり、第1出力バッファ20は停止する。また、第1経路は遮断され、第2経路が導通する。第1出力バッファ20が停止すると、第1出力バッファ20の出力(すなわち、電圧バッファ部15の出力)がHiインピーダンスとなり、出力電圧が保持される。
【0060】
なお、この場合においては、第1経路が遮断されているため、第1出力バッファ20の出力が誤差アンプ18に入力されることはない。この場合には、第2経路が導通しているので、誤差アンプ18の第2反転入力端子に第2出力バッファ21の出力信号(第2出力信号)が入力される。すなわち、誤差アンプ18の非反転入力端子に入力される電圧と、反転入力端子に入力される電圧とは同じ電圧となる。このため、位相補償コンデンサ26の電位VA(誤差アンプ18の出力電圧)は一定の状態が継続する。
【0061】
このように、電圧バッファ部15の出力をHiインピーダンスにして出力電圧を保持する際に、負帰還制御する経路を外部出力と異なる経路に切り替えている。すなわち、誤差アンプ18の反転入力端子に入力させる信号を、第1出力バッファ20の出力信号ではなく、第2出力バッファ21の出力信号に切り替えている。これにより、位相補償コンデンサ26の電位VAがHi又はLoに張り付くことを回避することができる。つまり、オペアンプが飽和することを回避することができる。
【0062】
そして、時点T2において、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定が終了すると、切替信号がLoになる。切替信号がLoになると、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23がオンされ、第2スイッチ24がオフされる。すなわち、第1出力バッファ20が駆動する。また、第1経路が導通し、第2経路は遮断される。本実施の形態においては、位相補償コンデンサ26の電位VAがHiに張り付いていないため、第1出力バッファ20は、正常な電圧を出力することができる(第1出力信号参照)。つまり、インピーダンス測定が終了して、負帰還制御を元の経路に復帰させた際においても、電圧バッファ部15から異常な値の電圧信号が出力されることを防止できる。その結果、車両制御システム10が誤動作することを回避することができる。
【0063】
ここで、A/Fセンサ部11のインピーダンス測定の開始及び終了を制御する信号を生成する方法と、センサ制御部12が切替信号を生成する方法とについて説明する。図6は、A/Fセンサ部11のインピーダンスを測定する際の各種信号の変化を示すタイムチャートである。
【0064】
図6中において、第1マイコン入力信号及び第2マイコン入力信号は、マイコン14からセンサ制御部12に入力される信号であり、A/Fセンサ部11のインピーダンスを測定するタイミングを制御する信号である。上述のように、インピーダンス測定の際には、定電流回路16が、定電流回路16からA/Fセンサ部11の方向(+方向)にインピーダンス測定用の電流を印加すると共に、A/Fセンサ部11から定電流回路16の方向(−方向)にインピーダンス測定用の電流を印加する。第1マイコン入力信号は、+方向及び−方向への電流の印加を開始するタイミングを制御する信号である。第2マイコン入力信号は、+方向及び−方向への電流の印加を停止するタイミングを制御する信号である。
【0065】
第1測定信号及び第2測定信号は、定電流回路16を制御する信号である。第1測定信号及び第2測定信号は、センサ制御部12によって生成される信号である。センサ制御部12は、マイコン14から入力した第1マイコン入力信号及び第2マイコン入力信号に基づいて第1測定信号及び第2測定信号を生成する。第1測定信号は、定電流回路16からA/Fセンサ部11に対して電流を流し込む(+方向に電流を印加する)際の、開始及び終了のタイミングを制御する信号である。第2測定信号は、A/Fセンサ部11から定電流回路16に対して電流を引き抜く(−方向に電流を印加する)際の、開始及び終了のタイミングを制御する信号である。
【0066】
また、切替信号は、上述と同様に、センサ制御部12が生成する信号であり、各スイッチのオン/オフを切り替える信号である。なお、各信号において高電圧状態を「Hi」と記載し、低電圧状態を「Lo」と記載する。
【0067】
図6に示すタイムチャートの開始時点では、各信号はLoである。時点T1において、センサ制御部12は、第1マイコン入力信号がLoからHiに立ち上がるのを検出すると、インピーダンス測定を開始する。すなわち、センサ制御部12は、第1マイコン入力信号がLoからHiになると、第2測定信号を立ち上げ(第2測定信号がLoからHi)、定電流回路16を制御してA/Fセンサ部11からの電流の引き抜きを開始する。そして、センサ制御部12は、これと同期して切替信号をLoからHiにする。これにより、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23がオフされ、第2スイッチ24がオンされる。つまり、インピーダンス測定が開始されるのに同期して、電圧バッファ部15の出力がHiインピーダンスになると共に、電圧バッファ部15の負帰還制御は第1経路から第2経路に切り替えられる。
【0068】
その後、時点T3において、センサ制御部12は、第2マイコン入力信号がLoからHiに立ち上がるのを検出すると、第2測定信号を立ち下げる(第2測定信号がHiからLo)。すなわち、センサ制御部12は、定電流回路16を制御して、A/Fセンサ部11から電流を引き抜く制御を停止する。
【0069】
さらに、時点T4において、センサ制御部12は、第1マイコン入力信号がHiからLoに立ち下がるのを検出すると、第1測定信号を立ち上げ(測定信号1がLoからHi)、定電流回路16を制御してA/Fセンサ部11への電流の流し込みを開始する。
【0070】
そして、時点T2において、センサ制御部12は、第2マイコン入力信号がHiからLoに立ち下がるのを検出すると、第1測定信号を立ち下げる(第1測定信号がHiからLo)。すなわち、センサ制御部12は、定電流回路16を制御して、A/Fセンサ部11に電流を流し込む制御を停止する。これにより、インピーダンス測定が終了する。また、センサ制御部12は、これと同期して切替信号をHiからLoにする。これにより、バッファ用スイッチ22及び第1スイッチ23がオンされ、第2スイッチがオフされる。つまり、インピーダンス測定が終了するのに同期して、第1出力バッファ20が駆動すると共に、電圧バッファ部15の負帰還制御が第2経路から第1経路に切り替えられる。
【0071】
このようにして、センサ制御部12は、マイコン14から入力した信号に基づいてインピーダンス測定のタイミングを制御する信号と、負帰還制御する経路を切り替える切替信号とを生成する。
【0072】
以上のように、本発明は、入力電圧を外部に出力する電圧バッファ部が、外部に電圧を出力する第1出力バッファの出力をフィードバックする経路と、外部に電圧を出力しない第2出力バッファの出力をフィードバックする経路の2経路を有している。また、A/Fセンサ部のインピーダンス測定のタイミングに合わせてこれらフィードバック経路を切り替えるため、オペアンプを飽和させずに外部出力をHiインピーダンスにすることができる。その結果、Hiインピーダンス状態から復帰した際においても、正常な電圧を外部に出力することが可能になる。
【0073】
また、上記実施の形態では、電気的なハードウェア回路により実現する構成について説明したが、これらのうちの一部はプログラムに従ったCPU等の演算処理によってソフトウェア的に実現されてもよい。また、逆にソフトウェア的に実現されるとした機能の一部は、ハードウェア回路によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10 車両制御システム
11 A/Fセンサ部
12 センサ制御部
13 VI変換部
14 マイコン
15 電圧バッファ部
16 定電流回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6