【文献】
LOWE, G. et al.,Synthesis of [3H]-Labelled and Unlabelled 2-Deoxy-2-fluoro-myo-inositol and 1-Deoxy-1-fluoro-scyllo-,J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1,1991年,p.1249-1253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な記述)
本発明の一態様は、アルツハイマー病(AD)などのアミロイドーシスに関連する病的症状に罹患している対象への有効な投与のための化合物、組成物及び方法の実施形態を提供する。本発明のある種の実施形態において、前記化合物は、高い脳取り込みを示す可逆的コリンエステラーゼ阻害剤である。ある種の実施形態において、前記化合物はアミロイド斑形成を引き起こすβ−(Aβ―)タンパク質折り畳みを阻害する。さらに、ある種の実施形態において、化合物はPET又はSPECT放射線核種で標識されており、アルツハイマー病及び/又はアミロイド沈着の存在によって特徴付けられる病的症状に罹患している患者中のアミロイド沈着を診断するために使用することができる。ある種の実施形態において、新規画像化化合物は潜在的なアルツハイマー病の進行の両方に対して作用する。
【0025】
本発明の一態様は、フッ素化された又は放射性フッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの調製並びにアミロイドーシスに関連する病的症状におけるその診断的及び/又は治療的使用に関する。例えば、老人性認知症及びアルツハイマー病など、加齢と関連する脳疾患。ある種の実施形態において、組成物は、適切な剤形で、医薬担体とともに組み合わせて、フッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの有効量を含む。ある種の実施形態において、組成物は、適切な剤形中に、医薬担体とともに組み合わせて、
18F標識されたフッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの診断的放射性画像化量を含む。
【0026】
本発明の別の態様は、scyllo−イノシトール及び2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの組み合わせである化合物(例えば、scyllo−イノシトールは、架橋剤によって、2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンに共有結合されている。)に関する。このような化合物の幾つかは、可逆的なアセチルコリンエステラーゼ阻害剤及び/又はAβ−アミロイド斑形成阻害剤であり得る。従って、さらに、幾つかの化合物は、例えば、老人性及びアルツハイマー病などの加齢に関連する脳疾患を画像化し、治療するのに有用であり得る。ある種の実施形態において、scyllo−イノシトールと2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの組み合わせであるある種の化合物は、scyllo−イノシトール及び/又は2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンと比べて、改善された脳取り込み及び/又は脳生物学的利用可能性を示し得る。従って、このような化合物は、各化合物の一方又は両方に比べて、組み合わせを構成する化合物の効果的な作用を改善し得る。ある種の実施形態において、本発明のある種の組成物は、適切な剤形で、scyllo−イノシトール及び放射性フッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの組み合わせである化合物並びに医薬担体を含む組成物の治療的及び/又は診断的有効量を含む。
【0027】
本発明の別の態様は、治療のための、2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンとD−グルコースの組み合わせ及び診断のための、[F−18]−2−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコースとの組み合わせに関する。ある種の実施形態において、本発明の組成物は、適切な剤形で、D−グルコース又は[F−18]−2−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース及び2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン組み合わせである化合物及び医薬担体を含む組成物の治療的及び/又は診断的有効量を含む。
【0028】
本発明の別の態様は、取り込みの改善及び治療のための、D−グルコースとのscyllo−イノシトールの組み合わせ及び診断のための、[F−18]−2−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコースとの組み合わせに関する。ある種の実施形態において、本発明の組成物は、適切な剤形で、D−グルコース又は[F−18]−2−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース及びscyllo−イノシトールの組み合わせである化合物並びに医薬担体を含む組成物の治療的及び/又は診断的有効量を含む。
【0029】
ある実施形態において、本発明の画像化剤及び/又は治療剤は、アミロイド沈着の同定のために対象に投与され得る。特異的画像化法は、対象に画像化剤を投与し、及び画像化剤の空間的分布を検出することによってアミロイド沈着を検出する。画像化剤の差異的な蓄積は、AD又はアミロイドーシスに関連する病的症状の指標であり、PET又はSPECTカメラを用いることによってモニターすることができる。
【0030】
定義
本明細書では、多数の用語が広く使用されている。以下の定義は、本発明の理解を容易にするために提供されている。
【0031】
本明細書及び特許請求の範囲中において使用される不定冠詞「a」及び「an」は、明確に別段の記載がなければ、「少なくとも1つの」を意味するものと理解すべきである。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲中で使用される「及び/又は」という用語は、そのように結合されている要素の「一方又は両方」を意味するものと理解すべきである。すなわち、ある事例では、要素は接続的に存在し、別の事例では、離接的に存在する。「及び/又は」とともに列記されている複数の要素は、同じ様に、すなわち、そのように連結されている要素の「1つ又はそれ以上」と解釈すべきである。具体的に特定された要素と関連しているか否かを問わず、「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外に、他の要素が場合によって存在し得る。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」という表記は、「含む」などのオープンエンド形式の言語と組み合わせて使用される場合、ある実施形態では、Aのみ(場合によって、B以外の要素を含む。)を表すことができ、別の実施形態では、Bのみ(場合によって、A以外の要素を含む。)を表すことができ、さらに別の実施形態では、A及びBの両方(場合によって、他の要素を含む。)などを表すことができる。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「又は」は、上に定義されている「及び/又は」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、列記中の項目を隔てている場合には、「又は」又は「及び/又は」は、非排他的なものと解釈しなければならない。すなわち、数又は要素の列記の少なくとも1つを含むが、数又は要素の列記の2以上をも含み、場合によって、列記されていないさらなる項目も含む。「唯一の」又は「正確に1つの」又は特許請求の範囲において使用される場合には、「からなる」などの明確に別段の記載がある用語に限り、数又は要素の列記の正確に1つの要素を含むことを表す。一般に、本明細書において使用される「又は」という用語は、「何れか」、「〜の1つ」、「〜の唯一つ」又は「〜の正確に1つ」などの排他的用語が先行している場合、排他的択一(すなわち、「一方又は他方であるが、両方ではない。)を表すものとのみ解釈しなければならない。特許請求の範囲において使用される場合、「実質的に〜からなる」は、特許法の分野において使用される通常の意味を有するものとする。
【0034】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、1つ又はそれ以上の要素の列記に関する「少なくとも1つの」という用語は、要素の列記中の要素の何れか1つ又はそれ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解され、必ずしも、要素の列記内に具体的に列記されているそれぞれの及び全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、要素の列記中の要素のあらゆる組み合わせを除外するものではない。この定義は、具体的に特定されている要素と関係しているかどうかを問わず、「少なくとも1つの」用語を参照する要素の列記内に具体的に特定されている要素以外の要素が場合によって存在するのも許容する。従って、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同じ意味で、「A又はBの少なくとも1つ」、又は同じ意味で、「A及び/又はBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない(場合によって、B以外の要素を含む)少なくとも1つの(場合によって2以上を含む)Aを表し、別の実施形態では、Aが存在しない(場合によって、A以外の要素を含む)少なくとも1つの(場合によって2以上を含む)Bを表し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの(場合によって2以上を含む)A及び少なくとも1つの(場合によって2以上を含む)B(及び場合によって他の要素を含む)などを表し得る。
【0035】
明確に別段の記載がなければ、2以上の工程又は動作を含む本明細書に記載されている全ての方法において、方法の工程又は動作の順序は、その方法の工程又は動作が記載されている順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。
【0036】
特許請求の範囲及び上記明細書において、「含む(comprising)、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「構成される」などの全ての全ての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むがこれらに限定されないことを意味することを理解すべきである。米国特許庁特許審査基準セクション2111.03に記載されているように、「からなる」及び「から実質的になる」という移行句のみが、それぞれ、クローズド又はセミクローズドの移行句であるものとする。
【0037】
アミロイドーシスは、患者の組織中への様々な不溶性の繊維性タンパク質の蓄積によって特徴付けられる症状である。アミロイド沈着は、アミロイドタンパク質の凝集に続く、凝集物及び/又はアミロイドタンパク質のさらなる組み合わせによって形成される。
【0038】
本明細書において使用される「アミロイドーシスに関連する病的症状」は、1つ又はそれ以上の身体臓器、系又は軟組織中の原繊維形成をもたらすタンパク質の異常な折り畳みによって引き起こされる疾患の群を表す。これらのタンパク質の凝集はアミロイド沈着と呼ばれており、アミロイド沈着の蓄積は罹患した臓器の進行性の機能不全及び最終的な不全を引き起こす。正常には、タンパク質は、産生速度の概ね同じ速度で分解されるが、これらの異常に安定なアミロイド沈着は、分解され得るよりさらに素早く沈着する。蓄積は、1つの臓器内に局在化し得、又は幾つかの臓器が冒されるように全身性であり得る。
【0039】
アミロイドーシスは、幾つかの人にはほとんど又は全く症候を引き起こさないが、他の人には、重い症候と致死的な合併症をもたらす。疾病の重度は、どの臓器がアミロイド沈着によって冒されているかに依存する。アミロイドーシスは、女性より男性において2倍一般的であり、高齢の人において、より一般的である。
【0040】
アミロイドーシスの多くの形態が存在し、この疾病は、原発性アミロイドーシス、続発性アミロイドーシス、遺伝性アミロイドーシス、正常な加齢に伴うアミロイドーシスという4つのグループに分類することができる。
【0041】
原発性アミロイドーシス(軽鎖アミロイドーシス)は、形質細胞の異常とともに発生し、原発性アミロイドーシスを有する人には、多発性骨髄腫(形質細胞の癌)も有する。原発性アミロイドーシス中のアミロイド蓄積の典型的な部位は、心臓、肺、皮膚、舌、甲状腺、腸、肝臓、腎臓及び血管である。
【0042】
続発性アミロイドーシスは、結核、関節リウマチ及び家族性地中海熱などの持続的な感染又は炎症を引き起こす様々な疾病に応答して発症し得る。続発性アミロイドーシス中のアミロイド蓄積の典型的な部位は、脾臓、肝臓、腎臓、副腎及びリンパ節である。
【0043】
遺伝性アミロイドーシスは、幾つかの家系、特に、ポルトガル、スウェーデン及び日本の家系に認められる。アミロイド産生異常は、血液中の特定のタンパク質の変異のために起こる。遺伝性アミロイドーシスにおけるアミロイド蓄積の典型的な部位は、神経、心臓、血管及び腎臓である。
【0044】
正常な加齢に伴うアミロイドーシスは、通常、心臓を冒す。年齢以外に、心臓中にアミロイドの蓄積を引き起こすものは、通常、知られていない。アミロイドは、アルツハイマー病を有する人々の脳内にも蓄積し、アルツハイマー病を引き起こす上で役割を果たしていると考えられている。アミロイド蓄積の効果を示す表に関して、
図10を参照されたい。
【0045】
アルツハイマー病におけるその存在の他に、アミロイド沈着は、地中海熱、ミュックル・ウェルス症候群、突発性骨髄腫、アミロイド多発性神経障害、アミロイド心筋症、全身性老年性アミロイドーシス、アミロイド多発性神経障害、アミロイドーシスを有する遺伝性脳出血、ダウン症候群、スクレイピー、クロイツフェルト・ヤコブ病、クム・ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群、甲状腺の髄様癌、孤立性心房性アミロイド、透析患者中のβ
2−ミクログロブリンアミロイド、封入体筋炎、筋肉消耗疾患中のβ
2−アミロイド沈着及びランゲルハンスの膵島II型糖尿病インシュリノーマなどの疾病中にも示されている。
【0046】
「ヘテロ原子」という用語は本分野において認知されており、炭素又は水素以外のあらゆる元素の原子を表す。例示的なヘテロ原子には、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄及びセレンが含まれる。
【0047】
「アルキル」という用語は、本分野において認知されており、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換されたシクロアルキル基及びシクロアルキル置換されたアルキル基などの飽和脂肪族基を含む。ある種の実施形態において、直鎖又は分岐鎖アルキルは、その骨格中に約80又はそれ以下の炭素原子(例えば、直鎖の場合、C
1−C
80、分岐鎖の場合、C
3−C
80)、あるいは約30又はそれ以下を有する。同様に、シクロアルキルは、その環構造中に、約3から約10個の炭素原子を有し、あるいは、環構造中に、約5、6又は7個の炭素を有する。本明細書において使用される、「フルオロアルキル」は、1つ又はそれ以上の水素がフッ素で置換されているアルキルを表す。「ペルフルオロアルキル」は、全ての水素がフッ素で置換されているアルキルを表す。
【0048】
炭素の数が別段明記されていなければ、「低級アルキル」は、上に定義されているとおりであるが、その骨格構造中に1から約10個の炭素、あるいは、1から約6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、類似の鎖長を有する。
【0049】
「アルキレン」という用語は、本分野において認知されており、本明細書中に使用されている場合、脂肪族又は脂環式又はこれらの組み合わせであり得及び飽和、部分的に不飽和又は完全に不飽和であり得る炭化水素化合物の2つの水素原子(何れも同じ炭素原子に由来し、又は1つは2つの異なる炭素原子の各々に由来する。)を除去することによって得られる二座の部分に関する。直鎖飽和C
1−10アルキレン基の例には、(CH
2)
n−(nは、1から10の整数である。)、例えば、−CH
2−(メチレン)、−CH
2CH
2−(エチレン)、−CH
2CH
2CH
2−(プロピレン)、−CH
2CH
2CH
2CH
2−(ブチレン)、−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−(ペンチレン)及び−CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2−(ヘキシレン)が含まれるが、これらに限定されない。分岐した飽和C
1−10アルキレン基の例には、−CH(CH
3)−、−CH(CH
3)CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH(CH
3)CH
2CH
2CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2−、−CH
2CH(CH
3)CH
2CH
2−、−CH(CH
2CH
3)−、−CH(CH
2CH
3)CH
2−及び−CH
2CH(CH
2CH
3)CH
2−が含まれるが、これらに限定されない。直鎖の部分的に不飽和のC
1−10アルキレン基の例には、−CH=CH−(ビニレン)、−CH=CH−CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−CH
2−、−CH=CH−CH=CH−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH
2−CH=CH−及び−CH=CH−CH
2−CH
2−CH=CH−が含まれるが、これらに限定されない。分岐した部分的に不飽和のC
1−10アルキレン基の例には、−C(CH
3)=CH−、−C(CH
3)=CH−CH
2−及び−CH=CH−CH(CH
3)−が含まれるが、これらに限定されない。脂環式の飽和C
1−10アルキレン基の例には、シクロペンチレン(例えば、シクロペント−1,3−イレン)及びシクロヘキシレン(例えば、シクロヘクス−1,4−イレン)が含まれるが、これらに限定されない。脂環式の部分的に不飽和のC
1−10アルキレン基の例には、シクロペンテニレン(例えば、4−シクロペンテン−1,3−イレン)及びシクロヘキセニレン(例えば、2−シクロヘキセン−1,4−イレン、3−シクロヘキセン−1,2−イレン及び2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
「アラルキル」という用語は、本分野において認知されており、アリール基(例えば、芳香族又はヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基を表す。
【0051】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、本分野において認知されており、上記アルキルと長さ及び可能な置換の点で類似しているが、それぞれ、少なくとも1つの二重又は三重結合を含有する不飽和脂肪族基を表す。
【0052】
「アリール」という用語は、本分野において認知されており、0から4個のヘテロ原子を含み得る5員、6員及び7員の単一環芳香族基、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン及びピリミジンなどを表す。環構造中にヘテロ原子を有するアリール基は、「アリール複素環」又は「ヘテロ芳香族」とも称され得る。複素環は、1つ又はそれ以上の環位置において、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、 ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、トリフルオロメチル、シアノなどの、本明細書に記載されているこのような置換基で置換され得る。「アリール」という用語は、環の少なくとも1つが芳香族であり、例えば、他の環式環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール及び/又はヘテロシクリルであり得る2つ又はそれ以上の炭素が2つの隣接する環に共通する(環は、「縮合環」である。)2つ又はそれ以上の環式環を有する多環式環系も含む。
【0053】
オルト、メタ及びパラという用語は本分野において認知されており、それぞれ、1,2−、1,3−及び1,4−二置換されたベンゼンを表す。例えば、1,2−ジメチルベンゼンとo−ジメチルベンゼンという名前は同義である。
【0054】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロアリール」又は「複素環基」という用語は本分野で認知されており、3員から約10員の環構造、あるいは、3員から約7員の環を表し、その環構造は1から4つのヘテロ原子を含む。複素環は、多環でもあり得る。ヘテロシクリル基には、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサンテン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノン及びピロリジノンなど)、サルタム、サルトンなどが含まれる。複素環は、1つ又はそれ以上の位置において、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、 ヘテロシクリル、芳香族又はヘテロ芳香族部分、トリフルオロメチル、シアノなどのような、上述されている置換基で置換され得る。
【0055】
「ニトロ」という用語は本分野で認知されており、−NO
2を表し、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は本分野で認知されており、−F、−Cl、−Br又は−Iを表し、本明細書において使用されているように、
18F、
76Br、
77Br、
123I、
124I及び
125Iなどのその放射性形態も表し、「スルフヒドリル」という用語は本分野で認知されており、−SHを表し、「ヒドロキシル」という用語は−OHを意味し、並びに「スルフヒドリル」という用語は本分野で認知されており、「−SO
2」を表す。
【0056】
「アミン」及び「アミノ」という用語は、本分野において認知されており、置換されていないアミンと置換されたアミンの両方、例えば、一般式:
【0057】
【化1】
(R50、R51、R52及びR53は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH
2)
m−R61を表し、又はR50とR51若しくはR52は、これらが結合しているN原子とともに、環構造中に4から8個の原子を有する複素環を完成し、R61は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、複素環又は多環を表し、及びmは、0又は1から8の範囲の整数である。)
によって表され得る部分を表す。他の実施形態において、R50及びR51(及び場合によって、R52)は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH
2)
m−R61を表す。従って、「アルキルアミン」という用語には、置換された又は置換されていないアルキルが付着されている上記定義のアミン基(すなわち、R50及びR51の少なくとも1つがアルキル基である。)が含まれる。
【0058】
「アシルアミノ」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0059】
【化2】
(R50は、上に定義されているとおりであり、及びR54は、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH
2)
m−R61(m及びR61は、上に定義されているとおりである。)を表す。)
によって表され得る部分を表す。
【0060】
「アミド」という用語は、アミノ置換されたカルボニルとして本分野で認知されており、一般式:
【0061】
【化3】
(R50及びR51は、上に定義されているとおりである。)
によって表され得る部分を含む。本発明におけるアミドのある種の実施形態は、不安定な場合があり得るイミドを含まない。
【0062】
「アルキルチオ」という用語は、付着された硫黄基を有する上記定義のアルキル基を表す。ある種の実施形態において、「アルキルチオ」部分は、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル及び−S−(CH
2)
m−R61(m及びR61は、上に定義されている。)の1つによって表される。代表的なアルキルチオ基には、メチルチオ、エチルチオなどが含まれる。
【0063】
「カルボキシル」という用語は本分野で認知されており、
一般式:
【0064】
【化4】
(X
50は、結合であり又は酸素若しくは硫黄を表し、並びにR55及びR56は、水素、アルキル、アルケニル、−(CH
2)
m−R61又は医薬として許容される塩を表し、R56は、水素、アルキル、アルケニル又は−(CH
2)
m−R61(m及びR61は、上に定義されている。)を表す。)
によって表され得るこのような部分を含む。X50が酸素であり、及びR55又はR56が水素でない場合には、式は、「エステル」を表す。X50が酸素であり、及びR55が上に定義されているとおりである場合には、前記部分は、本明細書にカルボキシル基として表されており、特に、R55が水素である場合には、式は、「カルボン酸」を表す。X50が酸素であり、及びR56が水素である場合には、式は「ホルマート」を表す。一般に、上式の酸素原子が硫黄によって置換されている場合、式は、「チオカルボニル」基を表す。X50が硫黄であり、及びR55又はR56が水素でない場合には、式は、「チオールエステル」を表す。X50が硫黄であり、及びR55が水素である場合には、式は「チオカルボン酸」を表す。X50が硫黄であり、及びR56が水素である場合には、式は「チオホルマート」を表す。他方、X50が結合であり、及びR55が水素でない場合には、上式は「ケトン」基を表す。X50が結合であり、及びR55が水素である場合には、上式は「アルデヒド」基を表す。
【0065】
「カルバモイル」という用語は、−O(C=O)NRR’(R及びR’は、独立に、H、脂肪族基、アリール基又はヘテロアリール基である。)を表す。
【0066】
「オキソ」という用語は、カルボニル酸素(=O)を表す。
【0067】
「オキシム」及び「オキシムエーテル」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0068】
【化5】
(R75は、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル又は−(CH
2)
m−R61である。)
によって表され得る部分を表す。RがHである場合、前記部分は「オキシム」であり、Rがアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル又はー(CH
2)
m−R61である場合、前記部分は「オキシムエーテル」である。
【0069】
「アルコキシル」又は「アルコキシ」という用語は本分野で認知されており、付着された酸素基を有する上記定義のアルキル基を表す。代表的なアルコキシル基には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが含まれる。「エーテル」は、酸素によって共有結合された2つの炭化水素である。従って、そのアルキルをエーテルにするアルキルの置換基は、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−(CH
2)
m−R61(m及びR61は、上に記載されている。)の1つによって表され得るようなアルコキシルであり、又はアルコキシルに類似する。
【0070】
「スルホナート」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0071】
【化6】
(R57は、電子対、水素、アルキル、シクロアルキル又はアリールである。)
によって表され得る部分を表す。
【0072】
「スルファート」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0073】
【化7】
(R57は、上に定義されているとおりである。)
によって表され得る部分を含む。
【0074】
「スルホンアミド」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0075】
【化8】
(R50及びR56は、上に定義されているとおりである。)
によって表され得る部分を含む。
【0076】
「スルファモイル」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0077】
【化9】
(R50及びR51は、上に定義されているとおりである。)
によって表され得る部分を表す。
【0078】
「スルホニル」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0079】
【化10】
(R58は、以下の1つである。水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール。)
によって表され得る部分を表す。
【0080】
「スルホキシド」という用語は本分野で認知されており、一般式:
【0081】
【化11】
(R58は、上に定義されている。)
によって表され得る部分を表す。
【0082】
「ホスホリル」という用語は本分野において認知されており、一般に、式:
【0083】
【化12】
(Q50はS又はOを表し、及びQ59は水素、低級アルキル又はアリールを表す。)
によって表され得る。例えば、アルキル基を置換するために使用される場合、ホスホリルアルキルのホスホリル基は、一般式:
【0084】
【化13】
(Q50及びR59は、各々独立に、上に定義されており、並びにQ51は、O、S又はNを表す。)
によって表され得る。Q50がSである場合、ホスホリル部分は「ホスホロチオアート」である。
【0085】
「ホスホルアミダイト」という用語は本分野において認知されており、一般式:
【0086】
【化14】
(Q51、R50、R51及びR59は、上に定義されているとおりである。)
によって表され得る。
【0087】
「ホスホンアミダイト」という用語は本分野において認知されており、一般式:
【0088】
【化15】
(Q51、R50、R51及びR59は、上に定義されているとおりであり、並びにR60は、低級アルキル又はアリールを表す。)
で表され得る。
【0089】
例えば、アミノアルケニル、アミノアルキニル、アミドアルケニル、アミドアルキニル、イミノアルケニル、イミノアルキニル、チオアルケニル、チオアルキニル、カルボニル置換されたアルケニル又はアルキニルを作製するために、アルケニル及びアルキニル基に対して類似の置換を施し得る。
【0090】
「セレノアルキル」という用語は本分野において認知されており、置換されたセレノ基が付着されているアルキル基を表す。アルキル上に置換され得る典型的な「セレノエーテル」は、−Se−アルキル、−Se−アルケニル、−Se−アルキニル及び−Se−(CH
2)
m−R61(m及びR61は上に定義されている。)の1つから選択される。
【0091】
トリフリル、トシル、メシル及びノナフリルという用語は、本分野において認知されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル及びノナフルオロブタンスルホニル基を表す。トリフラート、トシラート、メシラート及びノナフラートという用語は本分野において認知されており、それぞれ、トリフルオロメタンスルホナートエステル、p−トルエンスルホナートエステル、メタンスルホナートエステル及びノナフルオロブタンスルホナートエステル官能基及び前記基を含有する分子を表す。
【0092】
各表現(例えば、アルキル、m、nなど)の定義は、何れかの構造中に2度以上出現する場合、同じ構造中の他の場所におけるその定義とは独立するものとする。
【0093】
Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts及びMsという略号は、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニル及びメタンスルホニルを表す。本分野における通常の技術を有する有機化学者によって使用される略号のより包括的なリストが、Journal of Organic Chemistryのそれぞれの巻の最初の号に記載されている。このリストは、略号の標準的リスト(Standard List of Abbreviations)という表題の表中に通例記載されている。
【0094】
本発明の組成物中に含有されているある種の化合物は、特定の幾何又は立体異性形態で存在し得る。さらに、本発明のポリマーは、光学的に活性でもあり得る。本発明は、シス及びトランス異性体、R及びS鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、これらのラセミ混合物及びこれらの他の混合物を含むこのような全ての化合物が本発明の範囲に属するものと想定する。さらなる不斉炭素原子が、アルキル基などの置換基に存在し得る。全てのこのような異性体及びその混合物は、本発明に含まれるものとする。
【0095】
例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体が所望される場合には、不斉合成によって、又はキラル補助物質を用いた誘導化(得られたジアステレオマー混合物は分離され、補助基は切断されて純粋な所望の鏡像異性体を与える。)によって調製され得る。あるいは、分子がアミノなどの塩基性官能基又はカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合には、適切な光学的に活性な酸又は塩基とともにジアステレオマー塩が形成され、次いで、本分野において周知の分別結晶化又はクロマトグラフィー手段によりこのようにして形成されたジアステレオマーを分割し、その後、純粋な鏡像異性体を回収する。
【0096】
「置換」又は「で置換された」は、このような置換が置換された原子と置換基の許容される価数に従い、及び置換が安定な化合物をもたらす(例えば、再配置、環化、脱離又は他の反応によるなどの転換を自発的に行わない。)という暗黙の条件を含むことが理解される。
【0097】
「置換された」という用語は、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことも想定される。広い態様において、許容される置換基には、有機化合物の非環状及び環状の、分岐及び非分岐の、炭素環式及び複素環式の、芳香族及び非芳香族の置換基が含まれる。例示的な置換基には、例えば、本明細書中に上記されているものが含まれる。許容される置換基は、1つ又はそれ以上であり得、適切な有機化合物と同一又は別異である。本発明において、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基及び/又はヘテロ原子の価数を満足する、本明細書に記載されている有機化合物のあらゆる許容される置換基を有し得る。本発明は、有機化合物の許容される置換基によって、何れかの様式に限定されるものではない。
【0098】
本発明において、化学元素は、周期表、CASバージョン、「Handbook of Chemistry and Physics」, 67th Ed., 1986−87、内側カバーに従って特定される。
【0099】
本明細書において使用される「対象」又は「個体」という用語は、ヒト又は他の脊椎動物を表す。この用語は、「患者」を包含するものとする。
【0100】
本明細書において使用される、2つの化合物の「組み合わせ」は、2つの化合物が架橋剤によって連結された1つの化合物を表す。例えば、2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンとイノシトール間の組み合わせの例が、
図5に示されている。
【0101】
本明細書において使用される「診断」という用語は、それによって、患者が所定の疾病又は症状に罹患しているかどうかを当業者が推定及び/又は決定することができる方法を表す。当業者は、しばしば、1つ又はそれ以上の診断指標(すなわち、症状の存在、重度又は不存在の指標となる、マーカー、存在、不存在、量又は量の変化)に基づいて診断を行う。
【0102】
キットは、少なくとも1つのキレート構造及び/又はマニトール、グルコナート、グルコヘプトナート及びタートラート及びスズ含有する還元剤などの補助分子も含み得る。
【0103】
「連結された」という用語は、イオン的に又は(例えば、架橋剤を介して)共有的に結合されたことを表す。
【0104】
「キレート構造」は、金属に結合するあらゆる分子又は分子の錯体及び金属に結合された構造を表す。幾つかの実施形態において、金属は放射性であり得る(
99mTc、
68Cu、
64Cu及び
68Gaなど)。キレート構造の例には、N
2S
2構造、HYNIC(ヒドラジノニコチン酸)基含有構造、2−メチルチオールニコチン酸基含有構造、カルボキシラート基含有構造などが含まれる。キレート構造は、以下でさらに論述されている。
【0105】
「放射性画像化剤」は、標的と結合した際に、検出可能な画像を生成することができる組成物を表し、
18F、
76Br、
77Br、
123I、
124I、
125I、
99mTc,c、
68Cu、
64Cu及び
68Gaなどの放射性核種を含むものとする。
【0106】
「蛍光画像化剤」は、光活性化の特定の波長あり又はなしに、標的と結合した際に、検出可能な光学的画像を生成することができる組成物を表し、蛍光色素を含むものとする。好ましい蛍光剤は、近赤外光吸収剤である。
【0107】
「標的」は、画像化化合物が結合するインビボの部位を表す。好ましい標的は、アルツハイマー病又はアミロイドーシスと関連する病的症状に罹患している対象から得られた脳組織である。
【0108】
「標的分子」は、アルツハイマー病又はアミロイドーシスと関連する病的症状に罹患している対象から得られた脳組織中に特異的に蓄積するあらゆる分子又は生物学的実体である。
【0109】
本発明に従って使用され得る放射性画像化法は、本分野において公知である。特許第6,187,286号及び米国特許公開第2006/0140859号(何れも、参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。
【0110】
本発明に従って、標的分子は、放射性核種と(空間的に近接して)会合する。標的分子と放射性核種間の空間的近接性は、その標的組織に対する標的分子の特異性を保持するあらゆる様式で実施され得る。例えば、放射性核種と標的分子間の空間的な近接性は、共有又は非共有的化学結合によって実施され得る。このような化学結合は、キレート物質及び/又はマニトール、グルコナート、グルコヘプトナート、タートラートなどの補助分子を通じて実施され得る。
【0111】
あるいは、核種と標的分子間の空間的近接性は、その標的組織に対する標的分子の親和性が維持されるように、ミセル又はリポソーム中の放射性核種及び標的分子を取り込むことによって実施され得る。放射性核種と標的分子間の空間的近接性は、小球体又はリポソームなどのマトリックスへ放射性核種と標的分子を付着させることによっても実施され得る。
【0112】
放射性核種は、標的分子の原子へ直接共有結合することによって画像化剤の中に取り込ませることができ、又は放射性核種は、キレート構造を通じて若しくはマニトール、グルコナート、グルコヘプトナート、タートラートなどの補助分子を通じて、標的分子と非共有的に又は共有的に会合させ得る。放射性核種と標的分子の間に空間的な近接性を与えるために、キレート構造が使用される場合には、キレート構造は標的分子と直接会合させてもよく、又はマニトール、グルコナート、グルコヘプトナート、タートラートなどの補助分子を通じて、標的分子と会合させてもよい。
【0113】
共有又は非共有会合を通じて、放射性核種と画像化剤の標的分子の間に空間的な近接性を与えるために、あらゆる適切なキレート構造を使用し得る。本分野において、多くのこのようなキレート構造が公知である。好ましくは、キレート構造は、N
2S
2構造、NS
3構造、N
4構造、イソニトリル含有構造、ヒドラジン含有構造、HYNIC(ヒドラジノニコチン酸)基含有構造、2−メチルチオールニコチン酸基含有構造、カルボキシラート基含有構造などである。幾つかの事例では、放射性核種は、標的部分中の原子(例えば、ホスファート基中又はカルボキシラート基中の酸素原子)に直接キレートできるので、別個のキレート構造を含めずに、キレート化を達成することができる。
【0114】
キレート構造、補助分子又は放射性核種は、腫瘍中のその受容体との標的分子の相互作用を妨害しない標的分子のあらゆる位置に空間的に近接して配置され得る。キレート構造、補助分子又は放射性核種は、受容体結合部分を除き、標的分子のあらゆる部分と共有的に又は非共有的に会合され得る。例えば、キレート構造、補助分子又は放射性核種は、標的分子のホスファート部分と、標的分子の−X−部分と会合され得る。
【0115】
標識反応が完了した後、反応混合物は、1つ又はそれ以上の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)工程を用いて、場合によって精製され得る。精製工程が行われる場合には、あらゆる適切なHPLC系を使用し得、HPLC工程から得られた画像化剤の収率は、本分野において公知であるように、HPLC系のパラメータを変動させることによって最適化され得る。本発明の画像化剤の収率を最適化させるために、あらゆるHPLCパラメータを変動させ得る。例えば、本発明の画像化剤に対応するピークの溶出時間を減少させるために、pHを変動(例えば、上昇)させ得る。
【0116】
放射性画像化用のキットにおいて具体化される本発明は、ヒト血清アルブミンなどの医薬として許容される担体と組み合わせて、上記放射性画像化剤を含む。本発明のキットにおいて使用するためのヒト血清アルブミンは、あらゆる方法で、例えば、ヒト血清からのタンパク質の精製を通じて又はヒト血清アルブミンをコードする遺伝子を含有するベクターの組換え発現を通じて作製され得る。他の物質は、本発明のこの実施形態に従う担体、例えば、変性剤、希アルコール、炭水化物、補助分子などとしても使用され得る。もちろん、本発明のキットは、アンプル、指示書、反応バイアルなどの、その使用を容易にし得るこのような他の項目も含有し得る。
【0117】
一実施形態において、本発明のキットは、医薬として許容される担体と組み合わせて、本明細書に記載されている放射性核種で標識されたアミロイド画像化剤の約1から約30mCiを含有する。アミロイドが増加剤及び担体は、溶液中に又は凍結乾燥された形態で与えられ得る。キットのアミロイド画像化剤及び担体が凍結乾燥された形態である場合には、キットは、水、生理的食塩水、緩衝化された生理的食塩水などの無菌及び生理的に許容される再構成溶媒を場合によって含有し得る。
【0118】
本発明の放射性画像化剤は、哺乳動物中の組織を画像化するために、当業者によって、例えば、核医学の専門家によって、本発明の方法に従って使用され得る。本発明の画像化剤によって、あらゆる哺乳動物の腫瘍を画像化し得る。画像は、哺乳動物の様々な組織及び臓器中に蓄積する画像化剤の空間的分布の差によって作製される。哺乳動物中、臓器中又は組織中に蓄積された画像化剤の空間的分布は、あらゆる適切な手段、例えば、PET又は単光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)画像化カメラ装置などを用いて測定され得る。
【0119】
PET画像化は、陽電子放出同位体で標識された追跡子化合物の補助を得て達成される(Goodman, M. M. Clinical Positron Emission Tomography, Mosby Yearbook, 1992, K. F. Hubner et al, Chapter 14)。これらの追跡子化合物は、
18F及び
76Brを含む陽電子放出放射性核種で標識することができる。一般に、PET標識は、分子の残部に共有結合された標識であり、少なくとも約5から20分、好ましくは、約60分又はそれ以上の半減期を有するべきである。PET標識の例には、
18F、
13N、
76Br(半減期=16.1時間)、
77Br、
15O、
68Ga(半減期=68.3分)、
62Cu(半減期=9.74分)、
64Cu(半減期=12.7時間)、
82Rb(半減期=78秒)及び
24I(半減期=4.18日)が含まれる。
【0120】
PETにおける
18F標識された化合物の使用は、これまで数個の類縁体化合物に限定されてきた。最も顕著には、18−フルオロデオキシグルコースは、脳活動と関連するグルコース代謝及びグルコース取り込みの局在化の研究において広く使用されてきた。より最近になって、
18F−メチルコリン(前立腺癌用;Cancer Res.2001,6,110参照)、
18F−フルオロチミジン(肺癌用;J.Nucl.Med.2003, 44, 1426;及びEur.J. Nuc.Mol.Imaging 2003, 30, 1407参照)及びO−(2−[
18F]フルオロエチル)−L−チロシン(米国特許第7,138,540号;参照により、本明細書に組み込まれる。)などの他の類縁体も、PET画像化において使用されている。
18F−標識画像化剤の例に関しては、「Eur.J.Med.Chem.1994, 29, 115; Eur.J.Med.Chem.1994, 29, 955; J. Heterocyclic Chem.1993, 30, 1337; Organic Process Research & Development 2005, 9(6), 774; J. Med.Chem.2005, 48(16), 5290; J. Med.Chem.1990, 33, 1482; Nuclear Medicine and Biology 2001, 28(6), 683;及びNuclear Medicine and Biology 2004, 31(4), 483」を参照されたい。
【0121】
SPECT画像化のために、本発明の化合物は、
99mTc、
111In、
67Ga、
201Tl、
123I、
133Xe及びその他などのγ線放射核種で標識することができる。
【0122】
蛍光断層撮影画像化のために、本発明の化合物は、CY5(シアニン色素)などの近赤外部分に連結させることができる。蛍光断層撮影法は、開発中である。
【0123】
本発明の画像化剤は、以下のように使用される。少なくとも1つの標的分子及び核種(1から50mCi)を含む画像化剤の有効量は、画像化研究において使用するための医薬として許容される担体と組み合わされ得る。本発明に従って、本発明の画像化剤の「有効量」は、臨床的使用のために利用可能な装置を用いて、許容される画像を与えるのに十分な量として定義される。本発明の画像化剤の有効量は、2以上の注射で投与され得る。本発明の画像化剤の有効量は、個体の感受性の程度、個体の年齢、性別及び体重、個体の特異体質的応答及び薬量測定法などの要因に従って変動する。本発明の画像化剤の有効量は、装置及びフィルム関連要因に従っても変動する。このような要因の最適化は、当業者の水準に十分属する。
【0124】
本明細書において使用される「医薬として許容される担体」には、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤、吸収遅延剤などが含まれる。医薬として許容される担体は、好ましくは無毒であり、固体、液体又は気体状物質であり得、その他不活性であり、医薬として許容され、本発明の化合物と適合的である本発明の方法において化合物を投与する目的のために有用な物質である。このような担体の例には、トウモロコシ油などの油、PBSなどの緩衝液、生理的食塩水、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリプロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、アルブミンなどのタンパク質並びにTween80などの界面活性剤、グルコース、ラクトース、シクロデキストリン及びデンプンなどのモノ−及びオリゴ多糖が含まれる。
【0125】
本発明において使用される製剤は、当業者に公知の安定化剤、防腐剤、緩衝液、抗酸化剤又は他の添加物も含有し得る。医薬として活性を有する物質に対するこのような媒体及び因子の使用は、本分野において周知である。補助的活性化合物も、本発明の画像化剤中に取り込ませることができる。さらに、本発明の画像化剤は、適切な希釈剤又は佐剤中で個体に投与され得、酵素阻害剤とともに又はヒト血清アルブミン若しくはリポソームなどの適切な担体中で同時投与され得る。医薬として許容される希釈剤には、無菌の生理的食塩水及び他の水性緩衝溶液が含まれる。本明細書において想定される佐剤には、レソルシノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル及びn−ヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤が含まれる。酵素阻害剤には、膵臓トリプシン阻害剤、ジエチルピロカルボナート及びトラシロールが含まれる。リポソーム阻害剤には、水中油中水CGFエマルジョン及び慣用のリポソームが含まれる(J.Neuroimmunol.1984,7,27参照)。
【0126】
本明細書に記載されているように、本化合物のある種の実施形態は、アミノ又はアルキルアミノなどの塩基性官能基を含有し得、従って、医薬として許容される酸とともに医薬として許容される塩を形成することができる。この点に関する「医薬として許容される塩」という用語は、本発明の化合物の相対的に無毒な無機及び有機酸付加塩を表す。これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造プロセスにおいて原位置で、又はその遊離塩基形態の本発明の精製された化合物を適切な有機若しくは無機酸と別個に反応させ、及びその後の精製の間にこのように形成された塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、吉草酸塩、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩及びラウリルスルホン酸塩などが含まれる。「J.Pharm.Sci.1977,66,1−19」を参照されたい。
【0127】
本化合物の医薬として許容される塩には、例えば、無毒な有機又は無機酸から得られる、慣用の無毒な塩又は四級アンモニウム塩が含まれる。例えば、このような慣用の無毒な塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などの無機酸に由来するもの、及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸などの、有機酸から調製される塩が含まれる。
【0128】
他の事例では、本発明の化合物は、1つ又はそれ以上の酸性官能基を含有し得、従って、医薬として許容される塩基とともに医薬として許容される塩を形成することができる。これらの事例における「医薬として許容される塩」という用語は、本発明の化合物の相対的に無毒な無機及び有機塩基付加塩を表す。同様に、これらの塩は、投与ビヒクル若しくは剤形製造法中で原位置において、又はその遊離酸の精製された化合物を、医薬として許容される金属陽イオンの水酸化物、カーボナート若しくはバイカーボナートなどの適切な塩基と、アンモニアと、又は医薬として許容される有機一級、二級若しくは三級アミンと別個に反応させることによって調製することができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類塩には、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩などが含まれる。塩基付加塩の形成に有用な代表的な有機アミンには、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジンなどが含まれる。(例えば、上記 J. Pham. Sci. 1977参照)。
【0129】
好ましくは、本発明の画像化剤は静脈内に投与され、画像化剤は無菌の、発熱物質を含まない、非経口的に許容される水溶液として調合される。pH、等張性、安定性などに関して適切に、このような非経口的に許容される溶液を調製することは、本分野の技術に属する。静脈内注射のための好ましい製剤は、画像化剤の他に、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、デキストロース注射、デキストロース及び塩化ナトリウム注射、乳酸加リンゲル注射又は本分野において公知の他のビヒクルなどの等張性ビヒクルを含有すべきである。
【0130】
診断目的のために使用される画像化剤の量及び画像化試験の期間は、治療されている症状の性質及び重度、患者が受けている治療的処置の性質及び患者の特異体質的応答に依存する。最終的に、担当医が、それぞれの患者に投与するための画像化剤の量及び画像化研究の期間を決定する。
【0131】
診断用画像化量は、好ましくは、70kgの正常成人に対して約3から15ミリキュリー(mCi)であり、より好ましくは、70kgの正常成人に対して約1から25mCiである。
【0132】
最終の溶液形態は、好ましくは、無菌である。無菌化は、抗菌剤又は抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの添加などの(但し、これに限定されない。)、本分野で認められたあらゆる技術によって達成することができる。
【0133】
より具体的には、医薬組成物へ製剤化することができる化合物は、化合物の治療的有効量と医薬として許容される担体とを含む。化合物の治療的有効量及び具体的な医薬として許容される担体は、例えば、対象の年齢、体重、性別、投与の様式及び治療されているウイルス性症状の種類に応じて変動する。
【0134】
特定の態様において、使用可能な医薬組成物は、効果的な単位投薬形態中に本発明の化合物を含む。本明細書において、「効果的な単位投薬量」又は「効果的な単位用量」は、アルツハイマー病などに対して有効であるのに十分な所定の量を意味するために使用される。
【0135】
医薬組成物は、全組成物の0.01から99重量%、好ましくは、全組成物の0.1から80重量%の量で、本発明の方法において使用される化合物を含有し得る。経口投与の場合、化合物は、0.1g/身体から15g/身体、好ましくは、0.5g/身体から5g/身体の量で、一般に投与される。静脈内注射の場合、用量は、約0.1から約30mg/kg/日、好ましくは、約0.5から約10mg/kg/日であり得る。液体、軟膏又はクリームとして局所的に適用される場合、化合物は、約0.1から約50mg/mL、好ましくは、組成物の約0.5から30mg/mLの量で存在し得る。蛍光剤は、数μg/mg/kgから数mg/kg、例えば、1から10mg/kgで投与される。
【0136】
本発明の化合物が注射用に調合される場合、用量は、防腐剤などの医薬として許容される佐剤が添加された注射器中に又は複数投薬容器中に単位投薬形態で存在し得る。
【0137】
さらに、組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンなどの形態を採ることができ、医薬の分野において慣用的に引用される、懸濁剤、安定化剤又は分散剤、等張化剤及び/又は溶解共溶媒などの製剤化剤を含有し得る。
【0138】
全身投与の場合、成人のヒト治療のために使用される一日投薬量は、約0.1mgk/kgから約150mg/kg、好ましくは、約0.2mg/kgから約80mg/kgの範囲である。
【0139】
本発明の一態様は、式Iによって表される化合物又は医薬として許容されるその塩に関する。
【0140】
【化16】
式中、それぞれの出現について独立に、
Xは、−O−又は−S−であり;
Yは、−O−、−S−、C(R
1)
2−、−N(R
5)−又は−N[(C=O)R
1]−であり;
Lは、−R
3、−C(=O)R
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pR
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pR
3、−[C
1−10アルキレン]R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]R
3、−[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、置換されていないアルキル又はハロ、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ,−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3若しくはキレート構造からなる群から選択される1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたアルキルであり;
R
1は、水素、ハロ、アジド、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、アシル、カルボキシル、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ又はキレート構造であり;
R
2は、−R
3、−C(=O)R
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pR
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pR
3、−[C
1−10アルキレン]R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]R
3、−[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、置換されていないアルキル又はハロ、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ,−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3若しくはキレート構造からなる群から選択される1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたアルキルであり;
R
3は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、
【0141】
【化17】
であり;
R
4は、水素、ハロ、アジド、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、アシル、カルボキシル、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ、−OR
5、−SR
5、−N(R
5)
2、−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3又はキレート構造であり;
R
5は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3又はキレート構造であり;
mは、1、2又は3であり;
nは、1、2又は3であり;
m+nは、3又は4であり;
pは、1以上10以下であり;及び
qは、0以上10以下であり;
但し、R
2が、置換されていないアルキルであり又はハロ、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ、−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3若しくはキレート構造からなる群から選択される1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたアルキルである場合には、Lは、−R
3、−C(=O)R
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pR
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pR
3、−[C
1−10アルキレン]R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]R
3、−[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3であり;及びLが、置換されていないアルキルであり又はハロ、アジド、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ,−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3若しくはキレート構造からなる群から選択される1つ若しくはそれ以上の置換基で置換されたアルキルである場合には、R
2は、−R
3、−C(=O)R
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pR
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pR
3、−[C
1−10アルキレン]R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]R
3、−[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3である。
【0142】
ある実施形態において、本発明は、前記化合物が少なくとも1つの
18F、
76Br、
77Br、
123I、
124I又は
125Iを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0143】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が少なくとも1つの
18Fを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0144】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が唯一つのキレート構造を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0145】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が唯一つのキレート構造及びキレート構造にキレートされた
99mTc、
68Cu、
64Cu又は
68Gaを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0146】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0147】
ある種の実施形態において、本発明は、Yが−C(R
1)
2−である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0148】
ある種の実施形態において、本発明は、Yが−CH
2−である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0149】
ある種の実施形態において、本発明は、Yが−O−である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。ムスカリン性アゴニスト2−エチル−8−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの4−オキサ−類縁体の例に関しては、「J.Med.Chem.1993, 36, 2292」(参照により、本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。
【0150】
ある種の実施形態において、本発明は、R
1が水素である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0151】
ある種の実施形態において、本発明は、mが1であり、及びnが2である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0152】
ある種の実施形態において、本発明は、mが1であり、及びnが3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0153】
ある種の実施形態において、本発明は、mが2であり、及びnが2である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0154】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0155】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が置換されていないアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0156】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が−CH
3、−CH
2CH
3、−CH
2CH
2CH
3又は−CH(CH
3)CH
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0157】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が−F、−Cl、−Br又は−Iで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0158】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が−Fで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0159】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が−
18Fで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0160】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0161】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2であり、及びR
2が−F、−Cl、−Br又は−Iで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0162】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2であり、及びR
2が−Fで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0163】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2であり、及びR
2が−
18Fで置換されたアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0164】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2であり、及びR
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0165】
ある種の実施形態において、本発明は、LがR
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0166】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−R
3であり;及びR
3がアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0167】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−R
3であり;及びR
3が−CH
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0168】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり、及びnが2であり;R
2が−F、−Cl、−Br又は−Iで置換されたアルキルであり;LがR
3であり;及びR
3がアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0169】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−Fで置換されたアルキルであり;LがR
3であり;及びR
3がアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0170】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−
18Fで置換されたアルキルであり;LがR
3であり;及びR
3がアルキルである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0171】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3であり;LがR
3であり;及びR
3が−CH
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0172】
本発明の一態様は、フッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン化合物又は医薬として許容されるその塩に関する。
【0173】
本発明の一態様は、
18Fでフッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン化合物又は医薬として許容されるその塩に関する。
【0174】
本発明の一態様は、化合物が[F−18]−N−2−フルオロエチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン又は[F−18]−N−2−フルオロエチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0175】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は−[CH
2]
pC(=O)R
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0176】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0177】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0178】
【化18】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0179】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0180】
【化19】
であり;及びR
4が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0181】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0182】
【化20】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0183】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0184】
【化21】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0185】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0186】
【化22】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0187】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は−[CH
2]
pC(=O)R
3であり;及びR
3が
【0188】
【化23】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0189】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は−[CH
2]
pC(=O)R
3であり;R
3が
【0190】
【化24】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0191】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3であり;及びR
3が
【0192】
【化25】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0193】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;及びR
3が
【0194】
【化26】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0195】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−
18Fで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は[CH
2]
pC(=O)R
3であり;及びR
3が
【0196】
【化27】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0197】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−
18Fで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は[CH
2]
pC(=O)R
3であり;及びR
3が
【0198】
【化28】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0199】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3であり;Lが−C(=O)R
3であり;及びR
3が
【0200】
【化29】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0201】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3であり;及びR
3が
【0202】
【化30】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0203】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0204】
【化31】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0205】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0206】
【化32】
であり;及びR
4が、−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0207】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0208】
【化33】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0209】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0210】
【化34】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0211】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0212】
【化35】
であり;Wが−F、−Cl、−Br又は−Iであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0213】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0214】
【化36】
であり;Wが−Fであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0215】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0216】
【化37】
であり;Wが−
18Fであり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0217】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が置換されていないアルキル又は−F、−Cl、−Br若しくはIで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)R
3、−C(=O)[CH
2]
pR
3、−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3又は−[CH
2]
pC(=O)R
3であり;R
3が
【0218】
【化38】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0219】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2がアルキルであり;Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3であり;R
3が
【0220】
【化39】
であり;及びR
4が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0221】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が置換されていないアルキル又は−F、−Cl、−Br若しくはIで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;R
3が
【0222】
【化40】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0223】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−Fで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;R
3が
【0224】
【化41】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0225】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−
18Fで置換されたアルキルであり;Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;R
3が
【0226】
【化42】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0227】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が−CH
2CH
218F又は−CH
2CH
18FCH
3であり;Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;R
3が
【0228】
【化43】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0229】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2がであり;Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[CH
2]
pC(=O)−であり;R
3が
【0230】
【化44】
定義の何れか1つに関する。
【0231】
ある種の実施形態において、本発明は、Xが−O−であり;Yが−CH
2−であり;R
1が水素であり;mが2であり;nが2であり;R
2が置換されていないアルキルであり;Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)CH
2CH
2C(=O)−であり;R
3が
【0232】
【化45】
であり;Wが−Fであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随するであり;Wが−
18Fであり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0233】
ある種の実施形態において、本発明は、化合物が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0234】
ある種の実施形態において、本発明は、R
1が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0235】
ある種の実施形態において、本発明は、R
1が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0236】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0237】
ある種の実施形態において、本発明は、R
2が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0238】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0239】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0240】
ある種の実施形態において、本発明は、R
4が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0241】
ある種の実施形態において、本発明は、R
4が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0242】
本発明の一態様は、式IIによって表される化合物又は医薬として許容されるその塩に関する。
【0243】
【化46】
式中、それぞれの出現について独立に、
Lは、−H、−C(=O)R
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pR
3、−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3、−[C(R
1)
2]
pR
3、−[C
1−10アルキレン]R
3、−C(=O)[C
1−10アルキレン]R
3、−[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3又は−C(=O)[C
1−10アルキレン]C(=O)R
3であり;
R
1は、水素、ハロ、アジド、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、アシル、カルボキシル、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ又はイソシアノであり;
R
3は、
【0244】
【化47】
であり;
R
4は、水素、ハロ、アジド、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、アシル、カルボキシル、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ、−OR
5、−SR
5、−N(R
5)
2、−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3又はキレート構造であり;
R
5は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、アシル、−(C(R
1)
2)
qC(R
1)
3又はキレート構造であり;
R
7は、水素、ハロ、アジド、アルキル、ハロアルキル、ペルハロアルキル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アシルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホナート、ホスフィナート、アシル、カルボキシル、オキシカルボニル、アシルオキシ、シリル、チオエーテル、スルホ、スルホナート、スルホニル、スルホンアミド、ホルミル、シアノ、イソシアノ、−OR
5、−SR
5、−N(R
5)
2、−C(R
1)
2)
qC(R
1)
3又はキレート構造であり;
pは、1以上10以下であり;及び
qは、0以上10以下であり;
但し、Lが−Hである場合には、1つのR
7はフルオロであり;及び他のR
7はヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ又はヘテロアラルキルオキシである。
【0245】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が少なくとも1つの
18F、
76Br、
77Br、
123I、
124I又は
125Iを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0246】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が少なくとも1つの
18Fを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0247】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が唯一つのキレート構造を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0248】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が唯一つのキレート構造及びキレート構造にキレートされた
99mTc、
68Cu、
64Cu又は
68Gaを含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0249】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3−である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0250】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0251】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0252】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0253】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0254】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0255】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が−F又は−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0256】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が−
18F又は−OHであり;但し、1つのR
7のみが−
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0257】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;及びR
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0258】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3であり;及びR
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0259】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)[CH
2]
pC(=O)R
3であり;及びR
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0260】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3であり;及びR
7が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0261】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)CHCH
2C(=O)R
3であり;及びR
7がOHであり、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0262】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3であり;及びR
7が−F又は−OHであり;但し、1つのR
7のみが−Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0263】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;及びR
7が−F又は−OHであり;但し、1つのR
7のみが−Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0264】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3であり;及びR
7が−
18F又は−OHであり;但し、1つのR
7のみが−
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0265】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)CH
2CH
2C(=O)R
3であり;及びR
7が−
18F又は−OHであり;但し、1つのR
7のみが−
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0266】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0267】
【化48】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0268】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0269】
【化49】
であり;及びR
4が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0270】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0271】
【化50】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0272】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0273】
【化51】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0274】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0275】
【化52】
であり、Wが−F、−Cl、−Br又は−Iであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0276】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0277】
【化53】
であり、Wが−Fであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0278】
ある種の実施形態において、本発明は、R
3が
【0279】
【化54】
であり、Wが−
18Fであり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0280】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;及びR
3が
【0281】
【化55】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0282】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;及びR
3が
【0283】
【化56】
であり;及びR
4が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0284】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;及びR
3が
【0285】
【化57】
であり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0286】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;R
3が
【0287】
【化58】
であり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0288】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;R
3が
【0289】
【化59】
であり;Wが−F、−Cl、−Br又は−Iであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0290】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;R
3が
【0291】
【化60】
であり;Wが−Fであり;及びR
4が−OR
5である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0292】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−C(=O)R
3又は−C(=O)[C(R
1)
2]
pC(=O)R
3であり;R
7が−H、−F、−Cl、−Br、−I又は−OR
5であり;R
3が
【0293】
【化61】
であり;Wが−
18Fであり;及びR
4が−OHである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0294】
ある種の実施形態において、本発明は、Lが−Hであり;1つのR
7がフルオロであり;及び他のR
7がヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ又はヘテロアラルキルオキシである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0295】
ある種の実施形態において、本発明は、化合物が1−デオキシ−1−フルオロ−scyllo−イノシトール又は1−デオキシ−1−フルオロ−myo−イノシトールである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0296】
ある種の実施形態において、本発明は、化合物が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0297】
ある種の実施形態において、本発明は、R
1が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0298】
ある種の実施形態において、本発明は、R
1が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0299】
ある種の実施形態において、本発明は、R
4が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0300】
ある種の実施形態において、本発明は、R
4が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0301】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が放射性画像化剤を含む、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0302】
ある種の実施形態において、本発明は、R
7が放射性画像化剤を含み、及び放射性画像化剤が
18Fである、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0303】
本発明の一態様は、医薬として許容される担体と及び化合物又は医薬として許容されるその形態を含み、前記化合物が本明細書中に記載されている化合物の何れかである、医薬組成物に関する。
【0304】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が式I又はIIの化合物及びこれに付随する定義である、先述されている医薬組成物及び付随する定義のいずれか1つに関する。
【0305】
本発明の一態様は、化合物、又は医薬として許容される担体と及び前記化合物若しくは医薬として許容されるその形態とを含む組成物を投与する工程を含み、前記化合物が本明細書中に記載されている化合物の何れかによって表される、アミロイドーシスと関連する病的症状に罹患する対象をアミロイド画像化し又はアミロイドーシスと関連する病的症状に罹患する対象を治療する方法に関する。
【0306】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が式I又はIIの化合物及びこれに付随する定義である、先述されている方法及び付随する定義のいずれか1つに関する。
【0307】
ある種の実施形態において、本発明は、前記アミロイドーシスと関連する病的症状がアルツハイマー病である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0308】
ある実施形態において、本発明は、前記化合物が少なくとも1つの
18F、
76Br、
77Br、
123I、
124I又は
125Iを含む、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
ある種の実施形態において、本発明は、化合物が
【0309】
【化62】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0310】
本発明の一態様は、化合物、又は医薬として許容される担体と及び前記化合物若しくは医薬として許容されるその形態とを含む組成物を投与する工程を含み、前記化合物が本明細書中に記載されている化合物の何れかによって表される、アミロイドーシスと関連する病的症状に罹患する対象を治療する方法に関する。
【0311】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物が式I又はIIの化合物及びこれに付随する定義である、先述されている方法及び付随する定義のいずれか1つに関する。
【0312】
ある種の実施形態において、本発明は、前記アミロイドーシスと関連する病的症状がアルツハイマー病である、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0313】
ある種の実施形態において、本発明は、前記治療が斑の形成を阻害する、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0314】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物がRS−86とイノシトールの組み合わせ、RS−86とグルコースの組み合わせ、イノシトールとグルコースの組み合わせ又はイノシトールとグルコースを含む二糖である、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0315】
ある種の実施形態において、本発明は、前記組み合わせがその構成成分の一方又は両方に比べて増加した取り込みを示す、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0316】
ある種の実施形態において、本発明は、前記組み合わせが、血液、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓、副腎、胃、胃腸管、性腺、骨格筋、骨又は脳の細胞中のその構成成分の一方又は両方に比べて増加した取り込みを示す、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0317】
ある種の実施形態において、本発明は、前記組み合わせが脳内のその構成成分の一方又は両方に比べて増加した取り込みを示す、先述されている方法及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0318】
ある種の実施形態において、本発明は、前記化合物がフッ素化されている、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0319】
ある種の実施形態において、本発明は、化合物が
【0320】
【化63】
である、先述されている化合物及び付随する定義の何れか1つに関する。
【0321】
実施例
上記実施形態及び以下の実施例は、限定のためではなく、例示のために与えられていることを理解すべきである。本発明の範囲に属する様々な変更及び改変が、この記述から当業者に明らかとなる。
【0322】
一般的な反応材料及び分析の方法
別段の記載がなければ、全ての反応は、乾燥したガラス製品(150℃で12時間、オーブン)中で行い、水分を含んだ空気を反応系から除去するために、乾燥したN
2気体の一定した流れを使用した。水分に対して感受性を有する反応のための全ての化学物質及び溶媒は、Aldrich chemical companyから購入し、供給されたとおりに使用した。エチルエーテルは、使用の直前に、ナトリウム−ベンゾフェノンから蒸留した。ジクロロメタンは、使用前に、CaH又はP
2O
5から蒸留した。DMFは、活性化された4オングストロームの分子篩上に、減圧下で蒸留し、又は直ちに使用するために、無水溶媒として購入した。フッ素コートされた樹脂又はゴム栓/プランジャーを有する注射器は、乾燥剤としてKOHを用い、真空Abderhalden乾燥装置を56℃(アセトン)で使用して乾燥させ(24時間)、試料を乾燥させるために、P
2O
5を加えた64℃(メチルアルコール)の同じAbderhalden乾燥装置を使用した。−50℃で実施された反応は、粉末化されたドライアイスを加えた50%CaCl
2溶液の凍結されたスラリーを使用した。
1HNMRスペクトルは、300MHzVarian Mercury装置上に記録され、残留CDCl
3を7.26ppmに、Me
4Siを0.00ppmに基準として参照し、百万分率(ppm)で報告した。多重度、カップリング定数(Hz)及びプロトン数は、各ピークの帰属の後に続く。元素分析は、Robertson Laboratories, Madison, NJによって行われ、別段の記載がなければ、理論値の+/−0.4%内であった。分析用ポリエステルTLCプレートは、Aldrichから購入した(Silica gelの厚さ:250μm、孔径60オングストローム、20×20cm、蛍光指示薬、カタログ番号Z122785)。TLCプレートは、254nm/366nmUVランプ及びホスホモリブデン酸又はヨウ素/シリカゲル混合物の5%エタノール溶液を用いて可視化された。調製用TLCプレートは、Sigma−Aldrich(ガラス上のシリカゲル、2000μm、20×20 cm、fl.Ind.カタログ番号Z513040)から購入された。クロマトグラフィー分離は、Silia−PFlaskシリカゲル(Silicycle Chemical Division, Quebec, QC, Canada)、粒径:40から63μm、60オングストロームを用いて行った。HRMS測定は、電子衝撃(EI)又は高速原子衝突(FAB)モードで、Molecular Biology Core Facilities, DFCI, MAによって行った。
【実施例1】
【0323】
図3は、2つの新規のフッ素化された2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン誘導体の合成のための1つのアプローチを図示する。
図3に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0324】
「A」エチル(1−メチル−4−ピペリジリデン)シアノアセタートの合成(1;
図3)。米国特許第3,056,796号(参照により、本明細書に組み込まれる。);Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2002, 12, 1103及びJ.Med.Chem.2004,47(8),2037を参照。CH
2Cl
2(100mL)中の、1−メチル−4−ピペリドン(10.0g、88.3mmol)及びシアノ酢酸エチル(13.0g、115.2mmol)の撹拌された溶液に、Et
3N(17.9g、177.0mmol)を添加した。次いで、細かく砕かれた4オングストロームの分子篩(9.0g)を添加し、室温で一晩、混合物を撹拌した。Celiteを通して、反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮して、透明な赤いシロップとして生成物を得た(15g;収率82%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.31(t,3H,CH
2CH
3),2.28(s,3H,N−CH
3),2.50(t,2H,J
ab=5.7Hz,CH
2N),2.57(t,2H,J
ab=6.0Hz,CH
2N),2.77(t,2H,J
ab=6.0Hz,CH
2C=C),3.12(t,2H,J
ab=5.7Hz,CH
2C=C)。生成物は、さらなる精製なしに、以下の工程で直接使用した。
【0325】
[B]1−メチル−4−シアノメチルピペリジリデン−4−カルボニトリルの合成(2;
図3)。前工程から得られたエチルエステル1(15g、72.1mmol)をエタノール(150mL)中に溶解した。H
2O(60mL)中のKCN(28.7g、442mmol)の溶液。赤い溶液を4時間還流加熱し、次いで、減圧下で溶媒を蒸発させて暗赤色のシロップを得、EtOAc(4×100)を用いてこれを抽出した。合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO
2上で水分を除去し、濃縮して、赤い透明な油を得た。CH
2Cl
2中の10%メタノールを使用するクロマトグラフィーによって、純粋なジニトリル化合物(8.8g;収率74.9%)が得られた。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.75(m,2H,CH
2N),2.06(d,2H,CH
2N),2.30(m,2H,CH
2C=N),2.33(s,3H,NCH
3),2.73(s,2H,CH
2CN),2.87(d,2H,CH
2C=N)。
【0326】
[C]1−メチル−4−カルボキシメチルピペリジン−4−カルボン酸塩酸塩の合成(3;
図3)。「J.Med.Chem.2004, 47 (8), 2037」を参照。濃HCl(250mL)中のジニトリル2(14.4g、88.3mmol)の懸濁液を36時間還流した。次いで、乾燥状態になるまで、淡黄色の溶液を減圧下で濃縮し、その塩酸塩として、灰白色の固体として、二酸3を得た(19.1g;収率91%)。
1HNMR(DMSO−d
6)δ1.92(t,2H,CH
2N),2.17(t,2H,CH
2N),2.46(s,1H,CH
2CCO
2H),2.72(s,3H,NCH
3),2.84(m,2H,CH
2CCO
2H),3.24(q,1H,CH
2CCO
2H),3.33(s,2H,CH
2CO
2H),10.88(m,2H,COOH)。
【0327】
[D]8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(4;
図3)。「J.Med.Chem.1988, 31(8), 1598」を参照。二酸HCl3(16.4g、69mmol)を30mLの濃NH
4OH中に溶解し、1時間還流加熱し、次いで、溶液の揮発性成分を常圧で留去し、残留物を250℃で5時間加熱した。冷却後、熱水(10mL)、50%K
2CO
3(28mL)で残留物を処理し、50%NaOH(1mL)を用いて、溶液のpHを12に調整した。次いで、クロロホルム(3×100mL)を用いて混合物を抽出し、減圧下で濃縮して、僅かに茶色の固体を得た。2−プロパノール中での結晶化によって粗生成物を精製して、黄色の結晶(7.6g;収率60%)を得た。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.55(d,2H,CH
2N),2.03(t,2H,CH
2C),2.12(t,2H,CH
2N),2.28(s,3H,NCH
3),2.56(s,2H,CH
2CO),2.87(d,2H,CH
2C)。
【0328】
注:化合物4の調製に関して、生成物は分解し易く、文献から引用された条件(真空中で、より高い温度230から280℃)下では、より低い収率をもたらした。文献からの収率31%を60%に増加させるために、常圧で、250℃に温度を調節することによって、条件を改変した。
【0329】
[E]2−(2−ヒドロキシエチル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(5;
図3)。「J.Med.Chem.1988, 31(8), 1598」を参照されたい。新鮮な蒸留されたDMF(10mL)中に溶解された化合物4(1.8g、10mmol)の溶液を鉱物油中の95%NaH(0.28g、11mmol)で処理し、混合物を50℃で1.5時間撹拌し、次いで、50分間にわたって、DMF(6mL)中の2−ブロモエタノール(1.58g、12mmol)の溶液を添加し、混合物を75から80℃で4時間撹拌した。次いで、1gの活性炭を用いて、混合物をろ過し、ろ液を真空中で蒸発させた。クロロホルム(3×50mL)を用いて残留物を抽出し、沈殿した塩をろ別し、中性のAl
2O
3の層を通して、ろ液をろ過した(活性II)。減圧下で溶媒を蒸発させて、無色の半固体を得た。粗生成物は、2−プロパノール:ヘキサン(20:5)の混合物との結晶化によって、完全に精製することができない。CH
2Cl
2中の15%メタノールを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって、無色の粉末として、純粋な生成物を得た(1.12g;収率50%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.49(d,2H,CH
2N),1.98(t,2H,CH
2C),2.08(t,2H,CH
2N),2.25(s,3H,NCH
3),2.51(s,2H,CH
2CO),2.81(d,2H,CH
2C),3.63(t,2H,NCH
2CH
2),3.69(t,2H,CH
2OH)。
【0330】
注:文献に提供されている同じ精製法を用いた、スピロ化合物5の調製では、純粋な生成物を得ることができず、フラッシュクロマトグラフィーが必要であった。CH
2Cl
2中での15%メタノールでの溶出は50%の収率を与え、これは文献に報告されているもの(76%)より低かった。生成物は弱いUV吸収を有しているので、そのTLC検出も困難である。生成物のクロマトグラフィー検出のために、I
2/シリカゲルを使用した。
【0331】
[F]2−(2−メタンスルホニルエチル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(6;
図3)。25mLの丸底フラスコ中に、無水ジクロロメタン(5mL)中の化合物5(0.3g、1.3mmol)を溶解した。この溶液に、トリエチルアミン(0.27g、2.6mmol)を添加し、氷−NaCl槽を用いて、反応混合物を0℃まで冷却した。塩化メタンスルホニルを滴加し、窒素下で2時間、反応混合物を撹拌し、氷槽を取り除き、室温で1時間撹拌した。次いで、ジクロロメタン(20mL)を用いて反応混合物を希釈し、NaHCO
3の飽和溶液、次いで、塩水で洗浄し、MgSO
4上で脱水し、減圧下で溶媒を蒸発させて、黄色の透明な油を得た。ジクロロメタン中の10%メタノールの混合物を用いて溶出されたフラッシュクロマトグラフィーによって、生成物を精製して無色の透明なシロップを得、高い真空下で蒸発させて、無色の半固体を得た(144mg;収率36%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.48(d,2H,CH
2N),1.93(t,2H,CH
2C),2.05(t,2H,CH
2N),2.23(s,3H,NCH
3),2.51(s,2H,CH
2CO),2.78(d,2H,CH
2C),2.94(s,3H,CH
3SO
3),3.76(t,2H,NCH
2CH
2),4.34(t,2H,CH
2OSO
2CH
3)。
【0332】
[G]2−(2−ヒドロキシプロピル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(7;
図3)。 DMF(10mL)中の化合物4(1.8g、10mmol)の溶液に、鉱物油中の95%NaH(0.28g、11mmol)をゆっくり添加し、これは多くの気泡を生じ、さらなるDMF(5mL)を添加した。混合物を65℃で1時間撹拌した。茶色の気泡が全て溶解し、混合物が透明な黄色の溶液になるまで、80分にわたって、DMF(6mL)中の1−ブロモ−2−プロパノール(1.2g、12mmol)の溶液を混合物に添加し、次いで、油槽の温度を70℃まで上昇させ、一晩維持した。混合物に活性炭(0.1g)を添加し、Celiteの層を通してろ過した。減圧下で、乾燥状態になるまでろ液を蒸発させ、クロロホルム(3×60mL)を用いて残留物を抽出した。収集されたクロロホルムから不溶性物質をろ別し、次いで、中性のAl
2O
3の層を通してろ過した(活性II)。減圧下でろ液を蒸発させて、黄色の固体を得た。ヘキサンと2−プロパノールの混合物(4:1)での倍散後の結晶化によって、粗生成物を精製して、無色の粉末を得た(1.3g;収率54%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.13(d,3H,CH
3CH),1.47(t,2H,CH
2N),1.99(t,2H,CH
2N),2.08(t,2H,CH
2C),2.24(s,3H,NCH
3),2.53(s,2H,CH
2CO),2.82(t,2H,CH
2C),3.48(d,2H,NCH
2CH),3.94(m,1H,CHOH)。
【0333】
注:化合物7の調製において、NaH(95%)の添加は気泡の大量及び熱を放出させたので、反応の初めに氷槽を使用し、次いで、NaHの添加を終えた後で氷槽を除去することをお勧めする。一晩の反応後、あらゆる連結又は脱水副産物を除去するために、活性炭の添加が必要であり、Al
2O
3層を通じてのろ過は、発生し得る酸性副産物を除去するためである。生成物7を調製するために、DMF中の、プロピレンオキシド及び水素化ナトリウムと化合物4を反応させる試みは、成功しなかった。市販の出発材料1−ブロモ−2−プロパノールはその異性体2−ブロモ−1−プロパノールの30%を含有するが、この異性体は上に概説されている手順での純粋な生成物の分離に対して一切悪影響を有していないようである。
【0334】
[H]2−(2−メタンスルホニルプロピル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(8;
図3)。氷塩槽(0℃)中で、新たに蒸留されたCH
2Cl
2(20mL)中に溶解された化合物7(1.3g、5.4mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.09g、6.6mmol)を添加し、次いで、塩化メタンスルホニルを滴加した。窒素下で、反応混合物を1.5時間撹拌し、氷槽を取り除き、室温で1時間撹拌を続けた。混合物をCH
2Cl
2(20mL)で希釈し、次いで、飽和NaHCO
3、塩水で洗浄し、MgSO
4上で脱水した。減圧下で溶液を蒸発させて、黄色の固体を得た。CH
2Cl
2中の15%メタノールで溶出されたクロマトグラフィーによって粗生成物を精製して、無色の粉末を得た(0.9g;収率52%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.40(d,3H,CH
3CH),1.58(d,2H,CH
2N),2.01(t,2H,CH
2N),2.10(t,2H,CH
2C),2.28(s,3H,NCH
3),2.53(s,2H,CH
2CO),2.82(d,2H,CH
2C),2.94(s,3H,CH
3SO
2O),3.44(dd,1H,NCH
2CH),3.79(q,1H,NCH
2CH),5.04(m,IH,CHOMs)。元素分析:(C
13H
22N
2O
5S)計算値:C49.04;H6.96;N8.80、S10.07。測定値:C48.84、H6.75、N8.51、S10.37。
【0335】
[I]2−(2−フルオロエチル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(9;
図3)。新鮮な蒸留されたDMF(2mL)中に溶解された化合物4(0.3g、1.65mmol)の溶液を鉱物油中の95%NaH(0.05g、1.90mmol)で処理し、混合物を50℃で1.5時間撹拌し、次いで、50分間にわたって、DMF(2mL)中の1−ブロモ−2−フルオロエタン(0.33g、2.6mmol)の溶液を添加し、混合物を75から80℃で4時間撹拌した。次いで、活性炭(0.01g)を用いて、混合物をろ過し、ろ液を真空中で蒸発させた。クロロホルム(3×50mL)を用いて残留物を抽出し、沈殿した塩をろ別し、中性のAl
2O
3の層を通して、ろ液をろ過した(活性II)。減圧下で溶媒を蒸発させて、無色の固体を得た。CH
2Cl
2中の15%メタノールを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって、無色の粉末として、純粋な生成物が得られた(175mg;収率46%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.48(d,2H,CH
2N),1.96(t,2H,CH
2C),2.08(t,2H,CH
2N),2.24(s,3H,NCH
3),2.52(s,2H,CH
2CO),2.81(d,2H,CH
2C),3.75(tt,2H,NCH
2),4.48(tt,2H,CH
2F)。元素分析:(C
11H
17N
2O
2)計算値:C57.88;H7.51;N12.27;F8.32。測定値:C57.61、H7.79、N12.13、F7.73。
【0336】
注:化合物9の調製において、Ms基をフルオロ基で置換するためにTBAF(THF中のテトラブチルアンモニウムフルオリド)と反応された化合物6を用いる方法は、生成物9から分離できない過剰のTBAF(ともに、CH
2Cl
2中の10から20%などの溶出系において、TLC及びフラッシュクロマトグラフィーで重複したR
f値を有する。)のために成功しなかった。「Nucl Med.Biol 1993, 20(1), 81」を参照されたい。
【0337】
[J]2−(2−フルオロプロピル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(10;
図3)。DMF(10mL)中の化合物4(1.2g、6.5mmol)の溶液に、鉱物油(0.2g、7.8mmol)中の95%NaHをゆっくり添加した。混合物を65℃で1時間撹拌した。茶色の気泡が全て溶解し、混合物が透明な黄色の溶液になるまで、80分にわたって、DMF(6mL)中の1−ブロモ−2−フルオロプロパン(1.1g、7.8mmol)の溶液を混合物に添加し、次いで、油槽の温度を70℃まで上昇させ、一晩維持した。室温まで冷却した後、混合物に活性炭(0.1g)を添加し、Celiteの層を通してろ過した。減圧下で、乾燥状態になるまでろ液を蒸発させ、クロロホルム(3×60mL)を用いて残留物を抽出した。収集されたクロロホルムから不溶性物質をろ別し、次いで、中性Al
2O
3の層を通してろ過した(活性II)。減圧下でろ液を蒸発させて、黄色の固体を得た。ヘキサン中での結晶化によって、粗生成物を精製して、無色の粉末を得た(1.2g;収率76%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ1.33(q,3H,CH
3CH),1.49(d,2H,CH
2N),1.99(t,2H,CH
2N),2.13(t,2H,CH
2C),2.28(s,3H,NCH
3),2.57(s,2H,CH
2CO),2.83(d,2H,CH
2C),3.48(d−q,1H,NCH
2CHF),3.78(d−t,1H,NCH
2CHF),4.84(d−m,1H,CHF)。元素分析:(C
12H
19N
2O
2)計算値:C59.49;H7.90;N11.56、F7.84。測定値:C59.49、H8.06、N11.55、F7.69。
【0338】
注:化合物10の調製において、CH
2Cl
2中のDAST(ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド)と直接反応された化合物7を用いる方法は、乏しい収率10から20%で生成物10を与えるに過ぎないことが判明した。「J.Org.Chem.1975, 40(5), 574」を参照されたい。
【0339】
[K]1−ブロモ−2−フルオロエタンの合成。「J.Org.Chem.1975, 40(5), 574」を参照されたい。ジグリム(8mL)中のジメチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)(2.0g、12.5mmol)の溶液に、1−ブロモエタノール(1.65g、12.5mmol)を滴加し、ドライアイス及びアセトンの槽中で−50℃まで冷却した。反応混合物を室温まで加温し、室温で1時間、撹拌を続けた。フードバキュームによるドライアイス捕捉中に収集するために、68から75℃で、最も揮発性が高い部分を蒸留した。蒸留物を水(4mL)、5%炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、MgSO
4上で脱水し、再度蒸留して、無色の油として生成物を得た(1.4g;収率88%)。
1HNMR(CDCl
3−d)δ3.50(t−t,2H,CH
2Br),4.62(t−t,2H,CH
2F)。
【0340】
[L]1−ブロモ−2−フルオロプロパンの合成。この化合物は、文献中に報告されているとおりに合成した。「Organic Syntheses 2004, 10, 128」及び「Organic Syntheses 1999, 76, 159」を参照されたい。
1HNMR(CDCl
3−(d)δ1.41(d−d,3H,CH
3CH),3.44(d−d,2H,CH
2Br),4.80(m−m,1H,CHF)。
【実施例2】
【0341】
図4は、N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成のための1つのアプローチを図示する(6;
図4)。2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン6の調製は、公知の手順の改変された様式に従って行った。「Irie, O., Iwasaki, G. et al, WO 2004/076455」(参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。)を参照されたい。
図4に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0342】
[A]1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)−シアノアセタートの合成(2;
図4)。トルエン(9400mL)中の1−ベンジル−ピペリジン−4−オン(75.1g、0.40mol)、シアノ酢酸エチル(50.6mL、0.48mol)及び酢酸(918.2mL、0.32mol)の溶液を4時間還流した。混合物を氷水で冷却し、ジエチルエーテルで抽出した。合わせた抽出物を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水して、定量的収率で、エチル(1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)シアノアセタートを得た。R
f=0.53(ヘキサン:AcOEt=1:1)。
【0343】
[B]1−ベンジル−4−シアノメチルピペリジリデン−4−カルボニトリルの合成(3;
図4)。エタノール(500mL)及び水(100mL)中の(1−ベンジル−ピペリジン−4−イリデン)シアノアセタート(112.9g、0.40mol)の溶液、シアン化カリウム(64.6g、0.99mol)を65℃で24時間加熱した。エタノールの除去後、水を残留物に添加した。エーテルを用いて水相を抽出し、合わせたエーテル抽出物を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水して、1−ベンジル−4−シアノメチルピペリジン−4−カルボニトリル77.7gを得た。Rf=0.38(ヘキサン:AcOEt=1:1)。
【0344】
[C]8−ベンジル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(4;
図4)。 1−ベンジル−4−シアノメチルピペリジン−4−カルボニトリル(27.2g、0.114mol)、酢酸(56.8mL)及び硫酸(11.8mL)を125℃で1時間加熱した。混合物を25℃まで冷却し、飽和NaOHを使用して、pHを6になるように調整した。ジクロロメタンを用いて、混合物を抽出した。合わせた抽出物を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、蒸発させて、8−ベンジル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンを得た。R
f=0.40(CH
2Cl
2:MeOH=10:1)。
【0345】
[D]8−ベンジル−N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[5,5]デカン−1,3−ジオンの合成(5;
図4)。DMF中の8−ベンジル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンをNaH(1.2当量)で処理し、2−ブロモエタンを添加した。混合物を100℃で2時間加熱した。混合物を25℃まで冷却し、氷水上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。合わせたジクロロメタン抽出物を水、塩水で洗浄し、Na
2SO
4上で脱水し、蒸発させて、8−ベンジル−N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンを得た。
【0346】
[E]N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンの合成(6;
図4)。エタノール(50mL)及び酢酸(0.5mL)中の、8−ベンジル−N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン(2.8g)及びPd(OH)
2(0.8g)を25℃で15時間、H
2下において撹拌した。ろ過によって、触媒を除去し、エタノールを蒸発させて、N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンを得た。
【実施例3】
【0347】
6−O−[N−(N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン]アミノカルボニル]−α,β−D−グルコピラノース(13;
図6)の合成のための1つのアプローチが、
図6に図示されている。1−O−ベンジル−β−D−グルコシド7は市販されており、又はβ−D−グルコースとベンジルアルコールのアーモンドβ−D−グルコシダーゼによって触媒されるグリコシド化から一段階で作製することができる。「Carbohydrate Res.1995, 279, 315」を参照されたい。さらに、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−イミダゾリルカルボニル−β−D−グルコピラノシド(11;
図6)は、公知の手順を介して調製することができる。「Org.Biomol.Chem.2003, 1, 767−771」を参照されたい。
図6に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0348】
[A]ベンジル6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシドの合成(8;
図6)。ピリジン(14mL)中の1(1.71g、6.33mmol)の溶液を、60℃で7時間、塩化トリチル(2.65g、9.5mmol)及びDMAP(155mg、1.27mmol)で処理する。反応混合物を室温で冷却し、MeOH(4mL)を添加し、溶媒を蒸発させた。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt、5:1)によって、残留物を精製して、固体としてベンジル6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシドを得た。Rf=0.22(ヘキサン−AcOEt,1:2);融点72−74℃;[α]D
20−52.0°(c1,CHCl
3)。
【0349】
[B]ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシドの合成(9;
図6)。無水DMF(23mL)中のベンジル6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシド(3.58g、6.99mmol)の溶液を、0℃で、95%NaH(630mg、26.2mmol)で処理する。10分後に、臭化ベンジル(2.74mL、23.1mmol)を添加し、室温で一晩、反応を進行させる。メタノールで反応混合物を反応停止させ、濃縮する。エーテル(50mL)中に残留物を溶解し、水で洗浄し(4×30mL)、脱水させ(Na
2SO
4)、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt、20:1;10:1)によって、残留物を精製して、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシドをシロップとして得た。Rf=0.29(ヘキサン:AcOEt=10:1)。
【0350】
[C]ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシドの合成(10;
図6)。 CH
2Cl
2−MeOH(1:2、56.4mL)中のベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシド(4.41g、5.64mmol)の溶液を、室温で6時間、pTsOH(0.21g、1.13mmol)を処理する。この後、トリエチルアミン(0.16mL、1.13mmol)を添加し、混合物を濃縮し、エーテル(60mL)中に残留物を溶解する。水(2×30mL)、塩水(30mL)で有機溶液を洗浄し、脱水し(Na
2SO
4)、濃縮する。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン−AcOEt、8:1;5:1;3:1)によって、残留物を分画して、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシドを固体として得た。R
f=0.21(ヘキサン−AcOEt、3:1);融点99−101℃;[α]D
20−10.4°(c1,CHCl
3)。
【0351】
[D]ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−イミダゾリルカルボニル−β−D−グルコピラノシドの合成(11;
図6)。ジオキサン(5.3mL)中のベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(2.53g、4.69mmol)及びN,N−カルボニルジイミダゾール(0.91g、5.63mmol)の溶液を、室温で1時間撹拌する。この後、混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサンーAcOEt 3:1)によって残留物を精製して、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−イミダゾリルカルボニル−β−D−グルコピラノシドを固体として得た。R
f=0.22(ヘキサン−AcOEt、2:1);融点105−108℃;[α]D
20+28.9°(c1,CHCl
3)。
【0352】
[E]ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカンー1,3−ジオン)アミノカルボニル]−β−D−グルコピラノシドの合成(12;
図6)。ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−イミダゾリルカルボニル−β−D−グルコピラノシド(2.78g、4.39mmol)、N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオン(1.63g、3.65mmol)、トリエチルアミン(5mL)及びTHF(15mL)の混合物を、80℃で8時間撹拌する。この後、溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製して、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−[N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカンー1,3−ジオン)アミノカルボニル]−β−D−グルコピラノシドを得た。
【0353】
[F]6−O−[N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカンー1,3−ジオン]アミノカルボニル]−α,β−D−グルコピラノースの合成(13;
図6)。TLC(AcOEt−AcOH−MeOH、4:1:1)が完全な転化産物を示すときに、AcOEt−MeOH−トルエン(4:3:3)中の糖連結物(0.01M)の溶液を、10%Pd/C(1.1g/mmol)上で、1から5時間、水素化分解した。Celiteを通して反応混合物をろ過し、濃縮する。メタノール/水(95:5)中に残留物を溶解し、凍結乾燥して、6−O−[N−2−エチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカンー1,3−ジオン)アミノカルボニル]−α,β−D−グルコピラノースを得た。
【実施例4】
【0354】
1,2,3,4,5−ペンタ−O−ベンジル−scyllo−イノシトールの合成のための1つのアプローチが、
図7に示されている。Angyalによって記載された方法の修正様式を用いて、1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールの調製を行った。「J.Chem.Soc.1961, 4116」を参照されたい。Loweの公知の手順に従って、1,2,3,4,5−ペンタ−O−ベンジルmyo−イノシトールを合成した。「J. Chem.Soc.Perkin Trans 1, 1991, 1249」を参照されたい。
図7に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0355】
[A]1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールの合成(2;
図7)。Dean−Stark装置中で16時間、Myo−イノシトール(5g、28mmol)、シクロヘキサノン(50mL)、p−トルエンスルホン酸(36mg)、DMF(5mL)及びベンゼン(25mL)を還流した。40℃まで透明な溶液を冷却し、ベンゼン(25mL)、石油エーテル(25mL)及びエタノール(12mL)を添加した。この溶液に、p−トルエンスルホン酸(0.3g)を添加し、混合物を4℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン(0.3mL)を添加し、−20℃で16時間、混合物を静置した。懸濁液をろ過し、80℃で1時間、エタノール(100mL)及びトリエチルアミン(0.5mL)中でろ液を加熱した。冷却後、ろ過によって、結晶性(±)−シス−1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールを収集し、乾燥させた(5.3g、74%)、融点175から180℃(文献178℃)。
【0356】
[B]1,4,5,6−テトラ−O−ベンジル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールの合成。1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールを臭化ベンジルで処理し、DMF中の水素化ナトリウムを16時間加熱した。氷水上に溶液を注ぎ、エーテルで抽出する。合わせた抽出物を水、塩水で洗浄し、脱水する。溶媒を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、1,4,5,6−テトラ−O−ベンジル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールを得た;融点113から115℃。
【0357】
[C]1,4,5,6−テトラ−O−ベンジルmyo−イノシトールの合成。1,4,5,6−テトラ−O−ベンジル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールを、氷酢酸(20mL)及び水(5mL)とともに、100℃で4時間加熱する。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,4,5,6−テトラ−O−ベンジルmyo−イノシトールを得る。
【0358】
[D]1,3,4,5,6−ペンタ−O−ベンジルmyo−イノシトールの合成。 ベンゼン中の1,4,5,6−テトラ−O−ベンジルmyo−イノシトールの溶液を、臭化ベンジル及び水素化ナトリウムで処理する。混合物を100℃で2時間撹拌した。氷水上に反応混合物を注ぎ、エーテルで抽出する。有機層を分離し、飽和NaHCO
3水溶液及び塩水で連続して洗浄した。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,3,4,5,6−ペンタ−O−ベンジルmyo−イノシトールを得る。
【0359】
[E]1,2,3,4,5−ペンタ−O−ベンジルscyllo−イノシトールの合成。無水及び塩化メチレン(20mL)及び無水ピリジン中の1,3,4,5,6−ペンタ−O−ベンジルmyo−イノシトールを、−60℃で、トリフルオロメチルスルホニル無水物で処理する。25℃まで、反応混合物を加温し、2時間維持した。溶液を水で冷却し、塩化メチレンで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,2,3,4,5−ペンタ−O−ベンジル−scyllo−イノシトールを得る。
【実施例5】
【0360】
1−デオキシ−1−[
18F]フルオロ−scyllo−イノシトールの合成のための1つのアプローチが、
図8に示されている。Angyalによって記載された方法の修正様式を用いて、1,4,5,6−テトラ−O−アセチル−myo−イノシトールの調製を行った(4;
図8)。「J. Chem.Soc.1961, 4116」を参照されたい。1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトールは、Hosodaの公知の手順に従って合成した(5;
図8)。「Bioorg.Med.Chem.2002, 10, 1855」を参照されたい。
図8に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0361】
[A]1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールの合成(2;
図8)。Dean−Stark装置中で16時間、Myo−イノシトール(5g、28mmol)、シクロヘキサノン(50mL)、p−トルエンスルホン酸(36mg)、DMF(5mL)及びベンゼン(25mL)を還流した。40℃まで透明な溶液を冷却し、ベンゼン(25mL)、石油エーテル(25mL)及びエタノール(12mL)を添加した。この溶液に、p−トルエンスルホン酸(0.3g)を添加し、混合物を4℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン(0.3mL)を添加し、−20℃で16時間、混合物を静置した。懸濁液をろ過し、80℃で1時間、エタノール(100mL)及びトリエチルアミン(0.5mL)中でろ液を加熱した。冷却後、ろ過によって、結晶性(±)−シス−1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールを収集し、乾燥させた(5.3g、74%)、融点175から180℃(文献178℃)。
【0362】
[B]1,4,5,6−テトラ−O−アセチル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトールの合成(3;
図8)。無水ピリジン(30mL)及び無水酢酸(32mL)とともに、1,2−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトール(4.8g、17.4mmol)を90℃で2時間加熱した。真空中で溶液を蒸発させ、残留物を、96:4塩化メチレン/メタノールを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけて、1,4,5,6−テトラ−O−アセチル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyoイノシトール(6.8g、85%)、融点112から114℃(文献118℃)。
【0363】
[C]1,4,5,6−テトラ−O−アセチルmyo−イノシトールの合成(4;
図8)。1,4,5,6−テトラ−O−アセチル−2,3−O−シクロヘキシリデンmyo−イノシトール(5g、11.7mmol)を、氷酢酸(20mL)及び水(5mL)とともに、100℃で4時間加熱した。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトールを一水和物として得た。
【0364】
[D]1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトールの合成(5;
図8)。無水ピリジン(5mL)及び塩化メチレン(20mL)中の1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトール(2g、5.7mmol)の溶液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2mg)及び塩化アセチル(0.9g、11.5mmol)を連続して添加した。混合物を25℃で16時間撹拌した。反応混合物に水を添加し、有機層を分離し、飽和NaHCO
3水溶液及び塩水で連続して洗浄した。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトールを得る。
【0365】
[E]1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチル−2−O−メタンスルホニルmyo−イノシトールの合成(6;
図8)。無水ピリジン(5mL)及び塩化メチレン(20mL)中の1,3,4,5,6−ペンタ−O−アセチルmyo−イノシトール(1g、2.6mmol)を、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2mg)及び塩化メタンスルホニル(0.6g、5.2mmol)で、25℃で16時間処理した。溶液を真空中で蒸発させ、残留物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけて、1,3,4,5,6−ペンタ−2−O−メタンスルホニルmyo−イノシトールを得た。
【0366】
[F]1−デオキシ−1−[
18F]フルオロ−scyllo−イノシトールの合成(8;
図8)。
18O濃縮された水1mL中のフッ素―18(100mCi)、Kryptofix2.2.2(8mg)及び炭酸カリウム(2mg)を含有するWheatonの5mL反応容器を120℃で加熱し、窒素気体流の補助を得て、水を蒸発させた。アセトニトリル1mLの添加、窒素流を用いた溶媒の蒸発によって、K
18F/Kryptofix複合体を3回連続して乾燥させた。アセトニトリル0.1mL中のメシラート6の2mgの溶液を密封された容器に添加し、140℃で10分間、フッ素化を行った。室温まで冷却した後、塩化メチレン(3mL)を用いたシリカゲルSep−Pakに反応混合物を通過させ、窒素流を用いて溶媒を除去した。1M水酸化リチウム0.5mLとメタノール1mLの混合物を反応容器に添加し、80℃で20分間、容器を加熱した。溶媒を除去し、生理的食塩水を用いるC18Sep−Pak上で、1−デオキシ−1−[
18F]フルオロ−scyllo−イノシトールを精製し、ろ過した(MillexGV0.22μm)。
【実施例6】
【0367】
6−O−[(β−D−グルコピラノース−6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールの合成のための1つのアプローチが、
図9に示されている。ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド6−(コハク酸水素)は、公知の手順から調製される。「Org.Biomol.Chem.2003, 1, 767−771」を参照されたい。
図9に図示されている化合物を合成するための合成プロトコールが、以下に示されている。
【0368】
[A]ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−6−O−トリチル−β−D−グルコピラノシド6−(コハク酸水素)の合成。ピリジン中のベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド(10;
図9)の溶液を、コハク酸無水物及びDMAPで処理し、室温で16時間撹拌する。混合物を濃縮し、CH
2Cl
2中に残留物を溶解し、5%HCl水溶液(3×15mL)、飽和NaHCO
3水溶液及び水(3×150mL)で連続して洗浄する。有機溶液を脱水し(Na
2SO
4)、濃縮して、ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド6−(コハク酸水素)を固体として得た。R
f=0.56(ヘキサン−AcOEt、2:1);融点75−80℃;[α]D
20 −7.7°(c1,CHCl
3)。
【0369】
[B]ベンジル−[(ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールの合成。0℃のCH
2Cl
2(10mL)中の、1,2,3,4,5−ペンタ−O−ベンジル−scyllo−イノシトール及びN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドの溶液に、CH
2Cl
2(2.5mL)中のベンジル2,3,4−トリ−O−β−D−グルコピラノシド6−(コハク酸水素)の溶液を滴加する。混合物を室温で24時間撹拌し、次いで、CH
2Cl
2(15mL)で希釈し、1NKHSO
4(2×10mL)、飽和NaHCO
3水溶液(2×10 mL)、水(2×10mL)及び飽和NaCl(10mL)で洗浄する。有機溶液を脱水し(Na
2SO
4)、減圧下で溶媒を除去し、フラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製して、ベンジル−[(ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールを得た。
【0370】
[C]6−O−[(β−D−グルコピラノース−6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールの合成。1:1AcOEt−MeOH中のベンジル−[(ベンジル2,3,4−トリ−O−ベンジル−β−D−グルコピラノシド6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールをTFA及びPd/Cで処理し、水素下で12時間撹拌する。反応混合物をろ過及び濃縮し、CH
3NO
2−水(95:5)中に残留物を溶解し、凍結乾燥して、6−O−[(β−D−グルコピラノース6−イル)−スクシニル]−scyllo−イノシトールを得る。
【実施例7】
【0371】
M1ムスカリン性受容体アゴニストであるRS−86(2−エチル−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンを放射性フッ素化し、脳蓄積を評価し、そのC−11標識された類縁体の脳蓄積と比較した。アルツハイマー病(AD)は、前シナプス性マーカーであるコリンアセチル転移酵素活性とM2ムスカリン受容体の低下と関連し、これは、他の病的変化に先行する。ADを治療するために、記憶の喪失を軽減する脳内アセチルコリン伝達を増加させる多数のM1アゴニストが開発されてきた。M1後シナプス性受容体は、上方制御されると考えられている。従って、M1特異的放射性リガンドは、患者において、正常な蓄積より高い蓄積を示し得、従って、ADに対する初期診断法としての役割を果たす可能性を秘めている。
【0372】
上述されているように、2−(2−メタンスルホニルエチル)−8−メチル−2,8−ジアザスピロ[4,5]デカン−1,3−ジオンを5段階で調製した。アセトニトリル(0.1mL)中のRS−86メシラート(2mg)を、乾燥されたK
18F/kryptofixを含有する密封された容器に添加し、120℃で10分間加熱した。混合物を水(0.2mL)で希釈し、HPLC(C−18カラム250×10mm、流速6mL/分、PBS/アセトニトリル(95:5)によって精製した。[
18F]フルオロ−RS86を含有する画分を乾燥状態になるまで蒸発させ、ろ過の前に、PBS中に活性を溶解した。5、30及び60分に、ラット内で生体分布を行った。
【0373】
95%の化学的純度及び98%の放射性純度で、20%の収率(EOS)で[18F]フルオロ−RS86を調製した。それぞれ、5、30及び60分での脳取り込みは、0.27、0.54、0.48であった。30分で、血液、肝臓及び胃は、0.3%、0.64%及び0.90%であり、腎臓内での取り込みが最大(2.5%)であった。脱フッ素化は、最小限であった(30分で骨内において0.42%)。
【0374】
[
11C]RS−86に比べて[
18F]フルオローRS86の脳取り込みがより低い(0.54%対1%)のは、リガンド上でのフッ化物標識の位置によるものであり得る。これらの予備的研究は、[
18F]フルオローRS86がラット脳内に蓄積するが、脳内分布がM1mAChR濃度を反映するかどうかを確定するためには、さらなる研究が必要とされることを示唆している。
【0375】
参照による組み込み
本明細書中に引用されている米国特許及び米国特許出願公開の全ては、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0376】
均等物
当業者は、本明細書に記載されている本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を認識し、又は定型的な実験操作のみを用いて確認することができる。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。