特許第6140131号(P6140131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6140131-パイプの製造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140131
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】パイプの製造
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/04 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   C23C24/04
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-240449(P2014-240449)
(22)【出願日】2014年11月27日
(62)【分割の表示】特願2010-548989(P2010-548989)の分割
【原出願日】2009年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-61954(P2015-61954A)
(43)【公開日】2015年4月2日
【審査請求日】2014年11月28日
(31)【優先権主張番号】2008901088
(32)【優先日】2008年3月6日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100090918
【弁理士】
【氏名又は名称】泉名 謙治
(72)【発明者】
【氏名】ヤヘディ マーナツ
(72)【発明者】
【氏名】グリツア ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ティガニス ビル
(72)【発明者】
【氏名】タン カイキシャン
(72)【発明者】
【氏名】ザヒリ サデン
【審査官】 深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第7201940(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0036905(US,A1)
【文献】 特開平04−231449(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00911426(EP,A1)
【文献】 特開2006−183135(JP,A)
【文献】 特開2006−289364(JP,A)
【文献】 国際公開第00/020146(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 4/00,24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当な支持部材上に直接、粒子をコールドガスダイナミックスプレーし、それによりパイプを作成することと、パイプを支持部材から分離することを含むパイプの製造方法において、 前記支持部材が、マンドレルの形をとり、マンドレルの外側表面が、パイプの内側表面を画定し、マンドレルの熱膨張係数は、製造するパイプの熱膨張係数よりも大きく、前記マンドレルは、前記粒子のコールドガスダイナミックスプレーを開始する前に、加熱され、マンドレルの分離が、マンドレルの収縮によって生じる製造方法において、
前記コールドガスダイナミックスプレーされる粒子の平均粒径は、前記支持部材上に結果として形成される付着物が、結合した微少ボイドがないように定められることを特徴とする製造方法
【請求項2】
支持部材の表面が、滑らかで欠陥がない請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パイプの組成が、パイプの長さに沿って及び/又は厚さを横切って変化する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
パイプが、異なる材料の2以上の別個の長さ及び/又は層を備えている請求項3に記載の方法。
【請求項5】
パイプの組成が、パイプの長さに沿って及び/又は厚さを横切って徐々に変化する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
パイプが、パイプの表面に耐蝕性及び/又は耐摩耗性を付与する材料を含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項7】
パイプが、チタン及び/又はチタン合金を含んでいる請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、金属、セラミック、ポリマー、複合材料又はそれらの混合物から形成されるパイプの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、コールドガスダイナミックスプレー(即ち、コールドスプレー)を適用することによる継ぎ目のないパイプの製造に関する。本発明は、本発明の方法に従って製造されたパイプにも関する。チタン又はチタン合金のパイプが、とりわけ対象となるものである。
【背景技術】
【0002】
パイプは、押し出し又はスパイラル溶接(spiral welding)等の方法によって製造されるのが典型的である。押し出し法では、金属ビレットが、加熱され適当なマンドレルを用いて穴を開けられる。これに続き、伸長(elongation)、圧延(rolling)、歪み取り、サイジング(sizing)及び仕上げが、必要に応じて行われる。スパイラル溶接法では、材料(例えば、チタン)のシートが、ロール上に形成され、このシートは、パイプを製造するため、シーム溶接される。スパイラル溶接パイプのための次の作業には、必要に応じ、後熱処理、溶接検査、サイジング及び仕上げがある。これらの製造方法は、得てして労働集約的であり、高い工具費と、低い生産性を伴うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この背景に対して、これらの従来技術に付きものの不利益をこうむることのないパイプの製造方法を提供することが望ましい。具体的には、簡単で比較的高いスループットを有するパイプの製造方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、パイプの製造方法を提供するものであり、この方法は、適当な支持部材(又は、支持体)上に直接、粒子をコールドスプレーし、それによりパイプを作成することと、パイプを支持部材から分離することを含んでいる。もちろん、パイプに要求される性質に従うことを条件として、粒子は、支持部材上にパイプ構造を形成するため、コールドスプレーをすることのできる如何なる材料を含んでいてもよい。粒子は、一以上の金属、セラミック、ポリマー、複合材料又はこれらの材料の任意の二以上の組み合わせを含んでいてもよい。使用する材料の組み合わせを選択する時に、適合性(compatibility)の問題を、考慮する必要がある。
【0005】
コールドスプレーは、表面にコーティングを施すのに用いられている公知の方法である。一般的に言って、この方法は、(金属及び/又は非金属の)粒子を、高圧ガス流に送り込んだ後、この高圧ガス流に、このガス流を超音速に加速させる先細/末広ノズルを通過させること、または、粒子を、ノズルスロート後の超音速ガス流に送り込むことを含んでいる。次いで、粒子は、付着させる表面へと向けて送られる。この方法は、付着させる支持体及び粒子の融点よりも低い比較的低温で、粒子の支持体表面への衝突の結果としてコーティングが形成されながら、行われる。この方法が比較的低温で行われることが、被覆されている表面及びコーティングを形成している粒子に対する熱力学的、熱的及び/又は化学的影響を減少又は防止できるようにしている。これは、そうでなければ、プラズマ溶射、高速フレーム(HVOF)溶射、アーク溶射、ガスフレーム溶射又は他の溶射方法などの高温被覆方法に伴うことのある相変態等を生じることなしに、粒子の元来の構造及び性質を保つことができることを意味する。コールドスプレーの基本的な原理、装置及び手法は、例えば、米国特許第5,302,414号に記載されている。
【0006】
本発明の方法においては、支持部材の表面上にパイプ構造を作り上げるのにコールドスプレーが使用され、その後、独立の(free-standing)パイプ構造を製造するため、支持部材が取り除かれる。パイプの支持部材からの分離は、パイプ及び/又は支持部材を加熱又は冷却することによって行うことができる。ほかに、パイプの支持体からの分離は、支持部材を溶解、溶融又は蒸発させることによって、あるいは壊すことによって行うことができる。
【0007】
本発明に従い、粒子が適当な支持部材の表面上にコールドスプレーされる。ここで、支持部材の表面は、パイプの形の層を構築するため、上に粒子を付着させる表面であることが理解さるべきである。
【0008】
支持部材は、いろいろな形態をとることができる。そのため、一つの実施の形態では、支持部材は、マンドレルの形をとっている。この場合、マンドレルの外側表面は、製造するパイプの内側表面を画定することになる。マンドレルの横断面が円状である場合には、マンドレルの外径が、製造するパイプの内径に相当することになる。
【0009】
他の実施の形態では、支持部材は、成形された支持部材(即ち、モールド)の形をとることができる。この場合、本発明の方法は、モールドの表面上への粒子のコールドスプレーを含むものであり、ここで、モールドの内側表面が、製造する製品の外側表面を画定することが認められよう。そのため、支持部材が、支持部材を貫通して延びる空孔を有しており、その空孔の横断面が円状である場合には、空孔の内径が製造するパイプの外径に相当することになる。もちろん、適当に成形したモールドを使用することにより、他の可能性はあり得るが、製造するパイプは、横断面が円状であるのが典型的である。
【0010】
粒子で被覆する支持部材の表面は、製造するパイプの対応する表面の特性に影響を与える。被覆する支持部材の表面は、滑らかで欠陥がないのが望ましい。支持部材の表面特性は、コールドスプレーによるパイプの形成後に要求される加熱、冷却、溶解、溶融又は蒸発によって支持部材とパイプを分離することのできる容易さに影響する。アルミニウムのマンドレルは、例えば、水酸化ナトリウムを用いて溶解させることができる。
【0011】
被覆する支持部材の表面が滑らかで欠陥(例えば、擦り傷、くぼみ、あな、孔隙、ピンホール、夾雑物、マーキング等)がない場合には、製造したパイプの表面も、滑らかで欠陥がないはずである。かかるパイプは、パイプを通って輸送されているプロセス流体からの粒子のパイプの内側表面への付着が、流れの乱れやことによるとパイプの閉塞につながることがあるので、この付着を最小限にするのが望ましい懸濁液の移送に応用することができる。
【0012】
ある用途(例えば、熱交換器)においては、パイプの厚さを横切る熱伝達を最大限にするため、大きな表面積を有するパイプを用いるのが望ましい。熱伝達の大きさ及び/又は方向は、パイプのどの表面(内側及び/又は外側)を好適に大きな表面積を有するように設計するかに影響する。本発明は、大きな外側表面積を有するマンドレル又は大きな内側表面積を有するモールドを、コールドスプレーすることにより、それぞれ、大きな内側又は外側表面積を有するパイプの製造を可能にするものである。マンドレル又はモールドの表面は、パイプのそれぞれの表面上に複製されることになり、製造中のパイプにおける所望の表面積配置をもたらすことになる任意の構造的特徴を含むことができる。例えば、マンドレル又はモールドの表面は、パイプの対応する表面に大きな表面積を付与するため、一以上のフィンを備えていてもよい。かかるパイプは、従来の製造方法を用いて製造できるとは考えにくい。特に、チタン及び/又はチタン合金を含む本発明の表面積の大きなパイプは、熱交換器に用いるのに適している。
【0013】
本発明の潜在的な利点は、コールドスプレーによって付着させる組成物は、製造するパイプの長さに沿って及び/又は厚さを横切って変化させることができることである。このことは、製品の特徴の面から見て、適応性をもたらすことができる。例えば、反対側の端部において異なる溶接特性を有する金属製パイプを製造することであり、これは、異なる端部の間で組成を変えることにより達成できる。パイプの厚さを横切って組成を変えることも、望ましいことがある。例えば、ニッケル密度の高い内側領域と、それよりもニッケル密度の低い(おそらくより廉価な)物質を外側領域に有するパイプを提供することが望ましいことがある。
【0014】
パイプの組成を変えるのに、幾つかの異なるアプローチが可能である。パイプの性質(例えば、熱膨張係数)が、パイプの長さに沿って及び/又は厚さを横切って変化することが望ましければ、パイプの組成を変化させればよい。したがって、パイプは、異なる材料の個々に区別できる長さ及び/又は層を備えていてもよく、あるいは、パイプの組成を、パイプの長さに沿って及び/又は厚さを横切って徐々に変化させてもよく、あるいは、パイプは、これらの構成の組み合わせを備えていてもよい。
【0015】
複数の材料からパイプを製造する場合には、異なる材料の適合性を考慮しなければならない。もしも、二以上の候補材料が、何らかの点で(例えば、密着性/結合性)不適合であれば、それらの不適合な材料を、互いに適合する材料の一以上の領域によって隔てることが必要な場合がある。そのほか、使用する材料の間の不適合性の問題を緩和するため、一つの材料から次の材料へと組成を徐々に変化させる様にパイプを製造することができる。
【0016】
本発明は、二以上のはっきり区別できる層を備え、個々の層が、化学的に(粒子の組成を変えればよい)及び/又は物理的に(用いる粒子の大きさ、充填密度(packing density)等を変えればよい)異なるパイプの製造手段を提供するものである。最内層と最外層の材料の選択は、パイプの意図する用途並びにパイプの内側及び外側表面が使用の間に曝されるプロセス流体によって決定されるのが一般的である。そのため、内側及び/又は外側表面が、耐蝕性又は耐摩耗性であるパイプを製造するのが望ましいことがある。パイプの層の特性が重要でない場合には、この層を、比較的廉価な材料を用いて形成し、それにより、費用対効果を高めることができる。チタン及びニッケル(及びそれらの対応する合金)を、それぞれ、酸性及びアルカリ性のプロセス流体に対する耐蝕性をもたらすのに用いることができる。タングステン及び/又は炭化タングステンを、摩耗性のプロセス流体に対する耐摩耗性をもたらすのに用いることができる。より廉価な材料は、アルミニウム、銅及び/又は亜鉛を含んでいてもよい。
【0017】
比較的小さな直径を有する多層パイプの製造には、レイヤー・バイ・レイヤーのアプローチが特に役に立つ。例えば、チタンの内側層と異なる材料の外側層とを有する小さなパイプを考える。かかるパイプを、チタンで既成のパイプをコールドスプレーすることによって製造することは、コールドスプレーノズルが、大きすぎてパイプの空洞を通って移動することができない場合には、きわめて困難である(不可能でさえある)ことが分かるであろう。しかしながら、本発明によれば、チタンの均一な層をマンドレル(このマンドレルの外径が、パイプに要求される内径に相当する)にコールドスプレーし、次いで、異なる材料の均一な層をチタンで被覆したマンドレルにコールドスプレーした後、マンドレルを取り除いて多層パイプを得ることによって、かかるパイプを製造することができる。種々のプロセスパラメーターの精密な制御が、パイプ壁を構成する異なる層の間の好適な付着を可能にするものである。
【0018】
本発明においては、パイプの材料は、チタン又はチタン合金を含んでいるのが好ましい。チタンのパイプは、強くて耐蝕性であり、地上、地下及び海中で水、油、ガス及び種々の薬品を移送するための優れた候補である。本発明のコールドスプレー方法を用いたチタンパイプの製造は、厳格な性能要件を満たすことが分かっており、従来の高温パイプ製造法に対する低費用の代替の要求を満たすものである。
【0019】
支持部材上にパイプを形成した後、支持部材とパイプを分離する必要がある。一つの実記の形態では、支持部材の材料とパイプを形成する材料との間の熱膨張係数の違いに起因して分離が生じる(コールドスプレーは、支持部材の局部的な加熱を引き起こすことがある)。したがって、支持部材がマンドレルの形をとっている場合には、マンドレルの外側表面上に形成されたパイプから離れる方向へのマンドレルの収縮によって分離を達成することができる。この場合、マンドレルの熱膨張係数は、製造するパイプの熱膨張係数よりも大きいように選択される。コールドスプレーの開始前に、支持部材を加熱することも有益である。
【0020】
他の実施の形態では、支持部材がモールドの形をとっている場合には、パイプの材料が、モールドの材料よりも高い膨張係数を有しているときに、モールドからのパイプの分離を行うことができる。モールドは、溶解、溶融又は蒸発させることのできるワックス又は低融点金属から作ることができる。この場合、冷却すると、パイプの外側表面が、モールドの内側表面から離れる方向に収縮する。
【0021】
支持部材の材料は、製造するパイプの材料に基づいて選択することができる。本発明の一つの実施の形態では、支持部材がマンドレルの形をとっており、パイプの材料がチタン粒子を含んでいる場合には、マンドレルは、ステンレス鋼から形成することができる。
【0022】
他の実施の形態では、支持部材とパイプの分離は、支持部材を壊すことによってなされてもよい。この場合、支持部材は、支持部材の表面上にパイプが形成できるよう、適当に堅くて耐熱性であるが、支持部材とパイプの分離が必要なときに、支持部材を壊して取り除くことができるよう、適当に壊れやすいセラミック材料から形成することができる。
【0023】
本発明の一つの実施の形態では、コールドスプレーする粒子の平均粒径は、支持部材上に結果として形成される付着物の密度、したがって形成されるパイプの密度に影響を与え易い。付着物は、稠密で、欠陥、結合した微少ボイド(漏れ)等がないのが好ましい。かかる欠陥等の存在は、結果として得られるパイプの質にとって有害になることがあるからである。コールドスプレーによって付着させる粒子の粒径は、平均粒径が25ミクロンで、5〜45ミクロンであるのが典型的である。当業者は、粉の形態及び形成するパイプの特性に基づいて、用いる最適な粒径又は粒径分布を決定することができるであろう。本発明で用いるのに適した粒子は、商業的に入手可能なものである。
【0024】
コールドスプレー法の作業パラメータは、所望の特性(密度、表面仕上げ等)を有するパイプを得るため、操作することができる。したがって、温度、圧力、スタンドオフ(コールドスプレーノズルと被覆する支持部材表面との間の距離)、粉末供給速度及び支持部材とコールドスプレーノズルとの相対運動などのパラメータを、必要に応じて調節することができる。一般に、粒径及び粒径分布が小さいほど、支持部材の表面上に形成される層は稠密になる。より高い粒子速度及びより稠密な微細構造を達成するために用いるより高い圧力及びより高い温度を達成可能にするため、又は粒子の予備加熱を実施可能にするため、用いるコールドスプレー装置を改造するのが適当なことがある。
【0025】
本発明の方法を実施するのに用いる装置は、概して従来型のものであり、かかる装置は、市販のものでも個別に造られたものでもよい。概括的に言えば、コールドスプレーに用いる装置の基本構造は、これから述べる通りであり、米国特許第5,302,414号において説明されている。かかるコールドスプレー装置は、必要に応じ、支持部材を保持し操作するための装置と組み合わせてもよい。例えば、支持部材がマンドレルの形をとっている場合には、マンドレルに沿って軸方向に移動する付着物を有するマンドレルを回転させるのに、旋盤を用いてもよい。この場合、ノズルの軸方向の運動と組み合わせたマンドレルの回転は、パイプを製造するために支持部材上に付着物を蓄積させる役割を果たしている。かなりの長さ、肉厚及び/又は直径のマンドレルをコールドスプレーするのに、複数のノズルを直列に用いてもよい。複数のノズルの使用は、製造工程をスピードアップもする。
【0026】
本発明に従ってパイプを製造した後、パイプを、サイジングし、仕上げをしてもよい。例えば、固定荷重をパイプの外側表面にかける適当なローラーを用いて、パイプを圧延してもよい。圧延は、仕上げ前のパイプのサイジングのための手段も提供することができる。パイプの表面は、エンドユーザーの仕様により、研削し、機械加工し又は磨いてもよい。
【0027】
コールドスプレーの間にパイプの圧延を実施することも可能であり、又は、圧延(仕上げ)工程を完全に省略することも可能である。
【発明の効果】
【0028】
従来のパイプ製造方法と比較して本発明の方法による利点は、以下の通りである。
1.種々の等級及び組成のパイプを、溶融することなしに、粉末から直接製造することができる。
2.製造するパイプの直径が、用いた支持部材の大きさのみによって限定される。
3.本方法は、通常、製造するパイプの肉厚に限定をかけない。
4.パイプを製造するのに広く用いられている高価なダイ(dies)、あるいは鍛造、ロール成形、溶接又は押し出し装置を必要としない。
5.本方法は、いろいろなパイプの材料(例えば、金属、セラミック、ポリマー、複合材料及びそれらの混合物)に適用可能であり、種々の用途に適合するよう勾配微細構造(graded microstructure)の製造に適用可能である。
6.コールドスプレーの間、雰囲気制御が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施例において用いた設備の概略斜視図である。
図2】実施例3におけるチタン製熱交換用パイプの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本発明の特定の実施の形態を説明するものである。
実施例1
本発明の方法は、添付図面(図1)に示す特別に設計された現場圧延試験装置(in situ rolling test rig)及び旋盤を用いて実施することができる。特に、直径(内径)が最大125mmまで長さが最大450mmまでのチタンのパイプを、その試験装置で製造することができる(製造するパイプの直径、肉厚及び/又は長さに対する限定なし)。
【0031】
図1の(実験室用の)設備は、圧力ローラーヘッド(1)によって加えられる圧延圧力(rolling pressure)を、コールドスプレーの間、維持することができ、スライド駆動モーター(3)によって駆動される圧力ローラースライド(2)及びコールドスプレーノズル(図示せず)の両者の移動速度を、パイプが形成されながらパイプに沿って移動するよう、同期化することができるように設計されている。コールドスプレーノズルは、マンドレルの真向かい(directly opposite)に位置するのが典型的である。かなりの長さ、肉厚及び/又は直径の、マンドレルをコールドスプレーするのに、複数のノズルを直列に用いてもよい。また、複数のノズルの使用は、製造過程をスピードアップする。マンドレル(4)は、マンドレルがコールドスプレー成膜(cold spraying deposition)のため高速で回転できるよう、旋盤駆動ヘッド(5)と旋盤心押し台(6)との間にしっかりと固定される。所望のパイプの長さ及び肉厚になったら、チタン被覆したマンドレルを試験装置から取り外し、コールドスプレーしたチタンパイプがあらわれるよう、マンドレルを取り除いてよい。
【0032】
その他、この試験装置を用い、チタン及び/又はチタン合金の粉末を、マンドレル上にコールドスプレーし、圧延(仕上げ)工程を省くことによって、チタン及び/又はチタン合金のパイプを製造することができる。
【0033】
典型的には、コールドスプレー機械のパラメータは、以下の通りである。
・装置:CGT Kinetic 3000又は4000型
・超音速ノズルの数:1以上
・マンドレルの材料:ステンレス鋼
・マンドレルの速度:最高600RPM(回転/分)まで
・スタンドオフ:20〜100mm
・スプレー材料:純チタン(CP Titanium)及び/又はチタン合金粉末
・粒径:10〜30ミクロン
・ガス圧:10〜40バール
・ガス:ヘリウム、窒素、アルゴン又は空気
・搬送ガス:ヘリウム、窒素、アルゴン又は空気、あるいはそれらの混合物
・粉末供給速度:10〜200グラム/分
・移動速度:10〜100mm/分
【0034】
実施例2
チタン/軟鋼の二重(duplex)パイプを、腐蝕性の流体を搬送する目的で製造した。ステンレス鋼製マンドレル(外径50mm、長さ300mm)を、市販の純チタンの5mmの厚さの層でコールドスプレーした。追加の5mm厚の軟鋼の層を、チタン層上に付着させて10mm厚の二重パイプを製造した。チタンとステンレス鋼の熱膨張係数の間の違いを利用することにより、ステンレス鋼製マンドレルを取り除いた。
【0035】
典型的には、二重パイプを製造するためのコールドスプレー機械のパラメータは、以下の通りである。
・装置:CGT Kinetic 4000型
・MOC超音速ノズル
・マンドレルの材料:ステンレス鋼
・マンドレルの速度:最高600RPM(回転/分)まで
・スタンドオフ:30mm
・スプレー材料:市販の純チタン及び軟鋼
・粒径:チタン及び軟鋼が10〜30ミクロン
・チタン用のガス圧は38バール、軟鋼用のガス圧は35バール
・ガス:どちらの粉末に関しても99.999%純粋な窒素
・搬送ガス:どちらの粉末に関しても99.999%純粋な窒素
・粉末供給速度:どちらの粉末に関しても30g/分
・移動速度:どちらの粉末に関しても20mm/分
【0036】
実施例3
コールドスプレーを用いて、複雑な内側形状を有するチタン及びチタン合金のシームレスパイプを製造した。アルミニウム合金のマンドレルの外側表面を機械加工してスプライン形状のマンドレルを製造し、このマンドレルは、その結果として、コールドスプレーしたチタンパイプの内側表面積を増加させた。スプラインは、外周のまわりに10個の歯車形状の歯を備えており、各々の歯は、幅が3mm、深さが3mmであった。そのほか、スプラインの形状は、示された例に限定されず、スプラインの歯の深さ及び幅は、要求される熱伝達の量に応じて変えることができる。アルミニウムスプラインを、マンドレルを所要の速度で回転させる目的で旋盤機械に配置した。チタン又はチタン合金を、マンドレルの表面上にコールドスプレーし、熱交換用パイプの肉厚を6mmの厚さまで構築した。コールドスプレーの後、水酸化ナトリウム溶液中で溶解させることにより、マンドレルを取り除き、チタン製熱交換用パイプを出現させた。チタン製熱交換用パイプを、図2に示す。
【0037】
典型的には、コールドスプレー機械のパラメータは、以下の通りである。
・装置:CGT Kinetic 4000型
・MOC超音速ノズル
・マンドレルの材料:アルミニウム合金
・マンドレルの速度:最高600RPM(回転/分)まで
・スタンドオフ:30mm
・スプレー材料:市販の純チタン
・粒径:10〜30ミクロン
・ガス圧:38バール
・ガス:99.999%純粋な窒素
・搬送ガス:99.999%純粋な窒素
・粉末供給速度:30g/分
・移動速度:20mm/分
本明細書及びこれに続く請求の範囲を通じ、文脈が他の意味を要求している場合を除き、「含む(comprise:三人称単数以外の現在形)」の語、並びに「含む(comprises:三人称単数現在形)」及び「含む(comprising:現在分詞)」等の変化形は、述べた整数又は工程、あるいは一群の整数又は工程を含むが、如何なる他の整数又は工程、あるいは一群の整数又は工程をも排除しないことを意味することが理解されよう。
【0038】
本明細書における全ての先行する公表文献(又はそれに由来する情報)、あるいは全ての公知事項への言及は、先行公表文献(又はそれに由来する情報)、あるいは公知事項が、本明細書が関連する試みの分野における周知の一般知識の一部を形成することの認知又は承認又は何らかの形の示唆ではなく、そのようなものとして受け止められるべきではない。
図1
図2