(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6140134
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】射出成形機の突出し制御装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/40 20060101AFI20170522BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
B29C45/40
B29C45/76
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-252459(P2014-252459)
(22)【出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2016-112752(P2016-112752A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2016年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】分部 修一
(72)【発明者】
【氏名】水村 晃輔
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特公昭46−037103(JP,B1)
【文献】
特開昭62−201220(JP,A)
【文献】
特開昭60−222220(JP,A)
【文献】
特開2009−166323(JP,A)
【文献】
特開昭61−195817(JP,A)
【文献】
特開平10−296818(JP,A)
【文献】
特開平02−208012(JP,A)
【文献】
特開2009−274356(JP,A)
【文献】
特開昭63−295227(JP,A)
【文献】
特開2016−074130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出部と、金型と、
前記射出部から前記金型に射出された樹脂が成形された後、成形品として前記金型から離形させるための突出し装置と、
を備える射出成形機の突出し制御装置において、
前記突出し装置の突出し動作による前記成形品の突出し過程の画像を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶する成形品突出し画像記憶部と、
該成形品突出し画像記憶部に記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定する突出し停止時点設定部と、
該突出し停止時点設定部が設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出し動作を途中停止する突出し途中停止制御部と、
を備え、
前記突出し停止時点設定部は、前記落下開始時点として、成形品が前記金型から落下開始する時の前記突出し装置の位置を落下開始位置として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始位置よりも所定距離だけ前記突出し装置の後退方向の位置を突出し停止位置として求め、
前記突出し途中停止制御部は、前記突出停止位置で前記突出し装置の突出しを停止する
ことを特徴とする射出成形機の突出し制御装置。
【請求項2】
射出部と、金型と、
前記射出部から前記金型に射出された樹脂が成形された後、成形品として前記金型から離形させるための突出し装置と、
を備える射出成形機の突出し制御装置において、
前記突出し装置の突出し動作による前記成形品の突出し過程の画像を撮像する撮像部と、
該撮像部で撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶する成形品突出し画像記憶部と、
該成形品突出し画像記憶部に記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定する突出し停止時点設定部と、
該突出し停止時点設定部が設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出し動作を途中停止する突出し途中停止制御部と、
を備え、
前記突出し停止時点設定部は、前記落下開始時点として、成形品が前記金型から落下開始する時の突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として求め、
前記突出し途中停止制御部は、突出し開始からの経過時間が前記突出し停止時間だけ経過した時に前記突出し装置の突出しを停止する
ことを特徴とする射出成形機の突出し制御装置。
【請求項3】
少なくとも前記射出成形機の周囲に設けられる開閉可能な安全扉と、
前記安全扉が閉鎖されたことを検知する安全扉閉鎖検知部と、
突出し再開制御部と、をさらに備え、
前記突出し再開制御部は、前記突出し途中停止制御部による前記突出し装置の途中停止中に、前記安全扉閉鎖検知部が前記安全扉の閉鎖を検知したら、前記突出し装置の突出しを再開する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出成形機の突出し制御装置。
【請求項4】
前記突出し装置の突出し再開指示入力部をさらに備え、
前記突出し再開制御部は、前記安全扉閉鎖検知部が前記安全扉の閉鎖を検知した後、突出し再開指示入力部から突出し再開指示信号が入力されたら前記突出し装置の突出しを再開する
ことを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の突出し制御装置。
【請求項5】
前記突出し途中停止制御部は、前記突出し装置の突出しを途中停止する時に型開き動作も停止させ、
前記突出し再開制御部は、前記突出し装置の突出しを再開する時に型開き動作も再開することを特徴とした請求項3又は4に記載の射出成形機の突出し制御装置。
【請求項6】
射出部から金型に射出された樹脂が成形された後、前記金型から離形させるための突出し装置を制御する射出成形機の突出し制御方法において、
前記突出し装置の突出し動作による成形品の突出し過程の画像を撮像し、
撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶し、
該記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、
該設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出しを途中停止し、
前記記憶された画像を解析して、前記落下開始時点として成形品が前記金型から落下開始する時の突出し装置の位置を落下開始位置として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始位置よりも所定距離だけ前記突出し装置の後退方向の位置を突出し停止位置として求め、
該求めた突出し停止位置で前記突出し装置の突出しを停止する
ことを特徴とする射出成形機の突出し制御方法。
【請求項7】
射出部から金型に射出された樹脂が成形された後、前記金型から離形させるための突出し装置を制御する射出成形機の突出し制御方法において、
前記突出し装置の突出し動作による成形品の突出し過程の画像を撮像し、
撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶し、
該記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、
該設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出しを途中停止し、
前記記憶された画像を解析して、前記落下開始時点として成形品が前記金型から落下開始する時の突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として求め、
突出し開始からの経過時間が前記突出し停止時間だけ経過した時に前記突出し装置の突出しを停止する
ことを特徴とする射出成形機の突出し制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機におけるエジェクタ等の成形品の突出し装置の突出し制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機において、成形の開始直後や成形条件調整時には、作業者が射出成形機を覆っている安全扉を開き、成形品の状態を確認するために、成形品を取り出して成形品の状態を確認することがある。また、連続成形中に成形品取出機を使用して、射出成形機の操作盤が設けられている側と反対側に成形品を取り出す場合は、成形品の状態の確認の際に射出成形機の操作盤が設けられている側で取り出すように設定を変更して確認することも行われている。さらに、成形品取出機によって成形品を取り出すことなく、エジェクタによって成形品を突出してから成形品を確認するという方法も行われている。
【0003】
特許文献1には、射出成形機における監視装置によって、型開位置にある可動側金型の型開動作及び突出し動作を監視する技術、及び、初期設定後所定回数の射出成形工程の間は、監視装置による監視結果を無視して射出成形工程を繰り返して判定基準値を収集して射出成形工程の異常の有無を判定する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、射出成形機の可動側金型や固定側金型の金型面の画像を取得する画像入力部を備え、画像入力部によって取得された判別対象画像に異常があると判別したときに、作業者が所持する端末装置に金型装置の画像を送信することによって、成形の異常の有無を容易に把握するようにする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−295227号公報
【特許文献2】特開2009−61786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
成形品の状態の確認の際に射出成形機の操作盤が設けられている側で取り出すように設定を変更する技術においては、操作盤付近において作業者が操作盤の操作をしていることがあるため、作業者の側に取出機が近づいて危険が発生するおそれがある。
また、エジェクタによって成形品を突出してから成形品の確認を行う技術においては、特に成形品が多数個取りの場合には、突出して落下した成形品が、いずれのキャビティによって成形された成形品か容易に判別できない場合がある。
【0007】
特許文献1及び2に開示されている技術は、カメラ等の撮像手段によって撮像した画像データを用いて、射出成形工程における異常の有無を監視しているが、異常が検出されたときの対応や、異常が生じないようにするための方法については開示されていない。
【0008】
そこで本発明は、射出成形機の突出し制御装置において、所定の位置で突出しを停止させ、作業者が手で成形品を取り出すことができるようにして、成形品の取り出しの際に成形品を傷つけることがなく、所望のキャビティの成形品を選択的に取り出すことを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の請求項1に係る発明では、射出部と、金型と、前記射出部から前記金型に射出された樹脂が成形された後、成形品として前記金型から離形させるための突出し装置と、を備える射出成形機の突出し制御装置において、前記突出し装置の突出し動作による前記成形品の突出し過程の画像を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶する成形品突出し画像記憶部と、該成形品突出し画像記憶部に記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定する突出し停止時点設定部と、該突出し停止時点設定部が設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出し動作を途中停止する突出し途中停止制御部と、を備え
、前記突出し停止時点設定部は、前記落下開始時点として、成形品が前記金型から落下開始する時の前記突出し装置の位置を落下開始位置として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始位置よりも所定距離だけ前記突出し装置の後退方向の位置を突出し停止位置として求め、前記突出し途中停止制御部は、前記突出停止位置で前記突出し装置の突出しを停止することを特徴とする射出成形機の突出し制御装置が提供される。
【0010】
請求項1に係る発明では、撮像部で撮像した画像を解析することで、成形品が金型から落下開始する落下開始時点を求め、落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、突出し停止時点において、突出し装置の突出し動作を途中停止することによって、成形品が金型から落下する前に突出し動作を停止させることが可能となり、成形品が落下することなく取り出して成形品を確認することが可能となる。
また、成形品が金型から落下開始する時の突出し装置の位置を落下開始位置として求め、突出し停止位置を落下開始位置よりも所定距離だけ突出し装置の後退方向の位置として求めて、その場所で突出しを停止することによって、確実に突出し停止位置において突出しを停止させることができ、成形品が落下することなく取り出して成形品を確認することが可能となる。
【0013】
本願の請求項
2に係る発明では、
射出部と、金型と、前記射出部から前記金型に射出された樹脂が成形された後、成形品として前記金型から離形させるための突出し装置と、を備える射出成形機の突出し制御装置において、前記突出し装置の突出し動作による前記成形品の突出し過程の画像を撮像する撮像部と、該撮像部で撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶する成形品突出し画像記憶部と、該成形品突出し画像記憶部に記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定する突出し停止時点設定部と、該突出し停止時点設定部が設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出し動作を途中停止する突出し途中停止制御部と、を備え、前記突出し停止時点設定部は、前記落下開始時点として、成形品が前記金型から落下開始する時の突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として求め、前記突出し途中停止制御部は、突出し開始からの経過時間が前記突出し停止時間だけ経過した時に前記突出し装置の突出しを停止することを特徴とす
る射出成形機の突出し制御装置が提供される。
【0014】
請求項
2に係る発明では、
撮像部で撮像した画像を解析することで、成形品が金型から落下開始する落下開始時点を求め、落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、突出し停止時点において、突出し装置の突出し動作を途中停止することによって、成形品が金型から落下する前に突出し動作を停止させることが可能となり、成形品が落下することなく取り出して成形品を確認することが可能となる。
また、成形品が金型から落下開始する時の突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として求めて、その時間において突出しを停止することによって、確実に突出し停止時点において突出しを停止させることができ、成形品が落下することなく取り出して成形品を確認することが可能となる。
【0015】
本願の請求項
3に係る発明では、少なくとも前記射出成形機の周囲に設けられる開閉可能な安全扉と、前記安全扉が閉鎖されたことを検知する安全扉閉鎖検知部と、突出し再開制御部と、をさらに備え、前記突出し再開制御部は、前記突出し途中停止制御部による前記突出し装置の途中停止中に、前記安全扉閉鎖検知部が前記安全扉の閉鎖を検知したら、前記突出し装置の突出しを再開することを特徴とする請求項1
又は2に記載の射出成形機の突出し制御装置が提供される。
請求項
3に係る発明では、少なくとも射出成形機の周囲に設けられる開閉可能な安全扉が閉鎖されたことを検知したら、突出し装置の突出しを再開するようにしたことによって、安全扉が閉鎖されないと突出し装置の突出しが再開されないため、作業者の安全を向上させることが可能となる。
【0016】
本願の請求項
4に係る発明では、前記突出し装置の突出し再開指示入力部をさらに備え、前記突出し再開制御部は、前記安全扉閉鎖検知部が前記安全扉の閉鎖を検知した後、突出し再開指示入力部から突出し再開指示信号が入力されたら前記突出し装置の突出しを再開することを特徴とする請求項
3に記載の射出成形機の突出し制御装置が提供される。
請求項
4に係る発明では、安全扉が閉鎖された後に、突出し再開指示入力部から突出し再開指示信号が入力されたら突出し装置の突出しを再開するようにしたことによって、安全扉が閉じられた後、作業者が安全を確認して突出し再開指示入力部から指示を与えることで突出し装置の突出しを再開することが可能となり、より安全に突出し装置の突出しの再開を行うことが可能となる。
【0017】
本願の請求項
5に係る発明では、前記突出し途中停止制御部は、前記突出し装置の突出しを途中停止する時に型開き動作も停止させ、前記突出し再開制御部は、前記突出し装置の突出しを再開する時に型開き動作も再開することを特徴とした請求項
3又は
4に記載の射出成形機の突出し制御装置が提供される。
請求項
5に係る発明では、突出し装置の突出しを途中停止させる時に型開き動作も停止させ、再開時も両者を合わせて再開させるようにしたことによって、突出し装置の突出し停止時の成形品の取り出しを容易に行うことが可能となる。
【0018】
本願の請求項
6に係る発明では、射出部から金型に射出された樹脂が成形された後、前記金型から離形させるための突出し装置を制御する射出成形機の突出し制御方法において、前記突出し装置の突出し動作による成形品の突出し過程の画像を撮像し、撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶し、該記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、該設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出しを途中停止
し、前記記憶された画像を解析して、前記落下開始時点として成形品が前記金型から落下開始する時の突出し装置の位置を落下開始位置として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始位置よりも所定距離だけ前記突出し装置の後退方向の位置を突出し停止位置として求め、該求めた突出し停止位置で前記突出し装置の突出しを停止することを特徴とする射出成形機の突出し制御方法が提供される。
【0019】
請求項
6に係る発明では、撮像部で撮像した画像を解析することで、成形品が金型から落下開始する落下開始時点を求め、落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、突出し停止時点において、突出し装置の突出し動作を途中停止することによって、成形品が金型から落下する前に突出し動作を停止させることが可能となり、成形品が落下することなく取り出して成形品を確認することが可能となる。
【0021】
本願の請求項
7に係る発明では、
射出部から金型に射出された樹脂が成形された後、前記金型から離形させるための突出し装置を制御する射出成形機の突出し制御方法において、前記突出し装置の突出し動作による成形品の突出し過程の画像を撮像し、撮像した前記成形品の突出し過程の画像を記憶し、該記憶された画像を解析して成形品が前記金型から落下開始する時点を落下開始時点として求め、該落下開始時点をもとに突出し停止時点を設定し、該設定した突出し停止時点において、前記突出し装置の突出しを途中停止し、前記記憶された画像を解析して、前記落下開始時点として成形品が前記金型から落下開始する時の突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、前記突出し停止時点として、該落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として求め、突出し開始からの経過時間が前記突出し停止時間だけ経過した時に前記突出し装置の突出しを停止す
る射出成形機の突出し制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、射出成形機の突出し制御装置において、所定の位置で突出しを停止させ、作業者が手で成形品を取り出すことができるようにして、成形品の取り出しの際に成形品を傷つけることがなく、所望のキャビティの成形品を選択的に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態における射出成形機の構造を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施形態における、カバー部を外した状態での型締装置の型開前の状態を示した図である。
【
図3】本発明の実施形態における、カバー部を外した状態での型締装置の型開きが完了しエジェクタ前進前の状態を示した図である。
【
図4】本発明の実施形態における、カバー部を外した状態での型締装置の突出しピンを突出し途中停止位置で停止させた状態を示した図である。
【
図5】本発明の実施形態における、カバー部を外した状態での型締装置のさらに突出しが進んだ状態を示した図である。
【
図6】本発明の実施形態における、カバー部を外した状態での型締装置の突出しピンをエジェクタ前進ストローク分前進させた状態を示した図である。
【
図7】突出しピンの位置と、その位置におけるカメラの画像の様子を示した図である。
【
図8】カメラによる突出し過程の撮像画像を示した図である。
【
図9】第1の実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。
【
図10】第2の実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。
【
図11】第3の実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。
【
図12】第4の実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態における射出成形機の構造を示す正面図である。1は射出成形機であり、2は金型を開閉し、型締力を発生させる型締装置であり、3は型締装置2に対向して配置され、樹脂を溶融して金型内に射出するための射出装置である。4は機台であり、型締装置2と射出装置3とを搭載している。型締装置2と射出装置3はいずれも周囲をカバー部で覆われるような構成とされている。10は型締装置2に設けられた安全扉であり、射出成形機1の動作時には閉鎖されている。また、成形された成形品を取り出す際などは、射出成形機1の動作を停止させて、安全扉10を開放して内部の成形品を取り出すことができる。
【0025】
図2から
図4は、カバー部を外した状態での型締装置2の構成を示した図である。12は可動プラテンであり、24は可動プラテンと接続されている可動側金型である。また、26は可動側金型と対向するように配置されている固定側金型である。なお、これらの図においては、固定プラテンの図示を省略している。
18は樹脂を供給するノズルであり、両金型の対向部に樹脂を供給している。供給された樹脂は、型締装置2における両金型の型締により成形されて成形品22(22a、22b)となる。
【0026】
14はエジェクタであり、成形機エジェクタロッド16の動作により前後進動作を行う。また、エジェクタ14には、突出しピン20(20a、20b)が備えられており、エジェクタ14の前後進に伴って、突出しピン20が成形品22に接触して突出し動作を行うことが可能となる。30はカメラであり、可動側金型24から成形品22が突き出される突出し過程を所定のサンプリング周期毎に撮影する。撮影された画像は、突出し画像記憶部60に記憶される。
【0027】
図2は型開前の状態を示しており、突出しピン20の位置が、成形品22に接触しない位置となっている。また、
図3は型開が完了しエジェクタ前進前の状態を示している。さらに、
図4は突出しピン20の位置を、突出し途中停止位置で停止させた状態を示している。
【0028】
図4に示されているように、突出し途中停止位置においては、成形品22が可動側の金型24の表面から所定距離離れた位置において停止することとなる。この突出し途中停止位置で突出しピン20が停止している状態では、成形品22が落下することなく、手で取り出せる状態で停止される。
【0029】
図5は
図4に示されている突出し途中停止位置からさらに突出しが進んだ状態を示している。
図5(a)は可動側金型24から成形品22が離型した直後の位置を示しており、
図5(b)は離型が完了して成形品22が落下する直前の位置を示している。
図6は、
図5の状態からさらに突出しが進み、突出しピン20をエジェクタ前進ストローク分前進させた位置を示している。この状態においては、成形品22は完全に離型して落下することとなる。
【0030】
図2から
図6にかけての、可動側金型24から突出しピン20によって成形品22が突出される突出し過程を、カメラ30によって所定のサンプリング周期毎に撮影する。撮影された画像は、突出し画像記憶部60に記憶される。
【0031】
図7は、突出しピン20の位置と、その位置におけるカメラ30の画像の様子を示した図である。可動側金型24において成形された成形品22が、突出しピン20の突出し位置が進むにつれて徐々に可動側金型24から離型していき、突出し位置が所定の位置になったところで、成形品22の離型が完了して成形品22が落下する。カメラ30によって撮像され、所定のサンプリング周期毎に突出し画像記憶部60に記憶された画像は、突出し停止時点設定部48において解析される。
【0032】
突出し過程において、突出しピン20の位置に応じて、カメラ30によって撮像される画像も変化する。突出しピン20が突出しされていない状態では、成形品22は可動側金型24にはまり込んだ状態とされており、その後突出しピン20が突出されるにつれて、徐々に可動側金型24から成形品22が突出されていき、突出しピン20がエジェクタ前進ストロークの少し手前の位置において、成形品22は可動側金型24から落下する。
【0033】
カメラ30は、所定のサンプリング周期毎に突出し過程を撮像しているため、成形品22が落下する前の段階では、成形品22はゆっくりほぼ同一方向に、ほぼ同一速度で移動するように撮像される。その後、成形品22が落下位置となると、成形品22が可動側金型24から突出されて落下するため、成形品22の移動方向及び移動速度が大きく変化する。突出し停止時点設定部48においては、突出し画像記憶部60に記憶された成形品22の移動方向及び移動速度が変化したことを検知することによって、成形品22の落下位置を特定する。
【0034】
図8は、カメラ30による突出し過程の撮像画像を示した図である。
図8(a)は型開き開始前の状態を示しており、
図8(b)は型開きを開始した状態を示している。次に
図8(c)は突出しを開始して成形品22の離型を開始した位置、
図8(d)は突出しがさらに進んで、成形品22の離型が完了して落下直前の位置である。
図8(e)は突出しがさらに進んで、型開きが完了した位置であり、成形品22が完全に落下する。
図7において説明したとおり、成形品22の落下が開始したときに、成形品22の移動の方向及び速度が変化することによって、成形品22の落下位置を特定する。
【0035】
成形品22の落下開始位置が求められた後、求められた落下開始位置よりもあらかじめ定められた所定距離だけ突出し装置の後退方向に差し引いた位置を突出し停止位置として設定する。かかる所定距離の算出方法としては、実験などにより、成形品22は落下しないが手で成形品22を取り出せる位置を求め、その位置が突出し停止位置となるように、所定距離を設定する。所定距離としては、射出成形機の不揮発性メモリに記憶しておくことができる。所定距離は、成形品22の形状などに応じて複数種類の所定距離を射出成形機の不揮発性メモリに記憶しておき、実際に成形する成形品22の形状に適合するものを選択するようにしてもよい。
【0036】
また、突出し停止時点として、突出し停止位置を設定することに代えて、時間をもとに突出し停止時間を設定するようにしてもよい。突出し停止時間を設定する場合は、成形品22の移動の方向及び速度が変化することによって、成形品22の落下を特定し、そのときの突出し開始からの経過時間を落下開始時間として求め、求めた落下開始時間よりも所定時間だけ前の時間を突出し停止時間として設定する。
【0037】
かかる所定時間の算出方法としては、実験などにより、成形品22は落下しないが手で成形品22を取り出せる時の突出し開始からの経過時間を求め、その時間が突出し停止時間となるように、所定時間を設定する。所定時間としては、射出成形機の不揮発性メモリに記憶しておくことができる。所定時間は、成形品22の形状などに応じて複数種類の所定時間を射出成形機の不揮発性メモリに記憶しておき、実際に成形する成形品22の形状に適合するものを選択するようにしてもよい。
【0038】
図9は、本実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。40は突出し制御部であり、内部に突出しサーボアンプ42を有し、エジェクタ14や突出しピン20の位置を制御する。突出しサーボアンプ42からの信号は、突出しサーボモータ44に入力され、突出しピン20の位置を制御する。
46は突出し途中停止制御部であり、突出しサーボモータ44から突出しピン20の位置データが入力され、突出し制御部40内の突出しサーボアンプ42に対して突出し停止指示及び突出し再開指示を行う。また、48は突出し停止時点設定部であり、算出された突出し停止時点を突出し途中停止制御部46に対して送出する。
【0039】
60は成形品突出し画像記憶部であり、図示しないカメラ30(撮像手段)からの画像を所定のサンプリング周期毎に撮像して記憶する。また、記憶した画像を、突出し途中停止制御部46及び突出し停止時点設定部48に対して送出する。
【0040】
突出し停止時点設定部48では、成形品突出し画像記憶部60に記憶された画像をもとに、成形品22の落下開始位置を求め、落下開始位置から所定距離を差し引くことによって、突出し停止位置を設定する。または、成形品突出し画像記憶部60に記憶された画像をもとに、成形品22の落下開始時間を求め、落下開始時間から所定時間を差し引くことによって、突出し停止時間を設定する。そして、設定された突出し停止位置または突出し停止時間を突出し途中停止制御部46に送出する。突出し途中停止制御部46では、突出しサーボモータから送られてくる位置データ、図示しない計時手段からのデータと、突出し停止位置または突出し停止時間を比較して、突出しサーボアンプ42に対して突出し停止指示や突出し再開指示を行う。
【0041】
(第2の実施形態)
図10は、本実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。本実施形態においては、安全扉10の閉鎖を検知する安全扉検知部45を設け、安全扉検知部45によって安全扉10の閉鎖が検知されたときに、突出し再開信号が突出し途中停止制御部46に対して出力される。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
これにより、安全扉10が閉鎖されないと突出し装置の突出しが再開されないため、作業者の安全を向上させることが可能となる。
【0042】
(第3の実施形態)
図11は、本実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。本実施形態においては、安全扉10の閉鎖を検知する安全扉検知部45及び再開スタートボタン47を設け、安全扉検知部45によって安全扉10の閉鎖が検知され、その後再開スタートボタン47が押されたときに、突出し再開信号が突出し途中停止制御部46に対して出力される。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
これにより、安全扉10が閉じられた後、作業者が安全を確認して再開スタートボタン47が押されて指示を与えることで突出し装置の突出しを再開することが可能となり、より安全に突出し装置の突出しの再開を行うことが可能となる。なお、再開の指示を与える手段としては、再開スタートボタン47に代えてその他の指示手段であってもよい。
【0043】
(第4の実施形態)
射出成形機の型開き工程において、型開き中に突出しを開始する場合もある。このような場合には、型開き動作と突出し動作が同時に並行して行われるため、突出しを途中停止するときに型開きを行っている場合がある。そこで、本実施形態においては、安全面を考慮して突出しを途中停止するときに型開きを行っている場合には、突出しを途中停止することに加えて、型開きも途中停止させる。そして、成形品を手で取り出したりした後に、安全扉を閉鎖すると、型開きと突出しの両方を再開する。または、安全扉を閉鎖して、再開スタートボタンを押して指示を与えると、型開きと突出しの両方を再開する。
【0044】
図12は、本実施形態における制御部周辺の構成を示した図である。50は型開閉制御部であり、内部に型開閉サーボアンプ52を有している。54は型開閉サーボモータである。
56は型開き停止部であり、型開閉サーボモータ54から型開きの位置データが入力され、型開閉制御部50内の型開閉サーボアンプ52に対して型開き停止指示及び型開き再開指示を行う。成形品突出し画像記憶部60からは、記憶した画像を型開き停止部56にも送出する。
【0045】
これにより、本実施形態においては、突出し装置の突出しを途中停止するときに型開き動作も合わせて停止し、その後安全扉検知部45によって安全扉10の閉鎖が検知され、その後再開スタートボタン47が押されたときに、突出し再開信号が突出し途中停止制御部46及び型開き停止部56に対して出力されて、突出し動作及び型開き動作が再開される。
このように、突出し装置の突出しを途中停止させる時に型開き動作も停止させ、再開時も両者を合わせて再開させるようにしたことによって、突出し装置の突出し停止時の成形品の取り出しを容易に行うことが可能となる。なお、再開の指示を与える手段としては、再開スタートボタン47に代えてその他の指示手段であってもよい。また、安全扉10の閉鎖を検知するのみで、別途再開の指示を与えることなく再開するようにしてもよい。
【0046】
また、これらの実施形態において、突出し途中停止の有効/無効を切り換えるスイッチを設け、たとえば連続成形中は突出し途中停止を無効に切り換えておき、作業者が成形品の状態を確認したいときに突出し途中停止を有効に切り換えて成形品を手で取り出すなどして確認できるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 射出成形機
2 型締装置
3 射出装置
4 機台
10 安全扉
12 可動プラテン
14 エジェクタ
16 成形機エジェクタロッド
18 ノズル
20 突出しピン
22 成形品
24 可動側金型
26 固定側金型
30 カメラ
40 突出し制御部
42 突出しサーボアンプ
44 突出しサーボモータ
45 安全扉検知部
46 突出し途中停止制御部
47 再開スタートボタン
48 突出し停止時点設定部
50 型開閉制御部
52 型開閉サーボアンプ
54 型開閉サーボモータ
56 型開き停止部
60 突出し画像記憶部